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ログ・ホライズン 作者:橙乃ままれ

ログ・ホライズンEp10 ノウアスフィアの開墾

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085

  ◆05



「結婚の典災カマイサル……?」
 ソウジロウの出した名を、シロエは繰り返した。
 聞いたことのない名だった。〈エルダー・テイル〉がゲームだった頃から、登場するエネミーの数は膨大だ。シロエとてその全てを把握しているわけではない。
 それでも、少なくとも日本サーバーに出現する主だったエネミーについては、概ね名前程度は記憶している。カマイサルというそのカタカナ名詞はともかく、結婚の典災という名前のほうはずいぶんと特徴的だ。シロエ自身、それを忘れるとは考えづらかった。
「ええ、そう名乗っていました」
「結婚というより結婚詐欺だろありゃー」
 ソウジロウの言葉を、ナズナが引き継ぐ。

 畳敷きに障子、床の間には、達筆な字の書がかけられている。
 アキバ有数の戦闘系ギルドのひとつ、〈西風の旅団〉ギルドハウスの和室にシロエとアカツキは訪れていた。出迎えてくれたのは〈西風の旅団〉ギルドマスターソウジロウと、その片腕のナズナ。
 シロエから見ればこのふたりは懐かしい〈放蕩者の茶会〉ディボーチェリー・ティーパーティーの同僚だ。
 テーブルと椅子で生活してきたシロエにとって、この和室はいささか落ち着かない空間だった。一方、アカツキの方はこの部屋の様子には慣れたもので、出された茶菓子に手を出している。アカツキは〈記録の地平線〉での私室も、この部屋を小さくしたような和室にしつらえているのだ。正座を苦にする様子もない。

「シロ先輩が言う通りの変な敵でしたよ」
「ソウジロウが遭遇するとはね」
「予想してたんじゃないんですか?」
「予想してたというか、みんなに聞けば、もしかしたらそんな敵と会ったことがあるっていう情報が集まるかと思ってはいたんだけど」
 シロエとアカツキが〈西風の旅団〉を訪れたのは、ソウジロウへの相談があったせいだ。念話で話を持ちかけたところ、それならば直ぐにでも話が出来るというので出向いたわけである。「西風に行って来るけれど」と居間で言えばアカツキがついてくることになって現在へと至る。
 シロエがソウジロウに対して問い合わせたのは「典災を名乗るモンスター」に対してだった。〈大災害〉後におきたエネミーの変容。あるいは、特殊なエネミーの存在。その詳細を知るための情報収集を始めたシロエは、その最初で大当たりを捕まえたわけである。
 ソウジロウとナズナは、シロエの予感通り……あるいは、その想像を超えた情報を彼にもたらした。
「うち以外も遭遇報告、あるみたいだよお? 同じやつじゃないみたいだけどね」
「ナズナさん相変わらずですね」
「まーねー。うちは女の子情報網あっから。そのへんすごいんだよ。いしし」
 典災と呼ばれるモンスターについて、シロエは実は情報を得ていた。
 それらのモンスターが典災と呼ばれることこそたったいま判ったわけだが、このヤマトサーバーにおいて新種のモンスターが発見されたという報告は、実はそれほど珍しい物ではない。
 その多くは外部攻略サイトを失った〈冒険者〉の勇み足的な思い込みだったわけだが、そういった勘違いの報告を精査していくと、どうしても見間違いや記憶違いではなく、たしかに新種であると思われる報告も混じっているのだ。
 そういった目撃証言は、〈大災害〉後、時間が経過するほどに増えてきている。
 単に、「知られていなかった情報が、遅れて明らかになった」のではなく、まるで、「時を追うごとに、それらの事例が増加している」かのように。
 そういった新種モンスターの全ては典災であるとは思わないが、ソウジロウたちの言葉に寄れば〈西風の旅団〉以外にも遭遇経験はあるらしかった。

 二人によれば、結婚の典災カマイサルというモンスターは、「〈大地人〉を装う」「異性を魅了する」という能力を持っていたという。
 都市の防衛機構が失われたアキバの街に〈大地人〉の青年商人を装って侵入し、様々な女性〈冒険者〉を味方に引き入れ、そのエネミーは一時的に無視できない影響力を持つに至った。
 〈西風の旅団〉は、〈ソウジロウ親衛隊〉の一部メンバーが怪しいと言うことでこの敵の討伐に至ったらしい。
「相変わらず無茶するなあ」
「うちらは品行方正なギルドだかんね。うちの女の子に手を出すやからにゃ容赦ないのさ」
「そうなのだぞ主君」
 ナズナの言葉に、なぜかアカツキが自慢げに頷く。
「アカツキも手伝ったの?」
「いや、初めて聞いた」
 だとしたらなぜそこで機嫌良く頷くのかシロエにはよくわからない。
 そんなシロエを横にナズナは胸を張り、アカツキは尊敬の眼差しで首をこくこくとしている。ソウジロウに目配せで「なんでこんな反応なの?」という救難信号を発してみれば「仲良しになったみたいですよ。女の子って、一緒に甘い物を食べるとすぐ友だちになれるんですね」という和やかな返答が帰ってきた。
 そんな太平楽なことを言ってられるのは、ソウジロウだけだ。
 シロエはそう思う。
 幸いシロエは記憶力はよい方だし、〈天秤祭〉での惨劇を忘れてはいない。〈ダンステリア〉のケーキバイキングで「一緒に甘い物を食べた」シロエたち三人がどうなったかをだ。ソウジロウとは所詮、持っている器が違うのである。
 シロエはこの問題には深入りしないことを決意した。

