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SO2シリーズ
作:憂生



イッツ・オンリィ・ユアマインド・3


ボーマンの横にアシュトンがいる。
レオンの所に薬品を持っていったボーマンの後を
アシュトンがくっついて帰ってきた。
閑と言うか、することがねえというか、
どっちも同じことだけど
「おい。プリシスん所にいかねえのかよ?」
と、やんわり断りを入れてやったら、
なんだかショボけた様子で
「だめなんだ」
って、いいやがる。
「なんでだよ」
って、いうボーマンに
「なんでも、いいだろ」
って、返した言葉がどうにもうさんくさい。
「なんかあったのかよ?また、喧嘩か?」
と、軽くからかい半分でたずね返すと
「べつに!」
と、語気が荒い。
プリシスの所に行かないわけを喋りたくないなら、
別に喋らなくていいけど。
何があったかしらねえけど俺にまで当り散らすなよ。
可愛くねえじゃねえかとその言葉を口に出しかけて
ボーマンは気が付いた。
『何だよ?らしくなく寂し気じゃねえかよ』
一生懸命突っ張っているけど
心の底にどんよりした寂しさがアシュトンを包んでいる。
どうもいつもと違うなと判ると、
アシュトンがひどく人恋しくなっているのにも気が付いた。
しかたねえ。傍にいてやっかと、決めるとボーマンは
「おい。ちっと、まだ調剤が残ってんだ。手伝わねえか?」
と、アシュトンに尋ねてみた。
「うん。べつにいいよ」
と、アシュトンは答えた。
用事もないのにレオンの研究室でぼんやりしてるのも
なんだか見っとも無いし、
どうせやって来るクロードに
『あれ?プリシスん所に行かないの』って聞かれるだろう。
そのうちレオンもよってきて
また同じことをクロードと一緒に根堀葉堀きかれるだろう。
それに答えるのも気分は重い。
かといって一人で部屋の中にこもっていたくもない。
そんなわけでボーマンに頼まれた用事にかこつけて、
アシュトンはボーマンの後をくっついて帰ってきた。


「はあああ」
やけに重苦しいため息をついているのに
アシュトンは何も喋ろうとしない。
こんなときは無理に聞きなおしたりしない方がいい。
わざわざ人に聞こえるようにため息を突くってことは、
やっぱり本音を話してしまいたいってことなのだ。
だけど、下手にこじ開けるようなことをすると
貝さながら口を閉ざしてしまうのだ。
と、いうわけでボーマンはアシュトンの口を割らす、
いいタイミングを見計らっている。
「おい。そこの青い瓶をとってくれや」
と、ボーマンが声をかけると
「あん?これ」
と、棚から瓶を引っ張り出して渡してくれたが、
アシュトンもボーマンの手伝いなんて簡単に出来るわけもなく
どっちかというとぼんやりボーマンの手つきを
見ているばかりになるのである。
焦げた椅子を引き寄せて座り込み
ボーマンの調剤を見ているのも退屈でもある。
「はあああ」
何度目かのため息である。
始まったなと思いながらもボーマンは薬品を作る手を休めない。
手持ち無沙汰になると
アシュトンは自分の心の中の鬱積にとらわれだしてしまう。
レオンの所に居ても同じだったのであるが
忙しそうなレオンが役にも立たないアシュトンに
手伝いなぞ求めてくるわけがなく、
まだしもボーマンのほうが時折、何か言いつけてくれるだけ
気が紛れていたのだけど、
ボーマンももうアシュトンには用事はなさそうだった。
『はあ・・・レナがねえ』
アシュトンの心の中でつぶやいていたつもりだったのに
どうやら口に出ていたようだった。
「なんだ?レナに関係あんのかよ?」
って、ボーマンに尋ねられて
やっとアシュトンが自分が喋っていたことに気が付いた。
アシュトンの気持ちを塞ぎこませてしまったのは、
レナのある事実を知ったせいでもある。
が、そんなことを言いふらすかのように言えるわけはない。
「べつに」
『レナが・・あのレナでさえ』
アシュトンの中で
プリシスがアノ事を断ってくるのを
釈然としない気分にさせてしまったレナの事実。
「何だよ?レナ?え?まさか?」
って、ボーマンの顔色が変わった。
出来ちまったってデイアスの相談ごとを聞いてから
あれから何の音沙汰もない。
まさかと思うが結局、
レナの奴は、デイアスの子供をおろしちまったのか?
そう考えるとアシュトンがなんだか
微妙に塞ぎ込んでいるのも判らなくもない。
同じ立場にあるアシュトンにとっても、決して人事ではない。
ちっと悲しい事実にプリシスの奴もほいほい、
お気楽にセックスしてることに途惑っちまってるに違いない。
『ハーン。それでおまえらもブルーなわけかよ』
って、せっかく大胆な推理をしているボーマンに
「まさかって?」
と、ボーマンの顔色が気になったアシュトンは尋ね返した。
「いや。諦めちまったのかと思ってよ」
「?レナが何を?」
って、アシュトンが尋ね返してきた。
アシュトンがピンとこないとこをみると、
ボーマンの推理も違ったのかなと思いつつも、
アシュトンの鈍いのがボーマンの気に障っている。
「あれから、デイアスの奴。なーんもいってこねえじゃあねえかよ」
と、言うとやっと何のことか判ったんだろう。
「あ。忘れてた」
と、全く人事なんだ。
「つめてえやつだな」
「ああ。ごめん。そのことだったら。あの。ちがってたんだって」
「なに?」
あれだけ大騒ぎしといてレナの妊娠が事実ではない?
「やろう。人の心配もしらないで、ほっときぱなしかよ?」
と、随分お気楽なデイアスに、
ぶつぶつと文句を言ってるボーマンの目の前で
アシュトンが小さくなっちまってる。
「あの・・だから・・ごめん」
察しの良いボーマンである。
「てめえ?」
「ごめん。僕が伝えとくってデイアスにいったんだ」
「伝わってねえじゃねえかよ。え?おまえ。
いま、俺が聞いてみて初めて喋ったんじゃねえかよ」
「ん・・・」
まあ、こいつのこったろうから、
そんなことがあっても、おかしくない
と、ボーマンは思い直してみていたが、
そうすると、さっきアシュトンが言った
「はああ。あのレナがねえ」ってセリフはどういうことになるんだ?
「で、レナがどうだっていうんだよ?」
「う。ううん」
「なんだよ?」
「あ」
って、やっぱしアシュトンは喋ろうとしない。
と、なるとまた色々と推理してしまうのは世の人の常というものである。
腕を組んでボーマンは考えている。
『あのレナがねえ。だろ?
で、おまけにそのことで少なからずも
こいつがブルーになっちまっている?
レナじゃありえねえ事で、こいつにとって
プリシスに会いたくねえって気分になる?』
想像した事をボーマンは、成り立つことかどうか考えている。
『例えば。レナがデイアスに冷たかったってのは
実は・・他に好きな奴が出来たって。
レナが浮気してる?
俺じゃああるまいし・・・。
んでも、それを知ったアシュトンのレナが?ってのは成り立つな。
女心と秋の空。プリシスにもなんかあったか?
で、あのレナが浮気するくらいなら
ってこいつが自信なくしておちこんでる?』
ちっと、大胆すぎる推理というより
当てずっぽうもいい所だけど、
アシュトンの口を割らせるきっかけが欲しいボーマンなのである。
「そうかあ・・・あのレナじゃあ考えられねえ」
と、納得した顔でボーマンは自分の推理に頷いてみせると、
アシュトンが乗ってきた。
「え?あれ?わかっちゃったの?」
判っちゃったなら隠す必要もない。
そのことで巻き起こされた自分とプリシスとの葛藤と
その経緯を話してしまいたいアシュトンなのである。
何がわかったかも確かめもせず、
判ったの一言でボーマンの認識と
アシュトンの認識が一致してると思い込むところが
相変わらずのおっちょこちょぃなのであるが、
この際、それは指摘しない方が得策なのである。

