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清涼祭編
第二十二問
問題
『冠位十二階が制定されたのは西暦( )年である』

姫路瑞樹の答え
『603』

教師のコメント
正解です。


坂本雄二の答え
『603』

木下秀吉の答え
『603』

教師のコメント
一体どうしたのですか? 驚いた事に正解です。


吉井明久の答え。
『603』

久遠光一の答え
『603』

教師のコメント
君たちの名前を見ただけでバツをつけた先生を許してください。














「アキに久遠、木下。おはよ~」
「おはようございます、吉井君に久遠君、木下君」
「あ、2人とも。おはよう」
「ん? よう、2人とも

学園祭2日目の朝。
先に来ていた明久と光一、秀吉は、揃って登校してきた瑞希と美波に挨拶。

「あ~、その……昨夜はぐっすり眠れた?」
「え? はい、ぐっすりでしたけど」
「そう。それじゃ……朝ご飯はきちんと食べて来た?」
「はい。きちんと食べてきました」

明久としては、昨日起こった事が事故に、気を使っていた。
が、明らかにバレバレである。

「明久、気持ちはわかるけど気を遣いすぎだ」
「そうですよ、大丈夫です。大変でしたけど、不思議なくらい落ち着いてますから」
「え? そうなのか?」
「はい、結局みんな無事でしたし……それに、きっとまた吉井君が助けてくれますから」

そう言って、無理のない自然な笑みを浮かべる瑞希。
そこに光一と雄二の名がないのは、渇愛という事で。

「アキというよりは、坂本と土屋と久遠かもしれないけどね」
「明久も報われないな。それでムッツリーニ、今朝は問題あったか?」
「…………異常なし」
「そうか。ありがとな」

2人には、ムッツリーニを護衛として付けていた。
念のために、スタンガンを持たせたうえで。

「ワシも出来れば、手伝いたかったがのう。最近ワシは、足手まといにしかなっていないのじゃ」
「何言ってんだよ? 常夏コンビ戦じゃ、俺のお株を奪う活躍見せといて」
「お、今日は無事だったか2人とも」

奥から雄二が頭を掻きながら出て来た。
その様子から、特に心配はしていないご様子。

「あれ? 坂本ももう来てたの?」
「4人とも早いですね」
「朝一番でテストを受けてたからね。ふわぁ……」
「確かに、決勝が総合科目なのはきついな……」

決勝だからと、一番盛り上がる総合科目による対戦。
トーナメントで消費した点数を確保する為、4人は朝一番からテストを受けていた。

「もうっ、4人とも大丈夫なの? ダレた試合すると、白けちゃうじゃない!」
「それもそうだな……じゃあ寝させてくれないか? ここのところあまり寝てない上に、徹夜だったからもう眠くてさ……」
「そうだね……確かにこの状態じゃ、いくらなんでも集中力は持ちそうにないかも」

明久、雄二、光一、秀吉は全員が大あくびをした。
目がトロンと垂れ下がり、気を抜くと閉じてしまいそうな状態。

「そうだったんですか。それなら、ゆっくり休んでください」
「仕方ないわね。起きられそうになかったら、起こしてあげるけど?」
「ありがとう。それじゃ、11時までに起きてこなかったら、起こして貰える?」
「11時? 試合は1時からじゃなかったっけ?」
「1番込み合う昼時くらいは働くよ。俺たちだって、Fクラスの一員なんだから」

今からなら、3時間は寝れる計算になる。
秀吉や光一ならともかく、明久と雄二なら大丈夫なレベルである。

「んじゃ、明久達と一緒に俺も起こしてくれ。屋上で寝ているから。ほわぁ……」
「俺も出来れば頼む。今日は天気も良いし、昼寝にはもってこいな環境になりそうだ」
「うむっ、ワシももう限界じゃ。早く寝たいぞい」
「それなら、僕も屋上にいるからよろしくね」

と、明久と雄二、光一と秀吉は教室を後に。

「やっぱり、4人一緒に寝るんでしょうか?」
「間違いないわ。きっと坂本か久遠の腕枕で……もしかしたら、木下の膝枕なんて事も?」

去った後、不穏当な会話があったのだがそこは割愛しておく。


そして、時間は過ぎて……

「さてと、行こうか雄二」
「ああ……光一、秀吉。悪いが譲らんぞ?」
「望むところだ」
「うむっ。やるからには勝つだけじゃ」

4人は頷きあい、光一と明久、秀吉と雄二は拳をぶつける.

