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合わせ鏡 宇宙編

作者: 結城陸空

これはグループ小説企画です。ほかの先生方の作品は「合わせ鏡」と検索すると見れます。


また、過去のグループ小説の作品は「グループ小説」と検索すると見れますのでよろしくお願い致します。

「ねぇ、奈々・・・。合わせ鏡って知ってる?」


「合わせ鏡?」


「うん。鏡同士を合わせたら鏡の中に鏡が映るでしょ?当然自分も・・・。それでね。13番目に映る鏡の顔は自分の死んだ時の顔なんだって」


「え〜!こわ〜い!」

少し演技染みた台詞で私は声を発した。


私達はいま、結衣の家で遊んでいる。ちょうど結衣の両親が買い物に行っているのでこの家には私と結衣の2人だけ・・・。

結衣は部屋の片隅に置いてある結衣の母親の鏡台を見ながら合わせ鏡のことを言っている。


私も合わせ鏡のことは知っている。ただなぜかそれを言うのが怖かったから知らないふりをした。でも結衣は続けた。


「ねぇ、合わせ鏡やってみない?」


信じられないことを言うと思った。だって自分の死んだときの顔が映るっていうのにわざわざ試すなんて・・・。そんなに自分の死んだとき顔が見たいのかな・・・。


私は嫌だった・・・。首を横に振り、結衣の誘いを断った。


「嫌なの?じゃあいいよ!私が1人でやるから」


「え?ちょ・・・!やめなよ!怖いじゃん!」

私は本気で怖かった。結衣はなにを考えているんだろう。怖いもの知らずとはこのことを言うんだろうか?それとも怖いもの見たさ?


そんな私の心配をよそに結衣は鏡台を開けた。


それは開くと三面鏡でそれぞれが合わせ鏡の役割を果たす仕組みになっていた。結衣は鏡台に備えられていた椅子に座り、合わせ鏡が出来るように鏡を調整していた。


そして・・・・。


「な〜んだ。なんもないじゃん。普通の顔だよ?」

結衣は、期待はずれと言わんばかりにため息をつき椅子から離れた。そして母親に見つからないように鏡台の鏡を元に戻した。


その後すぐに、結衣の母親が帰ってきて私達はしばらく遊んだ後に私は家に帰った。



でも、それからたった一年後・・・結衣は死んだ。


その顔はとても穏やかだったことを覚えている。


結衣が死んでもう三年もの月日が経つ。


結衣の死に顔は穏やかだったが、死因は不明。でもたぶん、私は分かっている・・・。合わせ鏡をしたから・・・。


合わせ鏡をした者はその日からちょうど一年後に死ぬ。そんな話をどこかで聞いたことがある。


だから私は二度と合わせ鏡はしないことを誓った。


16歳になった私は高校一年だった。部活はバスケ部に入っていた。

毎日の学校は充実していて楽しかった。


「奈々!!あぶない!!」


その声に反応して、前を見た私はボールの直撃を喰らった。ぼーとしていたのか・・・。友達のパスに気がつかず、目にボールを喰らった。


その反動で私はしりもちもついてしまった。


「奈々、大丈夫?」

友達の心配する声が耳に入ってくる。

「わ、ちょっと目が腫れてるよ!水で冷やしてきなよ!」

友達のその声に私の身体は自然に水道へと向かっていた。



水道の蛇口の上には鏡があるが、もちろん合わせ鏡なんかじゃない。

「イタタ、目大丈夫かな?」

私は目のまぶたを自分の指で開いて、目が良く見えるように鏡の前に顔を近づけた。


鏡には私の目が映っていた。


そして、鏡に映る目には、鏡に映る私の目が映っている。


私はこの時とんでもないことに気が付いた。


これは、合わせ鏡となる・・・。


それに気が付いた瞬間私は腰が抜けその場に倒れてしまった・・・。



一年後・・・。私は死んだ。死因は不明らしい。


でも私は分かっている。合わせ鏡をしたからだ。


今・・・世の中の人間は気が付いていない。


鏡を見ることそれはそのまま合わせ鏡をしていることになるのだ。


例え意識をしなくても、鏡に映る目を辿っていくと13番目にはあなたの死に顔が映っている。



あなたも一年後に死ぬ。




でも、待って・・・。それはおかしい。


なら、なぜみんな生きているんだろう。みんな鏡を見ているのに・・・。みんな合わせ鏡をしているのに・・・。



*****



私は生まれた。親は奈々と名づけた。


それから12年の時が過ぎて、私は結衣の家に遊びにいった。

母親は買い物に行っていて結衣の家には2人だけ。それを待ってましたと言わんばかりに結衣が言う。

「ねぇ、合わせ鏡って知ってる?」


私は、知っている・・・。でも知らない振りをした。


「合わせ鏡?」



「うん。鏡同士を合わせたら鏡の中に鏡が映るでしょ?当然自分も・・・。それでね。13番目に映る鏡の顔は自分の死んだ時の顔なんだって」



どこかで聞いたことがある台詞・・・。いや、知っている。


私は知っている。全てを・・・。


これは、終わらない死。永遠と繰り返す死。なんどもなんども私達は死んできた。全員・・・いつ死ぬか。それは変わらない。13歳で死ぬ人は永遠に13歳で死に。30歳で死ぬ人は永遠に30歳で死ぬ。


永遠に続く死。死ねば転生してまた死ぬ。


死。


合わせ鏡をした時に映る鏡が永遠に続いているように私達も永遠に死に続ける。


もはや、世界中の人間が合わせ鏡の呪いにとりつかれていた。



読んで頂きありがとうございます。すいません。最後、なんか説明文っぽくなってしまいました。

考えているうちに目に映る合わせ鏡と合わせ鏡のように永遠に繰り返される死の両方を思い付いたので合体させてみましたが、なんか無理があったような…。


ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 合わせ鏡の解釈が上手いと思いました。 反面、キャラの印象が薄い気がしました。
[一言] 鏡と瞳、という着眼点がいいと思います。最後の永遠に続く鏡と永遠に続く死を重ね合わせたあたりもうまいと思いました
[一言] ……へ、へえ?。あわせ鏡ってそんな話まで合ったんですか。 一年後?というのは初耳ですが、これは創作ですか?それとも本当に? なんていうか、最後のほうは「運命」っていう言葉を思い出しちゃいます…
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