わかった振りをしながら、
アシュトンの言葉にうまく口裏を合わせてるだけで
いろんな事を吐き出しちまいたいアシュトンが
勝手に喋り出すっていうものである。
なのに、アシュトンは
やっぱしそりゃあまずいやって思ったのと同時に
デイアスのことで思い出したことがあったんだ。
「あ。そういやあ。ひどいや」
って、いいだした。
「なんだよ?」
アシュトンの言い出したことはあの座談会のあとに
アマンダにいったことである。
「みんなして、僕に勘定をおしつけてでていっちまったんだ」
「え?そうだっけ?」
「そうだよ。
だいたい、ボーマンがさっさとセリーヌと出ていっちやったのが最初」
って、その時のことを思い出してもらうために
しゃべくりだしたことだったのに、
アシュトンは別のことに興味を惹かれてしまっていた。
「あは。そうなんだよ。・・・で?そのあと、セリーヌとどうなったの?」
突然、立場が逆転して
尋ねる側が尋ねられることになったのはいいとして
答えられねえ事をこいつは抜け抜けと聞いてきやがる
と、ボーマンは苦りきった顔になった。
「な・・・なんが?」
アシュトンに空とぼけて見せたって無駄事なんだ。
ははあ、答えたくないんだななんて察してくれる奴じゃない。
どうにもくだらない好奇心にとらわれれると
気がすむまで心の中にためておくってのが、アシュトンなのである。
ゆえに皆様もご存知の通り一時アシュトンの覗き病が
なかなか解決しなかったわけである。
「やだなあ。とぼけないでよ」
って、アシュトンはこんな時ばかりは問題から目を離さず、
しっかり見据えようとする。
「んな事ばっかにマジになりやがって」
「うふふ。だめだよ。で?どうなったの?」
何を嬉しげに想像してるのか知らないけど
セリーヌという女性の浮気?問題についても
こうまでお気楽に興味津津になれるということは、
「レナがねえ」は浮気問題じゃないということが
はっきりしてきた。
「ねえ?」
何をどうききたいのかしらないが、
なんだかやらしくはあるが
嬉しげなのをむげにいなしたりもしたくない。
「あーん?おまえの想像にまかせるよ」
「そんなの答えになってないじゃない」
と、妙なことには執拗に食い下がってきやがる。
だけど、浮名を流してるボーマンにとっては
何にもなかったなんて答えることができない。
面目というかメンツにかかわるというか。
いったいそんなことに何のメンツがあるのかよくわからないが
ボーマンは妙な男のプライドにこだわってるもんだから
ほんとうのことを答えたくはないのである。
「ねえ?うふふ。どうだった?」
なんて、アシュトンはもう、
てっきりなんかあったと決め付けだしている。
仲間内のH。
それも超色っぽいセリーヌとの事に興味が湧くには判らないでもない。
ボーマンはとまどっている。
このおっちょこちょいが勝手に信じ込んだ想像どおりに
思わせておくのも一手である。
が、考えてもみてくれ。
いつニーネと顔を合わせるか判んない相手に
早々簡単に手をだせるわけなんかないじゃないか。
なのに、なんかあったと思わせてしまうのも
これもボーマンには癪なのである。
ボーマンにはボーマンのポリシーがある。
大事なニーネにばれて、お互いが苦しむなんて馬鹿はしたくない。
ほんとにやるんなら、誰にもばれないとこで、
お互いが割り切った状況が必要なのである。
と、したら、みんなの前でセリーヌを誘っていったなんて事自体
本来ボーマンにはそんな気がなかったってことでしかないんだけど、
まだまだ、そんな事までの洞察ができないアシュトンなのである。
「大人の関係に口をだすんじゃねえよ」
そうそう。
そういう複雑なボーマンの心理を一番良く判ってるのは
当のセリーヌである。
そこの所を判ってる大人の付き合いなのである。
「へええ。割り切ってるんだぁ。やっぱし・・セリーヌだなあ」
「な。何だって、そう、短絡思考しかできないんだよ」
セリーヌをやっちゃった。
セリーヌとしちゃった。
そういう目で見てくれるのは反面ボーマンの男の魅力を
充分に認めてくれてる事ではある。
ボーマンにかかったら落ちない奴は居ない。
って、アシュトンの見解に触れると
ボーマンはちっとは男のメンツに満足したんだろう。
「なーんも、やってねえよ」
と、素直にさらけだしたのに
「うそだあ?」
って、信じようとはしないアシュトンなのである。
ようはこいつはボーマンとセリーヌに、なんかあって欲しくて,
おまけにあわよくば
その状況なり感想なりを聞いてみたいだけなんだと、ボーマンは判った。
「ねえ。で、さ、どうやって・・・あは。最初に」
アシュトンにしてみりゃ必死だったんだろう。
プリシスとのことで口説き落とせない方が悪いのか
断ってくる方が悪いのかって問題もある。
しっかり口説き落とせないアシュトンに非がないわけじゃない。
セリーヌのことをきっかけにアシュトンは
そこらへんのテクニックというか
ムードというかそんなものを伝授されようとしていたんだ。
「たく。スケベ心もろだしじゃねえかよ。
んなんじゃ、プリシスにいやがられるぞ」
「え・・・」
「ま::セリーヌはいい女だったよ」
手を出さずに置くのが惜しくて仕方ねえという場合の
いい女ってことである。
「はあー」
ボーマンのさっきのセリフで
アシュトンの顔色がぴくりと変わったのを見逃しちゃいない。
話を元に戻すいいタイミングである。
「で。ようはおまえはレナのことで。プリシスに」
と、半分も言わないうちにアシュトンががくりと首をたれた。
ボーマンだって何のことだか判っちゃ居ないんだけど
アシュトンのほうは、もう黙ってることに
こらえきれなくなってきていた。