「島田、俺達は抜けるが大丈夫か?」
「大丈夫じゃなくても行かないとダメでしょうが。決勝戦なんだからね?」
「後で私達も応援に来ますね? ……吉井君の応援ですが」
「…………どっちも頑張れ」

4人は苦笑しつつも頷いて、会場へと向かい歩きだした。

「ねえ、決勝戦を前に最後の妨害があるかと思ったけど、結局何もなかったね?」
「確かにな。俺達が決勝の舞台に上がれば、もう手の出し様がない筈」
「用心に越した事はないって所だな?」

目的のいくつかは達成されてはいたが、瑞希の父親が来る以上は最高の試合を見せる。
それが、4人にとって決勝戦の最高の目的。

「さて明久、お義父さんに良いところを見せてやれよ?」
「え!? 雄二、そんなんじゃないって!!」
「ははっ、じゃあ俺達は恋路の邪魔して馬に蹴られる側か?」
「やれやれ、悪役はつらいのう」
「こっ光一に秀吉まで……」

会場にたどり着くと、そこで4人の目を引いたのは観客の数。
そして今までにはなかった、係員である教師の出迎え。

「吉井君に坂本君、久遠君に木下君、入場が始まりますので急いでください」
「じゃあここで、一旦お別れだ」
「ああ。じゃあ、またあとでな?」

明久と雄二、光一と秀吉は別れ、それぞれ係員の教師に従いそれぞれの入場門へ

『さて皆様、長らくお待たせ致しました! これより試験召喚システムによる召喚大会の決勝戦を行います!』

アナウンスが会場に響き渡る。
明久と雄二、光一と秀吉はそれぞれの入場を待つ。

『出場選手の入場です!』
「さ、入場してください」

まずは明久と雄二が、係員の教師にポンと背中をたたかれ入場。
2人は頷きあって、観客の前に歩み出た。

『2年Fクラス所属・坂本雄二君と、同じく2年Fクラス所属・吉井明久君です。皆様、拍手でお迎えください!』

盛大な拍手が、2人を出迎えた。

『なんと、最高成績のAクラスを抑えて決勝に進んだのは、2年生の最下級であるFクラスの生徒コンビです! これはFクラスが最下級であるという認識を、改める必要があるかもしれません!』
(あの司会、嬉しい事を言ってくれるな)
(だね。姫路さんのお父さんに、好印象になるね)

ここで2人を持ちあげておけば“試験召喚システムのおかげで、最下級の生徒もやる気を出して勉学に励んでいる”と言うPRにもなる。
学園的にも、この展開は望ましい事だろう。

『そして対する選手は、2年Fクラス所属・久遠光一君と、2年Fクラス所属・木下秀吉君です。皆様、こちらも拍手でお迎えください!』

明久達が定位置に着くと、次は光一達の入場。
拍手で出迎えられ、光一と秀吉が姿を現した。

『なんと、こちらも最高成績のAクラスを抑え決勝に進んだのは、吉井明久君と坂本雄二君とのクラスメイトであるFクラスの生徒コンビです! 決勝がFクラス1色とは、これは流石に驚きを隠せません!』

こちらも、最下級の生徒が同様に決勝進出。
PRとしてこれ以上ない条件でもあり、強調されていた。

『それでは、ルールを簡単に説明します。試験召喚獣とは……』

ルールの説明が入るが、4人ともすでに周知のことゆえ無視。

「わかっておったとは言え、雄二と明久が敵となるとはの」
「ああ。だが勝負は勝負だ、手加減はしない」
「望むところだ。誰がFクラス最強かを決める、頂上決戦といこう」
「うん。負けないよ」

4人は頷きあい、表情を引き締める。

『それでは試合に入りましょう! 選手の皆さん、どうぞ!』
「では、始めてください!」

科目は総合科目で、立ち会いの教師は高橋女史。
2組の間に立つと同時に、4人は一斉に叫んだ。

「「「「サモン!」」」」

袴を纏い、長刀を持った秀吉の召喚獣。
毛皮のジャケットを纏い、ライフルと拳銃を持った光一の召喚獣。

改造制服を纏い、木刀を持った明久の召喚獣。
こちらも改造制服を纏い、メリケンサックを持った雄二の召喚獣。

『2-Fクラス 久遠光一&木下秀吉 総合科目 1052点&912点』
 VS
『2-Fクラス 吉井明久&坂本雄二 総合科目 1002点&1494点』

「へぇっ、明久も頑張ったんだな」
「うん。雄二が日本史を熱心に勉強してたから、便乗して一緒にやったんだよ。大半教えてもらったけど」
「こいつはこいつで、自主的にやってたみたいでな。正直、すごい集中力だったぞ?」

