ボーマン・ボーマン・3
― 恋の処方箋 ―
ボーマンの両刀使いは有名なことである。
でも、そんな事全然知らない人もいる。
今までのシリーズを読んでくれてる人も
まだボーマンが♂の方、相手にしている場面に
出くわしてないから
「あれ、そうなの?」
って思う人が多いかもしれない。
ちなみにそんな事全然知らない筆頭者は
勿論奥さんのニーネなんだけど、
仮に彼女に事実を告げてもニーネは信じないし
逆にからかわないでよって怒り出しちゃうと思うけど・・・。
そんなボーマンが
今日はこっそりレオンと逢引きしている。
「レオン」
って、声をかけるだけで
レオンはボーマンの腕の中にとびこんできた。
そのままレオンを抱き締めて
片手で顎の下に手を沿えてキスを与えて行くと
空いてるもう一方の手でレオンのズボンを・・
勿論、下着も脱がせて行く。
そのレオンもボーマンのベルトに手をかけて
やっぱりボーマンの立派な物を外にさらしだした。
なんだかレオンが焦っているのは無理もない。
「クロードが待ってんだろ?」
「ん・・・」
ボーマンにそういわれるとレオンが短く返事した。
「ちっ、しかたねえな」
って、言いながらボーマンはレオンの腰を引寄せてゆくと
レオンの中にいきなり挿入させて行く。
なのに、途端にレオンの口から声が漏れ出す。
「ああ・・ああああ・・・」
「へっ、覚えちめえやがってよお。クロードに思いきりやられてんだろ?」
「あ、・・や、だ・・・今は・・ボーマンだけ・・だよ。
クロードの事なんか・・いわない・・で・・・」
って、喘ぎながらもレオンがやっとそういった。
「え?かわいいこというじゃねえか」
「あ、ん、だって・・ボーマン、す、ごく・・上手・・だ・も・の」
って、切なそうなレオンの声。
あんまり遅くなるとボーマンとレオンの秘め事がクロードにばれちまう。
だから、ボーマンは思いきり腰を揺さ振った。
「あ・・あああ・・ん・・い・・やだ・・あ、いい」
って、レオンがますます切ない声を上げて行く。
「もう・・たまんねえんだろ?え?」
「ああ、ん・・んんん・・・ああ」
「よく締め付けてきやがるぜ。あん?おら。辛抱してねえでいっちまえよ」
「あ・・・ん・・ん・や・・」
「おら・・・いけよ」
って、ボーマンがますます揺さ振りかけて行く。
「あ・・・・ん、んん・・・ん、ああああああ」
って、堪えてた物が一篇に吐き出されてくと、
レオンの声がとろけだすような嗚咽に変り、
長く尾をひくとレオンの中が小刻みにズキズキって、震えだした。
「いいぜ・・・レオン」
ボーマンはそのまま・・動かし続けてやる。
そうしてやるとレオンの飛空時間が長くなるのを知ってるからだ。
「あ、、あああああ・・・・ああ、ん・・ん・・・あ」
って、レオンはもう、ただただボーマンのくれる快感に服従している。
ボーマンの大きな手がレオンにきた
もうひとつの至福からの発射をうけとめてやった。
やがて:・・二つの波を向かえ終わったレオンをボーマンは離してやった。
「クロードに・・・ばれねえように・・・しろよ」
「あ・・うん。」
レオンの手が伸びてくると名残惜しそうに
ボーマンの首に腕を絡ませて唇を重ねて来た。
「またしてやるって・・・な?」
「ん。・・・本当だね?」
「ああ」
「ああ―。ボーマン。きっとだよ」
レオンのものを受けた手をペろってなめながらボーマンはレオンをみた。
それがボーマンの返事になった。
望まれてる嬉しさにレオンは目をふせた。
(たく・・お前みてえな奴・・・頼まれなくたって離しゃしねえさ)
ボーマンはそんな事思いながらレオンとの残り少ない時間を惜しんだ。
「え?レオン。なあ・・俺。お前とこうなれるのが夢だったんだ。
でもよぉ。おまえにゃクロードがいるしよお。
諦めてたのに・・・こんなの、本当に夢みてえだよ」
自分で言った言葉にボーマンは頬を抓った。
ちっとも痛くないし、抓った頬が、ぐにゃああってのびてきて
「え?」
って、ボーマンはびっくりした。
― そして、 目が醒めた ―
(な、なんだよ!?夢かよ?本当に夢かよ?
ええー?えらく、リアルだったじゃねえかよ?あーーん?
俺・・・たまってんのか?)
ベッドの上に置きあがってボーマンはポリポリ頭をかいた。
その横では愛しのハニーがかすかな寝息をたてている。
(ちっ・・ここんとこ♂の方にご無沙汰のせいだな)
って、ボーマンは妙な反省をしながら
ベッドに身体を横たえるとニーネの身体を自分の方に引寄せた
まどろみ半分で彼女はボーマンの胸に顔を埋めてくると
「ボーマン・・・愛してるわ」
って、いった。
勿論、寝言でニーネは覚醒してない。でも
(ち、お前にそんな事言われちゃ・・俺、たまんねえだろうが・・・)
って、ボーマンは思いながらニーネを見た。
「俺も・・愛してるぜ」
って、呟くとボーマンはすやすや寝息を立ててるニーネの額に
軽いキスを与えるともう一度眠りに付くことにした。
その腕の中に愛しのハニ―を引寄せてボーマンは安らかに眠る。
と、いったって、死んだわけじゃない。
ボーマンの腕の中のニーネの重みが
ボーマンを一番充足させているのだ。
(なのに・・・へんな夢みちまったぜ)
ボーマンがクスッと笑った。
その後はもう静かな寝息だけしか聞こえない部屋になった。
次の日の昼。いや、もう夕方に近いような時間だった。
(たくっ・・・・何度目だよ)
昼になってなんとかしろってメールいれてきてから、
それからずううと調合してるのに調合が上手く行かない製剤に
さっきから、レオンがひっきりなしに催促をかけてくる。
画面に並んだメールを読み上げてみよう。
ボーマンの調合が上手く行かないのは
1つにこのせいもあるって思いたくなる。
― 急ぎます。お願いします。
― いつぐらいにできますか?
― まだですか?
― それが出来たら、今日の仕事が終ります。
皆まってます。
次あたりからレオンの言葉つきが変ってきてる。
― あの、まだかな?
― 遅いーー。ボーマン。いるの?やってるの?返信よこせ!
― あのネ・・・僕、きれるよ
― んとにぃ・・・まだなわけえ!?
― なにしてんだよ!
― ムカー
(なんだよ!ムカーって)
「確かに上手く行かない俺も悪いが、手前ら科学者だろう?
自分でなんとか出来なくって頼んどいて、
え!?なんだよ!?段段えらそうになってきやがって」
って、ボーマンはぶつくさ呟きながら
やっと出来あがった製剤に試薬を入れてみた。
「さっきからこれで薬が泡をふきやがるんだ。
え?俺は蟹を造っちまったのかと思っちまったぜ。
え!?それも五匹もよおお・・・」
恐る恐る入れた試薬が今度は綺麗な薄紫色になった。
それが正常な結果だったのでボーマンはほっと胸を撫で下ろすと、
レオンに向けてメールを送信した。
― できたぜ。今からもってく。それからレオン。
手前いいかげんにしろよ。なにいらいらしてんだ?