「あ、あのさ」
「なんだよ?」
「愛してたら何でもできるよね?」
「どうかな?」
だって、いくらニーネを愛してるって判ってても
ボーマンは浮気をやめようとはしてない。
と、いっても、もしそれがニーネにばれちまうことになったら、
当然ニーネは許しちゃくれない。
と、なるとボーマンは金輪際浮気はできなくなる。
つまり、愛してるから止めるって事が出来るわけなんだろうけど
止めたくないばかりにこっそりとやってるわけなんだけど
と、なるとアシュトンへの言葉を訂正したボーマンである。
「まあ、たいていのことはできるな」
「そうだよね。あのレナでさえそうなんだもの」
オーラルセックスを断られちまったって事で、
アシュトンの中に沸いてきた哀しい認識。
それはひょっとして愛されてない?って思いだったんだ。
そんなことで決め付けちゃいけないよと
自信と余裕を取り戻したかったはずのアシュトンに、
あのレナがデイアスへのオーラルを享受したって事実は
アシュトンの足元を崩壊させてしまっていた。
『愛していたら・・できる。プリシスは僕を愛してない』
レナの中立ちでもう一度プリシスの所に訪ねたアシュトンは、
いったん取り付かれた思いから抜け出せずにいた。
『愛されてる』
それを否が応でも確認したいアシュトンであり、
馬鹿げた方法でしかないのに
それが、確かめることの唯一の方法と思い込んでしまうほど、
アシュトンの中が切羽詰った思いに駆られていた。
レナにとってのひとつの愛情の表現でしかなかったことを、
そのまま自分達に置き換えてみようということ自体が無謀なことである。第一、プリシスはレナじゃないし、
アシュトンもデイアスじゃない。
 そんなことさえ見えなくなってしまって、
だいいち、愛されてるかどうかなんて確かめることじゃない。
素直に信じる事でしかないのに。
アシュトンはあの日。
プリシスの愛を見せ付けられたくってたまらなかったんだ。
愛されてないのかもしれない。
軽いセックスフレンド?
友達よりは少しばかり性の領域に入り込んでもいいかな?って
相手でしかない?
それも、アシュトンの方からその領域に入り込んだんだ。
一度そうなっちゃったら仕方ないから?
それなりにセックス自体は悪くないから関係は持つけど
もっと心の中まではいりこんじゃいない。
それだけの関係?
プリシスに会いに行ったアシュトンは
レナに忠告された無理強いはだめよって言葉さえ思い出せなかった。

「おい?」
黙りこくってしまったアシュトンの瞳から落ちてくる意外なものに
ボーマンはたじろいだ。
「ちゃんときかせろや」
「ん」
アシュトンが調剤室の周りをゆっくり見渡した。
ガラスをはめ込んだ向こうに店が見えている。
泣き顔をうっかりだれかにみられたくないんだろう。
かといって店を閉めるわけにも行かない。
「俺の部屋にいくか?」
「ん・・そうして」
まあ。後から考えりゃこれが間違いだったんだ。


