イッツ・オンリィ・ユアマインド・1
ボーマンとアシュトンとデイアス。
三人が押し黙ったまま揃いもそろってうんざりした顔をして
テーブルを挟んでそれぞれ好き勝手な格好で座り込んでいる。
それもそのはず。
約束の時間が過ぎてるのにレオンとクロードは現れない。
すぐドアを挟んだ隣の実験室に二人はいる。
呼びにいきゃあ良さそうなものだけど
さすがにその役を買って出る者はなく、
早くすませろよって内心皆は祈りながら黙りこくっている。
「なんで・・・実験室なんかで」
と、言いかけたボーマンの文句もレオンの声にかき消され、
静けさの中をレオンのたまんない声だけが
縦横無尽にひびきわったっていた。
クロードは愛しい実験生物に愛しい実験を試みている最中だった。
クロードにとって、とっても愛しい部分に指を入れてみたり、
顔を寄せて唾液をからませるついでに念入りに舌での愛撫の
・ ・・いや実験の反応をたのしんで
いやいや貴重な実験反応を検視したりしていたのだが
愛しい生物があまりに切ない声をあげるものだから
クロードの実験は、まだ初期の段階で留まっていた。
「アーーーン。こっちも吸ってよお」
レオンの妙な懇願の声色の艶っぽさはまあいいとして、
こっちってどこだろう!?
3人はつむっていた目を開け顔を見合わせた。
「や・・あ、あん。そんなとこ、なめちゃ・・・やだ」
って、ちっとも嫌じゃない声が気持ち良さを訴えている。
「ああああーたまんねえ。俺、でなおしてくるわ」
ボーマンがどこかで鬱憤
もとい高揚を発散させて来る気になったのかしらないけど
そういうのをアシュトンが宥めた。
「ね。もう少し待とうよ」
「って。おまえ・・。あいつ等の声をきいていたいんだろ?
はあああん。プリシスはまだやらせてくれてねえのかよ?」
「や、ヤダな。そんなんじゃないよ」
って、アシュトンがレオン達のことを否定したのにボーマンったら
「へええ。とうとう、こえちまったかよ」
って風に納得してしまった。
「ち、ちがう」
アシュトンの顔があっという間に真っ赤になってる。
「フーン。口じゃそういうけど、どんなもんだかねえ」
本当の所が今いち良くわかんないアシュトンの反応ではある。
「ま、どっちにしろ・・・俺は」
ぶつくさいいながらボーマンが席を立とうとした。
「すまない」
珍しく同じ場所に小1時間もくだらない音声を堪えながら
座っているデイアスに謝られるとボーマンは仕方なく席に座りなおした。
そう。
相談があるとこの男が言出したのだ。
女どもに聞かれたくない話しらしいと察しが付くと
ボーマンが休日のレオンの研究所を提案した。
「休みだからって、てめえいちゃいちゃしてんじゃねえぞ」
「判ってるよ」
場所の提供をすんなり許可してくれたレオンだったし
ディアスの一大事らしいことも話した。
大丈夫だよな。
そう考えたボーマンが甘かった。
「ね、ね、ね・・いや。あっあんっ・・クロード。だめ、あっ」
レオンの声が一層切なげに高まってきていた。
おや、終りも近いかなとボーマンは息を飲んだ。
(え!?にしても・・色っぽい声じゃねえかよ。
俺がコイツでレオンにそういわせてみたくなるじゃねえかよ)
思わずボーマンの手がズボンの上から自分の物を宥めるように
軽くさすってる。
なのにレオンったら
「あ、クロード・・もっと、もっと、うごいて」
だって。
って、ことはまだこいつら上り坂かよ?
オマケにクロードったら
「まだ・・だめ」
なんてレオンをじらせて楽しんでいる。
「駄目だぜ。こりゃ」
「だね」
事態が早急に片がつかないとアシュトンも納得した様だった。
オマケにアシュトンも切羽詰まった膨張感にさいなまされ始めていた。
とうとう辛抱が切れた二人。
ボーマンとアシュトンが同時に立ちあがった。
「ほおおお?」
「な?なに?」
ボーマンの手がアシュトンのものに延びて来た。
「え?えらくコチンコチンになっちまいやがってるじゃねえかよ。
ん?でも、そうやって立ちあがって帰るって事は
つまり、プリシスにここをやわらかくしてもらえるってことだな?」
「や、やだな・・・」
アシュトンの手がボーマンの手を振り払った。
「ボ、ボーマンこそどこいくんだよ?」
「へ?んな事お前にいう必要ねえじゃん」
軽くざれあってる二人が
デイアスの発するジトーンとした空気を感じ取った。
「・・・・」
そうそう、ディアスの相談の為に集っていたんだ。
「ふ。お前等はいいよな」
おいおい。妙に拗ねた、
デイアスらしくもないセリフじゃないか。
ボーマンはそのデイアスの言葉から感じ取った事をデイアスに尋ねた。
「そりゃあ?おまえ、レナと上手くいってねえってことかよ?」
がくりと頭を垂れたデイアスがうつむいたまま
「だから・・・相談なんだ」
と、いった。
「おい」
ボーマンもアシュトンも顔を見合わせてもう一度座りなおした。
やがて、堪えきれないレオンの声がクロードを何度も呼び
クロードもしつこい程レオンの名を呼んだ。
頂点を極めた物が起こさせてしまう雄たけびを
さすがのボーマンもアシュトンもしらっとした思いで聞いていた。
「おし・・・やっと・・・おわったな」
それでもまだ10分はまっただろうか?
なんだか覚束無い足取りでとろんとした顔のレオンが現れた。
『え?』
びっくりしたのはレオンだ。
『な?なに?えっ』
皆が来てる。
「はやすぎるよ」
レオンの皆への開口一番だった。
「ぼけ!いったい、何時間クロードに突っ込まれてりゃ気がすむんだ」
あちゃちゃ。ボーマンそれはどぎついよ。
「え?・・・あれ?」
レオンは慌てて時計を見た。
そして、次のレオンのいいわけに
皆は責める言葉さえなくしてしまった。
「クロードったら・・・すごいんだもの。
時間なんかわかんなくなるよ」
え!?のろけだぜ!?
それも・・その最中のことのもろ・・・のろけだぜ。
ここ小1時間以上聞かれていたんだと判ったら
レオンの奴しっかり開き直りやがったんだ。
やっと面子が揃った。だけど男五人。
顔を寄せ集めたってむさくるしい状態でしかない。
「で?ディアス相談って?」
やっと顔が揃ったメンバーをぐるりと見渡すと
ここは年長者であるボーマンが口火を切るしかなかった。
「ん」
自分で思わせぶりに相談があるんだといっていたディアス
がひどく口篭もってしまった。
「アーン!?えらく、もったいぶるじゃねえかよ?」
「あ。そういうわけじゃ」
意を決っし話し出そうとするデイアスの口が開くより先に
その頬が赤くそまっている。
「はーん?レナとの事だな?なんだあ?上手くできねえのかよ?」
何てボーマンが下がかった事を口にするものだから
デイアスはますます赤くなってうろたえた。
「なんだよ?図星なのかよ?」
そんなわけねえだろ?って思いながらボーマンはたずねてみた。
「あ、いや。それは大丈夫。
あ・・・いや。そうじゃなくて・・・。
あっ・・つまり・・・そういうことでもある」
「なんだよ!?訳がわかんねえな。はっきりしろよ」
しばらくの沈黙がつづき皆デイアスの言葉を待っていた。
「できちまったんだ・・・・」
「へ?」
って、間抜けたホーマンの返事は無理ない事だと思う。
お前ら、まじでつきあってんだろ?