 ナズナは手元の紙束に視線をおとすと続けた。
「いまこっちの耳に入ってるのは、疫病の典災シスラウ、醜聞の典災ザフン、度量の典災バグリスとー……」
「それに僕たちがたおした結婚の典災カマイサル」
「そんなところだね」
 その紙束は急遽作った報告メモのようだった。
「詳しい話はメモにまとめておいたけど。……こいつらなんなんだよ、シロ」
 ナズナの声のトーンが、一段低いものとなる。
 小さくつぶやいた言葉は「きな臭い」だった。ナズナの直感だろう。がさつでいい加減で大酒飲みでさぼり屋に見える彼女だが、勘だけは鋭いのだ。シロエは〈茶会〉時代そんなナズナに助けられたし、助けられた数の十倍は虐められた。
 とはいえ、返事に困るのも事実だ。
 〈ノウアスフィアの開墾〉で追加された新モンスター。そう説明するのは簡単だが、それが真実とも思えなかった。もっともシロエが知った情報の裏付けをとるあては、今のところ無い。多分、裏付けは取れないのではないか。そんな予感をシロエは持っている。
「……」
「敵なんですよね? シロ先輩」
 だからソウジロウの言葉に即答することは出来なかった。
 敵なのだと思う。十中八九、シロエの道に〈冒険者〉の未来に立ちふさがるのだろうとは思う。しかしそれが言葉通りの意味での敵だという確信はなかった。いいやそれどころか敵ではないという予感もする。道をふさぐ倒木は障害(、、、、、、、、、、)|ではあっても敵ではない《、、、、、、、、、、、》というように。
「こちらに攻撃を加えてくるんだから、戦わなきゃならない」
 だからソウジロウの言葉を肯定も否定もせず、シロエは言い換えた。

 しかしソウジロウの方はそれでも良かったらしい。
 安心したように大きく微笑むと「良かった。もう倒しちゃいましたし」とつぶやく。
 ああ、そうか。シロエに詰問すると言うよりも、すでに討伐した相手のことを心配していたのかと、シロエは納得した。
 ソウジロウという後輩は、なぜかシロエの事を慕ってくれているらしい。昔から懐いてくれていたものだ。その頃から良く〈茶会〉の活動だけではなく、パーティーを組んであちこちのダンジョンへも出かけた。ソウジロウとシロエが遊びに行く時は、直継やカズ彦と組むことも多く、当時からシロエは沙姫などのソウジロウ・ファンにねたまれた物だ。
 心優しい少年なのだ。ソウジロウは。

「でも普通のモンスターとはどこかが違う」
「こいつらも〈大災害〉の影響受けてるのかね。じゃなければ〈ノウアスフィアの開墾〉か」
 そんな考え事に気をとられたシロエに、ソウジロウとナズナは尋ねてきた。
 二人とも聡い。事情を知らなくても直感だけでほぼ正解を言い当てている。
「その両方です」
「……ふぅん」
 シロエの返答にナズナはそれ以上問い返してはこなかった。ナズナにはシロエには判らない進退の基準があって、そのラインより踏み込んでは来ないのだ。多分それは、彼女がシロエよりも年上な事に由来しているのだろう。
「僕らにできることは何かありますか? シロ先輩」
 ソウジロウの問いかけにシロエは「もう少し情報がほしい。それから時間」と答えた。「この街を守ればいいってことだね」という相変わらず察しの良いナズナに、大きく頷く。
「なぁんだ。それじゃあ今までの通りってことですね。任せてください」
 ソウジロウは、ふにゃりと力の抜けた笑顔で微笑んだ。
 脱力したような人の良いその表情にシロエはほっとするけれど、甘えてはいけないな、とも思った。
 夜光虫が舞う旧アキバ駅のホームを思い出す。
 〈円卓会議〉を設立するために協力して欲しいというシロエの願いを、ソウジロウは理由も聞かず受け入れてくれた。
 ソウジロウの応諾の返事は軽いが、だからといって底に込められた決意や誓いが軽いなどということは断じてない。ソウジロウの支えがあったから〈円卓会議〉を立ち上げることが出来たという側面は確かにある。〈クレセントバーガー〉立ち上げ時の悪評や圧力から、〈三日月同盟〉を守ってくれたのは〈西風の旅団〉だった。シロエはそれを後から知ったのだ。詰めが甘い策士もあったものだ。シロエはただ救われている。それが温かく心にしみた。
「まあ任せておきなって。うちらも強くなってるからね」
「任せて下さい、シロ先輩」
「任せておけ主君」
 なぜだか判らないが、向こうチームのように請け合うアカツキが面白くて、シロエはくすくすと笑った。ソウジロウもそれにつられて吹き出す。
「なんだよ、ソウジ」
「別に何でも。シロ先輩。……女の子って強いですよね」

