第11話:瀬川泉編〜突然の居候、委員長さんのお家『中編』
悟
「わぁ、お手伝い?」
ハヤテ
「え・・・え〜と・・・お父様・・・何かイメージ変わりました?」
悟
「わかる?理髪店行って来たんだ♪」
ハヤテ
「理髪店って・・・(あんなに変わるの・・・?)」
悟
「んじゃ〜オレ、今日急な夜間勤務が入ったから・・・泉の夕食でも作ってもらえるかな?一応夕方には煉も帰って来るらしいから、2人分頼めるかな?」
ハヤテ
「はい!任せてください!!」
泉
「(全く・・・ハヤテ君ったら・・・彼女がいるっていうのにちがう女の子と・・・あんな事を・・・ああ見えて意外と、女の子にだらしないのかな・・・だったらちょうど家にいるんだし、ここはガツ〜ンと言ってやらないと・・・白皇学院委員長さんレッドの名折れ!!)」
ハヤテ
「あ、お疲れ様です泉さん。」
泉
「!む・・・!ハヤテ君・・・!!」
ハヤテ
「今、帰りですか?委員長も大変ですね。」
泉
「ハヤテ君あなた・・・」
ハヤテ
「ところで泉さんは苦手な食べ物ってあります?」
泉
「ヘ?苦手な物?そ・・・そだね・・・梅干しとか・・・酸っぱいのはちょっと・・・」
ハヤテ
「じゃあ好きな物は?」
泉
「ヘ?す・・・好きな物?・・・カ・・・カレーと・・・ハンバーグ・・・」
ハヤテ
「ハハ、何だか随分男の子みたいな好みですね〜。」
泉
「な!何!良いじゃない!カレーもハンバーグもおいしいんだよ!!大体何なの!そんなの聞いてどうする気?」
ハヤテ
「いえ、お父様に夕飯の仕度を頼まれたので、やはり泉さんの好きな物を作ろうかと・・・」
泉
「え?それってもしかして・・・」
ハヤテ
「はい。お父様は急な夜間勤務との事です。」
泉
「え・・・じゃあまさか今晩2人っきりなの?」
ハヤテ
「いえ、夕方にはお兄様が帰って来るらしいですよ。まぁ2人きりだからって、泉さんに何かする勇気のある人は少ないでしょうけど。」
泉
「な!それどういう意味!?」
ハヤテ
「だって何かしたら木刀でボコにされそうですし・・・」
泉
「ヒナちゃんと一緒にしないでよ、失礼だね!!あ!ダメだよカレーはそっちの激辛じゃないと!!」
ハヤテ
「意外と味覚があの子似なんですね。」
泉
「そんなんじゃないよ!私は大人の味を楽しみたいだけだよ!!もぉ!サッサと帰るよハヤテ君!!」
ハヤテ
「はいはい泉さん♪」
「(クッソ〜!!何だ、その仲良しハイスクールな会話はぁぁ!!)」
手近に皆様の声を代弁する突っ込みがいなかったので、スーパーの売場主任(独身・42歳 例のLの人似)に突っ込んでもらいました。
瀬川家
泉
「(全く・・・このままじゃハヤテ君のペースに飲まれっぱなしだよ。どうにか煉兄が帰って来るまでに、ガツ〜ンと言ってやらないと・・・委員長さんレッドの威厳が・・・だったら・・・!!)」
ハヤテ
「(カレーにハンバーグ・・・どちらも単純なようで奥深い料理だ・・・)しかし、三千院家の執事として・・・ここは持てる技術の粋を尽くして最高のカレーとハンバーグを作ってみせる!!」
泉
「待ちなさいハヤテ君!!」
ハヤテ
「え?泉さん!?」
泉
「ただ作ってもらうだけなんて我慢ならないから・・・私も一緒に作るよ!!」
ハヤテ
「え?でも・・・」
泉
「いいの!なら分担しよう。ハヤテ君がカレー、私がハンバーグ!」
ハヤテ
「わ、わかりました!異種格闘義戦みたいな料理対決ですが、受けて立ちましょう!!」
泉
「別に勝負とかじゃないよ・・・?」
ハヤテ
「ちがうんですか?ボクは負けず嫌いの泉さんの事だからてっきり・・・」
泉
「誰がよ!ヒナちゃんと一緒にしないで!!ホラ、ハヤテ君はそっちで野菜切って!私はこっちでハンバーグの下拵えをするから!!」
ハヤテ
「あ・・・はい・・・泉さんはセロリ食べれます?」
泉
「当然だよ!!どこまで子供扱いする気!?」
ハヤテ
「わ〜タマネギ切るの上手ですね〜泉さん。」
泉
「バカ。あ、そっちのニンジン取って。」
ハヤテ
「は〜い♪」
「(クッソ〜!!何だ、その新婚ホヤホヤみたいな会話は!!)」
手近に皆様の声を代弁する突っ込みがいなかったのでカラス(ハッシー・4歳)に突っ込んでもらいました。
ハヤテ
「さぁ!できましたよ泉さん!!ちょっと味見してみてください!!」
ドン!!
