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試験召喚戦争編
第十一問
問題
『PKOとは何か、説明しなさい』

姫路瑞希の答え
『Peace‐Keeping Operetions(平和維持活動)の略。国連の韓国のもとに、加盟各国によって行われる平和維持活動の事。

教師のコメント
そうですね。豆知識ですが、United Nations Peacekeeping Operetionsとも呼ばれたりします。余裕があれば、覚えておくといいでしょう

久遠光一の答え
『PK Offsideの略』

教師のコメント
それはサッカーです


土屋康太の答え
『Pants Koshi-tsuki Oppaiの略。世界中のスリーサイズを規定する下着メーカー団体の事』

教師のコメント
君は世界の平和をなんだと思っているのですか。


吉井明久の答え
『パウエル、金本、岡田の略』

教師のコメント
それはセ界の平和を守る人たちです。










補給試験も終わり、本日いよいよAクラスへの宣戦布告を控えた日。
秀吉は姉の脅威から逃れるべく、光一の家で命の保護と勉強会。

「すまぬのう……」
「いや……考えてみたら、お前の姿がないのは不安を煽られるから」

彼らはクラスを救うある作戦の副作用に怯えつつ、日々を過ごしていた。

「さて、今日はいよいよAクラスへの宣戦布告だ。あの卓袱台と腐った畳、座布団とお別れか」
「もしくは、敗北してあれよりもひどくなるか……じゃの?」

試験召喚戦争は、下位勢力が敗北した場合は設備を1ランク下げられる。
Fクラスが最低であるから、負けた場合は具体例はない。

「まあ泣いても笑っても、今日で運命はきまるんだ。頑張ろうぜ?」
「そうじゃの……むっ、光一よ。あれは明久ではないか?」

秀吉の視線の先には、交差点に差し掛かっている明久。

「ん? おーい明久ー!」
「あっ、おはよう光一、秀吉」

ドンっ!

「わっ!」

そこで、明久は誰かとぶつかり尻もちをついた。

「あいたたた……ごっごめんなさい」
「あっ、こっこちらこそ……っ! 君は、Fクラスの吉井君!?」

明久がぶつかった人物は、明久に気がつくと顔を赤らめた。
その熱のこもった視線を向けられた明久は、背に妙な寒気が走る。

「なんだ、どうした?」
「どうしたのじゃ?」
「貴様、Fクラスの久遠光一!?」

光一と秀吉が駆け寄ると、久保は光一の姿を見るや否や、敵意をこめて睨みつけた

「ん? ああ、確かAクラスの」
「いかにも、学年次席の久保利光だ」

指でメガネを直し、キリッとした佇まいを見せる久保利光。
Aクラス所属、学年次席にして同性愛趣味を持ち、吉井明久(♂)に好意を抱く男。
その目は、明久に熱烈な視線を向けている。

「ほら明久、立てるか?」
「あっ、うん。ありがと」
「なっ!? ……なんて羨ましい」
「何ボーっとしてんだ? あんたこの時間、いつも教室で予習してんだろ?」
「っ! ……そうだったな。では、失礼する」

名残惜しそうに明久を見て、その次に光一を射殺す様な視線で見る久保氏

「……おのれ久遠光一!」

と、密かに呪詛をぶつけて、去って行った。
彼の姿が見えなくなるや否や、明久は急にほっと一息をついた。

「どうした、明久?」
「気の所為か、久保君に会ってからの妙な寒気が、治まった気がするんだけど……?」
「それはお前が正常である証拠だ」
「うむっ、むしろ喜ばしい事なのじゃ。気にするでないぞい」

秀吉がうんうんと頷くのをみて、首を傾げる明久だった。
その様子を見て、光一は言い様のない感情が腹の中で渦巻くのを感じた。

「それよりも光一よ。やはり久保には嫌われておるのう」
「だろうな。相棒と宣言してるから、面白くないだろうことは理解できるけど」
「それに加えて、校内ではお主と明久の絡み合う本が、ベストセラーとして出回っておる始末じゃ」

“バカと銃神とバラの世界”(明久×光一 本人許諾なし)
文月学園の腐女子の間では、ダントツのベストセラーとして人気の一品である。

「……僕と、光一が?」
「ちなみに2番目が明久と雄二で、3番目は光一と雄二だそうじゃ」
「おえっ……何であのゴリラ野郎が出て、お前が出てこないんだ? それにどうしてお前がそんな事知ってる?」
「ワシに聞かれても困るぞい。演劇部で女子部員がその手の話をしておるのを聞いたのじゃ」