部屋に入る前にボーマンはニーネにに店のことを頼むと
あごをしゃくってアシュトンのことを指し示した。
アシュトンがじっとをうつむいたままなんだか元気がない。
なので、なんか相談事だなってニーネも判ったんだろう。
「何にももってゆかないわよ」
って、相談事の場所に立ち入らないことをそんな風に言い表した。
「ああ」
言葉少なく答えるとボーマンは自分の部屋に向かった。
小さなクーラーボックスの中にはビールがはいってる。
まあ。ひるっぱらから酒なんてのも感心しねえけど、
ちいとは酔わえとアシュトンがますます砕けてしまいそうだった。
渡された瓶ごとのビールにおずおずと口をつけると
アシュトンはまた悲しげなため息をついた。
「で?」
「うん」
「なんだよ?」
「あのさ。僕だってプリシスに断られちゃった時はね。
仕方ないかなって思ってたんだ」
いきなり唐突にボーマンが判ってる思い込んで
喋り始めたアシュトンに何がだよ?なんて聞けなくて、
まあ、話してるうちに具体的なことは見えてくるだろう
と、考えてボーマンは頷いてみせた。
「だけどさあ。あのレナがさあ・・・」
でたぞ。
あのレナがいったいどうしたってんだ?
ボーマンは問題の核心がこのレナがねえであるということは判ってる。
「レナでさえ出来るのに。ううん。あのレナがするんだよ。
なのに、プリシスはいやだって言うんだ。僕・・・」
ボーマンは注意深く尋ねてみた。
「どうして嫌だっていうんだ?」
「不気味だって。プシイにはいいくせにさ。
そんなのって自分さえよけりゃいいんじゃない?
そういうことじゃん。僕はプリシスの奴隷かなんかなわけ?」
『へ?』
アシュトンの言葉でボーマンは
それがオーラルセックスのことであるというのがすぐに判った。
けど。
え?あのがきんちょのプリシスに
そんなことをさせようなんて事をよく考えついたもんだ
と、ボーマンは思った。
そして、おまけにレナでさえってことが
そのことであると察したボーマンは、アシュトンさながら
『あのレナがかよ?』
って、思った。
そして、ついついデイアスのたまんない顔と
レナのその場面を想像しちまってた。
『ひえー。あのレナがかよ。え?デイアス。
男冥利につきるじゃねえかよ』
けど、そんなレナの想像図を楽しんでる場合じゃない。
「あの、レナでさえできるんだよ。
デイアスの為になら、しちゃうんだよ」
「あ?ああ」
「なのに、プリシスはしてくんない」
おいおい。涙声になっちまうほど重大な問題じねえだろうが。
「おまえなあ。しょっぱなから・・・。
ステラに、んなことされたんだろ?」
「か、彼女のこととは関係ないよ」
「いーや。関係あるさ。
妙にいろんな種類のテクニックがあることだけはだけは覚えちまってさ。それを自分達に応用しようってのは、まだ早いぜ」
「じゃあ、レナは?」
「あ・・・」
「僕が言いたいのは。そんなことをするとかしないとかじゃない。
プリシスの中に僕を何でもかんでも受止めよう
って愛情がないってことなんだ」
「あ」
ただの欲情で物を言ってる奴かと思っていたアシュトンが
ひとつの行動の中に現れる心理を直視しているという事が判ると
『どうでもいいことに気がつきやがって』
と、ボーマンは軽く舌打ちをした。
「んじゃ、聞くけどよ?それをしてくれりゃ
愛してるってことになるのかよ?」
「プリシスならね」
ステラはどうだよ?って続けて聞いて
そんなことで愛情を計ろうってのが間違いだって言おうとした言葉が
アシュトンの答えで吹き飛んでしまった。
レナがそうであろう。
あのレナがそうするって事は確かに愛情としか思えない。
だったら、プリシスもそういうことになる。
『いつのまにか、遊びのセックスと
本気のセックスをわきまえるようになってやがらあ』
「ボーマン」
プリシスが本気であることが、
プリシスにマジで受止められることが
アシュトンの中でこんなにも大きな心の面積を占め始めているのである。
『まいったなあ』
「僕は愛されてない」
顔を覆う手からアシュトンの涙が伝い落ちてきていた。
「馬鹿やろう。んな事ぐらいで泣き事をいうなよ。
え?振り返らせりゃいいじゃないかよ」
「もう、いいよ。くたびれたよ」
「なにを・・・いって」
「ボーマン。寂しいんだ」
「なに?」
「だいてよ」
「あーん?おまえ何ボケかましてんだよ?
わ、判ってるのかよ?え?俺はうけなんかやらねえぜ?
それがつまりどういうことか。あのなあ。おまえのけつの穴に・・」
「いいんだ。プリシスがどうしても嫌だって。
そんなのを僕が無理強いして。
そんな気分って辛かったろうって思うんだ」
「だから、自分も嫌なことを身に受けてプリシスにわびようってか?」
「それもあるよ。それに・・僕達」
「な、なんだよ?」
「もう・・・修復できないよ・・・」
自分で出し始めた言葉でアシュトンは、
プリシスのことに踏ん切りを付ける気になってしまっていた。
「だから・・・」
『俺に抱かれることで、プリシスをふりきろうっていうのかよ?』
「さみしいんだ」
ボーマンの首に巻きつけてきたアシュトンの手をボーマンは解きかけた。が、その手を握り返すようにしてアシュトンは
ボーマンの唇に顔を寄せてきた。
『だめだ。こいつ。今のこいつに何をいっても通じねえ』
ボーマンはアシュトンの望むままにしてやることを決めると
後ろ手で椅子の背もたれにかけてあった上着のポケットの中の
銀色の容器の存在を確かめ取り出した。
「なに?」
「潤滑油」
外に行く時にはボーマンはいつでも持ち歩いている。
いつ何時好みの少年といい時間を過ごすチャンスが訪れるか
わかりゃしないし、とっぷり時間が取れない時もある。
擦り寄ってきた相手をそこらの物陰で物にしてしまうことだってある。そんな時にはこいつがあると便利なのであるが、
それをまさかアシュトンに使うことになるとは
思わなかったボーマンである。
念のためボーマンはもう一度アシュトンに確かめた。
「ほんとに・・ほしいのかよ?」
返事の変わりにアシュトンはボーマンの物に手を伸ばしてきた。
『こ、こいつにそういう毛があるなんて・・思ってもみなかったぜ』
だけど・・・考えてみりゃあ、
だからこそレオンたちの濡れ場を
好んで覗いたりする気にもなっていたんだろう。
『つまり・・こいつも一種の両刀ってやつかよ』
ボーマンは男にも女にもシテでしかないが、
アシュトンは女にはシテで男には猫という形で対するものを
もっていたのであろう。
が、プリシスに対する気持ちと欲情の中で
猫の面は塞がれて育つことはなかったし、
男に対する欲求に気が着かされることもなかった。
よしんば欲求を持ったとしても自覚のない欲求は
プリシスへの欲求に摩り替えられて
アシュトンの中で昇華されていたのであろう。
が、ここにいたって、プリシスをあきらめようとした時
アシュトンの中の意識がめぶいたのかもしれない。
「こいよ」
「あ」
アシュトンがあんなに欲しがってたプリシスからの愛撫ではないが
『酔わせてやるぜ』
ボーマンはアシュトンの下着まで一気にずり降ろすと
屈みこんでアシュトンのものをほうばり始めた。
「あ・・・んん」
存外。可愛い声で反応を楽しませてくれるアシュトンなのである。
ボーマンはそうしながら片手でさっきの容器のキャップをひねると
器用に中身を手の平におとしこんだ。
指先を手のひらに曲げるようにして潤滑油を指先になすくると
アシュトンの局に指を入れ込んでいった。
「こわくねえかよ?」
「いいんだ」
プリシスにわびる気持ちなのだろう。
アシュトンは固く目を閉じてボーマンの指を受け入れていた。
その次に入れ込まれるものがなんであるか、
レオンたちのことをいいほど覗いてたアシュトンにはわかっている。
指をぐうと押し込んで中で動かしてやると
「あ」
意外な反応を見せてきた。
「本物はつらいぞ」
「いい」
『そうかよ。おまえ、それはよお、
結局プリシスにほれてるってことだろうがよ?』
辛い承諾を受け入れるようにアシュトンは
ボーマンの腕に体をあずけている。
アシュトンの唇をふさぐようにしておいて、
ボーマンは自分の下着を取り去ると立派にそそり立ったものに
さっきの潤滑油をぐいとすりこんでアシュトンの局にあてがった。
「ここだ。はいりこんじまうぜ。やめるなら、いまのうちだぜ」
アシュトンは、小さく首を振った。
「・・・」
ボーマンはそのまま潤滑油で滑るもので
アシュトンを刺し貫くかのようにぐいと押し込んでいった。
「い・・」
痛いといおうとする言葉をアシュトンはこらえてる。
そんなことでも、アシュトンは受けるということに徹しようとしている。
『愛してなくたって、嫌で、辛い事だって受けてやろうとしたら
うけられるんだ』
プリシスのわがままでしかない。
それを自ら証明するかのようにアシュトンは
ボーマンのものを受け止めようとしていた。
『だから・・もう・・いい』
ボーマンの手がアシュトンの物をゆっくり愛撫し始めていた。
『え?たまんねえじゃねえかよ。
んなに必死になって俺のことなんかうけとめるなよ』
奇妙な感情である。
『プリシス。おまえがもらえるはずの感情だったんだぜ』
受け止めてるアシュトンが妙にいとしい。
大体セックスってのはこうやって情を深めちまう力があるものなのだ。
それがわかんねえがきが
小手先の快感だけを追従しようってのが間違いなんだ。
快感を共有し部分をひとつに重ねることで
沸いてくる感情に酔わされるって事がセックスの醍醐味なんだ。
ボーマンはアシュトンの体を支えると抱き起こした。
「つれえだろうが?」
ボーマンがこんなに優しい。
「こんな・・・思いがほしかっただけなんだ」
アシュトンはアシュトンで
自分の気持ちをプリシスに重ね合わせている。
一生懸命受け止めたい。
自分のいじらしさを誇るわけじゃないけど
プリシスが今のアシュトンみたいな気持ちであったら
どんなに切なく愛しいことか。
「泣くなよ・・・え?」
「ごめん」
せめてるんじゃねえさ。
ボーマンはアシュトンをだかえこむと、ゆっくりと動き始めた。
「ああ」
ボーマンは小さくあえぐとピッチをあげ始めた。
「やり直せよ。え?なめてくれなくったっていいじゃねえかよ?
おまえが惚れてんのはプリシスじゃねえかよ」
「あ」
劈くような痛みの中でアシュトンははっきりと言い放った。
「もう、いらない・・プリシスはいらない」
「俺にはそうは思えない。おまえは焦り過ぎてるんだ」
アシュトンの痛みを紛らすかのように
ボーマンはアシュトンの前のものを激しくさすりはじめていた。
「あ・・ボーマン・・・」
小さな血脈の動きが大きくなるとアシュトンのものが
大きくうねるようにざわめきだした。
ボーマンは黙り込むとアシュトンへの愛撫と
自分の動きを重ねるように蠢かしていった。
「あ・・ん・・・いい」
アシュトンの至福の時と
ボーマンの発射のどよめきが重なり
二人は声を潜めて快感を振り絞っていった。

欲情を解き放ち
欲望を共有した二人がソファから起き上がってきた。
「なあ・・」
ボーマンが言おうとしてることは判ってる。
プリシスとの修復のことである。
アシュトンはボーマンにもたれかかるようにして
プリシスと判れる事を決めた出来事を
ポツリポツリと喋り始めた。

