ついに「九十九」も99話か〜。
(*:.;゜;益;゜;)なんか嬉しいよ。
< 虫玄武兜丸ジョニー・3 >
乗り物酔いでもしたかのように視界が揺れる虫玄武は、その目を覚まさせる為に手の平で鉄兜をポンポンと叩いた。
自分が立ち上がるのを待つ余裕の敵を前に、強く刀を握り締める虫玄武。
少し離れた後方では、同じ一家の蛾蝶姫が何時もように眠たそうな目で、こちらをぼんやり見ている。
情けない勝負は出来ない。
あんな小娘の妖怪に、馬鹿にされるような戦いは見せられないと思う。
虫玄武は鎧武者の格好をしているのは、これでもサムライの端くれだったからだ。
昔は人間だった。
侍と言っても、田舎の大名に仕える百姓侍。
普段は田畑を耕し、戦が始まると徴兵される。
そして、戦で手柄を上げて、この鎧を主君からいただいた。
しかし、どこでどう間違ったか、今はヤクザ物の妖怪の下で子分をやっている。
それは、一七五の親分が妖怪でありながら豊作の神をやっているからだ。
死した後に、魂を何故かカブトムシの妖怪に取り込まれた虫玄武。
だが、男の意地と、侍としての誇りが、カブトムシの妖怪を逆に取り込み、虫玄武兜丸という妖怪となった。
そして、訳も分からず落武者の如く無残な死体が転がる戦場を、徘徊しているところを一七五に拾われた。
一七五の親分には、恩がある。
人から妖怪に外れた自分に、妖怪としての生き方を指南してくれた。
男としての道を示してくれた親分に。
百姓侍だった自分には良くわかる。
豊作の神のありがたさが。
一七五の親分の片目と片手を奪った春婆怒。
何故、一七五の親分が、春婆怒との決着を躊躇するかは分からない。
だが、一度刀を交えた以上は、一七五一家の看板に泥は塗れない。
妖怪にだって誇りがある。
それを教えてくれた一七五の親分の為に……。
立ち上がった虫玄武が、目の前の宿敵を睨みつける。
タケシは、右腕をグルグル回しながら肩の関節を解すと、わざとらしく虫玄武に、自分の絶好調をアピールして見せていた。
刀を両手で翳す。
虫玄武が構えを変えた。
剣術で言う、上段の構え。
「な、ならば、これならどうだ!」
そう言う虫玄武の兜に生えているカブト虫の角から、バチバチと電気が放電し始めると、翳した刀へと電撃は移って行く。
「喰らえ!、サンダーボルトスラッシュ!」
兜の角から放電された電撃が日本刀に宿る。
虫玄武は、昔のアニメの技のようなネーミングと共に刀を振るうと、電撃攻撃が光の速さでタケシを襲う。
「ぐわぁぁぁぁ!」
虫玄武の刀から打たれた雷撃が、イカヅチとなってタケシの体を捕らえると、幾つものスパークが、火花の如く弾け熱い衝撃となってダメージを与えた。
タケシの体が、火花と共に後方へ弾かれるように飛ぶ。
ドスンと音を立て背中から土の上に落ちると、電撃を喰らった黒緑色の体からは、焦げた臭いと白い煙を出していた。
予想以上のダメージに、のた打ち回るタケシ。
「ぐはははは、もう一発喰らいやがれ!」
倒れたタケシが起き上がるのも待たずに、虫玄武は更なる攻撃準備に入る。
額の角から電撃が生み出され刀を伝わり激しい音を立てた。
そして、生み出された電撃が、容赦なくタケシに向けられ放たれる。
「サンダーボルトスラッシュ!」
「くはぁぁ!」
二発目の電撃を喰らったタケシは、火花を散らしながら地面の上を転がった。
「タケシ!、大丈夫かぇ!」
地面に倒れこむタケシのプロテクターから、うっすらと白い煙が上がり、筋肉が小刻みに震えているのが分かった。
「畜生……、飛び道具とは卑怯な……」
両手を地面につき、腕立て伏せをするように体を起こすタケシは、いきなりの電撃攻撃に非難の声を漏らす。
ダサイ名前の技だが、案外やっかいな技だ。
間合いも広い、スピードも速い、威力も高いの三拍子が揃っている。
「俺様は、男の子達のアイドル、カブト虫が変化した妖怪なんだぜぇ。電撃攻撃ぐらいしても当然だろう!」
「そ、そうだよな……」
膝立ちになったタケシが、虫玄武の台詞に納得しながら答えたが……。
そんな事は無い…………。
カブト虫は関係無いと春婆怒は思っていた。
「タケシ、立てるかぇ?」
タケシは煙が上がる体で「ああ、まだまだ行ける……」と力無く言いながら、ゆっくりと立ち上がった。
「こうなったら、しかたがね〜……。春婆怒、ウェポンモードだ」
事が早くなる上に自分の出番がやっと回ってきたと、心の中で微笑む春婆怒。
「やっと決心が固まったかぇ」
タケシが開いた手を突き出す。
「ハルバード・ウェポンモード!」
タケシの突き出す手の中に緑色の風が集まると、鋼の槍へと変わっていく。
「決心が固まったんじゃあねえよ。決心が揺らいだんだよ……」
そう、タケシは素手での戦闘を諦めたのである。
「しかたねぇ〜から、派手に行かせてもらうぜ……」
ふざけた戦いを繰り広げているように見えるが、目の前の鎧武者の妖怪は、武器を使用しなければ危険なほど強敵である証拠なのだ。
「刀と槍の戦いか、面白い!」
電撃を額の角から放電している虫玄武が、剣先をタケシに向けて叫ぶ。
敵の本気が嬉しいのか、虫玄武の声には戦いを楽しんでいるような物が感じ取れた。
それに答えるように、タケシも槍を片手で持つと、槍の刀身を虫玄武に向けた。
「やっぱ、お前は最高だぜ!」
「お前こそ、良い男だょ!」
互いの言葉は、仕切りなおしを意味していた。
再び男同士のぶつかり合いが始まる。
二人はそれを、身をもって楽しむつもりだ。
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