クロードにやってもらえてねえのかあ?―
勿論そのメールを他のスタッフも読むことはまちがいない。
レオンは怒るだろうなって思いながらもボーマンはなんだかうれしい。
何故って・・・。
レオンが怒ると顔付きがきりってして、けっこう美形なのだ。
さんざんぶつぶついわれたんだ。
これくらいの見かえりがあってもいいよなってボーマンは思った。
研究所に入ると玄関先にレオンが待っていた。
怒るかなって思ってたレオンが意に反して
「ボーマン・・やめてよね」
と、ひどく沈んだ声で言った。
「あ、なんだよ?」
「べつに」
そのまま帰るつもりだったボーマンもレオンの様子で
帰るのをやめてレオンと一緒に研究室に歩き出した。
「あ、ボーマンもういいよ」
「ま、そう言うな。見届けさせろや」
「うん・・・」
レオンは他のスタッフの前で製剤を蒸留水で溶かし始めると
ほんの2cc位をスポイトでとってペトリ皿の中のゼリー状の物にかけた。
かけた途端にスタッフがタイムウオッチのボタンを押して
「99、100、はい」
と、いう。
レオンはそのゼリー状の物をほんの耳掻き一杯もないくらい削り取ると
スライドグラスにのせて顕微鏡を覗いた。
「ああ・・・いいよ・・やっぱ、思ったとおりだ」
「やりましたね。レオン博士」
誰かが言うとレオンは
「うん。じゃあ。今日はこれでいいよ。後は僕がみとくよ」
「はい」
短い返事が返ってきた。
あっさり研究の方向が良い方に進んでいるのと、
これで帰れるというのが混ざり合ってるかろやかな返事だった。
「なんだよ・・これだけか?」
さんざん、催促されて苦労して作り上げた物の結果が
五分もしないうちに見えたのは良かったが、
ほんのちょっとしか使われないって事にボーマンは不満を擁いた。
「あ、そうだよ。でも、それがなきゃ、そいつは成長しないんだ」
「あーん?生物なのかよ?」
「細胞分裂が一定の所まで来ると、成長が止まってしまって、
分裂しなくなるんだ」
「はーん?」
「必須アミノ酸とトラキラナイザーだけじゃ・・」
「あ、ああ。わかった。で、それはなんの役に立つんだ」
「簡易食料」
「は?」
「何処でも育つんだ。空気のない所でもだよ」
「はーん」
他のスタッフはレオンとボーマンがしゃべってる間に
帰り支度をはじめていた。
「博士。じゃあ後のことよろしくおねがいします」
「あ。いいよ。じゃあ、明日から増殖状態のデータどりをするから
たのむね」
「はい」
って、返事すると皆いなくなってしまった。
「なんだよ?あとって?」
ボーマンが尋ねた。
「ああ。薬の作用を確認するだけ・・・」
「いきてるか、どうか?」
「うん。副作用はないとおもうけど。
どのくらい成長するか、顕微鏡のぞいておかないとね」
「ふー――ん。で、もし成長がよくなかったら?」
「それで、研究ストップ」
「えええー?」
「うん」
「おい、俺の貴重な時間もパーか?」
「いいじゃない。ボーマンはそれでもお金になるんだもの。
僕らは出来あがって、いくらだよ。
途中でパーになることなんかざらなんだから・・・」
そう言われたらボーマンも返す言葉がない。
「よお。所で、おまえ。えらく元気がねえじゃねえかよ?」
「あ・・うん・・・そうだね」
「あん?なんだよ?ん?喧嘩でもしたのかよ?」
誰となんていわなくても当然判ると思うけど、
ボーマンはレオンがしょんぼりしているのは
クロードと喧嘩でもしたと見当つけたんだ。
「そのほうがいいかもね」
「え?」
(喧嘩の方がいいって、おめえ?わ、わ、別れちまったのかよ?)
「みたら・・・わかるだろ?」
と、レオンがいう。
確かにこんな時間になってもクロードが現れない。
「クロードの奴・・・どうしちまったんだよ?」
「うん」
ひどくレオンの肩が落ちてしまった。
「おい、いってみろよ」
「う・・・ん。あのさ・・・」
「あ、いえよ」
「でかけてしまったんだ」
「え?って、どこにさ?」
「この生物を採取したところ」
「え?」
「アシュトンとデイアスとクロードで行けって。
男ばっかしでさ。だったら僕もっていったのに、駄目だって」
「アー――ン!?なんだよ。
ようはパーテイにお呼びがかかんなかったってことかよ?」
「そうだよ。僕・・・クロードに逢いたい・・・淋しい」
「あ、ああ、、あああ」
(アホくさ。チキショウ・・・・。
で、コイツはいらいらして俺に八当りしてたってことかよ)
ボーマンはやってられるかって思ったけど
ふいと、見たレオンがマジ涙ぐんでるのをみたら、
なんか気晴らしさせてやるかって気になった。
「おい、そんな時にはよお・・・」
ボーマンはいいかけて、マズイかって思ったので、
言葉の接ぎ穂をなくした。
「あ、なに?」
「あ、いや。大人だったら、こんな時には酒でものむんだけどな。
おまえ・・・・まずいよな?」
「おさけ?」
尋ね返したレオンはクロードがお酒をのむと
なんだかやけにほがらかになるのを思い出していた。
それで
「う・・・ん。のもうかな」
「え?いいのかよ?まだ、やんなきゃいけねえ事あんだろ?」
「あは・・顕微鏡のぞくだけだよ」
「うーん。そうかあ・・・なら。いいか」
「ボーマンも一緒にのむんでしょ?」
「当り前だろ。お前一人で飲んでよ、
ゲロッてったら・・誰が面倒みるんだよ」
「あ。ん・・・」
悪酔いの可能性を指摘されると
レオンも飲んだことのない物を飲む事を少し考えた。
けど、どうにも無性に淋しいのはレオンには重大問題だったようで
「そん時はボーマンよろしく」
って、レオンが言うので
そんじゃあってボーマンは近くのストアに
つまみと酒を買いにでかけた。
ボーマンは店に入ると、自分の分はやっぱしビールにしといて
レオンには・・・
「ああ、これがいいや」って甘ったるそうなカカオ・リキュールと
それを割る炭酸。多少のロックアイスと
どうせ腹もへってるだろうしってサンドウィッチとつまみを買い込んだ。
研究室の中のテーブルに買って来た物を置き
ボーマンはレオンにグラスとアイスペールを持ってくる様に言った。
程なくレオンがグラス二つとペールを持って来たので
ボーマンはロックアイスをペールに移し変えて
レオンにカカオフィズをつくってやった。
「あれ?これ・・・なに?」
薄いコーヒー色した液体が炭酸でシュワシュワってあわだっていた。
「ああ。カカオフィズさ。コーヒーみたいな・・チョコみたいな味だよ」
「あ・・苦いんだ?」
「馬鹿いえ。こんな甘ったるいもの。あ、そうだ。
もう1つ小さなグラスもってこいよ。
おまえにゃ、こっちのほうがいいかもしんねえ」
「なに?」
「いいから、もってこいよ・・小さいんだぞ」
「うん」
レオンが小さなグラスをもってくると
ボーマンはカカオ・リキュールの瓶ごともつと
そのグラスに6分目くらい注ぎ入れた。
「随分とろりとしてるんだね?」
「いいか・・これに・・」
ボーマンはテーブルの下に置いた袋から生クリームの瓶をだしてきた。
それをグラスの縁からそっと注ぎ込んだ。
濃いカカオ色の液体の上に綺麗にクリームがのっかって
混ざり合う事もなく二層にわかれていた。
「エンジェル・キッスっていうんだ」
「魚の名みたいだね?」
(そりゃあ・・エンジェルフイッシュだろうが・・・)
「すこしずつ・・のめよ・・いいな?」
「うん・・」
レオンはほんの少しだけ飲んでみた。
斜めに傾けたグラスからカカオのリキュ―ルと生クリームが
同時に口の中にはいりこんできた。
「あ、あ。おいしい・・・」
「こっちものんでみろや」
ボーマンの言葉にフイズのほうにもレオンは口をつけてみたけど
「こっちのほうがいい」
って、エンジェルキッスのグラスに持ち替えた。
「甘いからってパカパカ飲むんじゃねえぞ。一発でくるぞ」
「そうなの?」
「ああ」
「ふうううん」
って、レオンが頷いたのでボーマンもやっとビールの栓をあけた。
せっかくレオンがグラス持って来たのでボーマンはビールをそれに注いだ。
小瓶のビールなんざ、そのままでいいんだけどなって思いながら
残りのビールをボーマンはクーラーの中にいれた。
小さな冷蔵庫はボーマンが買ってきたもので一杯になった。
もともとレオンのキャロットジュースの缶が
随分はいってたせいでもあるんだけど。
つまみとサンドウィッチ出してやるとレオンは嬉しげに手を延ばして来た。
「お腹すいてたんだ。ボーマンって気がきくんだあ」
なんて、レオンも多少のおべんちゃらも兼ねてたけど
内心ボーマンって優しいよなあってほんとに思ってた。
ボーマンはレオンの顔みながらビールを飲んでたけど
レオンはヤッパリぼんやりしてる。
「あっと・・・そろそろ・・・のぞいてこよう」
データ―用紙片手にレオンはたちあがった。
「どれくらい置きにのぞくんだよ?」
「うーん。適当。時間チェックしといて、良く増殖してたら、もういいや」
「はーん?」
「だって、明日から本格的にデーターとるかどうかさえ
判りゃいいんだもの」
レオンは顕微鏡のぞきこんだ。
「ああ、これなら、いいや」
脇の用紙になにか書きこむとまたボーマンの前に座った。
それから、どのくらい飲んでただろう。
ボーマンも軽く酔ってる。
「なあ・・・レオン」
「ん?にゃに・・・?」
「あり?なんだ・・もう、酔ってるのか?」
「はひ・・・?・・しゅこしね・・・あは・・きもちいい」
「おいおい。・・・・ま、いいか」
「あ、そうら。ぞーそくぞーたい。みてこなきゃ・・・」
(ぞーそくぞーたいって、それ、増殖状態のことだよな?)
