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名呑町の人々

育みのリフレイン

作者: 誇大紫

 人類の終わりは三つの巨大隕石だった。ミカボシと名付けられたそれらはアルプス山脈、ロシア南西部、アメリカ東部に同時落下し、私の家族友人を含む多くの人々を蒸発・焼死・溺死・出血死・餓死などありとあらゆる方法で殺し尽くし――或いは行方不明にしてしまった。

 舞い上がった灰は太陽光を遮り、急激に地球を冷やしていった。下がった気温、地球規模での不作、食糧難と紛争、そして世界人口は全盛期の三割程度になってしまった。十年後、残された人々は低温を避け各地のシェルターに閉じこもり、細々と絶滅に向かっていた……。


 こうしてナミさんを抱き上げるのは、結婚式のお姫様抱っこ以来だった。重みはその存在への安心感に繋がっている。安らかな眠りを妨げぬよう、台車の上へ慎重に寝かせる。

 私がやったお粗末な化粧は本人に怒られそうだ。そしてこの散らかった研究室も。

 ナミさんは度々この部屋を辛気臭くて嫌いだと言った。返す言葉もない。それどころか死体に慣れていないナミさんにはもっと「色々と」臭かったはずだ。

 死体と過去。それが私の仕事。

 私は遺体発見時の状況を調べ、MRIで得た断面図を眺め、解剖し、大腿骨から髪の毛一本に至るまで舐めるように観察する検死官だった。

 とはいえ世界人口の激減は即ち人手不足でもあり、最近は年代測定装置を使用して古代人の骨まで担当するという――つまり考古学者の真似事までやっていた。

 当然のこと旧石器時代のネアンデルタール人だろうが青春時代の秋田美人だろうが、死は平等に訪れる。何を考え、何故死んだのか――人々は死に理由を求めずにはいられない。頭蓋骨の一部をそっと取り外し暗黒宇宙を覗き見れば、そこには思想という名の星々が瞬いている。

 対して生命と未来。それがナミさんの仕事だった。

 妻は、私達の暮らす比較的豊かなシェルター「総合生命科学研究所」の別部門で、火星を地球と似た環境にするための研究をしていた。地球の生物を息づかせ、ゆくゆくはそこに住むのが夢だと瞳に星を入れて語り出して止まらない。

 人類は既に火星へ幾度も降り立ち、以前から言われていた通り生物を発見していた。しかしそれはごく単純な生物に過ぎなかった。地球の歴史から言えば、途中で進化の袋小路に迷い込んでしまったようなものだった。

 多くの生物を持ち込んで進化を促し、大型の内骨格ないし外骨格を獲得した生物が勝手に繁殖する程度まで進めれば地球の食料問題も何とかなるようだが、人類にそんなことをしている時間が残されているとはとうてい思えなかった。


 ある日、配給された茹でジャガイモにかぶりついていると研究室の自動ドアが開いた。

「面白そうだからちょっと強引にもらってきちゃった。君に調査してもらおうかと思って」

 そう言ってナミさんが運び込んだのは機械仕掛けの大棺だった。中には氷漬けになった人骨がある。

「隕石の影響で地下が隆起して、それが地表にまで出てきていたそうよ」

 場所は?

「シマネ地区で発見されたらしいわ」

 そこはミカボシ以前に一度デートに行ったが、現在は被害が大きすぎて地形がどう変化したのか詳しくはわかっていない。辛うじて生き残ったそこの原子力発電所の電力を利用してこの研究所は成り立っている。

「で、どうなの」

 死体が古いからさすがに細かい骨は残っていないが、全体像はわかる。かなり保存状態がいい。

「その人ね、超古代文明人かもしれないのよ。近くに今の技術でも考えられないモノ(オーバーテクノロジー)が落ちてたの。それを包んでいた生体スーツみたいなものの破片とか」

 場違いな工芸品(オーパーツ)? ふざけてんじゃあないよと言いつつ、私の心はまるで冷えた胃に熱いスープを流し込んだようである。食欲増進。

「人類を救う計画の一端に君も参加してみないか、なんてね」

 とにかく骨の一部からDNAを採取し、同時に放射性同位元素も使って年代測定を試みる。装置のランプが忙しげに赤と緑の光を点滅させている間、私はこの人物の死因について考えていた。人間の四種類の死はいつも変わらない――つまり「自殺」か「他殺」か「事故死」か「病死」だ。

 骨盤の形から察するに成人女性なのは間違いないが、奇妙なことにその骨盤そして両大腿骨の内側にのみ火傷を負っている。骨にまで達するほどの酷い火傷。それ以外には傷らしい傷もない。