あの日。
アシュトンはレナに押されるようにしてプリシスの部屋を訪ねた。
「あ・・あのね」
って、プリシスはそういったきり、何にも言葉が出てこない。
アシュトンがプリシスを引き寄せると
プリシスはそのままアシュトンの胸の中に入り込んできた。
そして、いつのまにかアシュトンはプリシスと
いつものことをし始めていた。
それで二人のこだわりが溶け落ちてゆく筈だったのに。
二人の意識の食い違いがあらわれてしまった。
アシュトンに突きこまれてくる物の心地よさに放心していると
アシュトンがプシイからアシュトンのものを引抜いた。
そしてプリシスのプシイの中に指を滑り込ませて
親指の腹でプリシスのコアをまさぐり始めた。
俗にいうヘビィ・ぺッティングである。
「あ・・ああ」
漏れ出してしまう声を塞ぐようにアシュトンが唇を重ねて来た。
アシュトンがゆっくり体を起こし始めたとき、
プリシスの唇の前にアシュトンの物の感触を感じた。
「え?」
プリシスの途惑った頭の中にレナの言葉が渦巻いてきている。
「目をつぶってアシュトンに任せちゃえばいい。
愛してるなら出来るよ。私は出来たわよ」
途惑いを筆触するようにプリシスは頭を振った。
が、それがアシュトンには拒否するように見えたのだ。
思いつめてるアシュトンの声は必死であった。
そして、かなり荒い口調でプリシスに一言命令するように言い放った。
「なめろよ」
できないことじゃないだろう?
それにアシュトンも懇願するみたいに言う自分にも
嫌な気分がしていたんだ。
僕に服従できるはずだろ?
それをも言葉でも確めたかったのだ。
「や・・やだ」
こんな無理強い半分。
なし崩し半分なんかに流されたくない。
レナの言う通り自然に自分からしてあげたいじゃない?
「そっ」
アシュトンはあっさりと引き下がるとプリシスから体をも引き離した。
「あ、あの」
怒ったんだ。短気なんだから・・。
しないって言ってるわけじゃないのに・・・。
ただちょっとこんな形じゃいやなだけだよ。
と、言おうとしているプリシスより先にアシュトンは
脱ぎ捨てた服をつかんだ。
「え?」
帰っちゃうの?こんなことぐらいで怒って帰っちゃうの?
プリシスが見上げる目の前でアシュトンは服を着ながら
「これで・・お別れ」
って、いったんだ。
「なんて?」
聞き間違いだよね。帰るって事だけの意味だよね。
「これ以上愛されることをねだって尻尾を振って
いきていたくないんだ。
辛いけど
悪いけど
責任取れなくなったけど。
僕にとってプリシスのノーはそういうことなんだ」
「うそ?何で?何でそんなことぐらいで・・・」
「惨めなんだ。うんざりするんだ。
いつもプリシスの顔色見て一挙一動にあたふたして。
こんなことくらいって言ったよね?
こんなことくらいしてくんないプリシスなんじゃない?」
「あ・・アシュトン。違う」
してあげるつもりだったプリシスなのである。
だからこそこんなことぐらいなのである。
「もう、いいよ。無理強いしてまで欲しくない。
オーラルなんかにこだわってんじゃないんだ。
欲しかったのは僕のためなら何でもしてあげたいって
自然にプリシスから流れてくる思いだったんだ」
アシュトンはズボンをはき終わると
不思議なくらい潔くプリシスに別れを告げた。
「プリシスがそんな風に自然に思えて
自然に尽くしてあげたくなるようないい人はきっとあらわれるよ。
僕じゃなかったのは残念だったけど。
もう、これ以上プリシスに無理をさせたくないんだ。
でも、ありがとう。僕のわがままだっていっぱい聞いてくれて
僕のものにもなってくれたのに・・・でも、ごめん」
『わがまま?わがままでしかなかったっていうの?』
アシュトンを責めてしまいそうな言葉を飲み込んでプリシスは
「アシュトン?それってアシュトンも他にいい人を、
喜んで受け止めてくれる人を探すっていうこと?」
と、震えるような口で尋ねた。
「そう・・なるかもしれない」
「私じゃだめなわけ?ねえ?
アシュトンの言うとおりしてあげる。どんなことでも・・」
「無理なんだ。レナみたいにこんなことくらい
ううん。こんなことまで愛しいって思えないでしょ?
やっぱりそれってプリシスが言う通り
無理して背のびしてるだけなんだ。
そんなの自然じゃないでしょ?」
自分が迷ったことの結論をアシュトンの方から突きつけられてくると、
プリシスの中はレナに言われたことを思い返させていた。
――アシュトンに愛されてるって事に甘えて
いつでも、アシュトンが折れるって高をくくって
自分の愛をアシュトンの量りに載せようとしてない――
「私がアシュトンをおいつめてたの?」
アシュトンは少し困った顔をして見せたけど
「僕はそれでもプリシスが好きだったよ」
『でも・・もう、一緒にいるのがつらい?』
引き止める言葉をいまさら口に出せば
言葉だけの軽さだけみせつけるだけだろう。
愛しているんだっていえる自分じゃなかった。
って、判ってしまえば
そんな言葉は自分のおろかさを見せ付けてくるだけに過ぎない。
それでも居てくれといえば愛して欲しいってねだってる
馬鹿で、わがままな女でしかなくなる。
「しあわせにね」
と、最後にアシュトンはそういった。
「私が・・無理じゃなくて、
自然にアシュトンを受け止めたいって本気で思えるようになったら
会える?」
アシュトンは少し微笑んだけど何も言わずに出て行った。

号泣が響いてくるかと思ったプリシスの部屋の中は静まり返っていた。
『勝手を言ってなさいよ。アシュトン』
大体ステラとか言う女に狂った時だって諦めなかった
このありがたいプリシス様をなんだと思ってんのよ。
すぐ弱音を吐いて重圧から逃げるその弱弱しい所が
心配で突いてあげてたんじゃない。
あたしをなくしたらあんたの人生お先真っ暗よ。
って、ぶつぶつプリシスは強がりながら自分を激励してる。
諦めてんならあん時に諦めてるわよ。
ここで諦めるならせっかく奪い返した意味ないじゃーん。
お見事なプリシスではあるが
根本的食い違いはどう解決してゆくのだろうか。

