大事な大事な宝物
企画【五枚】第三回参加作品です。五枚というキーワードで他の参加者さんの作品も探せます。
山の奥には天狗様が棲んでいます。天狗様は、とても悪戯好きです。
今日もマコトくんは、天狗様のところへ遊びにいきました。木の間でかくれんぼをしたり、どんぐりを集めて独楽を作ったり、地面に落とし穴を掘ってモグラさんを驚かせたり、たくさん遊びました。
カラスさんが、「暗くなるよ」と教えてくれました。すぐに帰らないと真っ暗になって、鬼が来ます。鬼が来ると食べられてしまうので、マコトくんは天狗様とバイバイしなければなりません。
天狗様は言いました。
「わしは明日遊べないから、海で遊んで来い」
海の底には人魚様が棲んでいます。人魚様は、とても歌が上手です。
今日はマコトくんは、人魚様のところへ遊びに行きます。天狗様の友達のカメさんが迎えに来てくれました。人魚様は色々な歌を聴かせてくれました。マコトくんは人魚様と友達になりました。
海の底にはカラスさんが来られないので、マコトくんは自分で帰る時間を考えました。鬼が来る前に帰れるように、カメさんにお願いしました。人魚様とバイバイしなければなりません。
人魚様は言いました。
「マコトくんは偉いから、私の宝物をあげます」
マコトくんは、人魚様からもらった宝物が大好きになりました。キラキラ光ってすごく綺麗で、人魚様の歌が聴こえます。汚れたり壊れたりしないように、いつもちゃんと片付けました。マコトくんだけの秘密の箱に、大事にしまっています。
ある日、お父さんが怪我をしてしまいました。マコトくんは、どうして怪我をしたのか聞きました。
「天狗様が掘った落とし穴で怪我をしたんだよ」
マコトくんは困りました。お父さんは、怪我のせいで歩けなくなってしまったのです。お母さんは泣いています。
お父さんは言いました。
「マコト、空の果てには神様がいる。神様は何でも知っているから、どうすれば怪我が治るか聞いてきてくれないか」
マコトくんは、頑張らなきゃいけないと思いました。とても良い返事をしたので、お母さんも泣き止んで笑ってくれました。
マコトくんは、空の果てへ行く前に山の奥へ行きました。お父さんを怪我させた天狗様を、懲らしめなければいけません。
天狗様は強いです。でも、一番の友達だから、いけないことはちゃんと教えてあげないといけません。
リスさんとタヌキさんとカラスさんと力を合わせて、マコトくんは天狗様を懲らしめました。天狗様は言いました。
「マコト、ごめん。お父さんにも謝ってくる。わしはもう、悪戯をやめるぞ。約束だ」
さあ、今度は空の果てへ行かなければなりません。でも、マコトくんはどうやって行けばいいのかわかりません。アリさんに聞いてみました。
「空へ行くなら飛べばいいんじゃないかい」
でも、マコトくんは飛べません。スズメさんに飛び方を聞いてみました。
「羽がなければ飛べないよ。私は力がないから、一緒に飛ぶこともできないなぁ」
羽があって力持ちのタカさんにお願いしてみました。
「一緒には飛べるけど、俺の力でも空の果てまでは行けないぞ」
マコトくんが困っていると、ウサギさんが教えてくれました。
「僕と一緒においでよ。月に帰れば、神様はすぐ近くにいるよ」
マコトくんは、ウサギさんと一緒に星に乗って、月へ行きました。そして、神様に会いました。
「鬼が持っている薬ならどんな怪我でも治るぞ」
鬼はとても強いです。天狗様も強いけれど、鬼はもっと強いです。マコトくんは天狗様と力を合わせて、鬼の薬を貰おうと思いました。
天狗様は、気持ちよく引き受けてくれました。天狗様がいれば、落とし穴で鬼を倒せるので、マコトくんは安心しました。
今日はあちこちに行ったので、もう真っ暗になってしまいました。もうすぐ鬼がやって来ますが、天狗様が一緒にいるので、怖くありません。
鬼がやって来ました。とても大きな声で「喰ってしまうぞ」と言いました。とても大きな体で木を踏み潰しました。マコトくんは、ブルブル震えて動けなくなってしまいました。
「マコト、危ない!」
鬼に食べられてしまうところで、天狗様が助けてくれました。でも、天狗様は腕を食べられてしまいました。たくさん血が出ています。とても痛そうです。マコトくんは泣きながら言いました。
「天狗様! 何で落とし穴を使わないの?」
「マコト、約束しただろう。わしはもう悪戯をやめた。友達との約束は破っちゃいかん」
「食べられちゃうよ! 約束なんかもういいから!」
「わかった。マコト、わしはあと一回だけ悪戯をするぞ。許してくれ」
天狗様は鬼に向かって行きました。マコトくんは怖くて動けません。
天狗様は、鬼に食べられてしまいました。鬼はお腹が一杯になったので、マコトくんを放って帰って行きました。
鬼がいなくなってやっと動けるようになると、薬が落ちて来ました。天狗様の声が聞こえます。
「鬼から盗んだぞ。お父さんはその薬で治る。わしはもうマコトと遊んでやれんが、今まで楽しかった。ありがとう」
天狗様の声は、もう聞こえません。マコトくんがどれだけ呼んでも、返事はありませんでした。
お父さんの怪我は治りました。天狗様のお陰です。マコトくんは、天狗様にお礼がしたくて、神様に聞きに行きました。
「宝物と引き換えになら、特別に天狗を生き返らせてやろう」
マコトくんは、一番の友達の天狗様の為に、人魚様から貰った大事な宝物を神様にあげました。
天狗様は生き返りました。今では人魚様も一緒に遊ぶので、もう宝物がなくても大丈夫です。
今日もマコトくんは、人魚様の歌を聴きながら、天狗様とかくれんぼをしています。
勉強しながら愉しむという企画ですので、どうぞ、ご指導よろしくお願いいたします。
第三回の制限事項は、【小学校一年生までを対象とした「子どもが寝る前に読んであげたいお話」をテーマとして書く】でした。共感を頂けた方は、ぜひお子さんに読んであげて下さいませ。