なら、何でそんな事を相談なんだって思うにきまってる。
「と・・・おもう」
随分経ってからデイアスはまだ確信を持てない事だと付け足した。
「はーん。なさる事はちゃんとなさってらっしゃるってわけだ。
けど、へたしちまったっていいたいわけかよ?」
なんだかボーマンはムッとした口調で尋ね返し、些か不愉快そうな顔をした。
「じゃなくて・・・・」
どうにも歯痒い返事しか返せないデイアスなのである。
「あああ。じれったい。お前いったい何がいいたいんだよ?」
「あ、その・・・どういえばいいか」
ボーマンも結構短気なんだ。少し怒り出しながら
「だから、おまえがはっきり言わなきゃ、何がなんだか・・さっぱり」
「だから・・・レナにどういえばいいのか」
と、デイアスはひどくしょぼくれてしまっている。
「ばっかみたい」
黙って腕を組んで聞いていたレオンが口を開いて見れば
いつもの傍若無人でクソ生意気で可愛げのない言葉が飛び出してきていた。
(え!?こいつが可愛いってのはクロードとなにしてるときだけかよ?)
って、ボーマンは思いながらも、レオンが何を言いたいのかを聞く事にした。
「そうでしょ?ようはおめでたなわけでしょ?
デイアスにはめいわくなわけ?」
そうそう。それでボーマンもチットばっかしデイアスに腹を立てたんだ。
と、いっても、デイアスがおめでたにたじろいじまうってのは
ボーマンにはわかんなくもない心理なのではある。
レオンの言葉にデイアスは相変らず口数少なく答えた。
「いや」
「だったら・・・嬉しいよ。オメデトウっていったらそれがプロポーズじゃん?」
なかなか聡いレオンなのである。
どうやらデイアスはレナの妊娠に気が付いたってわけなんだ。
だからこれを機会に
レナとの確実な未来に踏み出そうと考えたということなのだろうけど・・・・
そんな簡単な一言をいい年こいたデイアスが考えつかず
皆を非常召集しなきゃなんない?
相談!?いい加減にしてよ。そんなことくらいで、
こっちはクロードとの事、途中にして来たんだよってレオンは思ってる。
途中?って!?あんたあれでまだ途中なわけ?
そりゃあ、そうかもしんないけど・・・・
確かに元気なクロード君がレオンちゃんとこに遊びに行くのが
一回こっきりってことはないかもしんないけど。
でも・・・デイアスの言い分はまだ続きそうだよ。レオン。
レオンの言葉に返事をしようとしたデイアスが
恋する男の気弱さもろだしの顔付きに変った。
「レオン・・・いってみたんだ」
と、いうとデイアスはがっくりと肩をおとした。
「んじゃあ・・・なんで・・そんな・・・。はああん。つまり、こと・・」
断られたんだっていうレオンの口を押さえたのはクロードとボーマンだった。
ここからが僕の出番だとばかりに優しいアシュトンはデイアスに尋ねた。
「レナ・・なんていったの?」
「・・・・」
「話してみてくれなきゃ。それに、だからこそ相談なんでしょ?」
なかなか、いいことをいってくれるアシュトンじゃないか。
「ん」
「・・・・」
皆、黙りこくってデイアスの口が開かれるのを待った。
「何がおめでたいのよ・・・・って」
「え?」
レナがそんな事を言う!?皆はちょっと信じられない顔にかわった。
「あちゃ」
って、ボーマンが一言呟く。
レオンの顔色といえば
デイアスの胸の痛みが自分につきささってるかのようにくぐもっていた。
「そ、そんなあ・・・ほんとに?」
デイアスが嘘なんかいうわけもない。
あんなにつっけんどんだったレオンがシュンとしてしまっていた。
黙っていたクロードが喋り出すより先にアシュトンが口を開いた。
「デイアス。レナも気が動転してんだよ。
結婚を考えるより先に自分の運命が決定される現実になっちゃったらさあ・・」
「そう・・なのかな?」
確かにデイアスもこれと言ったプロポーズをはっきりとはしていない。
デイアスがポツンと呟くとクロードも付け加えた。
「そりゃそうだよ。男はさ、打ち放しちまったら
1年もすりゃ勝手に父親になってしまうけど、
女の子はお腹も大きくなっちゃうし、色んな事が一遍にかわっちゃうんだもの。それをさあ・・・、
そうなっていいって覚悟がつくより先にできちゃったってなったら」
腕を組んで聞いていたボーマンにも
「なるほどな」
と、やっとデイアスの相談が見えてきた。
「責任とるよ・・・なんてのは・・・どう?」
レオンの言葉に皆はレオンを見詰めた。
そうそう。問題はデイアスがレナの事をどうしたいかを
はっきりと告げなきゃなんないって事だ。
そうすりゃ、レナだってデイアスとの結婚って未来に向かって行こうと
妊娠を喜びごごとしてとらえなおせるだろう?
「・・・・」
黙ったままデイアスは首を振った。
「な、なんでさあ?」
レオンの名セリフを即否定されたのは面白くないけど
でもなんでそれじゃあ、いけないんだろ?
「うーん。判る気がするな」
と、クロード。
「だ・・な」
と、ボーマン。
デイアスは頷いただけだった。
アシュトンは少しきょとんとして、やっぱりレオンと同じ様に感じたんだろう。
「え?なんで?」
って、尋ねていた。
「それじゃあ、責任で一緒になるって、きこえねえか?」
ボーマンの言葉にクロードが説明をつけくわえた。
「そうだよ。今のレナに男として責任とるって言うセリフは
本当はそんな事考えてなかったんだけど、下手しちゃって
し方たないからそうするっていってるようにきこえかねないよ」
「うーーーん」
―― 世の中の男性諸君。こう言う心理もありなんだぜ。
かっこいい決め台詞のつもりで『責任とるよ』と、言って見ても
彼女のほうは、
ア、 そう。責任感なわけ!?愛じゃなくて義務感?
