第9話:春風千桜編〜執事とシスターとメイドさん『後編』
ハヤテ達が連れ去られしばらくたった頃・・・
三千院家では、ナギ達の間に緊張が流れていた。
ナギ
「な、何!?ハヤテがさらわれただと!?」
咲夜
「ハルさんもやて!?」
ヒナギク
「さらにシスターもだなんて・・・」
愛歌
「ええ・・・すいません、あの時私達が捕まったりしなければ・・・」
マリア
「愛歌さん達のせいじゃありませんわ。」
伊澄
「悪いのは、強盗の皆さんなのですから・・・」
愛歌
「ありがとうございます。」
美希
「そう言ってもらえて、少しは気が楽になったわ。」
ナギ
「さぁ、ではそろそろ行こうか?」
咲夜
「ハヤテ達を助けにな。」
マリア
「そうですね。」
ヒナギク
「え、マリアさんも行くんですか?」
マリア
「もちろんです。元々ハヤテ君にあそこでバイトするようにしたのは私達ですから。」
伊澄
「それでは、参りましょう・・・ハヤテ様達の救助に・・・」
ナギ達はうなずき合うと、三千院家を出発した。
その頃ハヤテ達はというと、廃墟となったホテルの一室に監禁されていた。
3人は別々に縛られ、床に座らされている。
千桜
「ハヤテ君、私達これからどうなるんでしょうか・・・」
千桜が不安そうにハヤテに話しかけた。
ハヤテ
「さぁ、まだわかりませんが・・・『もうしばらくつき合ってもらう』と言ってましたから、おそらく定番のあれなんでしょうね。」
ソニア
「あれって・・・よく刑事ドラマで出てくる『身代金目的の誘拐』ですか・・・?」
ソニアも不安そうだ。
ハヤテ
「おおむねそんなところでしょう。」
千桜・ソニア
「そ、そうですか・・・」
千桜とソニアはため息をつく。
その時、扉が開いた。
ハヤテ・千桜・ソニア
「!」
ハヤテ達はドアの方を見る。
強盗団達が中に入って来た。
「よぉ、お嬢さん方。ちゃんとおとなしくしてたか?」
リーダーが話しかける。
ハヤテ達は黙ってうなずいた。
「さてと、そろそろ家の電話番号を教えてもらおうか。」
男の1人が3人に話しかける。
だが千桜とソニアは拒否した。
千桜
「イヤです。」
ソニア
「どうして見ず知らずの人に教えなくちゃいけないんですか。」
千桜とソニアは男達をにらみつける。
「サッサと言えよ。でないと痛い目に遭わせるぞ。」
男はナイフを取り出した。
千桜
「ヒッ!!」
千桜は怯えてしまったが、ソニアは目つきを変えない。
ソニア
「そんなもので脅したところで、言う事聞くと思ってるんですか?」
「生意気なお嬢さんだ、じゃあ望み通り痛い目に・・・」
男がナイフを振り上げようとした時、ハヤテが声を上げた。
ハヤテ
「待ってください、私が教えます。」
ハヤテの言葉に、千桜とソニアは驚いた。
千桜
「ちょっ、ちょっとハヤ・・・ハーマイオニーさん!?」
ソニア
「ダメですよ、教えては!!」
2人は叫ぶ。
「うるさいヤツらだな。」
男2人は千桜とソニアに近づくと、ガムテープを取り出し2人の口に貼った。
千桜・ソニア
「ん〜、ん〜!!」
「じゃあ今から教えてもらおうか。おい、誰かこのお嬢さんを別室へ連れて行け。」
別の男がハヤテの足の縄を解き、ハヤテを立ち上がらせる。
ハヤテは男に連れられ、別室へと移動した。
