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オカルト編
第五十八問
問題 次の熟語の正しい読みを答え、コレを用いた例文を作りなさい

『相殺』

姫路瑞希の答え
『読み……そうさい
 例文……取引の利益で借金を相殺する』

教師のコメント
そうですね。差し引いて帳消しにする、という意味なので貸し借りなどに使われる言葉です。


吉井明久の答え
『読み……そうさつ
 例文……パンチにパンチをぶつけて威力を相殺した』

久遠光一の答え
『読み……そうさつ
 例文……撃ち出された銃弾に銃弾をぶつけ威力を相殺した』

教師のコメント
惜しいですが間違いです。“そうさつ”という読みも一応ありますが、その場合の意味は“互いに殺し合う事”という物です。この場合の吉井君と久遠君の例文では、互いに打ち消し合うという意味なので、読みとしては“そうさい”が正解となります。


島田美波の答え
『読み……あいさつ
 例文……のどかな朝。私は友達と相殺した』

教師のコメント
その朝は決してのどかではないでしょう。










肝試し当日、待機所となるFクラス教室にて。
AとFによる、B~Eの設営したお化け屋敷のモニター。

「態々俺達側につくなんて、霧島も物好きだな」
「……夫の補佐は妻の役目」
「待て翔子、誰が夫で誰が妻だ!? 後当然の様に言い放つな、バカ共が俺を狙ってる! 光一、アレ全部お前のコレクションじゃねえか!!」

雄二を狙い、異端審問会が久遠コレクションを手に攻撃準備を整えていた。

「おーい、後にしろ。それより今から提出するルール確認だ」

・2人1組での行動が必須、1人だけになった場合のチェックポイント通過は認めない。
 (1人になっても失格ではない)
・2人の内、どちらかが悲鳴を上げれば両者とも失格。
・チェックポイントは、各クラス2つずつ合計8か所。
・チェックポイントでは、ポイントを守る代表者2名(クラス代表でなくても可)と召喚獣で勝負。撃破でチェックポイント通過扱いとなる。
・一組でもチェックポイントを全て通過出来れば脅かされる側、通過者を1組も出さなければ脅かす側の勝利。
・脅かす側の一般生徒は、召喚獣でのバトルを認めない。あくまで脅かすだけとする。
・償還時に必要となる教師は各クラスに1名ずつ配置する。
・通過の確認用として脅かされる側はカメラを携帯する。
・設備への手出しは禁止(一般公開する為)

「一応Aクラスには面倒だが、入ったクラスに合わせて点数に抑えて貰う」
「そっか。Aクラスの点数だと、簡単にチェックポイントを通過されちゃうからね」

教科は古典、現代国語、英語W、数学、物理、化学、保健体育、世界史。
それぞれを配置する事となっている

Eクラス 化学、現代国語
Dクラス 古典、英語W
Cクラス 世界史、保健体育
Bクラス 数学、物理

「……解せないな」
「何が?」
「Bだよ。何で俺の得意科目がこのクラスに集中してるんだ?」

両方が光一の得意科目であり、特に物理は教師クラス
光一に来て下さいと言わんばかりの内容に、2人は首を傾げていた。

「確かBは文系が多い筈なのに……明らかに光一を誘ってやがる」
「あのクソヤローの事だから、どうせ何か罠でも仕掛けてあるんだろうな」

まあここで考えても仕方がないと言わんばかりに、後回しに。

「じゃあ後は組み合わせだな。盛り上がる様に、男女ペアにしよう」
「ん? 珍しいな、雄二がそんな提案するなんて」
「別に良いだろ。元々勝負というより、向こうの気を治める為の物なんだ。それに学園公認で授業をサボれるんだし、大した問題もない」

