ハヤテのごとく!短編集〜ヒロインは変わる、時のように〜つながりを持たない短編集(8/13)縦書き表示RDF


ハヤテのごとく!短編集〜ヒロインは変わる、時のように〜つながりを持たない短編集
作:ユーリ



第7話:春風千桜編〜執事とシスターとメイドさん『前編』


それは、1人の少女の声から始まった。

ナギ
「ハ?メイドカフェ?」

ナギが話しかけている相手は、愛沢咲夜である。

咲夜
「そや。愛沢グループが新しく経営する事になったメイドカフェがあってな。」

ナギ
「っていうか、この前も新しくオープンしたって言ってなかったか?」

咲夜
「細かい事は気にすんなや。」

ナギ
「で、それがどうしたんだ?」

咲夜
「ナギ、アンタ前にどんぐりでバイトしたんやろ?ハヤテから聞いてるで。」

ナギ
「ああ、少しだけだったが。」

咲夜
「それでやな、ウチの店でもバイトしてみいひんかって事なんやけど。」

ナギ
「う〜ん・・・別に良いんだが、肩がこるしなぁ・・・」

そうつぶやいたナギの頭上に、豆電球が出現した。

ピカーン!

ナギ
「そうだ!ハヤテを臨時のメイドとして雇うというのはどうだ?」

咲夜
「お、それええな!ウチもハルさんをそこに行かせるつもりやし。」

ナギ
「ハルさんって誰だ?」

咲夜
「あ、そっか。ナギは知らんのか。最近ウチのメイドになった子や。」

ナギ
「ヘェ。面白そうだな、早速計画を実行に移すぞ咲夜!」

咲夜
「おぉ!」

ナギと咲夜は、不敵な笑みを浮かべていた。

この事が、後にハヤテと千桜の関係を大きく変える事になるとも知らないで・・・





翌日

メイド喫茶『ミラクル』

メイド喫茶『ミラクル』の裏口に、1人の少女がやって来た。

少女の名前は春風千桜。

白皇学院生徒会書記で、咲夜のメイド『ハル』の正体でもある。

なぜ彼女がここに来ているかというと、この店は愛沢グループが新オープンした店で、千桜はここでバイトしてみるように言われたからなのだ。

面白いヤツに会える、と。

春風(ハルカゼ)千桜(チハル)
「ここに来れば面白い人に会えると咲夜さんは言ってましたけど・・・誰なんでしょう?面白い人って・・・」

千桜はそう思いながら、裏口から中に入った。



メイド服に着替えてからキッチンに出ると、既に数人のメイドがいた。

その中に、一際キレイなメイドがいる。

どうも、数人のメイドの教育係のようだ。

千桜
「(うわ〜、キレイなメイドだな〜。一体どんな人なんだろう?仕事の合間に、話しかけてみようっと。)」

千桜はそう思った。



仕事の合間を見て、千桜はさっきのメイドに話しかけた。

千桜
「あの〜。」

「は、はい!何ですか?」

メイドはあわてて振り返る。

千桜
「え!?」

千桜は一瞬、目が点になった。

なぜならそのメイドは、依然千桜が出会っていた人物だったのだから。

そう、その名前は・・・

千桜
「あ、あなたは・・・あや・・・」

「!!」

メイドは一瞬の内に千桜の口を塞いだ後、更衣室へと引っ張って行った。



メイドは更衣室のドアを閉めると、口から手を離した。

千桜
「プハッ!あ、綾崎君・・・ですよね・・・!?」

綾崎ハヤテ
「ええ・・・そうですよ・・・」

そう、そのメイドの正体は、咲夜の幼なじみ三千院ナギの執事である綾崎ハヤテだったのだ。

千桜
「まさか、振り返るまで綾崎君だと気づけないなんて・・・前に咲夜さんが言っていましたが、本当にセンスあるんですね・・・女装の・・・あ!!」

ここまで言って、千桜はハッとした。

ハヤテの周りの空気がよどんでいるのを。

千桜
「・・・(あ、あれ?もしかして私、地雷踏んだ?)」

そう思った千桜は、あわててハヤテに謝った。

千桜
「す、すいません!綾崎君の気持ちも考えずにヒドい事を言ってしまって!!」

千桜はひたすら頭を下げる。

ハヤテ
「いえいえ、お互い様ですよ・・・春風千桜さん。イヤ、咲夜さんのメイドのハルさん?」

千桜
「え!?」

千桜は冷や汗が流れた。

千桜
「な、なぜ私が咲夜さんのメイドだと・・・」

ハヤテ
「最初はわからなかったのですが、高尾山ハイキングの後お嬢様が言ったんですよ。『一緒に来たツリ目の人、どこかで見た気がする』って。それで考えてみたら、確かにボクもどこかで見たなぁって思いまして。まぁ、花菱さんに教えられて同一人物だとわかったんですけどね。」