「後の3人は、そのお嬢さん達をしっかり見張ってろよ。」
リーダーはそう言うと、部屋を後にした。
その頃ナギ達は、伊澄の家に来ていた。
鷺之宮邸
ナギ
「なぁ伊澄、何ですぐにハヤテ達を探しに行かないんだ?」
咲夜
「そや、早う探さなアカンやろ?」
ナギと咲夜が言った。
美希
「そうもいかないのよ、ナギちゃん。私が調べたところ、どうやら今回ハヤ太君達がバイトしてた喫茶店に押し入った強盗団は最近、巷で話題になっている凶悪な犯罪兄弟だったのよ。」
美希が静かに言った。
ナギ
「な、何!?犯罪兄弟だって!?」
ナギは驚いた。
愛歌
「聞いた事があります。昔親を亡くした男達が出会い、まるで実の兄弟のように仲良くなったという5人組を。それが彼らなのですね?」
伊澄
「ええ、でもそれだけじゃないの。彼らはとても残忍で、女子供にも容赦しない集団なのよ。」
美希
「じゃあ、伊澄ちゃんがこの家に寄った理由は・・・」
伊澄
「ええ。彼らの相手に素手では危険ですから、我が鷺之宮家に伝わるもう2本の刀を取りに来たのです。その内の1本の刀の名は、かの有名な刀鍛冶村正が鍛え上げた最強の1本・・・木刀・村正です。」
ナギ
「それは突っ込んだら負けなのか?」
ヒナギク
「これ言うの2度目だけど、名匠も悩んでたのかしらね・・・」
伊澄
「正宗は生徒会長に預けてありますが・・・村正は誰に貸しましょうか・・・」
咲夜
「そやったら、ウチに貸して!」
伊澄
「わかったわ。咲夜に貸します。そして私が使う刀は・・・魔剣・物干竿『改』!!当然これも木刀です!!」
マリア
「伊澄さんは物干竿ですか・・・なら私は・・・」
美希
「マリアさんは斬鉄剣とか言うんじゃないでしょうね・・・」
愛歌
「それはさすがにマズいのでは・・・」
マリア
「問題ありません。箒に仕込んでる刀ですし、これは『私用』ですから。」
マリアは笑顔で言った。
伊澄
「それでは、そろそろ向かいましょう。ハヤテ様達を助けるために・・・」
ナギ達は鷺之宮邸を出ると、聞き込みを開始した。
ナギ達が聞き込みを開始してから1時間後・・・
ようやく、ハヤテ達がいる場所を突き止めた。
ちなみに捜索に加わったのは、何と幽霊神父だった。
実はリィン、出かけている途中に偶然目撃していたのだという。
リィンの協力もあり、ナギ達は犯人達の隠れ家に乗り込もうとしていた。
ナギ達が向かっていた頃、ハヤテ達は1室にいた。
「さてと、もうすぐ身代金も手に入るワケだが・・・アンタ達はどうしようかね?」
男の1人が、ハヤテ達を見た。
「金さえ手に入れば、アンタ達は用済みだ。」
「かわいそうだが、始末するとするかな。」
男達は不敵に笑う。
その時、ハヤテ達が声を出した。
ハヤテ
「あの、皆さん・・・何をせずに私達を解放していただけませんか?」
千桜
「こんな事をしても、いずれ警察がやって来ればあなた達捕まりますよ。」
ソニア
「今ならまだ間に合います。お願いだから私達を解放してください!」
千桜とソニアも口々に叫ぶ。
しかし、男達は聞き入れなかった。
「うるせぇお嬢さん達だな。」
「早いトコ始末しようぜ。」
男達は、ハヤテ達に拳銃を向けた。
3人は、目をつぶった。
その時だった。
声が聞こえてきたのは。
「八葉六式・撃破滅却。」
ドゴォォォォォ!!
