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夜に唄う
作:”太った猫”



律法を破る者 ーThe Lawー


「罠とわかって出てくるとは思わなんだが、レーザーすらけるか…」深々とした嘆息をつきながら一人の老人が、坑道の中にその姿を現す。
「それは心外だな、ヨシュア。りつを破る創造物いきものとはお前達のことだろう」彼女も呆れたような苦笑を浮かべながらその老人を見返す。
「『 堕ちた同胞ものの始末は同じ領域に住むの者の役目』と言うわけか…」
「わかっているじゃないか、私達の流儀を、では当然のこの私達の流儀に合わせてくれるんだろうな、牙には牙の返礼をもって返す!!」
「その言葉、そのままそっくりとお主にかえす。十字砲火クロス・ファイア!!」老人の声に応えて、十字型の砲筒を示す機銃を構えた教化兵きょうかへいが彼女を中心とした十字隊列を組み、発砲ファイア

堕落の十字架アンチ・クロス」対する彼女は踊るようにして四方に逆十字を描き魔法障壁を構築、彼女の支配空間と銃弾の壁の間に魔力の拮抗を示す青白い火花が乱流し、その火花に触れた数名の教化兵が飛散、その十字隊列の穴を後続の教化兵が淡々として埋めてゆく。

「同じ芸の繰り返しで倒せるほど、甘くは無い」再度、魔力障壁と銃弾の応酬が繰り返され、そこにはいつの間にか煙草シガリロをくわえた彼女が変わらず佇んでいた。

「それぐらいで倒されてくれるぐらいなら互いの名など覚えてはおらんよ、マリア、第二の十字架セカンド・クロス、詠唱開始」声と共に銃器を構える教化きょうか兵達の詠唱が始まり、その唱和効果ハウリングで、撃ち出される銃弾が神聖化、撃ち出される銃弾そのものが十字形となり、じりじりと彼女の支配空間を浸食してゆく。

ReBirthリ・バース」私は自分の能力を展開、ぐちゅりという産声を上げて私の可愛い子供達が活動を開始する。それは、ひゅおおおという風切り音を立てて、一人目の体内を通り抜け、次々と生まれ変わった銃弾達が跳躍し教化兵を駆逐していく。

"産み直し"というのが私の能力だ。自身の体内を通過した無機物に生命を与え、それを文字通り私に都合の良いように生まれ変わらせる。

 聖然として彼女に迫っていた銃弾はその聖性を失くし彼女の周りに散逸する。戦いの趨勢が彼女の側に傾きかけ、「引け」見事なほどのタイミングで老人の号令のもと奇妙な程の統率感をもって彼らは整然とそこから姿を消す。

 そして、彼が消えたあと、坑道を一つの砲身と見なして放たれた弾丸達は確実に彼女を貫く、かのように見えた中で彼女は自身の能力を再度展開、体内にめり込んだ異物を産み直し、生み出した凶器へと方向性を与えようとし、たところで逆方向からの銃弾が弾着、体内で生まれ直す寸前まで行っていた物体はその方向性を見失い、与えられた凶暴性のまま彼女の中で縦横無尽に暴れ回る。獣声に近い悲鳴をあげ、くずれ落ちた彼女の身体からこれまでに打ち込まれたのと同じ数だけの弾丸が飛び出し、まだ息のあった不幸な数名までもがその凶暴性を増した弾丸にたおれる。

「だてに貴様と何度もりおうとるわけではない」その中に老人の声が陰として響く

「やれやれ、つきあいが長いというのも困ったものだ」どうやら、私もここまでらしい。打ち込まれた鉛弾の中にはご丁寧にたっぷりとどくが詰め込まれていた。煙草に火をつけ、ため息を一つ、そして私は奈落の底へと落ちていった。












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