ふーんと、光一と明久は頷く。
そして……。

「で、本音は?」
「翔子にペアを組むよう脅された腹いせに、全員を巻き込んでやろうと思った」
「うん、実にわかりやすい答えだ」

雄二の思惑がどうあれ、こういうイベントは男女出回るのが王道。
別に気にする事もないと、光一と明久は頷きあう。

「……美波ちゃん。ここで何とか、汚名を返上しましょう」
「……そうね。じゃあどっちがペアを組んでも、恨みっこなしで行きましょ?」
「……アタシもいい加減、素直になるべき、よね」
「……久遠光一に工藤さんが興味を持っている今が千載一遇のチャンスだ。待っててくれ、吉井君」

ソレを利用しようとする者たちもまた、動き始める。

「光一はペアどうするの?」
「そうだな……勝負の要素があるなら負ける気はないし、融合召喚の相性がいい人が良いかな?」

光一の所有する“融合召喚型”の腕輪。
光一も何度か融合召喚を展開する事で、人それぞれ相性という物を確認済み。
そういう意味では考慮すべきと、雄二も頷いた……が。

「融合召喚と言えば、現状になってからお前試したのか?」
「え? ああ、そう言えばこの状態になってからは、まだやってないな」
「じゃあボクとやってみる?」

融合召喚に関しては、最初も愛子が相手だったりする。
早速秀吉が、召喚フィールドを展開。

「そうだな。じゃあ……」
「「「異端者に死を!」」」

ソレを嗅ぎつけない程甘くはない。
それがFFF団こと、異端審問会のメンバーである。

光一が呆れた様に周りを見回して、ポケットからある紙の束を取り出しそれを突きつける。

「むっ! そっそれは!?」
「それじゃ……取って来い!」

紙の束を思いきり窓の外にブン投げると、異端審問会は我こそがと窓から去って行った。
ソレを見送り、唖然とするAクラス達。

「さて、これで一安心だな」
「……なんかすごいね」
「言うな、疲れるから。じゃあ早速、サモン!」

光一が死神を呼び出し、愛子もそれに続く様にのっぺらぼうを召喚。
そして、いつもの様に召喚獣に手を繋がせて……

「ユニゾン!」

いつものキーワードを。

「……あれ?」

……しかし召喚獣をうんともすんとも言わず、死神とのっぺらぼうのまま。

「……何も起きないね?」
「おっかしいな……?」

右手につけられた腕輪と、召喚獣を見比べる光一。
ふと、死神の背の巨大ゲンコツが大きく開かれてるのを見て、雄二が疑問に思う。

「おい光一、背の巨大ゲンコツをどうして開いてるんだ?」
「え? いや、別に操作して……ん? もしかして」

光一は背の巨大ゲンコツを操作して、愛子の召喚獣をそれで掴んだ。

「え? あの……」
「ユニゾン!」

背の巨大ゲンコツがのっぺらぼうに溶けていく感じで、融合が始まった。
そして巨大ゲンコツの代わりに、上半身だけののっぺらぼうが背から生えてる様な姿に変貌。
のっぺらぼうの方も、素手の筈がいつの間にかグローブが装備されている。

「成程、こういう風になるのか」
「背に人の上半身がはえてるって、随分とシュールな光景だね」
「あっ、でもボクの召喚獣の方は、ボクが操作するみたいだよ?」

愛子に言われて召喚獣を操作して見ると、確かに愛子の部分は操作ができない。

「相性もそうだけど、コンビネーションも必要って事か」
「ならばやはり組むならワシか明久、工藤と言った処じゃな」
「じゃあ光一が工藤さんとだから……ねえ秀吉、誰か一緒に行く宛てある?」
「んむ? いや、特には……」

「……木下君、これ以上明久君の誤解を利用するなんて、許しません」
「……アキの誤解を解くまで、これ以上の進展なんて絶対に許さないわよ」
「……思わぬ伏兵か!?」

すさまじい殺意をこめた眼で秀吉を見つめる2人(+その他)がいた。

「だから何故ワシが姫路と島田に目の敵にされるのじゃ? 明久よ、何とかしてくれ!」
「何だかよくわからないけど、ごめん秀吉」
「良いこと教えてやるよ。とある人が言いました、“誤解される方が悪い”と」

優子がそれを聞いて、思いきり顔をそらした。
瑞希と美波も、覚えがあるのか同様に顔をそらす。

「……お前、容赦ないな」
「伊達に学園1の過激派なんて呼ばれてねえ。それに俺はお人よしの明久と違って、根に持つ方なんだ」
「ある意味正反対のコンビだな」

雄二の言葉に、大半が頷いた。

「そういう事だったら……」

コンッ!

