両想い
「(勇登君……。)」
和葉は目をつむったが、唇が触れ合う直前で反射的に手を前に出して拒否してしまった。
「…和葉…ちゃん?」
勇登も目を開け、不思議そうな顔で和葉を見た。和葉は泣きそうになりながらも、勇登に自分の正直な気持ちを伝える。
「…あんな、アタシ、やっぱり……平次しかアカンねん…。平次に嫌われててもええから……平次の側におりたいねん…。やから…勇登君とは……」
「…やっぱりね…」
「へ?」
相手の意外な一言に、和葉はびっくりした。
「…和葉ちゃん、オレといる時は服部といる時みたいに楽しそうじゃないもん。それを承知でオレもここに誘ったんだけどさ…。」
「勇登君……。」
「まっ、服部に取られる前に、無理矢理和葉ちゃんを奪おうとしてたのかもな、オレ。ごめんな…。」
勇登は真剣な眼差しで和葉に話し終わると、和葉から指輪を受取りしまいながら苦笑いで話した。
「ハハハ…分かってたんだけどな…。和葉ちゃんの相手は、服部しかいないんだよな。」
「…ありがとうな。アタシ、告白されたん初めてやねん☆」
「和葉ちゃん…。……ねぇ、服部はさ、今東京の工藤新一宅にいるんだって!行ってあげなよ?その気持ち、服部にぶつけてきな?」
勇登は自分がショックを受けながらも、和葉の幸せのことを想い服部のことを話した。
「平次、今東京におんの?」
「…みたいだぜ。」
「じゃあ……アタシ今すぐ行って来る!!ありがとう!!」
和葉はそう言うとベンチから立ち上がり、自分の鞄だけを持って一人トロピカーナランドを飛び出して行った。
勇登はそんな和葉を見送り、一人呟いた。
「あーあ。夜なのに本当にこれから行っちゃうのかな?……服部、和葉ちゃんを幸せにしろよ。泣かせたりしたら、次は本当にオレが奪っちまうぜ…。」
「あーー!!暇やー!!テレビもなんもない!眠たないし寝られへんやんけ!!!」
一方平次は、勇登との電話の後から部屋をウロウロしたりやけ食いをしたりで、和葉のことを考えすぎてなかなか落ち着けないでいた。
「…工藤んとこに行ったろか。いや…またからかわれるな…」
ソファーに座り携帯を持ったり机に置いたりしていると、インターホンが鳴った。
"ピンポーン"
「誰やこんな時間に……!」
平次はドアを開けようとしたが、コナンに言われたことを思い出し立ち止まった。
『いいか?チャイムが鳴ったら気を付けろよ?奴ら(黒の組織)の可能性があるかもしれねーからよ…。絶対、確認してから出ろ!…確認ナシにドアを開けて、銃で撃たれても知らねーぞ。』
「あ、せやった。」
そして平次は恐る恐るドアについている穴を見た。すると、大粒の涙を流し一人立っている和葉の姿が見えた。
「和葉っ?!」
平次はすぐさまドアを開けた。
「へ……いじ…」
「お前一人で来たんか?!もう11時やぞ?!」
そう。今は夜の11時だ。和葉はあれからすぐJRに乗り、ここまで来たのだ。
「だって……」
「とにかく、あがれや…」
平次は和葉の肩を持ち、家の中へ誘導した。
「…落ち着いたか?」
「うん。おおきに…。もう大丈夫やでっ!」
和葉はココアをもらい飲み干すと、元気に返事してみせた。
そして平次は和葉の隣に座った。
「どうしたんや?」
「あんな……。アタシ勇登君に告白されたんや。」
「えっ…?!」
平次は自分の恐れていたことを聞き、固まってしまう。そんな平次に、和葉は優しく喋りかけた。
「でもな!アタシ、断ってん!そしたら、平次がいるとこ教えてくれはったから、来たんやで?」
「…明日でもええやないか…。こんな夜遅ぅに…」
平次は心配しながら和葉を見ると、和葉は平次にもたれた。二人の肩が触れ合う。
「かっ、和葉?」
平次はいきなりの行動に、少し動揺している様子。
「アタシな…、アタシ、平次のことが……」
「和葉…。………ん?和葉?」
突然体重がかかったので、平次は肩を持ち和葉の体を自分に向けた。
「……なんや…、寝てんやないかい…。」
「スー……スー…」
昼間は遊園地で遊び、それから東京まで来たのだ。疲れるのも無理はない。
「……おやすみ。…和葉?俺もお前のことがな……」
寝ている和葉に言いかけると、平次は和葉をベッドに運び、自分も隣のベッドに寝た。
「…和葉のこと、めっちゃ好きやで。」 |