僕と彼女のなんとかかんとか(19/23)PDFで表示縦書き表示RDF


祭:どうも、雨永祭です。
「どうも、白羽和心です」
祭:いやぁ〜アーノルドさんはとてもじゃないけど六十代には見えないね!
「なんです。藪から棒に」
祭:さっきT3を見てさ。いやぁー派手だったなぁ〜。でも2の方が良かったなぁ〜。
「すっごいどうでもいいです」
祭:…………すんません。では、どうぞ。

僕と彼女のなんとかかんとか
作:雨永祭



18.僕と彼女のレクリエーション《始まりはメイド服と共に……》


 えー、只今の授業はLHR。僕はどうしたらいんだろうね?
 あの後、太郎達の攻撃はやっぱり委員長の鉄鎚で鎮圧された。それで僕の平穏が戻った……訳も無く、鏡さんがことあるごとにちょっかいを出して来た。そして、極め付けはこれ。
 僕の手の中にある中世ヨーロッパ、主人に奉仕する女中の為に作られた可憐で機能的な白黒のエプロンドレス。そう、それは完膚無きまでメイド服だった。
 ……嫌がらせか?
 メイド服とにらめっこしてると鏡さんは楽しそうに話を始めた。

「さて、全員渡った袋の中身を確認したと思う。それらを何に使うのかというと日曜に一年生のレクリエーションがある。その名も――」

 チョークが黒板を滑るように動く。
 そこには『大サバイバル大会』と書かれていた。
 ……はい?
 皆キョトンとしてるのがそんなに楽しいのか鏡さんは楽しそうに続ける。

「大サバイバル大会! 概要はクラス対抗のサバイバルゲームで先に他クラスのリーダーのポイントをゼロにした方の勝ちだ。リーダーは皆メイドの格好をしている」

 ……はい? メイドがリーダー? という事はもしかしてもしかしなくても……。

「という訳で、奏は死ぬ気で頑張りなさい」

 う、うそ〜ん……。

「さて、今度は一つ一つ説明していこう。
 クラス対抗って言ったけど、実際は普通科と言語科に商業科、工業科、情報プログラミング科がそれぞれ半数ずつの計十チームだ。
 次は大会のルールだな。
まず勝敗条件は敵クラスのリーダーのポイントをゼロにするか、配られた服に付いてるバッチをクラスの過半数の数を集める事。 今度は当たり判定についてだけど、胸、脇腹、膝の三か所。この三つ全てに食らってしまったらその時点でアウト。二つまでなら自軍の補給地点で回復出来る。大会時の服装は今配付した物を着る事。服の改造は禁止だから注意するように。」

 服装に関してはアレだけどちょっと面白そう……。

「武器に関しては味方の商業科の生徒が資材を仕入れて工業科の生徒が要望に合わせて造り、改造するという形になってる。もちろん危険な改造は禁止だ。
 大会の舞台は一年校舎、一年工業棟、校庭、第二体育館。
 と、まぁこんなところだ。何か質問は?」

 手を上げた。
 ……あれ? 僕だけ?

「はい、奏」

 ま、いいか。

「あき……先生、メイド服に意味あるんですか?」

 というかメイドをリーダーにする意味がまったく無い気がするんだけど……。

「無いよ」

 な、無いのかぁーーっ!
 予想はしてたけどやっぱりガックリくるな……。それにしても誰の趣味だよ、これ。
 僕がガックリと座ると鏡さんはサイズの確認するからと男子を追い出した。






 女子の着替えが終わったと言う事で教室に戻ると女子全員が赤いTシャツの上にポケットなんかの収納部分がたくさん付いたジャケット、下は短パンでゴツいベルトには小さなポーチが幾つも付いていた。
 うーん、素足が眩しいなぁ……。

