悪魔との契約
私は暇を持て余していた。
そんな私に悪魔が契約しないかと誘ってきたので、その誘いに乗った。
「で、私は契約して何をすればいいのだ?」
「いいえ、何も。ただ願うだけでさ。誰かを殺したいと願えば、あっしが代わりに殺してきやす。大金持ちになりたいと願えば、あっしが何処からかせしめてきやしょう。ただ願い事は三つまで。三つ願いごとを叶えると・・・」
グシシシと悪魔は品のない笑い方をした。
「では、早速願い事をしよう」
「へい。なんでやしょう?」
「三つの願いを一つにしてくれ」
「へ?・・・今何と?」
「三つを一つにしろと言っている」
「願い事を減らすなんて、そんな損な事・・・」
「出来ないのか?」
「出来ないかと問われれば、出来やすが。その、三つ願いごとを叶えないと魂を奪えないっていう規律が・・・」
「そうか。三つ願いごとをかなえると魂を奪われるのか」
私は確認するために言った言葉だったのだが、悪魔にすればとがめられたように思えたらしい。
顔が青ざめる。
元々青かったが。
「さあ、さっさと願いを叶えてくれ」
悪魔はぐぬぬと唸って、頼りない音と煙を残して、消えてしまった。
静かになる。
そして、私はまた暇になった。