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閑話集
第二百五問 閑話 如月グランドパークの一時 前編
「いやー、いい天気だな」

優子が帰ってきて、いざ如月グランドパークへと皆で遊びにやって来た。
メンバーは光一に優子に愛子、明久に瑞希に秀吉、そして……

「今日は楽しもうね、ムッツリ君」
「…………(コク)」

最近はそれなりに仲良くなった、ムッツリーニと島津さやか。
そしておなじみ、坂本雄二と坂本翔子の坂本夫妻

「俺は独身だ!!」
「いきなり何言ってんだ雄二?」
「いや、何か不本意な事を言われた様な気がして……」
「……私にとっては良い響きな気がする」

それから……

「……秀頼ちゃん、久しぶり」
「お久しぶりです」
「……(ぷいっ)」
「なんだ、連れてきたのか?」
「うぅ~っ!」
「相変わらず可愛げのない犬だなおい」

ケージに入った秀頼である。
翔子と瑞希にそっぽを向いて、雄二に唸るのはお約束。

「それはさておき、チケット配るぞ」

雄二が処分すると大変な上に、明久の場合はペアチケットの存在がバレたら大事なので、全部光一が預かっていた。

「よこせ!」
「はい、代表達の分」
「……ありがとう」
「っておおおいっ!!」

……が、坂本夫妻の分は優子が保管していた。

「すまんな。優子がお前らの分預かるって、無理やり……」
「光一、いつか絶対殺すからな!?」
「はいはい。妾の責任は俺の責任か? わかりやすい奴だな」
「うぅ~っ! わんっ! わんっ!」

怒鳴る雄二に向かって、ケージ入りの秀頼は吠え始めた。

「まあ良い。遊びに来たんだし、もういざこざはなしにしようぜ? 疲れるだけだ」
「……そうだな」
「わんっ! わんっ! うぅ~っ、わんっ!!」
「秀頼もやめろ」
「……きゅ~ん」

これ以上のいざこざは無意味だ。
という光一の思惑を読み雄二はしぶしぶ賛同し、秀頼も主人の言う事ならと従った。

元々光一としては、雄二の自由が嫌いなのであって、幸不幸をとやかく言う気はない。

「で、どうする? 別れて遊ぶか一緒に遊ぶか」
「あっ、あたし達は別行動良いかな? 色々とやりたい事あるし」
「…………色々(ぶしゃああああっ!)」
「なんだかあたしも慣れてきたかな?」

鼻血を吹きだし倒れたムッツリーニに、動じることなくトレードマークのビン底メガネにくいっと手を当てるさやか。
ポケットからティッシュを取り出し、それ手なれた動作でムッツリーニの鼻に詰め、輸血の準備も終わらせる。

体勢的には、さやかの膝枕で。

「完璧に姉さん女房だな」
「…………否定が出来なくなりつつある」
「前からだろ。それじゃ、邪魔しちゃ悪いからこれで」

と言って、さやかとムッツリーニは別行動。
……と言うより、ベンチで膝枕となった。

「……」
「まあ待とうな霧島、ここで痛めつけたら遊ぶ時間なくなるぞ?」
「……わかった」

ちなみにそれを羨ましそうに見てた翔子に、光一は予期できた為止めておいた。

「? なんだ光一、お前にしては珍しい」
「海は結局ごたごたして、優子に愛子と特に進展があった訳じゃないんでね。だから今日こそはという意気込みを込めて援護してやったって訳」
「……わかったよ。利害の一致を提示された以上、今日は何もしねえ」

しぶしぶと言う雄二に、光一は呆れたようにため息をつく。
秀頼入りのケージを愛子に手渡すと……。

「そういう所がお前のつけいる隙なんだよ。大事になる前に直せ、巻き添えはごめんだ」
「けっ! そういうスカした態度で、敵ばっか作ってる奴にだけは言われたくねえな」
「「…………(ガンのくれ合い)」」

