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毎度のことながら、ありがとうございます。
良い評価も頂けて、感無量でございます。
試験召喚戦争編
第十三問 (試召戦争編 エピローグ)
問題 次の( )に正しい年号を記入しなさい。
『( )年 キリスト教伝来』

霧島翔子の答え
『1549年』

教師のコメント
正解。特にコメントはありません。


坂本雄二の答え
『雪の降り積もる中、寒さに震えるキミの手を握った1993』

教師のコメント
ロマンチックな表現をしても、間違いは間違いです




























「雄二、てめえコラ!!」

視聴覚室の扉が開かれ、Fクラスの武装集団が押し寄せる。

「3対2で、Aクラスの勝利です」

それに構う事なく、高橋女史はそう宣言。
そのそばでは、座りこむ雄二とその傍で雄二を見下ろす翔子。

「……雄二、私の勝ち」
「……殺せ」
「いい度胸だ、殺してやる! 歯をくいしばれ!!」
「待て明久、その前にハチの巣にするべきだ!!」

掴みかかろうとする明久を制し、両腕や肩、背にコレクションを重装備した光一が両手の銃を雄二に突き付ける。
明久はそれを見て頷き、先程光一から渡されたアサルトライフルを雄二に突き付けた。

「吉井君、落ち着いてください!」
「光一も落ち着きなさいよ!」

瑞希が明久を、優子が光一を制し、雄二から引きはがそうとした。

「大体、53点って何!? 0点なら名前の書き忘れとかも考えられるのに、この点数じゃ……」
「いかにも、俺の全力だ」
「糠喜びさせんな、このゴリラ野郎!!」

光一は更にスタンガンを取り出し、雄二に突き付けた。
だがそれは、美波によって阻まれる。

「吉井、久遠、落ち着きなさい! アンタ達だったら、30点も取れないでしょうが!」
「「それについては否定しない!」」

光一と明久の声が、寸分の狂いもなく合わさった。

「それなら、坂本君を責めちゃダメですっ!」
「くっ、3人とも何故止めるんだ!? このゴリラには喉笛を引き裂くと言う体罰が必要なのに!!」
「それって体罰じゃなく処刑です!
「待て明久、まずは逆さに吊るし上げて俺のコレクションと投げナイフの的にしないと」
「待ちなさい光一! 前半はともかく、後半が明らかに処刑でしょ!」

瑞希と優子、2人に引き留められ明久と光一は大人しく(?)引き下がる事に。

「……でも、危なかった。雄二が所詮小学校の問題だと油断していなければ、負けていた」
「言い訳はしねえ」
「潔いのは結構だが、あまりにも情けなさすぎるぞ? 手を抜いて負けるなんて」
「……ところで、約束」
「…………!(カチャカチャカチャ!)」

翔子の言い放った言葉で、ムッツリーニと明久が突如撮影準備を始めた。
その場にいなかった光一をはじめ、Fクラスのギャラリーは疑問符を浮かべる

「え? どういう事?」
「霧島さんの提案で、負けた方は何でも言う事を聞くって約束をしたの」
「……成程ね」

光一は明久とムッツリーニの思惑を理解して、ため息をついた。
翔子に視線を戻すと、瑞希に視線をやった後に雄二に視線を戻した翔子が……

「……雄二、私と付き合って」

と、言い放った。

「「「……へ?」」」

光一を除き、Fクラスの面々どころかAクラスの面々も面食らった。
それもそのはず、霧島翔子は同性愛主義者だと言う噂が、誰もがそれを疑わない程有力となっていた。
だからこそ、男性である雄二に冗談や酔狂とは思えない表情で告白する姿は、正直意外その物だろう。

「やっぱりな。お前、まだ諦めてなかったのか?」
「……私は諦めない。ずっと、雄二の事が好き」
「その話は何度も断っただろ? 他の男と付き合う気はないのか?」
「……私には、雄二しかいない。他の人なんて興味ない」

その姿を見て、全員が噂の真実を確信した。
つまりは霧島翔子についての噂は、一途に雄二を想っていたが故である事に。

「拒否権は?」
「雄二、んなもんある訳ないだろ」
「……その通り。約束だから、今からデートに行く」

と、雄二の首根っこをつかむ。

「ぐぁっ! 離せ! やっぱこの約束はなかった事に……」

と、雄二は抵抗するも何故かびくともしない。
そのまま教室を出て行こうと……

「ちょっと待った」

するのを、光一が止めた。

「……何?」
「光一……すまん、恩に着る!」
「これを貸してやる」

と、翔子にある物を手渡した。

スタンガン(20万ボルト)

「襲いかかってきたら、これを使うと良い」
「テメ、何の心配してやがる!?」
「問題ない。雄二になら襲われても良い」

問題発言だったが、誰もが絶句している状態のため特に反応は来なかった。

「じゃあ逃げようとしたら使ってくれ。俺でよかったら、幾らでも協力するから」
「ありがとう。久遠、良い人」
「良い人じゃねえ! 光一、テメ覚えてやがれ! 生きてたらぶっ殺してやる!!」
「幸せになれ、我が友(笑)よ」

と、再度雄二の首根っこをつかみ、2人は遠くへと去って行った。

「「「「……………………」」」」

去って行ったあとも、場の沈黙は今だ空間を支配していた。

「さて、Fクラスの諸君、お遊びの時間は終わりだ」

それを破ったのは、とある教師の声。

「あれ? 鉄人……鉄村先生? 俺たちに何か?」
「おい待て。今俺の名前と鉄人を組み合わせて、斬新な名字を作らなかったか?」
「あっ、すみません。鉄人先生」
「違う、鉄人に統一しろと言ったんじゃない! ……まあ良い、今から我がFクラスに補習について説明しようと思ってな」