泉
「フ!こっちもできたよ!!あまりのおいしさに震えると良いよ!!」
バン!!
パクッ!
ハヤテ・泉
「・・・」
ピシッ!
ハヤテ
「う・・・うまい!!この肉の粗挽き加減・・・そして絶妙のコネ具合・・・そして肉汁をもらさず中に閉じこめている!!」
泉
「うわ、これおいしい・・・!!辛みの奥に隠された深いコク・・・これはタマネギ!?そして隠し味はビターチョコだね!!」
ハヤテ・泉
「・・・」
泉
「さ・・・さぁ・・・料理マンガみたいな解説も恥ずかしくなってきたし・・・」
ハヤテ
「食卓の準備でもしますか・・・」
「(料理マンガみたいな解説が恥ずかしいんじゃなくて・・・オマエ達の妙なラブラブっぷりが恥ずかしいんじゃあ〜!!)」
手近にもう全く皆様の声を代弁できそうな生物がいなかったので、観葉植物(サボテン・14歳)に突っ込んでもらいました。
ハヤテ
「それにしても・・・お兄様帰って来ませんね・・・」
泉
「本当だね。」
ハヤテ・泉
「・・・」
シ〜ン・・・
泉
「(でもハヤテ君って・・・本当に料理上手なんだね。手つきをみれば一目瞭然だよ・・・そしてあの料理を・・・彼女のために・・・作ってあげるのかな・・・)・・・ハヤテ君、お茶入れるね。」
その時、ハヤテもポットに手を伸ばしたため、2人の手が触れ合った。
ハヤテ・泉
「あ・・・」
しばしの沈黙。
ハヤテと泉はお互いに離れた。
バッ!!
ハヤテ
「うわぁぁ!!ス!スミマセン!!」
泉
「い・・・いえ!こちらこそ!!」
ハヤテ
「い!今のは何というか、あの・・・ふ、不可抗力というかその・・・」
泉
「い・・・いえ!こちらこそおかまいなく・・・!!」
ハヤテ
「・・・へ?」
泉
「あ・・・」
それから1時間後。
ハヤテ
「イヤ〜それにしても・・・お兄様遅いですね〜。」
泉
「本当だね〜・・・」
ハヤテ
「(イ・・・イカン・・・これでは間が保たん・・・これは何か・・・気の利いた話題を振らないと・・・)」
泉
「(あぁもぅ・・・何でこんな事になってるの・・・だいたいこれというのも煉兄が帰って来ないせいなんだから・・・!!)」
ハヤテ
「(なら、お嬢様とは鉄板で盛り上がれるこの話題で!!)あ、そういえば、泉さんはアニメとかマンガのラストで納得いかなかった事ってありますか?」
泉
「(全く・・・本当に帰って来たらただじゃおかないからね・・・!!)」
ゴゴゴゴゴ・・・
ハヤテ
「(あぁ!!何か怒っていらっしゃる・・・!!お嬢様となら一晩語り明かせるネタだったのに・・・!!)」
泉
「(でもよく考えたら、ハヤテ君彼女いるんだよね・・・だったら・・・そんな心配する必要ないのかも・・・。・・・彼女・・・か・・・)あ、そうだハヤテ君。おフロ入る?」
ハヤテ
「え?い、一緒に・・・ですか?」
泉
