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八男って、それはないでしょう!  作者:Y.A
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第百三十六話 西方動乱。

「定時報告も異常なし。艦長、何もない海ばかりですな」

「そうだな、副長。だが古い記録によれば、西方には魔族の住まう国があるとか……」

「その情報、本当なのでしょうか?」

「わからない。だが、何もないという事はないのではないか?」




 穏やかな大海原を、一隻の巨大魔導飛行船が航行している。
 艦名は『リンガイア』、我らが住む大陸の名前を冠した全長四百メートルにもなる巨大飛行船だ。
 現在この船は、王都から出発して西方海域の調査を行っている。

 リンガイアは大分昔に古代魔法文明時代の地下遺跡から発掘されたが、つい最近まで運用ができなかった。
 それは、動力源となる巨大魔晶石が確保できなかったからだ。

 他にも、この巨大な船体を支える装甲材なども不足していた。
 どうやら修理、整備途中だったようで、発掘時にはかなりの外部装甲が外されていたのだ。

 このままでは就役は不可能、そう思われていた時に奇跡が起こる。
 王都へと向かう魔導飛行船の航路上に半ば伝説扱いになっているアンデッド古代竜が出現、それを若干十二歳の少年が討伐し、回収された魔石からこの船の動力源となる巨大魔晶石が作られた。
 不足していた装甲材の材料も、アンデッド古代竜の骨から十分な量が取れた。

 何とも都合のいい話に聞こえるが、私達はその少年がアンデッド古代竜を討つ現場に居合わせている。
 私と隣にいる副長は、ただ魔導飛行船で逃げ回っていただけだがね。

「あの時の少年が、今ではバウマイスター伯爵様ですか」

「あのアンデッド古代竜退治が終わりじゃなくて、始まりだったようだな」

 あの事件からバウマイスター伯爵様の大躍進が始まったわけだが、なぜか我々もその恩恵を受けているような。

 なぜなら、私コムゾ・フルガがリンガイアの艦長に、長年の相棒であるレオポルド・ベギムが副長に任命されていたからだ。

 魔導飛行船の船員は、元々空軍の軍人も兼ねている。
 あの事件で船を守った功績により、我々がリンガイアの船長と副長兼西方調査団の団長と副団長に任じられたのだ。

「逃げ回っていただけで、この巨大魔導飛行船の船長と副長ですからね。我々は」

 破壊されれば、現時点で建造が不可能な魔導飛行船を守った。
 功績といえば功績だが、それもバウマイスター伯爵様やブランターク様がいての事だからな。

 運の要素が大きいが、一応功績ではある。
 我々がリンガイアの船長と副長に任じられた時、他の艦長連中は羨ましがっていた。
 『運がいいだけじゃないか!』と言う奴もいたが、実際にその通りで反論のしようもない。

 他の艦長でも、ブランターク様の『魔法障壁』があったから無傷で逃げ回れただろう。
 本当にただ運がよかっただけさ、我々は。

「プラッテ伯爵家の御曹司が五月蝿かったですね」

「我々に言われてもな。人事担当に言えよって思うよな」

 空軍にも、代々空軍軍人を生業とする貴族家が多い。
 ただ、空軍ってのは実力本位な世界だ。
 ヘボが貴重な魔導飛行船を運用して墜落でもさせると問題なので、平民でも実力があれば出世できる。
 我々がその最たる例だ。

「あの御曹司、我々がバウマイスター伯爵様の推薦でこの役職に就けたと思っているようですよ」

「被害妄想の類だな、それは」

 アンデッド古代竜を倒したバウマイスター伯爵様達が港に降りてから、我々は一度も顔を合せていないというのに。
 それにいくら空軍でも、現場は平民でも出世できるが、地上の管理職はお貴族様のほぼ独占となっている。
 船を任せられないお貴族様達は、そこで席を温めるというわけだ。
 書類を書き損じても、魔導飛行船は落ちないからだ。
 つまり、我々をこの船の艦長と副長に任じたのは、バカな同朋が信用できない他のお貴族様というわけだ。

 見当違いも甚だしい。

 お貴族様という言い方は、空軍で我ら平民出身者達がよく使う暗語だ。
 空軍に所属している、鼻についたり、役に立たないお客様な貴族の事を差す。

「第一、バウマイスター伯爵様は空軍閥でもないのだから口を出せないだろう」

「領地開発利権の絡みで、口を出せると思っているようですよ」

 確かに、それはあるかもしれない。
 バウマイスター伯爵様の領地は、現在急速な勢いで発展している。
 いくら物資や人を運んでも間に合わない状態だ。

「アンデッド古代竜退治の後も、パルケニア草原地下遺跡での戦果もあるじゃないですか」

「それもあったな」

 運用可能な魔導飛行船がほぼ倍に増えたし、地下遺跡は現在では空軍の本拠地になっているからな。
 空軍のポストは倍以上に増えて、魔導飛行船の運行ルートを増やして訓練も順調、輸送網の強化によって王国経済は上向いてる。

「空軍のお偉いさん達、バウマイスター伯爵様に頭が上がらないのと違うか?」

「でしょうね。それに、あの方はあまり空軍の事に口も出さないようで」

「そうなのか?」

 副長、よく調べてきたな。
 そんな情報。

「『バウマイスター伯爵領への定期便をできる限り増やして』としか言わないそうです。人事に口なんて出しませんし。『俺は空軍の事なんて知らないから、プロであるそちらに任せる』だそうで」

「空軍の司令官、涙流して喜んだだろうな」

 世の中には、碌に勉強もしていない癖に知ったかぶりして口を出す身分の高い人がいるからな。
 あれは、本当に対応に困るのだ。
 しかし、バウマイスター伯爵様はお若いのに弁えているというか。
 アホな陳情を垂れ流す貴族連中は、あの人の爪の垢でも煎じて飲めばいい。

「何よりも大切なのは、重要な天下り先になるそうで……」

「天下り先?」

「ええ、バウマイスター伯爵領って未開地だったじゃないですか。未発見の遺跡が沢山あって、たまに出るらしいですよ」

 たまに、中・小型の魔導飛行船が出土しているそうだ。

「一定数は王国政府というか空軍が買い取りですけど、認められた隻数は領内で運用可能でしょう?」

 大物貴族なら領内で運用している家も多いし、数名の小貴族が共同出資で運用しているケースも多い。
 この場合、船を動かす人材は元空軍の軍人を用いるケースが多い。
 各貴族家でも独自に教育もしているが、船乗りを育てるには時間とお金がかかるからな。

 経験者を雇ってしまった方が安くつく事が多いというわけだ。
 後進の教育もしてくれる。

「バウマイスター伯爵領でも、王国政府から認められた隻数の小型魔導飛行船の運用を始める計画だとか」

 となると、ゼロからの運用スタートか。
 最初は天下りの人材で人を揃えるしかないな。
 独自に船を動かす家臣家の創設もあって……余っている子供を送り出したい貴族は多いだろうな。

