白道寺 (びゃくどうじ)(27/74)縦書き表示RDF


白道寺 (びゃくどうじ)
作:ジッテル



第27話 人質


霊の世界には距離や時間は有るような無いような、あまりハッキリしていないがあるらしい。

サイボーグ隊はアルタミラのいる位置を指定されると瞬時にその場所へ到着した。

突然現れたサイボーグ隊に、 ザリエルロは一瞬驚いて目を見張った。 

いつも曇っている暗黒の意識を通して見ているザリエルロには、あまり明確に物事を

把握出来ていない部分が多かったのだろう、油断すると遅れを取ってしまうのだ。 

が気を取り直すと即座に

「戦闘体制をとれ」 

と命じて

「そいつが逃げないようにつかまえておけ。」 

と側近の兵士に指示をだして、アルタミラを暗黒軍の兵士達の中へ逃がさないように

紛れ込ませて隠してしまった。

「人質を解放しなさーい。 人質を解放しなさーい。」 

笑った顔のサイボーグが横に展開した陣形で人質解放をうながして呼びかけていたが、

ザリエルロは無視して動かなかった。 

お互いにらみ合ったまましばらく時間がたった。 

ザリエルロは無表情なサイボーグの笑い顔にだんだんイライラしてきて、腹が立って

我慢が出来なくなってしまった。 

そして、それが耐えられなくなって、

「攻撃ー」

イライラが高じてザリエルロが叫んだ。

「ウオー」 

兵士達が武器を構えてサイボーグ達に攻撃を始めると真っ黒なスモッグが兵士達の霊体から

噴出しだしてあたり一面が暗くなってきた。 

凶暴凶悪な嵐のような念力が渦巻いて、兵士達の間に取り囲まれているアルタミラは気分が

悪くなり、吐き気をもよお催してうずくまってしまったが、兵士達はアルタミラを乱暴に

引きずり回ますことをやめようとはしなかった。 

ずーっと、このままいつまでも解放されなくて、幾度も切られて殺されてひどい目に

会わされ続けるのではないか、という不安と恐怖の妄想にアルタミラはさいなまれて

自由に体を動かせないほど心と体が硬直していた。 

暗黒軍とサイボーグ隊の壮絶な戦いが繰り広げられていて、ザリエルロの脇でサイボーグと

戦っていた暗黒兵が切られて体が前のめりに倒れるときに、兵士の剣先が地面に向かって

突き刺さったが、ちょうどそこにサイボーグの右足が出ていて、その足の甲を剣が貫いて

しまった。

サイボーグは兵士の意識を読んでいたが無意識の動きは読めなかったために足に剣が来る

とは予測がつかなかったのだ。 

活発に動き回っていたサイボーグの動きがパタッと止まって、グラリと仰向けに倒れたまま

動かなくなってしまった。 

サイボーグの右足の甲の中にはエネルギーを受け取り、情報を送受信する装置が

組み込まれていたのだ。












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