「んなワケないでしょ?・・・一緒に・・・入りたい?」
ハヤテ
「・・・へ?ええ!?あや・・・いああ・・・おぼへあ!!?」
泉
「日本語でしゃべってくれないかな?それじゃあ・・・あの西沢さんって子と私と美希ちゃんと理沙ちんとヒナちゃんとマリアさんの6人の内、誰と一緒に入りたい?」
ハヤテ
「・・・」
カッポ〜ン・・・
ハヤテ
「イ・・・イヤイヤ!!そ!それはその!!」
泉
「だったらウチの兄が良い?」
ハヤテ
「あ・・・さすがに男同士はちょっと・・・」
泉
「・・・フ〜。全く・・・ハヤテ君、少し軽薄すぎるんじゃないかな?」
ハヤテ
「え?」
ハヤテ
「全く・・・恋人がちゃんといるってのにそんなフラフラして・・・そんなんじゃ彼女が悲しむよ?」
ハヤテ
「・・・いませんけど・・・」
泉
「!」
ハヤテ
「あの・・・ボクに恋人なんていませんけど・・・」
泉
「・・・え?いないって・・・何が?」
ハヤテ
「いえ・・・ですからボクに恋人なんて・・・」
泉
「ハ?え!?いないってどういう事!?あの西沢さんって子とつきあってるんじゃないの!?」
ハヤテ
「ええ!?な、な、何でボクが西沢さんとつきあっているんですか!?」
泉
「ウソついたってダメだよ!!だってハヤテ君あのバレンタインの時彼女に告白されて・・・」
ハヤテ
「こ、告白はされましたけど・・・返事はしてないっていうか・・・返事は・・・言わなくて良いって言われたから・・・それでその・・・返事はできなかったっていうか・・・」
泉
「・・・(え?じゃあ何?2人は本当につき合ってなくて・・・私が1人で勘違いしてて・・・それで・・・)」
恋人のいない男を・・・
夜、家に連れ込み2人きり・・・
泉
「!!」
実は瀬川泉は、根本的な部分でマジメなのである。
少なくとも、花菱美希と朝風理沙よりは。
なので、恋人がいるなら2人きりになっても間違いは起こらないだろうと思っていた。
泉
「・・・」
ハヤテ
「あの・・・泉さん・・・?」
泉
「ハ!!はい、何でしょう!!」
ハヤテ
「イヤ・・・その・・・」
泉
「あ、そうだハヤテ君!何かアイス食べたくない?うん!食べたいよね!!何かスゴく暑いし、私、買って来てあげるよ!!」
泉はそう言い終わると同時に走り出した。
ハヤテ
「あ・・・!!(何か・・・避けられたのかな?)」
少年の誤解が始まった。
「ありがとうございました〜。」
ガーッ・・・
泉
「(ハ〜、何か調子狂うな・・・まさかつき合ってなかったなんて・・・でも何でかな?少しだけ・・・その・・・ホッとしたって感じが・・・)」
そんな事を思う泉の背後に、何者かが近づいていた。
そして、泉の肩に手を置く。
ポン!
「だ〜れだ?」
その瞬間・・・
泉
「イヤァァァァァッ!!」
泉は何と、一本背負いでその影を投げ飛ばした。
ブンッ!!
ドゥッ!!