立ちあがったレオンが少しフラフラしてる。
おまけに顕微鏡をのぞいて
「あああああーーー」
って、大きな声をあげた。
「え、おい!どしたんだ?」
「いない・・・いなくなってる・・・」
ボーマンは落ちついてこたえた。
「お前・・・・瞑った方の目でみてる」
「あ、あららら・・・ほんとら」
こんな調子じゃ
きっとデータ―もミミズがのたくったような字しかかけてねえだろうな。
「どうだ?」
「ああ・・いいよ。すごーい、ふえてるよ」
ボーマンの所に戻りかけたレオンがぽてっと転げそうになった。
それを見てとると、さすが武道家、
すばやい身のこなしでレオンを支えに駈け寄っていた。
「オイオイ・・・気をつけろ」
「あはは・・・ボーマンすごーい。上手なんだ」
なんか聞いた事あるせりふだなって思いながらボーマンは
「なんだよ・・・上手ってのは?」
「この間もころけそうになったんら。
クローロがかけよってきてさ、そこのコーロにつまずいて
僕の上にご丁寧にぐしゃって・・・」
(はあ・・・そいつはクロードも災難だったな)
「で、いいほどクロードに文句いったんだろ?」
「あたりまえれしょ」
「だろうな」
「ああ。ボーマン、もう、らいじょうぶらから、放してよ」
「あ・・わりい」
思わず抱き締めちまったボーマンなのである。
「そういうのは、恋人にしてあげんらよ」
「あ?ああ、そうだな」
って、ボーマンは答えた。
そのボーマンにレオンが
「ん、れも、僕の事心配してくれてるのは
きっと、今はボーマンだけだよね」
って、いったものだから
ボーマンの頭の中でちかちかしてた物が一気に繋がった。
(おい。これ、夢ん中でレオンが言ってたせりふじゃねえか?
ま、まさか・・・正夢じゃ)
座り直したレオンが
「ボーマンさあ?今誰もいないの?」
って、きいてきた。ボーマンは聞き直した。
「あん!?恋人か?」
「うん」
って、言いながらレオンはまた、ちびちびとのんでいた。
「恋人かあ・・・。俺・・そろそろ♂がいいんだけど・・・いねえ」
って、いいながらぼんやり考えてたボーマンの胸の中に
レオンの質問が自分の本音を湧きあがらせてくるのは
どうしょうもなかった。
(え?わかってんのかよ?
ここ最近、俺が♂の方にどうにも気がむかねえのは
おまえのせいなんだぞ)
「レオン・・・俺なあ・・・」
ボーマンは言いかけた言葉をとめた。
「ん?なに?」
「いや、なんでもない」
今更クロードより先に目ェつけてたんだなんて言ってみても、始まらない。
それにクロードの方が先にお前に手ェつけちまったし
あいつも本気だし
クロードだったら仕方ねえなって諦めたんだ。
なのに、クロードがお前に惚れりゃあ惚れるほど
俺、お前が欲しくなって仕方ねえんだ。
そう言ってしまいそうでボーマンは話題をかえた。
「あーレオン。おまえ、いくつになった?」
「え?12だよ」
「なんだ?まだ12かよ。誕生日いつだっけ?」
「え?なんかくれるの?ボーマン」
「ああ。ああ。やる。で、いつだよ?」
「えっとね。来月」
「はーん。それで13かよ。」
(やれやれ。やっと13かよ。俺が手ぇ出す暇ねえじゃねえかよ。
ぇ!?クロード、それとも、お前
俺の事気がついて・・・先手打ったのかよ?)
それで、ボーマンはレオンに立ち入った事を聞いてみる気になった。
「おい。レオン?」
「にゃに?あー。ボーマン。このジャーギー固いよ」
「あーん。ま、くってるじゃねえかよ。
それよか・・おまえ、クロードとブチュ―ってしたのいつだよ?」
「あははは・・・ブチュ―らって・・・やらしーーー」
「あれ?」
なんだかレオンがもっと、とろんとした目付きになってる。
カカオリキュ―ルの瓶をよくよくみてみると
「ありゃ。お前、いつのまに、随分のんでるじゃねえか」
「うふ・・・そりは、ん・まい!」
そんなに力込めていうことでもない。
(けど、確かにお前にゃ甘くて美味いだろうけど・・・・・
ま、いいか。面倒はみてやるさ。誘ったの、俺だしな)
殊勝なボーマンの心掛けはこの後にすぐ後悔にかわった。
―わああああ。コイツがこんなにたちの悪い酔っぱらいになるなんて
知らなかったぜえー。勘弁してくれよおおお。
これは、勿論ボーマンの心の叫びである。
「で、ボーマン。いつ・・奥さんと、ブ・チ」
(なんだ、それ?)
先に尋ねてたボーマンに答えもせず、レオンの方が聞き返してきた。
「ブ・チュって、したの?ねえ・・・いつ?」
( こ、こいつ・・・俺がその辺りの事になると、
答えにくいの、知っててわざときいてきてんじゃねえのか?)
「ねえ・・いつう?」
しかたなく、ボーマンはごにょごにょって
レオンにしか聞こえない声で答えた。
「ええー!それって、結婚した年じゃん?」
(いらぬことを・・しってやがるじゃねえか)
ボーマンがたじたじになっているのにおかまいなしに、
レオンの質問は容赦ない。
「もっと・・・Hなことしたのは?」
「するか・・・んな事」
「しなくて、皆・・ころもができるわけないじゃん」
(ころもって?こどもだよな?俺、坊主になったのかと思っちまったぜ)
「あ・・あの・・ね・・レオン君」
「あは、てれてるんだにゃ?」
(頼むから、カァちゃんのことをきくなつうんだよ)
「で、いつ?」
「な、なにが」
「H!」
「レオン君。酔うと・・・やらしいんですね?」
「あははは。で・・・・いつ?」
(だめだ。こりゃ)
どうにも、ごまかしきれないとなると
また、ボーマンはごにょごにょって答えた。
「え?それ、さっきと一緒だなあ。あれ?つ〜〜事は・・・・」
(いうな・・・いうな・・・・いうなあああ)
「ひょっとして、お嫁さんにもらうまで、なんーも、しなかったのおおお?」
「う・・・・」
「そうかあああ。手をだせないくらい好きだったんだあああ」
「ば、馬鹿やろ。だから、カァちゃんでいるんじゃねえかよ」
「ふーーーん」
レオンの目付きにボーマンがどっかいってしまいたいくらい照れてる。
「ああ・・でも、僕もそんなもんかなあ」
「な、なにがだよ?」
「二度目のキスと初体験がいっぺんにきたもんねーーーー」
当然ボーマンはニーネとの事がなんもかも一篇にきたって事を
暗黙の上で認めてしまうことになるんだけど、
レオンのいった事に気をとられてしまった。
「な・・なに?」
( 手えだすの早過ぎるじゃねえかよ。え?クロード。くそ・・おめえ〜〜)
「うふふふ」
って、妙な笑いかたしてるレオンがなに思い出してるのか、
これ以上聞く馬鹿もいやしない。
レオンはクロードとの思い出にひたりこんでる。
ボーマンはボーマンで
(こいつ、元々が猫(受け)だったんだ。
くそ、いらぬ遠慮なんかしてねえで、さっさと俺のもんにすりゃよかったんだ。くそお・・・クロードめ。二度目だと?
二度目でレオンがうけちまったのかよお?
ありかよ?ぇ?:よっぽど、俺の方が上手いしよお。
色んな方法しってて、あきさせねえし。
ぇ!?同じスタートなら勝ち目はあったんだ。
そしたら、今頃こいつ「あはーん」って俺の・・・あれ?)
気持ちのよい酔いとクロードとの思い出に浸り込んでる内に
レオンはテーブルに突っ伏して眠り込んでいた。
(たく、俺がどんな気持ちでいるかもしらねえで・・・。
無防備なんだからよおお)
ボーマンはレオンを起こしてみたけど
「ウウン・・・やだ・・・クローロ・・僕、もういいよ」
と、ねぼけている。
(なにが、もういいよだ。馬鹿やろー。ちきしょー。
俺の事、疑りもしねえのかよ?
俺にゃ、そんな気にもならねえってことかよ?
魅力ねえのかなあ?
こいつにとっては俺はただの・・・おっさんかあ?)
おきろっていっても無駄だと判るとボーマンはレオンをだきあげた。
(ち::、しかたねえなあ)
レオンの軽い体を持ち上げると
ボーマンはレオンの部屋につれていってベッドにねかせつけた。
少し苦しそうに見えるので服のボタンをはずしてやった。
(え?きれえな、項じゃねえかよ・・・たまんねえな・・・)
ボーマンのズボンの中が途端にむくむくって、体積をふやしだしてる。
よほど、舐めあげてやろうかって思ったけど、ボーマンには理性がある。
(オイオイ。クロード。変な気おこさねえよ。
そりゃ随分・・変な気になってるけど・・・。
やりゃしねーよ。ほんとだって・・・・おしいけどよ)
ボーマンはも一度レオンをみた。
(んとによおお。おしいけどよおおお。
クロード。お前の顔がちらついて、いけねえよ。たく、やな男だぜ)
「クローロ・・あ・・ん・・やだ」
レオンがどういう続きを夢みてんのか、しらないけど、
なんかやけに色っぽい声をだした。
(な、何が、やなんだよ?ええ?やな声じゃねえじゃねえかよ。
俺が御前にそう言わせてやろ・・・・・・いかん!)
ケットをかけなおしてやると
ボーマンはレオンの部屋からでていくことにした。
これ以上いたらほんとにボーマンのレオンにしてしまいそうであった。
「ボーマン・・・あの・・・」
立ち去りかけた、ボーマンはレオンに自分の名を呼ばれると
慌てて引き返してレオンを覗き込んだ。
ボーマンをよびもどしたわけじゃない。
その証拠にすやすや寝息をたててる。
でも、ボーマンは気になる。寝てるの判ってるのに
「な、なんだ?レオン?」
って、たずねた。
「あ・・うん・・あのね・・クローロがね・・・」
(なんだよ?また・・・そいつのことかよ)
「クローロ・・・ク・・・」
って、いったきりレオンは深い眠りにはいっていった。
(とととと。いけねえ。あんまり見てるとつい身体が動いちまうぜ。
怖いねえ・・・・。すぐ手がでる、この悲しい習性。
こら、お前・・襲われかけたんだぞ)
ボーマンの瞳の中のレオンの小さな唇。
(危ない所だった、レオン。なのによお・・・知らん顔して、ねてやがる)
ボーマンはどうにも立ち去りがたい。
(ち、意識もねえ奴にキスするのなんかキスっていわねえよな?
