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SO2シリーズ
作:憂生



ボーマン・ボーマン・2


―ラスト・バイブルー
                           
夕方遅くになって旅から帰って来た一行をボーマンは眺めている。
どうやらこの旅の間に、レオンとクロードはムフフの仲になったらしく、
ぺったりとレオンがクロードの側に張り付いている。
レオンの様子だけでなくクロードも
なんとなくレオンを側から離したくなぃようで、
レオンのもそれが判っていて嬉しそうなのである。
『なるほどな。最後までいっちめえやがったな』
と、思うボーマンなのである。
色々と影で応援もしてきたこともある。
レオンとクロードがいずれそうなるのはボーマンにも判っていたことである。
レオンとクロードから目を離して見れば、
デイアスとレナの間にもなんだか、
目にみえない甘ったるい空気が流れている。
『ま、これも、わかってたことだ』
デイアスとレナ。
まあ、これもいずれとは思っていた事であるが、
思ったより早くできあがったようである。
が、アシュトンとプリシスのカップリングには、驚いた。
ボーマンには、少なくとも、意外な事であった。
『おー。これはひょうたんから駒ってやつだな』
まあ、どちらにしろ1つのパーテイの中で
意中の相手と上手く行くって事はいいことである。
それも三組もできあがっている。
1つ妙なカップルがまじってはいるが・・・・。
『おい。店先の小鳥ならお前らつがいでうってもらえねーんだぞ』
だが、その売り物にならないカップルのせいで、(お陰で?)
あとの二組もできあがってきてしまったのである。
レオン効果とでもいえばいいだろうか。
レオンたちが羨ましくなったのが次々と自分の恋に芽生えて行く。
『まっ、いいこった』
ボーマンは出迎えもそこそこに研究所の中にはいった。


一番先にボーマンの所に来たのはレオンだった。
レオンは自分がいなかった間の研究の方が気になってきたのであるが、
その研究室にボーマンがいるのだから
ボーマンに言わせればレオンの方がきたのである。
「あ、ボーマンさん」
レオンはボーマンに気がつくと側によっていった。
「おう。レオン。ちっとはうまくなったか?」
久しぶりに会うのに、いきなりそんな挨拶はない。
レオンは赤くなりながら
「ボ、ボーマンさん!」
「なんだ。レオン。お前。考えすぎじゃないか?
えっ?法術が上手くなったとかよ。他の事、考えねえのか?」
「あ、え」
「なんか、やらしい事考えたんだろ?」
「ふん。ボーマンがいったら、ぜんぶ、きわく、きこえるの」
「ちげえねえ」
レオンが少しふてくされていたが
ボーマンはそれでクロードとレオンの仲が
どれくらいのものになっているのか、はっきりとつかんでいたのである。
「ところででなんだ。俺のみるところ・・・・。
お前らは論外だ。デイアスとレナ・・・。
まっ、これもデイアスが上手くリードしてくだろ。
気になるのはあの、アシュトンとプリシスなんだが、うまくいってんのか?」
「あ、ボーマンには判るんだ?スゴイや。
フー――ン。ちょっと前に仲よくなったんだよ」
「まあ、そんな事どうでもいいや。で、どうなんだよ?」
「どうって?」
「あいつら、Hしてんのか?」
「ボ、ボ、ボ―マンさん!」
「レオン。お前、それしかいえねえのかよ?」
「そ、そんな事、二人のプライベートなことじゃない。し、失礼だよ」
「なに、いってんだよ。大事な事じゃねえか?
なんだ?それともお前らしてねえってのか?」
「ば、ば、ボ、ボ、ボー」
「ボーマンさ―んっとくらあっ!」
「あ、もう、やだ・・・」
「レオン。冗談でいってんじゃねえんだ。
なんかな、あいつら見てると親和力って言うか、
融合力ってえか、そんなのを感じられねえんだ」
「そ、そうなの?」
「ああ。プリシスで持っているっつうか。
プリシスがそっぽむいたらおしまいなんだ。
プリシスをつなぎとめてる物がなんもねえように、みえる」
「?なに?つなぎとめるもの?」
「お前もクロードのナニでつながれてんだろが?まっ、そんなもんさ」
「ボ、ボ―マ・・・もう・・・・」
「なんだよ、ちがうってのか?」
「もう。いいよ」
(僕らを結び付けてる物はそれだけじゃないけど、
確かに不思議な力がある。
喧嘩してても、あれほど腹たってても、
したくなっちゃって、しちゃえば、しちゃったで
腹たってた事が嘘みたいに、どうでも、よくなるし、
しなきゃ、なんだかクロードとはなれちゃうみたいで
淋しくてたまんない。
一番いいのは、
自分がクロードの物なんだっておもえること。
・・・それが最高だよ)
なんか物思いにふけってたレオンだったが、ぽつりと
「そうかもしれないね。ボーマン」
って、やっと、うなづいた。
「だろ?ねーんだよ。な、やっちまえってわけじゃねえけどよ。
船見てるみてえでな。復元力がねえって言うか。
復元力あれば、傾いたって心配しねえんだけどよ」
「ふーん」
「ま、その復元力つけてやれる、ひとつの方法がセックスだな」
「フ―ン。ボーマンさんって、こういう話になると、
すごく偉い人みたいにみえる」
「ま、そういう意味じゃ、俺はお前らの事
なーんも心配してねえけどな」
「あは」
二人の深度を認めた以上、違うっていえないし、
かといってそうだねなんて更に頷くわけにもいかない。
仕方なく、レオンは、笑って誤魔化した。
「ま、どっちかつうと復元力つけるのに忙し過ぎて、
舵取りが疎かになっちまわねえか、その方が心配だな」
「ボーマンさん!」
「あん?」
「も、もう、いい」
「そう、そう、早くクロードの所にいってやれ」
「いわれなくたって、そうするよーだ」
レオンはさっさとドアの方に向かって歩いていった。
ドアがしまる音がすると、
途端にボーマンは大声でわらいだしていた。

やがて笑い声が静かになると
じっとりと考え事をしているボーマンなのである。
『アシュトンの野郎。ありゃあ、プリシスにできねえのかなあ。
プリシスが、させてやるほどほれてるようにもみえねえし、
アシュトンからしかけねえと無理だろうなあ。
けど、あいつの性格もあるしなあ・・・』
このままじゃ、いずれ、だめになっちまう。
それだけは何故かボーマンには、はっきり判る。
『やり方判っていて、どうしょうもねえ欲求わかってて
良く辛抱できるってもんだよな』
いくら、アシュトンが気弱な男だといっても、
そりゃあ、ちっと、不甲斐なさすぎるぜ。
ボーマンがそう思った時、ふと、思い出した事がある。
『待てよ。あいつ・・・本当にわかってんのかよ?』
それはいつだったかアシュトンとクロードを連れて
女を抱きにいった時のことだった。
ステラはそれでしっかりクロードの事をきにいってしまって
そのあともクロードこないわよねえって、
やけに潤んだ目付きで言うのが気にくわなくて、
それでボーマンもステラに余計ご執心になってしまって
アシュトンの方がどうだったか確かめるのを忘れていたのである。
『そうそう。どうだったってアシュトンにきいても「あははは」
うまくいったのか?「あははは」だったんだ』
ボーマンは考えあぐねていた。
うまくいったんじゃなけりゃ
あんな余裕しゃくしゃくの、笑いはでてこないだろう。
待てよ、余裕だったんだろうか?

ごたごた考えていても始まらない。
ボーマンは受話器に手を延ばすと、
思いきってアシュトンの相方を勤めたキャサリンに聞いてみる事にした。
電話口に出て来たキャサリンに
ボーマンがアシュトンのことを尋ねた途端、
「あ、あの子ね。う――ん。良くおぼえてるわよ。あはははははは」
と、きた。
「あはははって、おまえ・・・・な、なんだよ?」
なんだか、いやな予感にボーマンの声がうわずっている。
「えぇーー?いっていいのかなあ?あはは」
なにが可笑しいの判らないが、
ボーマンまでつられて笑えてくるようなキャサリンの笑い声なのである。
「あは、あ、ま、いいから、きかせろよ」
「うーーん。あはははは。だめ、思い出しちゃったら・・・あははは」
「おい。こっちは真剣なんだぜ」
「あは、あは、あははは・・・ごめんなさい・・・はなすわよ」
なんだか、とんでもない事のようである。
聞かないほうがいいくらいかもしれない。
「なんか聞きたくねえけどよ。俺も連れていった責任あるしな・・・」
「ンフ。ボーマンらしいわね。・・・あのね・・・」
「お、おお」
何を聞いても驚くまい。ボーマンは腹をくくった。

「あのね・・・・「見せて」って・・最初にそう、いったの」
「はあ・・・で?」
そんな事ぐらいで笑い転げるほどの事もなかろう。
問題はその後だ。
「見せたわよ。当然。・・・・御客様ですもの・・・」
「ふん。まあな・・・・」
「で、こっち、いらっしゃいって、座らせておいて、
2、3回、もすこしかな?触ってあげたら、
途端にピューって・・・・。
あららら・・・ってこっちも慌ててしまってる所に
鼻血がドバーーじゃない」
「は、はい?」
「あっちの始末に、鼻血の始末に、もうーーーって、
てんや、わんやしてんのに、
あひゃひゃって、高笑いし始めて、
こっちも可笑しくなって、あはは。
それで、又、あひゃひゃひゃ、ははは、あひゃひゃひゃひゃって、
もう、天真爛漫っていうか、変ってるっていうか。
なーんにも、してなかったから
お金かえそうか?って、きいたら、いい、って。
うひゃひゃうひひってわらってばっかだから・・・もう、いいやって。
かえそうか?」
「いや・・・・いい。あいつにはそれでよかったんだろ。
あ、その、なんだ・・・・すまなかったな」
「ううん。楽しかったわよ。あんなに笑った事なかったもの」
キャサリンとの電話を切ったボーマンは
なんだか、しんみりしてしまっている。
『はあああーーやっぱ、そんなとこかあ』
クロードのほうは当然、レオンとだって、うまくいってしまってる。
ステラがクロードをお気に入りになるぐらいだから、
やっぱ、レオンの方も満足なのだろう。
レオンが本当艶っぽくなって、帰って来ていた。
『何処までレオンが覚えちまったのか・・・。
いやいや、アシュトン、アシュトン』
アシュトンがキャサリンとそうだったって事が判ると
なんだか、悲しいような、情けないような気分になるボーマンである。
欲望1つまともにぶつけられないのかよって、責めたくもあり、
アシュトンらしく、まいあがってしまったってことでもある。
『欲望1つぶつけられねえのに、そんなんで、好きな女、抱けるのかよ?
そりゃあ、確かになセックスってのは、たちさえすりゃいいってもんじゃない。欲望もいるし、愛情もいる。けど、初歩は欲望だぜ。
かといってアシュトンに欲望がねえわけじゃない。
ようは、ぶつけられねんだよなあ』
同じ事をグルグル考えまわしているボーマンなのである。
『相手がなあ、プリシスじゃなあ。
アシュトンのことを愛情ででも、
ましてや欲望ででも受け止めれねえだろうなあ。
受けとめてあげたいっつうのがさ、愛情なんだろうけど・・・・。
男ってのはつくづく欲望の生き物だよなあ。
ま、それを受けとめてくれる奴がいるから世の中平穏なんだがな。
えっ、クロード。お前の相手がレオンでよかったさ。
あいつは、お前の事ならなんでも、うけとめちまうからな』
気がついたら、何時の間にか、
アシュトンへの心配が
レオンとクロードの幸せぶりの肯定理論になってしまっていた。
『ちっ。今日は、真っ直ぐ、家にかえるか』
なんだか、カアちゃん【ボーマンは女房と言わない】が
恋しくなってしまったのも、レオン効果のあらわれなのである。
詰まる所、なんだかんだ、やっててもボーマンには、
カアちゃんが一番なのである。


次の日の朝。
店のおくで注文の薬の調合を始めていたボーマンの所に
レオンがやってきた。
「おりょ?めずらしいじゃないか?」
ボーマンが研究所に行く事は注文の薬品の配達もかねていて、
つどつど、あることではあるが、
レオン達研究班の人員がボーマンの所にくる事は滅多になく、
いつもメールがとどけられている。
だから、レオンがわざわざここにくるということは
薬品を届けに行った時にじゃ話せないような話があるんだな、
と、察しがついているボーマンである。
「どうした?」
「あ、うん。あのさ。アシュトンとプリシスの事、いってたでしょ?」
「ああ。なんだ?なんかあったのか?」
「うん。アシュトン。しばらく変だったんだ」
「変?」
「うん。あの、ン・・えっとさ、覗きばっか・・して」
なんだか、レオンがいいにくいのは
誰の何をのぞいてたんだ?と、
きっとボーマンがいいだすだろうって、おもっているからである。
「はあーん。レオンちゃんの中にクロード君が遊びにいくのを
覗かれてしまったんだ」
「ボッ、ボ、ボーマン!」
覚悟してた事よりどぎつい言葉が返って来たのも、
昨日しっかり二人のことはなしたせいなのであるが
「それだけをいいにくるためわざわざじゃないだろ?」
「ああ、もう・・・えっと、なんだっけ」
「アシュトンののぞき」
「ああ、そう。でね、しつこかったし、
悪いって思ってなくて、もう・・・情熱もやしてさ・・・」
「レオン。ちょっと、待て。悪いことじゃねえぞ」
「え?」
「お前らが悪いことしてんのか?変なことしてんのか?」
「あの・・」
「映画みるだろ?」
「うん」
「映画をみるのは悪いことか?」
「ううん」
「悪い映画、見るのがいけねえんだろ?
いい映画は見るのがいいことだよな?」
「う、うん」
「お前。自分らの映画をさ、悪いっていってんだ。
いい映画だって、考えてみろや。見る事は悪いことか?」
「う・・・」
「つまり、見るって事については、良い、悪いはねえんだ」
「あの」
「わかんねえかな?
見られたくないよーなくだらねえ心でセックスをすんなっていってんだ」
「あ、なんか、似たような事をクロードがいってた」
「なんだよ。わかってんじゃないか」
「云。あの、それよか・・アシュトンのことなんだけど」
「あーん?」
ボーマンにしてみれば、
アシュトンを庇ってやりたかっただけなのだが、
話しが脱線していたようだった。
「うん。でさ、そんなにすごかったアシュトンがさ、
プリシスと仲良くなっちゃったら、ぴたりと覗きをしなくなったんだ」
「で?」
「うん・・・」
「なんだよ?」
「あ、うん。だから、僕はアシュトンが、プリシスと・・・
そうなったせいかなって思ってたんだ。だけど、
昨日ボーマンが「あいつら、してない」って、いってたよね?」
「あ、ああ」
「ン・・なんかさ。
僕はアシュトンがしてたことにすごく腹立ったときもあったんだ。
でもね、クロードに、
レオンとのその時が最高にいきてるって、思わされるって
・・・いわれてね」
「にゃ?にゃんだ?にょろけか?」
「ア、そうじゃなくて。だから、なおさら、
アシュトンとプリシスの事、よかったなって、思ってたんだ」
「うん。まあ・・・そうか」
「でも、このままじゃダメだっていったよね?なんかさ・・アシュトン・・・」
「わかった。もう、いうな」
「ボーマン?」
「馬鹿やろう。俺はお前の倍以上いきてんだぞ。
アシュトンが覗いて見てたってことだけでな、
あいつの中にどんな淋しい思いあったか、俺には想像つくよ。
おまえのいうとおり、アシュトンも生きてるなって
おもえるような幸せ掴んだんだったら、
お前も覗かれてよかったかなって思えるよな?
ま、そういうことだろ?」
「う・・・ん」
「ま、俺も気になってんだ。な、あんまし、お前までしょげちまうなよ」
「ん・・」
「な、ま、そんなことより
お前がいねえと生きてるか死んでるか判んねえ奴の面倒みてこいや」
「えっ。あは、そうだね」
えらく、素直になってしまったとこをみると、
クロードのとこに早くいきたくなっていたらしい。
じゃねって言うとレオンは店の外へとびだしていった。


