白道寺 (びゃくどうじ)(25/74)縦書き表示RDF


白道寺 (びゃくどうじ)
作:ジッテル



第25話 捕虜


チャンスン隊がバリアの裂け目を見つけて突入して行くと、イシン隊もそこから突入を

始めた。 

博士達のまわりにいる護衛のサイボーグ達がイシン隊の攻撃に備えて戦闘体制に入っている。

アルホンス技師は死にもの狂いで走った。 

階段も何段跳びだかでかけ上がり、ぼんやりしているアルタミラの脇を走り抜けて、火花を

散らしている基板を外そうとした。 

アルホンス技師は肉体から離れてだいぶ年月が経っているためか肉体意識が希薄になって

いるらしく、息切れはしていなかった。 

基板は継ぎ目が無くなる特殊な接着剤でつけてあるので、その接着剤を溶かす特殊な溶剤を

塗って剥がすのだ。  

アルホンスが持って来たチューブ状の容器から揮発性の液体が出てくる。  

これは揮発してしまうと効力を失ってしまうので手早く作業しなければ交換が出来ないのだ。

アルホンス技師は溶剤を継ぎ目に沿ってグルッと塗り終えるとスポッと基板を抜いて、すぐに

新しい基板をはめ込んだ。 

溶剤が揮発してしまう前にはめ込めば、塗ってある接着剤が効いていて再び完全に接着して

しまうのだ。 

チャンスン隊が武器を構えながら階段を上がって来た。 

そして廊下を進んで来る。 

バリア発生室の前でぼんやりしているアルタミラを見つけると先頭の兵士達がいっせいに

走って来て、剣を振り上げてアルタミラを斬ろうとした。

「待て、生け捕りにしろ」

チャンスン小隊長が止めた。 

兵士達がいぶかって振り返るとチャンスンが

「ザリエルロ将軍が御所望だ。 捕虜にせよ。 あとの者達は部屋の中にある物を破壊

せよ。」

チャンスンはザリエルロがアルタミラを八つざ裂きにしてやりたいと思っていたことを

見抜いていて、アルタミラを連れて帰れば喜ぶだろうと思っていた。

「は、はー」 

兵士達がかしこまって答えたあと、ドッと部屋に飛び込んで行った。 

アルホンスが振り向くと兵士達が形相もものすごく、手に手に様々な武器を振り上げながら

向かって来て、アルホンスと機械に武器を振り下ろした。 

「ああっ、」 

アルホンス

は必死で部屋の隅に向かって逃げようと泳ぐように走った。 

突然

「ズズーン」

と大地と空間を揺るがす激烈な衝撃波が発生したかと思うと暗黒軍の兵士達が吹き飛ばされて

空中高く舞い上がっていった。 

アルホンスの基板が接着され、再起動が危機一発で間に合って、バリア機能が完全に

作動し始めたのだ。 

気がつくとアルタミラは後ろ手に縛られたまま兵士達と空中を飛んでいた。

アルタミラを縛っている紐が兵士の一人に絡み付いていて、それに引っ張られて一緒に空中に

飛び出したようだった。 

アルタミラはまた気を失った。 

気が付くとどこかわからないところに落ちていて、暗黒軍の兵士達もあちらこちらに

散らばって倒れている。 

「気がついたようだな。」 

声がして振り向くと甲冑姿で鬼のような形相の男が立っていた。

その背後には無数の暗黒軍の兵士達が居並んで、これからなにが起こるのかと何かを期待して

いる残忍な目がアルタミラを見ていた。












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