壁が吹っ飛んだ。
「な、何だぁ!?」
男達が驚いていると、伊澄が中に入って来た。
「和服のガキ?」
伊澄
「皆さん、いました!ハヤテ様達です!」
伊澄の声と同時に、マリア達も中に入って来た。
ナギ
「ハヤテ、無事か!」
咲夜
「ハルさん!」
ヒナギク
「シスター!」
「コイツら、サツの回し者か!?」
「かまうこたねぇ!やっちまえ!!」
「オオ!!」
リーダーの命令で、男達がマリア達に襲いかかる。
しかし、相手が悪かった。
マリアと咲夜とヒナギクは、たった数秒で男達を峰打ちにした。
「な、何!?」
リーダーが驚いていると、物干竿を持った伊澄がスーッとやって来た。
伊澄
「おとなしく投降してください。」
伊澄は静かに言った。
「ナ、ナメるなぁ!!」
リーダー格の男は伊澄に襲いかかったが、拳銃を撃つよりも速く伊澄の剣が拳銃を斬り裂いた。
ザン!!
「!!」
男は床に尻餅をついた。
伊澄は笑顔で言った。
伊澄
「おとなしく投降してください。」
「は、はい・・・」
男はおとなしくなった。
その後、ナギ達が呼んだ警察が駆けつけ、男達は連行された。
ハヤテ達は簡単な事情聴取を済ませた後、三千院家へと帰って行った。
その夜、ハヤテは千桜の部屋(ナギが貸した部屋)に来ていた。
千桜から、話があるから部屋に来てくださいと言われたからである。
ハヤテ
「で、話というのは何ですか?」
千桜
「あ、はい。ハヤテ君にどうしても言いたい事があったんです。」
ハヤテ
「何です?千桜さん。」
千桜
「私、最初に出会った時はハヤテ君の事をあまり意識していませんでした。ですが、今回一緒にバイトをしたりしてハヤテ君と過ごす内に気がついたんです。私は、ハヤテ君の事が好きになっていたって・・・」
ハヤテ
「・・・」
千桜
「でも、ハヤテ君の周りには私よりも魅力的な人がいます。もしかしたら、私は選ばれないかもしれない・・・それでもいいんです。私がハヤテ君に好意を持っていた事があなたにわかってもらえれば・・・なので、今あなたに告白します。私、春風千桜は・・・綾崎ハヤテ君、あなたの事が好きです。」
千桜は静かに言い、目を閉じた。
ハヤテ
「目を開けてください、千桜さん。」
ハヤテの言葉に、千桜は目を開ける。
ハヤテ
「実はボクも、最初は千桜さんの事意識していませんでした。ですが、今回あなたと一緒に過ごしている内にボクの気持ちが変わってきた事に気づいたんです。いつの間にか、あなたの事が好きになっていたんだと・・・ボクもあなたが好きですよ、千桜さん。」
その言葉に、千桜は目を潤ませ始めた。
千桜
「ハヤテ・・・君・・・本当に、私なんかで良いんですか・・・?」
ハヤテ
「千桜さんだから良いんですよ。ボクと結婚してください、千桜さん。」
千桜
「はい、喜んで・・・これからもよろしくお願いします、ハヤテ君・・・」
ハヤテ
「こちらこそよろしくお願いします、千桜さん。」
ハヤテと千桜は、抱き合った。
あの事件から2年後、ハヤテと千桜はめでたく結婚した。
式場にはナギを初めとする面々が詰めかけ、2人を祝福してくれた。
中でも一番2人を祝福してくれたのは、ワタルとソニアだった。
ソニアはあの後ハヤテと千桜に励まされ、勇気を出してワタルに告白したのだ。
その後はめでたく彼と恋人同士になり、3年後に結婚を控えている。
ナギは最初困惑していたが、あの時の告白が誤解だとわかってからはハヤテと千桜のつき合いを認めてくれた。
ちなみにナギは今一樹とつき合っている。
他の面々に関しては、長くなるので飛ばす事にしよう。
ハヤテと千桜は、これからも幸せになっていく事だろう。
お互いが大切な存在でいる限り、いつまでも・・・
綾崎ハヤテと春風千桜。
2人の幸せは、これからだ。
春風千桜編・完
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