それに、それも、おもしろくねえよな)
ボーマンはそれでも、せめてもと、キスといわねえ物をレオンから
一方的に奪ったのかどうかは定かじゃないんだけど
しばらくしたらボーマンはレオンの部屋の電気消して
部屋から出て研究室に向っていった。
もう一度レオンの代わりに増殖状態にチェックいれて
データ―用紙のミミズの落書きの下に
かなり念入りに室温から、細胞密度から・・・かきいれておいた。
そのあとそこらへんの飲み散らかした物片付けて。
研究室の灯りを消すとボーマンは外にでた。
そのボーマンに途端に声をかけてくるものがいた。
「なんだ?セリーヌじゃねえか?」
「こほん」
セリ―ヌは軽く咳払いをした。
「なんだよ?」
なにかいいたげなのはボーマンにも判る。
「おほほほ。いえ、ちょっと通りかかったらレオンの部屋の灯りがみえて
そこに、クロードじゃない影だったので、
あらああ、おかしい事で御座いますわねえって」
「野次馬か?クロードのいねえ間に俺がレオンにどうしょうと
お前が目を瞑って口を塞いどきゃ良いだろうが?」
「え?まさか?本気でおっしゃってるの?」
「その・・・まさかだ」
「嘘!?ちょちょ・・ちょっと待って下さい。何を考えてらっしゃるの?
な・・なんて事を、貴方・・・クロードに・・ひど・・・い」
「セリーヌ。お前こそなに考えてんだ!?
え?お前。やらしいこと想像してただろ?
アーン!?レオンは酔いつぶれてるよ。
十二の子にまさか・・・酒なんかのませやしねえよなあ?」
「え?あ?ああ・・その・・・「まさか」なわけ?」
しどろもどろになりがらセリーヌは答えた。
そのセリーヌにボーマンは
「あー!?お前?何考えたんだ?いってみろよ」
って、問い詰めたのはボーマンのチョットした悪のりである。
「いいですわ。あなたをうたぐっただけですわ。
レオンがそんなことするわけないですわよね」
「そんなことって・・・なんだよ?」
ボーマンはセリーヌの顔を眺めながらきいた。
「い、嫌ですわね。そ、そんな事っていったら:当然・・・」
「ふうううん。そっちの事を考えちまうっていうのは
お前・・・あいつとまだ・・・うまくいってねえな?」
「か・・関係ないことでございましてよ。
そ、そんな事より、どっちにしろお酒をのますなんて
本当はどういうつもりだったか、判ったものじゃありませんことよ」
セリーヌの言葉に
「まあな・・・下心がなかったわけじゃねえよ」
と、ボーマンは素直に答えた。驚いたのはセリーヌの方だ。
「ェ!?ボーマン。貴方、本当にレオンのこと?」
でも、何処まで本気でいってるか判らないのがボーマンなのだ。
そのボーマンはふっとため息をついた。そして
「よお・・それよか、俺とのみなおさねえか?」
セリーヌを誘った。
セリーヌはボーマンの小さなため息が気になってもいた。
「いいですわよ。でも、下心なしで、ございますわよ?」
「セリーヌ?お前。自分をみくびっちゃいけねえぜ。
ェ!?お前みたいなべっぴん誘っといて下心なしっていって
おまえ・・・・信じれるのかよ?」
なかなかのおだて文句にセリーヌも気分が上向きになってきた。
「そりゃ・・・そうでございましょうけど」
「あーー。アマンダにいこうぜ?あそこなら、いいだろ?」
「そうですわね」
途端、ボーマンは早速セリーヌの肩に手を廻して来た。
「んんっ」
って、セリーヌが軽く咳払いで牽制するとボーマンは
「これ以上な事はしやしねえよ・・・なっ」
って、おかまいなしに歩き出した。
アマンダにつくと二人は向かい合わせの席に座った。
ビールと適当なつまみが並べられると、
ボーマンはセリーヌのグラスにビールをつぎいれた。
返す手で自分のグラスにビールを注ぎ込むと
「セクシータイトな・・・セリーヌに乾杯だ」
グラスに口をつけると中を一気に空にした。
セリーヌはセリーヌで思っている。
(どうにも、この人のペースにのせられてしまいますわ)
ボーマンはからになったグラスにビールを注ぎ込みながら
「で、セリーヌ。あいつの事諦めちまったのか?」
「まっ!いきなり、そんなこときかなくてもよろしいんじゃなくって?」
答えながらセリーヌもビールに口をつけた。
「いや、あいてるんだったら・・・なんだ・・・俺が慰めてやってもいいぜ」
ボーマンが流し目よこしながら、そのくせマジな顔になった。
「そんなこといわれたら・・・ぐちもこぼせないじゃありませんこと?」
ボーマンの口説きにたじろいでしまうほどセリーヌも初なネンネじゃない。
「なんだ。つうことはまだ・・・諦めてねえのか?」
「と、いうことですわね」
「なんだよ。人事みてえない言い方しやがって」
「だってねえ」
「ちえっ。御互い辛いなああ。
あああああ。飲め!飲め!飲め!あああ・・飲もうぜ」
セリーヌにグラスのビールを飲み干せってばかりに
瓶を持ってボーマンはまっている。
それでセリーヌはくうううと一気にグラスのビールをのみほした。
「はーん。いいのみっぷりじゃねえかよ」
「はい。おかわり。ついでくれるつもりでなくて?」
「お、おおお」
ボーマンも慌ててセリーヌのグラスにビールをついだ。
「なあ?酔うとよお・・なおさら、ほしくなんねえかあ?」
「え?嫌な人ね。何やってても、あっちの事ばっかし考えてるのかしら?」
「え?誤魔化すなよ。お前がそうだっていったってよ。
お前・・・俺じゃ駄目なんだろ?」
「まあね・・・」
「代わりくらいになら、なれるんだけどな。駄目か?やっぱし?」
淋しくて堪らないセリーヌに
こんなスゴイ口説き文句言ってくれてるボーマンの本音を
セリーヌは判ってる。
俺がこんなに口説きたいほどいい女なんだから、
お前、あいつのことで自信なくすなよ。諦めんなよって言いたいんだって。
でも、はっきりそういったら口説きもしないで慰めは止めてよ。
って、言われる事判ってて、
それで、ボーマンはかなりボーマンらしく卑猥に口説いてるのである。
「俺、タフだぜ。朝までかまってやるぜ」
「ン・・・ありがと。ボーマン」
それがお断りだって事はボーマンだから解ってる。
「ちえ、どいつもこいつも・・・・ああああーー」
「な、なんですの?きゅうに」
「聞いてくれ。 俺よお、やっぱし、カアちゃんがいいんだ」
ボーマンにしては珍しく本音を口にだした。
「な、なんですの?の、のろけですの?珍しい・・・・」
なんて批評を加えてる場合じゃない。
「なのによおー。レオンと一発やりてえ」
「あ、あの・・。ちょっと、そういうスゴイ表現やめてくださらなくて?」
「どういやあいいんだ?え?はめてえ?つっこみ・・」
と、言い出すボーマンの言葉がまだまだ続きそうなので
「判りましたわ。やるでよろしいですわ」
セリーヌもいなおってしまった。
「おまえさあ。くだけた女だから、話すけどよ・・・」
「く・・く、くだけてて悪うございましたわね」
「ばかやろ。そこがいいんじゃねえかよ。いろぽくってよお」
そういうよさが判らないのか?って
なんだかまた口説き始めそうなボーマンなのでセリーヌは
「あ、そうですわよね」
って、あっさりおれた。
「でよ。こう:頭をもたげてくんだよなあ」
「な、なにが?」
いきなり、レオンに対してのボーマンロケットの状況説明だと思って
セリーヌもいささか面食らった。
「おまえ?さっきから考えすぎてねえか?」
「え?」
「こう、胸ん中によ。レオンとどうにかなれねえかなあってのがよお、
もたげてくんだよな」
「あ、あああ」
セリーヌが勘違いした事とたいして変らないことではあった。
「そう、そういうこと。
おまえ、なにがもたげてくると思ってあせってたんだ?」
「べ・・べつに・・・」
「はあーーん。やっぱ・・・おまえ」
やっぱし欲求不満ってことにならねえか?