『そうそう。下手な心配してるよか。
お前の絶大なレオン効果の方が期待できるってことよ』
とは、言うものの、やっぱり考えこんでしまうボーマンだった。
『覗き・・か。つうことは、やっぱセックスしてみたいんだよな。
したい相手はプリシス・・。
その、プリシスが側にいてくれるだけで、まあ今のところよしってわけか。
けどなあ・・あいつら、そのままじゃつづかねえなあ。
かといって、迂闊に手を出してもつづかねえな。
プリシス。お前。どう思ってんだよ』
プリシスは口では、ませた事はいうけど、
ボーマンには本当の恋なんかしたこともないような
色気のないガキンチョにみえる。
『アシュトンが欲望ぶつけない所が気にいってる?
安心してられるって感じもするな。
えっ?プリシス。欲望ぶつけてこられたらどうすんだよ?
その前にアシュトンがそんな事できねえな。
やっぱ、もう一回。つれてくかな?
それよか?アシュトン。お前。ヤルキあんのかよ?
決心つかねえ奴に、抱かれるような女なんていやしねえんだぞ』
頭の中でごたごた考え事をしていたものだから、
アセアニトンとアスピリンを間違えて調合しているのに
ボーマンは気がついていなかった。
分包しはじめてから
「あれ?なんだ?この色?
オイオイ、俺は危険物をつくっちまっていたぜ」
と、呟いてみても、
薬物処理の缶の中にそれを捨てるしかなかったのである。


その問題のアシュトンである。
ひさかたぶりの故郷に戻って来ても、
やはり、頭の中は恋しいプリシスのことばかり。
昨日の帰郷でパーテイが解散になったから、
なおのこと一緒にいられるチャンスがなくなっている。
プリシスの所にでかけてゆくと
「あれ、アシュトン、どうしたの?」
って、なんだか、そっけない。
「あ、あの、逢いたくて・・あの、きちゃいけなかったかな?」
「あ、別にかまわないけど・・・」
ドアの前でじとーんって二人つったっているのも妙な光景である。
それにプリシスが気がつくと
「あ、はいる?」
「あ、え、うん。いいのかな?」
「うん。御茶くらいしかないけどいい?」
「あ。いいよ」
御茶が呑みたくて来たわけじゃない。
プリシスさえいればいいよって
かっこいいセリフが咽喉まででかっかってるのに
やっぱり言えないまま、アシュトンはプリシスの部屋の中に入った。
「あは、かわいいんだ」
なんだかよく判らないけど大きなぬいぐるみが
部屋の真中にどーんってすわってる。
「ん。ね、えっと」
「あ、なに?」
なんだか、部屋の中に二人っきりっていうのが少し、照れくさい。
「あ、あの、御茶飲んだらどっかいこうよ」
「あ、うん。そう・・・だね」
だれもこない二人きりでいられる部屋の中に
アシュトンとあんまりいたくなさそうなプリシス。
アシュトンが淋しそうな顔になるのはもっともな事である。
プリシスが御茶を入れにいって帰って来た。
「はああ」
アシュトンのため息。
「うん?どしたの?」
「ううん。べつに」
「・・・・」
なんだか、淋しそうにも見える。
そんなアシュトンの顔を見てるとプリシスも胸がきゅーんとしてくる。
「どうしたの?アシュトン?」
そういってそっとアシュトンの側にすわった。
「・・・・」
なんだか、プリシスにもアシュトンの気持ちがわかっちゃった。
「ん・・もうう・・・いじけないの」
「・・・・」
「ん、ほらあ」
「え?」
プリシスのほうから、アシュトンにしがみついてきてくれた。
「ん。いいよ」
「あ」
アシュトンだってやっぱり、うれしい。
そのまま,目をつぶったプリシスの唇にそっとキスを重ねた。
クロードみたいに、このまま、舌いれちゃおうか
よっぽどそう、しようかって、思ったんだけど、
できないアシュトンなのである。
でも、もう少しプリシスを、はっきりと感じ取りたいアシュトンは
唇を離すと
うっとりと、目を閉じてるプリシスにきいてみた。
「ねえ、ちょっとだけ胸さわっていい?」
途端にアシュトンは、部屋からおいだされてしまった。
「もう、しらない。どんどん、エスカレートしてくのね。
ちょっと頭ひやしたら?」
って、ぐいぐい押されてドアの外。
「ごめん。プリシ・・・」
「しらない!!」
名前のとおり、ぷりぷりにおこってしまっている。
プリシスにして見れば
アシュトンがHな事したくてたまんないみたいなのが厭なだけで
アシュトンのこと決してきらいじゃない。
でもアシュトンには、そこの微妙な乙女心がわからない。
しょんぼり肩を落としてアシュトンはかえっていった。

「よっぽどそのまま、押し倒しちゃおうかって思ったけど
思うって言うか・・・想像しただけど。
喧嘩になっちゃったんだ・・どうしよう」
アシュトンの悲しい相談を聞いているのは
言わずと知れたボーマンである。
「押し倒しちまえばよかったんだ」
「えっ」
っちまえばよかったんだ」
「えっ。ええ?ええええ?」
「女なんて、そんなもんだ」
「う、うそ?」
「仮に好きでなくてもな、必死に求められるとな。
ああ、この人私の事こんなにしてまで欲しいのねーって
そこに自分の存在価値をみつけて喜んじまう生物なんだ]
「そ、そうなの?」
「ああ。だから、押すなら最後まで押さなきゃ、
途中で諦めちまうとな、
なーんだ、この人ここまでの気持ちだったんだって、
余計に軽く見られて相手にされなくなる」
「・・・・」
「それからな、やりてえ一方だってかまやしねえ。
とにかく、好きだ、好きだ、愛してるって、
最後までそう、いいぬけるんだ」
「・・・・」
「え?かけひきさ。
お前みたいにやりたいってのが見え見えだとな、
何言ってもつうじないぞ。
「愛してる」・・・やりたいのね。
「好きだ」・・・したいのね。
「おまえだけだ」・・・いれたいのね」
「色々・・・言うじゃない・・・ボーマン」
そんなことに感心してる場合じゃない。
「ま、お前はプリシスに用心されちまったってことさ」
「ふう・・・ん」
「ま、もっと、高等なのもあんだけどな」
「?」
「おまえじゃ、むりだけどな」
「え、なに?」
「そのまんまさ。「やらせろ」ってな・・・」
「ええ?」
「それ言って通じる様になりゃ、たいしたもんさ」
「「やらせろ」っていうだけ?」
「そりゃあな、裏言ってんだ。愛してるってな」
「?」
「ま、いいさ。
それとな、女からしてくれなんて、まず言わないぜ。
よっぽど深くなりゃべつだけどよ。
厭だってまずいうんだ。それを押してやるんだ。
女はそこをみてるんだよ。
押して押してくる気もねえ奴に、
なんで大事なお宝食わせてやんなきゃなんねえ?」
「く、くわせ・・」
「ばか」
(女なんてな心の底じゃ自分もしたくてしかたなくてもな。
どうにもメンタルなんだよ。
セックスさせるのにな、
自分がどのくらい好かれてるか、愛されてるかが問題なんだ。
だから、本当に好きじゃなくたって、
そこのメンタルな部分が満足するとな、やらせてくれるんだよな)
「だいたいの女はな口説かれるのがうれしいんだ。
一月も好きだ好きだっていって通ったらな、たいていおちる。
女の厭、駄目なんて、あてになんねえんだ」
「うーー」
「なんだよ?」
「たいてい、駄目っていうんだよ」
「そりゃ、いいんだよ。プリシスはおまえがおしてこないのがいやなんだよ」
「じゃあ・・おしたおしゃ・・よかったわけ?」
「無茶いうな、それだけじゃ駄目さ。
愛してるとか・・さ。なんでもいうことあるだろうが?」
「そしたら・・・したいのね、やだわって・・きらわれるだけじゃんか」
「だからーー」
「???」
どうにも、わからない奴にどう説明すればいいのか。
たく、女一人くどけねえのかよ。
くどけねえから、二人の仲があぶなっかしいんだよな。って、
ぶつぶつ思いながら、
ボーマンはアシュトンがかえって行くのを見送った。


その夜、ボーマンはステラのとこにでかけていった。
電話かけておさえといたから、
ステラには客がついていないはずである。
それでも、一応ちょいと入り口のとこにいた若い奴にきいてみたら、
どうぞ、ステラさんまってますよっていわれた。
こんな世界で顔になってもしかたがないんだがなと、
おもいながら、ボーマンはステラのいる部屋にはいっていった。
「よお」
「あら、おひさしぶり」
何て、言うが最後にきた日はまだ、同じ月の内のはずである。
「ああ、ちっと、くさくさすんだ」
「あら、やだ?ボーマンでも、くどきおとせないことあるの?」
いつもの如く、しばらくボーマンがこなかったのは、
どうせ、また、どっかの女(男)に熱あげてるせいだとステラはおもっている。
「あーん。俺じゃねえよ」
「あ、クロード?」
「おいおい、まだいってんのかよ?」
「あ、ちがうんだ?」
「ま、いいや。はなすからさ。やらせろよ。ながらで、いいだろ?」
「ん。どっちから?」
「どっちでもいいように」
「ん、じゃ、バックだね」
「どっちにしろ。フィニッシュはおきまりどおりだろ?」
そういってステラの身につけてた物をゆっくりとぬがしてゆく。
「あ、ああ。やだ、ボーマン。いきなり・・は・・ないよ・・」
ベッドにふせるようにかがみこんだステラの後ろから
ボーマンがつきこんでゆく。
「やなことねえだろ?え?俺の顔見たときから
いや、待ってる内から・・こうなんだろうが?」
ステラの物がいやというほどうるんでしまっている。
「でも、ん・・い・・きな・・り、あ、ん・・は、ないよ・・・」
「いいじゃねえか?・・ほら・・」
そういいながら、ボーマンは、ステラの胸に手を延ばすと
ぐううともみしだいておいてから、
その先を摘み上げ、先端のわずかな平地を
指先でこすりなであげていった。
「あ、ああ・・・いや・・・ボーマン」
あっという間にステラの感覚のよさをみせつけられることになる。
「おいっ、そっちこそ、いきなり、腰つかうなよ・・・」
「あ、ん、んん。だって・・・。だめ・・
かってに、うごいちゃう・・・ん・・ああ・・・ん」
「・・・ステラ・・・」
こんな時は別な事考えてねえと、もたなくなっちまう。
ボーマンは思い浮かぶままに考えを巡らせ始めた。
(女は、どーこーいったって最終的にはここのよしあしだよな。
よしあし、たってよ、男からみた、よしあしじゃねえぜ。
女は子宮でものを考えるって格言があったが
どっちかつーと膣で考えると訂正すべきだがよ。
女はここで男の人間性のよしあしまで見ぬいて行くよーな気がすんだよな。ようはどこまでそれをみぬけるか、どうかが、よしあしってことだ)

ステラの中に入ったボーマンのものをそのままに、
ボーマンはステラのもう一つのソケットの中に指を入れて、
薄い壁のむこうから、指の動きでボーマンのものを
ゆっくりとおさえながらスライドさせてゆく。
そう厚くない壁の下でボーマンのものに
膣だけでは得られない、別の感触がはしる。
(男相手じゃ、これができねえ。
いくら、頑張っても男は女に勝てやしねえ。)
そうやっておいてボーマンはステラの胸の突起に鋭い刺激を与え
ステラに悲鳴に近いような声をあげさせておいて、
その手をすううと股のほうにすべりこませると、
そこにある突起に指をあてがった。
(これもそう。
これほど鋭い快感をあじあわせてしまうものは男にはない。
女の膣の中に男をうもれさせるようなわなを神様も用意しておいてある。)
指をまさぐる様に動かす。
ソケットの中の指も、核にあてがった指も、腰も同時に動かす。
これだけの快感を同時に与えられりゃ、女がイクにきまっている。
(まったく、うらやましい限り贅沢に、神につくられたイブ。
そのイブを喜ばす道具としてアダムをつくったとしかおもえないぜ)
「ああ・・・ああ・・・あ、ボーマン・・・ボーマン・・・ん・・・」
「ん?たまんねえだろ?」
(胸だってもみしだかれるために丸くふくらませたとしか、おもえない。
先の突起も男のものより大きく、ころがしやすい。
おまけに胸にあたえた快感が膣に手繰り寄せられて行くと
クッと、締め付けてきやがる。
他のどんな場所に与えた快感も膣にむかって伝達指令がはしってゆく)
「ね、ね、ボー・・・マン・・もう・・・だめ・・・」
「しかたねえな」
ボーマンはソケットの中の指を引きぬくと、
もう一度それを胸に持っていった。
親指と中指を伸ばしてふたつの乳房の先にあてがうと
ぐいぐいと、おすようにもみしだきながら
ボーマンはステラのプシイからボーマンの物を抜くと
滑りをそのまま滑らせてプシイのわずか上にあるソケットに滑り込ませた。胸への刺激もコアへの刺激もひとつもゆるめないまま
何度か、ソケットをボーマンの物で振幅させて愛撫してやると
また、引きぬいてプシイのほうに滑り込ませてゆく。
そして、同じことを何度もくりかえしてやる。
「あ、や・・・だめ・・ね、いい・・・ん・・・いい・・・」
「どっちでイってもいいぜ。ステラ」
(イブがアダムに犯され、イクのを愛でていたいか?
え?神様よぉ!ええ?最高のショーだろう?)
「あ、あ、あ、あ、あ、あああああ、あああ・・・あああ」
(俺のイブがいっちめえやがったぜ)
ぐったりしてたステラがやっと動き出した。
「ふうう」
って、大きなため息ついた。
「なんだよ?」
「もう、ひどいんだから」
「へ、ちっとはもたせろよ」
「無理よ。あそこまでやられたら、三日はだめ
なんにも、してなくても・・」
「うずいて、たまんなくて、みだれちまうってか?
それがいいって、くるやつがいるんだろ?」
「まあ・・ね」
「他の奴らにも、あの遣り方教えてんのかよ?やらせてんのかよ?」
「あは、やいてくれるの?
でも、あんなタフな事ボーマンぐらいよ。
他の人ができるわけないでしょ?」
「そ、そうか?」
少なからず嬉しいボーマンである。
「それよか、そっちこそ奥さんにもそうなわけ?」
「あん?んなことしねえよ。」
「どうだか?」
「しねえって。しなくてもいいんだ」
「?」
「あいつだけは本とに俺のもんなんだ。俺だけのもんなんだ。だから」
「やだ。それじゃ、あたしがそうじゃないみたいじゃない」
「そうじゃねえだろうが?
だから、俺の事、忘れらんねえくらいにかまわなきゃなんねんだろうが?」
「嘘ばっか。奥さんの事おもちゃにするみたいで、できないんでしょ?」
「あ。ああーん?」
「へええ。あいかわらずなんだ」
「な、なんがだよ?」
「べた惚れ」
途端にボーマンは話題をかえた。
あんまし、カアちゃんの事はいってほしくないのである。
「なあ、ステラ。アシュトンのことんなんだけどよ」
「アシュト・・・ン?」
「んとな、クロードのがきた時に、キャサリンが相方つとめたんだがよ」
少し考えていたステラが
「ああ、あの、あひゃひゃの子?」
と、言う。
どうやらキャサリンにいいほどきかされてたらしい。
「まあ。そう、よんでくれるな。
でさ、そいつにクロードに教えてやったように
なんとかしてやってくれねえか?」
「なんとかって?」
「好きな子がいるんだけどよ。どうにもなんねえんだよ」
「あひゃひゃじゃ、むりでしょうねえ・・・」
「また:いう。だから、相談してるんだろうが」
プリシスの事も説明した。
ステラには昔から一目おいている。
コイツにかかったらどんな奴でも惚れちまう。
道具のよしあしじゃない。
心をほぐしてくれるというか、そんな女だ。
セックスでもトークででも、そんな感じだった。
じゃなきゃ、13のステラに手を出したり、俺がそんな事するわけがない。
「フ―ン。女の子の気持ちのほうがもっと、問題ある所だけどね。
あひゃひゃが」
「アシュトン!」
「ん。アシュトン。本気で欲しがらなきゃ、本気でくれないな」
「へっ。判ってるじゃねえか。そこなんだよな。お前のいいところはさ」
「いいわ。判った。つれてきてみて話しきいてみる」
ステラに任せておけば大丈夫。
話しできるし、きける奴なのだ。
それがなにより大事な事だって事をステラが一番わかってる。
「でも、ボーマン。女の子のほう、そうとう落ち込むよ」
「わかってるって。俺がなんとかできるって」
「うん」
「蜜の味しんねえものは、蜜をほしがりゃしねえさ。
本気で欲しがるようにするにゃとっぷり蜜の味教えてやるしかない。
そういうことだろ?」
「まあね」
「ち、しばらく・・これねえな・・・」
しばらくステラを抱く事は遠慮しなきゃ仕方なくなりそうである。
「もう一回?もつか?」
「ん。ノーマルだけにしてくれる?」
「ああ・・・」
なーんて、そんなボーマンの口車に乗ったあんたがお馬鹿さん。
「いやああ・・・・あああ・・あ、あ、あ」
一回目より二回目の方が快感が深かったステラであった。  
                                      