千桜
「な、なぜ美希さんが・・・まさか、誰かに聞いたとか?」

あえて愛歌の名前は出さない千桜。

ハヤテ
「いえ、自分で調べたと言ってました。」

千桜
「そういえば美希さんは政治家の娘でしたね・・・」

千桜はため息をついた。

千桜
「あ、あの、綾崎君・・・」

ハヤテ
「はい、何ですか?」

千桜
「私がメイドをしている事・・・他の皆さんには内緒にしておいてもらえますか?」

ハヤテ
「え、なぜです?」

千桜
「私、普段はクールで済ましているキャラなので・・・メイドをやっていると知られたら、何を言われるかわからないんですよ・・・」

ハヤテ
「わかりました。他の人には内緒にしておきます。」

千桜
「あ、ありがとうございます!」

千桜は少し目が潤んだ。



その後営業は順調に進み、お昼休みとなった。

ほとんどのバイト員はお昼を食べに行ってしまったが、千桜はまだ残っていた。

なぜかというと、ハヤテの事を考えていたからである。

千桜
「(フム・・・綾崎君って、体つきは華奢で女の子っぽいですけど、とても優しい方ですね・・・それでいて、約束もしてもらえましたし・・・あれ?いつの間にか私、綾崎君の事ばかり考えていますね。なぜなのでしょう・・・?)」

千桜は少し考える。

千桜
「(今まで会ってきた男性と比べると、綾崎君はスタイルも良いですし・・・何より頼れるお兄さんのような感じがしますしね・・・もしかして、私・・・綾崎君に恋でもしてしまったのでしょうか?)」

千桜はそう思いながら、厨房へと向かった。

千桜
「あら、綾崎君・・・」

ハヤテは厨房で料理を作っていた。

千桜
「綾崎君、何をしているんです?」

ハヤテ
「今さっきお客さんが来たので、注文された料理を作ってるんですよ。」

千桜
「困りましたね、今私達しかいないのに・・・」

ハヤテ
「大丈夫ですよ。依然ボクだけで料理を数点やった事ありますので。千桜さんはそちらの料理をやってください。」

千桜
「あ、はい。」

千桜は作業に取りかかった。

わからないところはハヤテに少し教えてもらっている。

千桜
「いろいろ知ってますね、綾崎君。」

ハヤテ
「ええ、昔ケーキ屋さんや料亭でバイトしてた事もありますので。」

千桜
「ハァ〜、スゴいですね〜。」

ハヤテ
「ありがとうございます。」

そんなたわいない会話が流れる。

その時だった。

突然千桜の足下を、何かが駆け抜けたのだ。

千桜
「キャッ!!ネ、ネズミ!?」

ネズミを避けた千桜だったが、反動で少しぐらついた。

千桜
「あ・・・」

ハヤテ
「千桜さん!!」

ハヤテは千桜を助けようとしたのだが、あわてていたためぶつかってしまった。

そして・・・

ドシャ!!

千桜
「あ、綾崎君・・・」

ハヤテ
「ち、千桜さん・・・」

今の状況、わかりやすく言うとハヤテが千桜を押し倒してしまっている状態である。

お互いに気まずい空気が流れた。

その時・・・

パシャ!

ハヤテ・千桜
「!!」

「あらあら、これは面白い写真が撮れましたね〜。」

千桜
「そ、その声は・・・」

ハヤテ
「あ、愛歌さん!?」

そう、先ほど店に来た客とは、霞愛歌の事だったのだ。

(カスミ)愛歌(アイカ)
「偶然にも2人が同じ場所でバイトしているので、少しイタズラしてみようと思ったのですが・・・やりすぎましたかね〜。」

ハヤテ・千桜
「やりすぎです!!」

2人の声がハモった。

愛歌
「すいませんね〜。この写真は私のジャプニカ弱点帳に貼るだけで、皆さんには口外しませんので〜。」

愛歌は笑顔で言った。

どこかニヤついているのは気のせいだろうか。

愛歌
「どうやら2人しかいないようですし・・・お詫びもかねて、私もお手伝いしますよ。」

愛歌が助っ人に加わった。



ハヤテはあの後、何事もなかったかのように黙々と料理を作っている。

千桜
「綾崎君、スゴいですね・・・気にも止めずに作業を進めているなんて・・・」

愛歌
「綾崎君の方は調子良いようですが、千桜さんの方はあまり進んでいませんね〜。」

確かに愛歌の言う通り、千桜の方の作業はあまり進んでいなかった。

千桜
「あ、そ、そうですか?」

愛歌
「もしかして千桜さん、綾崎君にときめいてしまったのではありませんか?」

愛歌は千桜に耳打ちした。

千桜
「なっ!?」

千桜は狼狽えた。

その様子を見て、愛歌は笑みを浮かべる。

千桜
「さ、さぁ?どうなんでしょうね・・・」

千桜はとぼけながら、ハヤテの隣で作業を進めた。

愛歌はそれを見て、微笑みながら席へと戻った。



その後、ハヤテは厨房で料理を作り続け、千桜や他のメイドは客の相手をしたりしていた。

何事もなく、喫茶は閉店の時間を迎える。

ハヤテは早々に帰ってしまったので、千桜は1人で帰路に着いた。





春風家

千桜は自室で、ハヤテの事について考えていた。

千桜
「あの時は何となくごまかしましたけど、確かに愛歌さんの言う通り、綾崎君の事が気になってきてますね・・・具体的には、綾崎君に約束をしてもらった時からでしょうか・・・なぜなのでしょう?やはり恋なのでしょうか・・・」