「……吉井明久よ、よもや異端者ではあるまいな?」
「ん? なんだ、もう戻ってきたのか?」

それでも、異端審問会が黙ってはいなかった。

「おいおい、折角Aクラスが来てるんだから、他人の邪魔してないでお前らも誘えば良いだろ? こういうイベントなんだから、異端とか抜きにして楽しむ事を考えるべきじゃないのか? まあ自信がないなら別だが」
「自信ならある!」
「俺なら出来る! むしろ、出来なきゃおかしい!」
「そうだ! よし、やるぞー!」

光一の言葉で全員が活気に溢れ、いざAクラス女子へ。
その様子を見て、一言。

「単純な奴等。じゃあ俺は工藤と組むか」
「じゃあ秀吉、よろしくね」
「うむっ、よろしくじゃ」

「……」
「……優子、本当にいいの?」
「……良いわよ、別に」


その数分後。

「判決、羨ましいから殺す!」

血の涙を流した異端審問会が、明久と光一と雄二を狙っていた。

「なんだ、皆して失敗したのか?」

呆れたように言う光一に、全員が焦りながら反論。

「ちっ違う! 他はどうか知らんが、向こうには向こうの都合があったんだ。決して俺がモテない訳じゃない!」
「俺だってそうだ、決して俺がモテない訳じゃない!」
「いや、都合云々じゃなくて、そんなもん見える様にポケットに入れた奴と組みたがる女子が居るか」

全員のポケットから、先程光一が放り投げた18禁指定のお宝写真が微かに存在を主張していた。

「「「じゃあお前の所為だ!!」」」
「文句言うなら返せ!」
「本日異端審問会は休止だ(このお宝画像は手放したくない)」
「「「了解!(思考の一品だ!)」」」

全員の声と思惑が一致していた。

「さて、ペアどうするかな?」
「ボクと組むって話でしょ? ボクそういうの気にしないから」
「そうか? ……助かるよ」

以前光一は、優子にその手の物を見られて殺されかけた経験があった。
それ故に、光一はしきりに優子の方向を気にしてる(生命的な意味で)

「……雄二、肝試しなんて怖い」
「ウソつけ。怖がってると言うのは、ああいうのを言うんだ」

「……でもやっぱり、肝試しなんて怖いです」
「……うっ、ウチは別に、怖くなんて」

雄二の指差した方向には、これからやる事を思い出して震えてる女子2人。

「……成程。ゆっ、雄二、私、怖い」
「思いっきり棒読みじゃねえがぎゃああああああっ!!!」

「何よ、騒々しいわね」
「準備ができたから、来て良いわよ」

そこへ、来訪者が現れた。
Eクラス代表の中林と、Cクラス代表小山である。

「何だ、態々教えに来てくれたのか? 小指に中指……じゃなかった、小山に中林」
「誰が小指と中指よ!?」
「そう言えば、あんたの所為で私達はクラスで化け物呼ばわりよ! どうしてくれるのよ!?」

光一のオカルト召喚獣は、背の巨大ゲンコツの指先に倒した敵の顔を投影し、それを敵に噛みつかせる特殊能力を持っている。
巨大ゲンコツの指は、それぞれE~Aを小指から親指までで現しており、それらに中林、清水、小山、根元、夏川の顔が現在投影。
それにより、この5人はクラスで怖がられていた。

「とにかく、覚悟しなさい久遠光一!」
「あんたは絶対ギャフンと言わせてやる!」
「はいはい。楽しみにしておくからとっとと戻れ」

こうして、クラス間肝試し勝負が幕を開けた。


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