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バカテストお休みです。
……一度躓くと、立ち直るの難しいです。
夏休みの友好旅行編
第百七十六問
売店にて

「ねえ彼女たち、そんなモヤシより俺達と遊ばない?」
「あっ、ボク達……」
「はい決定、それじゃひっ!」

道中にて

「あっ、ごめーん。手が滑った」
「でも両手に花なんだから、これくらい平気だ……ひぃぃっ!!」

行く先々で、優子と愛子狙いの嫌がらせや脅しで、逐一威嚇して追い払ってるのだが……。

「……目と頭が痛い」
「それになるの、結構負担みたいね?」
「さっきからずっと威嚇ばっかりだからね」

元々キレた状態の光一を“凶王”と称し、中学時代は恐れられていた。
それを自己催眠で無理やりキレた状態に移行させている為、光一自身も負担が大きい。

「まあかき氷買ったんだし、どこか人気のない所で静かにゆっくりと食べればいい。そう、まだチャンスはあるんだ。焦る事はないんだ、あははははっ」
「……そうね。こういう所も良いけど、静かな時間もいいと思う」
「……それじゃ、早速行こうよ」

そう言って、優子と愛子は少し壊れかけてる光一を心配しながら、ちょっと離れた人気のない岩場に……

「あっ……ダメ……」
「んっ、んんっ……」
「ふぅっ……すごい……」

行こうとして、死角になる個所から聞こえてきた声に足をとめた。

「…………」
「……なんか本気で気の毒になって来たね」
「……なんで光一って、平穏で静かな時間を許してもらえないのよ?」
「で、どうする? 混ざる?」
「えっ!? なっ、何言って……その、光一さえよければだけど」
「いや、その……」

そうだな、と紡ごうとして……。

「あれ? 光一じゃないか」
「……優子に愛子も」

雄二と翔子がやってきて、出鼻をくじかれた。
惜しくも安心したようにふぅっと息を吐き、雄二に顔を向ける。

「……雄二か」
「どうしたんだ? オアシスを見つけたと思ったら、蜃気楼だったとショックを受けた遭難者みたいな顔をして?」
「事実そうだよ。警告しとくが、この先やめとけ。お前にとって良くない事が起こってる」
「この先に? ……よし翔子、光一たちと遊ぼう。光一、確かビーチボール持ってきてたよな!? 2対2でビーチバレーを……」

「……すごい……ああっ」
「やっ……そんな、焦らなくてああっ!」

……手遅れだった。

「……雄二」
「いや、まあ待て翔子。今は……」
「そうだぞ。ここには遊びに来たんだから、そういう事は抜きにしような?」
「……わかった」

雄二はほっとし、一先ずここにいた理由は聞かずにおいた。
そして疲れてる風な光一に、疑問符を浮かべ……

「その様子だと、随分と大変だったようだな?」
「まあな。かき氷食べるだけなのに、売店で絡まれるわ道中嫌がらせされるわ、静かな所に出向いてゆっくりできると思ったら……」
「そりゃきついな。てか、混ざる気はなかったのか?」
「幾らなんでも外でやれるかバカたれ。てか、こんな事霧島に聞かれたらお前は……」
「……すまん」

本当は混ざるつもりではあったのだが、それは表情にも出さない。
知られれば今は大丈夫かもしれないが、後先でどうにもならない事態に発展する事は目に見えていたからである。

まあ自分の危機回避につながった以上、雄二は黙らざるを得ないだろうが。

「あっ、光一に雄二」
「翔子ちゃん達も」
「珍しい組み合わせじゃのう」

かき氷を食べながら集合場所に戻ると、砂で城を造ってる明久たちと合流。
明久が海水を運んで大雑把に形を造って、秀吉と瑞希が細かな調整という役割分担。

「なんだ明久、お前も両手に花かよ」
「いや、雄二よ。そこは姫路がではないかの?」
「へえっ、3人で砂の城か」
「うん。小さい頃は海に来るとよく作ってたから、ちょっと懐かしくなってね」
「懐かしがるほど、精神成長してないだろ」
「雄二うるさい」
「はいはいそこまで。それより城の後ろに立てよ明久に秀吉、姫路も」

光一はせっかくなので、記念撮影をするべく携帯カメラ(防水ケース入り)を取り出した。
それを見た3人は、城の後ろに立ってピースサイン。

「じゃ、とるぞー」

撮影すると同時に、瑞希が明久の手を取り……

パシャっ!