「空軍のお偉いさん達、ますますバウマイスター伯爵様に頭があがらないな」

「でしょうね」

「あれ? なら、どうしてプラッテ伯爵家の御曹司はご機嫌斜めなんだ?」

「それは、今の空軍司令がヴァイツ侯爵だからではないかと」

 空軍のトップである司令官職は、幾つかの侯爵家と伯爵家の持ち回りとなっている。
 数年で交替するのだが、たまたまヴァイツ侯爵が司令の時に美味しい話ばかりが舞い込んだ。

 プラッテ伯爵家からすれば、面白くないわけか。

「貴族ってのは本当に面倒だな。私は平民でよかったよ」

「ですよねぇ。心からそう思います」

 空軍で艦長と副長になれる人間は、下手な下級貴族よりも実入りがいいからな。
 勿論総収入では負けるが、貴族じゃないから面倒な付き合いもないし、天下り先にも事欠かない。

 大型魔導飛行船の艦長は、五十になれば肩を叩かれる仕事だ。
 それだけ心身ともに激務だから仕方がないのだが、天下り先で小型魔導飛行船の艦長ならもう十年から十五年はやれる。
 船を降りても後進の指導ができるから、天下り先で若い連中に教えながら第二の人生をすごすのも悪くないというわけだ。
 特殊技術職だから、給料もいい。

「私も退役したら、バウマイスター伯爵家に厄介になろうかな?」

「それはいいですね」

 副長と随分長く話し込んでしまったが、今は何もないから問題はない。
 艦長という職は、基本的には二十四時間常に対応可能なようにしていないと駄目だからな。
 ずっと気張っていたら、神経がおかしくなってしまう。

「艦長、前方に大きな島が見えます」

「遂に、来たな!」

 私と副長は話を止めて、首に下げた双眼鏡で前方を確認する。
 見張り員の報告通りに、次第に海岸線が見えてきた。

「大きな島……、亜大陸くらいあるかもしれないな」

 昔の文献も案外あてになるものだな。
 記述どおりに、島が見えてきたのだから。

「艦長! 前方から飛行物体が接近!」

「やはり人はいたのか……」

「魔族の国だと文献にはありました」

「少なくとも、我々と同じレベルの技術力が……いや残念ながら負けだな……」

 こちらに向かってくる魔導飛行船だと思われる飛行物体は、全長五十メートルほどしかない。
 それでも二隻あり、我々の魔導飛行船とは形状が違う。
 表面はほぼ流線型で構成されていて、まるで卵のようだ。
 速度も、確実にリンガイアの倍以上は出ているだろう。
 それと、見た事もないような金属で表面が覆われている。

「帝国内戦で使われた『魔砲』で攻撃しないと駄目そうだな」

 実際に撃ってしまえば戦争になるので、勿論そんな事はしない。
 あくまでも、念のために乗組員達に警戒命令を出すだけだ。

 魔法使いもいて、もしもの時には彼に魔法を撃たせる予定になっているのだが、あの硬そうな表面装甲には効きそうになかった。

「バウマイスター伯爵様がいれば、貫通するかな?」

「かもしれませんが、まだ戦闘になると決まったわけでは……」

「当たり前だ」

 私が話をしているのは、あくまでも仮定の話だ。
 まずは、向こうと連絡を取って交渉をするのが先であろう。

「その前に、あのバカが暴走しないようにしませんと」

「そうだな……」

 あのバカとは、プラッテ伯爵家の御曹司の事である。
 能力はそれほど低くないのだが、如何せん能力以上に自分を高く見せようとする部分があって扱いにくい。
 それでも貴族家の御曹司なので、二十代半ばで副長の地位にあった。

 これだけの巨大船なので、運用上副長は二名存在している。
 二人が同じ階位だと、万が一私が指揮不能になると混乱するので、長年の相棒であるベキムの方をナンバー2格にして艦橋に詰めさせている。
 それも、プラッテ伯爵家の御曹司からすれば気に入らないのであろう。

 不機嫌さを隠しもしないで船内で任務をこなし、他の乗組員達を困らせていた。

「先制攻撃でもされると困るからな」

「いくらなんでも、艦長の命令に背いて勝手に攻撃するとは……一応気をつけておきます」

 副長が人を走らせると、さすがに命令違反を起こそうとは思わなかったようだ。
 ただ、俺は貴族なのだから俺に交渉させろと喚いていると報告が入ってきた。

「船長、頭が痛いですね」

「ああ……」

 だから、こういう時に備えて貴族を乗せておくべきだったんだ。
 伯爵でも乗せておけば、その人に交渉を任せられたのに。

 みんな、誰も知らない大地の探索なので尻込みしたのであろう。
 ならば、平民でも職責から見て私にその権利があるのだが、貴族であるプラッテ伯爵家の御曹司からすればそれが気に入らないというわけだ。

 あいつをトップに?
 冗談じゃない。
 あいつは外務閥の貴族ではなく空軍軍人だ。
 交渉権限を与えると、あいつを船長にしなければならず、それではリンガイアが遭難、墜落する確率が上がってしまう。
 これは、大きな運用上の欠点だな。
 もし無事に戻れたら、上に報告をあげておこう。

「船長、御曹司がうるさいのですが……」

「今は忙しい! 放置しておけ!」

 新しく見つかった魔族の国と、彼らとのファーストコンタクト。
 私にはわかる。
 プラッテ伯爵家の御曹司は貴族である自分がトップとなって対応し、その功績で名をあげて出世を果たしたいわけだ。
 上長に平民である私と副長がいるが、これは船の統率ではなく外交交渉なのだから、貴族である自分が前に出ると思っているのか。

 一応、私がその権限を与えられているのだがな。
 なぜ無視しようとするのだろうか?

 直接私に言いに来ないのは、それでも階級と職責は私の方が上だとわかっているからであろうか。

「私に文句を言われてもな。貴族の船長もいるのだから、そいつに任せればこういう問題にはならなかったのに」

「世の中は、侭なりませんね」

「そうだな」

 このまま愚痴っていても、何も始まらない。
 まずは、対話のチャンネルを開くべきだ。
 と思ったら、リンガイアと対峙する魔族の魔導飛行船から声が聞こえる。

「こちらは、ゾヌターク共和国軍保安庁一等警備艦『アモル』艦長ロルイヌ・ケイオス二等佐です。貴殿の船は、共和国の領空を犯しています。これ以上の侵入は拿捕と撃墜の対象となりますので、速やかなる退去を願います」

「えらく丁寧な警告ですね」

「文明国なのだろうな」

 しまったな、少し奥に入りすぎたか。
 だが、領空の設定がかなり広いようだな。

 あの魔導飛行船のスピードから見て、領空を広めに設定しないとあっという間に侵入されると思っているのかもしれない。
 実際、我らの魔導飛行船はそこまで速くないが。

「こちらは、ヘルムート王国空軍リンガイア艦長兼西方調査団団長のコムゾ・フルガです。我々は東のリンガイア大陸から来ました。情報の交換と、来たるべき外交交渉に備え、予備交渉を望んでいます」

 こちらも、魔道具である拡声器で返答をする。

 王国政府の方針は、もし魔族の国が見つかったら交易などの促進と、相互不可侵同盟の締結にあった。
 どういうルートか知らないが、王国政府はどういうわけか魔族の国の情報を持っているように感じる。
 だからこその、条約交渉なのであろう。

