問題 この英単語の正しいアクセントを答えなさい。
“imagination.”
姫路瑞希の答え
『imagina’tion.』
久遠光一の答え
『imagina’tion.』
教師のコメント
正解です。一般的に“――tion”と言う単語は“tion”の前の母音にアクセントが付きます。
覚えておくと良いでしょう
土屋康太の答え
『i’m’a’g’i’n’a’t’i’o’n’.』
教師のコメント
数打てば当たると言う物でもありません。
吉井明久の答え
『imagination!』
教師のコメント
たまに君は天才なんじゃないかと錯覚する事があります
授業が終わり、放課後。
帰り支度をしてる光一に、明久が歩み寄る。
「ねえ光一、頼みがあるんだけど」
「頼み?」
「うん。今日だけどさ、光一の家に泊めてくれない? 一緒に期末テストの勉強しようよ」
ざわっ……
「おい……聞いたか今の……?」
「確かに聞いたぜ。にわかには信じがたい事だが……」
「まさか、アイツらがな……」
「ああ。まさかあの吉井と久遠が……」
「「「期末テストの存在を知って居るなんて……」」」
「あのゴミ共には合コンの話を先に延ばすとして、俺は構わないぞ? 1人より2人でやる方が効率いいしな」
「うん。流石は光一、わかってくれて嬉しいよ」
「ちょっと待て」
明久と光一のやり取りに、雄二が割り込んできた。
今朝からの様子がおかしい事を含め、ハッキリさせたい事が色々とある故に。
「一体どうしたんだ明久? 光一に頼るのはいつもの事だが、どうして家に泊まりたがる?」
「いや、ホラ。昼休みの事があるでしょ? “試験召喚システムのデータがリセットされる”とか“期末テストの結果が悪いと夏期講習がある”って。木刀と学ランなんて装備は卒業したいし、夏休みも満喫したいし、頑張ってみようかな~なんて」
「…………明久らしくない」
「そうね。アキがその程度の理由で勉強をするなんて思えないわね」
そこへいつものメンバーが集まる。
明久の態度に疑問を持ち続けていたが故に、いい加減はっきりさせたいと思っていた。
「無理に聞き出そうとするなよ」
「久遠は気にならないの?」
「明久が嫌がるって言うんなら、無理に聞き出そうとは思わねえよ。寧ろお前らの方が図々しいだろ」
光一の言い分は通らず、全員が明久の家に何があったかに興味を持っていた。
明久のだんまりも通用はせず、雄二が胡散臭そうに目を細める。
「友達に隠し事なんて恥ずかしいと思わないのか?」
「俺も明久もお前を友達だと認めた覚えはないんだが」
「奇遇だな、俺もだ」
「行くぞ明久、時間の無駄だ」
「そうだね」
帰り道にて。
「なんで全員がついて来てるんだ?」
「なんでって、明久の家に行くに決まっているだろう」
「えーっと……」
「携帯取り出してなにする気だ!?」
「ちょっと優子にメール」
「木下経由で翔子にデタラメ言い含める気か!?」
雄二は優子も自由に対する障害であり敵であると、既に認識していた。
光一もそれをわかってるからこそ、そういう行動に出たのだが。
「じゃが、確かに気になるぞい。光一にまで黙っておる辺りが尚更に怪し過ぎるのじゃ」
「あー……考えてみたらそうした方が良かったかな? それに秀吉だって理解してくれると思うし」
「秀吉? ……成程、そう言う事か」
自分と秀吉の共通点を考えて、光一は成程と頷いた。
「となると、仕方ないな……どうせ言っても聞かないだろうから、妙な事にならんよう俺も一緒に行くか」
「ならワシも行くかの。明久が光一にまで隠したい事となると、流石に無理にと言うのも気が引けるがの」
「……僕の味方は光一と秀吉だけだよ」
「やっぱり久遠は……」
「じゃあ、優子ちゃんと愛子ちゃんは隠れ蓑……?」
バチバチバチっ!!