  
夜遅くシアターから帰ってきたレオンとクロードが
デイアスの部屋の前で俯いてるレナの耳元に
何か囁いているデイアスの横を通りぬけた。
邪魔しない内にさっさとクロードの部屋に入っちゃおうって、
二人に声もかけず急いでとおりぬけた。
クロードの部屋の中に入ったレオンがクロードに
「ああ。びっくりした」
「どうしたのさ?今更,デイアスたちのこと・・」
「あ、きこえてなかったんだ?」
どうやらレオンには通りすがりに
デイアスがレナに囁いていた事がきこえてしまったようだった。
「あん?なにが?」
「あ、あのさ。デイアスがレナになんていってたと思う?」
「デイアスねえー。あのデイアスだろ」
レナが赤くなって俯いていたのだけはクロードもしっかり見てる。
と、なると
「うーん。愛してるよ。ちょっと、ちがうな。
夜明けのコーヒーを一緒にのもうよ・・・うーん」
「なんか・・古くない?」
「びっくり、なんだよな・・・」
デイアスが愛してるよなんて言うのでもびっくりではある。が、
「あのさ・・・「やらせろよ」・・・って」
「嘘・・」
「本と。はすかいにレナをみながらさ。
低い声で「やらせろよ」って囁いていた」
「たあー。かっこいいー」
「えっ?ええー?」
ものすごく異論がある声のレオンにクロードが不思議そうに尋ねた。
「って、そう、思わないんだ?レオン?」
「どこが、格好いいんだよ。もろ、いやらしいじゃん」
「ば、ばっかだなあ。おまえ、わかってないなあ。
ま、無理ないか。あれ、レナだからいいんだよな」
「なに、それ?」
「だよなあ。お前にさあ。やらせろって言うだろ?
「は―い。いいよぉ」って言うより先に
おまえ、ぜったい、やらせるだろ?
それが見えてる奴にさ、そう言うと確かにいやらしいんだよな」
「で、レナだったらどうだっていうわけ?」
「えっ。あ、だからさ「いや、そんなこといわないで」みたいな、
うーん。恥じらいがあってさ、で、「うん」なんていえないし、
でも、「嫌」なんてもいえない。
黙ってる事がオーケーになっちゃってさ。
あは・・・・デイアスそそられてるよー」
「は、そう」
なんかレオンの声がおこってる。
突き放す様に短い返事の時はもう、間違いなく怒ってるレオンなのだ。
「あり?なんか気をわるくした?」
「はい。はい。僕はいつでも、やらせる男なんだ」
「え、あのさ」
「いつでも、したがってるいやらしい男だから
全然そそられないのに無理して、してたんだ」
「もうう、どうやったら、そう、なんでもかんでもから、すねられるわけ?」
「あ、ああ。侮辱ぅー」
「もう。あのさあ。レオン。おんなじだろ?
デイアスが言うからレナも、らしく聞こえて赤くなってしまうわけで
僕がいったら・・・どう?」
「ど、どうって・・・」
「だからあ」
クロードはレオンの耳元に口を近づけて、
「やらせろ」
「ああん::いやだ」
なあんてそれだけでしっかりその気になっちゃうレオンを
そのまま押し倒したクロードである。


なんだか、みんな、うまくいってるのに。
うまくいってないのはアシュトン。
部屋の中でポツネンってひとりぼっち。
「あーあ。いうんじゃなかった」
って、プリシスに言った一言に後悔してる。
そこにチャイムの音。
『え?だれだろ?プリシス?なわけないよな。もう十時すぎてんじゃん』
でも、ひょっとするとひょっとする事だってあるかもしんない。
そう考えながらドアをそっとあけてみた。
「なんだ。ボーマンか」
「ん、なんだよ。悪いかよ」
「ああ―ん。別に。で、なに?なんか用?」
「なんだよ。御挨拶じゃねえか。まだ、すねてんのかよ」
「べ、別にすねてるわけじゃ・・・」
「ん。だったら・・・いこうぜ」
「い、いこうって?どこにさ?」
「きまってんだろ。女」
「女?」
「買いにいこうぜ!」
「え、え、ええ?」
「なんだよ?いやなのかよ?」
「そんな気になんないよ」
「たくっ。しみたっれたこといってんなよ。
こんな時はな、あっさり他の女抱いて気分をかえちまうんだよ」
「やだ。もっと、喧嘩になっちゃうよ。
っていってもさ、もう、だめなんだろけどさ・・・」
「あのさあ。プリシスはお前にしてくれっていえねえんだって」
「馬鹿いってら。プリシスがそんな事、思ってやしないよ」
「違うって、怒って見せてな。
それでも、お前に欲しいっていわれたいんだよ」
「そ・・そんな・・・こと」
「おまえ。それでも、もう一回。
いいんや、いいよって言われるまでいってみたことねえだろうが?」
「い、いえるわけないじゃない」
「だったら。なおさら・・いこうぜ」
「な、なんで?そんなこと、関係ないじゃん」
「あるんだって。な、いきゃ、わかるって。うまく、いくって」
「もう、だめだよ。あんなに、おこってたんだ」
「だからあ。いきゃあ、うまくいくようになるんだって・・」
「ば、馬鹿いってらあ。もっと、おこらせちゃうよ」
「あん?そう思うか?間違いなくそう、思うか?」
「あ、あたりまえだろ」
「だったら、だいじょうぶってことじゃねえか」
「え?なんで?さ」
「好きでもねえ奴がなにしたって、おこるわけねえだろ?」
「・・・・」
「ん?そうだろ?なあ。おまえさ。
若し、プリシスとそうなったら・・・大丈夫なのかよ?」
「なりゃしないよ」
「なるんだって、なるためにいくんだよ」
「な、なんで、そ・・」
「いってみりゃわかるって」
「・・・・」
「ナア。それによぉ。そうなってさ。
上手くできなかったらかっこつかねえだろ?」
「で、できるよ。前にいったじゃない」
「やってねえだろ」
「あ、あ。・・・・・しってんだ」
「え、なあ、いこうぜ」
「いいよ。わかってるし・・・」
「馬鹿やろう。人がやってるのみてたってな、
はじめてってのはな、いざ、自分の番になったらうまくゆかねえんだ。
それが好きな相手だったらなおさらなんだ」
「あ、うん。で、でも」
「本当だって、俺。カアちゃんと初めてん時がそうだったんだって。
本当に俺なんかが抱いちゃっていいのかなって。
ドッカに飾っておきたいものを、俺なんかがしちゃっていいのかよって。
あいつを目の前にした時震えたんだぜ。
足はがくがくするしさ、膝が突っ張ったみたいに動かねえし、
本当に俺のものにできるんだっ、
今からコイツだくんだって。
お前にゃ、わかんねえだろうなあ。
ま、いつもの俺じゃなかったよ」
「百戦錬磨の・・・ボーマンでも?」
「な、だからよぉ。いつでもできるぜって言えるようになっとこうぜ。
はじめて同士でどうすんだよ?プリシスが導いてくれるのかよ?」
「あ、いや・・・そんなこと・・・」
「だろ?お前がリードしなきゃプリシスだってできねえんだって」
「で、でも・・・」
「たく、セックスすんのになあ。
心だけ準備ができりゃいいってばっかじゃねえんだ。
身体のほうも準備しといてな。
それが大事に抱いてやるって事でもあるんだぜ」
「あ、うん・・・・」
「大事にだいてやれるようになっておくってのもな、愛情の一つだ。
な。行こうぜ。ステラがまってんだ」
「あ、あの。ステラって・・・あの、クロードの・・・」
「あん?そうだよ。なんだ、ステラじゃいやなのか?だったら・・他の」
「いこう・・・かな・・・」
「ん?」
「クロード。あのあとさ、すごくかわってみえたんだ。
なんか、すごく、たくましいっていうか、
おちついたっていうか。
ステラとの事でそうなったのかなって。
だから、ステラとだったらいいかなって」
「おっしゃあ。善は急げだ」
善かどうかは、人によって判断が違う事であるが、
いいほどボーマンをてこずらせたアシュトンの気が変わらないうちにと、
ステラの所に連れて行ったのである。
「ん、じゃな・・」
ステラのいる御店まで来ると、
ボーマンはアシュトンの背中をポンとたたいた。
ボーマンはそのままアシュトンの知らない女の名前を口にだした。
「俺はジェニフアーんとこいってらあ。
ま、先にかえってるかもしんねえけどよ」
って、言って階段をあがっていった。
アシュトンは教えられた部屋まで上がっていくと
部屋の前で大きな深呼吸をしてからドアを開いた。
「いらっしゃい」
って、澄んだ女の人の声がした。
その声のしたを見るとアシュトンよりいくつか年上に見える
綺麗な女の人がいた。
「あ、あの」
「ボーマンからきいていてよ。アシュトン君よね?」
「あ、はい」
そう、返事したっきりアシュトンはつたっていた。
「あ、やだな。固くなんないでよ。リラックスして。
こっちきて、そこに座って、ん・・・少し御話しょうよ」
ステラに言われたとおりアシュトンはベッドの上に腰掛けた。
「あ、あの」
「ん?元気ないみたいだけど?」
「あ、あの・・やっぱ・・やめとこうかな・・」
「(なるほど。コリャたいへんだわ)お姉さん見て気がかわった?」
「あっ。そういうことじゃなくて。ごめんなさい。気ィわるくさせた?」
「そうね。ちょっと」
「あ、貴方がいやっていうんじゃなくて。
あの、綺麗な人だし、やさしそうだし・・ああ、それに・・・」
アシュトンの目がステラの薄物だけを纏った身体をみている。
十分それだけでそそられてるのは間違いない。
「なにか、気になる事があるんだ?」
「あ。うん。そう・・・」
「判った。好きな子のこと?」
「うん」
「でも、その子のために来たんじゃなかったの?」
「うん。そう・・・なんだけど」
「わるいなって?」
「うん。それもある」
「それもって?」
「喧嘩してるんだ。もう、口もきいてくれなくて
もう別れた気でいるかもしんないのに
駄目になってるかもしんないのに、
やっぱ、ここにきたってなんにも、なんないよね?」
ボーマンにいわれて、そうだよなって思いながらきてみたけど、
現実に抱えてる問題がアシュトンに重たくのしかかっていた。
「大丈夫よ。そのこ、あなたの事大好きよ」
余りにあっさりとこの人はアシュトンの不安をうちけそうとする。
「な、なんで。そんなこといいきれるのさ。みたこともないのに・・・」
「あのね。私、貴方を見ていってるの」
「僕を?」
「そうよ。とっても、大事にしてあげてるし、
いろいろ、考えてあげてるし、大切なんでしょ?
大好きなのよね?
だから、その子も貴方の事好きにきまってる。
なんで、喧嘩しちゃったのか知らないけど仲直りできるわよ」
「あ。あの」
ステラはアシュトンの瞳からぽろぽろって落ちてくる涙を指でぬぐいとった。
「ね、こんなに、好きなんだもの・・・わかってくれるよ」
「あ、あの」
「ん?」
なんだかこの人、とても優しいってアシュトンは思った。
それに女の人だから、
プリシスと同じ同性の目でみて言ってくれてる分だけ
余計にほっとする。
「あの、プリシスに・・あ、その子。プリシスっていうんだけど
胸さわらせてっていったんだ。それで、怒り出しちゃって」
ステラに心の中の不安をはきだしてしまいたいのと
何処かで喧嘩の解決の良いアドバイスを期待して
アシュトンは喧嘩のそもそもの原因を話し始めていた。
「え?そんな事いっちゃったの?」
「やっぱ。そうだよね。いうんじゃなかった・・・」
「そのとおりよ。いうべきじゃなかったわ」
「ああ・・僕ばかだよね」
「そうよ。女の子にいいか?なんて聞くもんじゃないわよ」
「え?あの・・?」
「黙って触っちゃえばよかったのよ」
「え、あの。ボーマンも似たような事いってた。やっぱ。そうなのかな?」
「当り前よ。
そんな事聞かれたらいいわよってはずかしくっていえないじゃない」
「で、でも。そんな事了承なしにしちゃ・・失礼だよ」
「イイワヨ。どうぞって言わせる方が失礼よ。
軽い女みたいだし、それだけの為みたいにきこえるよ」
「そ、そうなの?でも、すごくおこって」
「どうすればよかったわけ?彼女、どう、できたと思う?」
「あ、え、あ?どうだろ?」
「彼女にはそうしかできなかったんだよ」
「はずかしい?ってそれだけだとおもう?」
「ううん。貴方に少しおこってるわね」
「だよね」
「Hなことしたいばっかにみえてんじゃないかな。
それだったらそれでいいのに・・・・。
なのにどっちでもいいんだもの。失礼だよ」
「え?」
「興味本意でしたがってるみたいで悲しかったんじゃないのかな?
本気でHなことしたいってわけじゃなくて
あわよくばって感じって・・・・侮辱だよ」
「ねえ。でも。僕だって本気だよ。でも、いやかもしんないのに」
「聞いて確かめなくてもいいでしょ?」
「だって。それよか方法ないじゃない・・・」
「ばかね・・・・」
そう言ったステラの手がアシュトンの頬を挟み込むと
ステラの唇がアシュトンの唇に重ねられた。
ステラの舌がアシュトンの唇をなぞるように舐めてくると
アシュトンの閉じた唇の中にその舌を割込ませてきた。
(く、ああ。デイ―プ・・・キ・・・ス)
下顎の方に向けてアシュトンの舌の下をなめ上げると
アシュトンの舌を裏から擦る様にうごきまわると
やがてその舌がアシュトンの舌全体の愛撫に変り
くううとすい上げられるよな感触に任せたまま、
何時の間にかステラの舌にからめとられて
アシュトンのほうがステラの口の中に自分の舌を入りこませていた。
アシュトンのその舌をステラが吸う様に舐め上げて軽く、かんでみせた。
(あ、ああ。なん・・これ・・へん・・・きもちいいような・・・)
そしてもう一度アシュトンの舌をステラの唇の動きで
揉みこむ様に愛撫しながらゆっくり吸上げてみせた。
頭の中がステラに与えられる感触だけを追従し始めて行く。
その感触だけが今のアシュトンそのものみたいに、
何も考える事なく他の事一切の感覚も途切れて
ステラとの感触がアシュトンのその世界の全てだった。
ステラの手がアシュトンの硬くなった物に延びてきて
下着の中にまで入って来るとしっかりにぎりしめた。
「アシュトン・・・かたいよ」
アシュトンの服を緩めるとステラがぬがせはじめた。
しっかりアシュトンのものを片手で愛撫しながら
脱がせて行くステラの所作にアシュトンももどかしくなってくると
自分でぬぎだした。ステラが
「上も・・シャツもよ・・」
そう言いながらアシュトンの物に向けて屈み込んで行くと
アシュトンそのものをステラの口で愛撫し始めた。
(ああ・・・ステラ・・・そんな・・・)
ステラの手がアシュトンの太腿をなでさすっていた。
その手がアシュトンの手をつかむとステラの胸に誘導されていった。
大きくて柔らかいそのくせ弾力のある二つの乳房を
アシュトンはゆっくりもみこみ、その先の突起をくりくりっとさわってみた。
ステラがアシュトンのものから口を離すとゆっくりたちあがってきた。
乳房に置かれた手を所在なさげにはなすアシュトンの手を取ると、
ステラはその手を自分の下腹部に導いていった。
アシュトンの手にぬるりとした感触がつたわってきた。
「アシュトン。ここ。そう。そこ、そこが・・女の子の一番敏感なとこ」
アシュトンの指の腹に小さな突起が硬くかんじられた。
「あ、そのまま・・・なで・・て・・」
ステラに言われるままアシュトンはそこをゆっくりなであげていった。
「あ、ああ・・いや、いや、だめ・・・」
「あ、ごめん」
そのまま引っ込めそうなアシュトンの手をステラがおさえた。
「違うの。アシュトン。いいの・・・。
いやって言っても、止めてって言っても、止めちゃ・・だめなの」
「え?」
「ね?」
もう一度ゆっくり押しこむように、
揉み込むようにステラのその部分をアシュトンは愛撫しはじめた。
「ン、ン、素敵よ・・あ、ああ。アシュトン・・・ね・・・」
「ああ。ステラさっきみたいに・・僕のもさわって・・・」
ステラの手がアシュトンの物を撫でるように
優しい愛撫を繰り返し始めると
ステラの手がもう一度アシュトンの手を掴んだ。
ステラに掴まれた手がスライドする様にわずかな下方に降りて行くと
「アシュトン。いい?ここ・・・」
ステラはアシュトンの指を手の項を押さえてステラの中にいれこませた。
(あ・・ここ?ここが、女のひと。・・・柔らかくて、暖かくて・・深い)
「ね、アシュトン。もういいよね?・・・わかるよね?」
「あ、あの・・・」
「もう、指なんかじゃだめなの。アシュトンがいいの・・ね・・・」
「ア・・僕の?」
「そうよ。それで・・ここを・・かわいがって・・ね?」
アシュトンの指を何度かぐいぐいってステラの中に押さえこませた後、
アシュトンのその手をどかせると
ステラもベッドの上に上がりこんで
アシュトンにピッタシだきついていった。
その後のことは言うまでもない事だろう。
/誰?聞きたいって、言う人〜〜〜〜/