 相変わらず、一部の貴族達は魔族の国への侵攻を提案する者もいたが、魔族は全員が魔法使いで、ご覧の通りに魔法技術でも上回っているようだ。
 戦っても勝てないのは、誰の目から見ても明らかだ。

 第一、帝国内乱の時でも統治効率が落ちると帝国に侵攻しなかったのに、こんな遠方の亜大陸をどうやって維持するというのだ。
 戦費の問題もあるし、距離が遠すぎて大軍を送るのにとてつもない手間がかかる。
 現在、王国領内で運用している大型魔導飛行船をすべて徴用しても間に合わない。
 もし苦労して大軍を送り出しても、補給が難しいのは子供にでもわかった。
 向こうの食料事情もわからずに、現地調達でもさせる気か。
 戦況が悪くてなっても、撤退すらできない。

 貴族ってのは、名前を売りたい目立ちたがり屋ばかりいて困ってしまうな。
 先の事など碌に考えもしないで無茶を言うのだから。

「幸いにして、話し合いはできそうだな」

「お貴族様よりも理性的みたいですね」

 などと安堵した瞬間、突然ゾヌターク共和国軍の魔導飛行船から火の手があがった。
 私は、攻撃命令など出していないぞ!

「どういう事だ?」

「船長、あのバカ御曹司が!」

 火の手は、魔法使いが『ファイヤーボール』を放ったせいらしい。
 一瞬だけゾヌターク共和国軍の魔導飛行船の心配をするが、向こうの装甲が固いのと、こちらの『ファイヤーボール』の威力が低すぎて、まったくダメージを与えていなかった。

「よかったですね」

「よくない! ラーセンは何をやっているんだ!」

 ラーセンとは、リンガイアに詰めている魔法使い達を束ねている人物の名だ。
 自身も中級の魔法使いである。
 長年空軍に所属している癖に、あのバカ御曹司の命令など受け入れおって。

「いえ、ラーセンではないでしょう」

「臨時雇いの魔法使いか!」

 未知の領域への探索なので、空軍は自前の魔法使いを出し渋った。
 高額の報酬で冒険者である魔法使いを増やしたのだが、こいつがバカ御曹司の命令に従って『ファイヤーボール』を放ったらしい。

「冒険者なのが仇になったか!」

 空軍の者ならば、いくらバカ御曹司が攻撃命令を下してもまずは私に伺いを立てる。
 ところが、普段組織にいない冒険者ほど貴族に対して卑屈だったりする。
 命令系統に疑問を持たないで、攻撃してしまったのであろう。

「とにかく、あのバカを抑えろ! 向こうにも事情を説明して……」

 最後まで命令を言い終わる前に、船体が大きく揺れた。

「攻撃……じゃないな……」

「接舷されました!」

「防戦準備!」

 結局、なし崩し的に戦闘になってしまった。
 願わくば、このまま両国が戦争にならない事を祈るのみである。
 これでも、私は愛国者なのだから。





「一週間ほど前、突然定時連絡が途絶え、西方探索をしていたリンガイアは消息不明である」

「遭難ですか?」

「あの船の安定性は、従来の大型魔導飛行船などよりも上なのである。それに、艦長と副長も腕がいいのである」

「今思い出しました。俺が、アンデッド古代竜を退治した時に乗っていた魔導飛行船の船長と副長ですよ」

 今日も土木工事を終えて屋敷に戻ると、やたらと赤ん坊達の泣き声が激しい。
 何事かと思って部屋に入ると、そこには赤ん坊をあやしているつもりでも、泣かせているようにしか見えない導師の姿があった。

 暫くは講演行脚で忙しかった導師も、ようやく赤ん坊を見に来れるくらいは暇になったようだ。

「導師は、赤ん坊受けしないよな」

「まあ、それは今さらとして。だが、フリードリヒは例外である!」

 導師の姪であるエリーゼの血を引くフリードリヒは、導師を見ても泣かなかった。
 まだ生まれて間もないのに、素晴らしい胆力である。

「えらいぞ、フリードリヒ」

「ただ鈍いだけと違うか?」

「違う、フリードリヒは胆力があるんだ。この子は大物になるぞ」

 失礼な事を言うエルに、俺は主君として釘を刺しておく。
 フリードリヒは、優れたバウマイスター伯爵になれるはず。
 そして、俺を引退させてくれるのだ。

「親バカも極まれりであるな」

「導師まで酷いですよ」

「某を化け物扱いしておいて、それはないのである」

 導師に内心で思っていた事を悟られ、俺は締まらない笑顔で誤魔化した。

「ええと、西方探索をしていたリンガイアが行方不明でしたね」

 話がヤバイ方向に行こうとしたので、俺は慌てて話を元に戻す。

「あの巨大魔導飛行船、そんな事をしていたんだな」

 エルと同じく、俺もリンガイアの活動なんて知らなかった。
 稼働に必要な魔石や素材は売ったが、別に就航式に招かれたわけでもないからだ。  

「最後の定時連絡で、魔族の国を見つけたとあるのである」

「となると、そこで何かトラブルがあったと?」

「かもしれぬ」

「うーーーん。何をしたんだ? おい、アーネスト」

 俺は、部屋に籠って論文の執筆に勤しむアーネストを呼び出し、魔族の国についての情報を聞いてみる事にする。
 何かヒントがあるかもしれない。

「巨大魔導飛行船が行方不明であるか? 大方、アホな貴族が先制攻撃などをかまして、拘留でもされているのではないかと推論するのであるな」

「そんなバカな」

 探索団は、空軍の軍人ばかりで指揮系統も整っている。 
 そんなバカな真似などするはずがない。

「それで、一つ問題になっている事があるのである」

「問題に?」

「左様、リンガイアにはプラッテ伯爵家の御曹司が乗っていたのである」

「軍人なら、別に問題ないのでは?」

 リンガイアは軍船で、未知の遥か西方を探索するのだ。
 遭難もあり得るし、もしそうなっても次男が跡を継げばいいのだから。

「ただの遭難ならそうであろうが、魔族の国との偶発的な戦闘で戦死という事になれば、報復を叫ぶのが貴族という生き物である」

 報復ねえ……。
 気持ちはわかるけど、地図もなく距離も離れている魔族の国にどうやって攻め込むというのだ。
 もしそんな事をするのなら、まだ帝国に侵略でもした方がマシである。
 第一、勝ち目がないだろう。

「プラッテ伯爵家は、帝国内乱の時も出兵派であったのである」

「今度は、魔族の国に出兵派ですか?」

「ブラフという可能性もあるのである」

 それも視野に入れて、もしくは逆に向こうが攻めて来る可能性もあるので、それに準じた戦備を整えましょう。
 特に空軍をねと。

 予算とポスト増を勝ち取って、プラッテ伯爵家の空軍内での影響力を強くするというわけだ。

「政治ですね……」

「リンガイアの方は、もう暫く待つしかあるまい。追加で捜索隊を送り込もうにもである」

 ここは、地球ではないのだ。
 衛星画像の解析をするわけにもいかず、そう簡単に探索機など送れるはずもない。

「通常の大型魔導飛行船を、追加の探索に回す余裕もないのである」

 そうでなくても、王国北部地域は内乱中魔導飛行船が使えなかったのだ。
 その穴埋めに、バウマイスター伯爵領開発に続いて計画された王国各地の開発計画もあって、今では予備の船すら動かしている状態であった。