「「ひっ!」」
「そういういかがわしい想像は力尽くで止めるからな!!」
「「ごっ、ごめんなさい!!」」
懐から6本のスタンガンを取り出し、威嚇するように電源を入れると2人は震え上がった
「…………でも、明久は滅多に隠し事をしないから、何があるか楽しみ」
「そうだな。光一にまで隠す辺り、どんな事があるか……もしや女でも出来た、とかか?」
ドドドドドドッ!!
「あ、アキっ! どういう事!? 説明しなさい!!」
「む、むぅ……明久に伴侶か……友人としては祝うべきなのじゃが、なんだか釈然とせんと言うか、妬ましいと言うか……」
「…………裏切り者……っ!」
雄二の一言に、まず美波が明久の胸ぐらをつかみ詰め寄り、秀吉が戸惑い、ムッツリーニが明久を睨む。
「落ち着けって。だったらお前らはともかく、味方の俺に黙ってる必要がないだろ?」
「そうですよ、明久君が私達に隠れてお付き合いなんて、そんな事をする筈がありません。私は明久君を信じてます。ね、明久君? 私達に隠れてそんな人がいたりなんて、シマセンヨネ……?」
「信じてるんならその病気みたいな目はやめろ。子供どころか大人が見ても泣き出しそうだから」
光一は頭痛がする頭を押さえながら、いつもの話を聞かない雰囲気を感じ取る。
仕方ないので、こっそりと秀吉に耳打ち。
「……なあ秀吉、いい加減認めろよ。明らかに明久に彼女が出来たら困る、みたいな態度だったぞ?」
「なっ! ……何を言うのじゃ光一、ワシは男じゃぞ?」
「……でも否定できない要素がありまくりだ」
「うぅっ……」
そして明久の家にて。
「大丈夫か?」
「……考えてみたら光一に話してれば避けられた事かも知れないし、諦めるよ」
「別に気にする事ないのに。霧島雄二じゃあるまいし、話したくない事なら別に責めやしない」
「勝手に俺を婿入りさせるな!」
「……友達ってやっぱりこうだよね。光一がいてくれて本当によかったよ」
明久は光一の優しさに、目が少しうるんで居た。
「本当に彼女がいるのかしら……」
「少々緊張するのう……」
「大丈夫です。そんな事、ありません……っ」
明久が諦めたようにカギを取り出し、玄関のドアを開けた。
そして全員を招き入れ、リビングに入ると同時に……
「いきなりフォローできない証拠がぁーっ!?」
室内に干されているブラジャーと言う光景が飛び込んできた。
明久が慌てて洗濯ものを回収すると、ゆっくりと皆の方に振りかえり……
「……これ以上ない物的証拠ね!」
「そ、そうじゃな……」
「…………殺したい程、妬ましい……!!」
「誰1人彼女以外の可能性は思い浮かばんのか!?」
光一は既に察していたが、全員彼女がいて既に同棲していると勝手に決定づけていた。
「それとムッツリーニ、お前島津先輩はどうしたんだ?」
「…………なにもない(かぁぁっ!)」
「ああそうかい」
とりあえず場を納める事が先だと、ムッツリーニは無視する事にした光一。
そんな仲、1人落ち着いたままの瑞希が明久に歩み寄る。
「ダメじゃないですか、明久君」
「え? 何が?」
「あのブラ、明久君にはサイズが合っていませんよ?」
「「「コイツ認めない気だ!」」」
光一も流石に予想外の意見の為、全員と一緒になってツッコんだ。
「姫路さん、これは僕のじゃなくて!」
「あら? これは……ハンペンですね」
「「「ハンペェン!?」」」
明久が弁明しようとすると、瑞希の視線はリビングの卓上に向いていた。
そこに置いてあった化粧用のコットンパフをみて、ハンペンだと言い切った。
「おい光一、お前どうせ何か感づいてるんだろ? 何か言ったらどうだ?」
「感づいてはいるけど、この空気でどうやって言えば良いんだか? ……ん?」