三日・・四日・・五日・・・。
あれからアシュトンがぴったしこなくなってしまった。
三日目になると流石にプリシスも
ちょっと御灸が聞きすぎたかなって心配になってきてたけど、
自分からアシュトンを突っぱねといて
のこのこ出かけて行くのもなんか、物欲しげでやだなって
昼には来るかな?
夕方には来るかな?
ってじっと、部屋でまっていた。
どうせ、すぐに顔出すに決ってるって思ってたアシュトンが
その日もこなかった。
「もう、いくじなしなんだから・・・・」
って、少しアシュトンをなじってみたけど、
プリシスもだんだん不安になってきていた。
ひょっとして・・もう、こないのかな?
だったらそれはそれで、もう一つ余計に腹立たしい。
さわらせてあげなきゃ、こないわけ?
って、なんだかプリシスのほうが悲しくなってしまっていた。
四日目もやっぱり・・・こなかった。
結局、プリシスもアシュトンがきてくれるのを待ってる自分なんだって
いやでもこうでも自覚させられると
「あした、アシュトンの所いってみようかな。
もう、おこってないよって・・・そう、いってあげよ」
あくまでも優位な立場でしか考えていないプリシスだった。
それでも五日目の昼すぎまでは
プリシスはアシュトンが来るのを待ってみた。
やっぱり、来ないってなると
仕方がない・・・あたしが折れてやるかって随分、強気で家を出た。
なのに、アシュトンとこの部屋の前で
何回チャイムを鳴らしてもノックしてみても返事がなかった。
「あり?アシュトン・・・いない?」
プリシス以外の事で外にであるくことなんて有り得ない。
樽探しも故郷じゃいく所なくしてるはずだし
と、なると・・・・。
レオンとこかなって思い直してでかけてみることにした。
どうせ皆、暇持て余してレオンの研究所に
入り浸っているに決ってるんだ。
そこでアシュトンも皆といっしょにいて気を紛らわしてるに違いなかった。
やけに静かだなって思いながらプリシスは研究所の中にはいっていった。思いきりドアを空けると
「やほー。みん・・な・・・い・・ないね」
って、声がしずんでしまった。
ゆっくりあたりをみ廻して見ても
研究員スタッフとレオンが顔突き合わして
データー用紙見比べて、難しそうな事を喋っていて
プリシスにふりむきもしない。
(アレ?可笑しいな。誰もいない。あっ・・いた。って、ボーマンだけ?)
思ったとおり痺れをきらしてアシュトンを探しに来るだろうと
ボーマンはプリシスをまっていたんだけど、何食わぬ顔をして
「おりょ?プリシス。どしたんだ?アシュトンと一緒じゃねえのか?」
って、軽くかまをかけてみた。
「え?あ、あ、ん・・・」
「なんだよ?えらくはっきりしねえ返事だな?
おまえらしくねえじゃねえか?」
「え?そうでもないよ」
「なんだよ?アシュトンといい仲になってんのは内緒なのかよ?」
「え!?あ。やだ。気がついてたんだ?」
って、一瞬嬉しそうな顔をしたけどすぐ、その顔がくぐもった。
「なんだよ?えらく元気がねえじゃないかよ?」
「あ・・・ん。ねえ?アシュトンみかけなかった?」
「なんだよ?約束してねえのか?」
「あ。うん。ちょっとね・・」
「ふううん。そっか・・・やっぱりな・・・」
って、ボーマンはわざと思わせぶりな口調で一言言うと
納得したような顔をしたまま黙った。
「やっぱりって、何?アシュトンなんかいってたの?」
かけた罠にあっさりプリシスがのってきた。
「ここじゃ、なんだな。中庭にでもいこうか?」
「って?あの・・・他の人に聞かれちゃやばいってこと?」
「あ、ああ。まあな」
「う・・ん」
日差しが明るい中庭まででてくると、
ボーマンはひんやりとした大理石のベンチに腰をおろした。
スタッフもよくここで昼の弁当を広げている場所だけど
さすがに今の時間にはだれもこない。
「突っ立ってないですわれよ?」
ボーマンに言われてプリシスもボーマンの前にすわった。
「あの?ボーマン」
「ん?なんだ?」
「あの・・アシュトン何処にいるかしってんだ?」
中庭に出るまでプリシスはずううと考えてた。
ボーマンがやっぱりって言う事は
アシュトンが喧嘩して一人すねてた事もしっているんだって。
時々、ボーマンが何処かに行く事もプリシスはしっている。
そこでボーマンが何をしているかも想像がついている。
そんなボーマンならプリシスと喧嘩してしょぼくれてるアシュトンに
ボーマンが気晴らしにいこうやって・・声かけるにきまっている。
「まあな」
「どこに?いるの?」
「それ、聞いてどうする?」
「え?」
「なんとなくさっしがついてんだろ?」
「・・・・」
「聞くのこわくないか?」
「やっぱり?」
「ああ。俺がつれていった。俺はお前にあやまんなきゃいけねえな」
「・・・・・」
「すまなかったな。アシュトンのやろう。
あんなにステラに夢中になるとはおもわなかったんだ」
「そ、その人・・・ステラって・・・いうの?」
そう、尋ね返したかなっと思ったら
プリシスがわああって声をあげて泣き出した。
(ちえっ。いやな役だぜ。ふっ。でも、プリシス・・・おまえ・・・)
その時だった。
「あ、ああああーーーーーーー」
って、ボーマンの後ろからレオンのおっきな声がした。
「ん?なんだよ?なんで」
「それ、僕がいいたいよ。なんで、プリシスがないてんだよ。
ボーマン、何したんだよ!?」
(余計な時にうろちょろしやがって)
「レオン。クロードんとこにでもいけよ」
「はん。おあいにく。クロードとここで待ち合わせだよ」
レオンの声がひどくおこっている。
「な?」
「いっしょにお昼たべよって。
お陰でプリシス、いじめてんのみつけられたよ」
「(なんだよ。飯、まだだったのかよ)・・・いじめてるわけじゃねえよ」
「はー―ん?こんなのみて・・・」
って、怒って、人の言う事なんかまともにきこうともしないくせに
向こうからクロードがきてレオンを呼ぶのだけはちゃんときいている。
「クロード。きてよ」
って、レオンがクロードをよんだ。
(おいおい、クロードまで・・・よばなくたって)
ボーマンが諦め半分でレオンのこと、黙って見ていたら、
プリシスが泣き顔あげてレオンに
「いいの。レオン。アシュトンなの。ボーマンのせいじゃないの」
と、言う所にクロードが側にくると、なんだか妙な様子の3人に
「どうしたの?」
って、誰にということもなく尋ねた。
ボーマンが何か言うより先にレオンが
「ボーマン。プリシス、泣かしといて、それが僕に見つかったら
今度はお前はクロードの所行ってろって言うんだよ」
まいったなって顔してるボーマンにクロードが尋ねた。
「ボーマン?プリシス、どうしたの?」
心配してるクロードに泣き顔のまま
プリシスが自分で説明しようとするのが解ると
ボーマンもプリシスの口からアシュトンのことを言わせるのは忍びなかった。ボーマンもこうなったら仕方がない。
「クロード。たいしたことじゃねえよ。
ま、なんだ。ようは、アシュトンがなステラにのぼせあがってんだ」
「え!?アシュトンが?な、なんで?」
しばらくもせぬうちに、クロードも考えついたのだろう。
「ま、また連れていったんだ?プリシスがいるのに・・」
でも、自分の時の事を考えてみると、
クロードもボーマンの手引きによってステラとの事があった。
そのお陰でレオンの事が何よりかけがえない事なんだって判ったし、
レオンとのセックスへ踏み出して行ける事になった。
クロードにとってはレオンという扉をあけて行く鍵を
ステラにもらった出来事だった。
それが判ってるクロードだから
アシュトンの為にしたことだろうという事は察しがついた。
だけど・・・
「そんなこと・・・プリシスにいわなくたって・・・」
レオンが小さな声で「あの?」って言うのに
クロードは気がついていなかった。
ボーマンはレオンの顔をちらりと見た。
そのレオンの顔の中にひとつの確信をみてとると、
ボーマンはなにくわぬ顔で
重大な事を失言しているクロードにそのまま
「まあな。計算違いだったわけよ。
おまえはステラにのぼせあがんなかったけど。アシュトンはどうも・・な」
そのボーマンの言葉を聞くとプリシスがまた、泣き出してしまった。
「プリシス。だいじょうぶだって。もどってくるって。もど・・・」
プリシスを慰めてるクロードの頬にパシッって音と痛みがはしった。
ふいの事にわけがわからないまま、
クロードは平手討ちを渡して来たレオンの顔をみた。
じっとクロードを見てたレオンが駆け出していった。
「あ?ああ!」
クロードもやっと自分の失言に気がついた。
自分のうかつさをたなに上げて
ボーマンがはっきりとステラとの事があったのを
レオンにわからせた事をクロードはせめた。
「ボーマンまで。レオンに・・あんなこと・・いわなくても」
クロードの科白だけだったら、
まだしも、アシュトンだけいったんだって言いぬけられなくもなかっただろう。
でも、ボーマンの一言は決定的に
レオンの前でクロードの事実を表明していた。
「いいじゃねえか。お前も黙っておくのつらかったろうが?」
「そりゃ。そうだけど。レオンが・・・・。
それに言うなって言ったのはボーマンのほうじゃないか」
「ふっ。レオンなら受けとめられるさ。あいつはおまえに惚れてんだ。な?」
「でも・・・ひどいよ・・・」
「ひどくねえさ。あん?いってやれよ」
「あ、でも・・・どういえば・・・・」
「行って来い。プリシスには俺がまだ話しがあるんだ」
ボーマンはレオンにかけている。
ソレは、クロードに対してでなく、
プリシスに対してである。
・ ・・・レオンなら受けとめられるさ。
あいつはおまえに惚れてんだ。な?・・・・
ボーマンはこの一言をプリシスにきかせたかったんだ。
「あ・・・・うん・・・」
「大丈夫だって」
ボーマンに促がされなくたってクロードはレオンの所にいくしかない。
慌てて、クロードはかけだしていった。
ボーマンはプリシスの方にむきなおると
「さてと、奴等は当分戻ってきやしない。
な?プリシス。おまえ・・・アシュトンのこと本気なんだな?」
「・・・・・」
「今、こんな事言ったって信じらんねえだろうけどよ。
あいつな・・・・おまえのこと本気だよ」
プリシスが小さく首を振った。
「待っててやれ。帰ってくるから」
「・・・・」
「だいたいな。アシュトンがおまえに夢中になってるからって
自惚れ過ぎてたんだよ」
「だめよ・・・もう・・・かえってなんか・・・」
「心配するなって。
ちっと、ステラとのセックスに味をしめちまってるだけだよ」
アシュトンとステラがそうだって事はわかっている事ではあるけれど
そこまではっきりいわれるとプリシスも辛い。
ただ、落ちてくる涙をぬぐうしかない。
信じたくない事を厭が上でも突きつけられて
プリシスはだまりこくるしかなかった。
「それとも、なにか?諦めちまうのか?
それぐらいしか、アシュトンのこと好きじゃねえのか?」
「ううん。そんなことない・・・けど・・・・」
「ゆるせねえか?」
「う、それに・・・近い」
「ふううん。俺はアシュトンより、お前の方が赦せねえな」
「えっ?」
意外なボーマンの言葉にプリシスは驚いた。
「だいたいな。元々はアシュトンはお前を抱きたかったんだ。
それをな、セックス後ろに隠して、
あいつの心をつるみたいにしてな、
アシュトンがお前を振り向くのを楽しんでいただろうが?」
「そんなことないよ」
「なら、なんで抱かれてやんなかった?」
「え」
「後生大事に奥の手に隠しとかなきゃいけねえほどのものかよ?
そんなもんで、つらなくたって、アシュトンはおまえに惚れてるよ。
おまえをみてくれてるよ」
「・・・・・」
「アシュトンが欲しがってるって、わかってんなら、やりゃあいいじゃねえか。そんなにあいつが信じられねえから他の女にとられちまうんだ」
(とられちまったんだよね)
が胸の中につきささったボーマンの言葉を
引きぬくみたいにプリシスは同じ言葉をつぶやいた。
「とられちゃったんだよね?」
「あのなあ。プリシス。男と女ってな、セックスだけじゃねえんだ。
だから・・・・気が済んだら帰ってくるって。
それまでじっと辛抱しろ。
お前の事をアシュトンが辛抱してたようにな。
誰でも、好きな女を抱きたいもんさ。
え?お前だってアシュトンにだかれてえだろ?」
「う、う・・・う・ん」
「なんだよ?つれねえ返事だな」
「だって・・・今。こんななのに」
「あたりまえだろ。セックスじゃステラにゃ勝てやしねえよ。
俺がきいてんのは、お前の気持ちだよ」
「いつかは、アシュトンとそうなりたいよ。でも・・・」
「ん。だったら、待っててやれ」
「かえってくるんだよね?」
「よし、いい子だな。プリシス。もうちっと、待ってろ。
そしたらな、おまえだけのアシュトンになって帰って来る」
「本当に?」
「ああ。だから、信じて待ってろ」
小さく頷いたプリシスの肩をそっと抱き締めるとボーマンは、
プリシスの側を離れて研究室の方に歩んでいった。
プリシスの思いが判ると
あいつらは大丈夫だとは思いながらも
レオン達の事が頭の中によぎっていた。