 追加で、西方探索に出せる大型魔導飛行船など存在しないのだ。
 元々リンガイアが選ばれた理由も、航続距離や性能もあるのだろうけど、就役したばかりで員数外だったという理由が大きいのだから。
 性能試験もしなければいけないから、一石二鳥だったのだ。

「別の船を出しても、また戻って来ない可能性もあるのである」

「ですよねぇ……」

 リンガイアだけでも大損害なのに、他の大型魔導飛行船まで行方不明になれば王国は大きな損害を受けてしまう。
 拙速で追加の探索を出す前に、偉い人達で長い協議が必要となるはずである。

「ただ、一人だけ声が大きいのがいるのである」

「誰です? それは」

「プラッテ伯爵である」

 大切な跡取りが、リンガイアに副長として着任して戻らない。
 大体、こういう事になったのは平民風情を艦長にするからだ。
 その人事を行ったヴァイツ侯爵の責任は重い。
 速やかに辞任をして責任を取るべきである。

 大凡、非主流派と野党が言いそうな発言ではある。
 日本で国会の時期にテレビをつければ、いつでも聞けてしまう内容だ。
 そのくらいしか、自分の存在感をアピールする方法がないとも言えたが。

「遭難か、拿捕かはわかりませんけど、こうなってしまうと、まずは艦長に責任ありですか」

「ではあるが、『平民風情』はまずいのである」

 王国政府が優れた船乗りを集めるために平民への門戸を開いているのに、我が子可愛さで、空軍閥の重鎮がその制度を批判しているのだ。
 当然、対策会議は揉めに揉めているらしい。

「不毛で、生産性のない会議ですね……」

 そんな会議があるのも組織の宿命なんだけどね。

「現状では、どうにもならないのも事実なのである。暫くは様子を見るしかないのである」

 そんな話を導師から聞いたのだが、それ以降も俺の生活に変化はなかった。
 魔法による土木工事は続き、たまにほぼ男だけのパーティで魔の森に狩りに出かけている。

 唯一の例外は、俺の一番弟子扱いになっているアグネスであった。
 彼女は成人しているので、いつも所属しているパーティの他に、俺達が臨時で組んだパーティにも参加するようになった。
 やはり、魔法使いが多いと狩りの効率が増すな。

「先生、今日も大収穫でしたね」

「アグネスも、大分魔法が安定してきたな。落ち着いて狩りができるようになったし」

 真面目なアグネスは、最初は慣れない魔の森での狩りに緊張しっ放しであったが、今では大分魔物狩りに慣れたようだ。
 この調子ならば、すぐに冒険者として独り立ちが可能であろう。

「先生のおかげです」

「来年になればベッティが、再来年にはシンディが成人するから、強力なパーティが組めるぞ」

「そうですね。私が頑張って、二人を引っ張っていかないと」

 三人の中で年長者であるアグネスは、リーダーとして責任感に燃えていた。

「でも、たまには先生とご一緒しても構わないですよね?」

「当たり前じゃないか。俺は、アグネス達の先生なんだから」

「ありがとうございます、先生」

 弟子もであるし、妹のような存在でもある。
 頼られて、悪い気がしない俺であった。
 特にこの三人は、俺が一番目をかけて指導をした生徒達なのだから。

「ブランタークさん、導師、もう戻りますか?」

「そうだな。俺は、娘の面倒を見ないといけないし」

「はあ……」

 どういう心境の変化があったのか?
 ブランタークさんは少しでも時間が空くと、自分の娘の面倒を見るようになっていた。
 さながら、この世界の『イクメン』か。

 昔は結婚すら嫌がっていたのに、驚くような変化である。

「バウマイスター伯爵には子供が多いのだから、早く帰ってやるのである。エルヴィンもである」

「導師、たまに物凄く真面目な事を言いますね……」

 こう見えて導師にも子供が多いので、たまに父親の先輩としてこういう真面目な事も口にするのだ。
 人間慣れない事はしない方がいいみたいで、エルは物凄く失礼な返答をしていたが。

「某とて、休日には子供を遊びに連れて行ったりなどしているのである」

「そうなんですか……」

 家族サービスをする導師、想像すらできない光景である。
 竜狩りにでも連れて行くのであろうか?
 彼の子供達にはわからないが、導師にとっては娯楽みたいなものだからな。

「とにかく戻るか……」

 冒険者ギルドで素材と採集物の清算を済ませてから『瞬間移動』で屋敷に戻ると、そこには意外な来客があった。

「うむ。プラッテ伯爵であるか」

「導師殿か。今日は同じ『伯爵』として、バウマイスター伯爵に用がある」

「同じ伯爵であるか」

「そうだ」

 導師は、その来客を知っていた。
 プラッテ伯爵、先日のリンガイア行方不明事件で跡取り息子の消息がわからない貴族である。

「バウマイスター伯爵、陛下に追加で船を送るよう、共に上奏しようではないか」

「はあ……」

 挨拶もそこそこに俺の説得を始めるプラッテ伯爵。
 だが、彼の目的や意見を聞いているうちに、俺の心にどんよりとしたものが溜まってくる。
 プラッテ伯爵は物凄くバカだったり無能という事はなかったが、自分の考えがいかに正しく、俺がそれに協力するのが当たり前だという物言いをするのでとても腹が立つ。
 ある意味、貴族らしいといえばそれまでだ。
 この時点で俺は、既に彼の後継ぎ息子への同情は消え去っていた。

「そもそも、リンガイアの処女航海を兼ねた西方探索は、西方にあるとされる魔族の国の情報収集や予備交渉も兼任する可能性が高かった。それなのに、ヴァイツ侯爵は艦長と探索隊の団長職を平民になど渡しおって。もし本当に魔族の国があったとしたら、交渉はどうするつもりなのだ? 我が息子に任せればよかったものを……若造で経験不足な上に、でいくら貴族でも空軍の指揮序列を乱す事は許されないと抜かしおった! これは次の空軍司令官となる私に対する嫌がらせなのだ! それにだ! 実力本位で選んだ平民船長が貴重な国家財産であるリンガイアを行方不明にさせておるではないか! ヴァイツ侯爵の任命責任も追及しなければいけない!」

 プラッテ伯爵の言っている事に間違いはなかった。
 ただ、それを何の関係もない俺に言われても困る。
 俺は空軍閥じゃないのだから。
 というか、おっさん、何しに来たんだ?