ってそんな具合にせっかくのプロポーズで喧嘩にならない様にね―――
一方、問題のレナのほうである。
2、3日前に食べた物の食い合わせが悪かったのか、
嘔吐と腹を下すのが交互に襲ってくる。
デイアスと出かけた先で軽い嘔吐を覚え
その日のデートも早々に打ちきり慌てて家に駆け込んだのだ。
『こんなみっともない所をみられたくない』
って、レナも必死だったんだ。
薬をのんで一日体を休めていれば治ると思った事だったのに
レナの状態はその日が下り坂の入り口だった。
二日めもひどく調子が悪くトイレに通い詰でレナはげっそりしていた。
そこにデイアスが尋ねて来た。
今のレナにとって一番会いたくない相手である。
妙齢の乙女が「ゲロ出してる。ゲリしてる」なんて
好きな相手に言えるわけがない。
それでも何かいいわけを作って一言、今日は御免って
断りいれなきゃとレナはドアを開けた。
でもデイアスのほうは昨日のレナの様子にきがついていて
おまけに妊娠という幸せな誤解をしていたんだ。
「あ・・あの」
デイアスが何か言ってるけどレナのお腹の調子もむし返してきてる上に、
むかむかする吐き気が込上げてきていた。
とにかくデイアスには早く帰ってもらいたいレナであり
体の調子のピークがデイアスの喋っている事なんか
まともに聞けない状況にさせているのに
デイアスは口篭もりながらも何かしゃべっている。
「うん・・あ、うん」
生返事をしているレナは
早くデイアスに帰ってもらう一言を告げる間を探しているだけだった。
なのに突然レナの耳に飛び込んできたデイアスの言葉と
お腹の急変がレナを勘だたせた。
『なにがいい状況よ。どこが・・お目出度い?何、訳のわかんないこと』
デイアスの言葉をちっとも聞ける状況じゃないレナであり、
冷静に考えればデイアスが何かを誤解してるって事も判ったのだろうけど。
辛い状況がレナを襲い出すと
「何も、おめでたいことなんかないわよ。どこが・・おめでたいのよ」
と、金切り声に近い声を上げると
「今日は帰って」
とレナはドアを閉めるやいなやトイレに駆け込んで行った。
洗面台に向かって嘔吐を解放してもレナがはき上げるものもない。
からえづきほど体をくたびれさせるものもないのに
レナは続いてトイレに座り込むことになる。
「はーーーー」
しんどい。辛い。その言葉しかでてこないレナだった。
デイアスはドアの外でレナがかすかにはき上げるのを聞いていた。
「俺のせいで・・・すまない」と背中を擦ってやりたいデイアスだったけど
レナのおめでたくないって一言がずしんとひびいていて、
これ以上のことをしてもレナの気分を害させることにしかならないと
判断するとレナのところから戻った。
そして、デイアスは素直に皆の知恵を借りようと考えはじめたんだ。
つまり、デイアスにとって本当にとっても大事なレナであり
レナを失いたくないその一途な思いが
こんなにもデイアスを気弱でかつ従順な男にかえていたんだ。
一緒に出かけた先でデイアスの見たレナの嘔吐が
デイアスが原因であるのが誤解であるとはデイアスは知る由もない。
男五人の座談会が、ある意味、砂上の楼閣であることは
この際臥せておく事にして面白いので
この座談会をもう少し拝聴させてもらおう。
結局、デイアスはわざわざ自分から
レナとの仲の深度を暴露するだけのみならず
「ねえ・・ちゃんと愛してるって言ってあげてるわけ?」
って、かなりプライベートのことまで突っ込まれ、
それに答えなければならなくさせられている。
レオンの素朴な疑問も無理ない。
そこが判ってたらレナだってそんなにじたばたするのもおかしなことだもの。
「言ってるに決まってるよねえ?デイアス」
アシュトンの助け舟でデイアスは黙って頷くだけですんだけど、
頷くだけにしてもそんなことを言う自分をさらけ出すのは
どうにも赤面を免れないデイアスなのである。
なのにレオンったら
「あのさあ。それってHしてる時に言ってるだけでしょ?」
ありゃりゃ。
レオンの鋭い質問にデイアスはごにょごにょって答えた。
そりゃそうだろうがって言ってるように聞こえたけど・・・・。
何があっても顔色一つかえないような男がHしながら
どんな顔してレナに愛してるよなんて囁くんだろ?
レオンが問い正したいこととは別の次元の興味が
皆の顔に登っているのを感じ取るとデイアスは
「んんっ」
と、咳払いをして見せた。
デイアスの苦りきった様子に
「まあな。確かにな。おまえのこったろうからそんな時にでもねえと
本当の事を言えねえんだろうけど・・・そりゃあ・・・だめだぜ」
って、レオンの提義した問題の核心に気がついたボーマンだった。
ところが・・・・
「えっ」って顔をしたのはデイアスだけじゃなかった。
クロードもアシュトンも「え」という形で口をあけたままでいる。
『はーん。こいつらも愛する人の中にナニカをつきこみながら
愛しているよと言う口だな』
と、ボーマンは得心してるけど
レオンは立場の違いのせいか、そうそうって頷いている。
「な・・・なんで?」
おもわずアシュトンが尋ねて来たので
「手前、そりゃ・・・
やっぱ、プリシスとこえちまったってことじゃねえのかよ?」
と、核心をついてやると
「あ・・いや・・後学の為に」
と、アシュトンは言い抜けようとする。
「後からの反省っていう意味の後学かよ?」
と、アシュトンを軽くいなしておいて
ボーマンはアシュトンを見ながら喋り出した。
「常日頃・・・普通の時にちゃんといっておかねえとな」
「うん」
って、3人が頷いた。
「セックスしてる時だけ、んな事いうのってな。
気持ち良くってたまんねえって事の表現でしかねえんだよ」
「え?」
「いい気持ちにさせてくれるから、
愛してるんだっていってるみてえなもんじゃねえか?
それって裏返せば気持ち良く感じれる自分愛しいって事になっちまうんだ」
「うーん」
考え込んでいる3人である。
「なあ?ちがうか?レオン?」
「うふ・・・まあね・・・ある面ではね」
レオンの返事にどきりとしたクロードの顔を
ボーマンがみのがすわけもないが
問題はこいつらでなくデイアスのほうなんだ。
「やっぱ、そりゃあ・・そん時に本心を言っちまうってのも大事な事だけどよ。やっぱ、なんでもねえ時にちゃんと言ってやんなきゃ、
レナ本人に愛されてるって自覚をもってもらえねえんじゃねえか?
で、こんなにあたふたしてんじゃねえか?」
ボーマンの言葉を聞きながらクロードはチラリとレオンをみている。
不安げなクロードの顔がレオンの目線と突き当たってしまうと、
レオンは『大丈夫だよ。判ってるよ。クロード』って頷いて見せている。
クロードはほっと溜息をついた。
「やれやれ」
目で会話してる二人がどんな気分になってるか?
どんなに愛されてるか、
どんなに愛してるかを確認されたい、確認したいって
やけに潤んだ瞳でみつめあっちまってる。
「おい。そこの二人は問題ねえようだし、
なんか妙なヘルツを感じてたまんねえんだ。
よう、3人でアマンダにでも繰り出そうぜ。な?クロードそうだろ?」
ズバリと言われちゃうとどう返事するのがベストなんだろ。
「え?あ・・そんな」
って、見ぬかれた欲求を今更隠す術もなくクロードは返事に困った。
(へ?全く強いてえっか、好きものというか)
どっちでもあるけど。
ボーマンはうだうだと返事に窮しているクロードに
「ま、早くしあがったら、でかけてこいや」
と、決めつけて言うと
聞いていた他の奴らも二人の濡れ場を邪魔するバカでもないさとばかりに
椅子から立ち上がり始めた。
「あ・・・」
気をきかせてくれた事にありがとうというべきなのか?
