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間話集 (2)
第六十八問 幕間 とある幼馴染の憂鬱
ラブラブ! 坂本夫妻のマル秘恋愛テクニック講座 その2

「……ここは私達夫婦が、吉井と久遠のアシスタントの元で恋愛の秘訣を皆に教えるコーナー」
「“の”以外全部嘘の事しか書いてないタイトルのコーナーを続けるな! しかも今回もバカと過激派のコンビがアシスタントかよ!?」
「じゃあはがきはこちらです。坂本翔子さん、お願いします」
「明久、勝手に翔子を入籍させるな!!」
「……“突然ですが、仲良し夫婦のお二人に相談です”」

ドンドンパフパフ~♪ (効果音)

「はがきの差出人よ、良く聞いてくれ。俺は今、手足を縛られて床に転がされている。コイツが本当に恋愛相談の相手にふさわしいか、もう一度考えてみてほしい」
「それ以前も言ったよな?」
「……“私には好きな人がいるのですが、その人はとても鈍感で私と私のライバルの気持ちに気付いてくれないどころか、暗殺実行犯と勘違いされてしまい、遠ざけられています。どうしたらいいでしょうか?”」
「おい姫路か島田! こんなコーナーを聞いてる暇があるなら、本人に誤解を解きに行け本人に!」
「え? なんで雄二、文章だけで姫路さんと美波ってわかるの?」
「わからんのはお前だけだ!」
「……その気持ちはよくわかる。交際の話を断られてばかりだった頃を思い出すと、他人事とは思えない」
「頼むから他人事だと思ってくれ!」
「……だから、私の考えた気持ちを届ける方法を教えてあげる」
「ほうっ、それは面白そうだ」
「そんな悠長にしてて良いのか? お前の身に降りかかるかもしれないのに」
「……多少の事には目をつむろう!」
「……用意する物は3つ」

ガラガラガラ! (明久の手で3つの幕の掛けられた台車が押される音)

「? ここでも道具が必要なのか?」
「明久、幕を」
「あっ、うん!」
「……1つ目は」

ドロロロロロロ! (ドラムロール by光一)

「1つ目は?」

バサッ! (1つ目の幕がはぎ取られる音)

「“黒魔術入門”」
「翔子、ちょっと待て!」
「待った霧島!」
「……どうしたの、久遠?」
「俺は無視するのに光一は聞き入れるのか!?」
「白魔術も一緒に勉強しような?」
「……わかった」
「いや、そっちじゃねえ!! だから……」
「……2つ目は」

ドロロロロロロ! (ドラムロール by光一)

「やっぱり聞いてないな。んで、2つ目は?」

バサッ! (2つ目の幕がはぎ取られる音)

「“料理”」
「ちょっと待ってくれ。料理って何だ料理って!?」
「あっ、おいしそう」
「おい明久、悠長にしてる場合じゃないだろ!!」
「……そして、3つ目は」

ドロロロロロロ! (ドラムロール by光一)

「3つ目は?」

バサッ! (3つ目の幕がはぎ取られる音)

「“クスリの材料と調合器具一式”」
「キサマ俺に一体何を食わせるつもりだ!? 今まで俺に出した料理に一体何を入れてたんだ!?」
「……その3つを用意して、真心を相手の脳髄にまで刻み込むと良い」
「……ねえ光一。何故か悪寒が止まらないんだけど?」
「多分それは間違ってないと思う」
「はっはっは。俺も今回ばかりはこのコーナーに感謝出来そうに」
「……以上、“ウサギの髪留め”さんからのおハガキでした」
「ないぞコラ! おい翔子、それじゃ料理を食わせる以前の問題じゃないか!」


「おい明久、今日はウチ泊まりに来るか?」
「え? 良いの?」
「ああ。秀吉も来るし、いっそ3人で夜更かしでゲームでもしよう」
「じゃあ準備してから行くよ」
「出来るだけ早くな」
「? うん、わかった」










美波と瑞希は、悩んでいた。

強化合宿最後の夜において、盗撮犯と決めつけ拷問してしまった事を謝る事を目的とした、深夜の男子部屋訪問。
それを当人の明久はよりにもよって暗殺と間違えてしまい、天敵認識している事について。