「ギャフ!!」
泉
「ふざけた事しないでくれる?煉兄・・・」
泉は自分が投げ飛ばした人物をにらみつけた。
瀬川煉『泉の兄』
「イテテテテ・・・悪い悪い、泉!久々だったから、ちょっとさぁ・・・」
煉は頭をさすりながら立ち上がった。
泉
「やって良い事と悪い事があるって学校で習わなかった?」
泉は煉をにらみつけた。
煉
「ヒィ!!スイマセンスイマセン・・・」
煉は泉に平謝りする。
兄の威厳はどこへやら。
煉
「それより泉さぁ、今家に綾崎ハヤ次郎って男の子が来てるんだって?」
泉
「『綾崎ハヤ太』だよ、煉兄。」
それもちがうって。
泉
「じゃなくて、ハヤテ君だよ・・・で?帰って来ていきなり何の話なの?」
泉は煉に聞いた。
煉
「あぁ、お父さんに聞いたんだけど、その人泉の友達なんだって?」
泉
「うん、まぁそんなトコだよ。」
煉
「そっかそっか、泉にもようやく春が・・・」
泉
「何言ってるのかな?煉兄は。」
煉
「まぁ話は家に帰ってからしようや。オマエ、アイス買いに来てたんだろ?」
泉
「あ、そうだった。早く帰らないと溶けちゃう!」
そう言うと、泉は走り出した。
煉
「待って、お兄ちゃんを置いてきぼりにするなぁ〜!」
煉も急いでついて行った。
瀬川家にて
ハヤテ
「じゃあ、この人がお兄様ですか。」
泉
「そだよ。」
煉
「泉の兄の瀬川煉だ。よろしくな、綾崎ハヤ三君。」
ハヤテはコケた。
ズテッ!
泉
「『ハヤテ』だって言ってるでしょこのバカ兄が〜!!」
泉は煉をはたいた。
バシィ!!
煉
「イデ〜!!」
ハヤテ
「楽しそうだな〜。」
泉
「これが楽しそうに見えるの?ハヤテ君は。」
ハヤテ
「はう!!スイマセンスイマセン・・・」
泉
「イヤ、別に謝らなくても良いんだよ・・・?で、煉兄何の用で帰って来たの?」
煉
「あ、そうだった。お父さんから泉の男友達が来てると聞いてね、どんな子か確かめに来たんだよ。泉の彼氏としてふさわしいかどうかを見極めるためにね!!」
泉
「イヤイヤ、私達まだそんな関係じゃないんだけど・・・」
煉
「皆まで言うな、わかってる!悩めるカップルであるお2人の恋路を、この恋愛テクニシャンである兄がお助けしようじゃないか!!」
泉
「彼女いない歴18年の煉兄にできるワケ?」
グサァ!!
煉
「うっ!!それは言わないお約束だよぉ・・・まぁとにかく・・・泉との仲を深めるためにも、明日2人でデートしなさい!お兄ちゃんがしっかりフォローして・・・」
泉
「煉兄のフォローはいらないよ。自分でできるし。」
グッサァ!!
煉
「うぅ〜、ヒドいよ泉ぃ・・・」
泉
「ヒドくない!!というワケで、明日よろしくね、ハヤテ君♪」
ハヤテ
「あ、はい・・・(泉さんって、意外と兄に厳しい人だったんだぁ・・・)」
そんなワケで、泉とデートする事になったハヤテ。
ハヤテと泉の明日はどっちだ!?
翌日 白皇学院
ハヤテ
「では泉さん、行きましょうか。」
泉
「そだね、ハヤテ君。」
ハヤテと泉は、一緒に白皇を出た。
その2人の様子を、美希と理沙が見ていた。
理沙
「妙だ・・・」
美希
「妙ね、理沙。」
理沙
「あの泉がハヤ太君を正しい名前で呼んでいる・・・しかも、何やら楽しそうだ・・・」
美希
「もしかして、2人はデートするんじゃないかしら・・・」
「何、デートだと!?」
理沙・美希
「うわ!?」
驚いた理沙と美希が振り向くと、そこにはナギとヒナギクがいた。
理沙
「あ・・・ナギ君。」
美希
「あ・・・ヒナ。」
ナギ
「ハヤテのヤツ・・・いつの間にあんなに瀬川と親しく・・・」
ヒナギク
「(ハヤテ君・・・少しずつ私との距離を縮められていると思ってたのに・・・)」
ナギ
「こうしちゃおれん!2人を追うぞ!!」
ナギが走り出し、それに美希達も続く。
ナギ達が外に出ると、ちょうどハヤテと泉がタクシーに乗り込んでいる所だった。
タクシーはそのまま発進する。
ナギ達はすぐに近くに来たタクシーを飛び止め、乗り込んだ。
ナギ
「前の車を追ってくれ!!」
こうして、ナギ達4人によるハヤテと泉尾行作戦が始まった。 |