これからどうするかを暴露するようなことを言ったら
ボーマンが又とんでもない事をいいだすにきまってる。
「あ・・ごめん」
ちっとも相談の役にたてなくて御免ってクロードは謝ったけど
もう皆はドアの方に歩いていってて、ボーマンが
「あーん?なんかいったか」
って、いいながら既にクロードの後ろにたっているレオンの事を
顎でしゃくる様にしてみせた。
レオンを振向いたクロードの耳にボーマンの声が
「はやく・・なんとかしてやれよ」と言ったのか
「早くなんとかしてもらえ」と言ったのかは判らなかった。
だって、ドアが閉まる音に重なって聞こえたせいもあるけど
ドアの音が聞こえた途端クロードはレオンを抱き締めて
一番大好きなレオンのうなじを舐め上げ始めたんだもの。
ボーマンのセリフなんかもうどっちでもよかったんだ。
すぐにあまやかな快感を訴え始めるレオンの声しか、
もうクロードはきこうとしてないんだから・・・・。
そんなわけで3人はアマンダに座っている。
どっか妙に疑った目付きでアシュトンはボーマンをずううっとみている。
「なんだよ」
「だってさ」
「あーん。なんだよ?」
「つまり・・・さっきの話しだけどさあ」
「Hの最中の(愛してる)はないぜってことか?」
「う・・うん」
ボーマンあんまし大きい声で言わないでよ
って、アシュトンは小さくなって返事した。
「それが・・・なんだよ?」
「つまりい。あいつら。それの見本みたいなもんじゃない。なのにさ」
アシュトンの疑問がボーマンには判った。
「愛し合ってるよなってか?」
「うん。そう。だから。ボーマンのいう事は少しおかしいよ」
「おまえなあ」
ボーマンは大きな息をついた。
「なに?」
「そりゃあな。男同士とな、男と女のセックスと感情の違いだよ」
「ど、どういうこと?」
「あんなあ。あいつらにゃあ。セックスが二人の世界の頂上なんだよ。
セックスする事が頂上にいる証なんだよ」
「・・・?」
アシュトンには不可思議な説明でしかない。
「だけどなあ。男と女はそうはいかねえんだ。
デイアスがいい証拠だろ?セックスしてりゃ頂上にいれるんだったら
そのセックスの結果にこんなにあたふたする必要はねえだろ?」
「う?うん・・・・うん?」
「わかんねえかな?男同士にゃ、妊娠はねえよ。
これ以上、相手を変化させちまうって事はねえよ。
いいか?相手を変化させるって事は自分も変化してかなきゃなんねえんだ」
「あの?」
「つまり、あいつ等は永遠に恋人同士でいられるけど
ま、恋人同士以外の者にもなれねえよ。
その点、男と女は色んな変化があるだろ?
恋人だったり妻だったり、色んな立場にかわっちまう。
自分だけの物だったのに・・・。
え?母ちゃんになんかなってみろよ。
そしたら、何時の間にか男も父ちゃんって自分にもなってるんだ。
恋人同士の頂上に留まっているわけにゃいかねえんだよ」
「・・・・」
「だから、男と女は何もかもをセックスで表現し
治めちまおうってだけじゃいられなくなるんだ」
やっと納得いったような顔をしたアシュトンは更に納得を深めた。
「ふーーーーん。ボーマンがニーネを本当の意味の母ちゃんにしないのは
自分だけのニーネじゃなくなるからなんだ」
「な・・」
とんでもない蛇を藪から突付き出させてしまったボーマンである。
アシュトンの何気ない一言にどうやら図星を指されたボーマンが
言葉をつまらせてしまったのをデイアスは苦笑しながらみていた。
「なあ、デイアス。レオンもそこらへんのところをいってんじゃねえかな?」
デイアスのほうに振り返るとボーマンはいった。
「かもしれないな」
無口過ぎる男ではあるがレナを想う気持ちにだけは勝てない様で
「確かに・・・・つたえてない」
と、事実を認めたのである。
「その結果が今のレナじゃねえか?」
「そうだな」
「結婚とか責任とか言出す前に、
まずそのあたりの御互いを良く踏み固めておかねえから
次に起こってくる事にあたふたしちまうんだ」
頬づえをつきながら聞いていたアシュトンは
「ふーん。ボーマンはいつまで踏み固めてる気?」
って、またボーマンをからかっている。
「やかましい」
3人は話しの結論がみえだしてくると
やっと、目の前に運ばれてきていたビールをグラスに注ぎ始めた。
アマンダのドアを開いた女性は目敏く3人を見つけると側に寄って来た。
「あっらあ?皆様どうなさったの?珍しい顔ぶれじゃございませんこと?」
デイアスがこんなとこに来るのをみたことはない。
その話し方で声をかけられた皆様だって、その女性が誰なのかはわかっている。
「よお・・いいところにきたじゃねえか」
と、ボーマン。
「な、なんですの?」
「いや。ちっと。女としての気持ちってのを・・
参考にさせてもらいたいなって」
「まあ、どうせ・・そんなことだろうと思ってましたわ」
セリーヌのいうそんな事ってどう言う事かって?
どうせ男3人集っていれば話題の中心は
これ以上、むさくるしい男のことをはなすきにはなれないだろう。
おまけにボーマンがいるんだもの。と、なれば女性の話。
いや・・女性との話し.
どうせボーマンの事だもの。
新たなるテクニックとか素敵なムードづくりとか、
その気にさせる口説き文句とかをご教授してるんでしょう?
っていうのがセリーヌの推理だったんだ。
「まあ・・・座れよ」
なんだか、いいつまみにされそうでもあり
セリーヌは戸惑ったけどボーマンは立ちあがると
セリーヌの為に椅子をひき軽く押してセリーヌを座らせると
その手にグラスを握らせ、トクトクッとビールを注いでしまった。
その間・・・わずか10秒もあっただろうか?
さすがボーマンなのである。
こんなパターンで迷ってる相手を何度物にしてきたんだろうか
って考えさせられてしまうほど見事なてぎわよさなのである。
「まあ・・・のめよ」
セリーヌはくいーとグラスの中の物を飲み干すと
ボーマンはもうビールを片手に持って
セリーヌの空のグラスにビールを注いでいた。
「なあ・・・おまえ。Hすんのってきもちいいよな?」
「ひ・・っく」
質問の内容はいきなりすぎたけど、相手がボーマンなら
こんな事でたじろいでいるわけにはいかない。
「あの・・・・愚問でしてよ」
そうそう。そんなのって感覚の鈍い女にたずねることじゃないか?
