学園祭の出し物を決める為のアンケートにご協力ください。
『喫茶店を経営する場合、ウエイトレスのリーダーはどのように選ぶべきですか?』
[①かわいらしさ ②統率力 ③行動力 ④その他( )]
また、その時のリーダー候補も挙げてください。
土屋康太の答え
『[①かわいらしさ] 候補……姫路瑞希&島田美波』
教師のコメント
甲乙つけがたいと言ったところでしょうかね。
吉井明久の答え
『[①可愛らしさ] 候補……姫路瑞希(訂正) 木下秀吉(訂正) 島田美波』
教師のコメント
用紙についている血痕が気になるところです。
久遠光一の答え
『[①可愛らしさ] 候補……姫路瑞希&島田美波』
教師のコメント
何度も書き直した形跡がありますが、誰を書きたかったのでしょうか?
坂本雄二の答え
『[その他(結婚相手)] 候補……霧島翔子』
教師のコメント
どうしてAクラスの霧島さんが、用紙を持って来てくれたのでしょうか?
清涼祭初日の朝。
Fクラスの教室はいつものような小汚さはなく、中華風の喫茶店へと変わっていた。
まあ食べ物を取り扱う店だから、小汚いと人が寄りつく訳がない。
「このテーブルなんて、ぱっと見は本物と区別がつかないよ」
そこに並べられたテーブルは、みかん箱を重ねてその上にクロスをかけた物。
演劇部である秀吉作で、小道具作りでの経験を生かした一品。
「ま、見かけはそれなりの物になったがの。その分、クロスを捲るとこの通りじゃ」
秀吉がクロスをまくると、そこには汚いみかん箱。
少なくとも、食べ物を扱う店では適切な代物ではない以上、イメージダウンは免れない。
「これを見られたら、店の評判はガタ落ちね」
「まあ大丈夫だろ。こんなところまで見る訳ないし、見てもきっと見なかった事にしてもらえるって」
「そうですね。態々クロスを剥がしてアピールするような人は来ませんよね」
「おいおい姫路、たかが学園祭の喫茶店で営業妨害するバカはいないって」
少なくとも、そんな事をするメリットは全然ない。
室内の装飾もそれなりであり、瑞希は上手く行くという期待で胸をいっぱいにして見回す。
「…………飲茶も完璧」
「おわっ!」
「むっ、ムッツリーニか……厨房はどうだ?」
「…………味見用」
明久の後ろにいつの間にかいたムッツリーニは、木のお盆を差し出した。
その上には、陶器のティーセットとゴマ団子
「わぁ……おいしそう」
「土屋、これウチ等が食べちゃっていいの?」
「…………(コクリ)」
「では、遠慮なく頂こうかの」
瑞希、美波、秀吉は手を伸ばし、作りたてで温かいゴマ団子を勢いよく頬張る。
「お、おいしいです!」
「本当! 表面はカリカリで、仲はモチモチで食感も良いし!」
「甘すぎないところも良いのう」
「やっぱり女の子。甘い物が好きなんだなぁ、3人とも」
明久の言葉にある“ミス”があったのだが、誰1人ツッコまなかった。
「お茶も美味しいです」
「本当ね~……」
おいしさにトリップしているのか、2人の目がトロンと垂れた。
それを見て、光一、明久、ムッツリーニも食欲をそそられる。
「それじゃ僕も貰おうかな?」
「ああ。たまには甘い物もよさそうだ」
「…………(コクコク)」
さらに残ったゴマ団子を、明久と光一は一口。
「「ふむふむ、表面はゴリゴリでありながら中はネバネバ。甘すぎず辛すぎる味わいがとても……ンゴパっ!!」」
光一と明久の口からありえない音が出て、目がグルンと垂れて白目をむく。
瑞希たちと違う意味で、トリップした。
「あ、それはさっき姫路が作った物じゃな」
「見たなら止めてよ! 光一がなんかぐったりとして動かないんだけど!?」
以前姫路の料理を食べてない明久は、初めて体感したその破壊力に絶句した。
「うーっす。戻ってきたぞ……って、どうして光一が倒れてるんだ?」
そこへ雄二が戻ってきた。
「あ、雄二。おかえり」
「光一はじゃな……」
「ん? なんだ、美味そうじゃないか。どれどれ?」
ゴマ団子を見るなり、雄二は“明久の食べかけ”を、何の躊躇いもなく口に運んだ。
「……大した男じゃ」
「雄二。君は今、最高に輝いてるよ」
「? お前らが何を言っているのかわからんが……ふむふむ、表面はゴリゴリでありながら中はネバネバ。甘すぎず、辛過ぎる味わいがとっても……ンゴパっ!!」