 さて。

 まず火が使われている時点で、ヒト以外の動物の関与は考えづらい。そして火事で焼け死んだのなら全身に跡が残るはず。

 勿論、今もシェルターの外で頻発しているように本来ヒトは共食いする種なのだから、当時のヒトが「調理」して焼いて肉を食べた可能性も考えられるが、だとしたら何故切り分けずに、しかも子宮付近のみを食べたのか? 骨には肉をこそぎとったような跡もなく、頭蓋骨が殴打された跡も肋骨を擦った跡も見当たらない。

 運良く見つけた死体の股間のみを奥深くまでじっくり焼いて食べたというのはあり得るだろうか? その方法も思考も謎である。

 疑問文が頭からはち切れんばかりに紡ぎ出される。そこへ追い打ちをかけるように装置が年代をデジタル表示した。

 530000000。

 約五億三千万年前。

 不意にフッと笑いが零れた。この人骨はどう見てもホモサピエンスである。二百万年前にアウストラロピテクスから分化し、現生人類のホモサピエンスが台頭したのはたかだか四十万年前だ。

 つまり五億年も前という表示は――この装置が間違っているか、私の目が間違っているか、或いは「人類史」が間違っているのか、ということになるだろう。興奮と混乱でナミさんを呼んだが、既に立ち去っていた。私の扱いなどいつもこういうものである。

 続けてMRIにかけたが、間も無く装置からけたたましい異音が発生した。続けて警報まで鳴りだす。電源を落として再起動するか? しかしこの装置は厄介なことに緊急停止させると磁力の復旧に時間がかかる……と、迷っているうちに静かになった。

 奇跡的に直ったか?

「希望的観測はやめたまえ。ただの御臨終だ」

 警報を聞きつけたオオゲ先生が、スタッフを数人連れて背後に立っていた。他のスタッフも数人きている。魚に似たいつもの呆れ顔で私を押しのけ人骨を細かく調べ出し、やがて一本のヘアピンをつまみあげた。

「これが原因だ。ナミちゃんの髪から落ちたものだろうが……僕が何を言いたいか、わかるな?」

 MRIは磁気によって対象の断面図画像を得る装置だ。金属を検査にかけると電子機器が故障してしまうことさえある。初歩的なミスだ。

「全く、この装置がいかれたら困るのは君だろうに」

 すいませんでした。平謝りしながらPC画面を見ると、残った何枚かの画像は左手に近づくにつれて荒れていた。


 後日、私は生命科学部へ呼び出され――気乗りはしなかったが――その扉をくぐっていた。青白い顔の研究員たちとすれ違う。人類絶滅の危機に倫理規定は暗黙のうちに無視され、生命科学は飛躍的に発展していた。

 壁には蛍光色の円柱水槽が何本も並び、首や腕が他のモノとすげ替えられたようなバランスの崩れた生物が蠢いていた。

「やっと来たな。ナミちゃんは六号室で実験中だ」

 オオゲ先生が先に立って道案内をしてくれる。うんざりしている私の顔を見てクスリと笑った。

「君達はお互いの研究室が嫌いなのだな。夫婦生活はうまくやれているのか?」

 大きなお世話ですよ。そんなことより骨の話ですが。

「五億年前のホモサピエンスなどありえないと思うがね。装置の間違いだろう。君は精密機器に嫌われているようだし」

 ありえるとしたら?

「君の妻に聞きたまえ。僕は物理学者で技術者だ。思考しなければならないことがたくさんあるわけだ。特に――」

 オオゲ先生は立ち止まり、カードキーで六号室の扉を開けた。正確に言えば、そこは部屋ではなく宇宙船内部だった。そのまま飛び立てるように廊下から繋がっているのだった。

「火星に行く場合にはな」

 古い特撮に出る怪人のような、甲殻類を連想させる防護服を着た人物が近寄ってきた。内側はブヨブヨとした皮下脂肪のようなものでコーティングされているらしい。背中のスピーカーから声が出ていた。

「あの遺体のそばにあったオーパーツを復元してできたスーツ『ツナギ』よ。やっと私は火星へ行くことになったの。そこで脊索動物を生み出し、繁殖させてくるつもり」

 ナミさんか。急な話……でもないか。寂しさは若干。そもそも今更火星の環境を変えたところで人類絶滅には間に合わないと思うが。

「確かに地球人類は間もなく絶滅するだろうね。最後の一人が寂しく消える時はいつか来ると思うよ。でもそれは今じゃないでしょ? 何かを始めるのに遅すぎることはないんだよ。特に私達科学者はそれを知ってる。時間跳躍理論という形でね」

 自信満々に言い放つ。これだから私はナミさんが好きなのだった。好きな人の夢が叶おうとしているのを、いったい誰が止められるだろう?