我がFクラスという言葉に、ほぼ全員の脳裏にある嫌な予感がよぎった。

「おめでとう。お前らは戦争に負けたおかげで、福原先生から補習授業担当のこの俺に担任が変わるそうだ。これから1年、死に物狂いで勉強できるぞ」

「「「なにぃっ!!?」」」

クラスの男子全員が悲鳴を上げた。

「いいか。確かにお前たちはよくやった。Fクラスがここまで来るとは、正直思わなかった。でもな、幾ら“学力が全てではない”と言っても、人生を渡っていく上では強力な武器の一つなんだ。全てじゃないからと言って、蔑にしていい物じゃない」

負け方が負け方だけに、グゥの音も出なかった。

「吉井と久遠、そして坂本は特に念入りに監視してやる。何せ開校以来初の“観察処分者”と“過激派筆頭”。ならびに“A級戦犯”だからな」
「そうはいきませんよ! 何としても監視の目を掻い潜って、今まで通り楽しい学園生活を過ごして見せます!」
「その通り! 一筋縄でいくとは思わない事ですね。村人先生」
「……お前らには、悔い改めるという発想はないのか? それと久遠、勝手に斬新な名前をつけるな」

彼らには、その気は一切なかった。
というのは、ポーズだけだが。

「とりあえず明日から、授業とは別に補習の時間を2時間設けてやろう」
「うぇっ!? ……けど、ちと頑張ってみるか? どうせ3ヶ月何もできないんだし」
「うーん……そうだね。また3ヶ月後に鉄人の魔の手から逃れるって目標が新しく出来たから、やってみようか」
「やる気が出たのはうれしいが、もうちょっとマシな理由はないのか?」
「「ありません!」」

呆れるように言う鉄人に、2人して堂々と言い放った

「それじゃ今日はもう終わりだし、秀吉介抱してから帰るか」
「そうだね。帰って何しようかな?」
「姫路誘ってデートでもすればいいだろ。これやるから、頑張れ」

と、光一は映画のチケットを明久に手渡した。
実は“優子を誘うつもり”で買った物なのだが……。

「俺にはもう必要ないし、お前にやる」
「え? でも……」
「良いから」

と、押しつけるようにチケットを手渡した。

「ねっ、ねえ吉井! そのチケットの映画、ウチ観たかったのよ!」
「わっ私も、その映画観たかったんです! 一緒に行きませんか!?」
「え? 何々!? どうして2人して殺気立ってるの!?」

と、それを見るなり瑞希と美波が、我先にと明久に詰め寄った。
それを見て、光一は笑みを浮かべる……が、どこか哀愁を背負っているのはお約束。

「……良いよなあ、明久も雄二も」
「何黄昏てるのよ?」
「親友がモテて、俺はお前に改めてボロクソにフラれたんだ。そういう気にもなるよ」

実際、その所為で試験召喚戦争に勝った側として、罪悪感を感じた優子だった。

「それにしても、まだ諦めてなかったのね?」
「俺もそのつもりだったよ……で、何でまだいるんだよ?」
「忘れてない? Cクラスの事」

光一はすぐさま逃げようとしたが、優子に首根っこをつかまれ失敗。

「ちょっ、待て! あんな事言われた上にこれ以上の罰なんて、理不尽にも程がある!!」
「それもそうだけど、だからと言って許す理由にはならないわ。まあ体罰は勘弁してあげるから、今日は買い物に付き合って貰うわよ?」
「名目が名目だから嫌な予感しかしねえ!」

光一は瑞希と美波に圧されてる明久に目をやると、明久も頷いた。
まあ光一が原因だと言うのは、おいておくとしてだが……。

「鉄人先生、やっぱり補習今からやりましょう! 個人で良いですから!!」
「そうです。思い立ったが仏滅ですよ!」
「吉日だバカ。まあお前たちがやる気なのはうれしいが……まあ無理をする事はない。それに吉井も久遠も、彼女が出来れば少しは更生するかもしれんしな。先生は大いに応援してやるぞ」

普通に考えれば、ある意味男女交際を応援する様な事。
だが2人には地獄へ突き落される様なことこの上ない。

「おのれ鉄人! 僕たちが苦境にあると知った上での狼藉だな!? こうなったら卒業式の日に、伝説の木の下で釘バットをもって貴様を待つ!!」
「じゃあ俺はクリスマスイブの夜、雪の降りつもる公園でバルカン砲を持って貴様を待つ!!」
「斬新な告白だな、おい」

鉄人に詰め寄ろうとしたところを、明久は美波に、光一は優子にネクタイをつかまれ引っ張られる。

「逃げようったってそうはいかないわよ、吉井」
「そうよ光一。私の風評に傷を付けてくれた罪、きっちり償って貰うわよ?」
「では吉井君、この際3人で良いですし、久遠君に木下さんも同伴でいいですから行きましょう」

明久の方はそれに瑞希も加わり、左腕を抱きかかえるように引っ張り始める。

「ちょっと待って姫路さん! なんで雄二の事をほっといて、僕と映画を観たがるの!?」
「坂本君? 何のことですか?」
「え!? だって……もしかして、違うの!? じゃあ誰が」
「無駄口叩いてないできなさい!」
「ぐぶっ! ちょっ、ぐるじ……」

美波が引っ張る力を強め、ネクタイが首を締め付ける。
瑞希もそれに構わず、ただ引っ張る事に必死になっていた。

「なあ優子、手を離して。秀吉介抱しないと」
「そうね。じゃあ一緒に行ってあげるわ? そう言って戻ってこない可能性も否定しきれないし」
「少しは信用してくれ!」

とりあえずだが、明久と光一をはじめ、先行した雄二には幸せそうで不幸なひと時が待っていた。


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