すれちがいの始まり
「…和葉…。」
「和葉ちゃん!」
平次が和葉に振り向いた瞬間、門の向こうから勇登もやって来た。
和葉はパッと平次の腕を離すと、驚きながら勇登に話し掛けた。
「なんでここが?!」
「…びっくりした?改方学園って有名だから、場所聞いて俺でもすぐに来れたよ?」
和葉に説明すると、なにやら視線を感じたのか勇登は平次の方を向いた。
すると平次が、勇登を凄く睨んでいる。
「あ…!…お邪魔だったかなっ?」
笑いながら話す勇登に、平次はそっぽ向き一人帰って行った。
「…ほな帰るわ。」
「あ!平次、待っ…」
和葉が平次を止めかけた時、和葉は勇登に腕を持たれ止められた。
「えっ?」
「…今は行かない方がいいよ。服部君も素直になったらいいのにね…。」
勇登は平次を見ながら和葉にそっと言った。
「(平次……。)」
和葉が今にも泣きそうな顔をした時、和葉の目の前に長方形の紙が見えた。
「……え」
「あげる☆」
勇登は人指し指と中指の間に、宝塚のチケットを持っていた。
「これ…。」
「服部君と行って来なよ?」
と言うと、勇登はチケットを二枚和葉に渡した。
「…いいん…?こんな大切なモン…」
「うん、いいっ!」
和葉はチケットを見ると、満面の笑みで勇登に礼を言った。
「おおきにっ!」
「えっ?うん…。」
すると、勇登の胸がドクンと鳴った。
「(ヤベェ…)」
次の日の昼休み。
『平次へ!
昼休み、絶ーっ対に屋上に来てな!
来ぉへんかったら平次がヨダレたらして寝てる写真、学校中にバラまくしな!
和葉』
四限目が終わると平次の携帯にこんなメールが届いていたので、平次は昼休みに屋上へ行ってみた。
「…こんな所に呼び出しよって…。なんやねん…」
「平次ーっ!」
階段の音がしたと思ったら、和葉がやって来た。
「なんや?俺、掃除係で忙しいのやけど…」
「すぐ終わるってぇー!」
と言うと、和葉は宝塚のチケットを取り出した。
「これ!もらったんやけど、一緒に行かへん?」
平次に向かい、優しい笑顔で聞いてくる和葉。しかし平次の脳裏には勇登の顔が浮かび上がり、またもや心とは違う言葉が出てしまう。
「いらんいらん!俺はそんなん興味ないさかい、パスや!」
平次は屋上の階段に向かいながら、和葉に背を向け話す。
「せやったら、どっか違うとこでもいいし行こうや!」
「じゃかあしぃ!!しつこいんじゃ!嫌ゆうとるやろ!!」
"ビクッ"
平次の断りに、和葉は少し体が震えた。
「あ…」
平次はきつく言い過ぎたと和葉に近寄るが、和葉はうつ向き話した。
「……やっぱり平次は、アタシのことなんかどうも思ってへんのやね……」
横を通り過ぎる和葉の涙が、平次の頬に当たった。
「(和葉……)」
平次はおもいっきり叫び引き留めたかったが、声が出なかった。 |