 そのまま火星に永住しちまえ。

「大丈夫よ。一日も経たないうちにすぐ帰ってくるから」

 フラグみたいだから、そんな風に言うのはやめてくれ。

「じゃあ、ちょっと散歩がてら火星に行ってくる」

 ナミさんはやると言ったらやる女なのだ。行動にはそれなりに根拠が伴う。

 妻は幾重にも連なった外骨格の腕部を外すと左手を上げた。私も左手を上げる。一対の結婚指輪は再び誓いの証となり、スタッフ達が拍手してくれた。打ち上げの様子は、「彼女こそ人類の希望」として全世界の各シェルターに中継された。


 半年が過ぎた。

 私はテーブルの古代の人骨を前に固まっていた。研究室の空気は澱み、およそ動くものは無い。

 ナミさんの宇宙船は救難信号を出しながら行方不明となったのだった。名目上はまだミッション継続中である。研究所の誰も、葬式をしようとまでは言わなかったが、積極的に捜索をしようともしなくなっていた。

 私は悲哀にも諦観にも身を置けなかった。声や指先が消えたようで、何もかもがおぼつかない。どうしてこうなる? いったい何処に選択肢があり、何を間違えたのだろう? 私の描いていたぼんやりとした人生計画は自然にナミさんの存在が前提となっていて――つまるところ今となっては未来が全てくすんだ白紙、無価値な世界だった。

 もとよりたちこめた灰で天候が悪く、ミッションの危険性が高いのは聞いていた。止めれば良かった。止めなかった。止められなかった。では私がすべきだったのは、ナミさんの行く先があの世だろうが地獄だろうがついていくことだったのだ。

 頭を抱える。

 祈る。

 頼む。

 もう何でもいい誰でもいい神様。神様、彼女を返してくれ。この世にたった一人もう唯一私のことをわかってくれる人だったんだ。返してくれ。ああもう糞畜生ボケ阿呆ナミさんを返せよ馬鹿野郎!

 テーブルを蹴った衝撃で人骨の腕がカシャンと動いた。左手の一部が砕けて分離した。それは薬指だった。

 私は空洞の目を覗き込んだ。

 不意に出発前夜のナミさんの言葉を思い出す。

「シマネ地区って言えば神話だよね。その人骨の正体は神様かもね」

 天啓。不可思議な神秘に世界の文脈と可能性を読み取る。

 ――もしや、この骨は神様なのではないか?

 私は人骨の周囲に紙紐で結界を作って祀りあげ、何度も呪詛のように頼み込んだ。返せ。返せ。神様なんだからそのくらいできるだろう。馬鹿げた考えでも可能性があるのなら。

「約五億三千万年前か……ロマンだよね。生物史における特異点。氷期か、その直後のメチャクチャ寒い時代だよ。それはカンブリア大爆発の時期。それも火星で何かわかるかもしれないから、お土産には期待しててね」

 カンブリア大爆発。私の脳裏に一つフックが刺さった。

 それは約五億三千万年前の地層を調査してわかった現象。その時期、突然脊索動物(脊椎を持つ動物とその近縁)が大量に発生し、今日の生物学における(ボディプラン)が出揃っているのだ。その原因はいまだに不明だ。

 ひとり爆笑した。頭がどうかしてしまったのかもしれない。思考とも呼べない、ただの連想ゲームだがしかし。

 私は研究室を飛び出すと、物理研究室へと向かった。自動ドアの開閉がもどかしい。そこではオオゲ先生が下水の濾過実験を行っていた。

「やあ」

 今からちょっとだけ冗談に付き合ってほしいんです。そしてそれが面白かったら、一つ頼みを聞いてくれませんか。

「……ああ」

 シマネ地区は出雲神話、もしくは日本神話の地です。黄泉比良坂と、ある女神の古墳があります。そこの地下が隆起して、埋葬されていた女神の遺体が地上に押し出された。そうは考えられませんか?

「考えることは自由だが。まあ神話とは『原型となった人間の営みを抽象化して語り継いだもの』というのが現在の通説だから、ありえなくはないが」

 神話によると、その女神は様々な神を産み出した後、火の神カグツチを産みました。その熱が陰部を火傷させ、それが原因で死にました。これは人骨の死因と合致します。

「続けたまえ」

 あの遺体を年代測定すると、カンブリア大爆発の時期に相当します。つまり、あの遺体は何らかの方法で大量の生物を生み出したんです。そして子宮内から発生した「熱」によって死亡しています。

「つまりその女神は――」

 日本神話の大地母神イザナミ。さあ、私の頼みを聞いてください。妻の指輪を返して、そして説明してください。全てを。

「ということは、君はもう薄々わかっているのだろうね、聞くと後悔するぞ」

 それを決めるのは私であって、あなたじゃない。

「イザナミのオーバーテクノロジーは二つあったのだよ。一つは生体スーツ『ツナギ』の原型となった生体部品。それは女性の子宮と卵巣を利用することで多くの初期脊索動物を生み出す技術だった。生命のために必要な熱を出す機構もあった。その暴走の熱でイザナミは死んだのだろう……が、僕は周囲には言わなかったよ。『運命』を滞りなく進めるためにね。さて火星での生物繁殖は可能となった。しかしこれだけではGOサインは出ない。『時間』が必要だ」

