もしも…だったら→徒然草 (3/6)縦書き表示RDF


初めての人物視点モノです。よろしくどうぞ。
もしも…だったら→徒然草
作:鳩



コックリさん



《もし『コックリさん』の正体がただのキツネだったら、それはどうなるだろうか》



 私が小学生の頃、借りた図書のページにコックリさんの紙が挟まっていた。私は友人の元に行き

「なぁ!『化け猫レストラン』に『コックリさんバトルフィールド』が挟まってたぞ!お前やってくれよ!」

 と懇願した。その友人は恐れもせず、鳥居に十円玉を置いた。
 するとどうだ、友人が

「お、おぉ…」

と意味もなく呻き、十円玉が動いているではないか。正直私は驚いていたが、あの手順の間違いに気が付いた。

「コックリさんお入りくださいって言ってねえじゃん」

「バレた!」

 彼はあくまでふざけながら白状した。驚いたフリでバレる演技とは、愚かしいものである。

 さて、この『コックリさん』について私が考えたのは、コックリさんを始めると野生のキツネが幽体離脱してやってくる、というものだ。
 どれほど馬鹿らしいかは承知している。私は元々馬鹿なのだ。もし良かったら皮肉を込めた感想を聞かせてくれると幸いである。


◎実践


1、コックリさんお入りになる

 よっ、俺キツネってんだ。え?そんままじゃねえかだって?何言ってっかわかんねえよ、お前誰?
 秋田っていう寒い所に俺は住んでるんだが、人里離れた山奥だよ、俺の家があんのは。ま、家っつうか穴なんだけど…でもこれダイワハウスなんだぜ?………ごめん。
 はぁ、今日は収穫ゼロだったから腹が減ったぜマジ。しかも寒いしよ…ん?なんだこの感覚…どっかに連れて行かれるような…あぁっ!これ『コックリさん』かよ!?はあぁダリぃなぁまたどっかの馬鹿の願いに答えなきゃいけねぇ…これがキツネ科キツネ属の宿命よ…


 ん…ここは?学校の教室みたいだな。しかも放課後で…生徒が三人いる。一人はなんかオタクっぽい奴…もう一人は普通の男…であと女、ブスでしかも筋肉隆々…コイツはヤバいよ。

「おい、コックリさん入ったかな?」

「わかんねえ。入ったんじゃね?」

 あんだコイツ等…入ってるからさっさと言えよ。


2、コックリさん質問に答える


「えっと、田中君は私の事好きなんですか?」

 あぁ?んなこたぁ俺が知る訳ねえだろうがよブスが。ったくこういうふざけた質問ばっかてでこっちは疲れるんだよ。ま、適当に動かすか。

「きゃ、動いた!」
「おお本当だ…」

「マジかよ…」

 ガタガタ抜かすな凡人が。

「やったあ!YESだって!嬉しい〜」

 気持ち悪りぃブスだなホントによぉ…どうせテメエの事可愛いとか思ってんだろ?鏡見ろよ…

「じゃ次俺ね。俺は犬と仲良くなれますか?」

 は?おいオタクなんだそりゃ、お前馬鹿だろ?んなもん動物園に電話して聞いてみろよ!俺に聞く質問じゃねえ!くだらん!

「あっ…NOか、そりゃそうだよな…」

「まあ気を落とすなって、ちゃんと世話してれば懐いてくれるよ」

 ん?なんだこいつ良い奴だな…ほら、最後はお前だ。

「俺か。えと、貧困に苦しむ子供達はいなくならないんですか?」

 …ほう。お前なかなかアレだな。こういう奴がいてこそ答え甲斐があるってもんだ。うん。貧困か…まあ残念だが、こんな世の中じゃ無理だ。すまねえな。

「いなくならない、か」

 まぁ確かにそうさ。でもな、貧困や戦争がなくならなくても、それをなくそうとする奴までいなくなっちゃいけねえよな。あ?臭えって?うっせえよ、お前誰?


3、コックリさんお帰りになる…その前に


 普通の奴はさっさと体に帰るんだけどな、だが俺はちょっと見て行くぜ。

 まずはブス女だ。お、電話かけてる…田中って奴にか?

