学園祭の出し物を決める為のアンケートにご協力ください
『あなたが今欲しい物はなんですか?』
姫路瑞希の答え
『クラスメイトとの思い出』
教師のコメント
成程、お客さんの思い出になる様な、そういった出し物も良いかもしれませんね。
写真館とかも候補になりうると覚えておきます。
土屋康太の答え
『Hな本(訂正) 成人向けの本』
教師のコメント
取り消し線の意味があるのでしょうか
吉井明久の答え
『カロリー』
教師のコメント
この回答に、君の生命の危機が感じられます。
久遠光一の答え
『新しい恋』
教師のコメント
この回答と何度も書き直した跡を見て、君の哀愁の深さを実感しました
桜色の花びらが坂道から徐々に姿を消し、代わりに新緑が芽吹き始める季節。
文月学園では、新学年最初の行事“清涼祭”の準備が始まりつつあり、所々で活気があふれている。
お化け屋敷、喫茶店、展示会、などなど。
さて、我らがFクラスはと言うと……
「さて、そろそろ春の学園祭、“清涼祭”の出し物を決めなくちゃいけないんだが……」
代表の雄二は、床にござを敷いて座るFクラスに、だるそうに言った。
「とりあえず、議事進行並びに実行委員として誰かを任命する。そいつに全権を委ねるので後は任せた」
彼、坂本雄二は基本興味がない事にてんで無関心。
なので、丸投げして後はサボる事にしている。
「んじゃ、実行委員は島田という事で良いか?」
「え? ウチがやるの? う~ん……ウチは召喚大会に出るから、ちょっと困るかな?」
「雄二、実行委員なら、美波より姫路さんの方が適任なんじゃないの?」
「え? 私ですか?」
余談だが明久は映画の帰り、美波に名前で呼び合うように言われていた。
「姫路には仕切り役は向かないだろ」
「それに瑞希も召喚大会に出るのよ」
「え? じゃあ島田は姫路とペアを組んだのか」
学園祭では、試験召喚システムのプロバガンダの為、召喚獣による大会が開かれる。
形式は2対2のタッグ戦で、今回は新技術のお披露目も兼ねている為、一層力が入れられていた。
「瑞希に誘われたのよ。瑞希ってば、お父さんを見かえしたいって聞かないんだから」
「はい。お父さんったら、FクラスのみんなをFクラスってだけでバカにしたんです! 許せません!!」
「ははっ。バカなのは否定しないが、そこまで言ってくれるなんて嬉しいな。そう思わないか明久?」
「そうだね光一。それじゃ僕達も応援するから、Fクラス代表として頑張って」
「はい!」
「あー、4人とも、こっちの話を続けていいか?」
そこへ雄二が割り込み、脱線した話を戻そうとする。
「ああ、ごめん雄二。で、美波は召喚大会に出るって話だから、あまり負担は……」
「じゃあ補佐をつければいいじゃないか?」
「うーん……そうね。補佐次第ではやっても良いけど」
「そうか。ではまず皆に、副委員の候補を上げてもらう。その中から島田が2人を選んで投票したらいいだろう」
そう告げられると、教室がざわめき始める。
まあ面倒な役は御免被りたい、と思うのは皆一緒
「吉井が適任だと思う」
「やはり坂本がやるべきじゃないか?」
「前線指揮官ならやっぱ久遠だろ」
「姫路さんと結婚したい」
所々で、候補の選別が始まった。
中には、関係ないラブコールも交じっていたが。
「ワシは、光一か明久が適任だと思うのじゃが」
「って秀吉、僕もそういう面倒な役は、出来ればパスしたいな~なんて」
「俺も、どっちかというと面倒は嫌だ」
責任者となると、当然色々な責務や責任も生じる。
そうこうしていくうちに、候補が美波の手により黒板に書かれた。
『候補1……吉井』
『候補2……明久』
「さて、この2人のどちらが良いか、決めてくれ」
「ちょっと待て! それ候補を2人にした意味がないだろ!」
「どうする? どっちが良いと思う?」
「そうだな……どっちもクズだからな」
「お前らもバカ丸出しの発言をするんじゃない!」
光一のツッコミもどこ吹く風と、真剣に悩み始めるクラスメイト達。
でも結局、明久に決まることには変わりなく、しぶしぶと明久は壇上へと上がって行った。
「全く……ドンマイ明久。じゃあ俺はトイレ行ってくるから」
「早めにお願いします」
「ああ」
光一はそう告げると、教室を出てトイレに。
それから……
「ふぅーっ。すっきりした」
と言いつつ、教室の戸をあけて黒板を見てみると……
『候補1 写真館「秘密の覗き部屋」』
『候補2 ウェディング喫茶「人生の墓場」』
『候補3 中華喫茶「ヨーロピアン」』
光一の眼が点になった。
「皆、清涼祭の出し物は決まったか?」
「今のところは、候補派黒板に書いてある3つです」
「どれどれ……補習の時間を、倍にした方が良いかも知れんな」
その言葉に、全員が驚愕した。
「せ、先生! それは違うんです!」
「そうです! それは吉井が勝手に書いたんです!」
「僕らがバカな訳じゃありません!」
と、口々に明久を売り助かろうとする。