研究所の中に作られたスタッフルームの
自分の部屋に戻ったレオンの後を追ってきたクロードは
ドアの前でしばらく考えあぐねていた。
どういえばレオンにわかってもらえるんだろうか。
レオンのためにと言ったみたって
レオンにしてみれば結局の所、クロードの裏切りでしかない。
『ボーマン。どういえばいいんだよ』
と、言ったってボーマンのせいじゃない。
ステラん所いってみなきゃ大事な事に気がつけなかった
自分のセックスへの迷いと、
欲望と愛情の取り違えにさえ、気がつかなかった
自分の不甲斐なさのせいでしかない。
「レオン」
クロードはドアの外からレオンをよんでみた。
レオンの返事はなかった。
恐る恐るドアのノブに手をかけて引いてみた。
クロードの不安とは裏腹にドアには鍵がかかってなかった。
追いかけてきて欲しい。
レオンのその心が痛いほどクロードを刺した。
部屋の中に入ったクロードの口から出てきた言葉は、やはり
「レオン・・ごめん」
それしかなかった。
ベッドの上で蹲ってるレオンがやっぱり、ないてる。
「違うんだ・・レオン。・・その・・」
「いいんだ。クロード・・・僕」
クロードの言葉を遮って何か言いかけたレオンの言葉もとまってしまった。
「レオン・・・」
「判ってるんだ。いいんだ。ほんとに、いいんだ。
でも・・・他の人とって・・・それがくやしいだけで・・・・」
「・・・・・」
レオンもクロードがステラとの事がなかったら
レオンと上手く行ってなかっただろうという事は判るし、
レオンがあんなにクロードに安心して身を任せられたのも
クロードがそれなりに経験つんでたからだって事も判っている。
でも・・・
「本もよんだんだ」
「はい?」
「内緒でビデオかって・・・ちゃんとみたんだ」
「はい?」
「ちゃんとやり方勉強した・・・んだ」
「あの・・・それって?」
「僕、ちゃんと勉強したのに・・・」
「はぁ」
「なのに・・・」
「あのな。レオン。そうやって、してくれたの嬉しいけどさ。
僕はお前にリードとられたくないんだ」
「うん」
「だから・・・行ったんだ。
それに本にもビデオにも僕がどんなにレオンの事を好きか、
どれほど抱きたかったか、かいてあった?」
「ううん」
「それをどうやったら、判ってもらえるか僕にはわかんなかったんだ。
だから・・・いった。ごめん」
レオンが黙ってしまった。
「厭か?絶対、赦せない?」
「もう・・・いかない?もう、いかない?」
「当り前だろ。もう、行く必要ない。レオンのことが一番なんだ。
僕にはレオンだけなんだ。それが一番よくわかったんだもの。
行きゃしないよ」
レオンがクロードに飛びついてくるのをクロードはしっかり抱き止めた。
「ごめんな・・・レオン・・・」
クロードの胸の中でレオンが首を振ったのが判った。
二人は都合のいい事にベッドの側。
クロードはそのままレオンを傾けるとベッドに倒しこんでいった。
「あっと・・・仕事いいのか?」
って、聞くクロードの首に、
レオンがまきつけた腕がクロードを誘う様にひっぱってゆくと
後は二人の時間を存分に共有するだけだった。
                             

ボーマンは自分の店に帰ってくると、店の電話からステラをコールした。
「よっステラ。こっちはOKだ。思ったよりいい手応えだったよ。
そっちは・・どう?」
「うーん。もう、ひと押しかな。なんか、まだつかめてないみたい・・・」
「まあ、せいぜい。思いきりだいてやってくれ。もう・・ちっと、かかるかな?」
「こればっかりわね。あの子、自分で納得しなきゃね」
「連チャンなのか?」
「うん。 タフ。身体よりぉ金の方が心配なくらい」
「ま、金は俺がはらうさ」
「あは、優しいんだ。それよか、ボーマン。あの子・・初めて・・じゃないよ」
「はあ?嘘だろ?」
「本と。けっこう、上手だし・・優しいし・・・」
「まじかよ?」
「うん」
「ふううん」
「ぁ、少しは、やいてくれてんのかな?」
「へ、まあな」
「うふ・・・じゃね」
「おう」
って、電話きった。
(ふううん。覗いた甲斐があったってことかよ。
これも、レオン効果ってやつかい?)
そんな事思いながら
レオンとクロードのいざこざはとっくに納まってるだろうなって
ボーマンは考えていた。


その頃プリシスは、研究所からでて、自分ちに帰りかけていたのだけど
もう一度アシュトンの所を訪ねていた。
帰ってるかもしれないって、思ったからだけど、
帰ってるも何も始めからアシュトンは部屋の中にいたのである。
連日のステラ通いで流石のアシュトンも草臥れていたし、
そのくせ、今日もいくぞって、
体力回復兼ねて昼過ぎても泥の様に眠りこけていたのだ。
なんだか、玄関でチャイムがなった気がしてアシュトンは目が醒めた。
まだ,半分寝ぼけ眼で玄関の戸をあけて見たらなんと、プリシスがいる。
「ぁ、ああ。ぁ、おはよ・・・プリシス」
って、間抜けた言葉しか今のアシュトンにはでてこない。
まだ泣きはらした目が赤いままのプリシスなのに
アシュトンは気がつきもしない。
「あ、いたんだ。さっきも・・・きたんだよ」
「あ、うん」
アシュトンはなんだかすごく気まずい気分になっている。
「あの・・」
プリシスもなにをいっていいのか、わかんない。
「あ、うん。あ・・」
(やばいよ。まともに顔あわせらんない。なんで、プリシスからくるんだよお)
アシュトンがじっとそのまま、黙ってるしプリシスもどうしょうもない。
「あ、ごめん。なんか、くたびれてるみたいだね。
あ、うん。あ。ゆっくり、やすんでてよ。
あ、あの・・・うん。だから・・・帰るね」
「あ、え、あ、・・・うん」
って、アシュトンはプリシスにあってもちっとも嬉しそうじゃないし
上がっていきなよなんてなおさらいってくれそうにもない。
帰るねって言ってもわざわざ来たのにって引き止めてくれようともしない。やっぱ,駄目なんだ。
ボーマンの言った通りステラに夢中で
私の事なんかどうでもよくなってるんだ。
泣き出しそうなのをこらえながらプリシスは
やっと、一言だけアシュトンにいった。
「あ、あの、私まってるから・・・じゃあ」
って、ドア閉めた。
涙がぽろぽろこぼれてくるのを拭いながら
プリシスは早足でアシュトンの所から逃げるみたい家に帰ってくると
自分のベッドにつっぷすとわんわん、泣き出した。
思いきりないた挙げ句、いくら考えて見ても
やっぱりボーマンの言った事を信じて待ってるしかないよね
って、プリシスは決心してた。



 プリシスが帰って行った玄関先でアシュトンはぼんやり考えていた。
プリシスの事は本当に大好きなんだけど
軽く目を閉じただけでアシュトンの瞳の奥にはステラの顔がうかんでくる。初めてステラとの事があった日から
ステラの事ばっかり浮かんで来て、
矢も盾も溜まらずステラに逢いに行って、
逢えばステラと肌身を重ねあわせたくてどうしょうもない。
そんな事を考えてるだけでもう、ステラに逢いに行って
しっかりとステラの中にくるまれたい
って思ってしまっているアシュトンだった。
夜になるのが待ち遠しくてたまんないほどに
骨抜きになってるアシュトンでも、やっぱりお腹はすく。
なんか食べようってアマンダまで出かけて行くとそこにボーマンがいた。
やれやれ、やっと、きやがったなって思ってる事なんか
ボーマンはおくびにもださずに
「おう」
って、アシュトンに声をかけた。
「あれ?めずらしいじゃない。ボーマンでもこんなとこにくるんだ」
「何処にいたら珍しくねえっていいたいんだよ」
「あ、あはははは。そうだな・・御酒のあるところか、研究所」
「ふ、それと、ステラんとこでお前と鉢合わせするとかな」
「あ、・・・・ああ」
なんだかアシュトンの声が沈んだ気がする。
「連チャンだってな?」
「あ、うん。知ってるんだ?いったの?」
「お前が行ってるのに、いくわきゃねえだろ」
「じゃあ、なんで」
「電話って物があるだろうが::」
「あ。ああ」
間違いなくアシュトンの中に
ボーマンへ電話かけられる仲なのっていう嫉妬があるのがみえる。
「なんだよ?」
「あ、うん。仲いいんだなって、思ってさ・・・」
「おまえ・・・」
「あ、なに?」
「まさか、おまえ、本気なんだって言い出すんじゃねえだろうな?」
「もし、そうだったら?」
アマンダがアシュトンの注文の品を持って来たのでボーマンは黙った。
アマンダが向こうに行ったのを確かめてから、
「だったら、やめとけ」
むっとした顔でアシュトンが言いかえした。
「ボーマンがいけっていったんじゃないか?なのに・・・」
「ああ、確かにな。でもな、俺はセックスしにいこうっていったんだぜ」
「・・・・」
「それにな、土台、おまえにゃむりだ」
「むりって?」
「まだ、わかんねえのかよ。たく、お前はやりにいってんだ。ステラはな・・・」
「ステラはなにさ?」
「やらせるだけの・・・女だ」
「ひ、ひどい事いうんだね。ボーマンだって行ってるじゃないか」
「ああ。やりにいってるよ。
いいか、あの女はな、守る価値がねえ女なんだよ」
「そんな・・・こと」
「あいつにとってな、
お前はプシイをかわいがってくれる男の一人でしかねえんだよ」
「そんなこと、ない」
「お前だって同じさ。
自分のロケットにいい思いさせてやりてえだけなんだよ。
そんな、気持ちのいい思いさせてくれた相手だからな、
好きだって勘違いしてるんだ。むりねえよな」
「違う・・・」
「違わねえよ。それよりな、あんな、プリシスが」
「やだ。ききたくない」
「ふん。なんでだよ?」
「・・・・」
「まあ、これだけはいっておくぜ。
お前にセックスされもしねえ女がな、お前の事待ってるって」
「え?」
「ないてたぜ」
「な、なんで?あ、ああ。しゃべったんだ。
ボーマン。ステラのこと・・・プリシスにしゃべったんだ」
「どうでもいいことじゃねえのかよ!?え!?
ステラに本気じゃなかったのかよ?」
「いいよ」
「なにがだよ?」
「もう、プリシスの事は・・・もう、いい」
「は、そおかよ。まあステラにせいぜい泣き見させてもらえよ」
「ボーマン?」
「まあ、悪くおもうなよ。俺にゃお前がドッチに本気でもいいんだ。
ようはな、お前が本気かどうかってことだけなんだ。
それをしっかり見定めてほしいんだ。」
「・・・・」
「なんか、あったらこい。いつでも力になってやる」
ボーマンはそれだけ言うとアマンダをでていった。
そして、アシュトンはやっぱり夜になるとステラん所にでかけていった。
「あら、いらっしゃい」
って,アシュトンの事をステラはにこやかに迎えてくれた。
「ステラ・・・僕・・・」
「ん?どうしたの?」
「あ、うん」
アシュトンが黙り込んだのでステラの方が喋り出した。
「ねえ?アシュトン・・あの・・連日でしょ?」
「あ、ごめん。迷惑だった?」
「ウウン。御客様ですもの。迷惑ってそんなことじゃなくて、
お金大丈夫かなって。それと、もっと大切なこと忘れてないかな?」
「あ・・・プリシスの事?今は・・・いわないで」
「そう?(大切な事?で、プリシスか。本当の事だよね。
それがわかってるなら大丈夫だよね)」
大切な事って言ったら、
ちゃんとプリシスの事だってアシュトンの答えが返ってきた。
もう、少ししたらアシュトンも来なくなっちゃうな
って、ステラも少し淋しい気がしている。
「あれ、もう、ぬいじゃうの?」
「うん。ね、ステラ・・ここ・・さわって」
ステラが優しく、そこにキスしてくれる。
アシュトンの身体中の神経全部がステラの唇を感じ取ろうとしている。
そんな気がしてアシュトンは目を閉じた。
ステラがゆっくりアシュトンの手をつかむと
ステラの纏った物の肩紐のところにもってきた。
アシュトンは紐を解いてステラの素肌とじかに絡み合うために、
纏った物をとりはらった。
ステラの素肌が露出すると、アシュトンはステラの唇をもとめ
舌をからませながら、たった、一枚残ったものを器用にぬがせてしまった。滑りを帯びたステラの物に指を絡めながらまさぐってゆくと
ステラの身体がびくりと動くのが判る。
アシュトンはとても、切ないような、たまらなく嬉しいような気分になってくる。唇を離してアシュトンが
「ねえ、ステラ。僕の事・・・好き?」
「大好きよ・・・アシュトン」
「そう。僕も、僕もステラのこと本当に大好きだよ」
「ん」
「けど、僕じゃ・・僕じゃ・・駄目なんだよね?」
と、たずねた。
「そんな事ないわ。アシュトン。私が・・私が悪い・・・んだ」
ステラもアシュトンの心の中にある小さな迷いに気がついている。
それは恋と呼べるものじゃないけど
肌身を何度か重ね合わせた相手に対する情というか、親和感というか、それに過ぎないものだってことは、当のステラが一番良く判っている。
「ステラ?」
「ごめん。駄目なんだ。どうしても忘れられない人がいるんだ。
振り払っても、振り払っても一人占めしたくてどうしょうもない。
なのにどうにもなんない。せめて、身体だけでもよりそってみたい。
その人に逢いたくて・・・ここにいるだけ・・・」
「な、なんで・・・なんで?おっかけないのさ?」
「勝てないんだもの。追いかけたらピリオド打つ日がくる。
ウウン。とっくにピリオドうたれてたのに
こんな仕事はじめたら慌ててとんできてくれたの。
幸せに暮らしてたんじゃなかったのか?って
あら、幸せよって・・・でしょ?彼が目の前にいるんだもの」
「そ、そんな・・・」
「それからよ。百回のセックスの中に一回でも彼との事があればいいって。それだけの女でしかなくていいって。
ううん。それだけの女になってみせるって。
ねえ?だからアシュトン。本当に好きな人をなくして欲しくないの。
貴方のプリシスが私みたいになったら・・・・どう?」
「ア、ウウン。そんな風にさせたくないよ」
「でしょ?」
「ステラ・・・幸せなの_そんなんで・・・幸せなの?」
「ん、でも、この話誰にも内緒よ」
「ボーマンにも?」
「なんで、ボーマンなの?」
「なんか、なんとなく」
「ウ・・・ン。内緒」
ステラの瞳の中に何処か淋しげな物を湛えていたのが
このせいだったんだっって、はっきり判ったら
なおさらアシュトンじゃどうにもしてやれないんだなって事が
はっきりしてしまった。
「アシュトン。気にしなくていいのよ・・・いらっしゃい」
ステラがアシュトンの手をひいた。
ステラの唇にアシュトンの指を導いてゆかれると
やがてアシュトンはゆっくりステラの口の中に指をいれこんでいた。
すぼめた唇の中にセックスする時みたいに
指を押し込んでは引いてやると
ステラからの興奮が伝わってきて
アシュトンはステラを膝の上にだかえこみ始めた。
まもなしに、ステラの興奮が本物をあたえられた物からになってゆく。
「ステラ・・ああ・・気持ちいい・・・きもちいい・・・きもちいい・・・」
「ん・・・んんんん・・・・」
って、二人が快感追従し始めた。
きっと、今日もアシュトンは延長・・・だな。