その姿に、デジャブを感じる男3人。
「……ねえ瑞希、今度は何を入れたの?」
「えっと、塩酸を入れました」
「姫路さん、光一が以前言ってた事忘れたの? お願いだから、薬品で味のイメージをするの……」
「ん? 雄二じゃないか……お前も、そうなのか?」
「ああ……何の問題もない」
突然の光一と雄二の言葉に、一旦話を止める事になった。
「あの川を渡ればいいんだろう?」
「ああ……あそこに船番が居るぞ? 行ってみよう」
「ゆ、雄二! 光一! その川はダメだ、渡ったら戻れなくなっちゃう!!」
「しっかりするのじゃ光一!!」
雄二に明久が、光一に秀吉が必死に心臓マッサージ。
「六万だと!? バカを言え、普通渡し賃は六文と相場が決まって……はっ!?」
「ふざけんな! ぼったくりもいい所……はっ!?」
2人の蘇生は成功し、尊い命が救われた。
「……姫路、お願いだから厨房に立たないで。雄二は別にくたばって良いけど、これが一般客に出回ったら確実に営業停止にされちゃうから」
「そうだよ姫路さん。雄二だから良いけど、薬品を使った物を出したりしたら問題だから」
「おいコラお前ら、俺は良いとはどういう事だ?」
「……そうします。本当に、ごめんなさい」
しょんぼりという瑞希に、光一は罪悪感にさいなまれた。
「明久、光一、いつかキサマらを殺す」
「上等だ、殺される前に殺ってやる」
「やってみろよこのゴリラが」
……が、それからの笑顔のやり取りにすっかり忘れ去られた。
こんな彼らは仲良しトリオ。
「所で雄二は、どこに行っておったのじゃ?」
「ああ、ちょっと話しあいにな」
学園長室にて、例の試験科目の指定をしてきた所である。
でもそんな事を言う訳にもいかず、適当に誤魔化した。
「ご苦労だった。喫茶店はいつでもいけるぜ?」
「ばっちりじゃ」
「…………お茶と飲茶も大丈夫」
唯一の心配事は、瑞希作の料理が混ざっているかという事。
これだけでも、相当な不安要素ではある。
「よし、少しの間喫茶店は光一と秀吉、ムッツリーニに任せる。俺と明久は、一回戦済ませてくるから」
「あれ? あの、吉井君と坂本君も出るんですか?」
「俺と秀吉も出るよ? 折角だからね」
学園長は4人に“チケットの裏事情について誰にも話すな”と緘口令を敷いていた。
「あれ? でもアキが坂本で、久遠が木下とペア?」
「こいつらも出たいって言うけど、召喚の経験が少ないからな。俺達はフォロー役だ」
「そっか……」
一応、瑞希の為に頑張ると言う事なので、美波も嬉しそうにする。
ついでに言うと、この場に瑞希が居る為大まかな事は言えない。
「もしかして、賞品が目的なんですか?」
「う~ん。一応、そう言う事になるかな?」
目的と言えば目的だが、理由と向こうの勘ぐりの内容自体は別方向だった。
「……誰と行くつもり?」
「え?」
「吉井君。私も知りたいです、誰と行こうと思っていたんですか?」
そこで、攻撃色の美波が明久に詰め寄った。
更に瑞樹まで、明久に詰め寄り始める。
「明久は俺と……」
「霧島のデートの為に協力してほしいって、雄二直々に頼まれたんだよ」
「なっ!?」
雄二がフォロー? を入れようとしたのを、光一が遮った。
ちなみに余計な事をしようとした罰も含めてある。
「じゃあチケットは、坂本にあげるつもりなの?」
「うん、そうだよ。僕の興味はチケットよりも腕輪だし、チケットなんて貰っても一緒に行ってくれる宛てなんて全然ないからね」
「そういう事。まあ俺達で優勝と準優勝した場合は、売って金にするつもり」
賞品として出される腕輪は、優勝の場合が“白金の腕輪”で、準優勝の場合が“黒金の腕輪”
白金の腕輪は、召喚獣を2体同時に呼び出せるタイプと、立会人になれる(教科指定可能)タイプの2つ。
黒金の腕輪は、自分の召喚獣を他人のそれと融合させるタイプと、立会人になれる(教科指定不可)タイプの2つ。
一応表向きは、これらで行く事にしておいた光一だった。
「おいこらテメエ! 俺の人生をなんだと……」
「っと、そろそろ時間だよ雄二。早く行かないと」
「……くっ! おっ、覚えていろ!!」
まるで小悪党の様な捨て台詞を残して、雄二と明久は教室を後にした。
「さて秀吉、俺達もそろそろ」
「そうじゃの」
と、光一と秀吉が教室を出ようとしたところで……
ガシッ!!