二日もすると、やっぱりプリシスがボーマンの元に現れた。
強がってみてはいたけどやっぱり相当こたえていたんだろう。
真っ赤に泣きはらした目がボーマンの目には痛々しかった。
アシュトンが言い出した一方的な決別を、どう回避したらいいか。
これといった方法が思いつかない。
「どっちが自分勝手なんだか・・・よくわかんなくなってくるよ」
って、プリシスはつぶやいた。
「受け止めてやれねえ方が間違ってるよ」
って、ボーマンはあっさりと言い放った。
「え?」
「オーラルだろうが。アナルだろうが。
それこそサドマゾであろうが。うけとめてやったもんの勝だよ」
ボーマンの言葉にプリシスは首をかしげた。
「なんか?アシュトンからきいてるの?」
「まあな」
「あ、なんていってた?」
「俺にアシュトンが言ったことをおまえに話す必要は無いと思うぜ」
なんだかボーマンの様子が突き放すように冷たい。
「・・・あの?」
こんなボーマンに何をきけばいいんだろう?
「あのな。プリシス」
黙り込んだプリシスにボーマンのほうが口を開きだした。
「今度の相手はセックスへの興味とか、好奇心とか
いうもんじゃねえんだ」
「え?」
アシュトンにはすでに誰かいる?
アシュトンの言葉どおりの人っていうわけ?
だから・・さよならをいいだしたわけ?
呆然としているプリシスに
「包んでやりてえって気持ちにさせられて。
それをアシュトンが素直に受け止めちまえば。
だいてやるしかねえだろ?」
「え」
プリシスにはボーマンが言ったことの意味が一瞬解らなかった。
「どんなに頑張ってももう今度の相手にゃ勝てねえよ」
ボーマンの言葉に思わずプリシスの口から言葉が漏れた。
「や・・やだ」
ボーマンは小さく首を振った。
「おまえがいくら嫌でも。もう、どうしょうもねえ。
俺もアシュトンを離す気はねえ」
プリシスの瞳が大きく見開かれた。
「う・・そ?今度の相手って・・」
『それがボーマンだっていうの?お。おまけに・・ア、アシュトンは?』
ボーマンが両刀使いだって事はプリシスだって知ってる。
それもシテ一方の・・。
そのボーマンがアシュトンを抱いたって事は
とりもなおさずアシュトンが受けの性を具有してるってことである。
何もかもが信じられない。
ボーマンがアシュトンにそんなことをするってことも、
アシュトンがそんな異常な性を受け入れることも。
「嘘だよね?私がわがままだったから
二人でお灸据えてやろうってそんな変なお芝居して・・・」
プリシスの必死の逃げ道にボーマンは耳を貸さなかった。
「プリシス。俺はおまえに謝る気はない」
「え?」
アシュトンを追い詰め、
ボーマンとこんな風になったのはプリシス自身の甘さでしかない。
恨む相手は自分自身じゃないか?
ボーマンの瞳は冷たく厳しくプリシスを貫いているようだった。
「・・・・」
「ききたいことはそれだけか?」
言葉をなくしたプリシスにボーマンはそう尋ねてきた。
『ほんとなんだ』
だけど・・たったそれくらいのことでなんで?
「もし。私がアシュトンをきちんとうけとめてたら
そうはならなかったっていうこと?」
「あたりめえだろ?男なんてな。
おまえが思ってるほど強いもんじゃねえんだ。
自分のわがままを精一杯出しきって
それを知らん顔して受け止めてくれる女が居るから
いきてられるんだよ」
「・・・・」
「アシュトンにとってわがままを言い尽くしたい相手は
おまえだけしかなかったんだ。
だけど、それはアシュトンにとって無理なことだとわかりゃ」
「ボーマンは?ボーマンはアシュトンに?」
「はっ?笑わせるなよ?てめえが出来なかった事を
俺がどんな風にしてやろうと、かまうことじゃねえだろ?」
「・・・・」
「一言だけいっといてやるよ。
俺はお前が出来なかった事を確かにしてやったよ。
だから、あいつは俺に何もかも投げ渡して
俺に少しばかりの誠意をみせてきたんだ」
「そ・・それが。アシュトンが受けたって事?そういいたいわけ?」
「おまえにゃ、俺の気持ちもあいつの気持ちもわかりゃしねえよ」
ボーマンのその言葉を最後に唇をかみ締めると
ボーマンの元からプリシスは出て行った。

外に出て行ったプリシスの足音が遠ざかってゆくのを
ボーマンはじっと聞いていた。
「わかりゃしねえよ。あいつがどれだけお前に愛されたいか。
俺はアシュトンの心の隙間をちっとばかし、
うずめてみただけにすぎねえ、ただの・・・」
自分のとった行動はアシュトンにとってはただの逃げ場所でしかない。
充分に承知してるボーマンである。
そして逃げ込んだことによる虚しさが
アシュトンの中にほんとに欲しいものを
見せ付けさせてしまうだろう事も
お見通しゆえのボーマンの手ひどすぎる荒療治である。
「乗り越えてくれよ。プリシス。お前しかあいつにゃいねえんだ」
ポツリとつぶやくとボーマンはニーネの居るキッチンに歩いていった。
ニーネは心配そうにボーマンを覗き込んだ。
この間来たアシュトン。
そして、やってきたプリシス。
二人の間の何かをまとめてやろうとしているボーマンであることには
察しがついている。
でも、おもわしくないんだろう。
さっきでていったプリシスが涙ぐんでいた。
「ニーネ」
ボーマンの声に振り返ったニーネにボーマンはその体を預けた。
ニーネの胸に顔をうずめるようにむしゃぶりついてくるボーマンを
ニーネは優しく、だけど、しっかりと抱きしめると
「どうしたの?」
って、尋ねた。
「なんでもねえよ」
って、いうボーマンがひどく不安そうで心もとない。
「だいじょうぶよ」
ボーマンがあの二人への心配で
こんなに心もとなくなっているのがニーネには判る。
「あまえんぼうね」
ボーマンの髪を優しくなでながらニーネはそう言う。
「ん」
「心配?」
あの二人の事である。
「んなわけねだろ。俺が相談にのってんだ。
別れさせたりしやしねえ」
「うん」
ボーマンはニーネの胸の中で不安な自分を開放させてしまうと
ニーネの小さな胸の先を軽くつまみ出した。
「あ・・ボーマン・・いや」
あがってきた快感に抗いながらもその快感を訴えるニーネが居る
ボーマンのたった一つの小さな動きにさえ、
ボーマンのものでしかないことを表現し始める女が居る。
「気持ちいいかよ?」
野卑な言葉を囁きかけながら、
自分の独占物であることをはっきりボーマンに示す
ニーネの甘い吐息に
ボーマンは確かな自分の存在感を謳歌させられて行く。
やがてボーマンの物がニーネの中に入り込み、
ニーネの切ない声がただただボーマンを呼びつづけてゆく。
「あ・・ああああああ」
生きてるんだって思う瞬間である。
ニーネの手応えがボーマンの声を振りしぼらせ
ボーマンも何度もニーネの名前を呼びつづけた。
ニーネの振るえるような項を見つめながら
ボーマンはやはり思う。
『なあ。俺がこうなんだぜ。ニーネじゃなきゃ駄目なんだ。
プリシス。そんな俺だから判るんだ。
アシュトンにゃ・・・おまえしかいねえんだ』
「ボーマン」
寄り添ってくるニーネがひどく満足げに充たされてる。
それもボーマンにはひどく愛しい。
「俺のが・・んなに、いいかよ?」
って、言葉にニーネが真っ赤になって恥らっている。
ボーマンからの贈り物により自分の中に見せ付ける感覚の特殊さに
酔わされ、ほだされ、
それがどうしてもボーマンのものである自分を意識させ
ボーマンのものであることを喜ばせ感謝させてしまう。
『快楽の奴隷?それでもいい。ボーマンがくれるものだもの』
ニーネの恥じらいの最中にボーマンのものが
もう一度ぴくんと蠢き出していた。
「あ・・んん」
口から突いて出てくる喘ぎを隠す術もなく
ニーネはボーマンのくれる快感のままにあえぎをもらし始めていた。
『ニーネ』
愛しい女性が、ボーマンの動きのそのままを快感にしてくれるほど
嬉しい一体感はないだろう。
『愛してるんだ。お前だけはどんな事があってもはなしゃしない』
ボーマンは心の中でそう言うともっと、強く激しく動き出して
ニーネをボーマンから与える快楽の最高点の中に落としこんでいった。


