第8話:春風千桜編〜執事とシスターとメイドさん『中編』
ソニア・シャフルナーズ
「シチリアから転校してきた、ソニア・シャフルナーズです。よろしくお願いします♪」
ハヤテ
「シ、シスター・・・」
ヒナギク
「な、なぜ・・・あの人が白皇に・・・」
白皇学院に編入してきたソニア・シャフルナーズ。
波乱は必至だ!!
ハヤテと千桜が食堂で昼食を取っていると、そこにソニアがやって来た。
ソニア
「ハヤテ君、空いてる席良いですか?」
ハヤテ
「あ、はい。良いですよ。」
ソニア
「ありがとうございます。」
ソニアはハヤテの隣の席(右側)に座った。
千桜はハヤテの左側の席である。
千桜
「(ハ、ハヤテ君ですってぇ〜?私だってまだ名字でしか呼べてないのに〜!!この人、何者ですか!?)綾崎君、彼女とはどういう関係で?」
千桜は少しムスッとしながら、ハヤテに話しかけた。
ハヤテ
「えっと、前に教会でいろいろありまして・・・その時に知り合っただけですよ。」
千桜
「ヘ〜、そうなんですか〜・・・」
千桜はまだ不機嫌のようだ。
ソニア
「ところで、ハヤテ君・・・そろそろ『シスター』と呼ぶのは止めていただけませんか?私には『ソニア』という名前があるもので・・・」
千桜
「あ、あの、綾崎君!私も『ハヤテ君』って呼んでも良いですか?」
ハヤテ
「え、えっと・・・」
ハヤテは2人から同時に聞かれたが、すぐに答えた。
ハヤテ
「はい、どちらも良いですよ。千桜さん、ソニアさん♪」
ハヤテは天使のような笑顔を見せる。
その笑顔に、千桜とソニアは見惚れてしまった。
千桜
「(ああ、やっと名前で呼べた・・・で、でも何なんでしょう?この胸の高鳴りは・・・)」
ソニア
「(ハヤテ君の笑顔、まるで天使のようです・・・私とした事が一瞬彼にときめいてしまいました・・・私にはワタル君という想い人がいるのに・・・)」
千桜とソニアは顔が真っ赤である。
ハヤテ
「ところで、ソニアさんはなぜ白皇に?」
ハヤテはソニアに質問した。
ソニア
「え?そ、それはですね・・・ワタル君の事が理由なんです。」
ソニアはハヤテに説明した。
教会での1件の時、ワタルの笑顔に見惚れてしまった事、そしてこの前ビデオを借りに来た時彼への気持ちに気づいた事を。
ハヤテ
「それで、ワタル君の好みを知るために白皇に?」
ソニア
「あ、はい・・・ワタル君はハヤテ君に懐いているそうなので、あなたなら好みを聞いているかと思いまして・・・」
ソニアはもじもじしている。
千桜
「(なーんだ、ソニアさんはワタル君目当てでしたか・・・ハヤテ君目当てでなくてホッとしました・・・って、あれ?何で私、ホッとしてるんでしょう・・・?)」
千桜は考え込んだ。
ハヤテ
「そうですねぇ、ボクはワタル君の好みを彼自身から聞いた事はないのですが・・・お嬢様によると幼い頃からサキさんをメイドとしてはべらせているそうですし、案外ああいうタイプの人が好みなのかもしれませんよ?」
ソニア
「・・・」
ソニアの脳裏に、サキの姿が浮かぶ。
次の瞬間、ソニアの目は潤んでいた。
ソニア
「グスン・・・」
ハヤテ
「ちょ、ちょっと!何を泣いてるんですか!!」
ソニア
「だ、だって・・・」
ハヤテ
「さっきの話はたとえ話じゃないですか!」
ソニア
「でも、もし私がワタル君の好みでなかったら・・・」
2人の間に、しばらく沈黙が流れる。
その沈黙を破ったのは、千桜だった。
千桜
「だったら・・・ソニアさんもやってみれば良いんじゃないですか?」
ハヤテ
「え?」
ソニア
「やってみるって・・・何をです?」
千桜
「だから・・・メイドのバイトですよ。」
ハヤテ・ソニア
「・・・ハ?」
ハヤテとソニアは目が点になった。
ソニア
「えっと、春風千桜さんでしたっけ・・・なぜ私がメイドのバイトを?」
千桜
「それは、万が一ワタル君の好みがメイドさんだった場合、サキさんとの勝負になればソニアさんがあまりにも不利になるからです。」
ハヤテ
「まぁ確かに・・・サキさんはメイドですけど・・・ソニアさん、無理はしない方が・・・」
ソニア
「良いでしょう。私も神に仕える者の端くれ・・・これも神のお導きです。ならば・・・やりましょう!メイドのバイトを!!」
こうして、ソニアは喫茶『ミラクル』でのバイト仲間に加わる事となった。
翌日
喫茶『ミラクル』では、ハヤテ達が集まっていた。
新しくメイドのバイトをする事になった、ソニアも一緒である。
ハヤテ
