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4−6−3(ヨン、ロク、サン)
作:辰巳尚来



第12章 春の嵐


春の嵐

桜が咲きだした4月、我が美香石高校野球部にも新入生がやってきた。

テレビの影響はかなり大きく、例年20人前後の新入生が入ってくるのに対して、今年はなんと60人も入ってきた。

女子マネージャーにいたっては一学年2名の定員に対して40人もの新入生が来た。

ミーハー気分の生徒も多く、長く続くとは思わなかった。

僕たちは新入生の事よりすでに始まってる春季大会で頭はいっぱいだった。

公式戦に初めてスタメン出場した女子選手は、世間の話題をかっさらった。

おまけに試合は、斎藤の完封劇に加え打線は大爆発でのコールドゲーム。

美香石とこいちゃんの名前は改めて世間の知る事となった。

僕たちは順調に勝ち進み、なんと決勝まできた。

学校はかなり盛り上がり、ガッツで行こうも特番を組む事態になっていた。

「いよいよ決勝やな」

れんちゃんがオムライスをほうばりながら言った。

「ここまでこれるやなんて、冬場頑張った成果やな」
やまちゃんが感傷に浸っていた。

「斎藤君のおかげやと思うよ私は」

こいちゃんが冷静に言った言葉にみんなが頷いた。

斎藤は秋からめきめきと成長し、ストレートは150キロ近くになり、得意のチェンジアップに加えてスライダーの切れが抜群に良くなった。

今やプロが注目する一人になった。

「これで俺らは近畿大会に行けるんやんなぁ」

れんちゃんの一言にみんながはっとした。

県大会の3位までが次の近畿大会に出場でき、夏の予選のシード校に選ばれる。
「こいちゃんはどないなんの?」

あっくんがコーラを一気飲みほして言った。

今回の公式戦出場は県大会のみの実験的特例だった。
と言う事は次の近畿大会にはこいちゃんは出れない。
「どんぐり」にいた全員がそれに気付いた。

「私は県大会に出れただけで満足してるよ」

「それではあかん!県大会止まりやったら、夏も勝っても甲子園行かれへん」

僕の勢いにこいちゃんは目を真ん丸にして驚いた。

「うっちゃんの言う通りや、県止まりじゃ意味ない」
斎藤もまた、勢いよく言い放った。

みんな考える人の様に黙った。

僕たちが頭を抱えている頃、大人達もその事で動きだしていた。

美香石高校としては初の決勝進出。

30人から一気に100人に膨れ上がった野球部

この半年で環境は目まぐるしく変わり、それに比例するかの様に僕たちも強くなった。

こいちゃんがスタメンでセカンドに居るのが当たり前になっていた。

決勝は持てる力の全てでぶつかった。

相手は強豪、報国学園。

甲子園の常連校で今大会も左腕の山崎を要して勝ち上がって来た。

我が美香石も斎藤と大会No.1の守備力でそれに対抗。
守備力に加えて打撃もかなり向上していた。

現に僕ですら、今大会先頭打者ホームランを含む3ホーマーを放っていた。

話題のこいちゃんは打率が4割を越え、犠打に関しては100%の成功だった。

しかしながら、甲子園を何度も経験している報国学園はうちより一枚も二枚も上手だった。

試合は相手のペースから抜け出せずに3対1で敗れた。

試合後、監督から近畿大会でのこいちゃんの処遇について話しがあった。

結果は近畿大会出場はダメだと言う事

しかしながら夏の大会に関してはは考慮し検討するという事だった。

僕たちは少し不満を感じた。

しかし、この春の美香石の旋風はすでに春の嵐の様に世間を巻き込んでいた。












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