コックリさん
《もし『コックリさん』の正体がただのキツネだったら、それはどうなるだろうか》
私が小学生の頃、借りた図書のページにコックリさんの紙が挟まっていた。私は友人の元に行き
「なぁ!『化け猫レストラン』に『コックリさんバトルフィールド』が挟まってたぞ!お前やってくれよ!」
と懇願した。その友人は恐れもせず、鳥居に十円玉を置いた。
するとどうだ、友人が
「お、おぉ…」
と意味もなく呻き、十円玉が動いているではないか。正直私は驚いていたが、あの手順の間違いに気が付いた。
「コックリさんお入りくださいって言ってねえじゃん」
「バレた!」
彼はあくまでふざけながら白状した。驚いたフリでバレる演技とは、愚かしいものである。
さて、この『コックリさん』について私が考えたのは、コックリさんを始めると野生のキツネが幽体離脱してやってくる、というものだ。
どれほど馬鹿らしいかは承知している。私は元々馬鹿なのだ。もし良かったら皮肉を込めた感想を聞かせてくれると幸いである。
◎実践
1、コックリさんお入りになる
よっ、俺キツネってんだ。え?そんままじゃねえかだって?何言ってっかわかんねえよ、お前誰?
秋田っていう寒い所に俺は住んでるんだが、人里離れた山奥だよ、俺の家があんのは。ま、家っつうか穴なんだけど…でもこれダイワハウスなんだぜ?………ごめん。
はぁ、今日は収穫ゼロだったから腹が減ったぜマジ。しかも寒いしよ…ん?なんだこの感覚…どっかに連れて行かれるような…あぁっ!これ『コックリさん』かよ!?はあぁダリぃなぁまたどっかの馬鹿の願いに答えなきゃいけねぇ…これがキツネ科キツネ属の宿命よ…
ん…ここは?学校の教室みたいだな。しかも放課後で…生徒が三人いる。一人はなんかオタクっぽい奴…もう一人は普通の男…であと女、ブスでしかも筋肉隆々…コイツはヤバいよ。
「おい、コックリさん入ったかな?」
「わかんねえ。入ったんじゃね?」
あんだコイツ等…入ってるからさっさと言えよ。
2、コックリさん質問に答える
「えっと、田中君は私の事好きなんですか?」
あぁ?んなこたぁ俺が知る訳ねえだろうがよブスが。ったくこういうふざけた質問ばっかてでこっちは疲れるんだよ。ま、適当に動かすか。
「きゃ、動いた!」
「おお本当だ…」
「マジかよ…」
ガタガタ抜かすな凡人が。
「やったあ!YESだって!嬉しい〜」
気持ち悪りぃブスだなホントによぉ…どうせテメエの事可愛いとか思ってんだろ?鏡見ろよ…
「じゃ次俺ね。俺は犬と仲良くなれますか?」
は?おいオタクなんだそりゃ、お前馬鹿だろ?んなもん動物園に電話して聞いてみろよ!俺に聞く質問じゃねえ!くだらん!
「あっ…NOか、そりゃそうだよな…」
「まあ気を落とすなって、ちゃんと世話してれば懐いてくれるよ」
ん?なんだこいつ良い奴だな…ほら、最後はお前だ。
「俺か。えと、貧困に苦しむ子供達はいなくならないんですか?」
…ほう。お前なかなかアレだな。こういう奴がいてこそ答え甲斐があるってもんだ。うん。貧困か…まあ残念だが、こんな世の中じゃ無理だ。すまねえな。
「いなくならない、か」
まぁ確かにそうさ。でもな、貧困や戦争がなくならなくても、それをなくそうとする奴までいなくなっちゃいけねえよな。あ?臭えって?うっせえよ、お前誰?
3、コックリさんお帰りになる…その前に
普通の奴はさっさと体に帰るんだけどな、だが俺はちょっと見て行くぜ。
まずはブス女だ。お、電話かけてる…田中って奴にか?