それを聞いて、光一は笑みを浮かべた。

「秀吉、明久を頼む。俺は雄二をつぶすから」
「承知!」

まずは光一と秀吉のペアが先制
秀吉の召喚獣が明久の召喚獣にとびかかり、光一の召喚獣が雄二の召喚獣に銃口を向ける。

「やあっ!」
「はっ!」

まず秀吉の召喚獣の長刀を、明久の召喚獣が木刀で横にないで、一閃。
そのまま頭をつかんで地面にたたきつける。

「くっ……」
「ごめん秀吉、でも勝負だから!」
「心配無用! いつまでも光一に甘えてばかりおれんのじゃ!」

起き上りざまに一閃。
明久の召喚獣の胸に一筋の傷が入り、明久はフィードバックの痛みに胸を抑える。

「秀吉、よくやった!」
「よそ見してんじゃねえ!」
「おっと」

光一の召喚獣は、突進してくる雄二の召喚獣向けてライフルを構える。
脚を狙い打ち出された銃弾は、雄二のメリケンサックで弾かれるも、次は拳銃で連射。
連射には対応しきれず、雄二の召喚獣に次々と銃創が刻まれていく。

「近づけばこっちのモンだ!」
「甘いな。俺がただ遠距離から撃つだけだと思うか?」

雄二の召喚獣が繰り出すパンチを、光一の召喚獣がライフルで横から殴りつけそらす。
そして眉間に拳銃を押し付け……。

「はい、おしまい」

引き金が引かれ、雄二の召喚獣の脳天を撃ち抜いた。

「こっちもおわりだよ……そして、ここから始まりだ」

ふと光一が見ると、そこには秀吉の召喚獣を倒した明久の召喚獣。
光一の召喚獣は銃弾を補充し始め、明久の召喚獣も木刀を構える。

「行くぞ光一! 今こそ雌雄を決する時だ!!」
「さあ来い明久! どっちがFクラス最強かを決めるぞ!!」

『2-Fクラス 久遠光一 総合698点』
  VS
『2-Fクラス 吉井明久 総合638点』

まず光一の召喚獣がライフルを構え、打ち出すも木刀ではじかれ明久の召喚獣が突進を始める。
そのまま拳銃で迎撃するも、観察処分者の高精度な動きは全てに対応し、全てを弾く。

「ちぃっ!」
「やあっ!」

木刀が光一の召喚獣に襲いかかり、それを回避。
それを狙うかのように、明久の召喚獣の足が光一の召喚獣の顔面にめり込む。
しかし、光一の拳銃の銃口が明久の召喚獣に向き、そこから撃ちだされた銃弾が腹を撃ち抜く。

「ぐううっ!」

明久がフィードバックで顔を歪めるも、それでも後には退けない。
自信を相棒と呼び、信じてくれた親友が全力で立ち向かってくれる。
それに応えるには、自身も勝利へ齧り付かなければならない。

「まだまだあ!!」

その一念で明久の召喚獣が光一の召喚獣の腕をつかみ、そのままひねり上げライフルを落とさせる。
それを蹴飛ばして、そのまま明久の召喚獣を狙った拳銃を持つ腕を木刀で突き貫く。

「くっ!」

光一の召喚獣が明久の召喚獣を殴り飛ばし、そのまま腕を貫いていた木刀を投げ捨てる。

『2-F 久遠光一 総合科目9点』
  VS
『2-F 吉井明久 総合科目13点』

「行くぞ光一ぃっ!!」
「来い明久ぁっ!!」

2体はどちらともなく駆け出し、そのまま拳を振り上げて突進。
その拳は互いの召喚獣の顔面にめり込み、互いに吹っ飛んだ。

『2-F 吉井明久 総合科目1点』

『吉井・坂本ペアの勝利です!』

歓声が響き渡り、勝者のコールが告げられた

「いぃぃぃぃいよぉおおおっしゃああああーー!!」

明久の全身は痛み、今なお吐き気が催してきてはいる。
だが今明久の中では、最高の気分が満ち溢れていた。

「負けちまった……すまないな、秀吉」
「良いのじゃ。光一はよくやってくれた……だから、ワシも何も言わんぞい」
「ははっ」

光一と秀吉は、2人に歩み寄って手を差し出した。
明久と雄二は、ニッと笑みを浮かべその手を握り締める。

「ご苦労だったね」
「バ……学園長」
「けど、思った以上に大接戦だったねえ。これじゃデモンストレーションが出来ないから、授賞式の準備が終わるまで1科目だけでもテストを受けてきな!」
「「「「なにぃっ(なんじゃと)!?」」」」

大勝負のシメとしては、あまりにもカッコがつかない物だった。


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