「アホ、そういうみっともない良い訳する時点で、バカも同然だ」
「その通りだ! そもそもバカな吉井を選んだ時点で、間違いだと気付かんか!?」
「いや、アンタのその発言も教育者として間違ってると思うぞ?」
「全くお前たちは……少しは真面目にやったらどうだ? 稼ぎを出して、クラスの設備を向上させようとか、そういった気持ちすらないのか?」
光一の主張はまたしても届かず、ため息交じりに鉄人はそういう。
その言葉に、クラス全員の目が輝き始めた。
「み、皆さんっ! 頑張りましょう!」
と、珍しく瑞希が率先して動き始めた。
「それで、どうする? 利潤の多い喫茶店が良いんじゃないか?」
「いや、初期投資の少ない写真館の方が」
「それだと、運営委員会の見周りで、営業停止処分を受ける可能性もあるぞ」
それに加え、クラスメイトにもやる気があふれ、意見が飛び交い始める。
「中華喫茶ならハズレはないだろ」
「それだと真新しさに欠けるな。汚い所為であまり人が来ない旧校舎だと、その特徴の無さは致命傷じゃないか?」
「ウェディング喫茶はどうだ?」
「初期投資が大きすぎる。たった2日の清涼祭じゃ、儲けは出ないんじゃないか?」
「リスクが高いからこそ、リターンも大きいはずだ!」
……が、まとまりからは程遠い光景。
所々で周りを無視し、それぞれ好き勝手な意見も出始める。
「はいはい! ちょっと静かにして」
と、美波が注意しても、全く効果がなし
「お化け屋敷とかのほうが受けると思う」
「簡単なカジノを作ろう!」
「焼きトウモロコシを売ろう!」
試召戦争のまとまりがウソの様に、ドンドン意見がばらばらに。
見るに見かねた光一が、ボストンバッグからマシンガンを取り出しおよそを狙って引き金を引いた。
「「「ぎゃあああああ!!」」」
そこからさらに、スタンガンを数本取り出し突き付けると全員手を挙げて静まった。
「ありがと久遠。決まりそうにないから、店はさっき上がった候補の中から選ぶからね!」
ブーイングが響くが、光一が美波にアサルトライフルを手渡そうとするのを見て静まった。
「ほらっ、ブーブー言わないの! この3つの中から1つだけ選んで手を上げる事! 良いわね!?」
と、強引な手で話を進める。
雄二の人選が当たりを見せた瞬間だった。
「それじゃ、写真館に賛成の人! はい、次はウェディング喫茶! 最後中華喫茶!」
そして僅差で、中華喫茶に決定した。
「Fクラスの出し物は、中華喫茶にします! 全員、協力するように!
「それならお茶と飲茶は俺が引き受けるよ」
「…………(スック)」
厨房担当を名乗り出たのは、須川とムッツリーニ。
「2人とも、料理は得意なのか?」
「任せておけ。提案したからには、自信くらいある」
「…………紳士のたしなみ」
「じゃあまず、厨房班とホール班に分かれてもらうからね、厨房班は須川と土屋のところ、ホール班はアキと久遠のところに集まって」
と、それぞれは自分の希望する班に流れ込む。
「それじゃ私は、厨房班に……」
「ダメだ姫路さん! 君はホール班じゃないと!!」
「そうだ姫路、2人しかいない女子はホールに回って貰わないと困る!!」
と、厨房班に回ろうとした瑞希を、光一と明久が必死になって止めた。
「大丈夫ですよ。あれから練習しましたから」
「いや、その練習の成果の方向によってはまずいから!」
「そうそう。それに姫路さんは可愛いから、ホールでお客さんと接した方がお店として利益が痛っ! み、美波! 僕の背中はサンドバッグじゃないよ!?」
「か、可愛いだなんて……吉井君がそういうなら、ホールでも頑張りますね」
「“でも”はやめてくれ。専任の方が効率良いんだから」
“必殺料理人”姫路瑞希、ホール決定。
「じゃあ明久、一緒に厨房行かないか?」
「そうだね。料理なんて久しぶりだから、勝手覚えてるかな?」
「その方が良いじゃろうな。危険人物ランキング1位と2位がうろつく店に、客が来ると思えんしの」
ちなみに明久は、光一のトバッチリである。
「じゃあウチは、厨房にしようかな?」
「それなら、ワシも厨房にしようかの?」
「秀吉、何バカなことを言ってるのさ!? 秀吉はそんなに可愛いんだから、もちろんホールに決まってるじゃないか!」
明久の意見を聞いて、自身を挙げようともしない美波は怒りに身をまかせようとするが……。
「まあ落ち着け島田、ここで我慢すれば明久と一緒に料理ができるだろ?」
「うぅっ……そっそうね。ここは我慢してあげるわ」
と、一旦は怒りを納める事に。
だがそれは、死亡フラグだった、
「美波ちゃんだけズルいです! やっぱり私も厨房に回って、吉井君と楽しくお料理します!」
「明久、お前と島田はホールだ! 逆らえば撃ち殺す、良いな!?」
「さすがは光一、ちょうど僕も同じくホールに出たいと考えてたところだよ!」
始まりの時点で波乱万丈なFクラス。
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