「あの、明久君。その……一緒に、メリーゴーランドに乗ってくれませんか?」
「え? @*#$%&%?(どうして僕と?)」
「明久よ、言語が摩訶不思議になっておるぞ。ふむっ……ワシとしては、ジェットコースターなど絶叫系が良いのう。こういうアトラクションは、男としての見せどころ満載じゃ」
「……瑞希も頑張ってる。私も頑張らないと」
「どうしよっかな? ねえ秀頼ちゃん」
「きゅ~ん?」
「もう、いい加減にしなさいよ2人とも!」

結局は、全員で遊ぶ事になった。


入場をすませ、いざ如月グランドパークへ。

「あの、明久君……その」
「ん? どうかした、姫路さん?」
「えっと……手を、ですね? あの……」
「?」

「やれやれ……」
「? 手ぇ出さないのか? お前の事だから、てっきり明久は別だっつって変な事にすると思ったんだが」
「明久の幸福はムカつくが、流石に頑張る姫路を邪魔する訳にはいかねえよ」
「ウソつけ。姫路利用して明久に攻撃仕掛けるクセして」
「だからやめなさい!」

優子の一括で、光一と雄二はバツが悪そうな顔になる
愛子の手にあるケージでは、その様子を見て秀頼は首を傾げた。

「ん?」
「? どうした光一?」
「静かに」

光一はふと、何か妙な違和感を感じ辺りを見回す。
一応スタンガンを始め、携帯出来る武器は一通り持ってきてる為、懐に手を入れつつ。

「……?」
「おい光一、まさかFFF団か?」
「いや……気の所為か?」

と言って、警戒態勢を解いた。

「そう言えばFFF団じゃが、学年試召戦争のすぐ後に大量脱退があったらしいのじゃ」

脱退した理由としては、大神白夜による弾圧を受けたくないからである。
ちなみに根本もFFF団を抜け、現在は大神白夜の威光を利用するべく、彼に取り入るために“無意味な”奮闘を続けていた

「……なのにナンパに勤しんでやがったのか、あのバカ共?」
「はっ?」
「いや、こっちの話。いや、FFF団じゃねえな……まあ気にするまでもないか」

そうポツリと呟いて、ガイドブックに目を通し始めた。

「で、どうする?」
「でしたらメリー……」
「ここはジェットコースターじゃ!」

瑞希の主張を押しのけて、秀吉が珍しく強引に意見を提案する

「なんだ? 明久の隣にでも座って“きゃーこわーい”とでもやりたいのか?」
「お主絶対わかっててワザと言っておるじゃろ!?」
「冗談だよ。じゃあ秀吉の要望にこたえて、ジェットコースターにするか。席は当然明久の隣で……」
「冗談と言ったのではないのか!?」

一応口ではそう言っていても、内心では秀吉の努力は応援してはいた。
が、流石にやりすぎと思ったのか、謝ろうとして……

「きっ、木下君! 明久君の隣はじゃんけんで決めるべきです!」
「待つのじゃ姫路、ワシは別に……」
「では最初はグーです!」

その機会が潰された。

「じゃあ優子、ボク達もね?」
「そうね。でもじゃんけんで決めるのは、先行後攻にしない?」
「そうだね」

それを見て、愛子と優子もそれに倣って和気藹々とじゃんけんを始めた。
光一はそんな彼女たちに、言い様のない嬉しさを感じている。

「……雄二」
「いやだ!」
「……怖いなら手をつないであげる」
「それは男のセリフだろ! そうじゃなくて、俺はお前と乗りたくないんだ!」
「……わかった。じゃあパンツを脱いで」
「待て! なんでそうなる!?」
「……ジェットコースターに乗らないなら、私が雄二の上に乗る」
「それでなぜそうなる!?」
「……待ってて(ぽっ)」
「わかった、乗る! ジェットコースターに乗るから愛おしげに腹を撫でるな!!」

こっちは以下同文。

「扱い悪いだろ!」
「さっきから何言ってんだお前?」
「きゅ~ん?」
「……いや、なんとなく」


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