セリーヌだってこれでそこそこ・・・。
あっ、いや。これは彼女のプライベートな事であって
作者が横からすっぱぬくわけにはいかない。
「ま。そうだよな。で、ききてえことはよお。
そん時にさあアイツは愛してるっていうわけかよ?」
「えっ?」
「愚問だったか?」
ボーマンがかすかに笑ってるのは、
セリーヌがなんでわかるのよって顔をしているせいだ。
「そうねえ。そんなことより、
なんでそんな事を質問するのかをきいてもよいかしら?」
「ちっ。そうきたかよ?」
ちっとばっかしセリーヌのプライベートをセリーヌ自身の口から
いわせちまおうってボーマンの目論見は上手くかわされてしまった。
「まあ、なんだよ。女ってのはいつでも愛してるっていってほしいもんだろ?」
「そりゃあ・・・そうでしょうけど」
と、質問のわけを言おうとせず重ねて尋ねて来るボーマンに
セリーヌもうっかりとは答えず人事としての想定論としてだけ答えている。
「セックスの時だけにしか、そのセリフをきいた事がねえってのはどう思う?」
「は・・あ?」
黙ってしまったセリーヌである。
「どうなんだよ?」
「そ、それは・・・その人にも、よることだし」
ああ・・・・セリーヌの馬鹿。
「お前にゃ、お前の場合しかわかんねえだろうが?お前はどうなんだよ?」
「はい?」
わざわざ自分からボーマンの追求を許しちまったセリーヌである。
「大事なことなんだ。男側からの意見じゃ
デイアスが今一つ納得しねえんだ」
確かにデイアスも完璧に納得してるわけじゃないけど
どっちかと言うと、ボーマンの好奇心の方が納得してないようなんだけどねえ。
「教えてくれねえかな?」
なんでデイアスが納得しなきゃなんないの?
って、思いながらもボーマンの低姿勢って言うのは
妙に女心をゆさぶるようで・・・・セリーヌはとうとう
「あの・・・・二つの場合がありましてよ」
と、いいだした。
「二つ?」
「一つは、あの・・・初めの頃は・・・あは、ほほほほ」
自分の体験を話すとなれば誰でもてれくさくなってしまうにきまってる。
オマケに男三人に囲まれているんだ。
だけどさすがボーマン。
言渋るセリーヌの一言でセリーヌの言いたい事が見えていたんだ。
「なるほどなあ。
よっぽどセックスを覚えちまった場合とそうでない場合にもよるか」
「まあ・・・そう言う事ですかしら」
「で、具体的にどうなんだよ」
ボーマンの質問にセリーヌはほうううと大きな溜息をついた。
ボーマンの瞳がひどくまじ過ぎて
答えをはぐらかせられるものではないとセリーヌに悟らせていた。
「かまわねえじゃねえかよ。
おまえみたいにいい女に色々恋があるのはあたりまえだろ?
何にもねえなんて方がおかしいぜ」
セリーヌの躊躇いもそこにあったんだ。
ボーマンにそういわれると
今更、かまととぶるのも、らしくないかとセリーヌも考え直していた。
「あの、最初の頃・・・そういわれちゃうと。
その、その事で相手がそんな気持ちになってくれるのが嬉しくて・・・」
「お前も、がんばちゃったってか?」
「まあ・・・そういうことかしら」
「で?」
「あ?」
「あとになったら?」
「あ・・後になってきたら・・・そんな事いわれちゃ」
って、セリーヌがなにを思い出してかひどく火照った顔になった。
「いっそう、切なくなってたまんねえ?・・・か」
「・・・・・・」
と、いうことらしい。
「ふーん」
と、ボーマン。
セリーヌがやっぱ、いい女だって事を具体的に聞かされりゃなんだか嬉しい。ボーマン?あんた。なに考えてんの?
(アーン?たまんねえじゃねえかよ?
こう・・・セリーヌのスウィッチに振れて、
どんな風に感じちまうのか試して見たくなるってのは男心だぜ。
と、言っても・・今はそんな場合じゃねえしなあ)
「実はな」
ここにいたってやっとボーマンはデイアスの状況を説明し出した。
「なるほど・・ですわね。レナもその時その時のことしか
目にはいらないこですものね。
そりゃあ、頭ではセックスすれば、妊娠は有得るって判っていても。
現実妊娠をつきつけられれば色んな事が出来なくなるし
そこらへんのいらいらがつのるってことでしょうね。
でも。ボーマンのいうとおり何でもない時にこそ
愛してるって事を判ってもらっておく事は大切なことよね」
「やっぱ・・そうだよな?」
「妊娠って事実はとっても重たい事でしてよ。
しっかり愛されてるって土台があれば
木に重たい物がぶら下がっても大丈夫だけど・・・
土台が不安定だとその重みで木ごと倒れてしまうかも」
「え?」
ずううっと黙って聞いていたデイアスがびくっとした。
セリーヌがデイアスを見ると
そこには不安感に張りつめられている憐れな男がいる。
こんなデイアスも見た事がない。こんなに本気なんだなってわかる。
「なくしたくないですわよね?だったら、子供をどうするかとか
結婚をどうするかとか、そんな物事の対処なんか、後回し。
どんなに思ってるか、しっかり伝えて
レナの土台を作ってあげるべきで御座いましてよ。
土台さえしっかりしちゃえば
レナの方向も自然ときまってゆくと思いましてよ」
セリーヌの言葉にデイアスは今度こそしっかりとうなづいた。
デイアスの瞳の中にしっかりした指標が宿っているのを
ボーマンはみてとると
セリーヌを見て言った。
「え?的をえたことをいうじゃねえか」
って、ボーマンのセリフはそれでセリーヌの協力に感謝をあらわしているんだ。
デイアスの件については解答が出た。
後はデイアスが動くしかないんだ。
と、なると。
「よお。ちっと場所を変えて・・・のみなおさねえか?」
って、ボーマンはセリーヌだけに判る秋波を送出した。
駆けつけに飲んだビールがセリーヌを幾分か酔わせていた。
「うふ」
なんて、ボーマンの色目遣いに悪い気はしないセリーヌなのである。
だってねえ。セリーヌだって随分大人の女性だし、
その魅力にほだされてるボーマンなんだもの。
自分の魅力を下手に口なんかで誉められるよりは
よっぽどボーマンの一見、いやらしげな目付きは
セリーヌにして見りゃ有無を言わせぬ
とてもセクシーな口説き文句になっちまっていたんだ。
「うふ」が承諾の意味になるってのは
こりゃあ本人同士にしかわかんないことだけど
「じゃあ・・いこうぜ」
って、ボーマンは立ちあがってセリーヌの肩を抱く様にして出ていっちまった。
その後、二人がどうなったか。
飲みなおすだけで終っちまうのか。
ボーマンの先制攻撃のあまやかな指の動きに酔わされて、
結局セリーヌはボーマンに愛してるよなんて言われて
タマンナク切ナイ快感に喘ぐ表情をボーマンに見せつける事になっちまうのか。さて・・・・どうなっちゃうことやら?