「はい、次男子だから女子は早く出て行って」
『はぁ〜〜い』

 鏡さんの指示で皆が動く。
 意外と先生してるなぁ〜。
 女子が出て行くの見届けてると鏡さんにガッチリと掴まれた。

「あ、鏡さん?」
「お前はそっち」
「え、えぇ?!」

 何故か僕も追い出された。
 なんで……ん?
 頭の上にメイド服がパサリ。そのすぐ後にカツラが落ちて来る。
 あれ、これヤバイかも……。

「あとはよろしく〜♪」

 ガシッ。
 委員長が僕の肩をがっしりと掴む。

「ごめんなさい、これがクラスの女子の総意なの」

 総意なのって委員長、満面の笑みで言われても……はっ!
 気付いたら完全に女子に囲まれている。
 どうしよう?
 僕の目の前に一人の女子が立った。
 それはクラス一大人しい――

「うふふふ、座留君、すっごい可愛くしてあげる♪」
「あ、秋元さん?」

 あれ?
 おかしい。今僕の目の前に立ってる女の子はクラス一物静かな文学少女の秋元遙(あきもとはるか)さんだ。なのにこのテンションは何?

「さぁ、お着替えの時間よ♪」









 ……何か今、座留の悲鳴が聞こえたような?

「なぁ、太郎」
「ん?」

 佐々木慶太が話し掛けて来た。なんだか楽しそうだ。

「随分楽しそうだな、慶太」
「あったりまえだろ、大規模なサバイバルゲームだぞ? これで燃えなきゃ男がすたるぜ!」

 やっぱ燃えてるねぇ〜。

「お前そうだろ?」

 まぁ、やぶさかではねぇけどな。でもやっぱり――

「そうだけど、やっぱり女子の衣装が萌えるぜっ!! お前もそうだろ?!」
「おうともよっ!」

 二人ばか笑いをする。やっぱり持つべき者は友人だなっ!
 笑ってると戸の向こうから森川センセの声がした。

「男子達、もう入っても大丈夫か?」
「いいっすよ〜」

 森川センセを筆頭に女子がどんどん入って来る。
 うーん、絶景かな絶景かな♪ やっぱ生足は素敵だな〜。

「眼福だな、慶太」
「あぁ、至福の時だな、太郎」

 最後に出て来た秋元は途中で立ち止まり振り返った。

「ほら、早く出てこないと」

 ? 誰かいるのか? ……あ、まさか。
 慶太と顔を見合わせる。慶太も気付いたらしい。同時にニヤリと笑った。
 積年の恨み晴らしてくれるわっ!!
 秋元がもう、と唸って教室を出る。
 そして、出て来たのは――









 ぎゃぁ〜〜〜〜っ! や〜〜め〜〜て〜〜!
 予想外に力の強い秋元さんに引っ張られる。
 なんでこの人こんなに力が強いのさっ?!
 気付くと僕はクラス全員の視線を浴びていた。

「ぁ…………」

 頭が真っ白になりかけたところで気が付いた。
 最初は呆気に取られてるだけだと思った。でも違う。もしかして……み、見とれてる?

「ちょっ、ちょっと勘弁してよ……」

 最初に動いたのは太郎だった。

「あ、あんた誰? あれ? 座留が出て来ると思ったんだけど……」
「わ、私は奏だよ?」

 太郎は動かない。そして、

「ぐふっ」

 太郎が倒れた。
 な、なんで?
 太郎が倒れた事に動揺してると太郎の側に佐々木が駆け寄った。

「どうしたっ?!」
「お、俺……一体……どうし……ゲフッ」
「太郎、どうした? どうした太郎ぅっ! 太郎ぉぉぉおおっ!!」

 僕そっちのけで盛り上がる太郎と佐々木。
 何、この茶番……。
 呆れ返ってると鏡さんに引っ張られる。

「さて奏。せっかく着替えたんだし皆に自己紹介しなさい」
「え? 嫌だよ」

 なんで今更自己紹介なんて……。なんて思ってると鏡さんが耳元でささやいた。

「そんなに猫と遊びたい?」
「すいませんでした」

 あぁ、弱いな僕……。でも、ダメなものはダメなのです。
 さて、自己紹介かぁ……。うぅ……。
 僕は皆の前に立ち、エプロンドレスの裾を摘んで一礼。

「今回、大サバイバル大会のリーダーとなりました座留奏と申します。皆さん、よろしくお願い致します」

 口からついて出て来たのは良いとこのお嬢様を思わせる丁寧な言葉。
 皆ポカンと僕を見てる。
 あぁもう、最悪だ。鏡さんがつくづく恨めしい!