「ねえ久遠、木下、さっきのチケットを売るって話だけど……」
「幾らで譲ってもらえますか?」
「……まっまず、手に入ってからな?」
「うっうむ。優先すべきは雄二と霧島じゃからの?」
と言って納得して貰った上で、光一と秀吉は逃げ去った。
「……姫路、だんだんFクラスに馴染んでるな?」
「うむっ……早く設備を何とかしてやるか、明久をけしかけねばならんな」
2人は試合以上に、瑞希の壊れ具合の方が心配だった。
それから、校庭に作られた特設会場にて。
決勝は、AブロックとDブロック、BブロックとCブロックによる準決勝の勝者で行われる。
明久と雄二はDブロックの為、決勝で当たる様には考慮されていた。
「えー、それでは試験召喚大会1回戦を始めます。三回戦までは一般公開もありませんので、リラックスして全力を出してください」
で、こちらはBブロックの光一と秀吉。
一回戦の科目は数学であり、光一の得意科目である。
「ワシはあまり力になれんかも知れんが、よろしく頼むぞい」
「任せとけよ」
光一と秀吉が会場に上がり、相手と対峙。
対戦相手は、2-Eの中林宏美と三上美子。
「げっ、久遠光一に木下優子!?」
学年を代表する過激派と呼ばれるだけあって、光一の知名度は悪名が大きく起因する。
そして秀吉も、姉の優子はAクラスの完璧超人と知られており、それに瓜二つともあって勘違いされる。
「げって何だよ! それにこいつは優子の弟の秀吉だ」
「え? ……なんだ、それなら危険人物の久遠光一とはいえ、たかがFクラスコンビ。楽勝ね」
「秀吉、練習にはちょうどいい相手だ。気楽にいくぞ」
「何よ、たかがFクラスの分際で!!」
「お前らもEクラスなら大して変わらんだろうが!!」
がんの飛ばしあいを始める光一と中林代表。
それぞれ、秀吉と三上になだめられ、開始線へと戻る。
「では、始めてください」
「「「「サモン!」」」」
4人の掛け声で、場に召喚獣が姿を現した。
毛皮のジャケットを纏い、手にライフルと拳銃を持った光一の召喚獣。
青い袴に長刀という、秀吉の召喚獣がFクラスタッグとして。
野球のプロテクターを纏い、ミットとバットを持つ中林の召喚獣。
白いローブをまとい、手に本を持った三上の召喚獣がEクラスタッグとして姿を現す。
『Fクラス 久遠光一&木下秀吉 数学135点&78点』
VS
『Eクラス 中林宏美&三上美子 数学95点&82点』
「んじゃ秀吉、あの三上だっけ? そっちの召喚獣相手に練習だ」
「承知した」
「眼中にないって事!? 目にものを見せてやるわ!!」
完全に冷静さを失った中林の召喚獣が、光一の召喚獣めがけて襲いかかる。
だが……。
「大人しくしてろ」
と、ライフルを構え引き金を引き、それが中林の召喚獣の足を撃ち抜いた。
「なっ!?」
「Aクラスにこそ負けたけど、BやDとお前ら以上の相手と戦ってきたんだ。お前らごとき敵じゃない」
Eは基本部活中心の生徒が多く、試験召喚戦争に対して興味はない。
その為、光一の事やFクラスについてもてんで疎かった。
「えい、やあ!」
「むっ、はあっ!」
相手が本を振り上げ襲いかかるのを、秀吉が受け止めそのまま攻撃。
召喚獣は怪力な上に、体形も異なる故に操作も難く、単調な攻撃ばかり続く。
まあ例外として、観察処分者で操作に慣れてる明久と武器のフィーリングがある光一の場合、それ以上に高精度な動きが出来る。
「やはりなかなか難しいのう」
「そんなもんだって。でも大体はつかめただろ?」
「まあの。そろそろ良いぞ」