「はあああーー」
残ったのはアシュトンとデイアス。
「かまわないぞ」
アシュトンももうプリシスの所に行ってもいいんだぞ
って、デイアスは言っている。
「ん・・でも。僕・・・人事じゃないし」
「?」
アシュトンの顔付きがなにかを聞きたそうな様子になっている。
「なんだ」
「あ・・ん・・あの」
「ん?」
「あの、聞いても怒んない?」
「ああ」
ここまで色々ぶっちゃけさせられたんだ。
何を今更とデイアスは頷いている。
「あの・・なんで失敗・・・
ううん。失敗ってわけじゃないんだろうけどさ。
その、なんで?どう言うふうにしてて・・できちゃったのかなって?」
「ん?ああ」
レナがピルなんか飲むわけがない。
できちゃうと判ってる状況なら
その時点で『できたら産めよ』っていえるわけじゃない。
なのにデイアスがレナん中に発射しておいて
できるかもしれないって自覚がないって事はおかしなことである。
だとしたらデイアスは膣外射精かサックで対処してるってことになる。
なのに失敗するって・・・?
これは僕もきいとかなきゃなんないってアシュトンは思ったんだ。
「周期。危ない時は外だったんだ」
と、デイアスは答えた。
やれやれ。この男の意外な側面をまたみせつけられちまったよ。
つまり、デイアスはレナの生理周期をしっかり計算してたってことなんだ。
何が意外だって?
考えてもみてくれないか?
この男が指を折って今日はレナの中に発射してもいいとか、
ああ、今日は外かよ?残念だ。
って、やってるわけじゃないか?
なんか、笑ってしまいたくなるけど。
と、いっても、本人には中か外かは充分に真剣なことなわけだ。
「え?と・・いうことは」
「多分周期がずれたんだろ」
「ふーん」
そう言う場合もあるのかとアシュトンは考えなおしている。
「で・・・おまえは?」
「え?」
「お前はどう対処してるんだ?」
「え?」
「人の事だけ聞いといて、自分の事はいわないのか?」
「あは」
「いえ。ばかやろう」
「あの後、7日くらいは大丈夫なんでしょ?」
色んな説があってまことしやかに伝わっているけど、
当てになるとは限らない。
デイアスのいう方法は排卵日が
生理日の10日から14日後にくるという説から
排卵日の5日間とその前後の3日間程を遣り過ごすと言う考え方で、
基本的にはアシュトンも同じ様な事をいっているんだ。
「で・・・危ない時はどうしてるんだ?」
アシュトンの方法だとデイアスより危ないと数える日は多くなる。
サックなんか使ってたらいい気分はぶち壊しになる。
かといってデイアスがレナに
『女の子がつけてあげるもんなんだよ』
なんて言いにくくて
・ ・・・デイアスは使ってない。
でも、アシュトンはどうしてるんだろ?
上手く雰囲気をぶち壊さずはめてる?
それとも・・あの、プリシスにつけてもらってる?
デイアス?あんたいったい何考えてるの?
「う・・・うん」
って、アシュトンは口篭もると
「耳かして」
っていった。
男同士の内緒話の図柄じゃないぜとは言うものの
・・・・なんだかきいてみたくなる。
デイアスはアシュトンの側ににじり寄った。
「え?」
「 」
―この部分はデイアスの耳の中にしか聞こえてないのであしからずー
「え?え?本当に・・・」
「うん。でね。― ― なんだあ」
「プリシスが?あの・・・プリシスが?」
「うん。まあね」
「まじかよ?」
レナだってしてくれない事を(いや、させれないというべきか)
あのがっきぽいプリシスがアシュトンのためにしちゃう?
「よく・・・」
ボーマン風に言えばー飼い慣らしたなとか
し込んだなーとかまあろくな表現にはなんないけど、
まっ、デイアスの言いたい事はその辺りだ。
なんだか自慢げなアシュトンの顔を見てるデイアスはというと
これがまた随分うらやましそうな顔になっている。
「どうやって?」
と、思わずデイアスは尋ねてる。
それどころじゃない問題があるはずなのに、
どうしてこう男ってのはいやらしんでしょ?
それに危ない日の対処方法としてだけ考えるなら
そんな事デイアスには必要ないことなんだけど
なのにデイアスはひどくうらやましげに
プリシスをその方法に導いて行った遣り口を教授願っている。
「ふふん」
って、なんかひどく気分良さそうに鼻を鳴らすと
やがてアシュトンは小さな声で話し始めた。
寄り添うように顔を付け合ってる二人の頬が妙に赤くてオマケにひそひそ。
妙な光景であるけどそんな傍目を意識してたら
はなしなんかするわけもないか。
話し終えたアシュトンが
「でも・・デイアスはそんなしてもらう必要ないじゃない」
って、ニカッと笑った。
アシュトンもデイアスが必要性でなくて、
男のスケベ心で聞いてきてるのは重々承知の上だったんだ。
「試してみたくなったんでしょ?」
「え?」
デイアスの中でそん時のレナの顔が想像された。
少し辛そうなレナの顔が思い浮かぶ。
ひょっとしたら泣いちまうかもしれない。
なのに、デイアスは自分の物を軽くうごかしてやる。
レナがそれでもデイアスをうけいれて・・・・
たはっ・・・・
「だめだ。俺・・・帰る」
「レナに宜しく」
「ば、ばかやろう」
図星だったのだろう。
アシュトンの言葉にデイアスはひどく狼狽した。
だけど、そんなことで、
やっぱりレナん所にいくのまでやめる気になるわけはなく、
デイアスは立ち上がった。
「しらないぞー。お酒も入ってるし
オマケにレナはこれ以上妊娠するわけないし」
ひどく高揚してるデイアスがレナをどんなに攻めちゃうかしんないけど
「あは・・僕も帰ろう」
プリシスんとこにってルンルン気分で席を立ったアシュトンは気がついた。
「え?」
舞いあがったボーマンもデイアスも
しっかりアシュトンに伝票を置いていってくれてたのだ。
「ありい?」
― あり。―
ノックの音が聞こえた。
「ん?」
ドアを開けるとデイアスが立っていた。
「だいじょぶか?」
「あ・・もう、平気よ」
レナの具合の悪かったのをやっぱりデイアスは気がついていたんだ。
デイアスに捕まえられたレナの
この間は御免っていう言葉が宙に浮いたままになった。
元気そうなレナの顔を見るとデイアスの不埒な心がうごきだしてくる。
アシュトンから教わった事を試してみたいけど
やっぱそうはいかない。
そんな事する必要もなくなってる。
後ろ手でドアの鍵を懸けるとデイアスはレナを抱きしめ
レナの頭に手を添えると逃げようのないレナに
いきなりの激しいデーイプキスを与え始めた。
そして力なくよりかかってくるレナをその場に寝かせ込ませた。
「愛しているよ」
また・・やっちまった。
こうなる前に言わなきゃなんないことなのに。
もう一度唇を塞ぐとデイアスの手はレナの胸の突起を探り始めていた。
肌蹴た胸が顕わになると、軽く膨張した胸の先端を
左右かわるがわるに舐め上げ舌をころがしてクッと噛んで見せると
「ああああ」
って、レナが声を漏らした。
「いたいか?」
「ううん・・なんか、へん」
痛みが痛みだけでないのはなぜだろう。
デイアスとのはじめての時の痛みもそうだった。
痛みを味あわされることだけを考えればこんな拷問はない。
が、それを受け入れる事が女の愛なんだろう。
愛する人に痛みを与える事が男の愛なんだろう。
そんな成立つわけもない数式が成立つ。
逃れられない痛みを与えられ、痛めつけられて
レナはデイアスを享受する女になった。
優しくされるだけでは動かなかったレナの中の何かが
デイアスに服従してしまっている。
「もっと」
レナの言葉にデイアスはもう一度レナの胸を細かくかみあげた。
「あ。いや」
細かな痛みが裂く様に襲ってくる。
なのに・・・こんな痛みを与える事ができるのはデイアス・・・あなただけ。
特別な痛みに屈服しデイアスの所作の一つ一つに喜ぶ女が育ち始めていた。
舌で舐め上げた胸の突起の固さがレナの快感を教えてくれている。
『俺の女・・・』
デイアスはゆっくりとレナの下着を毟り取りながら
肌を露出させて行く部分に舌を這わせていった。
「あ」
デイアスの顔が柔かな茂みを滑り降り、造作なくレナの足を広げると
その中心にデイアスの舌が落ち込んで行った。
滑る場所を押し広げデイアスの舌は
レナのか弱い場所をすすりあげはじめていた。
「あ・・いや」
デイアスの蹂躙の様をどう説明すればよいだろうか?
