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徒然短編

散々なあとに

作者: 紅夜 真斗

 どんより曇った空を見上げて盛大な溜息がもれでた。

 これでスカッと晴れた青空ならきっと心も晴れるんだろうけど、神様はどうも味方してはくれない。


 くれないどころか新たな試練到来。

 空模様で確かに気をつけないと、って思ってた矢先の土砂降りの雨。

 クリーニングに出したばかりの、それこそ卸したてのスーツはびしょ濡れ。

 ついてない……果てしなくツイてない日ってあるんだろう。


 まずは朝起きた瞬間。

 愛猫が棚の上から鳩尾にダイブして起こしてくれた……普段より1時間もはやく。

 仕方なしにシャワーを浴びようと思ったら調子が悪かったガスがストライキを起こして春の早朝からの水浴び。

 愛猫から朝食の準備をして上げたら、猫缶で軽く切った。

 電車に乗ったら痴漢にあった……

 こっちが身動き出来ないのをイイことにがっちり……先に出たのが私だったおかげで、重たい鞄で一撃の報復。



 そして大事な面接。


 やりたいことも見つからないで無駄に時間が過ぎてしまったせいで、面接官の質問の意味を捕えられなくてしどろもどろ。

 あげく、集団面接だから若い子に混じって余計に自分の不甲斐なさを露呈。

 そして、落ち込む私に神様からのこの試練。



 もう泣けてしかたがない……

 スーツだってこの一着しかないのに明日も面接。

 やだな……どうして、ついてない時ってこうも重なるんだろう?

「……ケセラセラ」

 雨に打たれて、言葉は地面へ落ちた気がした。

 うん……落ちたんだ、きっと。

「けせらせらっ」

 少し上を向いて、大きな声で。

 雨の中、走っていく若人が変な人を見るような目でちらりとこっちを一瞥していった。

 それでも、

「ケ・セラ・セラ! なんとかなる!」

 最後には思いっきり叫んで、雨だって必ず止む!

 どれだけツイてなくったって、どんだけ最悪だって!

 偉い人が言ってた、自分で限界を決めたらダメって!!

 笑う角に福来る! 笑い方忘れたら自分じゃなくなる!



 散々なあとに、いい事は必ずあーーーーるっ!!



「よし、ケーキかって帰ろう」

 そして帰ったらまずはスーツの代用を探そう。

 自分に負けるな! 頑張れ自分っ!!


  まあ、それでも緩めるところはゆるめよう……体重計の針は少し軽めに設定しておこう。

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― 新着の感想 ―
[一言] はじめまして。 読み終わったあと、前向きになれるような作品でした。とってもよかったです。
[一言] 若人が何者なのかすごく気になりますね(笑) 短い話ですが、なんだか元気付けられた気がします。
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