光一は興味なさげに指示を出し、三上と中林の召喚獣の腕を撃ち抜いた。
身動きが取れなくなると、ゆっくりと両手の銃を2人の召喚獣に突き付ける。
「そっそんな……こんな、あっさりと……?」
「俺に狙われた時点で、この運命はきまっていたんだ」
ゆっくりと引き金が引かれ、そこから放たれた弾丸は敵召喚獣の頭を撃ち抜き消滅。
「俺の弾丸は、絶対をもって敵を撃ち抜く」
「勝者、久遠・木下ペア」
立ち会いの教師により勝者が告げられ、敵側のペアは膝をつく。
秀吉と光一は、勝者らしく余裕ある佇まいでその場を去っていく。
「お主の決め台詞も中々決まっておったな? 今度演劇部で西部劇をやる予定なのじゃが、どうかの?」
「考えとくよ。それより、さっさと戻ろうぜ?」
「うむっ」
2人は一路、喫茶店へと駆け足で戻る事に。
「マジできったねぇ机だな! これで食べ物扱っていいのかよ!?」
戻ってきた教室で2人を出迎えたのは、騒ぎの声だった。
「うわ……確かに酷いな……」
「クロスでごまかしていたみたいだね」
「学園祭とはいっても、一応食べ物のお店なのに……」
周りの客も、それを見て自身のテーブルのクロスを捲りあげる。
確かにそこには小汚いみかん箱が重なっている為、衛生上良くない。
「何だよあいつら?」
「ああ、良い所に来た久遠に木下!」
「あの様子からして、営業妨害じゃな。まずいぞ光一、ここでの悪評はかなり痛手となる」
光一は懐に手を入れて、秀吉に耳打ち。
「一応用意はできるが……あっても2つ程度じゃぞ?」
「構わねえよ。少なくとも今は、アピールできさえすればいい」
「了解した」
光一の指示を受けて、秀吉が教室を駆け出した。
営業妨害をしているのは2人、中肉中背の坊主とソフトモヒカンの男。
「まったく、責任者はいないのか! このクラスの代表ゴペッ!」
光一は懐から取り出したスタンガン(20万ボルト)を、殴る様に押し付けた。
「代表はただ今不在の為、この私が承ります。何かご不満でも?」
手に持つスタンガンを除けば、模範的態度ともいえる光一の態度と佇まいだった。
「不満も何も、今連れがスタンガンで殴られたんだが……?」
「それは私のモットー“20万ボルトから始まる交渉術”でございます」
「ふ、ふざけんなよこの野郎……何が交渉ふぎゃあっ!!」
抗議すべく立ち上がった坊主が、もう1つ取り出されたスタンガンでダメージを負った。
先程使用した20万ボルトをしまい、先程より大きめの物を取り出す。
「そして、“30万ボルトでつなぐ交渉術”でございます。メインディッシュにこちらの“40万ボルトで締める交渉術”が待っておりますので」
「わ、わかった! こちらは夏川を交渉に出そう! 俺は何もしないから、交渉は不要だぞ!」
「ちょ、ちょっと待てや常村! お前、俺を売ろうと言うのか!?」
2人の名が判明した所で、とりあえず光一は“常夏コンビ”と命名した。
「なんだ? 何の騒ぎだ?」
「光一、何してるの!?」
そこへ明久と雄二が戻ってきた。
光一は得意のアイコンタクトを2人に送り始める。
「(営業妨害だ)こちらのお客様が、不満を申し出ております」
「(やはりか)これは失礼いたしました。では……」
雄二はそう言うや否や、ソフトモヒカンの常村を殴り倒した。
「では代表として、まず“パンチから始まる交渉術”を。次には“キックでつなぐ交渉術”、最後に“プロレス技で締める交渉術”にて受けさせていただきます」
「い、いや、もう十分だ。退散させてもらう」
「そうですか……では」
雄二がキックで常村を蹴飛ばし、夏川の方へ飛ばす。