「では、皆さんは一昨日教えた通りに仕事をこなしてください。よろしいですか?」
「はい!!」
メイド達は返事をし、仕事に取りかかった。
ハヤテ
「では、ソニアさんは初心者なので・・・私がいろいろ教えます。」
ソニア
「よ、よろしくお願いします・・・」
その言葉に、千桜は反応した。
千桜
「(ハヤテ君がソニアさんに個人指導・・・?何でしょう・急にモヤモヤしてきました・・・)」
千桜はそう思いながら、作業に取りかかった。
ハヤテ
「ここはこうやって、こうやるんですよ。」
ハヤテは先ほどから、ソニアにいろいろな事を教えている。
ソニア
「いろいろな事を知っているんですね、ハヤテ君。」
ハヤテ
「ええ、昔ケーキ屋さんでバイトしていたもので。」
ソニア
「そうなんですか・・・ありがとうございます、教えていただいて。」
ハヤテ
「いえいえ。」
ハヤテはニコリとした。
その笑顔にソニアはドキッとした。
ソニア
「あ・・・キャ!」
ソニアは豪快にコケてしまった。
ハヤテが助け起こす。
ハヤテ
「大丈夫ですか、ソニアさん?」
ソニア
「あ、ありがとうございます・・・」
ソニアは赤面している。
その光景を、千桜はジ〜ッと見つめていた。
千桜
「(何ですか、ソニアさんのあの行動!明らかにハヤテ君にデレデレしてるじゃないですか!ワタル君が好きなんじゃないんですか!?)」
千桜はムカムカしている。
千桜
「(ハヤテ君に個人的指導を受けるなんて、うらやましすぎです!!私だってハヤテ君に指導してもらいたいのに〜!!って、あれ?今私、モノスゴく大胆な事考えませんでしたか!?)」
考えてました。
千桜
「(な、何考えてるんですか私は!!ハヤテ君に指導を受けたいだなんて・・・な、なぜ、こんな事考えたんでしょうか・・・)」
そんな事を考えていた千桜だが、その時彼女の足下を何かが通り抜けた。
カササ・・・
千桜
「キャッ!!ゴ、ゴキ・・・」
千桜は驚いた拍子にぐらついた。
千桜
「あ・・・」
コケた、と千桜は思った。
しかし、床の感触がない。
それはなぜか?
そう、ハヤテが間一髪で千桜を助けたからである。
ハヤテ
「大丈夫ですか?千桜さん。」
千桜
「え、ええ・・・ありがとうございます・・・ハッ!!」
千桜はふと自分の状態を見る。
千桜はハヤテにお姫様だっこをされている状態になっていた。
千桜
「あ、あわわわわ!!降ろしてください、ハヤテ君!!」
ハヤテ
「あ、はい、すみません・・・」
ハヤテは即、千桜を降ろした。
その光景を見て、ソニアは赤面している。
千桜
「(ハヤテ君に助けられたのは嬉しいですけど・・・お姫様だっこされてしまうなんて・・・恥ずかしい・・・でも、満更でもない気分ですね・・・)」
千桜がそんな事を思っていると、誰かが手招きしているのが見えた。
千桜はその方へと歩いて行った。
千桜
「あ、愛歌さん・・・今日も来たんですか?」
愛歌
「ええ。今日は美希さんも来ましたよ。」
千桜
「ええ!!」
千桜は驚く。
愛歌の後ろから美希が出て来た。
美希
「こんにちは、『ハルさん』。さっきはいいものを見させてもらったわ。」
千桜
「え!?ま、まさか、見てたんですか・・・!?」
美希
「ええ、もちろん。」
愛歌
「写真も撮らせていただきましたよ♪」
千桜は絶句する。
千桜
「あの、愛歌さん、美希さん・・・会長にはそれを絶対に見せないでください。もしバレたら、私は・・・」
愛歌
「わかってますよ。」
美希
「当たり前だ。さて、我々は席に戻るとするか。」
愛歌と美希は、席へと戻って行った。
千桜
「(フゥ・・・それにしても、どうして私はあんな事言ったんでしょう・・・会長に知られたくないからでしょうか?それとも・・・ハヤテ君に、恋をしているからでしょうか・・・?)」
千桜がそんな事を考えていると、ソニアがやって来た。
ソニア
「千桜さん。」
千桜
「あら、ソニアさん。」
ソニア
「さっきの光景はスゴかったですね。」
千桜
「そ、そうですね・・・あの、ソニアさん・・・」
ソニア
「はい?」
千桜
「ソニアさんは、ハヤテ君の事どう思ってるんですか?」
ソニア
「そうですね・・・最初は意識してなかったのですが、さっきの事もあってか少しだけ気になる存在になりましたかね・・・」
千桜
「そうですか・・・」
ソニア
「あ、でも、心配しなくていいですよ。私はワタル君一筋ですし・・・千桜さんの想いを邪魔したくはありませんから。」