「ばか・・・」
「俺。どうにか、する気なんかねえぜ。
ア、 レオンにな。
おまえにゃ、十分そそられてんだけど・・うんっていわねえしよお」
って、本気でもないくせに、
自分がどんな野卑な男にみられても
セリーヌをいい女だって言った路線から外れないボーマンなのである。
こんな優しさもきっと知らない人がみたら
誰彼お構いなしに口説いてるスケベで
低俗な男にしかみえないんだろうね。
「判ってましてよ。でなければ、こんなとこでぐちってないで、
もう、どうにかなさってらっしゃるでしょ?」
「そうそう。おまえ・・・よく、解るなあ」
「だから、私もかなしいって」
「あいつじゃなきゃ、だめか。俺もよ、一度でいいからって思うとよ。
これが胸から離れねえんだよなあ」
「天下のボーマンが片思いなら、私もしかたありませんことよね」
「たまんねえよなあ」
「カアちゃんとこいったら?」
「そ、それ・・いうなよ。恋なんだぞ、恋。わかるよなあ?
せつねえー」
二人してグラスをもつと、くいくいってビールを飲んだ。
コトンってグラスをおくと、二人して
「はあー…」
(ためいきなんか・・・合唱するなよ)
「変化ないことですわよねえ?
こんなとこで二人で「はあーはあー」っていってても・・・。
ボーマン、帰るわ」
って、セリーヌがいいだした。
「いいのかよ?なんも、きいてやってねえぞ?」
「いいましてよ。悲しいって。
それに、これ以上そんな事言ってたら御酒がまずくなりましてよ」
セリーヌは立ちあがってかえってゆこうとする。
「お、まてよ・・おくるぜ」
そういうボーマンの方を向いてセリーヌは首を振った。
「そ、そうかよ」
セリーヌが一人で泣きたいってのがボーマンには良く判った。
「すまねえな・・・。役にたてなくってよ」
「仕方ないですわ。がきんちょの恋じゃないですもの」
「だな」
そのまま、セリーヌは帰って行った。
残されたボーマンはもう一度大きなため息をつくと
立ちあがって勘定を支払うと外にでた。
それからボーマンは気の向く方に歩き出した。
何処ににいくって?決まってるでしょ。
こんな、ボーマンの事をちゃんときいてくれて、
かつ慰めてくれる人って{彼女}しかいないんですよね。
ハーンやっぱニーネだなってボケかましてるの誰?
レオンがいいんだなんてボーマンが
愛しのハニーにいう訳も、言える訳もないじゃない。
(あいてねえだろうけど。俺だっていやあ、
次の客はキャンセルすっだろうな)
ボーマンはステラの店に電話いれた。
向こうも判ってて、あっさりお待ちしておりますって返事が返ってきた。
結構、ステラのわがままがとおるって事は
逆にそんだけ売れっ子なんだよなって思うと
ボーマンの胸の中がちりりとやけてきた。
「くそ、おもいきり、せめてやっから、待ってろ」
って呟くボーマンの足取りは軽くなっていった。
「あら、浮かない顔ね」
ステラのとこに来たボーマンを一目みるとステラはそういった。
「はあああん。新しい恋人と上手くいかないんだな?」
ボーマンがなんにも言わない内からステラが言い当てた。
「ああ・・・どうにもなんねえ」
ボーマンが答えると
「ボーマンがどうにもなんないって?珍しいね。おとせないんだ?」
って、ステラが不思議そう。
「しかたねえだろ。恋敵が、クロードじゃな」
ボーマンの打ち明け話にステラが
「え?あらら?やだ?レオン君だっけ?二人して、そんなにいいこ?」
と、尋ね返した。
「ああ、お前より・・いいらしいぜ」
ボーマンがそういったのでステラも
クロードがレオンと一線を超えちゃったのを察した。
「あ、ああ。そうなんだ。
そっか、じゃあ、もう、ほんとにクロード、もう、こないね」
ステラが淋しげな顔をした。おまけに
「そっか、そうなったら、クロード相手じゃ・・勝てないね」
って、つけたした。
「ち、まだクロードかよ?え?おまけになんだよ?勝てねえって?」
「だって・・」
「なんだよ!?クロードのがそんなによかったのかよ?」
って、いいながらボーマンはステラの身体をベッドに横たえていった。
はいてるか、はいてねえか、わかんないような小さな布切れの紐を
軽く引くとボーマンの目の前にステラの大事な物が丸見えになってた。
ボーマンはそのままステラのその場所に顔をよせていった。
「え?あいつ・・ここもなめちまったのか?」
尋ねるボーマンに
「うふふふ」
ステラが笑って答えようとしない。
「は?いいさ。すぐ、わかるさ」
ボーマンはステラのものを押し広げてゆくと
舌を細く尖らしてぐうと差し込んで行った。
もう潤んできてるものとボーマンの唾液とがからんで
柔かな舌の動きにステラがほううとため息をついた。
「ボーマン・・他のところも」
ステラが一番鋭い所への愛撫をせがんできた。
それでボーマンは舌をそのまますべらせて
ステラのいう場所に移動してやった。
すでに軽く膨張してるコアを吸ってやるとステラが喘ぎだした。
そして軽く尖った物を噛みよせて舌の先で転がしてやると
「ボーマン・・ボーマン、ね、おねがい・・・」
って、次のことを催促してくる。
ボーマンはそれで、も一度尋ねた。
「え?やらせたのかよ?」
「あ、してない・・・ね、ほんと・・。だから・・・」
「あやしいもんだぜ?」
「いや、ボーマンのほうがいい」
(ってことは・・・・?クロード。てめえ、しょっぱなからこんなこと?)
もう一度ステラの物を舌でいたぶりながら
ボーマンはステラの中に指をゆっくりいれていった。
入り口の小さな突起が指にあたる。
これがボーマンのものがはいりこんだときにかさの裏側を刺激するのだ。
だからついつい入り口まで引きぬいちまうって事をやっちまうんだけど
ステラの中はもっと複雑で奥の方にもこんな感じの
かなりぷくりとした突起がいくつもある。
で、これがステラをバックから責めると
やっぱしボーマンのかさの裏側に良い具合にコリコリとした刺激を与える。奥の両脇は小さなつぶつぶが並んでついてる。
で、ボーマンはついつい自分の物を左右にゆすぶってしまうし、
締まってくるとこの粒が迫り出してくるのか、
ボーマンの物全体がうにゃうにゃした感じに包まれてしまうし、
なだらかだった側壁が急に段々を描き出した様に
軽い段差を創り出してゆく。
ボーマンはもう一本指をいれてやった。
そして、かなり細かな振幅で出し入れを繰り返してやると、ステラが
「ア、ああ、ボーマン・・ボーマン・・も、だめ」
(いいから:::いっちまえよ)
ボーマンがそのまま舌での愛撫も指の動きも緩めようとしないものだから、ぐううとせばまるとステラの中が脈打ち出した。
狭まった肉厚ごとビクッビクッ蠢いて行くのがかなり長い間続いた。
その間中ステラの声が頂点の快さを訴えていた。
(全く、男も女もいくのってのはかわんねえ動きだぜ。
指二本でもいっちまう奴も奴だけど、俺も上手いもんだろうが?)
ボーマンがやっとステラをはなしてやると
「え?クロードのほうがいいって、ここもかよ?」
ボーマンはプシイのぬめりをからめたまま、
その指の数を減らすとアナーザーソケットの周りをヌルヌルと撫で始めた。
そして、ゆっくり指を押し込んで行った。
「あ、や・・・」
頂点を迎えた相互影響でソケットの括約筋がひどく緊張してる。
指を軽くいれて引き戻してやると
覚えこんじまった性の悲しさだか喜びだか、
良くわかんねえけどあっさりと粘液がしみだしてきてた。
ぐうと指の根元までつっこんでやると
ボーマンの指先にコリッとした直腸内の複雑なヒダが触れてくる。
その指を出してくるときついゴムベルトの輪の中に指をもう一本増やして、押し広げて馴染ませてゆく。
「え?きょうは、俺、こっちでいくぜ」
宣言してボーマンは自分の物と
ステラの中につき入れてた指とをチエンジさせた。
「え?クロード・・・どうだったんだよ?」
やけにボーマンがしつこいのは無理もない。
レオンがクロードの独占物なのは諦めざるえないけど
ステラまでクロードクロードじゃ、ボーマンの嫉妬の消し去り場所がない。
「ん、ん、ああ・・だから、ボーマンの方が・・いい、いいの・・」
そこで、はいはいって素直に引き下がらないのも
さっき、惜しいとこでレオンをあきらめてきた
ボーマンの未練が邪魔をするのである。
「なんが・・いいんだよ?」
って、あくまでも執拗なのである。
そのくせしっかりボーマンのものは蠢かしているのだから
ステラも簡単には答えられない状況なのである。
「あ・・え・・ああ」
「なんだよ・・・いえよ」
「あ、んんん・・・テクニックは、上・・・ああん」
そういわれると、ボーマンもひっかかってしまう。
「なんだよ?ってことは、あいつのほうのが、ものがいいってことかよ?」
なかなか鋭い所に気がつくボーマンなのだ。
悔しい物だからボーマンはもっと激しくステラをゆすり上げてしまった。
「や、いや・・・ねえ、また・・・いっちゃいそう」
ボーマンは動きをとめて
「え?これでも、あいつのもののほうがいいてっのかよ?」
ボーマンも半信半疑なのだ。
「あ、ものがいいとか、そんなんじゃなくて、
あの・・好みのサイズってあるじゃない?」
「・・・・」
(ステラ好み?レオンちゃんにピッタシ!?クロード、俺?でかすぎる?)