そして光一が40万ボルトのスタンガンを手に、ゆっくりと歩み寄る。
「おいっ、俺たちもう何もしてないよな!? どうしてそんな物をげぶるぁっ!!」
「お前もどうしてそんな大技をぐぶるあっ!!」
光一が夏川に40万ボルトを押し付け。雄二が常村にバックドロップをかけた。
「それでは、お帰りくださいませ」
「お、覚えてろよっ!」
よろよろと坊主を抱え、走り去るモヒカン。
それでも、やった事の効果は出ている訳で……
「流石にこれじゃ、食ってく気はしないな」
「折角おいしそうだったんだけどね」
「食ったら腹壊しそうだからなぁ」
客から不安な声が出てきて、早速光一達は対処しようとする。
だが、それを遮るように教頭の竹原が席を立った。
「店、変えるか」
「そうしようか」
「あ、お客さん!」
それに合わせるように、他のお客も次々と出て行こうとする。
集団心理という物で、こうなれば次々と悪評は広まっていくだろう。
「先程は失礼しました! こちらのミスで一時的にこんな物を使っていましたが、ただ今本物のテーブルとお取り換えいたします!」
「すまぬ、遅くなった!」
光一の進言に合わせるかのように、秀吉をはじめとする男子生徒が立派なテーブルを運んできた。
風評対策にもなり、これで良しと一息。
「良くやった光一」
「ああ……けどどうなってんだよ? たかが学園祭の喫茶店で営業妨害だなんて」
「さあな……こうしちゃいられねえぞ。早く次のテーブルを確保しないと」
「そうだね。で、どこ行くの? 2回戦まで一応時間はあるけど」
「「それはだな……」」
所変わって……
「吉井君に久遠君、坂本君も! 今日という今日は、許しませんよ!」
廊下にて、化学の布施教諭の怒声が響き渡る。
そして……
「明久、光一、走れ! 捕まったら生活指導室行きだぞ!!」
「鉄人の根城!? 冗談じゃない!!」
「だったら走れ! 向こうは運動不足なのか、そんなに早くない!」
3人は先ほど応接室から盗んだテーブルを担ぎ、追手の教師から逃げていた。
「それにしても、どうして、テーブルを背負って、そんなに早く、走れるんですか……」
それを追うは、布施教諭と長谷川教諭。
ただし3人の体力についていけないのか、2人ともなかなか距離を詰められずにいる。
「こうなったら、西村先生に応援を……」
「まずい、鉄人が来たら確実に捕まるよ!
「光一!」
「おう!」
光一はポケットからベアリングを取り出す。
それを指で弾く様に構え、撃ちだす。
「うわっ!」
指弾は布施教諭の指に命中し、携帯電話は廊下に転がる。
「それでは御機嫌よう、先生方!」
「光一、連絡は?」
「ああ、してある」
布施教諭が携帯を拾っている間に、3人は全力ダッシュ。
撒いた処でテーブルを放置し、次へ。
放置したテーブルは回収班が来て、喫茶店へ運ぶ算段となっている。
「よし、次は職員室そばの休憩室を攻めるぞ! それが終わったら、2回戦だ!」
「はぁっ……僕と光一と雄二は、いつか停学になる気がするよ」
「仕方ないだろ、他に手がないのも事実なんだから! ほら、急ぐぞ!」
こうして、3人のテーブル泥棒の暗躍のおかげで、喫茶店の悪評のもとは解決した。
もうすぐ、召喚大会2回戦。
「次は英語じゃが、大丈夫かの?」
「英語は大丈夫、いつかアメリカ言って銃を撃つために勉強してるから」
「……お主、どうしてそう危険思想なのじゃ?」
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