『2-F 0 - 4 2-E』
「……やべぇ。いきなり大ピンチだ」
「いやもうピンチと言うか、点数取られまくった後なんだけど……」
「まあ大丈夫だろ。まだ始まったばかりだし、俺達の特色は攻撃力なんだ。こっからガンガン打てばいい」
バッテリーの呼吸が合わず、次々と放たれるホームラン。
初回からの4点ビハインドだが、光一はそれでも表情を崩さない。
「秀吉。さっき言った通りに頼むぞ」
「任せておくのじゃ!」
Fクラスの攻撃、まずは秀吉がバッターボックスに向かう。
「木下。まずはアンタを打ち取って波に乗らせてもらうわよ!」
マウンドに上がったのは、闘志を燃やす女事、中林。
「よっしゃ! 秀吉、いきなりのホームランチャンス到来だ!」
ブチっ!
「絶対に打ち取ってやるんだから!!」
「ちょっ、落ちついて中林さん!」
「……アンタ、とことん性格ねじ曲がってるわね?」
「当然だ。俺は1秒たりとも清く正しく生きた覚えはない」
「堂々と最低発言するな!」
光一が美波と漫才している間に、秀吉はボールとストライクのカウントを重ねていく。
光一の指示はフォアボール狙いであり、挑発はその布石だからである。
「思いっきり振ってきなさいよ木下!」
「気に入らないならギャオーって吠えてねえで、さっさと三振取って見せろよ」
「っ! 良いわよ、とってやるわよ!!」
結局、光一の口車で頭に血が上りまくった中林は、秀吉にフォアボールを許した。
「ムッツリーニ。わかってるな?」
「…………(コク)」
『Eクラス 中林宏美 古典105点』
VS
『Fクラス 土屋康太 古典22点』
手堅くバントで、秀吉を2塁に。
「んじゃ、明久? さっき言った事、忘れてないよな?」
「当然だよ」
「んじゃ、期待してるぜ?」
「うん」
意気揚々とバッターボックスに入る明久。
それから……
『――フォアボール』
中林は明久の召喚獣の頭めがけて全力投球。
それを得意の回避で、あっさりとフォアボールで一塁へ。
実は光一に狙いは見透かされていた為、明久には既に言い含めていたのだった。
「ちょこまかと逃げてないで潔く当たりなさいよ!」
「無茶苦茶言うな……さて、雄二?」
「わかっている」
『2-E 中林宏美 古典105点』
VS
『2-F 坂本雄二 古典196点』
「行くわよFクラス代表!」
現在1アウトランナー1、2塁。
次が次だけに、ランナーをためる訳にはいかない。
「あらよっとぉーっ!」
甲高い音を鳴らし、宙を飛んでいくボール。
それはフェア内でのフィールド外へと飛んでいき……
『2-F 3 VS 4 2-E』
「くっ……! 次からは、坂本にもぶつけるしかないって言うの……!」
「「普通に敬遠しろ!」」
「確か久保にフラれたって話聞いたことあるが、別に明久の所為じゃなくて時間の問題だった気がするな。あんな肉食どころか暴食系女子じゃ」
「久遠! アンタ絶対刻んでサラダにしてやる!!」
「ん? あれ、もしかして声に出てた?(棒読み)」
「……光一よ。ワザとらし過ぎるぞい」
それから瑞希がフォアボールで出塁し、美波が併殺打を打ってしまい攻守交代。
「んじゃ、次は数学だから俺と雄二のローテだな」
「うん。それじゃセカンドに入るね? 任せたよ」
「任せろ。んじゃ……」
「待て、お前はキャッチャーだろ!」
『2-F 久遠光一&坂本雄二 数学442点&204点』
「冗談だ。さて、やるぞ」
この回は、当然のように三者凡退。
そして……
「来たわね久遠、覚悟はできてる!?」
「来たけど……」
『2-F 久遠光一 数学442点』
VS
『2-E 中林宏美 数学86点』
「そっちこそ覚悟はできてるのか? 軽く5倍の差はあるが」
「ぶつければ点数は関係ないわ!」
「うん、超バカ丸出し発言と投球宣言ありがとう」
「なっ! よりにも寄ってFクラス以下ですって!?」
「そこまで……いや、事実か」
「覚悟しなさい!」
召喚獣が振りかぶり、第1球……。
「あせーの……」
カーンっ!