朝から知りたくない世界を知ってしまい、吐き気が治まらなくなった光一と明久だった。


そして、Fクラス教室にて。

「まずは皆に例を言いたい。周りの連中に不可能だと言われていたにも関わらずここまでこれたのは、他でもない皆の協力があっての事だ。感謝している」
「ゆ、雄二、どうしたのさ。らしくないよ?」
「ああ、自分でもそう思う。だが、これは偽らざる俺の気持ちだ」
「でもまだ早いぞ? そういうのは、終わってから言うもんだ」
「ああ。ここまで来た以上、絶対にAクラスにも勝ちたい。勝って、生き残るには勉強すればいいってもんじゃないという現実を、教師どもに突き付けるんだ!!」

雄二の宣言で、Fクラス全員が歓声を上げた。

「おおーっ!」
「そうだーっ!」
「勉強だけじゃないんだーっ!」

Dクラス、Bクラス相手に勝利した自信が、彼らを奮起させていた。
全ては雄二のシナリオ通りに事が進んでいる事も、それを大いに助長させている。

「皆ありがとう。そして残るAクラス戦だが、これは一騎打ちで決着を付けたいと考えている」

主要メンバーは既に耳にしており驚きはしなかったが、他はざわめき始めた。

「どういう事だ?」
「誰と誰が一騎打ちするんだ?」
「それで本当に勝てるのか?」

当然、いきなりこんなことを言われれば、動揺するのも無理もない。
だが雄二はそれに構わず、机をたたいて皆を鎮める。

「落ち着いてくれ、それを今から説明する。やるのは当然、俺と翔子だ」
「バカの雄二が勝てる訳ない……」

ヒュッ! (カッターが投げられた音)
カシンッ! (カッターがエアガンの弾に弾かれた音)
トンッ、カラカラ! (カッターが畳に落ちる音)

「光一、邪魔をするな」
「明久の言い分も最もだろ。カッターを投げる暇があったらさっさと説明しろ」

雄二の視線の先には、エアガンを構えた光一。
その銃口は、カッターの射線に向いていた。

「……まぁ、その通りだ。まともにやり合えば勝ち目はないかもしれないが、それはDクラス戦もBクラス戦も同じだっただろう? まともにやり合えば、俺たちに勝ち目はなかった。今回だって同じだ。俺は翔子に勝ち、FクラスはAクラスを手に入れる。俺達の勝ちは揺るがない……俺を信じて任せてくれ。過去に神童とまで言われた力を、今皆に見せてやる!」

「「「おおおぉーーーーーっ!!」」」

信頼の証として、全員が雄たけびを上げた。

「さて、具体的なやり方だが……一騎打ちは、フィールドを限定するつもりだ」
「フィールド? 何の教科でやるつもりじゃ?」
「日本史だ。ただし、内容は小学生程度、方式は100点満点の上限あり。召喚獣勝負ではなく、純粋な点数勝負とする」

試験召喚戦争は、テストの点で雌雄を決する物である。
だからこそ、テストの点を用いた勝負であれば、方法次第では採用される。

「でも同点だったら、きっと延長戦だよ? そうなったら問題のレベルも上げられちゃうだろうし、ブランクのある雄二には厳しくない?」
「おいおい、あまり俺を舐めるなよ? 幾らなんでも、そこまで運に頼り切ったやり方を作戦などというものか」
「じゃあ、この作戦のからくりは一体何なんだ? もったいぶってないで教えろよ」
「それもそうだな。それはある問題が出れば、アイツは確実に間違えると知っているからだ」

確実に間違える問題。
それを聞いて、全員が静まった。

「その問題は……“大化の改新”!」
「大化の改新? 誰が何をやったみたいな問題、小学生でやったか?」
「いや、そんな掘り下げた問題じゃない。単純に年号を問う問題だ、その問題が出たら俺達の勝ちだ」
「大化の改新って言うとえっと、鳴くよウグイス? いや、良い国創ろう? ……あっ、そうだそうだ。無事故の改新625年だっけ?」
「645年だ! 明久でもやらん様な間違えをするんじゃない!」

久遠光一は、日本史を壊滅的にダメな科目の1つとしていた。
ちなみに明久は、それを聞いて顔をそむけたのは別の話。

「だが、翔子はお前が今言った年号に絶対に間違える! これは確実だ、だからその問題が出たら俺達の勝ちだ! はれてこの教室とはおさらばだって寸法だ!」

そこまで断言するあたり、信用する価値はある。
そう結論付けるには、十分な自信を持つ雄二の姿だった。

「あの、坂本君?」
「ん? なんだ、姫路」
「霧島さんとは、仲が良いんですか?」

それを聞いて、明久は訝しげに雄二を見た。
姫路瑞希にも好かれていて(明久視点)、学年首席の霧島翔子とも良い関係かもしれない。
それを彼が許せるかは……

「ああっ。俺と翔子は“幼馴染”だ」

答えは“No”である。

「総員、狙えええ!!」

その言葉に明久は激高し、号令を上げた。
それを受けてクラスメイト達は、アサルトライフルやマシンガンを雄二に向けて構え始める。

「なっ!? 何故明久の号令で急に構える!?」
「黙れ男の敵! Aクラスの前に貴様を殺す!!」
「俺が何をしたと!?」
「待て! それ全部俺のコレクションじゃねえか! いつの間に抜き取った!?」