激しい息遣いと切ない喘ぎが間断なく繰返され
デイアスはその間にズボンのベルトを緩めていた。
下半身があらわになると、やっとデイアスはレナのその場所から顔を離した。が、すぐに
レナの場所にデイアスのものを滑り込ませて行った。
「あいしているよ」
全く書いてるほうが恥ずかしくなるくらいに真剣に
デイアスはレナに何度もそういう。
軽く蠢かしながらデイアスは上着を脱捨て
レナの体にまとわりついていた服を取り去ってしまった。
素肌の接触がレナを更に陶酔の中につつんでゆく。
『なにもかも・・・ひとつに重なる』
肌も・・・生殖器も・・・時間も・・・愛も・・・快感も・・・なにもかも・・。
レナの陶酔もさながら、
久方ぶりってのがいけなかったのか、
レオンやアシュトンの話にいいほど刺激されてしまっていたせいか。
デイアスの気が急上昇していた。
「いっちまいたい」
って、いうとデイアスは急に動きを早めた。
「だ、だめ」
デイアスの動きがレナの中でフィニッシュを求め出す物だと判ると
レナは切ない息の中から制止を求めた。
「駄目・・・まだ」
「ん?あ、ああ・・レナ、レナ」
いっそ受け止めてしまいたいレナだけど・・・まだ
「駄目。まだ、赤ちゃんは・・ね、今、危ないの」
「え?」
デイアスはかろうじて発射を回避した。
とはいうもののたまらない疼きがおこり出してきているのを止めちゃうって
どんなに切ないだろう?
普通なら、堪えられそうもないのをデイアスが留められたのも
レナの言葉が意外だったからだろう。
「レナ・・あの」
「ごめんなさい。本当に危ない日なの」
今までデイアスが気をつけていたから
レナがそんな事を計算してるなんて判る訳もなかった。
それに、いや・・それよりも
「できたんじゃなかったのか?」
「え?」
きょとんとしたレナの様子でどうやらデイアスの早合点だと判ると、
そうそう、まだ、何でもないときに愛してるよっていってないんだ
と、デイアスは思い出した。
「あいしてるよ」
「うん」
って、言ってもねえ。
そりゃあ、確かに何でもない状況に近いかもしんないよ。
でも、やっぱ、これもなんでもある状況だよ?
だってねえ?どう見たって一応、動いちゃいないけどさあ。
まだレナん中にデイアスの物が
そそり立ったままはいりこんでるわけだしい・・・・。
ま、いいか。
「ああ」
切ない声とともにデイアスは自分の物をレナの中からひきぬいてはみたけど
「レナ」
レナを抱きかかえるとデイアスはレナをベッドに運んだ。
いきなりのデイアスの猛攻で忘れてましたが
ここはドアの前。
いかにデイアスが燃えてたか、よくわかるってものですけど。
あんまし良い場所じゃないよね。
ゆっくりレナをベッドに降ろすとレナのうなじを舐め上げながら耳元で囁いた。
「レナ・・さわって」
と、おさまりきらないディアスの僕ちゃんをレナの手に預けた。
レナの愛液でぬるりと成っている物をそっと包み込むと
ぴくんとうごめく・・・。
「デイアス?」
切ないよね?
レナの滑りが絡みついた物は
そのせいでレナの指の動きをここちよく滑らせていた。
「気持ちいい?」
返事のかわりにディアスは再びレナの下半身に手を伸ばした。
いなくなったデイアスのものの替わりに指を入れ込むと
小刻みに震えるような動きを与えた。
「あ・・デイアス」
それっきりレナの指の動きは止まり
いつのまにかデイアスがレナの下半身に顔をうずめて
レナに切ない声を漏らさせていた。
「いや・・あ、あああああ」
レナの手は漏れてしまう声を押さえる様に自分の口をおおっていた。
そのレナの手をどかせると
デイアスはレナの唇の中にデイアスの中指を割り込ませて行った。
レナの声さえもデイアスへの指でとどめさせてしまうのを
みてみたかっただけかもしれない。
が、レナはデイアスの指を吸う様にして舌をからめだした。
「いいこだ」
レナにはデイアスの指さえいとしい。
そして、愛しさに答える事さえもおぼえだしていた。
その様子にデイアスはアシュトンから聞いた事を実行し始めていた。
レナの唇の中に中指をあずけたまま、
ひとさし指でレナの唇をキレイになぞった。
ひとさし指の動きとレナの下半身の中をうごめくと指の動きに
レナは放心したかのように唇をかすかにあけた。
その隙間にデイアスはもう一本、人差し指をさしこんでいった。
口の中への愛撫がレナを夢中にさせ
レナの舌はデイアスの指を再び愛撫し始めていた。
「レナ」
レナの頬にあたるなよやかな感触の物がなんであるかを考えつく前に
デイアスはレナの唇の中のそっとひきぬくとレナの頬に当たった物を
ゆっくりとレナの口もとに寄せていった。
ひどく恥ずかしい事であるはずなのに、
レナはそのまま唇をデイアスの物に寄せた。
「レナ・・・そのまま」
デイアスの望みをレナは自然に理解できていた。
さっきのデイアスの指への愛撫そのままを、
デイアスの物にも与えてしまいたい。
レナは舌でデイアスの物を優しくなぞって行った。
やがてデイアスはとろりとした愛液がしみでてくる先端を
レナの唇におしあてた。
「レナ」
デイアスの懇願を帯びた声がレナの躊躇を断ち切った。
レナはゆっくりと唇を開いて行った。
デイアスがそっとレナの顔を押さえゆっくりとレナの口の中に
デイアスの物を飲み込ませ始めて行った。
デイアスの物をくわえ込んだレナは相変らず目をとじたままだったけど
デイアスは自分の物をくわえ込んだレナをじっと見詰めながら
軽く自分の物を動かしてみせた。
「レナが・・そうして・・・」
デイアスの言葉にレナは素直に従っていた。
溢れ出す唾液がデイアスの物を伝い落ちてゆく。
デイアスはレナの手を取るとレナの口もとの下にある物をさわらせた。
ぐにゃりとした感触に思わずレナは手をかじこまらせた。
「そっと・・さわって・・・」
やがて、デイアスの思いは達せられる。
発射の波が来る快感に思わずデイアスはレナの肩をつかんだ。
レナはデイアスの慟哭にたじろぐ事なく、
彼の物を・・・彼の頂点を口の中で受け止めていた。
「ありがとう」
どこまでも自分の求めに服従してくれるレナに、
デイアスの物になりきろうとするレナにそう言うと
デイアスのものを口に含んだまま、
どうして良いかわからないでいるレナから自分の精液を唇を寄せて受取った。
「あ?」
レナが声を上げるのも無理はない。
デイアスはレナに渡したレナへの愛しさの証を
自分の口の中に受取るとゴクリとのみこんだんだ。
言葉でいくら言っても上手く伝わらない事が多いけど、
レナへの愛しさを一つたりとても外に放り捨てる事のできないデイアスの
この表現は痛烈にレナを打ちのめしたんだ。
「デイアス」
口の中はデイアスの精液の青臭くほろ苦い味に満たされているのに
二人はそれを共有するかのようにキスを繰り返した。
「こんなことでも・・デイアスを」
って、レナはうつむいた。
どういいたかったんだろ?