次の日,プリシスは研究所にでかけていった。
「ねえ、レオン。てつだうことない?」
レオンに声をかけてみた。
「う、ううん。なに・・ない・・よ。ごめん」
「だよね・・」
プリシスが心もとなくて
一人っきりで居るが辛くて、
ここに来ているのはレオンにもよく判ってる。
かといって、ここで一人でボーっとしてると、
余計にアシュトンの事を考えてしまう。
それも判っているのにプリシスの気を紛らわせて上げられるような
手伝い事はなんにもなかった。
「もう、少ししたら休憩取るから・・お茶の用意と
なんか食べる物探してみといてよ」
そんな事くらいしか思いつかなかったけど。それでもプリシスは
「おっけー」
って、そんな事でもしてなきゃたまんないって感じで、
御湯を沸かしに給湯室に出ていった。
プリシスが御湯を沸かし始めていると
廊下を誰かが大きな箱を抱えて通って行くのが見えた。
『ア、ボーマンだ・・・』
頼まれていた薬品の配達と
研究所の薬品のストックの点検を兼ねてボーマンはきたのだ。
研究室の中の薬品棚までくるとボーマンは箱を下ろした。
「んと、アルコール・・エタノール・・これが一番よくなくなるな」
機械、機器類の消毒も兼ねるエタノールとアルコールが
いつもなくなってしまうのがはやい。
「おい。レオン。もちっと薬品棚、ふやせねえのかよ」
って、ぶちっと独り言いったのにレオンにはきこえていた。
「無理だよ。ボーマン。それにストックがいっぱい出来たら
ボーマンがここにくる理由がなくなって困るんじゃないの?」
「あ、ああ。ちげえねえな」
ひきさがるしかないのである。
「頼まれてた物はこれだけしか、今はねえんだ」
箱をあけて側に来たレオンに見せると
「ああ。ん。いいよ、なんとかなるよ」
という、返事だったのでボーマンはそれを薬品棚に移し変えた。
まあ、なんとかなるなってストックを点検して
残り少なくなってる物だけボーマンの手帳に書き加えると
ボーマンは部屋を出ていった。
もう一度廊下を歩いて行くとどこからかボーマンを呼ぶ声がした。
「あん?」
「ボーマン・・・あの・・・ここ」
声のする給湯室を見るとそこに声の主がいた。
「あーー。なんだ。プリシスかよ」
「あ?あの。いま・・いい?」
「ああ。別に用事はもう、ねえよ。ん?なんだ?」
「ん・・・」
「アシュトンのことか?」
「ン.駄目だよね?そんなに早く変わんないよね?」
「ん・・あのな」
何か言いかけたボーマンの後ろの方から
突然レオンの嬉しげな声がしたが
それも途中から声の調子が変った。
「あああ。あのねえ。プリシス。えっとさ・・・コーヒー。
クロードの分も用意し・・・
ああっ、ボーマン!またプリシスなかしてんの?」
「てやんでえ。何、皮肉いってんだよ」
言い返す言葉が見つからないボーマンである。
「実際そうじゃない?ねえ。プリシス」
レオンはちらりとボーマンを見ると、プリシスに
「だいじょうぶだって・・クロードだって」
そこまで言うとレオンはボーマンをにらみつけた。
「どっかの馬鹿に連れてかれたんだから。でも、帰って来てるよ」
「・・・・・」
そう言われても実際、今、居ないアシュトンと
すんだ事としてレオンの側にいるクロードとじゃ
状況は天と地ぐらいの差がある。
それでもどんなにかプリシスが辛いか
判ってあげられるのはレオンだけだった。
辛いよね。帰ってくるまでたまんないよね。って
淋しくて悲しくてたまんないプリシス見てるだけで
ボーマンにむかむかしてくるレオンだけど、
ボーマンもボーマンだけどアシュトンもいい加減きりつけたら、どうだよ。
(僕はクロードでよかった。すぐ、かえってきたもの)
なんて何処かでレオンもアシュトンの事を責めてる気もする。
「なあ。レオン」
って、そんなレオンにボーマンが声をかけた。
「なに?!」
って、レオンのつっけんどんな返事に
(おー、こわっ)ってボーマンは思いながら
「ちょっと、聞きてえ事あんだけどよ」
と、言うとレオンは
「ん、なにさ?」
って、小首をかしげて聞く気になってる。
(けっ、かわいいじゃねえかよ。
これがクロードにはたまんねえんだろうなあ:::)
「あのよお。おまえ。こー。クロードにさあ、首筋つううううとなめられるだろ」
「な、なに、いいだすんだよ」
「まあ、きけよ・・・」
「・・・・・」
「そしたらさ、お前のナニのほうにまでツーンって。くんのかよ?」
「あ、あの?ボーマン?」
「真面目に聞いてんだよ。こたえろよ?」
一体なんの為にプリシスの前で
そんな事に答えなきゃなんないんだって言いたかったけど
ボーマンの顔は真剣だった。
「あ、え、あ・・あの・・・ああ」
「どっちなんだよ」
「あ、く、くるよ・・・」
レオンがそう答えるとボーマンはニカッって笑って
プリシスを振り向いた。
「だとよ。プリシス。男も女も抱かれたいのは同じなんだよ。
同じようになるんだよ・・・」
ボーマンはプリシスをじいいと、覗きこんで更に言葉を重ねた。
「おまえもな、アシュトンの為にいい女になってやれよ」
何を言いたいのか、ボーマンが言った事が判ったのは
たぶんプリシスだけだったんじゃないだろうか。
なんだかよくわかんない事を答えさせられて
レオンの方はぽかんとしていた。
「レオン。ちっと、プリシスのぐちきいてやれ」
って、ボーマンがそう言うと、そのまま外に向かって歩き出していった。
ボーマンをぼんやり見送っていたレオンに今度はプリシスが
「レオン?そんなに、あ、あの・・そんなふうになるの?」
と、たずねてきた。
「え、あ、ああ・・そう、だよ。(やだな。なんで、ボーマン、そんなこと・・)」
「そっかあ」
「それがどうかしたの?」
「うん。あのね。私、ボーマンにセックスを餌にして
アシュトンの事を釣ってんだって、いわれたんだよね」
「あ、・・・うん」
「レオンにもそうみえた?」
「あ、ああ。御免。たしかに僕にもそうみえてたとこある」
「そっかあ。やっぱりねえ。さっきボーマンがレオンにきいたことでね。
私もそうだなって、思ったんだ」
「え、どういう事?」
「うん。私、レオンみたいにツ―ンなんてこないんだよね」
「は、はい?」
「つまり、ボーマンの言いたい事は
私自身がアシュトンを欲しくてしてるわけじゃない・・ってこと」
「あ、あの」
「うん。だから。アシュトンを餌でつってるって事になるんだよって、
いいたかったんだと思うんだ」
「あ、うん。あのさ・・。
させてあげてもいいかなあみたいなプリシスの態度に対してさ。
アシュトンもさ、どっか惨めっだったんじゃないかな?」
「え?」
「あのさ。目の前に肉ぶら下げられてハッハッ言ってる犬みたいでさ。
でも、それ本当の事だと思うよ。
アシュトン、そんな所あったよね。
だから余計に惨めでさ。
プリシスの事もっとそんな感じじゃなくって抱きたいだろうにさ。
自分の中の欲望をプリシスにいい様に操られてるみたいで」
「ん」
「だから、そんなのもあってさ、
あっさり欲求は欲求で解消してみようって思ったんじゃないかな?
それで、それを素直に受けとめてくれる相手にさ、
欲望でしかなくってもさ、
それを汚いとか自分を卑下した思い持たずにすむ、
持たせずに受け入れてくれてるステラにほっとしてるんだと思うんだ」
「私がアシュトンをおいつめてたんだね?」
「ああ。そうじゃなくってさ。でも、それってそれだけなんだよ。
なんか、うまくいえないけどその内ステラじゃ駄目なんだって
本当に欲しいのはプリシスなんだって気が付くと思うよ」
「そ・・・うかな?」
「自信ない?」
「だって・・・セックスじゃステラにゃ勝てないって」
「ねえ。プリシス。それなんだよね。
セックスってさ恋人を取合う為の道具じゃないんだよ」
「あ、」
「問題はさ、プリシスがアシュトンのこと、
本当に好きかどうかじゃないのかな?」
「ん」
「きっと、アシュトンの事なんかちっとも好きじゃない相手に
プリシスが負けるわけないじゃない?
ボーマンの言った事はそう言う事じゃないかな?」
って、そう言った時に後ろからクロードの声がした。
「ちっとも、帰ってこないと思ってさ」
「あ・・ン、御免。皆は?」
スタッフの事をきいてみた。
「そのまま・・仕事してるよ」
「あは。まず…・」
「あ。あのさ。プリシス」
ちらりとプリシスの顔色伺いながらクロードはプリシスに声をかけた。
「クロード・・あの、」
プリシスはステラってどんな人?ってきこうって思ったけど
レオンの前でそんな事きいちゃ
クロードも答えられないよねって思い直した。
「あのさ、ボーマンの事・・・赦してやってくれよ」
ややすると、クロードが言った。
「あ、ううん。私ボーマンの事怒ってないよ。
ウウン。むしろ、感謝してる。
私、こんな事なかったらアシュトンの事、
どんなに大事に思ってるか自分で気がつけなかったもの」
「あ。うん。あのさ、ボーマン。
あの、アシュトンがプリシスの事を抱きたいのに・・抱けないから、
抱ける勇気つけてやろうってした事なんだと思うんだ。
ア、 あのさ。
だからってプリシスがオーケーしなきゃなんないってことじゃないんだよ。
いつでも、プリシスの事大事に抱けるアシュトン作っておいてさ。
で、あの、プリシスが本当に素直にアシュトンにだかれたいって
100%そんな気になるまで、アシュトン待ってられるって思うんだ。
前までのアシュトンだったらきっとプリシスの事待つんじゃなくってさ。
してくんないとか、させてくれないとか、僕の事嫌ってんだとか
そんな風にセックス1つで自信なくしちゃったんだと思うんだ。
そんなアシュトンじゃプリシスもあげたくないよね?
だから、ボーマン、その為に・・・」
クロードの話を黙って聞いていた
プリシスがポロって涙を落すと手で顔を覆った。
「クロード・・・ありがとう・・・」
プリシスはぐいって涙をふくと
「あは。早くコーヒーいれなきゃ・・・ね?」
って、そういった。


その、晩もやっぱり、アシュトンはステラのとこにいた。
「ステラ。ステラ。僕の事好き?」
もう一度アシュトンはステラに聞いて見た。
「アシュトン。どうしたの?」
「ウウン。ほんとの事いってよ・・ね」
しばらく考えていたステラは
「御客様ですもの。好きよ」
って、答えた。
「やっぱ、そうなんだよね」
「どうしたの?」
「ううん」
ステラの背中にアシュトンの胸をぴったり引っ付けて、
前に廻した手でステラの腰を軽く浮かして置いて、
アシュトンの物に向けて深くステラのものを深くひきよせてゆく。
それを繰り返しながら
「あ、ああ・・・アシュトン」
「僕。ステラとこうやってると、すごく。いい・・ほんとだよ・・・。
ずううと離したくないよ。でも・・僕・・御免・・・あの」
「いいのよ・・・アシュトン」
アシュトンが言おうとしているさよならをステラの方が先にさっしている。
「おこんないんだ。優しいんだ。ステラ・・御免・・僕」
「いいのよ。アシュトン・・ね。きかせて」
「あ、うん。あのね。ほんと・・ああ、んん、きもいいい・・・ステラ」
「アシュ・・トン・・・ん?ね、なに?」
「ステラとこうやってると本当にいいんだ。
とっても素敵でステラがいいって思うんだよ。
なのに、こんな事を本当にしたいのは
プリシスとだって思っちゃうんだ。
プリシスと二人でこんなの・・あ・・あの・・ああ」
「共有したい?」
「うん。プリシスでこんなに気持ち良くなってみたいって
プリシスとこんな快感、共有したいって・・・ああ、ステラ、いい、すごいよ」
「それでいいのよ。アシュトン」
「そうなの?」
「そうよ。貴方からわけてあげればいいのよ。」
「あ、あの」
「大丈夫よ。上手になったもの・・・・できるわよ」
「う・・・御免ね。ステラ・・・僕、プリシスのこと」
「ばかね」
「だって、僕・・・ステラのこと」
まだ、このままじゃ欲望のはけ口みたいにして
プリシスの幼い心を思いやってもあげないで
無理矢理どうにかしちゃいそうで
それが辛くて、ステラに甘えて、
ステラで欲望を処理してたってこと、アシュトンにも良くわかってた。
「ばかね・・・やるだけの女に・・・そんなに優しくしないの」
「ウウン。そんな事ない。ステラは僕に大事な事教えてくれたよ。
そんな人がそんなことない」
「だいじなこと?」
「う・・・ん」
(僕はステラを抱いてるときに、いつも心の隅っこで
今、この瞬間を、この感覚をプリシスと共有できたら
どんなにいいだろうかって思ってた。
今までの僕はプリシスに対してしたいな。したいな。って
そんな気持ちしかもっていなかった。
けど、ステラでセックス自体を経験してしまったら、
したいなって言うのがセックスその物だけに対しての感情だってわかった。ステラとのセックスで、したいという欲望が昇華されてゆくにつれ、
僕の中のど真ん中に残って来た物は
僕は誰よりも何よりもプリシスに僕を望まれたいっていう
どうしょうもなくプリシスが欲しいって想いだった。
今僕にはそれがボーマンが僕に行ったら判るって
言った事だろうなって思う)
「あ、なに?きかせてくんないの?」
「ウウン。僕、プリシスを待っていたいんだ。
プリシスに僕をのぞんで欲しいって、そう、思うようになったこと」
「あ、うん。大事な事だよね」
「ね?」
「ん。したいってことより
心から望まれたいってことよねえ。わかるなあ・・・」
(ステラもボーマンに望まれたい?)
「ああ、ねえ、ステラ・・・最後のワガママ聞いてくれる?」
「ん。なに?」
「ねえ、僕にもされたいって思ってくれる?」
「アシュトン・・・」
「だめ?」
「ウウン。大好きよ・・・・だから・・・」
アシュトンの手がステラの一番、鋭敏な場所にのびていくと
その小さな硬い場所にきつく爪をたてた。
「あ、ああ。いや。ん」
「ステラ、言って・・「頂戴」って、「もっと頂戴」って・・・ね?」
アシュトンの物をしなやかに動き出させ始めながら、
ステラのコアを強く爪でくじいて行く。
「あ、あ。いい・・・アシュトン・・もっと・・動いて、ああ、ね、やめないで」
「ステラ」
「ああ、んん。あ。ね、ね、頂戴。もっと、しっかり・・ほしい。ね、ちょうだい」
アシュトンは大きなストロークでステラの物につきこんでゆくと
「ああ・・・ステラ・・気持ち・・・いい」
思いきり早く動かして思いきり奥までつきこんで行く。
「あ、ああ・・・ああ」
「ステラ・・・素適だよ。すごく・・・いい・・好きだよ・・・ステラ」
そんな言葉をささやく度にステラの中がきゅううってしまってゆく。
「ああ。本当最高にいい・・ステラ・・自分の中、うごいてんのわかる?」
「ん・・んん・・」
「あ、また。僕がなんかいうと、きゅって締まって、
中がぴくぴくって動い・・・て、ほら・・・」
「あ。いや・・・いわないで」 
アシュトンは自分の物の動きをぴたりと止めた。
「きもちいい?」
やっぱり、そんな言葉だけで間違いなくステラの中が蠢いている。
「なんにも・・・しなくても、言葉だけで、そう・・なっちゃう?」
「ン・・ン・・アシュ・・トン・・だか・・ら・・女の子には・・・ああ」
「ん。判ったよ。だから・・・
好きだ好きだ好きだ好きだっていってあげなきゃなんないんだね?」
「あ、そう・・そうよ・・ね、動いて・・ね」
「好きだよ。ステラ。ステラのここ。ここが一番・・・最高だよ」
「ん・・うれ・・しい」