千桜はいろいろと考えた。

しかし、いくら考えてもわからない。

仕方がないので、愛歌に電話をかける事にした。



愛歌
「もしもし。あ、千桜さん?」

千桜
「愛歌さん、こんばんは。実は、相談したい事がありまして・・・」

愛歌
「綾崎君の事ですか?」

千桜
「うっ!!」

愛歌
「図星だったようですね。」

千桜
「え、ええ・・・なぜなのでしょう?今日あんな事があってから、ずっと綾崎君の事が頭から離れないんです・・・」

愛歌
「千桜さん、それは・・・あなたが綾崎君に好意を持っているからですよ。」

千桜
「やはりそうなのですか・・・」

愛歌
「え?気づいてるんですか?」

千桜
「ええ・・・薄々自覚してはいるんです、意識しているなって・・・でも、おそらく綾崎君は女子に人気があると思うんですよ。」

愛歌
「確かに。編入して来た時、ほぼ全員から好感を持たれていたと聞いてますし・・・会長も気があるようですからね。」

千桜
「か、会長も?私、どうすればいいんでしょう・・・他の方ならまだしも、会長が相手では・・・」

愛歌
「千桜さん、私が言うのも何ですが・・・恋は障害が多いほど燃えるものです。千桜さんは千桜さんなりにがんばればいいのですよ。会長にも負けないように。」

千桜
「わ、わかりました・・・私、がんばってみます!」

愛歌
「がんばりなさい。」

千桜
「ありがとうございます、愛歌さん!」

千桜は電話を切った。

愛歌
「自分なりにがんばれ、か・・・私も人の事言えませんよね〜。」

そう言って、愛歌はジャプニカ弱点帳を開く。

それのあるページには、橘ワタルの写真が挟まれていた。

愛歌
「私も、がんばってみましょうかね・・・」

愛歌はそう言いながら、眠りに着いた。





翌日、白皇学院

ハヤテは今日も白皇に登校していた。

ナギは相変わらずの引きこもりだが。

ハヤテ
「ハァ、お嬢様いつになったら学校に通ってくれるのかなぁ・・・」

そんな事を言っていると、後ろから声をかけられた。

「綾埼君!」

ハヤテ
「あ、千桜さん。おはようございます。」

ハヤテは振り返り、挨拶をする。

千桜
「おはよう、綾埼君。あ、あの・・・」

ハヤテ
「何です?」

千桜
「きょ、今日のお昼、良かったら私と一緒に食べませんか?」

ハヤテ
「はい、良いですよ。」

ハヤテは即答した。

千桜
「ありがとうございます!」

千桜は嬉しそうだ。

ハヤテ
「そういえば、生徒会の皆さんはいつもみんなで食べてるんですか?」

千桜
「はい。にぎやかすぎて困るんですけどね。特に桂先生が。」

ハヤテ
「ハハハ。」

そんな会話をしていると、ヒナギクがやって来た。

ヒナギク
「ハヤテ君、ハル子、おはよう!」

ハヤテ・千桜
「おはようございます。」

ヒナギク
「2人共、至急講堂に集まって。全校集会があるらしいの。」

ハヤテ・千桜
「あ、はい。」

ハヤテと千桜は、ヒナギクについて行った。





ハヤテ達が講堂に着くと、もう生徒達が集まっていた。


「あ、ハヤ太君にちーちゃん!」

美希
「遅いわよ。」

理沙
「全くだ。」

愛歌
「まぁまぁ。」

「皆の者、静まれ!」

ヒナギク
「理事長の声だわ。」

白皇の理事長、葛葉キリカが現れた。

葛葉キリカ
「えー、今日みんなに集まってもらったのは他でもない。実は、今日から白皇に新しい編入生が入る事になった。」


「編入生なんて、ハヤ太君以来だね〜。」

ヒナギク
「『ハヤテ』でしょ?」

キリカ
「学年は3年生だ。では、その編入生を紹介する。詩音!」

詩音
「はい!」

詩音がその編入生を連れて来た。

ハヤテ・ヒナギク
「え!?」

ハヤテとヒナギクが驚くのも無理はない。

なぜなら、その編入生は・・・

「初めまして!シチリアから転校して来た、ソニア・シャフルナーズです。」

そう、かつて執事実習と称してハヤテとナギをアレキサンマルコ教会で倒そうとした、あのシスターであった。

ソニア・シャフルナーズ
「よろしく♪」

ハヤテ
「な、なぜ・・・!?」

ヒナギク
「あの人が・・・!?」

白皇に編入して来たソニア。

波乱は必至だ!?












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