「交渉ですから、外務閥の貴族を乗せるのが優先でしょうね」

「あのクソ共! みんな怖気づいて断りおった! あいつらは、帝国とたまに交渉するくらいしか仕事がない怠け者で、怠惰な連中だから無理なのだ! ならば私の息子に任せればよかったものを! ヴァイツ侯爵の奴め!」

 正論だが、吠えるプラッテ伯爵はウザかった。
 交渉を行わないといけない可能性がある以上は、本来その権限がある貴族を乗せておかないと駄目なのはわかる。

 だが実際には、外務閥の貴族達はみんなリンガイアに乗るのを拒否してしまったらしい。
 未知の領域へ向けての探索であり、遭難の可能性もあったので全員断ってしまったそうだ。
 元々外務卿以下の外務閥貴族達は、普段からあまり仕事がないのでやる気がある者が少ない。
 挙句に、今回の内乱初期から終盤にかけての役立たずぶりだ。
 内乱後彼らへ批難が集中し、それを糧に頑張ってくれたらよかったのだが、逆に委縮してしまって余計に仕事をしなくなったと、ブライヒレーダー辺境伯からは聞いていた。

 そういえば、帝国との講和交渉でも王太子以上に目立たなかったよな。

「プラッテ伯爵、大型魔導飛行船に余裕はないのでは?」

 隻数は増えたが、ここ一年ほど帝国内乱に巻き込まれて二隻が抑留された。
 ニュルンベルク公爵に動力源である魔晶石を鹵獲され、これはペーターが返還したが、おかげで輸送量を確保するために稼働率を上げざるを得なかった。

 これ以上、大型魔導飛行船を西方探査に使うのは難しいはずだ。

「二重遭難の可能性もあります。陛下が許可を出さないのでは?」

「バウマイスター伯爵が上奏をすれば大丈夫だ。貴殿は、陛下のお気に入りではないか」

 プラッテ伯爵は、自分の跡取り息子が心配なのであろう。
 加えて、頭に血が昇っている。
 平民の艦長と副長のせいで歴史あるプラッテ伯爵家の跡取りが行方不明になり、更にその人事を発布したのはライバルであるヴァイツ侯爵であった。

 自分の子供を謀殺しようとしているとか思っているのかもしれない。
 被害妄想の類だと思うが、それは息子が心配な父親には通用しないのであろう。

「私には空軍の事はわかりませんが、船の量が足りませんし、大型魔導飛行船でも遥か西方まで行くとなると難しいでしょう」

 だからこそ、就役したばかりで輸送量にカウントされていないリンガイアが探索に赴いたのだから。
 それに、航続距離の関係もある。
 リンガイアなら、一度魔晶石に魔力を満タンに積めれば大分遠方まで行ける。
 ところが、通常の大型魔導飛行船では魔力補充の回数が増えると聞いた。

 しかも、ただ魔力だけ補充すればいいというものでもないらしい。
 当然整備なども必要で、だから通常の大型魔導飛行船は探索に用いられなかったのだ。

 飛ばしながら定期的に整備を行い、更に魔力補充のために大量の魔法使いを確保しないといけない。
 リンガイアだとその回数が減らせるから選ばれたのに、それを空軍閥であるプラッテ伯爵が気がつかないはずはなかった。

「リンガイアは、バウマイスター伯爵が就役に貢献した船。多少の愛着もあるであろう?」

「はあ……」

「我が息子は、そのリンガイアを立派に維持、運用していたのです! ここは、バウマイスター伯爵自らが助けるくらいの度量を見せるべきです!」

「……」

 手を変え、品を変え、俺に再探索の上奏をさせようと迫るプラッテ伯爵。
 俺はまたも五月蝿い貴族を相手にし、余計に精神を摩耗させてしまうのであった。





「己の子が可愛いのは、人間も魔族も同じなのであるな」

 食い下がるプラッテ伯爵に対し、暫く考えさせて欲しいとお引き取りを願った後、俺は中型・小型魔導飛行船が二十隻以上も並んでいる簡易ドッグ内で船を見分しているアーネストに声をかける。

 この簡易ドッグは、来たるバウマイスター伯爵家空軍創設に備えて、俺が材料を準備したものだ。
 中・小型船向けとはいえ、魔導飛行船を雨風から守るものなので、作りは簡素ながらも頑丈に作られている。
 ちなみに材料は、石材と木材に、俺が製造に成功した極限鋼の鋼材であった。

「我が輩には子供がいないので、よくわからないのであるな」

「なら、言うなよ。ところで、何をスケッチしているんだ?」

「バウマイスター伯爵領各地から発掘された魔導飛行船であるが、これは年代ごとに作りや装飾が微妙に違うのであるな。これを系統立てて論文を書くためであるな」

「同じにしか見えないけど……」

 エルには、魔導飛行船ごとの差がよくわからないようだ。
 俺もまったく同じとは思わないが、大した違いもないように見える。

「素人はこれだから困るのであるな。イシュルバーグ伯爵初期の作品に対して、あまりにも不見識なのであるな」

「イシュルバーグ伯爵ねぇ……」

 俺の中のイシュルバーグ伯爵像は、天才だけどロクデナシという印象しかない。
 それはエルも同じで、何しろ俺達は彼のせいで死にかけたのだから。

「大陸中央部、王都近くの遺跡で見つかり、王国が運用している大型魔導飛行船。これは、イシュルバーグ伯爵が晩年に設計したものであるな。あの大きさとあの造りが、性能、量産性、コスト、整備効率に一番優れているのであるな」

「古代魔法文明時代の中心国家が用いていたから、中央で出土しやすかったと?」

「正解なのであるな、バウマイスター伯爵。そして、あの大型魔導飛行船が普及すると……」

「地方に、中・小型の古いタイプが回されるわけだ」

「そんなところであるな」

 都心で使われた古い電車やバスが、地方に回されるようなものか。

「何だ。古いタイプなのか……」

「そうガッカリするものでもないのであるな、エルヴィン。これでも、普通に使う分には何の問題もないのであるな」

 多少性能が落ちるからといって、それで問題があるわけでもないとアーネストが説明する。

「これだけの隻数、普通の貴族家では運用不可能だからな」

 二十隻にも及ぶ魔導飛行船の使用許可が王家から出たのは、バウマイスター伯爵領の広さと、いまだ多くの領地が開発途中であったからだ。
 実は、この三倍以上も出土していたのだが、残りはすべて王家が強制的に買い取った。
 額は相場通りであったが、相場から一セントも超えないのは、さすがはルックナー財務卿とでもいうべきであろうか。

 王家は、買い取った小・中型の魔導飛行船を売却する貴族家を選定している。
 これで儲ける気はないが、船を売ってもらえる貴族家というのは王家に貢献していると思われている貴族であり、こういう事情を聞くと王国は帝国よりも中央の力が強いというわけだ。

「バウマイスター伯爵家に、他の貴族家も王国から中・小型魔導飛行船を購入して運用を開始であるな。それはすなわち、人員の不足を招くのであるな」

「だよなぁ……」

 育成に時間がかかる船乗りが、不足するというわけだ。
 戻って来れるかわからない西方探索になど出す余裕もなく、魔法使いだって不足するはずだ。

「リンガイアは高価かもしれないけど、現実的に捜索に船と人を出せないよな」

 陛下や閣僚、空軍の上層部は『リンガイアの行方不明事件については残念であるが、現実的に探索に向かわせる船と人員が……』という事で、現在話し合い中らしい。

 こういう状態を、日本では『決められない政治』とか言うのであろうが、ここで無理に大型魔導飛行船にベテラン船員達、魔法使い達を向かわせて戻って来ないと損失を広げてしまう。
 探索に消極的になるわけだが、プラッテ伯爵からすればそれが許せないというわけだ。