そして……。

「明久よ、お主料理が上手いのじゃな? 相伴に与れて嬉しいぞい」
「そう言って貰えてうれしいよ」

それが影響してるのか、最近秀吉と仲が良い事。

「くぅぅっ! あの様子じゃアレはアキの手料理で間違いないみたい!」
「ずるいです! 私だって明久君の手料理を食べてみたいです!」

それが尚、焦燥感を募らせていた。
その様子を眺めてるのは、雄二とムッツリーニ、そして光一。

「明久のヤツ、随分と秀吉と仲良くなってるな」
「姫路と島田が自分を暗殺しようとしてるって認識、未だに薄れてない様子だからな。だからおのずと危険のない秀吉に惹かれてるって所じゃないか?」
「…………気の毒」

ムッツリーニの言葉は、当然2人に向けられての物である。
だがあまり説得力を感じないのは、Fクラスならではのクォリティ。

「やっぱり、ウチらじゃダメなの? 久遠や木下の方が良いの?」
「木下君も久遠君もずるいです」
「いい加減にしろ!」

参加してないのに話題の種にされる。
これには流石に光一も腹を立てた(というか、元々性格的に腹を立てやすい)。

「お前も大変だな」
「笑顔で言うんじゃねえ! そもそも俺は同性愛なんかクソ喰らえだってのに!!」
「同性愛の何がいけないと言うんですか!?」

その言葉に激高しながら現れたのは、同性愛の体現者でありアンチ久遠派筆頭の1人である清水美春。
ちなみにお化け屋敷以来、周りから怖がられている存在となっていた。

「別にいけないと思ってやしねえよ、そもそも個人の趣味をどうこう言える趣味を持ってないしな。ただ……」
「ただ……?」
「実害こうむってる上に、お前が同性愛趣味だからだ!」
「前者はともかく、後者が思いっきり“坊主憎けりゃ袈裟まで憎い”の体現じゃねえか!」

美春が激昂し、両手にボールペンなどを構え戦闘態勢に。
負けじと光一も警棒型スタンガンと自動拳銃エアガンを構え相対。

「美春の愛を侮辱するなど、万死に値します!」
「知るか! んなもん踏み倒してやるまでだ!!」

両手にボールペンが投擲され、光一に襲いかかる。
……が、ここで補足すると、光一の空間認識能力はずば抜けており、尚且つ瞬間的な判断力も高い。
それ故に……

「学習できんのか? 俺に遠距離攻撃は効かねえっていい加減わかれ!」

持ってるエアガンで全て撃ち落とし、美春にソレを撃つ。

「ちぃっ!」

やむ負えず、両手にカッターを構え襲いかかる美春。
カッターを突きたてようと右手を突き出すと、光一は警棒型スタンガンを逆手に持ってソレを受け流し……。

ガチャッ!

「え?」

足首に手錠ロープつきを付ける事に成功。
コレを事前に天井にとりつけてあったフックに引っかけ、よしと頷いた。

「よし、完成」
「何が完成ですか? 力で最弱の貴方が、まさかこれだけで美春をとらえたと思ってるんですか?」
「おーい皆、コレを引っ張ってみたいと思わないか?」

問うてみたのは、Fクラス男子達。
そこで(ろくでもない事にしか使わない)頭脳がフル回転。

美春の足についた手錠 → 手錠にはロープがついている → そのロープは天井に支点がある → 引っ張れば……

「「「オーエス! オーエス! オーエス!」」」

皆ハッピー(男子視点)