その次の朝。
ボーマンは足りなかった薬品を持って研究室に入っていった。
丁度といったら嘘になる。
休憩時間だなって計算してボーマンはここにやってきた。
「よお、レオンもってきたぜ」
クッキーかじりながらレオンはうん。うん。って返事した。
「よ。ちょっと、こいや」
ボーマンに呼ばれるとレオンはボーマンの側に寄って来た。
「あのさ。僕もちょっとボーマンに聞きたいなって事あってさ」
「ああ。俺もな、はなしておきてえことあるし。中庭にいくか?」
「あ、うん」
そういってから、レオンはスタッフに
「ねえ。クロードがきたら中庭にいるっていっといてよ」
と、声をかけた。
ゆっくり、中庭に向かって歩き出しながら、ボーマンは
「なんだよ?クロードの奴、毎日きてんのかよ?邪魔になんねえのかよ?」
「だって、どうせその内誰彼来るしさ。
誰も居なくても僕の事見てるだけでもいいみたいでさ」
「はっ!そいつはごちそうさまで・・・・」
(かあっ!のろけたぜ。えっ?のろけやがったぜ。
負けずに言い返すようになってきたじゃねえかよ)
自分で振った事だからボーマンもしかたがない。
中庭につくとボーマンは
「よし。おまえのほうから言え」
「うん。じゃ、きくよ」
「おお」
「あのさ。プリシスに言ったことなんだ」
「俺がか?」
「あ、あたりまえじゃない!」
「だよな。んで、なんだよ?」
「あのさ、プリシスに
アシュトンのことをセックスで釣ってるっていったでしょ?」
「あ、ああ。いったよ」
「でもさ、あの後、プリシスと話してて・・・確かにそうみえるよ。
でもさ、クロードがプリシスに言ってた事きいてたら
プリシスは釣ってるっていうより、
まだ自分もそんな事本当にオーケーしていいかどうかさえ判ってない。
えっと、プリシスが言ってたのでいうと、
ほんとに欲しいってのが実感がないから・・・だか」
レオンの言葉を遮ってボーマンが続けた。
「だから、俺はプリシスにアシュトンのこと受けとめたいって
思えるようにしてやりたかったんだ」
「あ、ああ。そうなの?」
「プリシスにはそうでも言わなきゃ、
あいつ、自身自分の気持ちに気がつけなかったよ。
なあ。レオン。俺にはよお。
セックスするか、しねえかなんてどっちでもいいことなんだ。
プリシスにとって抱かれてもいいって思える相手が
アシュトンしかいねえって事が何よりも当のプリシスに判りゃいいんだ」
「あ・・うん。そうだね・・・ボーマン」
「だろ?その為にアシュトン連れて行ってプリシスを泣かせて
俺もひでえ男だよなあ?」
「あ・・・ボーマン。あ、あの・・・気にしてはいたんだ?」
「たりめえだろ。まあ、なんもかもよ。
ようは俺の自己満足のためでしかねえよな」
「そんなの・・・」
「まっ、そんなんでよ、俺はクロードも連れて行った。
俺な、クロードに女抱かせてやりたかったんだ。
それが俺の自己満足だな。女はいいぜ。
それを知らずに終るなんて阿呆だ」
「そ・・・そう・・・」
ボーマンがあんまりはっきりいうものだから
レオンの声が沈み込んでしまった。
「ああ。第一考えてみろ。
えっ?お前の胸なんか豆粒がふたつ乗かっているだけだろ?」
「あ、あの・・・」
「おまけに穴ぼこはひとつっきゃねえしよ」
「ボ、ボ・・・ボーマン?」
「おまけに前についてるものは、クロードと同じ物だ。
どう触っても変り映えしねえ。
自分の物触ってるのか、お前の物触ってるのかわかんなくなっちまう。
まっ、お前の方のがちっこいけどよ」
「ボーマン・・あの・・その・・・その通りだから・・別にいいけど」
「どうした?男のプライドに傷がついたか?
それとも、なにか?お前も女抱きにいってみるか?」
「えっ?いいよ・・・やだよ」
「あはははは。女はいいぞ。何しても男にゃ勝てねえよ。
神様が揃えて造っちまったんだろうなあ」
「そ・・そう・・な、んだ・・・」
ますますレオンが暗くなって行く。
それに気が付いてるのか気がついてないのか
ボーマンはますます
「だから、クロードに女教えてやりたかった。
おまけにステラは最高だ。あんないい女。二度とお目にかかれやしねえ」
こんなので元気なくしてたまるかって気分になるくらい
ボーマンがやけに女を誉めるんで
レオンもくじけていられない気分になってきた。
「あは、そう言う場合お物にかかれないっていうんじゃないの?」
って、空元気出してレオンが答えた。
「おお?いうじゃねえかよ」
「え?あは・・・でも・・・そう・・かあ」
本当にシュンとしてしまったレオンに更にボーマンはこうつけくわえた。
「ああ。なのによお。
クロードはけつの穴一個しきゃねえ奴のほうがいいんだとよ」
レオンの顔からドッカーン。
キャーって火を吹いた気がした。
(ひえー。ボーマン。そこまで言うぅぅぅーーーー?)
まっかっかになってるレオンが考えてる事は
どうやって気をとりなおそうかって事ばっかだった。
「あ、あ、あは。それって・・心が狭いって意味?」
「あーん?なに、赤くなってんだよ。なあ。レオン。
これは俺のワガママでクロード連れてったんだ。
すまなかったな」
「あ。ううん。いいんだ・・・もう・・そんなこと」
「でもな、お前、クロードに女抱かしとかなきゃ、いつかお前が苦しむんだ」
「え?」
「女の方がいいんじゃないかってお前が気がついたときに
お前が苦しむんだよ」
「・・・・」
「その時にクロードが同じ事をしても
今と同じ結果になるかどうか、わかんないぜ。
なるとしてもお前クロードをだかせに行く事できねえだろ?」
「あ、うん。無理だと思う・・・よ」
「だろ?最高の女だいても、お前のけ・・怒るなよ。
お前の・・なんだ、ナニの方が良いってえんだから自信ついたろーが?」
「あ。うん」
レオンはボーマンにこの時本当に深く感謝してた。
(自己満足なんて言ってるけど、嘘だよ。
僕の為。クロードの為。アシュトンの為。プリシスの為。
この人、本当やり方は、はちゃめちゃだけど、
なんか、大事な事気がつかせてくれる)
あまつさえ涙、浮かべそうなレオンにボーマンは更に言った。
「なっ?レオン。いや・・なに。その。なんだ。ステラよりいいってさ?
あのさ、レオン、お前、俺に一回やらせる気ねえか?」
「えっ?げっ?ボーマン!な、なにいってんだよ!」
(訂正する。絶対、訂正だ。この人自己満足の為にだけいきてるー)
って、レオンが心の中で叫んでいるとボーマンは
「さてと、そろそろクロードがきてもいい頃だな」
と、言った。
「あ、そうだね」
レオンが素直に答えると
「ん。じゃあ。レオン」
って、ボーマンがいってレオンの側に寄ってくると、
レオンを思いきり抱き締めておいてレオンにキスしようとする。
「あ、ボーマン・・・なにを?」
きつく抱き締められてレオンも大きな声がでない。
それをいいことにボーマンはレオンを抱き締めたまま、
唇を寄せて行くとボーマンの目の端にクロードが
こっちに向かって駆けて来るのがみえた。
(おし・・・今だな)
ボーマンは突然大きな声で
「ああああ。レオン。駄目だって言ってるの。
お前にはクロードがいるじゃねえか?
でも、お前がそんなに俺がいいんなら一回だけだぞ」
って、言ってるボーマンが
レオンの唇に触れ様かどうかって瀬戸際に
クロードの腕につかまれレオンからひきはなされた。
「ボーマン?なにを?」
クロードの顔がマジ真剣になってる。
なのに、途端にボーマンは吹き出した。
「よお、よお。やってらんねえなあ。たあーーはははは」
「ボーマン。どういうことだよ?」
「きこえてたろ?」
「ん」
クロードがぐっとつまった。
「なあ・・・レオン」
って、ボーマンがいう。
サッパリわけがわかんないレオンだったけどクロードの誤解は解きたい。
「クロード、あの、ボ―マンが勝手に違う事言って・・」
前にもこんな事あったくせにクロードったら
やっぱ、レオンを疑ってむすっとしてる。
「あはははは、クロード。お前、レオンをうたぐってるな?」
「あ」
「なあ。レオン。お前がクロード裏切るわけねえじゃねえかよ。
たっく。ちっとゆすぶりかけりゃ、これだもんな。
え!?こんな男ほっといて本とに俺のもんになんねえか?」
って、そう言うとボーマンはレオンの手をひっぱった。
「あ、やだ・・ボーマン。クロード。たすけてよ」
って、レオンが言うのと同じくらいに慌ててクロードが
「ボーマン、やめてくれ・・・たのむ」
って、懇願する。ボーマンはレオンの手を離すと
「クロード。おまえな、馬鹿やってたら俺がレオンとっちまうぞ。
復元力がいくらあったってな、
浅瀬に乗り上げたら、船は座礁すんだぜ。
覚えとけ。レオン。もちっとクロードと良く話しとけ。
よほどプリシスの方が座礁はしねえぜ。
あいつはアシュトンのこと信じて待ってるんだ。
いいか。お前達なんかがプリシスの事心配するなんて百年早いんだよ。
じゃな」
「あ、うん。わかった」
「おし。その頭の良いとこで、そこのぼんくらにも良くはなしとけ」
「ん。ボーマン・・・ありがと」
「おう」
って、言うとボーマンはたちさっていった。
サッパリわけがわかんないクロードにレオンの第一声は厳しかった。
「僕をまた、うたぐったでしょ?」
クロードも小さくなるしかないとこだけど、
クロードもだてにレオンの恋人やってるわけじゃない。
「妬いたの!うたぐったんじゃない!」
「あ・・・え」
「レオンがボーマンのとこなんかにいくわけないでしょ?
でもあんなにピッチシだかれてんのみたら、腹たつでしょ?」
「あ、ごめん」
「駄目。赦さない。ね、レオンの部屋・・・いこう」
どうにも妬けちゃうと
しっかり恋人が自分の物だって確かめたくなっちゃうのって、
きっと、君も同じだよね。
部屋の中で、ボーマンに言われた事、レオンがどう話すか
もう少し御話ききたいんだけど、どうせ、今日はむりみたい。
だって
「ね。レオン・・・」
って、クロードがレオンのこと熱っぽい瞳でみてんだもの。
だから、これ以上二人の邪魔はできないよ。


研究所を出るとボーマンはゆっくり家に向かって歩いて行く。
(あいつらのこった、どうせ浅瀬に乗り上げかけたのが修復できたら、
また、復元力つける方にリキいれてんだろなあ)
なんてレオン達のこと考えながら店先までたどり着いた時、
店の中に誰かいるのがみえた。
「あーん?」
なんか、アシュトンみたいな気がする。
ドアを開けて入ってみたらやっぱりアシュトンだった。
「あ、おかえり」
アシュトンはボーマンが入ってくるとそう言った。
「ああ。どしたんだ?」
アシュトンの顔色見ながら、
悪い顔つきじゃねえなっておもいながらボーマンは返事した。
「うん」
「なんだ?なんかあったのか?」
「あ・・・うん。あの」
ひどく言い憎そうなのでボーマンもこれは場所が悪いんだなって察した。
「ああ、調合室のほうにいくか?そこなら、だれもこねえしよ」
「うん」
店先で話してステラの事もでてきては、
お客はもとよりボーマンの奥さんに
若し聞こえたらマズイよねってアシュトンは考えていたのだ。
調合室の中にはいるとボーマンは
簡素な予備の椅子を引っ張り出してアシュトンにすすめた。
その椅子にアシュトンが座るとボーマンは据え置きの椅子にすわった。
ときおり薬品置きにもなる椅子なので
所々薬品でこげてたりしてるけど、まあ、座れないわけじゃない。
「珍しいじゃねえか・・お前がこんなとこまで」
「うん。いろいろ心配かけてたから、報告しとこうかなって、おもってさ」
「報告?」
「ん。あのね・・・・ステラ、空いたよ」
「あ、え。ああ。もう・・いいのかよ?」
「うん。気がすんだよ」
「そうかあ。で、なんだ・・あのよお」
ボーマンがちょっとききにくそうだった。
「あ、プリシスの事?」
アシュトンは自分からそう、尋ねてみた。
「ああ」
「ん・・・」
プリシスがアシュトンのこと赦せないだろうなって思うと、
アシュトンも返事につまった。
「なんだよ?」
「ん・・・」
「なんだよ?もう、いらなくなっちまったっていうのかよ?
え!?セックスしてみてえだけの相手だったってことかよ?」
「あ・・・」
アシュトンはすこし考えていた。
どう言う風に言ったら今のこの気持ち判ってもらえるかなって。
「あのね。ボーマン。そう言う事だと思うよ。
確かに僕はプリシスの事いらなくなっちゃったよ」
「え・・・。そうかあ。元々本気じゃなかったってことか」
「ちょっと。違うよ。僕は前みたいには、
プリシスがいらなくなったけど、
本心からプリシスが欲しいって思うようになってるよ」
「えっ?ああ、あああ。そうなのかよ。
ちっ。妙な言い方するからてっきり駄目なのかとおもっちまったぜ。
ん。なら、早くいってやれ。大人しく待ってるぜ」
「あ。う・・・うん」
「なんだよ。煮えきらねえなあ」
「だって、傷つけてるよね?僕の事・・・きっと」
「ああ。ああああ。もう、おまえ、みてるといらいらする」
「だって、プリシスは知ってるんでしょ?」
「それでも、待ってるっていってるじゃねえか。なあ・・アシュトン」
「ん」
「あのなあ。女にも二種類あんだよ。」
「二種類?」
「ああ。男の勝手な感情だけどよお。
抱きてえ女、抱いてやりたい女、やりてえ女。
これはどれも自分がだきてえ女だよな。
それとべっこのとこにな、
自分を抱いて欲しいって・・・別格の女がいるんだよ」
「あ・・・・うん」
「判るか?時折よお。胸ん中にぽっかり穴があいちまってな。
なんで、俺まだ生きてんだろうなあって、無性に淋しくてな。
男だろ?んな事言えやしねえよな。
そんな時によ、俺はカアちゃんじゃなきゃだめなんだよ。
あいつ・・・俺のそんなとこ、なあんにも判っちゃいねえんだよ。
なのに・・あいつの手が欲しいんだよ。
あいつの肌がたまんなく温かくてよ。
ああ。コイツに抱かれてんだよなってさあ。
やってんのは俺の方だぜ。
なのによお。たよんなくて、一生懸命強がってる俺を
ちっぽけなあいつが抱いちまうんだ」
「ボーマン・・・」
「だからな、俺はお前にききてえんだ。
お前を抱いてくれるのはステラなのか?
プリシスなのか?ってことをな」
「あ・・」
「お前なあ。自分がすげえ人間だと思いこんでんだよ。
けどな、本当は男なんて、どうしょうもなく悲しくて淋しい弱虫なんだ。
そのおまえを抱いて欲しいのはどっちなんだよ?」
「ああ、プリシスだよ。僕はプリシスじゃなきゃ、
もうどうしょうもないって気がついてるよ」
「んなら・・いけよ」
「だ・・めだ・・よ」
「あきらめちまえるのか?えっ!?
お前のハートが満足する女なんて後にも先にももう、でてきゃしねえぞ。
お前がだきてえ女は五万って出てくるだろうよ。
でもな、お前が自分を抱いて欲しいって思う女は
人生に一人いるかいねえかだぜ・・・いいのかよ?」
「・・・」
「たくっ・・・いいか、誰にもいうなよ」
「?・・うん」
「俺は諦めなかったぜ。どんだけあいつ、口説き落すのに時間かかったか。あいつはよ、俺の事なんか、鼻もひっかけてくれなかったんだぜ」
「え?」
「薔薇の花束、毎日毎日とどけてもよ。
それをあいつは大学の教室の花瓶の中にそのまま直行さすんだ。
はてにゃあ、各部の講師から
いつも薔薇の花をありがとうって感謝状がきたくれえだよ」
「あの・・・」
「毎日毎日出かけてってな。お嫁さんになってくださいってよお」
「ボーマンが!?:お嫁さん?かっ、かわいいんだあ」
「る、るせーな。でさ、一年半かかったかなあ・・そしたら」
「な?なんて?」
「もう、薔薇をとどけなくていいわ・・・って」
「え?」
「私もだけど貴方も毎日毎日たいへんでしょ?って」
「あ、めいわくだって?」
「まとめて、一篇にもらうことにするわ・・・ってよお」
何かを思い出してかボーマンの瞳が少し潤んでいたけど
アシュトンには気がつくことじゃなかった。
「?」
「馬鹿!わかんねえのかよ!?記念日にってことさ」
「記念日?」
「結婚記念日にきまってるだろうが・・・」
「あ、ああ。」
「な、本当に欲しい者は絶対諦めねえんだよ。
お前がそう思うだけでプリシスは許してくれるさ」
あってみたらプリシスがどう言うかもわかんないのに、
おまけにボーマンみたいに一年半も薔薇届けてないくせに
何気弱になってんだよってアシュトンもそう思った。
「うん。きっと、ボーマンのいうとおりだよ・・・がんばるよ」
「泣かれるぞ」
「うん・・・」
「ちゃんと言ってやれよ。何百回でも、何千回でもな」
「う・・・ん」
だよね。だよね。諦めちゃいけないよね。
絶対うんって言ってもらえるまで何回でもいわなきゃね。って
アシュトンも思った。
そう、思ったらなんだかほっとしてアシュトンの頬に
小さな雫が伝い落ちた。
「ち、お前が泣いててどうすんだよ?おらあ・・はやくいってこい」
アシュトンが立ち上がって店から出て行くのを見送りながら
ボーマンはさっきアシュトンと話してたことを考えていた。
― 俺。あいつからプロ―ポーズの返事にやっとオ―ケーもらった時、
大きな声でわんわん泣いちまったっけなあ。
絶対なくしたくねえ。絶対、俺のものにするんだって。
おまえしかいねえってそれがやっとオーケーっていってくれてよ。
俺、コイツとじゃなきゃだめだって。
なあ、ステラ・・俺、そん時にゃ、お前の事
頭の隅っこにこれっぽっちももなかったよ ―――