「アーネスト、リンガイアを魔族の国は撃沈したのかな? 領空・海侵犯とかで」

「バウマイスター伯爵、魔族の国はそこまで野蛮ではないのであるな。大方、何かの行き違いで拿捕でもされたのが正解ではないのであるな?」

「それを確認しに行く術もないからな。俺は空軍の人間でもないし」

 領地の開発に、奥さん達と子供達を置いても行けない。
 プラッテ伯爵はウザ可哀想だが、俺に打つ手はなかった。

「そういえば、アーネストさんはどうやって魔族の国からこの大陸に来たんだ?」

「当然、船で来たのであるな」

「船?」

「そう、船なのであるな」

 魔族の国から密出国したために、小さな木造の海に浮く船に乗って出て来たそうだ。

「よく遭難しなかったな……」

「これがあるからであるな」

 アーネストは、自分の魔法の袋から船外機に似た魔道具を取り出す。

「動力はこれであるな」

 どう計算しても、モーターボートくらいの船しか動かせない船外機だ。
 これで前人未到の大海原を一人で横断とは、学者バカも極まれりであろう。
 俺には死んでも真似できない行動だ。

「研究が、我が輩を呼んでいたのであるな!」

 ただし、この学者バカぶりのせいで帝国内乱が酷くなったという現実もある。
 アインシュタインは天才だったが、原爆の製造に関わった。
 研究成果のために他人などいくら死んでも構わないとまでは思わないが、想像ができない点において、アーネストも同罪なのかもしれない。
 天才というのは、元々唯我独尊な人が多いからな。

 俺は、今のところは役に立つので置いているが……。

「その魔道具を小型魔導飛行船に付けても同じだろうな。というか、元から魔族の国になんて行くつもりもないけど」

 俺は色々と忙しいのだ。
 生まれてきた子供達のために頑張らないといけないのだし。

「父親になると、途端に保守的になるのであるな。我が輩は、だから独身を貫いているのであるな」

「それは、本当なのか?」

 その前に、変わり者過ぎて女性が近づかないのではと俺は思ってしまった。

「どうせ、暫くは何もできないのであるな」

 アーネストの予言は正しかった。
 王国政府は、リンガイア行方不明事件に対して何ら対策を打てないでいた。
 定期的に話し合いをしているが、一向に結論が出ないのだ。

 追加で探索隊を送るべきだという、プラッテ伯爵以下の一部空軍軍人達に、他の貴族達も賛同している者達がいる。
 ところが半数以上の貴族は、リンガイア探索隊の派遣に反対している。

 バウマイスター伯爵領から出土した魔導飛行船を早く運用したいので、そんな再び遭難の可能性がある探索に船と人を使いたくなかったからだ。
 結局のところ、リンガイアは運行と輸送のローテーションに入っていなかったから王国経済への影響がなかった。
 ベテラン船乗り達は惜しかったが、致命的なダメージではない。
 暫くは船乗りの不足が続くであろうが、それは教育する人数を増やせば数年で解決するのだから。

「大型飛行船一隻を戻って来れるかわからない探索に出す。空軍のトップは嫌でしょうね」

 ローデリヒが、俺達に空軍トップの考えを説明する。

「リンガイアの損失は惜しいですが、追加で探索に大型魔導飛行船など送る余裕はありませんよ」

「それが戻って来ないと、いよいよ空軍上層部の責任問題になるか……」

 リンガイアのみの損失なら、まだ陛下も目を瞑るはず。
 だが、もう一隻送り込んで戻って来ないとなると、陛下もヴァイツ侯爵を処分しなければいけなくなる。
 案外、プラッテ伯爵もそれを狙っているとか?
 彼の息子は一人だけじゃないからな。

 いや、それは疑いすぎなのだろうか?

「リンガイアは、まだ不可抗力の遭難で済ませられる案件ですし」

「惜しいのは事実であるが、正式に戦力にするなり運航を開始していなかったのである」

 講演業務が終わってから、ほぼずっとバウマイスター伯爵領にいる導師が裏の事情を教えてくれた。

「沈んだっていう証拠もないですしね」

「あの魔族であるな。信用はできぬが、そう言っている事が間違ってるわけでもないのである」

 導師は、アーネストが苦手であった。
 お互い性格が似ているような気もするが、そうなると近親憎悪のような感情が湧き上がるのかもしれない。
 あとは、口調も似ているか。
 何の関係もないけど。

「拿捕されたのであれば、魔族の国から何か言ってくる可能性もあるのである」

 そうなってから交渉の方がいいという意見も多かった。
 実は、その根拠となる情報を陛下に送っているのは俺で、とはいっても、ただアーネストの発言を記して送っているだけであったが。

「念のために情報は収集していますが、今のところは何もできません。そこで……」

「そこで何だ? ローデリヒ」

「魔導飛行船を独自に運用するとなると、バウマイスター伯爵領各地に魔導飛行船用の港を作りませんと」

「それ、前に作らなかったか?」

 入植当初、結構作った記憶があるんだけどなぁ……。

「数がまったく足りないのです。開発を始めたい無人の土地もありますから、まずはそこに港を作れば、人と物の輸送も楽々です」

「俺が作るのか?」

「はい。それが一番早いので」

「そうか、早いのか……」

「これも生まれてきたお子達のためですぞ」

「わかったよ」

 というわけで、俺はローデリヒの指示どおりに魔導飛行船専用の港の基礎工事を行う羽目になる。
 着陸用の船台を切り出した岩で作り、それをローデリヒが手配した職人や労働者達が仕上げていく。

「陸と空の交通と流通を制する者は、その土地を制するですな」

「ああ、ローデリヒの言う事は正しいよ」

「ご理解のあるお館様を持てて、このローデリヒ、嬉しい限りでございます」

 人と物の流れを促進する道や港は、土地を流れる血管のようである。
 それを強化して経済発展を促すのは、古代より誰もが行っている公共事業であった。
 そのくらいなら、俺にも理解できる。

「我がバウマイスター伯爵領は未開地が多いですが、お館様の魔法が圧倒的ですので不利にはなりません。跡を継ぐお子達にも魔法使いの素質が現れて万々歳です」

 他よりも圧倒的に開発が早く進むので、ローデリヒはご機嫌のようだ。

「それはいいが、リンガイア関連の事件はどうなるんだろう?」

「拙者からは何も……王国でも対応に苦慮しているのでは?」

 俺も、別に王国政府の要職にあるわけでもないので何もできない。
 今はとにかく領内の工事を続け、試験的に小型魔導飛行船の運用を始めるので新しい家臣を雇った。

 それはヴァイツ侯爵の弟で、若い頃から優秀な船乗りであったそうだ。
 家を継がないで済む気楽さから、あえて現場を好み船に乗っていたらしい。
 他にも、他の空軍閥貴族の子弟や、現役を退いた元船乗りを雇っている。