『2-F 4 - 4 2-E』
大根切りで頭を狙った球を打ち、そのままフィールドの外へと飛んで行った。
ギリギリと歯軋りさせながら、ダイヤモンドをゆっくりと歩く光一を睨みつける中林。
そして3回4回と、特に大きな変化もなく流れは5回へ。
「最後は保健体育か」
「頼んだよ、ムッツリーニ」
「…………(コク)」
「あっ、待て。光一、お前点数はどうだった?」
『2-F 坂本雄二&吉井明久 保健体育143点&23点』
「あれ? なんか2人して点数低いな?」
「いや、それは、その……な?」
「うん……参考書、とられちゃったから」
「アンタは何を使って勉強しようとしてるのよバカ!」
「それより、光一の点数は……」
『Fクラス 久遠光一 保健体育401点』
「「「…………」」」
「……いや、ヤマ張った所が偶然当たってな?(さっ)」
「目をそらすな! お前夏休みの間に何かあ……まあ良い。今は黙っててやる」
互いに見据えるべきは最後の戦い。
下手な事すれば没収試合にされかねない為、雄二も黙らざるを得なかった。
……何より原因によっては、翔子に知られたら最悪の事態になりかねない。
と言うのが本音である。
「まっまあ、良いじゃない。学園最高ランクのバッテリー実現だからさ」
「……まあそうだな。うん」
それに優先すべきは勝利である。
そして第一打者。
「うっ、打てる訳ないだろ!」
あっさりと三振。
そして第二打者。
「球が……全然見えない」
こちらもあっさり三振。
『2-F 久遠光一 保健体育401点』
VS
『2-E 中林宏美 保健体育110点』
「まったく、なんで2倍も増えてるのよ? いやらしいわね」
「妄想激しいな。普段からそういうこと考えてるってか? でなきゃそんな意見、あっさり出る訳ないしな」
「なっ!」
「おや、図星か? 顔真っ赤だぞやらしー宏美ちゃんよ。まあそれはそれとして、行くぜ」
「絶対モヤシ炒めにしてやる!!」
ズバンッ! ズバンッ! ズバンッ!
『ストライーク、バッターアウト! チェンジ!』
「よし、次だ。秀吉、頼むぞ」
「うむっ、任せるのじゃ!」
ベンチに戻り、光一は秀吉の背を叩き激励。
「頼むぞ、秀吉! 絶対に打ってくれ!」
「秀吉なら出来るよ。頑張って!」
「…………期待している」
「木下、石にかじりついてでも打つんだ!」
「気合を入れろ! お前にかかっているんだ!」
「そうだ! 頑張ってくれ! そして、何としても打ってくれ」
光一に続くように、周囲も激励を始めた。
その閉めをくくる様に……
「「「俺達のエロ本の為に!」」」
「「…………」」
『ストライク! バッターアウト!』
ほぼ全員からのエールは、見事秀吉のやる気を削いだ。
「……まあ仕方ない。ムッツリーニ、わかってるな?」
「…………(コク)」
その後、ムッツリーニは敬遠で塁へ。
それから……
「…………加速」
腕輪の能力、加速で盗塁。
そのまま一塁から、一気にホームベースへ。
「……はい、おしまい。次々」
2-E対2-F、2-Fの勝利。
所変わって、グラウンド
「素晴らしいの一言ですな」
「ええ。最高学年首席でありながら、運動でも他を突き放すとは……」
「最近は騒動が絶えないと聞いて不安だったが、彼がいるなら安心できる」
スポンサーの席から賞賛の声が上がり始め、学園長は満足げな笑顔に。
それを見て白夜は……
「……ふんっ」
興味はない。
そう言わんばかりに視界から外し、1の数字が書かれた旗へと歩を進めた。
「……次は確か、2-Aとだな。霧島翔子、久保利光に義妹達。奪うべき価値に巡り合えるか、そうでなければ楽しめるか……位は期待しようか」
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