そこで光一の目に飛び込んだのは、食卓の上に置かれていた弁当。
内容からして、女性用のヘルシー弁当。
「…………」
「ひ、姫路さん……? どうしたの……? そのお弁当が何か……?」
「……もう、否定しきれません」
「ちょっと待って! どうして女物の下着も化粧品もセーフなのに、お弁当でアウトになるの!?」
「やれやれ……なあ明久、さしずめ姉でも帰って来てるんだろ?」
光一の言葉に、明久が驚いたように目を見開いた。
「え!? うっ、うん。実は姉さんが今仕事の都合で帰って来てるんだけど、良くわかったね?」
「この状況を考えたら、普通真っ先に思いつく筈だがな? それにさっき俺と秀吉なら理解できるって微かに呟いてたろ?」
光一の言葉を聞くと、全員ようやく納得いく様な顔に。
「そ、そうよね。アキに彼女なんて居る訳ないもんね」
「…………早とちりだった」
「ホッとしたぞい」
「そうですか、明久君にはお姉さんがいたんですね。良かったです……」
全員が安著の声をあげるが、光一と雄二は別の疑問に気付く。
「成程な……だがそれだけで何故家に帰るのを嫌がる上に、光一にまでその事を黙ってた?」
「うっ……じっ、実は僕の姉さんは、かなり、その……珍妙な人格をしていると言うか……常識がないと言うか……ある意味光一のお兄さんがまともに思える人だから、一緒に居ると大変で、それで家に帰りたくなくて」
「兄貴がまともに!?」
自分の兄も相当だというのに、それがまともだと言う事に光一が珍しく驚いた
「あ、アキが非常識って言うなんて、どれだけ……? しかも久遠のお兄さんがまともって……?」
「むぅっ……この上なく恐ろしくはあるが、気になるのう……」
「…………恐ろしくはあるけど、是非会ってみたい」
「そうですね。ちょっと怖いですけど、会ってみたいです」
その場全員が明久の姉に興味を持った。
あの大神白夜がまだまともに思えるほどの人と言う事で、怖いもの見たさも働いている。
「あー……なんだ。お前ら、そう言う下世話な興味はよくないぞ。誰にだって、隠したい姉とか兄とか母親とか、そんなもんがいるモンだからな」
「……明日は隕石、いや太陽か?」
「どっ、どうしよう光一、人類滅亡!? 太陽系の危機!?」
「折角の優しさをなんて受け取り方しやがる!?」
ガチャッ!
「あら……? 姉さんが買い物に行っている間に、帰って来ていたのですね。アキ君」
「ん? どうやら帰ってきたみたいだな」
「うわわわわわわっ! か、帰ってきた! 皆、早く避難を……」
「明久君のお姉さんですか……? ど、ドキドキします……!」
「う、ウチ、キチンとあいさつ出来るかな……?」
慌てる明久を余所に、全員がリビングの扉を見つめ明久の姉の姿を待つ。
そして扉が開き……
「あら。お客さんですか。ようこそいらっしゃいました。狭いですが、ゆっくりとして行ってくださいね」
「「「お、お邪魔してます……」」」
「……」
ショートヘアーの若い女性が現れ、挨拶したので全員がそれを返す。
そして光一は、その女性をいぶかしげに見ていた。
「失礼しました。自己紹介がまだでしたね、私は吉井玲と言います。皆さん、こんな出来の悪い弟と仲良くしてくれて、どうもありがとうございます」
「ああ、どうも。俺は坂本雄二、明久のクラスメイトです」
「…………土屋康太、です」
「……久遠光一だ」
「始めまして、雄二君に康太君に光一君」
光一はまだ疑問の視線を向けていたが、雄二は小声で明久に問いかけ始める。
(おい明久、普通の姉貴じゃないか。これで大神白夜がまともに見えるだなんて、お前はどれだけ贅沢者なんだ。俺なんか、俺なんか……っ!)