黙り込んだボーマンがなに考えてるのか
ステラにはおみとおしだったようで
「あの・・ボーマン・・・そうじゃなくって」
「俺、たいていの事には自信あったんだけど・・な」
「だからあ、そうじゃなくって。
そんなのってテクニックがカバーしちゃうし、
ボーマンはボーマンの味があるし・・・」
「はい、はい」
「ようはムードっていうかあ」
「ああ、どうせ俺、その気にさせれねえよ」
ボーマンがいじけてしまうのも
レオンの眼中にさえはいれなかったせいである。
「そうじゃない。
ボーマンには十分・・ウウン、十二分に酔わされてるわよ。
それだって、ボーマンの方がすてきよ」
「んじゃ、なんだよ?」
「誠意っていうのかなあ。一生懸命っていうのかなあ。
一途にだいてくれるのよねえ」
「ああん・・・?」
「そんなに上手くもないし、そんなに好みでもないし、
そんなにムードがあるわけじゃないのよ。
でも本当一生懸命・・・そんな感じで」
「んで?」
「真面目っていえばいいのかなあ。
で、こっちも真面目に応えなきゃいけないって、
そうやってるうちに、
なんだか本当に何もかももとめられたくなってくるのよね」
「な・・・なんだよ?なんもかもってのはよ?」
どきってしながらボーマンは尋ね返した。
「え?」
「こんにゃろ。それってよお。惚れたっつうことじゃねえのかよお?」
あっさり、そういいかえしてやると
「え?あ・・あは・・・かな?」
って、ステラが消極的に認めた。
「あー?で、勝てねえってか?ぬけぬけといってくれるじゃねえかよ」
(惚れた相手のセックスになんか勝てるわけねえじゃないか。
だから俺もレオンのことあきらめてきてるんじゃねえかよ)
って、ボーマンは悲しくもある。
「え・・あ、うん・・・そうかあ」
「え??ステラ、俺。誠意ねえか?」
クロードに勝てねえって事がボーマンをまだこだわらせてる。
「ううん・・たっぷり・・・・ハードよ」
「え??一生懸命じゃねえかよ?」
「ううん、もう・・・タフなんだから」
「一途じゃねえのかよ?」
「そればっかし考えて抱いてくれてるの判ってるわよ」
「ん、んじゃ。どう違うってんだよ。なんで、俺のに、はまらねえんだよ?」
「え・・・。だって、ボーマン。セックスしにきてるんだもの」
「た、たりまえだろうが」
なにぼけ言ってんだよって思いながらも
ボーマンはステラのいうことを聴いていた。
「うん。だけど・・クロード、違うの。あの人・・・・」
(あ・・あ、おいおい、あの人かよ?)
ボーマンの内心はおだやかじゃない。
「私を通してレオン君をだいてるの。
ああ、こんなふうに抱いてあげたいんだって、
なんだか、胸がせつなくなっちゃうくらい、
あの子の事が大事で大好きで・・・」
ステラのその言葉を聞くと
ボーマンもまた自分のレオンへのハートを見せつけられた気がした。
(あーー・・・。おまえも・・・俺と同じかよ)
「クロードがレオン君のこと思えば思うほど、クロードがすてきなの」
「はあーーーー。やっぱ、そうかよ。ステラ、俺も同じなんだ」
って、ボーマンがいった。
「え?」
「クロードがな、レオンに惚れりゃ惚れるほど
あいつをそこまで惚れさせちまうレオンの魅力を
どんどん見せつけられるような気がしてな。
あいつら、うまくいきゃいいなって思ってたのによお。
逆にレオンがどんどん欲しくなる」
言い終わったボーマンはため息をついた。
それにステラのため息が重なった。
「はあー」
(やめろって・・・。ため息の合唱はもういいって)
「ボーマン。ごめん、かわりにな・・んかなれな・・いよね」
再び動きはじめたボーマンにステラがつぶやいた。
(ボーマン。♂の方とうまくいかないと、あっち、せめてくるんだから。
このあいだから、おかしいなって・・・判ってたんだから)
って、ステラは考えているし、
ボーマンはボーマンでステラの中に大きな波がきてるのに合わせて
動かしてやってる内に自分の方に脈動が来始めてたから
その波を確実なものにするためにステラの中につきこんでいった。
( ああ・・・。これがレオンだったらなあ・・・。
え?ああ・・ああ、レオン・・おまえ、もっと・・いいのか・・よ)
ドクドク吐き出す物をまだステラの中で動かし続けて
最後の最後までステラとのアナルセックスを堪能すると
ボーマンは今度こそ、やっとステラをはなした。
ボーマンがステラのとこから帰ってくると
食卓の上にボーマンへの夕食と手紙がのかっていた。
手紙には何回も調合に失敗し挙げ句
結果を見届けにいったボーマンをねぎらった
優しい言葉がかかれてあった。
アーサーをねかしつけてます。
ってかいてる後にもし一緒に寝てたらおこしてねって書いてあったけど
ボーマンは先にシャワーを浴びにいった。
ステラとの事をサッパリ洗い流すとボーマンは
バスタオル1枚まきつけたまま
クーラー覗き込んでビールを一本引っ張り出した。
ことかた音をたてたのでニーネが気がついたのだろう。
ボーマンが夕食のおかずを摘まみにして
ビール飲んでるとこにニーネがおき出してきて
「おかえりなさい。たいへんだったね」
って、いってくれた。
「あ、おこしちまったのか?」
「ううん」
返事してるニーネをみながら
ボ―マンは独りぼっちで寝ずにすむなっておもった。
ボーマンはビールを飲み干すと
ニーネがテーブルの上片付けてるのを
「あしたにしろや。もう・・遅いぜ・・寝ようや」
ニーネの肩を押して二人の寝室に入って行った。
ボーマンはニーネには
これでもかってくらい丁寧で優しく時間をかけたセックスをするんだけど、おまけにニーネも声こそ必死で殺してるけど
かなり高感度な女性で・・・。
今ボーマンがニーネのうなじ辺りを舐め上げ始めたんだけど
ニーネの事となったらあんなに照れちゃうボーマンの事を考えると
これ以上はかけないよね。
次の日の朝。
ボーマンは勿論、ご機嫌である。
朝食を食べ終わったボーマンにコーヒー入れてくれたニーネにこっそり
「最高だったぜ」
なんて、昨日の晩のことだか
朝までの事だかわかんないけど、そんなふうに囁いてる。
ボーマンがどんなにニーネの事乱れさせちゃったのか定かでないけど、
囁かれたニーネの方が真っ赤になってたから、
あはは・・・
かなりボーマンもみっちりなさってたんだなって事だけは確かなようだ。
「あ・・俺・・昨日の続き、気になるからいってみてくるな」
コーヒー飲み終った途端に
ボーマンは研究所に顔出す事をニーネにつげると
早速飛び出して行った。
気になってるのはレオンが二日酔いしてないかってことと
そのままにしておいた顕微鏡のゼリーみたいな生物のことなんだけど、
玄関の扉の前にたってもスタッフもまだ来ていないので、
扉は閉ざされたままだった。
と、いう事は当然レオンもまだねてるってことだろう。
仕方ないので登録されてるボーマンのデジタルナンバーをおして、
声紋附合の為「ボーマンだ」っていったら扉はかってに開いた。
ボーマンはそのままレオンの部屋に様子見に行こうかなって思ったけど
それより先に研究室の方に確認に入った。
一方、レオンの方はなんだか研究室に人の気配がするので
目が醒めた。
ベッドに起き上がってみたけどレオンの記憶が一致していない。
( おりょ?僕・・ベッドの・・中?た・・たた・・頭・・痛い?)
しばらく、レオンは昨日の記憶を手繰り直してみた。
( えと、お酒のんでたんだ。クロードがベッドまで?
あ、クロードいないんだ。あ、そうか・・・だから、ボーマンと飲んだ(!) 僕、なんか、ヘンな事いったような気もする。
ま、いいや。ああ、そうか・・・ボーマンがベッドまで運んでくれたんだな)
どうにかこうにか昨日の記憶がレオンの中で繋がり出した。
(あは、迷惑かけちゃったんだ。
でも、ボーマンって(言う事はエロいけど)優しいよな。
僕がクロードの事で落ち込んでたら、きにかけてくれるし、
面倒見いいし・・・なんか・・兄貴みたい)
そんな事考えてるレオンが兄貴みたいって思った事で
また連想が広がって行った。
いったいレオンは起き上がるつもりあるんだろうか?
(兄貴・・かあ。そういうんだったら、クロードのほうが兄貴みたいだよ。
頼りになるし(ああ、早く・・帰って来ないかなあ)
第一、 年齢がボーマンじゃ、兄貴っていうより・・・
お父さん!って程はふけてないよなあ。
でも、すごく近しい感じするし・・・。
あ、うん。そうだ。叔父だな。
甥っ子と叔父さん・・・うん。そんなかんじだな・・・)
って、レオンはベッドの上でうんうん頷いていた。
ボーマンは顕微鏡の中の生物がたっぷりふえてて、
おまけに元気そうで、おまけにオッハーっていうもんだから(わけないって)
まあ、これなら大丈夫だなって一安心したので、
レオンの様子をみにいくことにした。
(あいつ大丈夫かな?