光一がいつも持ち歩いてるボストンバッグが、いつの間にか空となっていた。

「ごめん光一、でもあいつを抹殺するにはこれが良いんだ!」
「だったら弾代含めてレンタル料1人1000円出せ!」

という言葉に、全員が光一に向って千円札を手渡す。
(明久を除いて)人数分ある事を確認したら、ゆっくりと自分の席に座った。

「光一! てめえ俺を助ける為に止めたんじゃなかったのか!?」
「これをコレクションなしでどう止めろってんだよ?」
「この役立たずのモヤシ野郎が!」
「良いかみんな、射撃というのはだな?」
「何射撃の講義始めやがんだ!? しかもいつの間にお前まで構えやがった!!?」

いつの間にか両手に自動拳銃を持ち、それを雄二に向けて構える光一。
その手をそのままに、射撃についての講義を始めた。

「そっそれより、光一だって木下優子と幼馴染だろ!?」
「ちょっ、それは今関係ないだろ!」

明久を除く級友が彼にも殺意を向け、半分が光一にも銃を構えた。

「ちょっ、ちょっと待て! 優子とはもう何でもないぞ!!」
「もうって、まさか光一、木下優子さんといい関係だったとか!?」
「それは違うのじゃ明久。光一は姉上にフラれておるのじゃから、そんな事ありえん」

時が止まった。

「ひっ、秀吉? 光一、今にも崩れそうなんだけど……?」」
「え? ……あっ、すっすまぬ……」

古傷をえぐられ、その場にうずくまってしまう光一。
その姿を見て、原因を作った張本人は罪悪感を感じる。

「……まあ、その、なんだ……光一、すまなかった」
「…………昔だよ。気にするな……」
「そっか……幼馴染だからって、それが良い関係であるとは限らないんだね」

その姿に何も言えなくなり、全員が銃を下した。

「あの、吉井君?」
「ん? 何、姫路さん?」
「吉井君は、木下さんや霧島さんが、好みなんですか?」
「そりゃ、まあ。美人だし……えっ、どうして姫路さんは僕に向かって攻撃態勢を取るの!? それと島田さん、どうして君は僕に向かってなんて危険な物を投げようとしてるの!?」

攻撃態勢を取る瑞希と、教卓を持ち上げて明久めがけて投げようとする美波。
その2人に問い詰められ、明久の命は風前のともしび。

「とにかく、俺と翔子は幼馴染で、小さい頃間違えてウソを教えたんだ」
「それが、大化の改新かの?」
「そうだ。アイツは1度覚えた事は、決して忘れない。だから今、学年トップの座にいる。だが俺はそれを利用し、アイツに勝つ! そうしたら俺達の机は……」

「「「システムデスクだ!」」」

その傍らでは、テンションは最高潮だった。

「今から宣戦布告に行くぞ、ムッツリーニと秀吉も用意しろ」
「っ! すっすまんが、ワシは勘弁してくれんかの? せめてもの詫びに、光一の看病をせねば」
「ふーん。じゃあ任せるぞ」

明久、瑞希、美波、ムッツリーニを伴った雄二は、一路Aクラスへ。

「本当にすまんかった」
「いや、良い……もう吹っ切ってたはずなんだけどな」
「すまぬな……さて、雄二達は大丈夫じゃろうか? 特に姫路が心配じゃ」
「ああっ、あの噂か?」

霧島翔子は、言いよって来る男性を軒並み断っている。
その事から、同性愛主義者という話が囁かれていると言う。

「所詮噂だろ? 幾ら言いよって来る男を軒並み断ってるとは言え、安直過ぎる噂だと思うがな」
「それもそうじゃが、万が一という事もあり得るぞい」
「いや、万が一が一般的になってる方がおかしくないか? 幾らこの学園は変人が多いとは言え」
「言われてみれば、そうじゃな」

その後、戻ってきた雄二達から勝負方式が伝えられた。

10時より始め、一騎打ち5回で3回勝った方の勝ち。
教科選択権は、Fクラス3回でAクラス2回。

Fクラス VS Aクラス
バカ対エリートの戦いが、今始まる。


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