一人ぼっちで居るのが辛くてアシュトンは
また、レオンの研究所に出かけていた。
『ボーマンと顔をあわせてしまうかもしれない』
後悔がアシュトンをせめさいなんでいる。
あのあと。アシュトンは
『もう・・引き返せない』
と、はっきり思った。
なぜならプリシスを今度こそ裏切ったんだから。
自分の思ったことにアシュトンは自嘲のため息をついた。
別れてしまったプリシスに対して、いまさら裏切りになるわけはない。
なのにアシュトンの心は確かにプリシスにつながれたままなのだ。
それに気が付くとおろかな逃げ道を求めた自分がひどく惨めに思えた。
どうしょうもないほどつまらなく卑小な自分でしかない。
それでも今のアシュトンを抱きかかえてくれるのはボーマンしかいない。
『僕はまたボーマンを・・・逃げ場所にしようとしている』
何もかも判って一言も責めずにアシュトンの心だけを
受け止めてくれたボーマンの優しさがアシュトンの心に痛い。
「あ?」
その時だった。研究所の窓の向こうにボーマンがやってくるのが見えた。
アシュトンの心がひどくたかぶっている。
どんな顔をしてあえばいい?
そのくせ、逢いたい。
ボーマンがやってくるのをアシュトンは待った。
ドアを開けて入ってきたボーマンは
「おりょ?」
って、アシュトンの存在をさも珍しいって顔をして見せて
何食わぬ顔で
「なんだよ?プリシスんところにいかねえのかよ?」
と、普通のボーマンだったら言うせりふをはいた。
「うん」
アシュトンはボーマンの様子に調子を合わせるようにして
そっとボーマンを見上げた。
「悲しい顔してんじゃねえぜ」
ボーマンは声を潜めて言った。
「ん」
そんな言葉だけでも涙があふれてきそうになるアシュトンなのである。
「お前の思いは自由なんだ。
体ひとつつながったぐらいで心までかわるわけねえだろ?」
『ボーマン?』
「俺との事なんか気にするほどのことじゃねえだろ?」
アシュトンの気持ちの裏側をボーマンは言っている。
「え?しこしこ自分でやっちまったことを
いつまでも悔やんだりしねえだろ?それと同じことだよ」
「そ、そんな風にわりきれるの?」
「お前の手の代わりをしてやっただけだろうが?」
「・・・・」
「自慰行為の延長でしかねえさ」
確かに寂しいって心ごと埋められたくて慰めを求めたのに過ぎない。
「だけどな。プリシスにはわからねえだろうよ」
「え?」
アシュトンの胸の中にずきりとした不安が走った。
「プリ・・シスに・・はなしたの?」
「隠しとおせることじゃねえぜ。それに。
そんなことぐらいでお前を諦めるような気持ちになるんなら
そうしておいてもらわねえと・・・俺がやるせねえ」
話したなら話したでいい。
けど、これで本当におしまいだってアシュトンは思った。
「そう」
瞳の色が流れ落ちるかと思うほどの大粒の涙が
アシュトンの瞳から溢れ出していた。
「でるか?」
一緒に外にいこうというボーマンの誘いにアシュトンは頷いた。


街路樹が色をつけ始めている。
ボーマンはとぼとぼ歩いている。
アシュトンは黙ったボーマンのあとを突いてゆくだけだった。
「まだ・・俺の慰めが欲しいか?」
「もう、しばらくだけ・・甘えさせてよ」
「そうかよ」
ボーマンの向かっていった先はうらびれたホテル街だった。
小さなホテルの前でボーマンは足を止めた。
「はいるぜ」
アシュトンは黙って着いて行った。
狭い部屋の中に入り、据えられている椅子にボーマンは座った。
アシュトンはしばらくボーマンを見ていたけど
やがて自分から服を脱ぎ始めた。
ボーマンはそんなアシュトンに辛いものを見るまなざしを向けると
「アシュトン。もう・・それ以上自分をいじめるな」
と、言った。
「そんなんじゃない・・・よ」
「んな事ねえよ。え?第一な。お前、俺のよがる声聞いてて
幸せな気分になるかよ?」
「う・・ん」
なるわけがない。
「プリシスとはどうだったよ?」
とたんにぽろぽろとアシュトンの瞳から涙が落ちてきた。
「え?オーラルをしてくんないから愛してない?
お前。何でそうやって相手の気持ちばっかを先に見ちまうんだよ?」
「だって」
「いったろ?がきのくせして。早いんだよ。
自分の感情に溺れちまえよ。
とことんわがままをぶつけちまえよ。やっちまえよ。
無理やりだろうがどうしても欲しくてしかたねえものを
なんで諦めるんだよ」
「もう・・」
アシュトンは首を振った。
「で?尻尾巻いて俺ん所に逃げ込んで来る?
そうやって僅かばかりの慰めに尻尾を振って生きて行く気かよ?」
「え?」
いつかプリシスに言った自分の言葉を今度は自分が言われている。
「俺に抱かれたいなら。
精一杯プリシスに挑んできてからにしてくれ。
自由の女神だって傷ついた敗者を迎えてくれるけど
臆病者なんかにゃ手は差し延べねえんだ」
「ボーマン・・もう・・駄目だよ」
「あのなあ。あいつは、んとにどうしようもねえ子供だけどよ。
それでも女なんだぜ?」
「・・・」
「わかんねえかな?
お前があいつを女にしきれてねえだけじゃねえかよ」
「・・・・」
「それはな、お前があいつの前で男じゃねえからだ。
ぐずぐず泣き事をいう前に叩きのめして
暴力沙汰でもあいつを従わせる根性がねえんだよ」
「そ、そんなこと・・で、できないよ」
「女はな、そこまでして望まれてえんだよ。
自分勝手でわがままで
なのにどうしょうもないほど欲しがってくれる男に
抱かれて女になってゆくんだよ」
「お・・んなじゃない?」
「ああ。がきのままセックスだけしやがって」
「・・・・」
「女に出来るかできねえか、やってみてから・・俺ん所に来い」
放り投げられた服を受け取るとアシュトンは身につけた。
ボーマンがアシュトンの背中を押すと
アシュトンは部屋の外に向かって歩き出した。