「キャッ! ちょっ、やめなさいブタ共!!」
「じゃあ俺はAクラスに行ってくるわ」

その言葉を聞いて、ギラリと光一を睨みつける男子達。

「現状のお膳立てしてやったんだからこれ位見逃してくれ。それともロープ切って外に逃げようか?」
「「「…………オーエス! オーエス! オーエス!」」」

FFF団思考回路 
欲望 > 嫉妬

「久遠光一! この恨み必ずや忘れません!!」
「え? 恨み? 何の事?」

それだけ言うと、さっさと上履きはいて窓をつたってAクラスへ。
外を普通に出歩くと、それだけでアンチ久遠派の騒動が起きる為である。

「ぐああああああっ! めっ眼が! 眼があああ!!」
「ちょっ、待って! 僕は何も見てない、見てないから!!」

そんな悲鳴を聞きながら、一言。

「……すまん、明久」
「俺への謝罪はないのか!!?」

その叫びは無視して、一路安全地帯(?)のAクラスにて。

「よっこらしょっと」

突然の窓からの来訪者に、Aクラスは流石に度肝を抜かれていた。
普通ドアから入る物で、しかもここ3階なのにである。

「どこから入って来てるのよアンタは!?」
「? ノックはしたし、返事は待ったぞ?」
「そうじゃなくて、ちゃんとドアから入ってきなさいって言ってるの!」

出迎えたのは優子は、幼馴染のいきなりの非常識な行動に頭を痛めていた。

「だって普通に出歩くとアンチ久遠派の連中がうるさいから」
「だからってここ何階だと思ってるの!?」
「3階だけど、それがどうかしたか? ……ってあれ? どうして皆して優子に“苦労してるな”って視線向けてるんだ?」

その次に、光一にあきれる様な視線を集中させたAクラス面々。
そのあまりにも模範的過ぎる水と油、問題児と優等生の間柄に。

「全く、相も変わらず非常識な男だな君は」
「この程度、明久も良くやる事だぞ?」
「ごほん! ……全く、相も変わらず“少し”非常識な男だな」
「わかりやすい奴だな、お前って」

その言葉には、流石にAクラスの面々も頷かざるを得なかった。
ただ、女子の中にはショックを受けてる者から黄色い声をあげる物まで、さまざまな反応があったが。

「それよりアンチ久遠派の場合、アンタが余計な事したからでしょう?」
「あいつらの代表格に親善の証として、プレゼントを贈ってやっただけだぞ?」
「そのプレゼントが問題だって言うのわかってお願いだから!」

根本恭二写真集第2弾“私の全てを見て”(ヌ●ド写真集)

「全然隠せてない!」

ちなみに根本、とある代表2人に汚物扱いされる事となっていた。
さらに言うと、Bクラスでは既に存在そのものが無きに等しいものになっているとか……。

「俺がやたらと追い回されてる事に腹立ててないとでも思ってたのか?」
「……そうよね。あんたはそう言う奴だったわよね」
「それに加えて根本はBクラスにおいて発言力も立場も完全に失った訳だし、代表がその有様じゃBクラスにまとまりは見込めない。だからAクラスにとって、試召戦争の手間がかかる可能性が減った訳だが?」
「どうせまたあんた達が仕掛けるんでしょ?」

さす様な視線で光一を見つめる優子。

「どうだか? あくまで1員でしかない俺が……」
「坂本君の態度と最近の成績を見ればわかるわよ。でなきゃ小学生レベルで100点とれない人が、こんな短期間でAクラス並の点数がとれるようになる訳ないじゃない」

完全に読まれていた。
というより、わかりやすいとも表現できるが。

「まったく、代表のどこが不満…………なのかしら?」
「わからんでもないが、そこで間をつくるなよ。まあ良い、それじゃ……あれ? 工藤は?」
「更衣室に忘れ物があったって言って出てるわよ?」
「何? ……悪い、用事思い出したから帰る。邪魔したな」

ガシッ!

「あの、優子? どこへ連れていくつもりで?」

ガラッ!

「ただいま。あれ、どうしたの皆?」

ゴキッ! メキメキメキッ!!

「ギャアアアァッ!!!」

「え? 今の、久遠君の悲鳴?」
「……彼の悲鳴を聞ける時点で、Aクラスも余所のクラスと大差ないかもしれませんね」

またもや全員が頷いた


一方そのころ。

「……今日は何とか、生きることを許して貰えたのかな?」
「お主はまだそんな事言っておるのか?」
「いい加減気付けバカ野郎!」
「…………鈍感」
「え? ……ああっ、そっか。楽に死なせてもらえる訳がないよね」
「「「……」」」


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