ふふん。起き抜けの顔なんてのも、また、いいかも。めったとみれねえし)
なんて心配してるふりして実はボーマンもろくな事考えてないんだ。
レオンの部屋の前にきてボーマンはドアのノブを握った。
鍵かけてくれる当のレオンが寝てしまったんだから
空けっぱなしの筈なのだ。
バッとドアをあけてみるとレオンがベッドの上に起きあがって
大きな伸びをしていた。
「よお、起きてたのか?あん?気分はどうだ?」
(あは・・まだ、半分寝ぼけたような顔して、
え?しどけなくって可愛いじゃねえかよ)
多少なりにんまりしてるボーマンに声をかけられると、
レオンはさっき思ってた事をボーマンに素直に告げてみようって思った。
朝からレオンを心配してみにきてくれてるボーマンに対して
レオンなりにボーマンへの親近感と感謝を表わしたかったのだ。
「ボーマン。おはよう・・・。
あのね・・・。あのさ、僕。
ボーマンのこと本当におじさんだって思ってるんだよ」
「え?」
「あ?おじさんって思っちゃいけない?」
「あ・・え・・あ・・・。おまえがそう、おもうなら・・べつに・・いいよ」
ボーマンが精一杯の作り笑顔でこたえた。
だけどボーマンの内心はすごーいショックだったのだ。
(いいよ、べつに・・・。
んでもよお〜〜〜〜。
おじさん?おじさん、おじさん、おじさん・・(もひとつおまけに)おじさん?)
まだボーマンの耳の中にはおじさんコールが連呼してる。
(おじさん、おじさん、おじさん、おじさん、おじさん、おじさん・・(つづく))
しばらくしてボーマンはやっと気を取り直した。
どうやって気を取り直したかというと
(おじさん・・・おじさん。オッサンと言われなかっただけ、まだましかあ?)
と、いう悲しい慰め方であったのである。
―― 恐るべし。レオン。――
でもやっぱし、しばらく立ち直れないボーマンでした。
ボーマンはそのまま
「ま、大丈夫そうだから・・帰るぜ」
って、レオンとこからでていった。
いまさっき、来たばっかで、即、家に帰ると
ニーネがまた余計な心配するだろなと、思うと
ボーマンもすぐ帰るわけにもいかない。
仕方ないのでボーマンは公園のベンチにボーと座ってた。
そのボーマンのポケットの中でモバイル・フォンの呼び出し音がなった。
「なんだよ?こんな朝速くから」
ボーマンは訝りながらフォンにでた。
「ボーマン・・・浮かない顔ね」
って、電話口のステラが言うのでボーマンは慌てて辺りを見廻した。
「キョロキョロしないの。公園の角にいるの。
ジョギングの途中でみかけたから」
「は?えらく早いんだな?おまけにジョギング?」
「だってねえ。身体が資本だものね。それより・・・・だめねえ?」
「あ、ああ」
って、短い返事にステラの方が黙り込んでしまった。
「・・・・」
ボーマンは思ったままを口にだした。
「よう、俺・・やっぱクロードより魅力ねえか?」
「あ・・ごめん・・・。まだ:、気にしてたの?」
「まあな」
「あ、んとね。タイプが違うんだよね」
「タイプ?」
「ん、あのね。ボーマンにはされたくなっちゃうし・・・。
クロードはしてあげたくなる。
ドッチのタイプが魅力的ってそんなの、きめらんないでしょ?」
「そうだな」
「げんきだしてよ・・・・じゃね」
って、ステラがあっさり電話きった。
ボーマンが公園の向こうをみてみると
ステラらしい金髪の娘が走って行くのがみえた。
商売柄もあるからステラも決して人前で
ボーマンの側によってきたりはしない。
それでもよほどしょぼくれた顔をしてたんだろう。
せめて電話なんかかけてみたくなったんだろなって思うと
ボーマンはふうって大きなため息ついた。
(たくっ・・よお。レオン。
おっさんにはされたくも、してあげたくも、ならねーかよお)
やっぱ情けないボーマンなのである。
(おっさん・・・だよな。俺、女ならいざ知らず。
女はどうせ遅かれ早かれ女になっちまうんだ。
でもな。レオン。
お前が猫(受け)になるかならないか、選ぶのはお前だったもんな。
昔の俺なら無理矢理でもお前を猫にしちまったんだろうになあ。
レオン。「おじさん」って・・・。
お前の言う通りだ。ヤキまわったよ。歳、拾ったよ。
無茶ができねえってのもな、確かに、もう、おっさん・・・だよな)
ボーマンは遠い所に行ってるクロードに向かって呟いた。
「んでもよお。レオンが一人でちょろちょろしてると
どうにかしちめえたくなってしかたねえんだ。
頼む、クロード。早く帰ってきてくれ。俺、たまらん・・・」
レオンにとっても、とても嬉しい願い事が叶う事が
ボーマンの唯一、頼みの綱のようであった。
(完)
――― エピローグ ―――
月が替わって、クロードも目的を達成して帰ってきてた。
久方の休日をレオンはたぶん、
とうとう、一人暮しの住まいまで借りちゃったクロードの部屋で
すごしてるだろう。
だから、ボーマンはレオンへの約束守る為と、
クロードへの引っ越し祝いと、
ついでにクロードへのやましさを穴埋めさせる為に
(ってことはやっぱ、ボーマンはレオン君の寝こみの唇、奪ったのかあ?)
ちょっとした贈り物を持って二人を尋ねて行った。
クロードの部屋のチャイムを押さずに
まず、ボーマンはノブに手をかけてみた。
いきなりの場面に遭遇してみたくもあるからだ。
案の定ドアは鍵を懸け忘れてる。
ボーマンがそのままクロードの部屋に上がり込むと、
レオンとクロードはソファ―の上でごろごろと横になっていた。
「なんだよ?お前等。鍵もかけてねえし、
おまけに昼間っぱらから、ごろごろ。寝るならちゃんとベッドでねろや」
って、いってからボーマンは目のあったクロードに
「よけいに・・ねれなくなるか?」
って、ご挨拶した。
クロードの横からのそのそ起きあがって来たレオンが
「ああ、開いてた?あれ?おかしいな。昨日の夜・・僕・・閉めたよ」
レオンがいうもんだから、慌てて、クロードがレオンの口を手でおさえた。
レオンの失言をボーマンがききのがすわけがない。
「はあ――ん。レオン、お前・・・昨日からここにいらしてたわけね?」
クロードがレオンに馬鹿って小さな声でいってた。
「ふーーーん。で、しっかり草臥れるような事を夜っぴいてやってて
まだ、外にでてないっと」
「あは」
クロードが誤魔化し笑いをしてた。
「そうか、それでも、久方ぶりだから、
もう、一回ってとこに俺がきちまったんだな?
