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試験召喚戦争編
第十四問
文月新聞

『僕が小さなころ、祖父がよくこう言ってました。

“明久。泥棒でも何でも良い、一番を目指して精進しなさい”

今、僕は天国にいる祖父にこの事を教えてあげたいと思います。
じいちゃん……これで、良いかい?』

以上

『女装が似合いそうな男子生徒ランキング1位』
『こいつにだけはバカと言われたくない生徒ランキング1位』
『モテそうな男子(同性愛編)ランキング1位』
『危険人物ランキング2位』

の3.5冠を達成した、吉井明久さんのコメントでした。


ちなみに、予定していたもう一名

『危険人物ランキング1位』
『敵にしたくない生徒ランキング1位』
『武器が似合いそうな生徒ランキング1位』

の3冠を達成した久遠光一さんのコメントは、取材班が黒こげで入院という不幸があり、中止。










映画館。
そこは数々のドラマが存在する。

「で、何故ワシまで一緒なのじゃ?」
「毒食らわば机までだと思って、頼む」
「皿までよ。大体名目上御仕置きとは言え、毒とは失礼ね」

明久は瑞希と美波を、光一は秀吉と優子を伴って、映画館へときていた。

「チケット代、コーラ、ポップコーン……映画館、何と恐ろしい場所!?」

明久は普段を水と塩で過ごすだけあって、その値段に驚愕していた。
というより、デートだと言う自覚そのものがないらしい。

「何シケた事言ってんだよ? 姫路や島田とのデートだって言うのに」
「そりゃ確かに嬉しいけど……どうも解せないよ。島田さんが僕と一緒に行きたがるのも、姫路さんは好きな人が居るっていうのに僕なんかと映画観に来る事も」
「少なくとも、俺と優子よりは脈があるってことだろ? ……やべ、なんか悲しくなってきた」
「ごめん……そうだよね。相棒が男らしく玉砕したんだから、僕もいっそ玉砕覚悟で行くべきだよね」

自分で自分の傷をえぐってしまい、今にも泣き出しそうな光一。
男らしくぶつかって玉砕した姿に、自分がいかに情けないかを悟らされる明久。

「やはり光一は、本気で姉上の事が好きみたいじゃの」
「一途に1人の女性を純粋に想う気持ちって、素敵ですね」
「憧れるよね」
「やっ、やめてよ。その……だってアタシは、幼馴染としか……」

改めて光一の気持ちを再確認した秀吉と、その気持ちに敬意を示す瑞希と美波。
そして、自分に対しての気持ちに揺るぎがない光一に対し、複雑な気持ちを抱く優子。

「よし、僕も男だ! 初めてのデートなんだし、これ位の出費や痛手を負う価値はあるじゃないか!」
「ほうっ、随分と引き締まった顔になったじゃないか明久」

そこへ突如、割り込む声。

「……俺も今回ばかりは、負けを認めざるを得ないぜ」

そこには、先ほど交際をする事になった、霧島翔子と坂本雄二。
ただし、雄二には手枷が付けられており、逃げられない状態だった。

「……雄二、どれがみたい?」
「早く自由になりたい」
「じゃあ、これ」

と、雄二の言い分を無視して、映画の紹介表示を指差した。

「おい待て! それ3時間24分もあるぞ!?」
「2回見る」
「1日の授業より長いじゃねえか!!」
「授業の間、雄二に会えない分の、う・め・あ・わ・せ」

雄二は翔子の手に持たれた鎖をひったくった後、そそくさと出口へと向かう。
が、先ほど光一から受け取ったある物を取り出す。

「今日は、帰さない」

映画館に悲鳴が響き渡った。

「……ある意味すごいな?」
「うん……でもあれ、光一の所為じゃない?」
「気の所為だ。俺が渡さなくても、どの道逃げられなかったと思うぞ?」

雄二達を見送った後に、6人で映画を見る事に。
明久が用意したポップコーンとコーラを手に、瑞希と美波は今か今かと楽しみにしていた。
ちなみに席は、明久を挟んで左に瑞希が、右に美波という陣形。

「どんなのか楽しみだね、姫路さん、島田さん」
「そうですね……久遠君に感謝しないと」
「そうよね……折角のチャンスだもん」

それと同時に、チャンスをくれた光一に感謝していた。


映画終了

「面白かったね」
「はい。久遠君のセンスが良くて、幸運でした」
「うん。久遠のチョイスだからガンアクションかと思ってたけど、意外とデート向きだったわね?」

3人とも、満足の様子。
優子と秀吉も、それなりに満足した様子。

「たまには映画も悪くないわね。光一、ありがと」
「演技の良い参考になったぞい。光一は姉上と2人で観たかったじゃろうがの」
「もうよせよ……むなしくなるから」

秀吉の言葉に、まるで福原教諭の様な空気を背負った光一だった。

「……光一も報われないね」
「明久……報われない恋があるからこそ、恋愛は価値があるものなんだ」
「……光一」

その言葉は、その場全員の胸に大きく響き渡った。

「お姉ーさまーー!!