 彼らに、領内で募集した若者を教育させる計画だ。

「お館様、プラッテ伯爵家ゆかりの者がおりませぬな」

 バウマイスター伯爵家諸侯軍魔導飛行船部隊を担当する事になるヴァイツ侯爵の弟ヨーハンが、集まった人材の中にプラッテ伯爵家の息がかかった者がいない事に気がつく。

「本当は駄目なんだろうが、五月蝿いからいらない」

「何となくわかります……」

 あれからプラッテ伯爵は、暇さえあれば俺に会いに来た。
 自分の跡取り息子を救うため、俺が陛下に再探索を上奏して欲しいというわけだ。
 俺に上奏させるのは、自分だと駄目だから、陛下のお気に入りである俺の名義を借りたいわけだ。

 交通費が大変だなと思ったら、あのアホ。
 空軍閥のお偉いさんなのをいい事に、大型魔導飛行船に無料で乗ってバウマイスター伯爵領にやって来やがる。
 資金切れでギブアップしないから面倒なおっさんだ。

『ですから、私にも都合があるのです!』

『息子の命がかかっているのだぞ! そこを何とかするのが貴族であろう!』

 プラッテ伯爵は、人道的な観点から俺に再探索に参加しろと五月蝿かった。
 その割には、自分の息子ばかり心配して他の人達への配慮はゼロである。

『通常の大型魔導飛行船では、あの遠距離は不可能とは言いませんが難しいと聞きましたが』

『貴殿の魔力量ならば、魔晶石への補充も常に行える。奥方達もみんな魔法使いだと聞く。魔族の国にも容易に辿り着くはずだ』

 そんなわけはない。
 そんなに簡単に到着可能ならば、わざわざ探索隊など組まなかったであろうからだ。

『お礼なら出す』

『お礼ですか?』

『私の跡取り息子と貴殿の娘の婚姻を認めよう』

『はあ?』

 俺は最初、プラッテ伯爵が言っている事の意味がわからなかった。

『息子には既に妻がいるが、私が責任を持って側室に降格させるから』

『……はあ?』

 俺は、目が点になってしまう。
 苦労して魔族の国に到着し、上手く交渉してプラッテ伯爵の息子を救出すると、俺はその間抜けな息子に娘を妻として差し出す権利があるのだそうだ。
 更に、もしそれを実現すると、俺は元の正妻を出した貴族家からも恨まれるという寸法だ。

 何が褒美なのか、正直意味がわからない。

『貴殿は陛下に再探索を上奏し、奥方達も連れて再探索に出ればいいのだ』

 呆れてものが言えない。
 同じ伯爵同士なのに、なぜプラッテ伯爵は俺に対してこうも偉そうなのだろう?
 同じ伯爵なのだが、俺が新興だから後輩扱いなのか?

『とにかくお帰りください』

 その日も、何とかブチ切れずにプラッテ伯爵を帰す事に成功した。
 だが、次はわからない。



「というやり取りがあったから、プラッテ伯爵に関わる連中はすべて採用しなかったんだが、ヴァイツ侯爵と他の空軍閥の方々に不満があると思うか? ヨーハン」

「いえ……プラッテ伯爵は何を考えているのでしょうか?」

 とりあえず魔導飛行船の運用を任せるヨーハンにプラッテ伯爵の事を聞いてみると、彼も困惑した表情を浮かべる。

「俺はよく知らないのだが、元々プラッテ伯爵とはそういう人なのか?」

「いえ……そこまでおかしな方では……我が子可愛さからでしょうか?」

 とにかくお話にならないので、報復処置としてうちでプラッテ伯爵家ゆかりの者は雇わなかっただけだ。
 元々船乗り自体は不足しているので、他の家に行けばいいわけだからそれで彼らが困る事もないであろう。

「リンガイアの件は、一体どうなる事やら」

「こればかりは、陛下のお考え次第かと……」

 バウマイスター伯爵領の開発は、予定よりも大分前倒しで進んでいる。
 エリーゼ達がまだ産休というか育休を取っているので、土木工事にかける時間が増えていたからだ。

 リンガイアの消息不明が確認されてから二か月ほど、今日もアグネス達に指導をしながら土木工事をしていると、そこに突然王国政府からの使者が現れる。

 使者とは言っても、あの人物なので特に驚きはなかったのだが……。

「バウマイスター伯爵、大変なのである!」

「大変って、何があったのです?」

「西部に、謎の魔導飛行船艦隊が出現したのである!」

「えっ? 報復か?」

 俺が咄嗟に思いついたのがそれだ。
 アーネストの予想では、リンガイアが消息不明になったのは魔族の国で揉めたからではないかという。
 王国や、息子を送り出しているプラッテ伯爵は認めたくないのであろうが、今まで一万年以上も姿を見せなかった魔族の国の船が西部に現れたという事は、何か用事があって交渉にでも来たか、先の事件の報復に来たのではないか?

 そういう風にしか考えられなかった。
 ただし、その交渉には当然硬軟合わせた対応があるはずだ。

「その艦隊は、西方海域に浮かぶ『テラハレス諸島群』に拠点を築きつつあるのである!」

「名前くらいは聞いた事がある島ですね……」

 リンガイア大陸西部から少し離れた海上にあるが、周囲には海竜が生息し、島自体にもあまり平地はない。
 入植には厳しい環境にあり、一応西部を統括するホールミア辺境伯家が領有権を持っていた。

 昔、領有を主張するために簡単な港を整備したらしい。

「何か嫌な予感が……」

「バウマイスター伯爵の予想どおりである! 何の価値もない無人島ではあるが、れっきとしたホールミア辺境伯家の領地。当然、退去を求めたり、奪還すべきであると諸侯軍の動員が始まっているのである!」

 貴族にとって、領地問題とは死活問題以外の何物でもない。
 いくら無価値の無人島でも、それを奪われても放置では貴族の沽券に係わるからだ。
 それに、そのテラハレス諸島群の領有を魔族達に認めてしまうと、ホールミア辺境伯領の防衛ラインが下がる。
 テラハレス諸島群と大陸の間には有人の島もあるそうで、そこが危険に曝されると神経質になっているらしい。

「それで、その艦隊から何か?」

「まだ何も言って来ないのである。艦隊の停泊地や、船員や兵士達が滞在する陣地を建設しているようであるな」

「また面倒な……」

 領地問題の面倒さは、地球でいくらでもあった。
 それよりも、魔族の国の艦隊が何を考えているのかが不明で不気味だ。

「王国貴族同士の紛争ならば王国政府も放置なのであるが、相手は外国なのである。結果、空軍も動員の準備を……」

「そんなぁ……」

 導師からの報告に、俺はガックリと肩を落とす。
 バウマイスター伯爵領開発のために魔導飛行船が必要なのに、それらが動員されてしまえば交通と流通が死んでしまう。
 リーグ大山脈にあるトンネルでは、到底すべてを捌けるはずがなかった。

「あと、王宮内の一部にバウマイスター伯爵責任論が出ているのである」

「俺にですか?」

 貴族の誹謗中傷などいちいち気にしていると精神が病むので無視していたが、王城でそういう話が出るとまずいのは確かであった。

「急先鋒は、プラッテ伯爵なのである」

「あの野郎……」

 つまり、俺がリンガイアに乗っていた跡取り息子を助けなかったせいであろう。
 彼は通常の大型魔導飛行船でも、俺達が魔力を補充しながら航行すれば魔族の国に安全に到着できると考えていて、それをしない俺に不満があるというわけだ。