「……可愛い」

 誰かが、呟いた。
 それを皮切りに男子の自己嫌悪の叫びと女子の楽しそうな笑い。

 ……あぁ、どうしよう。

「ヤケクソになったら?」
「……心読むとか止めて下さい」

 鏡さんは誰よりも楽しそうで偉そうに座ってた。

「大体、ヤケクソって……」
「まぁ、ヤケクソってのは微妙だったな。あれだよ、こういうイベントはバカやったもん勝ちなんだからさ」

 はにかんだように笑う鏡さんがなんだか眩しかった。
 確かに……そうかもしれない。たまには、いいかな。
 そう思うとこの女装も悪くは無いと思えるから不思議だ。
 試しに自己嫌悪に身悶える佐々木の肩をポンと叩く。

「ん?」
「慶太さん、どうしたんですか?」

 振り向いた佐々木に心配そうな顔を送ると、

「あれは男だ。あれは男だ。あれは男だ。あれは男だ。あれは男だ。あれは……」

 ブツブツと呪詛のように同じ言葉を繰り返してる。
 …………。
 もう一人、同じように話し掛けると佐々木と似たような反応が返ってきた。
 ……ヤバイ。すっごい楽しい!
 楽しくなってきたところで鏡さんが大きく手を叩いた。

「早く座って。あ、奏は前にいなさい」
「あ、はい」

 全員座ったのを確認して鏡さんは笑いながら言った。

「衣装合わせはすんだね。私から一言送ろう」

 鏡さんはトマトを取り出す。そして、

「負けたらお前らの命は無いと思え」

 言いながらトマトがグシャアッ! と無残に握り潰された。
 それは負けたらこうなるという鏡さんからのメッセージ。なんでトマトかは知らないけど。
 それにしても、

『………………』

 皆顔真っ青じゃないですか。

「鏡さん、鏡さん」
「ん?」
「理由も無しに脅しは無しですよ。皆怯えてますよ?」
「ふぅ〜、皆肝っ玉が小さいねぇ」

 鏡さんは呆れた声でそんなこと言ったけど普通はちびりそうになるくらいに怖いと思う。平気なのは多分、ノリとか千央とかくらいだろうな。

「ま、いいか。理由はね――私がこのクラスの優勝に十万賭けてるからさ!」

 さらりとトンデモない事を言った鏡さんに僕は反応出来なかった。

「それから優勝したチームには、海外旅行に匹敵する商品がある!」

 その言葉にクラスの心は一つになった。なんてったって『海外旅行に匹敵する商品』。そんなものをチラつかされたらやる気を出さない訳がない。
 もちろん、僕だって同じだ。

『おっ――』

 スパーンッ!!

 戸が、勢い良く開いた。
 多分皆、『おっしゃぁあぁあぁああぁぁぁぁぁぁっ! 勝つぞぉぉぉおおっ!』みたいな事を叫ぼうとしたんだろう。隣りのクラスから同じような叫び声が聞こえる。
 でも僕らは大きく口を開けた中途半端な状態で固まっている。視線は戸に釘付け。
 そこにはセミロングの色素の薄い髪を持った美女が仁王立ちしていた。そして――

「君達、我々文学部プレゼンツ『大サバイバル大会』は楽しみかい? 私は部長の峯河幡明凜栖(みねかわばたありす)だ。座留奏くんはいるかな?」


祭:最近、自分の人生が何処を向かってるか分からない。
「……さっきから何妙な事ばっかいいだすんですか」
祭:この小説がどこに向かっているのか分からない……。
「ちょっとーーっ! しっかりしろ作者ぁぁあぁっ!」
祭:いや、しっかりしないといけないってのは分かってるんだよ。でも……ねぇ?
「ねぇ? って言われても困るんだけど……」
祭:まぁ何にせよこれからも頑張ります!
「評価・批評・感想などなど待ってます!」











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