プリシスの部屋に入り込んだアシュトンは
プリシスをいきなり押し倒していった。
「や・・やだ・・アシュトン」
きつい目つきがいつものアシュトンじゃない。
かすかな恐怖がプリシスをこわばらせていた。
「ネ?アシュトン・・おねがい・・や。やめて」
プリシスの懇願をアシュトンはきこうともせず
床に押し付けたプリシスの下着の中に手を差し入れると
やにわに引き摺り下ろした。
「ひっ・・」
プリシスの声が震えている。
だけどアシュトンはプリシスの脚を広げさせた。
「欲しいんだろ?」
アシュトンがそういうと指をプリシスの脚の真中に突き入れていった。激しく動かされてゆく指がぬめりを帯びだして来ると
くちゃくちゃと音をたてるようアシュトンはわざと動かし始めた。
「い・・いや」
その音がプリシスをいっそう羞恥の底に落とし込んで行く。
「いや・・や、め」
アシュトンの指がプリシスの敏感な部分を捕らえた。
「ああ・・・」
思わず漏れる声に激しいぺッティングの滑る音が重なってゆく。
「ああ」
「僕の物が欲しい?」
「アシュトン・・お願い」
さっきの抵抗とは違う懇願がプリシスの口から漏れてきた。
アシュトンはプリシスを抱き起こすと服を脱ぎ始めた。
そしてじっとアシュトンのものを待ち受けてしまっている
プリシスの髪をぐっとつかみあげプリシスの顔を引寄せた。
引き寄せられたその場所にアシュトンの熱い物の息吹を感じ取った。
プリシスは目を閉じた。
髪をつかまれアシュトンに引き寄せられるまま
プリシスは口の中にアシュトンを押し込まれるようにされた。
「動かせよ・・くわえてるだけじゃないんだ」
プリシスの瞳からポロリと涙が落ち頬に伝った。
それさえ見ている筈のアシュトンなのに
アシュトンは髪を掴んだ手で軽くプリシスの顔を揺すって
動かす事を要求してきていた。
口の中の物の感触に舌を這わせてゆきながら
プリシスは軽く蠢かしてみた。
「へたくそだな」
必死なプリシスにかける言葉じゃない。
首を横に振って口の中のものを逃そうとするプリシスをに気がつくと
アシュトンはプリシスをしっかり押さえ込んだ。
アシュトンがプリシスの口の中で動かし始めた。
『や、やだ。やだよ。こんなの、おもちゃじゃない。
おもちゃじゃないんだよ』
アシュトンの腰をぐっと押してプリシスは
アシュトンの執拗に反復するものから逃れた。
「そんなに・・いや?」
「や」
と、言ったプリシスのほほに鋭い痛みが走った。
「え?」
「続けろよ」
嫌だって言えば、ほほをたたかれるだけじゃすまない。
その恐怖にプリシスは従うしかなかった。
大人しく言うとおりにし始めたプリシスの腰を引き寄せ
アシュトンはプリシスが一度はアシュトンのものを望んだ、
潤んだ部分に指をあてがい、おおきく開きあげた。
薄明るい朱色の肉のひだがみえている。
その場所にアシュトンは顔を寄せ細く舌を尖らせると
ぐいと入れ込んでみた。
つるつるした液体がアシュトンの舌にからみついてくる。
その上のあたりに薄桃色の突起がある。
アシュトンは舌を滑らせてその突起を押さえ込むようにして
舌でくるくると舐め回した。
「んんん」
声を出せないプリシスに代わるように
アシュトンの舌が愛撫しているほんの少し下の肉ひだの内側から
粘っこい液体が溢れ出してきていた。
「欲しくてたまんないんだ?」
プリシスの体をはなしその口の中の物を開放してやると
アシュトンはプリシスを屈ませた。
じっと蹲るように座るプリシスの体を曲げると
アシュトンはプリシスの体の上に背後から覆い被さった。
アシュトンの重みでプリシスは身動きが取れない。
後ろからアシュトンの物が忍び寄りプリシスのその場所に
いとも簡単に滑り込んだ。
「こ・・んなの・・初めて・・・」
揚がって来る快感がいつもとちがう。
違う形のせいでいつもと違う部分が擦られ
知らない部分を目覚めさせていた。
ぐいぐいと反復を繰り返すアシュトンも
プリシスの体を支えに出来るせいか細かく
揺さぶるような動きが深度を変えた場所で長く続いていた。
『アシュトン・・アシュトン・・ああ・・きもちいいよ。
ああ・・とろけちゃいそう』
「もっとしてほしい?」
「うん・・うん」
何に頷いてるのかさえ判らないほどの
心地よさに包まれていたプリシスの体が
アシュトンから逃げるように動き始めたが
アシュトンはさらに動きを早めプリシスをしっかり押さえ付けた。
「や、だめ・・ね、へん・・いい・いや・・このままじゃ・・
あたし・・あそこになっちゃう」
プリシスの中が急に狭まってゆく。
とんでもない快感の頂点が上がり始めてきていることから
プリシスは逃げようともがいてる。
「やめて、ね、おねがい・・いい、あん、だめえええ」
「いいんだ。かまわないから・・ほら・・・」
アシュトンはプリシスを頂点に押し上げるように動き続けていた。
プリシスの中がさざめきだし肉厚が
強くアシュトンのものを押し潰すかのように蠢き出すと
プリシスはその快感に声を漏らし続けた。
「かわいいよ・・プリシス」
「ああああああ」
「僕の物でいっちゃってんだよ。プリシス」
「ああ・・・あああああ」
長い間、プリシスを飛翔させるように動き続けた
アシュトンのものの脈動が重なった。


というわけで
ひとつになった部分で
深い快感を共有した二人がとっくに元のさやに戻ってるって事は
言う必要ないよね?


                                   (ばいばい)


    エピローグ

そんなわけであれからプリシスは人が変わったように
アシュトンのものをぺろぺろ嘗めあげてる。
「もう、いいよ」
って、アシュトンが言うとプリシスはやっとほうばっていた物を放した。
「ん?」
「だって」
だって、あんなすごい快感をプリシスに与えてくれる
アシュトンのものが愛しくて仕方なくなってしまってる。
相変らず不気味な物である事にはかわりはないんだけど
プリシスのお口の中で蠢く感覚もなんだか素適なのである。
「ほんとうにもういいの?」
「うん」
「ねえ、アシュトン。何でも言って。アシュトンの好きにしてあげる」
「え?」
何で、こんなにプリシスが変わったのかはよく判らない。
でも、これがボーマンの言う女になったプリシスって事なんだろう。
「ねえ」
「うん」
「ねえ」
「ん」
アシュトンはプリシスの脚を広げていった。
下着を取り払い、剥き出しになったプリシスの物に
アシュトンはプリシスの手をもっていった。
「自分で触ってごらんよ」
「え?うん」
「ほら」
プリシスの指をプリシスのコアの宛がってやると
アシュトンは軽く手を沿えて動かした。
「あ・・あん」
「ほら・・それから・・ここ」
アシュトンを包み込んでしまう空洞の入り口に
指を押し込むように添えてやるとプリシスがぴくりと蠢いた。
「おいで」
アシュトンは寝転がるとプリシスを呼んだ。
「そのまま・・僕の上にのって・・・」
「ん」
プリシスがまたぎだしたその脚の中心に
アシュトンは自分のものを入れ込んでいった。
「あ」
「騎乗位・・馬に乗ってるみたいな恰好だろ?」
「んん」
アシュトンの胸に寄りかかるように
プリシスが体を落としかけるのをアシュトンは制した。
「プリシス。恥ずかしがらないで・・自分で動いてごらん」
「はい」
って、なんだか慎ましげな返事をすると
手で顔を覆いプリシスはゆっくり動き始めた。
「顔を見せてよ」
「いや・・恥かしい」
「うふ。いいから、ほら」
手を伸ばしてプリシスの手を払いのけて
その手をつかんで手綱さながらプリシスの動きを支えてゆく。
「かわいいよ」
アシュトンに服従するプリシスがいる。
アシュトンに飼いならされた女がいる。
『僕だけが知ってる・・女』
女への愛撫の道具を自ら突き上げ蠢かして行くと
プリシスは狂ったように喘ぎ始めた。
「ほら・・動けよ」
「アシュトン。もう・・駄目、ね、この間みたいにして」
「もうすこし。そしたら・・・してあげる」
もう一度動き始めたプリシスに
アシュトンはプリシスに
自身にいやというほど女であることを教える躍動を与え始めてた。
                        
(グッド/バイ)












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