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冷笑と急襲と最終決戦編(オリストーリー)
第百問 エピローグ
- 臨時通達 -

2年B組 根本恭二
2年D組 清水美春

上記の者たち2名を文月学園指定〈観察処分者〉に認定する

文月学園 学園長 藤堂カヲル










「根本と清水が観察処分者に、か」
「……例の騒動の事実を隠ぺいした上で、ここまでの騒ぎを起こした以上無理からぬ話」
「だがこれでアンチ久遠派は完全につぶれたな」

事後のAクラス。
騒動が終了した事を察知するや否や、そう急に事の隠ぺいと処分通知。

「……先生たちは動くのが遅すぎる」
「そういうな。下位クラスに負けた逆恨みで襲いかかる集団の存在自体、学園にとっては大きなマイナス要素だ。余所に漏れたりしたら、評判の低下とシステムの風当たりを強くするだけなんだ」
「……それは理解している」

文月学園は風評に弱い。
だからこそ、システムの汚点が引き起こしたも同然のこの騒動を、余所に漏らす訳にはいかなかった。

「それよりもだ……光一、兄貴に勝ったんならいい加減戻って来い!! いつまで俺を拘束する気だ!!?」
「……大丈夫、雄二の世話は私がするから」
「光一ぃっ、カギをよこせええええええ!!」

雄二はまだ拘束されたままだった。
その教室には、既に姫路と島田の2人の姿はない。


保健室

「? 今、雄二の声が聞こえなかった?」
「恐らく光一が戻らん事に激怒しておるのじゃろ。ほれ、雄二は今」
「今? ……あっ、そうだったね。どうでも良い事だから忘れてたよ」
「お主は……光一よ、どうするのじゃ?」
「ほっとけよ。霧島が世話してるんだから、ちっとばかり遅れても大丈夫だ」

頭と手に包帯を巻き、明久に殴られた右の頬に湿布。
引っかき傷で瞼を痛めた為、眼帯で覆われた右目。

どことなく空虚さを感じさせる声で、光一が秀吉に返した。

「……ねえ、大丈夫久遠君?」
「大丈夫、あのクソ兄貴を倒せただけでも収穫だったし、どことなくスッキリした……かもな」
「茫然自失じゃスッキリし過ぎでしょこのバカ!」

先程まで光一の手当てをしてた優子が、腰に手を当てて光一の頬をぐりぐりと突いた。

「いでっ、いでで! いたいって!」
「アタシにスタンガン向けた罰よ!」
「うっ……悪かった、よ」

優子に謝ると、顔をそらした。
元々優子に頭が上がらない光一だったが、罪悪感からかまともに顔も見れなくなっていた。

優子もそれ以上何も言えなくなり、謝る様に頬を撫でる。

「……ごめん」
「何で優子が謝るんだよ?」
「もう光一を苦しませる気はなかったのに」
「優子はそんなこと気にするなよ。これは全部俺の……」
「お願いだからやめて!」

優子の有無を言わせない勢いと泣きそうな目に、光一は怯んだ。

「……木下さんにしては、珍しいよね?」
「……うん。ねえ木下君、優子があそこまでになる理由、何か知らないの?」
「……すまぬの工藤、本人に無断で話してもいい事ではないのじゃ」

事情を知っているだけに、光一の今の姿に胸を痛めている秀吉。
そして優子の気持ちを、今最も理解しているのも秀吉、

「ここに居たか、久遠」

そこへ突如の来訪者

「あっ、西村先生」
「ん? 何か御用ですか鉄人こと田中先生」
「久遠、今木下が俺の名前を言っていただろう」

呆れたように溜息をつくと、鉄人は一枚の紙を光一に手渡した。

「どれどれ……良かったな明久、これでお前も楽になるぞ?」
「え? ……根本君達、結局こうなったんだ。けどやだなあ、清水さんと一緒だと襲いかかってきそうだよ」
「これ貸してやるよ」

エアガン&カートリッジ(ゴムスタン弾装填済み)
スタンガン(特注&改造品 対清水美春専用)

「いつも思う事だけど、どうやって仕入れてるのコレ?」
「企業秘密だ」
「まったく……」

女子の観察処分者の仕事内容は変更すべきか、と鉄人は呟いた。

「話は以上だ。しかし久遠、お前大丈夫か?」
「ん? 珍しいですね? 鉄人が俺の心配するなんて」
「茫然自失を心配せん奴があるか。まあとにかく俺はこの騒動の事後処理があるから、寄り道せずに帰る様に」