「あっ田中君?今どこにいるの?あ、図書館?わかった、行くね!」

 うぅわうっざぁ〜ときめいてんじゃねぇよ、こりゃ告白する気満々だな…てか放課後に図書館って一体どんな奴だ?

「田中君!?」

 デケェ声出して入るんじゃねえよ!このブス!あっ、あいつが田中か!今ビクッてなったしブゥーッ!なんだ、ただの根暗君じゃねえか!正直に図書館いるとか言うなよ!

「ねえ田中君」

「な…何?」

 お…言うのか?無駄だ無駄!フラれんぞ?

「私の事好きなんでしょ?」

「…え?」

 …え?そこなの?普通に好きって言わないの?

「い、いや、違うよ」

「はあ?何言ってんの?好きなんでしょ?」

 強調しやがった…なるほど、馬鹿なんだ。そうか、未知なる力によって動いた十円玉だもんな…そりゃ信用するだろ。しかしな…こいつは…なんつうか…偉大なる神の啓示に突き動かされた崇拝者って感じだな。危ねぇ。

「ちちちち、違うって」

「田中君、正直になりなよ?私はいつも感じてるよ?君の視線」

 うぅぅなんかコイツ、嫌じゃね?てか田中、こんなブス見てないだろ?

「いや、み、見てないし」

 ほらな。自惚れんなよクソヤロウ!

「チッ、テメェ」

 ん?なんだ?態度が…

「ひっ」

「…私は、好きだよ?田中君の事」

 いや、ブスが言っても絵になんねえし。

「いや…だからその」

「田中君も私のこと好きなんだから、付き合うべきよ!」

 なんかムカついてきた…

「だだから、違うんだって…僕は喜美枝さんの事好きじゃないんだ」

 おっ!よく言ったぞ田

「ゴルアアッ!!」

「ひぃっ!!」

 おあ!キレやがった!

「いい加減にしろよ!?素直になって付き合えや!!テメェは私が好き!私はテメェが好き!!それでいいだろ!?テメェの物は私の物!!!私の物はテメェの物ぉ!!!!」

 はわわ…田中が飲み込まれていく…てか台詞がジャイアンっぽいけどなんか違うし…

「ギィヤアア!!!」

 た、田中が…逝った…

「フゥ…フゥ………ウフ…アァ…」

 お前はサイレント・ヒルのクリーチャーになれるぞ。


 さて、次はオタクか。ん?奴の家から凄まじい犬の鳴き声がするぜ。ちょっと訳してみるか。

『おいっコラッ!なんの真似だクソガキ!!慣れ慣れしいんだよ!!さわんじゃねえ!さわっぐっドルゥアアアアア!!!!!』

 なんの騒ぎだ?オタクが言ってた犬ってのは彼の事か?

『ガルッ!!ハアッ!!止めねぇでくれ姐さん!俺はこいつを地獄に送るんだ!覚悟しやがれ!!シャアアラアア!!!』

 うわっ犬がオタクに大暴れだ!なんだアイツ?もはや犬じゃねえ…殺意を持ってる…オタクは…逝った…

「こらムク!落ち着きなさい!」

『はぁはぁ…す、すまねえ…』

 どうやら嵐は過ぎ去ったようだ。ちょっと話してみるか。

『おい、あんた』

『んあ?…あぁ、勤務中のキツネか。どうした?』

『いや、さっき暴れまくってたからよ』

『あぁ、あのクソガキか。なんかよ、珍しく晩飯くれたと思ったらペタペタ触ってくんだよ。うぜぇったらありゃしねえぜ』

『なるほど』

『だからよ、俺もうブチギレだから?腕に噛みついただけじゃおさまんねえのよ。だから今晩、マジで殺るぜ?』

『ほ、ほう…頑張れば?』

『あぁ。おっと、主のお帰りだ。迎えに行かなきゃと』

 あいつも大変だな…


 さて、腹も減ったし帰るか。まあ餌はないんだが。



◎考察


 いくらキツネでも、無理があると思う。

……………どうでもいい。


感想など、お待ちです。補足ですが、文中の「逝った」とは、ただの誇大表現にすぎませんのであしからず。あとオタクと犬ですが、もちろん第一章に出た一人と一匹です。機会があれば、またチラホラ登場させますね。











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