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とりあえず、気長に遣りたいと思います。

誤字や読みにくい文章も多いと思いますが、お付き合い願います^^

自分で文章を何度見直しても、脳内で「こう書いた」と決め付けまったく見えてきません。ほとんど病気ですわ^^;


08/9/03時点、3000アクセス突破。これもお読みいただいてる皆様のおかげです^^
第一話 春婆怒(はるばど)
 一台の黒いバイクが舗装された峠道を駆け抜けて行く。

 黒い車体に黒いライダースーツの人物の後方を、赤いライダースーツを着た人物が赤いバイクにまたがり、少し離れて追いかけるように走っていた。

 急なカーブやクネクネしたS字などが多い峠道は、トンネルに入る以外に真っ直ぐな道は少なく、しかもガードレールの無いカーブも少なくはなかった。

 だが、時折切れているガードレールの向こうには素晴らしい自然の山々がうっすらと雪を残した絶景となって広がっていた。

 景色を楽しみながらバイクで走るには、もってこいのツーリングコースであった。

 しかし、その景色の中には、殆ど建物らしい姿は見当たらず、ここがかなり人里から離れた峠道だということを現していた。
 
 二台の黒と赤のバイクは、そんな峠道をのびのびと走り抜けて行く。
 
 前を走る黒いバイクの乗り手は、黒いフルフェイスをかぶり黒いライダースーツの黒ずくめだった。

 そのライダースーツがはち切れんばかりに盛り上がり、相当量の筋肉で引き締まった体格から、かなり体を鍛え上げられた男性の物だと見て分かった。

 バイクのハンドルを握る手も大きく腕も太い、急なカーブを曲がる際にアスファルトにすりそうになる膝に繋がる太股や脹脛も、一流のサッカー選手のように太く鍛え上げられていた。

 その男性の後を追いかけるように走る赤いバイクの乗り手は、前を走る男性と比べて明らかに小柄でしなやかなボディーラインをしており、そのスレンダーで魅力的な体型から女性だと見てとれた。

