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幸せって平等ですか? 作者:soy
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ジュエリーデザイナー

 終わった。
 今日の業務修了!
 定時終わりだったな~。
 私は回りを無視して立ち上がりスマホを手に取った。

「岩渕先輩!」
「悪いけど今日は手伝うの無理だから………もしもし葵さん?終ったので今から葵さんの家に行こうと思うんですけど、住所教えて下さい」

 横の葉山が青くなったのが解った。

『近くに居るから迎えに行く。一緒に酒選んで帰ろうぜ』
「良いですね。じゃあ、会社の前で待ってます」
『ああ、待ってろ』

 今、葵さんニカッて笑っただろうな、なんて思いながらスマホをキルと石山先輩に肩を捕まれた。

「お前、男の部屋に行くって意味解ってんのか?」
「そうですよ!考え直して下さい岩渕先輩!」
「別に御馳走してくれるだけだよ」
「「ヤル気に決まってる!」」

 マジなんなのポンコツブラザーズは!

「解ってねーな~御馳走の後の御馳走はお前だ岩渕!」

 御馳走扱いしてくれるならありがたいんじゃ?
 3年ぐらいしてないけど処女って訳じゃないし、葵さんにはいろんな女が寄ってくる訳だから不充はしてなさそう。
 私の今日の勝負下着は最低限の礼儀として当たり前だろう。
 気合い入りすぎだと言われないぐらいにしているのは私の心の保険だ。
 ギラついてるとも思われたくないし、必死だとも思われたくない。
 そんな雰囲気にならないかも知れないし………葵さんは嫌いじゃないし気がするし………展開が早すぎる気がするが大人だし………準備しておくにこしたことはないはずだ。

「で?」
「「で!解ってない!」」
「石山先輩と葉山は仲良しだよね………そのまま付き合っちゃいなよ」
「「気持ち悪い!」」

 お似合いだと思うよポンコツブラザーズ。

「岩渕先輩デートなんですか~彼氏さん見たいです~紹介してください~」

 姫川の笑顔が狩人の様なのは気のせいか?

「ああ、紹介するような人では………」
「え~私そういうの気にしないんで大丈夫ですよ~」

 何故か姫川の顔が嘲笑っているようでムカつく。
 たぶん、葵さんのレベルが低いと認定したみたいだ。
 見せたくない……
 そこにメールが届いた。

『ついた』

 早いな。
 私は荷物をまとめて言った。

「じゃあ、お疲れ」
「じゃあ、私もついて行こう~」
「来なくて良いから」

 私が拒否しても姫川はついて来た。




 ロビーが騒がしいのは明らかに葵さんのせいだろう。
 私が騒ぎの方へ行くと案の定葵さんが女性社員に囲まれていた。

「誰を待ってるんですか?」
「岩渕命だよ」
「はあ?またあの人なの?」
「また?」

 良い話は、しなさそうだな。

「葵さんお待たせしました」
「彼女来たから」

 葵さんは女性社員から離れて私の所まで小走りで駆け寄った。

「お疲れ」
「葵さんも何だかお疲れ様です」
「ハハハ、なれてる」
「ああ、解ります」

 私がそう言うと葵さんはニカッと笑った。

「酒何が良い?」
「料理によります」
「イタリアン」
「肉?魚?」
「魚」
「じゃあ、白ワインかロゼですね」
「シャンパンって手もあるぞ」
「葵さん天才ですね」
「だろう?」

 葵さんは嬉しそうにニシシシシっと笑った。

「嘘、何で、河上葵様がここに………」

 突然低い声が後ろからして、振り返ると姫川が私を睨んでいた。
 こわ!
 彼女は気を取り直したように笑顔を作ると葵さんの前に立ち、首をかしげた。

「河上葵様ですよね!ジュエリーブランドgunjoのデザイナー様ですよね!前に雑誌で見てからファンなんです~握手してください~」

 葵さんはニコッとよそ行きの笑顔を作ると握手していた。

「私、岩渕先輩の後輩なんです!お食事、私もご一緒したら駄目ですか?」

 姫川はキラキラの可愛く見える笑顔を、葵さんにむけて放つ。

「悪いな!俺、今日は命のハートをガッチリ掴む作戦だから邪魔しないでね」
「え?」

 姫川はキラキラ笑顔が葵さんにきかなかった事が驚きなようだ。

「私は良いけど?」
「俺は嫌だ!」

 冗談で言ったのに、葵さんの眉間にシワが寄る。

「冗談だよ」
「良かった。じゃあ、邪魔がはいらないうちに帰るぞ」

 姫川の般若のような顔が怖い。
 私は姫川から視線をそらして葵さんに引っ張られるようにしてその場を後にした。




「………葵さんは本当に有名な人なんですね」
「あれ?知らなかった?」
「はい」
「釣書に書いてあると思ったけど?」
「釣書の存在すら知らないんだけど」
「命の釣書にはスリーサイズまでのってんのに」
「今すぐ火を付けて燃やして」
「嫌だよ」

 葵さんはニタニタしている。

「葵さんの釣書はお父さんが持ってるのかな?後で取りに行こう」
「俺の釣書見たら俺に惚れちゃうぞ!」
「兄から有名なジュエリーデザイナーだって昨日、はじめて聞いたんですよ」

 葵さんは少し困った顔をして私を見つめた。
 なんなんだ?

「でも、ちょっと納得したんです。だって葵さんの作るスイーツって宝石みたいにキラキラして綺麗で可愛いから」
「………で?」
「で?って?」
「ネックレスが欲しいとか指輪が欲しいとか…」

 私は思わず深いため息をついてしまった。

「どんだけ嫌な女とばかり付き合ってるんだか?私は別に大丈夫です。気に入った物を自分で買いますから」
「………それはそれで淋しい気がするのは何故だ!」

 私はクスクス笑った。
 葵さんは珍しい物を見るように私を見ている。

「葵さんのデザインしたジュエリーは見てみたいかも?」
「見てくか?近くに俺の作品が置いてあるショップがあるから」
「はい」

 私は葵さんに手を捕まれそのまま近くのショップまで連れていかれたのだった。
また中途半端に……
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