そう言って、鉄人は去って行った。
ちなみに現在は放課後

「それじゃ、帰ろうか。秀吉、光一の鞄も取りに行こうよ」
「うむっ、そうじゃの」
「じゃあ優子、久遠君の事お願いね? ボク鞄取りに行くから」
「……お願い」

明久と秀吉は2人で、愛子は優子の意をくみ、自身の教室へと戻って行った。

「ねえ光一」
「ん?」
「ずっと、謝りたかった事があるの」
「謝りたかった? えーっと……どの事だ?」

謝るにしろ謝られるにしろ、光一には山ほど覚えがあり過ぎてどれかがわからなかった。

「……そう言えばお互い、こういう事ばっかり覚えがあるわね」
「我ながら、何故優子を好きになってたんだろ?」

過去形であった事が、優子を傷つけた。

「……って違う! そうじゃなくて、今までの事よ。アタシ、光一が好きでそうなったわけじゃないの知ってて、ずっとひどい事を言い続けてたから」
「いや、それ優子の所為じゃないから、謝られても……うわっ!」

優子がいきなり光一の胸ぐらをつかみ、無理やり立たせた。

「“ずっと、優子と一緒に居たい”……思えばこれが、互いのケチのつき始めね」
「っ!? ……お前、覚えてたのかよ?」
「アタシだって恥ずかしいわよ。告白された言葉を言うなんて」

光一と優子の顔が、互いに赤くなっていた。

「……けどお前断ったろ、“絶対にいや”って。立ち直るの結構かかったんだぞ?」
「光一の事、手のかかる幼馴染としか思ってなかったのよ」
「いや、手のかかるのは優子の方だと……」

優子は家ではズボラの為、フラれる前は両親の留守の際に光一が面倒みに行く事が多々あった。
余談だが、その際に着替えや下着姿を見る事は多々あり、この時に優子の腐女子趣味を知った。

「ねえ光一、もしさ……」

グイッと胸ぐらをつかむ手に力をいれて、力尽くで引き寄せる。
その次の瞬間……

「んんっ!」

光一の左目に移ったのは、ドアップの優子の真っ赤な顔。
そして、唇に柔らかな感触と、優子の息がかかる感触。

ほんの一瞬ではあっても、2人には酷く時間がたったように感じていた。

「……あの時こうしてれば、もっと違う顛末だったかな?」
「……そう……かも。っておい、いきなり何すんだよ!? 始めてだったのに!」
「アタシだって始めてよ! 悪い!? でも愛子を見て気付いたのよ! あんな事しておいてだなんてわかってるし、もう手遅れなのもわかってるけど、でも……!」

ガタッ!

「「え?」」

2人が振り向いた先は、保健室の入り口。
そこには鞄を持った明久と秀吉、そして……

「あっ、えっ? 優子ちゃんが、久遠君と、きっ、ききききき……」
「え? え? えーっと……ごめん優子!」
「……優子、意外と大胆」

顔を真っ赤にしてパニック状態の瑞希と美波。
そして翔子も顔を赤くして、動揺している状態。

「久遠君始めてだったの? それは惜しいなあ」

愛子が残念そうにそう言った。

「ほうっ、成程なあ……」

そして最悪の巡り合わせもあった。

「まさか光一が木下とキスするなんてなあ!!」
『『『なぁああああにぃぃいいいいいいいっ!!!』』』

リクライニングシートに縛られたままの雄二がそう大声で言うと、どこぞから怨念と嫉妬の声が。

「ちょっ、坂本君!?」
「すまんな木下。光一なら知ってるだろうが……俺は明久の幸せが大嫌いだ」
「よーっく知ってるが?」
「そして……」

少し間をおいて、一言。

「光一、お前の幸せも大嫌いなんだよ」
「そうか……じゃあ」

光一がゴソゴソとポケットを探り、ある物を取り出す。
それは……

「あっ」
「これはいらないと見ていいな?」
「あっ、ああああああっ! カギ! おいコラ、カギをよこせ!!」

ポイっ! (カギが放り投げられる)
ヒューーーっ! (カギが宙に舞う)
パシッ! (そのカギを翔子がキャッチ)

「宣言しよう。俺は霧島の幸せを全力で応援する“ついでに”お前の幸せもぶっ壊してやる」
「こっ光一! 雄二なんかの事より速く逃げないと、肩貸すよ!!」
「あっ、ああっ。すまんな」

「天井裏に逃げたぞ! 絶対逃がすんじゃねえ、光一と明久を殺せ!!」
「ああっ、待ってください! 久遠君、さっきの放送を今すぐ何とかしてください!!」
「そうよ! どうしてくれるのよ、これじゃ学園中から余計な誤解されちゃうじゃない!!」

椅子に縛られたままの雄二が、到着したFFF団に指示をし始めた。
姫路と美波も、先程の放送の所為で頭に血が上っていた。

「……結局は、こうなるのね。流石Fクラス」
「シカシ姉上、随分と大胆な事をしたもんじゃのう?」
「だよね。優子に先越されるだなんて、残念だな」
「うぅっ……」
以上、オリストーリー終了です。

光一にとって、優子にとって
何が最善で何が間違いだったか……は、所詮IFなのでわかりません。

けれど、わからないからこそ人はあがく。
光一も白夜との勝負で、これが正しいか間違いかがわからないからこそ、こういう結果になった
……と言うのでしょうか? 個人として、そう思えます


これから……どうしたものか?


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