アシュトンはすんごい速さで駆けて行った。
何処にいくって?
あんた!今まで何の話し読んでたの?
だから、プリシスのとこまで来ると、
アシュトンは急ブレーキかけて止まんなきゃなんなかった。
肩で息してるのが静まるまでアシュトンは考えていた。
プリシスにどう言おうって。
でも、頭の中がまとまる訳がない。
そんな事より、とてもプリシスに逢いたいってアシュトンは思ってた。
指先の震えるのが自分でも可笑しいくらい
プリシスに逢えるのにドキドキしている。
思いきってチャイムを押すと中から「はーい?」って、
懐かしいプリシスの可愛い声が聞こえてきて、ドアが開かれた。
それから、アシュトンに見えたのは
ドアの向こうにいるアシュトンにびっくりした顔のプリシスだった。
「あっ」
って、言ったきりプリシスはなんにもいわなくなった。
「あの・・・プリシス」
って、アシュトンも一言いったきり、
アシュトンがやっと帰って来たって事が判ったプリシスが
泣き出しちゃうのをしっかり引寄せてだきしめた。
「プリシス・・ごめん・・・」
アシュトンの胸の中に顔を埋めて泣いていたプリシスが
アシュトンにそういわれるともっと泣き出してしまった。
「ごめん・・ね、・・ごめん・・・プリシス」
って、同じ事しか言えないアシュトンだったけど、
プリシスが泣いたので本当の所ほっとしてた。
ああ、だいじょうぶだって。
まだ、僕のこと好きでいてくれたんだって。
本当はもっと色んな事プリシスに伝えなきゃいけないはずなんだけど。
アシュトンは胸の中に顔埋めて泣いてるプリシスの顎に
手を当てるとアシュトンのキスに引寄せていった。
そのまま、しっかり抱き締めてアシュトンが
プリシスの唇を割って舌をすべりこませて行くと
プリシスの驚いたような感覚が伝わって来たけど
プリシスはそれをじっと受け入れていた。
まだ戸惑っているプリシスの頬を両手ではさみこんで
プリシスの舌に絡めるような愛撫をアシュトンは繰り返してゆく。
と、知らず知らずの内にアシュトンの手が
プリシスの小さな胸をまさぐっていた。
ステラみたいに大きな胸じゃないけど
アシュトンの手の中にすっぽり納まるプリシスの胸は
思いのほか弾力があって触り心地がよかった。
アシュトンにされるままにじっとしてるプリシスの胸の先を
アシュトンは軽く摘まむと指の腹で軽く擦る様になであげていった。
与えられた刺激の快さにプリシスがビクッって反応した。
アシュトンはそれを確かめながら
プリシスの下着の中にゆっくりと手をいれていった。
やがてかわいい声がアシュトンの指の動きに反応して
漏れて行くのを聞きながらアシュトンは
(僕達が一つになれるのもそんなに遠い事じゃないな) 
って、思った。

                            *おしまい*

――― エピローグ ―――

ボーマンは今日はとっても忙しい。
まず第一にアシュトンが来なくなって
なんだか淋しくなってるステラを慰めて上げなきゃなんない。
なんだよ?お前アシュトンに本気だったのかよ?
って、きいたら、
一生懸命追いかけてくれる人・・私にはいないもん。
って、悲しい返事がかえってきちまったせいだ。
そんな事言われたら
ボ―マンの胸の中がちりちり、ひりつく様に痛いのだ。
(俺がお前をそんな女にしちまったんだよな)
って、何度となく湧き返してくる後悔に
ボーマンも本当は悲しくなってくるけど
んでもよぉ。俺がお前にしてやれる事って
セックスしかねえんだよなって
・・・いつも、そのくりかえし・・・・・。
でも、逢えばステラもボーマンも
心の内なんか一つも見せ合わず
いつも、せいぜい楽しい快感の追従のし方ってのを実践してる。
「まあ、俺がお前を追っかけてやるさ」
って 言ったら、
ステラがプラネットの裏側行っても?
って きいてきた。
「ああ、おっかけってって、
はてにゃあ、婆あになってもしてやるさ」
って、いったら
「うん」
って ステラが涙ぐんだ。
ボーマンが奥さんほったらかして来るわけないと、判ってるステラだけど、
そういってくれるのも、
そういって欲しいのもボーマンだけだったから。
とんでもない早い時間にステラとの事を終えると
流石に今日はボーマンも後ろめたい。
研究室に入ると相変わらずクロードがいて
仕事してるレオンをニコニコしてながめてた。
「おい・・・一日中、こんな椅子に座ってて
けつが痛くなんねえのかよ?」
って、聞いたら
「べつに」
って。クロードの奴は答えた。
ボーマンは驚いたね。
けつが痛くならないことにじゃない。
飽きもせず、一日中、触りもできねえのに
(事もないか?時折レオンの部屋にしけこみゃいいんだけどよ。にしても)
良く見てるだけで一日座ってられるってな。
え!?おい!?一日中だぜ。
「この間の事、お前、俺が言いたい事判ってんのかよ?」
って、きいたら
「あん?レオンがボーマンのとこにいくわけないじゃん」
って、そらとぼけておいて、おまけに
「なんせ、レオンは僕に夢中なんだから」
って、コイツにまでのろけかまされて
「馬鹿やろ。お前の方がのぼせあがってるんだろが」
って、言い返したら
「ああ・・だって・・・・レオンったら」
なんて、これ以上きかされたら俺もいい面の皮だなって判るような、
うっとりとした顔しやがるから、
やってられるかってボーマンは研究所をでてきた。

帰り道にボーマンは花屋の前を通った。
そこで久方ぶりのカップルにでくわした。
「ありゃあ。デイアスじゃねえか?たあ!レナも一緒だよなあ」
「あら、ボーマン」
「え?何、買うんだ?花なんか何すんだ?」
「んふ」
って、いったきりレナの返事がなかった。
なんだよって思いながらボーマンはレナを観察してる。
やけに色っぽくなりやがって。
え?満ちたりてるって顔しやがって。
え?デイアス。レナをこんないい女にしちまったのは・・おまえだな?
ち、いい気分だろな。
って、ボーマンはぶつくさ思いながら
「レナ、デイアスの部屋にならこっちの鉢物の方がいいぜ」
って、いってやったら
「あ・・うん、そうだね。うーん。どれがいい?」
ボーマンに答えながらデイアスにたずねた。
(御泊りに行ってデイアスの部屋が殺風景で
花でも買う気になったってとこか)
「へ、レナが気にいったのにすりゃいいじゃねえか?
どれにするかってさ、それが楽しいんだろうが」
横からボーマンが口をはさんだけど
「うん・・でも・・・」
って、レナがまよってる。
「アー―ン?ベッドの側においたってよ。
どうせディアスがみてんのはレナの顔だけだろ?
お前は目をつむってるし・・・役にたたないじゃないかよ」
言ってボーマンはデイアスをちらりと見た。
レナはやだって言って後ろむいてしまうし、
デイアスはディアスでこの男でも赤くなんのかよ、って
ボーマンに思わせる事になった。
そんな二人がなにか買って行くのを見届けると
ボーマンは店員を呼んだ。
しばらくして店から出てくるとボーマンは
今回の大物の所にも足を伸ばした。
ドアの前に立ってシーンとしてたら
かすかなプリシスの声が聞こえたので
(ち、ここも、ラブラブかよ)
って、それを確かめにきてるはずなのに
ナ―ンカ淋しいボーマンなのである。
それって、きっと誰もボーマンの手がいらなくなっちゃったせいなんだろう。
まあ、そうと判ればもうボーマンの気懸り事はなんにもなくなってしまった。
(さて・・・俺も俺のハニーのとこにかえろうか)
アシュトンどころじゃない超大物の機嫌を損ねたら
ボーマンの人生は真っ暗闇になってしまう。

―といっても。ねえ、皆様。
アシュトンとプリシスが今何してんのか気になるよねえ。
少しだけアシュトンの部屋の窓の隙間から
ボーマンに二人が何やってんのか確かめさせてみましょうか?
いちおう責任者(?)としては見届けておく義務あるんじゃない?―

アシュトンの部屋に入ってきた途端。
プリシスはやっぱり、アシュトンに抱き締められちゃった。
やだ、恥ずかしいよっていおうって思ってるのに
アシュトンのほうが先に
「好きだよ。大好きだよ・・ああ・・僕のプリシス」
って、プリシスの耳元に囁いて来るものだから、
そのままアシュトンにしなだれかかるみたいにしてないと
プリシスもじっとたってらんないくらい、うっとりしちゃった。
アシュトンに囁かれるとなんだか身体の力がぬけてくみたいで
「あっ、こんなのがレオンのいってたツ―ンって奴に近いのかな」って
ぼんやり思ってたらアシュトンの唇がプリシスの唇に軽く触れ
優しいフレンチキスが渡されて
それが何時の間にかハードなディープキスにかわっていた。
唇を離すとアシュトンは
「好きだよ・・僕だけのものだよ」
って、いった。プリシスも
「うん。あたしもよ。好きよ。アシュトン」
って、答えた。そしたらアシュトンが
「ほんとに僕だけのものにするよ」
って、・・・・。
「あ、あの・・・」
惑ってるプリシスの返事もきかないで
アシュトンはプリシスにも一度キスを繰り返してゆくと
アシュトンの手がプリシスのスカートの中にはいってゆく。
「あ、いや・・ね、アシュトン・・やめて・・ね?」
アシュトンの唇から逃げてそう言うのに
アシュトンの指がプリシスの尖った場所を探り当ててしまった。
嫌じゃない。
けど、まだ、怖いよってプリシスは思ってるのに
夢見てるみたいな甘い疼きになんにも考えられなくなってきてた。
「きもちいい?」
「あ・・ん・・んん」
「まだ・・・いや?」
「あ・・いや・・・」
「駄目だよ。許してあげない」
「まって・・ん、ね・・・」
「駄目だよ。もう、我慢できない・・・」
「あ、あ、で・・でも・・」
「プリシスがほしいんだ」
って、プリシスを抱き締めて鋭い刺激を与えると
プリシスはたまらなくなってアシュトンの首に手を廻してしがみついて来た。
いいほど鋭い刺激でプリシスの頭の中を真っ白にしてしまうと
アシュトンはプリシスの手を持った。
「ほら・・・もう、こんなにプリシスがほしいんだよ」
その手をアシュトンの硬い物に触れさせた。
「・・・・」
なんにもいえなくなってプリシスは恥ずかしそうに
アシュトンのものから手を解こうとする。
だけど、アシュトンはその手をしっかりつかまえた。
「さわってって・・ね・・プリシス」
「いや・・・」
「気持ちいいよ・・・プリシス」
「あ、アシュトン・・・」
「恥ずかしい事なんかじゃないんだよ・・ね」
アシュトンの手を添えられながらプリシスの手が
しっかりとアシュトンの物を握らされて行く。
そしてアシュトンの手がプリシスの手ごと軽く上下に動かされて行く。
「そうやって・・・ね・・プリシス・・いいね?」
「・・・・」
アシュトンの手が再びプリシスのプシイに伸びてゆくと
優しい愛撫が始まる。
「あ・・や:、い、やぁぁぁ・・・あ・・・んんん」
「かわいいよ」
「あ、あああ・・・」
「好きだよ」
「ん・・ん・・ああ」
「素適だよ。ほら、こん中も・・ここで・・僕を・・・ね?」
「あ・・ああ・・あ」

窓の外のボーマンもいい加減飽き飽きして
おまけにアホ臭くなってきてた。
「人のやってるの見てるほどつまんねえことはねえぜ。
ま、うまくラストまでもってけるのかどうか、知らねえけど。
上手く行かなくたって、また、今度って楽しみが増えるだけのこったよな」
独り言呟きながらボーマンはアシュトンのところからやっと帰って行った。
「やれ、やれ。あっちでもこっちでも・・・
LOVE/LOVE/LOVEかよ。♪
ねえー どーしてすごく好きな人の事 
好きだと思うだけで 涙がでちゃうんだろー♪ってかあ〜〜〜〜。
やっぱ・・・かえろ。ステラ・・すまねえなあ。
俺どんなに頑張ってもよお。
糸の切れた凧みてえにいつもフラフラしてんのによお。
どうしても、その糸あいつに持ってて貰いてえんだ。
あいつじゃねえと、本当、俺、糸切ってどっかにいっちまいそうなんだよ」


家に辿り着く頃には夕闇が空に挨拶しかけていたけど
ボーマンは
「ただいま」
って、家に入った。
夕食を食べ終えて風呂に入ってさぱっりして
邪魔っ気なちび(←こいつのことはボーマン・4でちゃんと、はなすよ!!)が寝ついちまうとボーマンはやっと、【俺のハニー】と、ふたりきりになれた。なのに・・・
「ボーマン」
彼女の声が少なからず怒ってる。
「はい?」
「なにか・・・忘れてなくて?」
「あ、なんだっけ?」
「今日は結婚記念日のはずだったんだけど・・・」
そうそう、それで夕食もご馳走があって
とっておきのワインをあけたんだ。
「あ、すまん。いや、なんだ。
忘れちゃいねえよ。本当だって、
え?俺はその・・結婚した時とちっともかわってねえし
何年経ったなんて、そんな古い気持ちになってねえしよ。
あ、本当だって・・あ、・・あ、あ、あい・・あい、愛してる・・・よ。
きしょー。んな事、俺にいわせんなよ」
「ボーマン!」
「お、おい。本当だって、おい、むくれるなよ。
な、頼むよ・・・お前がそっちむいたら」
慌てて、ボーマンは彼女が向いた方向にかけていった。
「しらない!」
そういって、彼女が180度逆の方向にむくので
そっちに向かってボーマンは猛然とダッシュしていった。
「な?俺、忙しくてたまんないだろ?」
「・・・・・」
「機嫌なおしてくれよ。なっ・・・ハニー」
「もう!いつも、そうやって、うまくごまかしちゃうんだから!」
「んな事、ねえだろ?毎年かかさず・・・」
「毎年かかさない人がどうして今年に限って忘れちゃうのよ?」
その時いいタイミングでピンポーンって玄関のチャイムがなった。
「おい・・・。だれかきたぞ」
「貴方がいけばいいでしょ?」
まだ、怒ってるからボーマンにふってきた。
「ばかやろ。こんな時間に店の客じゃねえよ。
え?それに亭主こき使ってるみてえに思われるぞ」
「もう。上手なんだから、いいわよ・・・でるわよ」
ぶつくさ怒りながらでていったけど、5分もしない内に戻って来ると
「ああー―。ボーマン」
胸いっぱいにだかえた薔薇をソファーにおくと
「ボーマン、ボーマン」
って、いいながら、彼女がくれるキスの嵐に
ボーマンの顔が実にしまりなく嬉しそうなのは
誰にも内緒にしておく事にしよう。                                            
(終わり)












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