「あっ田中君?今どこにいるの?あ、図書館?わかった、行くね!」
うぅわうっざぁ〜ときめいてんじゃねぇよ、こりゃ告白する気満々だな…てか放課後に図書館って一体どんな奴だ?
「田中君!?」
デケェ声出して入るんじゃねえよ!このブス!あっ、あいつが田中か!今ビクッてなったしブゥーッ!なんだ、ただの根暗君じゃねえか!正直に図書館いるとか言うなよ!
「ねえ田中君」
「な…何?」
お…言うのか?無駄だ無駄!フラれんぞ?
「私の事好きなんでしょ?」
「…え?」
…え?そこなの?普通に好きって言わないの?
「い、いや、違うよ」
「はあ?何言ってんの?好きなんでしょ?」
強調しやがった…なるほど、馬鹿なんだ。そうか、未知なる力によって動いた十円玉だもんな…そりゃ信用するだろ。しかしな…こいつは…なんつうか…偉大なる神の啓示に突き動かされた崇拝者って感じだな。危ねぇ。
「ちちちち、違うって」
「田中君、正直になりなよ?私はいつも感じてるよ?君の視線」
うぅぅなんかコイツ、嫌じゃね?てか田中、こんなブス見てないだろ?
「いや、み、見てないし」
ほらな。自惚れんなよクソヤロウ!
「チッ、テメェ」
ん?なんだ?態度が…
「ひっ」
「…私は、好きだよ?田中君の事」
いや、ブスが言っても絵になんねえし。
「いや…だからその」
「田中君も私のこと好きなんだから、付き合うべきよ!」
なんかムカついてきた…
「だだから、違うんだって…僕は喜美枝さんの事好きじゃないんだ」
おっ!よく言ったぞ田
「ゴルアアッ!!」
「ひぃっ!!」
おあ!キレやがった!
「いい加減にしろよ!?素直になって付き合えや!!テメェは私が好き!私はテメェが好き!!それでいいだろ!?テメェの物は私の物!!!私の物はテメェの物ぉ!!!!」
はわわ…田中が飲み込まれていく…てか台詞がジャイアンっぽいけどなんか違うし…
「ギィヤアア!!!」
た、田中が…逝った…
「フゥ…フゥ………ウフ…アァ…」
お前はサイレント・ヒルのクリーチャーになれるぞ。
さて、次はオタクか。ん?奴の家から凄まじい犬の鳴き声がするぜ。ちょっと訳してみるか。
『おいっコラッ!なんの真似だクソガキ!!慣れ慣れしいんだよ!!さわんじゃねえ!さわっぐっドルゥアアアアア!!!!!』
なんの騒ぎだ?オタクが言ってた犬ってのは彼の事か?
『ガルッ!!ハアッ!!止めねぇでくれ姐さん!俺はこいつを地獄に送るんだ!覚悟しやがれ!!シャアアラアア!!!』
うわっ犬がオタクに大暴れだ!なんだアイツ?もはや犬じゃねえ…殺意を持ってる…オタクは…逝った…
「こらムク!落ち着きなさい!」
『はぁはぁ…す、すまねえ…』
どうやら嵐は過ぎ去ったようだ。ちょっと話してみるか。
『おい、あんた』
『んあ?…あぁ、勤務中のキツネか。どうした?』
『いや、さっき暴れまくってたからよ』
『あぁ、あのクソガキか。なんかよ、珍しく晩飯くれたと思ったらペタペタ触ってくんだよ。うぜぇったらありゃしねえぜ』
『なるほど』
『だからよ、俺もうブチギレだから?腕に噛みついただけじゃおさまんねえのよ。だから今晩、マジで殺るぜ?』
『ほ、ほう…頑張れば?』
『あぁ。おっと、主のお帰りだ。迎えに行かなきゃと』
あいつも大変だな…
さて、腹も減ったし帰るか。まあ餌はないんだが。
◎考察
いくらキツネでも、無理があると思う。
……………どうでもいい。
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