 しかし出発前、妻は言った。何をするにも遅すぎることはないと。

「火星で生み出した初期脊索動物が進化して現在のようになるまで何年かかるか? 簡単だ。約五億年。ならば、五億年前に行って生命の種を蒔けばよい。それを可能にしたのがもう一つのオーバーテクノロジー。イザナミが乗っていた船らしきもの……それにはありえない技術があった。時間跳躍だ。故障して五億年前にしか行けなくなっていたが、それも『運命』のため、僕だけの秘密にしておいた」

 つまり、妻は帰れないことを知らされてはいなかった。装置の暴走で死ぬということも。

「そして修復した宇宙船は彼女をのせたまま行方不明になった。だが、いまだに火星に脊索動物が繁殖している様子はない」

 やはり妻は五億年前――より正確に言うなら五億三千万年前の――火星ではなく地球に不時着したのだろう。そこを火星と間違えたのか、あるいは歴史の要請に従ったのか、脊索動物の大増殖を行いカンブリア大爆発を意図的に起こした。

「後は君の想像通りだ。指輪は返そう」

 返された指輪は骨の一部だと言われてもわからないほどボロボロになっていた。

 イザナミの左手には不自然な場所があった。薬指の関節だけ色が変わり、老朽化の度合いが違っていた。指輪をはめていたのだろう。

 MRIは磁気に反応して壊れたが、あの時本当はヘアピンではなく指輪に反応していたのだ。それをオオゲがすり替えた。

 あの遺体は生命の祖イザナミであり、そして結婚指輪をはめたナミさんの変わり果てた姿だったのだ。

「そんな目で僕を見るのはやめたまえ。僕は『役割』に従ったまでだ」

 役割だって?

「『運命』と言っても良いだろう。あの遺体が彼女なのだと知った時、僕はそれを悟った。彼女がイザナミにならなければ、カンブリア大爆発は起こらなかった。今の生物は存在しなかった。つまり君も私も生まれなかったのだ。こうなることは運命づけられていた」

 しかし、こんなことが運命だなんて!

「君にも『何もできない』という『役割』があったのだろうさ。豚が食肉になるように――王が王として振る舞うことで政治が巡ったように――人にはそれぞれ『役割』が決まっているのだよ」

 だが、それを知って遂行するかどうかは人間の自由でしょうが。彼女は知らされもしなかった!

「役割を知らされずにいる方がむしろ幸せだと思うがね」

 それを決めるのはあなたじゃない。

「君は何がそんなに気に食わないんだ? まさか彼女を行かせずに全てが消滅した方が良かったとでも言うのか」

 しかし……何も知らない彼女に全てを負わせて「人類の希望」扱いだなんて。しかも初めからそんなものありはしなかったんだッ!

「確かに真実を言えば、人類にもう希望など存在しない。彼女は火星には絶対に辿り着けない。食料だって残り少ない。君も僕も今では茹でた馬鈴薯を一日一つきり。そういう状況だろう」

 それはそうだが……。

「ヒトは食料があれば生きられる。食料が残り少なくとも希望があれば耐えられる。しかし両方失えば、ヒトはとたんに全てが破綻するのだよ。人類の絶滅が早まる。いいかね? 何でもかんでも真実を言うことが正しいとは限らないのだよ」

 ……あなたの行いはきっと正しいんでしょう。しかし了承はできない。それでも私は彼女の夫として、彼女に選択の余地が与えられなかったことを許すことはできません。これは人類などどうでもいい、ただのわがままです。私怨であり、剥き出しの感情論です。

「ではどうする? 僕を殺すのか? それが君の『役割』だというなら僕は受け入れるが」

 そんなことは、たとえ私の「役割」だとしてもしません。全世界にこのことを知らせる気もない。残念ながらあなたは私なんかよりこの世界に必要な人間なんです。その下水濾過装置だって人々の役に立つ素晴らしいものになるでしょうし。

 私は、あなたにロケット作りを手伝ってもらいたいんです。どうしても――何を引き換えにしてでもやってもらいます。それが私が私に課した役割なのだと思うから。


 私は彼女を台車に固定して運び、小型ロケットに載せた。慣れない宇宙服でロケットを操縦して、青空の果て、大気圏を抜ける。激しい圧迫から解放されると、塗り潰した暗闇にホタルが穏やかに舞うように。

 星が美しいな。

 君は約束を守って、とっくに帰ってきていたんだね。すぐに気づかなくて悪かった。お礼と言うには遅いけれど――ほら、ごらん。

 火星が見えてきたよ。

読んで頂き、ありがとうございます。

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