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第9話 金色の蜘蛛
しばらくすると


脳天を


したたかに


打たれて


気を失っていた男の意識が


戻ってきた。


うつろな目を開いて


しばらく


キョロキョロ


見回していたが、


だんだん


意識がはっきりしてくると、


不意打ちでやられたことを


思い出した。


そして


手下達の見ている前で


あっけなく


ぶざまに


やられてしまった屈辱感が


怒りとなって


込み上げてきた。


「くっそー」


ボッ


と炎のオーラが


噴き上がった。


ふらふらしながら


立ち上がって


大烏おおからすのほうに向き直ると、


どうやったら倒せるのか


考え始めた。


さっきは油断して


簡単にやられてしまったが、


しかし


相手は思ったより手ごわい。


正面からでは


かなわないかも知れない。


みんなが見ている中で


再び


負けるわけにはいかない。


何が何でも


勝たねばならなかった。


コウモリ男は剣を持つと


卑劣にも


忍び足で


大烏の背後に


回って行った。


大烏は


それに気づいているのか、


いないのか、


寝袋の男の霊子線を


修復している


金色の蜘蛛くも


動きを見つめている。


コウモリ男は


相手が


他に気を取られているのを


いいことに、


一刀両断の


チャンスとばかり、


うす笑いを浮かべながら


真うしろへ回った。


大烏は


まだ気づいていない。


コウモリ男は


そーっ


と剣を振りかぶって


腰を落とすと


電光石火、


「だあっ」


と飛びかかった。


途端、


大烏の目が


クリッ


と動いた、


瞬間


頭が


鋭く回転した。


剣を振り下ろしたところを


高速で回転して来た


固いくちばしが弾いた。


カキーン、


音がしたと思うと


コウモリ男が


剣もろとも


風車のように


クルクルッ


と回って


下へ落ちた。


そこは百戦練磨の


地獄世界を


生き抜いて来た男だ。


落下しながら


くるり


と体勢を立て直して


スタッ


と着地した。


どんなもんだ。


コウモリ男は


釣り上がった


冷酷な目で


顔を引きつらせて笑った。


なかなか


しぶとい奴だ。


簡単には引き下がらない。


次に何をたくらんでいるのか、


かまえも見せず、


不意に


「ピュッ」


と音をたてて


剣を横にはらってきた。


今度は


足をねらったのだ。


大烏は


ふわっ


と飛び上がってかわすと、


突然


バシーン


ゆか


(つばさ)を叩きつけた。


強烈な衝撃波が


爆弾のように、


あたりいちめん


取り囲んでいる


黒い影の一団と


こうもり男を


()()みじんに


砕いてしまった。


すべての


黒い軍団が


跡形もなく姿を消すと、


再び


もとの静寂が


戻ってきた。


金色の蜘蛛は


傷口を(ふさ)いだ後、


霊子線(れいしせん)をたわませると


心臓との間に


糸を張って


金色に輝く蜘蛛の巣を作った。


そして、


その真ん中に


ちょこんと


陣取った。


寝袋の男は


すっかり


元気を取り戻していた。


「観世音菩薩をとなえれば、


救いの手は


差し延べられるが、


観音力を


使いこなすには


注意しなければ


ならないことがあるのだ。」


大烏が寝袋の男に


静かに語り始めた。


くちばしが動いていない。


「これも


テレパシーだ。」


不思議な興奮を覚えて、


食い入るように


凝視しながら、


私は聞き耳をたてた。


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