悪いとこにきちまったな・・・すまねえな」
ボーマンがいうものだからレオンが
「あ、違うよ・・・」
って、いった。確かに違うんだから違うっていうしかない。
なのに
「いや、俺はそんな無粋な人間じゃねえから・・かえるわ」
ボーマンが少し淋しそうにいってみせた。
と、なるとせっかく来たボーマンが気の毒になるのが
人情っていうもので、今度はクロードが
「あ、ほんと・・・いいんだ」
「いいのかよ?え?これからだろ?」
ボーマンは殊勝な声を出した。
「あ・・ううん、つい、さっき、しおわ・・・あ、」
クロードがつられてほんとの事、ぽろりってしゃべっちゃって
今度はレオンに馬鹿って怒られてるのをみながら
ボーマンはやっとこせ安心して持ってきた荷物をテーブルの上に置いた。
「あれ?なに?それ?」
レオンの3連発クエスチョンにボーマンは
「あ・・先月。お前の誕生日になんかやるって約束しただろ?」
「え?」
「なんだ?覚えてねえのか?」
「あ・・え、う、うん」
もそもそとした返事のレオンの横でクロードがレオンをつねくってる。
だって、レオンの誕生日ってもっと先なんだ。
(酔った勢いでレオンも来月っていったらしいけど)
これは、いかにも物欲しげな態度だったので
ちょっと、クロードも切れたね。
それに欲しい物があるなら先に僕にいいなよっていうのもあるんだから
クロードのレオンへの態度は無理ないことだと思う。
「日にちまで、聞かなかったけど、ま、約束は約束だから・・」
ボーマンってこんな所はすごく律儀なんだ。
だから、レオンもクロードもほんとの事言えなくて
ボーマンの信じてる通りに話しを合わせるしかなかった。
そのレオンが大きな箱を見詰めてる内に気がついた。
「あれ!?ボーマン。なんか・・中からごそごそって音がしたよ?」
「ははは・・・あけてみろや?ん。でも、気をつけろよ」
「え?」
レオンが手を引っ込めたので
「おい、クロード・・・あけてみろ・・・」
クロードの方にお鉢がまわってきた。
「あ・・・うん」
クロードも恐る恐る箱をあけてみた。
怖々覗きこんだレオンが
「あああああー――。蟹、蟹だ。
わ、大きい。あ、泡ふいてる。生きてるんだ。ああ、動いた」
歓声上げた。そして、クロードに
「わ、クロード・・え?あ?水槽あったけ!?あ!?海水がいる?」
って、言い出したものだから、ボーマンがあきれて
「馬鹿・・食うんだ」
いった。途端にレオンが
「ええ!?ええええええ!?やだ、飼うんだ」
異論を唱えた。
クロードも箱の中の4、5匹の蟹をながめてる。そして
「無理だよ。飼えないよ。それに・・・もう、だいぶ・・弱ってるよ」
って、言って蟹をつついた。
それがまずボーマンのとさかにきた。
活きのいい、元気な蟹なのに、弱ってるとはなんだって
だからボーマンは知らん顔してみてたね。
次にとさか(どこにあるんだろうか)に、きたのは当の蟹自身だったんだ。
きやすくさわんなよってぶつぶつ、泡吹き出した。
それを見てたレオンが
「なにいってんの?元気じゃん」
って、言い返した。
よせばいいのにクロードは
「これの何処が元気だよ?」
つんつん蟹をつつきながらじっとしてる蟹を芯から怒らせてた。
「な?元気ないじゃん・・だめ・・・」
クロードはレオンを見ながらそういった。
後の「だよ」って言葉が、そのままクロードの叫び声になった。
「たああああーーーー」
見れば、蟹君はクロードの人差し指にはさみで握手してあげてる。
慌てて、クロードは蟹をふりはらおうとしたけど
蟹君はさっきのつんつんがきいてるんだろうね。
しっかりはさみあげて
クロードへの怒りの熱い握手を離す気はなかったんだ。
「ボーマン・・・ボー・・・しってて・・・だまって・・・」
痛みをこらえてクロードはボーマンに恨み言を言った。
「あーん?元気ねえ蟹なんだろ?」
「あ・・・訂正する。助けてよ・・・はなれ・ない」
レオンの方は、びっくりしたまま、ぼーっとみてたけど
やっと、なにが起きたのかを理解した。
「あ、クロード、痛い?あ、こら・・・はなしてやれよ」
レオンの説得口策に応じるほど蟹君も
ちっとやそっとの覚悟で握手をかわしたのではないらしく、
ますますはさみに力を込めていた。
「つうううーーボーマン」
クロードの顔がほんとに痛さでゆがみだして来たので、ボーマンは
「レオン。玄関先にもってきてある鍋に湯をわかせ」
って、命令した。そしたら
「え?あ?あ、ゆでちゃうの?」
レオンがいうものだから
「馬鹿、はやくしねえと大事なクロードの指がつかいもんにならなくなるぞ」
ボーマンはレオンを脅かしたからレオンも慌てて、湯を沸かし始めた。
湯を沸かしてるあいだクロードは痛みにじっとたえてるし、
レオンはクロードに
「もうすこしだから・・がまんして」
励ましながら、蟹君には
「おまえ、はなさないと、ゆでられちゃうんだよ・・・はなしなよ」
一生懸命、命の危機を説明してなんとか蟹君を救おうとしてる。
そんな物だからクロードのほうは余計にぴりぴりして
「お前、た、蟹と僕とどっちが・・つうう・・・大事なんだよ」
涙ぐんでいたのは痛みのせいなのか、
レオンのせいなのかはわかんないけど
ちょっとでも動くといっそう痛いものだから、
蟹はテーブルの上で踏ん反り返って偉そうにしてるのに、
クロードはテーブルに手を伸ばしたまま床に
しゃがみこんで膝をついていた。
傍目にはクロードが蟹に平謝りしてる様にみえなくもないけど
蟹の視線からはそうみえないらしく
やっぱ怒り心頭に発っすって感じで
蟹君はしっかりクロードの指を挟み込んでいた。
「はなしてやれよお」
レオンの最後の言葉にも蟹は応ずる気もなく
向こうの方では鍋が湯気を上げ始めて湯が沸き立ってきた。
そううと人差素指に蟹をぶら下げたまま
クロードはゆっくり鍋のほうに歩んで行った。
「あ・・・ほんとにゆでちゃうの?」
まだ他にも蟹はいるのにレオンはなんだかかなしそうである。
でも、クロードがゆっくりしか歩けないほど
痛みに侵されてるのが判るとレオンもあきらめたようだ。
やっと、鍋の所に辿りついたクロードが蟹君を鍋の中に突っ込んだ。
勿論人差し指を挟んだはさみと
それにくっ付いてきてるクロードの指は鍋の外。
側に来た、レオンが
「アーメン」
なんて言うものだから、
クロードもなんだか自分が罪人みたいに思えて来てもいた。
やがて蟹がごそごそっと這いまわる様に動いたかな
っと、思ったらじっと動かなくなって色が赤く替わり始めて来た。
爪の近くまで赤くなって来た頃に
ボーマンが側にきてその爪をこじ開けてくれて、
クロードの指は無事生還できた。
「あ〜〜〜あちー。たー、しびれてらあ」
やっとクロードも一息つけた。
レオンは蟹君が延ばしたままの爪を鍋の中にいれてやった。
「ここだけ、赤くないのも・・変だ」
って、言いながら。
やがて、全身真っ赤になってかにはゆであがっていった。
レオンはクロードのそばにいた。
「大丈夫?」
「いたいよ」
クロードがレオンにこたえてる間に
ボーマンは塩を掴むとバッと、鍋の中に突っ込んで
「ま・・もう、五分かな」
と、ボーマンが言ったのでレオンはふりむいて尋ね返した。
「え?なにが?」
「あーん。もう、五分ぐらいしたら鍋からだしていい、っていってんだよ」
「え!?そんなにしなくてももう色かわってるし。
もう、いいよ。そんなにこらしめなくても、もう、死んでるよ。
あ、御墓つくってあげよう」
「ちょちょ・・ちょっと待て、レオン」
ボーマンは考えたね。
レオンは蟹君との短い会話の間に
しっかり飼い主としての情を育て上げってしまってるんだなって。
そのレオンをどう説得すれば
あの蟹をボーマン達の腹ん中に
すんなり移動させる事ができるだろうって。
「あのな」
ボーマンは実にしんみりとした声で言った。
なんだか恐ろしげな雰囲気がしないでもない。
「そいつはな。食われる為に生まれて来たんだ。
だから、食ってやるのが、一番の供養なんだ」
何処からか念仏がきこえてきそうである。
「え?」
だが、その暗ーい雰囲気をぶちこわしてくれたのは、
当の蟹君がかもし出した独特の匂いである。
「だろ!?実に美味そうな匂いがしてきてるだろう?」
確かに、なんだか美味しそうな匂いだけど・・・。
「で、でも・・可哀相だよ」
レオンが戸惑ってるのを尻目に
ボーマンは鍋の中の蟹をトングでつかみあげて、皿の上にあげた。
「あ、でも・・・」
「クロードを挟んでくれた恨みを込めて食ってやれ」
ボーマンが駄目押しの一言を言ったものだから、
クロードがレオンをじいいとみた。
クロードにジトーンってみられたら、
レオンも、もう流石に可哀相なんていったら
今度はクロードに対して立つ瀬がなくなる。
「う」
って、言ってるレオンの横で
ボーマンは器用に熱い蟹を掴み上げ甲羅を毟り取り
足を引きちぎりだした。
パキッって感じで足を折るとボーマンは熱い蟹の身を抜き出してみせた。
「おら?うまそうだろう?」
そうなったらレオンもしかたない。覚悟をきめた。
「アーメン・・・」
いつからそんなに信心深くなったのか知らないけど、
レオンはそういってボーマンに渡された蟹君のなれの果てを
そっと口にいれてみた。
「あは・・・おいしい!」
クロードもボーマンももうしっかり食べ始めてる。
たった一匹の蟹を3人で食べてそんなにいつまでもあるわけがない。
「あ、もう・・・ないや」
レオンが言ってる横から、最後に残った憎っき爪の部分を
クロードが持っていったら後は殻ばかりが残った。
こんなのを「舌の根のかわかないうちに」とかいうんだろうかね?
「あはあ・・・・ボーマン。後の、ゆでちゃおうよ」
レオンが最初にそういった。
「そうだな。また、大事なクロードをはさまれてから
決心つかせてるんじゃいけねえよな?
良し。レオンの気がかわらないうちにそうしよう」
って、ボーマンが言ったものだからレオンが
「ええ、やだな。皮肉いわないでよ?」
って、ちょっとむくれた。
それでボーマンが真面目な声でレオンにつげた。
「なに言ってるんだ。
でもよ、レオン。挟まれたのがおまえの大事なクロードでよかったよな」
レオンの小さな指なら今頃どうなってたか。
クロードもレオンもそう考えると「それもそうだな」って思った。
それでさらにボーマンはなだめる様にいった。
「本とになあ。大事なクロードでなくてさ。
クロードの大事な所だったら二人して泣いてなきゃいけねえよなあ」
「・・そうだねえ」
ボーマンの言葉に二人して深々とうなずいた。
「・・ボ、ボ―マ・・ン、あの:」
なにに頷いてしまったのか二人が気がついた時には
ボーマンは残りの蟹を鍋の中に入れに立ち上がっていた。
――― そのボーマンの肩が笑いを堪えきれずに揺れていたのは当然の事だった。 ―――
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