(落ち着け雄二、まだそう判断するのは早い)
「ワシは木下秀吉じゃ、よしなに。初対面の者にはよく間違われるのじゃが、ワシは女ではなく……」
「ええ、男の子ですよね? 秀吉君、ようこそいらっしゃいました」
「わ、ワシを一目で男だとわかってくれたのは、主様だけじゃ……!」
相当に嬉しいのか、感動する秀吉。
今までを思いかえすと、確かに秀吉って初対面じゃ絶対女と間違われるなと他人事のように光一は思っていた
「勿論わかりますよ。だってウチのバカで不細工で甲斐性なしの弟に、女の子の友達なんて出来る訳がありませんから」
「酷い判断基準だな!」
「ですから、こちらの2人も男の子ですよね?」
光一の言う事を無視して、あっさりとそういってのけた。
「ちょ、ちょっと姉さん!? 出会い頭になんて失礼な事を云うのさ! 3人ともきちんと女の子だからね!?」
「明久! ワシは男であっておるぞ!?」
「……女の子、ですか?」
明久の台詞に反応した玲が、ゆっくりと明久に極寒の表情を向ける。
「アキ君はいつの間に家に女の子を連れてくる様な不埒な子になったのですか?」
「あ、あの、姉さん? これには……」
「辞世の句を詠みなさい」
「待って! いきなり殺されるの!?」
「不純異性交遊の罰です。大人しくしていれば楽に……」
ブスッ! バタッ……!
「大丈夫か明久?」
「うっ、うん……ありがとう光一」
麻酔銃をしまうと、光一は痛む頭を押さえる。
「ホントに兄貴より性質悪いな。こりゃ俺にまで知られたくない訳だわ」
「そうだな……すまん明久、さっきは酷い事を言った」
「まさか雄二に優しくして貰う日が来るなんて思わなかったよ」
少し意外そうに雄二を見る光一と明久。
そうこうしてるうちに、倒れていた玲が目を覚ます。
「あら? いつの間に……」
「明久に辞世の句をって言ってからぶち殺した後、疲れて寝たんですよ」
「そうでしたか。来客がいらっしゃるのに、とんだ無礼をしてしまいましたね」
「ぶち殺したって所に違和感ないのか!?」
冗談で言った事なのに、あっけらかんとそう返された事に光一は驚く
確かにある意味兄より性質が悪いと、再度納得していた。
「えっと、ごめんなさい。話がそれてしまいましたね。貴女方2人の名を伺ってもよろしいでしょうか?」
「あ、はい。申し遅れてすみません、。私は姫路瑞希と言います、明久君のクラスメイトです」
「ウチは島田美波です。アキとは……友達です」
本当はガールフレンドだとでも言いたかったのだが、そんな事言えばどうなるかはわかっていた。
それとなく光一が懐の物を玲に見えない様、美波に見せていた為でもある。
「しかし、お前も苦労してるんだな」
「わかってくれて嬉しいよ」
疲れた様子の明久に、そっと光一が優しく声をかける。
その様子を見た玲が一言。
「不純な同性との交遊は許可します」
「するなそんな下らん事!! ……ん、待てよ?」
怒鳴り返した所で、ふとある事に気付き冷静になる様に自分を促し始める。
そこでやるべき事をまとめると、即実行。
「ちょっと質問、秀吉はその許可の範囲に入ります?」
「ええ、許可します」
「何で異性がダメで同性がいいのかはこの際おいとくとして、じゃあ色々と話があるんで良いですか?」
「良いですよ。ですがその前に折角皆さんがいらっしゃった事ですし、お夕食を一緒にいかがでしょうか? 大したおもてなしはできませんが」
という玲の提案に、皆賛同。
そこで瑞希と美波が、光一にちょっと離れる様に促す。
「なんだ?」
「アンタまさか、これを利用して木下とアキを……」
「ずるいです! それなら私達だって……」
「勘違いするな。俺は誤解解いてやるとは言ったが、応援するとは一言も言っていない。ギリギリでも元の関係に戻してやっただけでもありがたいと思え」
それから光一は、明久に雄二とムッツリーニが台所に立つのと同時に、玲に自身のプランを話し始めた。
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