千桜
「なっ!?」
千桜は狼狽えた。
ソニア
「ウフフ、カワイイですね〜千桜さん♪」
千桜
「もう、からかわないでくださいよソニアさん〜・・・」
そんな会話をしていると、突然悲鳴が聞こえた。
「キャアアアアアアアア!!!」
ソニア
「な、何ですか今の悲鳴は!?」
千桜
「向こうの方から聞こえましたよ!!」
ハヤテ
「行ってみましょう!!」
ハヤテ達が厨房から出て来ると、周りに4・5人の怪しい男達が拳銃を所持して立っていた。
他のメイド達や客達は縄で縛られ、1ヶ所にまとめられて座らされている。
ハヤテ
「まさか、強盗が入って来るとは・・・」
「おい、アンタこの店の責任者か?」
リーダーらしき男がハヤテに声をかけた。
ハヤテ
「ええ、一応そうですよ。」
ハヤテは返事をした。
「なら話は簡単だ。オレ達は強盗団。この店の売り上げ金をいただきに来た。おとなしくしてもらおうか?」
ハヤテ
「断ります。私はこの店を咲夜さんから任されているんです・・・あなた方の言いなりになるワケにはいきません!ソニアさん、援護を頼みます!」
ソニア
「わかりました!」
ソニアはどこからかトンファーを取り出した。
「ナメやがって・・・やれぇ!!」
男2人がハヤテとソニアに向かって来た。
ハヤテ
「ソニアさん、そちらは任せますよ!」
ソニア
「はい!」
ハヤテ
「ハッ!!」
ハヤテは男を攻撃した。
ソニア
「やぁっ!!」
ソニアもトンファーで応戦する。
「がっ!!」
「クソ、コイツら強いぞ!!」
ハヤテ
「その通りです。皆さんを守るためなら、私達の力は何倍にもなります。」
ソニア
「あきらめた方が良いのでは?」
「クッ・・・」
男達は後退りする。
「ククク・・・それはどうかな?」
ハヤテ・ソニア
「え!?」
ハヤテとソニアが振り返ると、リーダー格の男が千桜を羽交い締めにしていた。
ハヤテ
「ち、千桜さん!!」
ソニア
「し、しまった・・・!!」
「なかなか強いお嬢さん達だが、それもここまでだ。このお嬢さんの顔にキズをつけたくなけりゃ、おとなしくしな。」
拳銃を突きつけられる千桜。
千桜
「うぅ・・・」
ハヤテ
「ク、クソ・・・」
ソニア
「しかたありません・・・」
ハヤテとソニアは、おとなしくなった。
その後、ハヤテと千桜とソニアは手足を縄で縛られ、床に座らされた。
男達は悠々と売り上げ金をバッグに詰めている。
「ククク・・・たんまりあるな・・・」
男はバッグに金を詰め終わると、ハヤテ達の所へとやって来た。
「さて、金はいただいたが、お嬢さん達にはもう少しオレ達につき合ってもらうとしよう。オマエ達!このお嬢さん達を運び出せ。」
リーダーが命令すると、1人がハヤテと千桜を、もう1人がソニアを背中に抱え上げた。
そして、もがく3人を裏口から外へと連れ出す。
しばらく歩いた男達は止めてあった車の前まで来ると、車の後部座席を開けてその中にハヤテ達3人を放り込んだ。
ドサッ!
ハヤテ・千桜・ソニア
「キャッ!!」
男達は車に乗り込むと、何事もなかったかのように車を発車させる。
ハヤテ達3人を乗せた車は、そのまま走り出したのだった。
一方、客の1人として来ていた愛歌は、縄を解こうと必死になっていた。
愛歌
「(一刻も早くこの縄を解いて、綾崎君達の危機を会長に知らせなければ・・・)」
愛歌は必死に縄目を緩めようとするが、なかなか縄目は緩まない。
愛歌
「クッ・・・この・・・」
愛歌は力を込める。
その時、背中合わせになっていた美希が立ち上がった。
美希の縄はあっという間にほどけていく。
バサッ・・・
美希
「フゥ・・・何とか解けたわ。」
愛歌
「美希さん、どうやって縄を・・・?」
美希
「私、万が一の時のために小型のナイフを持ってるのよ。奪われてなくて良かったわ。」
そう言うと、美希は愛歌の縄もほどきにかかる。
ほどなく、愛歌の縄もほどけた。
バサッ・・・
愛歌
「助かりました、美希さん・・・」
美希
「どういたしまして。さぁ、残りの人達も解放しましょう。」
愛歌
「ええ、そうですね。」
美希と愛歌は他の人達も解放すると、メイド達に警察に通報するよう頼んだ。
愛歌
「では、会長に連絡を取りましょう。綾崎君達を助け出すためにも!!」
美希
「ええ、そうね。」
愛歌はヒナギクの携帯に電話をかけ始めた。
果たして、愛歌と美希はハヤテ達3人を救い出す事ができるのだろうか?
そして、ハヤテと千桜の気持ちの行方は・・・!? |