 二台のバイクは目的地が一緒であった。

 『直進 国道○号線、右折 春婆怒村』と書かれた看板を通り過ぎると、看板に従うように春婆怒村方面へと次々と右折して行った。




 『春婆怒村』 

 人口百二十三人。

 電車は、朝、昼、夜の一日三本。

 バスに関しては一日に行きと帰りの一本ずつしか来ない。

 春婆怒村人は、老人を多く過疎化が進む小さな農村である。


 この村には、古くからの言い伝えがあった。

 山姥伝説。

 春になると山から長槍を持った鬼姥が降りてきて、人を食らうといった話であった。

 昔話には良くあるような言い伝えである。村の名前が『春婆怒村』というのも、この言い伝えから来ているのだろう。


 そして、この人里離れた山奥の小さな農村で、五十年前、世間から注目される大事件が起きた。


 それは、神隠し……。


 村人7人が行方不明。その内、女性一人の遺体のみが発見されたが、残り6人は行方不明のままだった。

 この奇怪な事件に飛びついた者達が居た。それはマスコミ。

 しかし、いつの時代もマスコミとは、勝手な物だった。

 村人達の気持ちを考えず、事件を面白おかしく煽り立てるように記事にした。

 マスコミは、伝説の残る小さな村での事件を、『現代に現れた鬼婆事件!』と名付けて、可憐なまでの背鰭尾鰭が付いた記事を書き上げて世間の話題を誘ったのであった。

 しかしマスコミの期待は大きく外れることになる。事件は、それ以上の被害者を出さず、何も起きずに沈黙したのである。

 そして、マスコミの煽りを受けて重い腰を上げ動き出した警察の調査も、真相究明にまでは到らなかった。

 事を煽ったマスコミの者達も、劇場化する事無く沈黙を続けた事件にたいし、話題性を維持できなくなると、新たなる不幸を求めるように全国へと散って行った。

 そして月日は流れ過ぎて行き、人々の好奇心を煽った連続失踪事件は警察の資料上で時効とされると、多くの謎を残したまま迷宮入りしていった。

 今ではこのような事件があった事すら覚えている者は少ない。

 ただし、村の者達を除いての話だが……。

 黒と赤のバイクは、そんな過去を持つ小さな村の農道を駆け抜けていく。

 辺りは氷の張った田んぼばかりで、時折遠くに古臭い民家がちらほらと見えるのみだ。

 人口は少ない村だが、敷地面積だけなら大きな町にも負けない広さである。

 二台のバイクは連れなって一軒の古びた農家の敷地内に入って行った。

 雪囲いの為に藁縄で縛られた垣根の横を通り過ぎて、立派な和風の庭に挟まれた石畳の上をバイクで乗り入れた二人は、やたらと高額そうな彫刻が施された玄関先にバイクを止めた。

 二人の乗り手達は、エンジンを停止させるとバイクから降りた。

 そして黒い男のほうがフルフェイスのヘルメットを取ると、長旅の疲れから大きなため息を一度だけ吐いた。

 それから被っていたヘルメットを、乗っていたバイクのハンドルに引っ掛けると、片手で前髪をかき上げる。

「ふぅ〜〜〜」

 黒いライダースーツの男を見て、赤いライダースーツの女性は、爽やかな笑みで男に話しかけた。

「やっと到着したね、タケちゃん」

「バイクで七時間、休憩しながらとはいえ流石に疲れるな。だから電車で行こうって言ったんだよ」

 男が不機嫌そうに愚痴るが、女性のほうは気にもしていない様子だ。

「私ってばやっとバイクの免許取ったのよ、こんな機会でもなきゃ、お父さん達がツーリングの旅なんて許してくれないんだもん」

 バイクから降りた二人は、そんな会話をしながら農家の玄関へと向かって歩いていった。

 するとバイクのエンジン音を聞きつけたのか、家の主が古風な作りの玄関をガラガラと開けて顔を出した。

「おう、タケシか、遅かったな」

 玄関から顔を出したのは大柄の老人だった。

 顔に刻まれた年輪の様な皺の数から、年の頃は七十歳ぐらいだろうか、声からしても其のぐらいの年齢が予想できた。

 しかし老人とは思えない大きな体。身長は身を屈めなければ玄関に頭をぶつけそうなほど高い。

 それだけではない、その体格は黒いバイクの男と比べても見劣りしないほどに鍛え上げられていた。

「あぁ、陽子お嬢様のわがままに付き合ってたら、時間を食っちまったんだよ」

「おお、陽子ちゃんか、よく来たな」

 大柄の老人に、バイクでやってきた青年が挨拶の代わりに言い訳をしていた。 

 その後ろで、お嬢様と呼ばれたボーイッシュな少女が「はぁ〜〜い」と大柄の老人に小さく手を振って挨拶をする。

 髪は短いがサラサラとした水々しい艶が有り、スマートな顔立ちから宝塚の男役が良く似合いそうなイメージであった。

 そんな少女に老人は、笑顔を作って答えた。

「タケシよぉ、正月もお盆も帰って来なくていいが、婆さんの命日だけは欠かすな」

 老人の声は、萎れているが渋い声であった。青年にそう言うと大柄の老人は、玄関の奥へと姿を消して行く。

 その後に続いて、二人の男女も家の中へと並んで上がって行った。

 古びた板作りの廊下を歩いて行く三人。時折だが床が三人の重みでギシギシと音を立てる。

 青年と少女の前を歩む老人は、顔こそ七十代の老人なのだが、後ろを歩く青年よりも身長が高かった。

 身長は百九十から百九十五センチは有るだろうか。

 まだ、若干だが雪の残る季節だというのに老人の上半身は、白いTシャツ一枚であった。 

 そのTシャツから見える老人の腕の太さ、胸板の厚さ、幾つにも割れた腹筋、引き締まった一つ一つの筋肉が、七十代の老人の物とは思えないほど鍛え上げられており、普通の人間とは比べ物にならない代物であった。

 とても農作業だけでは、この老人離れした肉体は保てないだろう。

 下手なボディービルダーより明らかにマッチョであり、今でもオリンピックに出場したのならば、メダルが一個や二個は取れるのではないかと思わせる程であった。


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