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九つの極罪  作者: 阿志乃トモ
第一章 クシャトリア大迷宮編
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第一話 テンプレはいつも唐突に

初投稿です。その場の気分で書いているので、温かい目で読んでいただくと幸いです。

 朝霧(あさぎり)イザナは人が埋め尽くす中、空をボーっと見上げていた。周りはガヤガヤと騒ぎ立てている。だが、彼はあたかも周りに誰もいないような雰囲気を作り出している。彼がこの時考えていたことは唯一つだった。


(あぁ、きれいだ……)


 空を見上げて感動していた。


 二つ存在する太陽を見て―――。



  ◯◎◎◯



 イザナはクラスの誰よりも早くに登校する。何をしているかと言えば、優雅に読書である。今のお気に入りは古風な純文学だ。だが、机に出されている本はラノベの比率が高いことから、お解りになるだろう。


 イザナは別に無類の本好きという訳ではない。ただの暇つぶしに過ぎない。


 早く学校に来ているのも家にあまりいたくないからである。朝食、夕食は基本コンビニの弁当である。


 ホームルームが始まるまでずっと本を読んでいても誰も彼に話どころか挨拶もしてこない。クラス全員に無視されている。


 中学の時、付き合っていた彼女からいきなり振られた。イザナ自身何故なのか全く解らずいたのが、さらに、その後からある噂が流れるようになった。その噂が原因で仲良かった友人はイザナから離れるようになった。それから、中学三年の最後の方になると誰からも話しかけられることはなくなった。


 更なる追い打ちというようにその学校は中高一貫の学校だった。その中学に入った者は高校まで強制的にエスカレーター式となっており、その高校に普通に入学できるが高校を変更しようとすると法外と言えそうな程のお金を要求される。だから、親としてもそのままその高校に上がらせる。


 イザナも例外ではなく、そのままエスカレーターでその高校に入った。高校から新しく入ってきた者たちも中学からいた者から聞いたのか、最初は話しかけてきた連中も一週間もすれば誰も話しかけなくなった。それから家の方でもゴタゴタがあり、本格的ボッチになった。


 それからはいつもの様に読書に(ふけ)るようになった。学校で暇を潰すには読書が打って付けだったから読んでいただけで、一度読んだ本の内容はあまり覚えていない。だから、必然的に読むのも早い。


 そんな日々を送ってから、一年が軽く過ぎた。


 この一年の冬辺りから軽い(いじ)めを受けるようになった。虐めと言っても小学生が無邪気にやるような悪質なモノばかりだ。机にびっしり書かれた陰口や物を盗まれるといったもの。イザナは誰が中心になっているかは知っているので無視している。


 というよりも、机に落書きされた時はその上からうまい具合に描いて、教師に「何だそれはっ」と指摘されれば、「アートです」と返した。自画自賛したくなるほどの上手に描かれていた。それは教師と共に犯人にも刺激した。


 その日はホームルームの代わりに朝から朝会があり、全校生徒がグランドに集められた。もちろん校長が同じなので中学生もその場にいる。学生にとって朝会は一時間目に入り込む可能性が高いので非常に喜ばれるものだった。さらにここの生徒会長を一目見られることも好評の一因に違いない。


 黒髪の長髪を(なび)かせて生徒会長が挨拶を終えた。大和撫子という言葉が似合うような仕草でその場後にする。男子にとっては高嶺の花なのだろう。この学校の四大女神と伊達に言われていない。颯爽と壇上から降りていく姿に男子は釘付けになっている。女子からは「お姉さま!」という声が聞こえてくる。


 生徒会長の次に校長が話をしようと壇上に上がろうとしたところで、地面が発光し始めた。


 それを見た生徒たちは騒ぎ出し、教師は「お前ら静かにしろ!」と怒鳴っている。だが、それで静かにならないことぐらい教師にも判っている。というよりも、教師中にも生徒と一緒に喚いている者までいる。


 まさに阿鼻叫喚だった。


 イザナは弱り始めているその光を見ながら意識が遠くなるのを感じた。


 その日、ある()()学校のグランドに巨大な幾何学模様――俗に言う、魔方陣のような文様が地面に焦げ付いているのが見つかった。


 ただ、不思議なことにその学校がいつからあったのか、名前は名前が何だったのか覚えている者はいなかった。

 

 こうして、総勢1000人強の人間が人知れず姿を消した。


更新は不定期です。


誤字脱字の指摘も受け付けています。

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