「それで、その責任論は大多数ですか?」

「おおよそ、二割ほどであるかな」

「意外と多いですね……」

 過半数には届かないが、かなりの数ではある。
 全体から考えると少数のグループではあるが、こういう連中は声が大きい。
 熱狂的に俺の批判を始めると、次第に賛同者が増えてしまう可能性もあった。

「バウマイスター伯爵領の領地開発利権にあぶれているような連中も参加しているので、結束は緩いのであるが……」

 そういう連中の意図は『もし利益供与があれば、いつもでプラッテ伯爵を裏切るよ』なので、崩すのは簡単であった。

「そういう連中に優遇なんてしたくないですね……」

 爵位や領地は得たが、その分苦労はしているのだ。
 せめて、嫌な奴を無視するくらいの選択肢は欲しいところだ。

「陛下が鼻で笑っているので、吠えているだけで終わるである。それよりも、従軍命令が出たのである」

 通常であれば西部諸侯と王国軍からの応援だけで済ませるのであろうが、相手は未知の魔族艦隊である。 
 万全を期して、俺にも召集命令が出ていた。

「それって、バウマイスター伯爵家諸侯軍を出せと?」

 数はまだ足りないし、訓練などもまるで足りていない。
 出来ればまだ出したくはなかった。

「いや、バウマイスター伯爵達のみである」

「その心は?」

「島を巡る争いなので、兵員はホールミア辺境伯が準備する分だけで大丈夫なのである。本人がそう言っている以上は、あまり兵員も送れないのである」

 自分の領地に余所者の兵士達が大量に入り込む、食料供給や治安維持を考えても好ましくないと判断したのであろう。
 いくら費用が援軍を送る側の自己負担だとしてもだ。

「王国軍も、ほぼ空軍のみの派遣である。バウマイスター伯爵は、できる限り魔法使いを揃えてほしいのである」

 俺の周りには魔法使いが多いので、それを派遣してほしいという事のようだ。
 人数的に言えば大した事もなく、ホールミア辺境伯も安心なのであろう。

「陛下からの命令じゃ仕方がないですね」

 というわけで、俺達も西部に向かう事になる。
 魔族の艦隊はテラハレス諸島群に拠点を築き、その上空に艦隊を遊弋させている。
 ホールミア辺境伯領には小規模ながら水軍もあって、その船が彼らを監視しているそうだ。

「また戦争になるのでしょうか?」

 西部出立をみんなに報告すると、エリーゼはフリードリヒをあやしながら心配そうな表情を浮かべる。

「どうかな? リンガイアの件で何らかのトラブルがあって、交渉を有利に進めるために一時的にテラハレス諸島群を占拠したのかもしれないし……」

 魔族の国の事情はアーネストから聞いている。
 聞いた限りでは、非常に内向きで、大陸に覇を唱えようとしているようには思えない。
 人口も少ないので、大陸全土の制圧など不可能であろう。

 全員が魔法使いとはいえ、人口比が大き過ぎる。

「王国からの命令では仕方がないわ」

「そうだね。ボクはヴェルについていくよ」

「私も、大分体の調子も戻った」

「ヴァイゲル家当主としては、出陣も止むなしですわ」

 イーナ、ルイーゼ、ヴィルマ、カタリーナと、自分達も俺に付いていくと宣言する。
 どうやら、産休と赤ん坊の世話で退屈もしていたらしい。

「旦那、あたいも行くからな」

「妾も行くぞ。最近、退屈での」

「私も行きます。もしかすると、久々の全力ブリザードが必要かもしれません」

「リサは、突然怖い事を言うの……」

 というか、俺の奥さん達は全員ついていくつもりのようだ。

「ついて来るのはいいけど、フリードリヒ達はどうするんだ?」

 一番の問題は、そこにある。
 まだ赤ん坊なので、母親が傍にして面倒を見て欲しいからだ。

 だから俺は、男性組だけで行くつもりであった。

「あなた、男の方だけでは行かせませんから」

「えっ? 何で?」

「確かに戦争になるかもしれませんが、西部で色々と戯れが過ぎる可能性がありますので」

 俺の問いに、エリーゼは冷静な表情と口調で答える。
 最初に俺を見てから、次にエルにも視線を送る。

「エルがいるから疑われているな……」

「いや、ヴェルも同じくらい疑われているだろうが!」

「この場合は、ヴェル自体の過失というよりも、西部諸侯で戦時のドサクサに妙な事を企む人が出る可能性があるからよ」

「面倒だなぁ……」

 俺は、イーナの言い分に納得してしまう。
 急に戦時体制にはなったが、まだ戦闘状態になったわけでもない。
 アーネストからの情報によれば、このまま戦わないで終わってしまう可能性の方が高い。
 となると、男達だけで行くと西部諸侯で嫁や愛人の押し付けがあるはずなので、それを防ぐためにエリーゼ達も一緒に来ると言うのだ。

「ヴェルは、西部諸侯と距離を置いているように思われているからな」

「何でだよ……」

 別に距離など置いていない。
 それは南部や中央よりは優遇はしていないし、そういえば東部とも最近付き合いが増えたか。
 今のブロワ辺境伯とは知己だし、フィリップやクリストフにも頼まれて取引などを増やしてる。
 あの二人から、意味のない後継者争いと紛争で迷惑をかけたからと頼まれてしまったのだ。
 帝国内乱で世話になったし戦友でもあるので、俺はその頼みを受けていていた。

「ほら、扱いが低いと思われても仕方がないよな」

「それはエルもだろうが……」

 エルも実家とは完全に絶縁状態なので、人の事は言えないと思うのだが。

「俺の影響力なんて微々たるものじゃないか。それで、本当にエリーゼ達は付いて来るのか? 一応戦場になる危険性があるんだけど……」

 バウマイスター伯爵家の家臣として、エルはエリーゼ達の同行に難色を示す。

「いいアイデアがあります」

「アイデアって何だ? エリーゼ」

「はい。どうせ私達だけなのですから……」




 翌日、俺達は就役したばかりの小型魔導飛行船で、西部へと向かっていた。
 搭乗しているのは、俺、エル、ハルカ、エリーゼ達に、その赤ん坊全員、その世話をするメイド達となっている。

 あとは、船員達と少数の兵士達のみであった。

「子連れで戦場にって、聞いた事がないわ。託児所を兼ねた船ってわけね」

 赤ん坊の世話を助けるために、今回はアマーリエ義姉さんも同行している。
 フリードリヒ達のおしめを替えたり、ミルクをあげながら、俺に呆れた表情を向ける。

「何かあったら、船ごと逃走可能でしょう?」

 西部で激しい戦争が始まったとしても、エリーゼ達と赤ん坊達を船ごと逃せばいい。
 この辺が、俺とエリーゼ達との妥協点であったわけだ。

「ヴェル君も大変ね。また戦争かもしれないし」

「どうなんでしょうかね?」

 それよりも、他の事で苦労しそうな気がするのは気のせいであろうか?
 何にせよ、託児所と化した魔導飛行船は西部ホールミア辺境伯領へと向かうのであった。
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