抱きついた形で撮影となった。
いきなりの事で反応しきれなかった明久は、腕に当たる隔てる物が普段より少ない柔らかな感触に鼻血を吹きだす。

「瑞希ちゃんもやるね?」
「はい、以前さやかちゃんに教えて貰いました。撮影時はこうすれば明久君が喜ぶって」
「さやかちゃん? 誰だそれ?」
「俺が入ってるサバ研の部長で、この前ムッツリーニに紹介した女子の先輩」
「へえっ。最近ムッツリ商会にビン底メガネの女子がバイトしてるって話があったけど、それがそのさやかちゃんとやらか?」

正確には夫婦経営である。
実際うまくはいってるし、周囲にはばれていないがそれなりに一緒にいる事が多い。

「てか、姫路に的確なアドバイスしてる所からして、随分と経験豊富か?」
「いや、多分漫画とかそんなとこからの引用だろ。あの人コスプレマニアで脱ぎ癖のある変人で有名だから、それはないと思う」
「……ムッツリーニが輸血パック増やした理由がよくわかるな」
「……雄二」

そこで翔子が話に割り込んできた。
少しぐったりとしてる明久に膝枕をしてる瑞希に、光一の鞄から出したティッシュを花に詰めてやる秀吉に目を向け……

「……私たちも撮影して欲しい」
「ああっ、良いぞ。それじゃならんで」
「いや、ふざけんな!」
「写真ぐらいで嫌がるなよ」
「……ちっ」

しぶしぶと雄二は、さっきの明久や秀吉、瑞希の様に砂の城の後ろに翔子を伴い並ぶ。
ぶすっとした表情の雄二の腕に、そっと腕をからめ……

「いででででで!」

関節を取った。

「ダメよ代表、もっと力緩めないと」
「そうだよ。こうやってね? こうすれば……」
「おいこら!!」

雄二が腕に翔子の柔らかさを感知したとたん、抗議の声を上げた。

「はい、チーズ」

パシャっ!

が、光一は無視して撮影。
構図としては良いので、文句は……

「大ありだ!」
「いや、関節技よりはいい絵だろ」
「そうかもしれんが……てか、次はお前だな」
「じゃあ頼む。ついでにいっとくが、それ解約してるからカメラ以外機能しないぞ?」
「いや、別に何かするってわけじゃないが……」

そう言って雄二がカメラを構え、光一の両サイドに愛子と優子が抱きついて……。

パシャっ!

特に問題もなく終わった。

「カメラと言えば、ムッツリーニの姿が見えないね?」
「そういえば、みてないな? おい光一」
「いや、俺も見てない」

ムッツリーニの事がばれて、妙な事にならない保証はない。

「そう言えば、玲さんに美波の姿もないわね? ……何かあるのかしら?」
「姉上よ、ショックを受けたという予想自体はないのかの?」
「ある訳ないだろ。てか、何かしでかす可能性の方がよっぽど高い」

「ちょっと久遠、それは幾らなんでも失礼じゃない」
「そうですよ。私たちなりに、色々と考えてるというのに」

そこで割り込む2人の声。
しかし予想に反して、2人の声色には怒気がない。

「? どっ、どうしたの2人とも?」
「どうしたって、まあさっきは言いすぎたから謝りに来たんじゃない」
「はい。姉さんも少々言いすぎました、確かに自慢話の後でけなされたらああ見られてもしょうがないと思いまして」
「え? ……そっ、そう? まあ僕は気にしてないから、それじゃ皆で遊ぼうか?」

明久が戸惑いつつも、2人に友好的に接し2人も嬉しそうに頷く。

「……これで反省してくれたってとこか? それなら謝らないとん?」

そこでふと光一は、美波の手に握られた1枚の紙が視界に入った。
更にチラシ配りをしてる人が目に入り、そこで配られてる紙をもらって内容を見ると……

「……成程な」

確かに感情を抑えて行動をする事を学べたは良いが、根本的に何も変わってない事に内心ため息をつき……。

「だが詰めが甘い」

一応今は安全だと判断し、光一は……。

「おーい、人数がそろったからビーチバレーしないか?」

カバンからビーチボールと空気入れにクジを出し、膨らましながらそう提案した。



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