そこへ、突如乱入者。

「探しましたおねえさま!」
「みっ、美春!?」

突如現れたのは、髪を縦ロールにした文月学園の制服を纏う少女、清水美春。

「誰?」
「知り合いよ」
「違います、美波お姉さまの恋人です!」

その言葉を聞いて、全員の視線が美波に集中。

「お前、そんな趣味があったのか?」
「ないわよ! うちはノーマルで、ちゃんと男の人が好きなんだから!!」
「いけませんお姉さま、男などという愚劣なブタなどにそのような事を!!」

その次に、光一と明久を見据えて射殺す様な視線をぶつけ、コンパスやカッターなどを取り出した。
それを見て光一は異様な殺気を感じ取り、懐からスタンガンを取り出す。

「この薄汚いブタ共は、今美春が処分いたします!」
「ええっ!? なっ何でいきなり?」
「問答無用、お姉さまと映画を見たその罪、死んで償いなさい!!」
「やっ、やめなさい美春!」

美波の制止も聞かず、明久や光一めがけてカッターを投擲。
だがそれは、光一のエアガンによって阻まれた。

「いきなり出てきて攻撃とは、穏やかじゃないな」
「ブタの分際でお姉さまに近づくなど、万死に値します!」
「やれやれ……島田、お前も災難だな」
「ブタの分際で、美春の愛を災難と言いましたね!? 八つ裂きにします!!」

両手にカッターを構え、光一に襲いかかる美春。
だが、光一はスタンガンの出力を最低まで落とし、投擲。

「しっ、しびれますっっ!!」
「しばらく寝てろ」

あっけなくその場に崩れ、気絶してしまった。
そこへ、警備員やら何やらが駆け寄ってくる。

「さて、逃げるぞ?」
「え? あっ、そっか。こんな場所で騒ぎ起こしたから……」
「当然、問題になるじゃろうの」

と、一目散に駆け出した。


それから、少し離れた地点にて。

「もうっ、どうしてアタシまで……」
「あの場合、他にどうしろってんだよ?」
「そうじゃ姉上、とても人の話を聞く状態ではなかったぞい」

優子は不満気に文句を漏らす。
光一や秀吉もあの場合他に手はなく、やむおえないと主張。

「はぁっ……はぁっ……」
「大丈夫? 姫路さん」
「ごめん、ウチの所為で……」

その片方では、疲れ切った瑞希に明久と美波が心配そうに寄り添っている。

「気にするなよ島田。あんなタチの悪いのに絡まれてる訳だから、むしろ同情する」
「ありがとう……美春ったらもう」
「……まあ、アタシも悪かったわ。それで、これからどうする?」

先程の襲撃があるかもしれないと考えると、そのまま続ける気にもならない。
なので、喫茶店でお茶をして帰る事に。

「席は、ちょっと男女別にしない? ちょっと、姫路さんや島田さんと色々と話したい事があるから」
「え? ……ああ、良いよ。どうせだから男同士で腹わって話そうや、明久」
「光一よ、ワシを忘れておるぞい?」

ここで、明久、光一、秀吉と男性サイド。
そして、瑞希、美波、優子の女性サイドに分かれ、お茶を楽しむ事に。

男性サイドにて。

「それで明久、おまえ告白しないのか?」
「そうじゃな。明久は姫路に島田と、両手に花じゃからの」
「え!? そっそんな事、急に言われてもさ……」

こちら側の話題は、断然明久について。
光一は脈なし、秀吉は興味なしの為。

「秀吉はどう思う? 俺としては、頭いいけど割と天然な姫路が合うと思うけど」
「そうじゃな。ワシは、割と気兼ねない関係の島田じゃと思うのじゃが」
「あのさ、島田さんの普段の扱い知らないの? あれで脈ありだったら、少なくともこう……ああいや、霧島さんを考えると、そういうものなのかな?」

危なく光一と言いそうになったのを、明久はとっさに雄二と翔子の2人を思い出す事で回避。
流石に雄二ならまだしも、光一を追い詰めるのは明久とて本意ではない。

「そういえば雄二、どうしてるんだろ?」
「今頃のんびり映画観てるんじゃねえか? スタンガン突き付けられて」
「それでは、のんびりが余計な表現じゃぞ。しかし何故じゃろうな? その姿がくっきりと想像できるぞい」

それは、3人とも例外なく想像できた。

一方、女性サイドにて。

「へぇっ、振り分け試験の時にそんな事が?」
「はい……結局、体調管理も試験のうちだと言われて、Fクラスに行く事になったのですが」
「そうなんだ……観察処分者だからって、色眼鏡で見るのは良くないってことかしらね? 今の話聞く限りじゃ、光一と気が合うのも分かる様なバカだけど、2人が吉井君に好意抱くのも分かるわ」
「ちょっ、ウチは違うわよ!」

優子の発言に、瑞希と美波は顔を赤らめた。

「でも、久遠君も良い人じゃないですか」
「そうよね。犯罪者臭いのは事実だけど、話す限り良い奴じゃない」
「それ位、わかってるわ。幼馴染だから……それさえなかったら、アタシだって」

風評を気にする優子にとって、危険人物と周りに思われてる光一を遠ざけるきらいがあった
時々それが、嫌になる事はあるが……。

「何となくだけど、島田さんとは仲良く出来そう」
「いきなり何?」
「こっちの話」

女子は女子で、盛り上がっていた。


一方、映画館にて。

「……今のうち」

ガシッ!

「……今日は帰さないと言った。退屈なら寝てて良い」
「だからそれ気絶ぎゃあああああああああああ!!」


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