喜ばせてあげられる?
気持ち良くして上げられる?
受け止められる?
いずれにせよ。レナが言葉にするのが恥ずかしかったんだ。
「すてきだったよ」
って、デイアスはいった。
「でも、いつかレナのキティと一緒にイキたい」
って、レナのキティの方を望んでる事を告げた。
あくまでも
デイアスにとっては危険日の対処のひとつでしかない。
だって
「レナの気持ちが良さそうな声がいい。それに・・レナのキティは素敵だよ」
ストレートにキテイへの愛しさを言われても
照れ臭さがどっかににいっちゃってるのは
レナもデイアスの物に対して同じ感情を覚えたせいだろう。
その上でいくばくかの不満があるのもデイアスの言葉で解消されていた。
キテイに対するデイアスのものからの愛撫を
他に向けられた事に不満を感じると言う事は
レナの中がずいぶん感じる女になっているってことだったのだろう。
「うん」
頷いてレナは続いて出した自分の言葉に驚いていた。
「ね・・今度はキテイを可愛がって」
レナはドキドキする胸の高鳴りを感じながら、デイアスの胸の中に顔を埋めた。
「ああ・・言われなくても、そうする」
レナの髪をやさしくなで上げながら
デイアスは安全日がいつになるのかを考えていた。
最後の最後をレナの中で果てちまう快感がどんなに心地いいか。
デイアスにはよく判ってるし、
レナを動けない様にして思う様に突き上げてゆく時。
レナをどんなにか我物にしているかを知らされるあの征服感。
『だけど俺は・・・おまえに・・勝てない』
どっちが征服されてんだか。
レナのさっきの顔を思い出しながらデイアスは思った。
『おまえに愛されてんだって・・その思いで俺をうちぬいちまう』
「レナ・・・ずううとそばにいろよ」
恋人はしっかりとデイアスの胸の中。
そして、頷いた。
(おわり)
****エピローグ*****
その頃。
プリシスの唇の中にやっぱりアシュトンも指をいれてみてた。
そして。
デイアスに言った様に
その指を上手くアシュトンの物とチエンジするはずだったんだ。
なのに。
途端にプリシスはそっぽ向いたんだ。
「え?ありい?」
それはこっちがいいたいセリフだよ。
どうしたんだい?アシュトン?
君の恋人は
ばっちしオーラルセックスを堪能させてくれるはずじゃなかったのか?
みっともなくもそそり立った物をぶんぶん振りまわしながら
アシュトンはダダを捏ねて見せた。
「ねえ・・お願いチョットだけ」
デイアスにああ言った手前もある。
アシュトンも口を付いて出て来た大見得を本当に体験してみたくもある。
「や!」
って、プリシスはにべもない。
「ンなこといわないで・・・・お願い・・・ね。ねっ。」
「いーーーや。」
「さきっちょだけでいいから・・・ねえ・・・なめてよお」
泣き落としかい?アシュトン?
「やだったら」
「ねえ?お口の中にまでいれてくんなくていいからさあ
ここんとこ・・・ね?すこしだけ?
ね?プリシス・・・・・・どうにかしてよおおおお」
「いや。いやなものはいやなの」
「なんでだよお」
「やーよ。だって、不気味だもん」
「そんなこというけど、プシイにはうれしいんでしょ?」
そうだよね。ノーマルセックスだったらかまわなくて、
なんでオーラルだったらそんなに拒むんだよ。
「いーの」
「か、勝手だよなあ」
「どっちがよ」
「プリシスに決ってるだろ?」
「なによ。私ね、そんなの聞いてると
私のプシイがよっぽっどつまんないだって・・思えちゃうけど?」
そう言う見解も成立つ。
「あ、そうじゃなくてさあ。その可愛い唇でさあ・・・」
「駄目よ。調子のいいことをいっても・・・。し・な・い!」
「それってどんな気分になるかしってるくせに・・・」
そう言うとアシュトンはちっともオーラルにOKを出してくれない面当て半分。説得半分で逆にプリシスのを舐めてやるって決めたんだ。
「ア・・・ヤダ・・・アシュトン」
なんていうプリシスの声が聞こえると続いてたまんない嗚咽が漏れて来た。
やがて・・・
「ね・・ね・・ね」
って、プリシスがアシュトンの物をねだる声に替わってき始めた。
なのに。
「や、いれてやんない」
「エー?そんなのない」
って、プリシスが縋って来るのをアシュトンはおさえつけておいて
「僕のを・・・なめてくれる?そしたら・・」
「・・・・・・・」
で・・・その後。
プリシスはアシュトンのお願いをきいてあげたのかな?
それとも・・アシュトンは辛抱切れて、
プリシスのプシイのほうの誘惑に負けちゃったのかな?
そこらへんのとこまで確認してると、
この話しが長くなるので
結果は皆様のご想像にまかせますね。
なんにせよ。
アシュトンがデイアスに大見得を張ってたってことだけは
ばっちり判っちゃいましたけど・・・。
おかしいなあとは思ってたんですよ。
だって、デイアスの言うとおりあのプリシスがねえ。
でもさ。
デイアスにはひょうたんから駒でしょうね。
本当はレナにちゃんと愛してるって言わなきゃなんないのは
デイアスのほうなのに、
レナにあんな事してもらえて
こんな事してもらえて。
愛されてんだよなってデイアスの方が深くうなづいちゃってるよ。
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