 そりゃまあ、強いよ。強すぎだろうとシロエは立ち上がった。
 痺れる足に顔をしかめながら別れの挨拶を告げるシロエに、ソウジロウはぽつりと呟いた。
「変な敵でしたよ。シロ先輩」
 典災のことだろう。
 記憶をたぐるようにソウジロウは眉を寄せる。
「なんていうんだろう。こっちの世界に来てから、一番、〈エルダー・テイル〉みたいでした」
「〈エルダー・テイル〉みたい……?」
「ええ。もちろん初めて見るし、奇妙な攻撃をしてくるし、強かったんですけれど」
「そうそう〈大地人〉よりよっぽど、なんていうかさ」
「ゲームみたいでした。〈エルダー・テイル〉のモンスターを倒したみたいな、すかすかした感じの敵でしたよ」
 ソウジロウの言葉はいつも感覚的だ。なまじ一足飛びに正解へと辿り着く能力があるだけに、その過程をわかりやすく説明する事が苦手なのだ。
 しかしシロエはその言葉を胸に刻んだ。
 きっとそこには汲み取るべきなにかがあるからだ。



  ◆06



 〈西風の旅団〉のギルドハウスを出る頃には、既に空が茜色に染まっていた。
 元の世界ほどではないにしろ、日暮れ時でもアキバの街は賑やかだ。
 宿を探す行商人。
 夕食の惣菜を売る味自慢の屋台。
 郊外のフィールドから拠点へと戻る〈冒険者〉たち。
 〈冒険者〉や〈大地人〉が雑多に行き交う人混みの中を、シロエとアカツキは並んで歩いた。
 行き交う人々を漠然と眺める。オレンジ色に染まるその景色に、ソウジロウの「〈エルダー・テイル〉のような」という言葉が重なった。それはディスプレイ越しに眺めているしかなかったあの時代のことを指しているのだろう。しかしいま目の前にあるこの雑踏はゲームのそれだとは思えなかった。
 何がソウジロウにその言葉を選ばせたのだろう。シロエはまだ典災にふれていない。だからソウジロウがなにを言いたかったのか、何を感じていたのかは、判らなかった。
「主君」
 十分ほど歩いただろうか。
 シロエはその時間経過を時間感覚と言うよりは、場所移動の結果として知覚した。
 思索に落ちていたシロエをすいくあげたのは、問いかけるようなアカツキの声と、シロエの袖を引っ張る、可愛らしい動きだった。
 いつの間にか、彼女の存在を忘れていたことに気がつき、シロエは立ち止まった。
「ん? なに? アカツキ」
 シロエの顔を下から覗き込んだアカツキは、思案顔で「主君はお疲れか?」と問いかけてきた。
「え? なんで? そんなことないよ」
「そうか」
 とっさに答えたシロエの返事に、アカツキも、いつものように言葉少なく返事を返した。〈大災害〉直後であれば、シロエの方も会話をつなげようとがんばっていたのだが、いまではそう思うことも少なくなった。アカツキは多分、しゃれた会話を求めているわけではないのだ。ただ本当に心配してくれただけ。いまのシロエにはそれがわかった。
 浜辺を歩いたあの時のような気分で顔を上げれば、夕暮れのアキバは美しかった。

 昨日降った雨のせいだろうか、四月の緑はことさらにつややかで、茜色の夕日をキラキラと反射している。気の早い居酒屋がオレンジ色の〈蛍火灯〉をともし呼び込みを開始すると、二、三人の冒険者がその店へと入っていった。
 中央通りは地球の秋葉原のそれに比べて、古代樹や苔むした廃棄車両があるために、見通しは悪い。しかしコケに覆われた路肩には串焼きや揚げ物を並べた屋台が並び、暖かな雰囲気を醸し出している。
 これがアキバの街の夕暮れなのだ。
 シロエとアカツキは立ち止まったまま、それをしばらく眺めていた。
 袖がつんつん、と引かれ「美味しそうな匂いもする、主君」とアカツキが囁いた。
 それはきっとあげ饅頭の匂いだろう。
 シロエはそんなアカツキの反応が面白くて小さく笑った。
「別に買って欲しいという意味ではないからな。主君」
「そう思った訳じゃないよ」
「ならいい」
 そう答えてシロエは先ほどの〈西風の旅団〉での一幕を思い出した。
 こんな風に言葉少なで、どちらかといえば人見知りのアカツキが、先ほどナズナとは随分親しげだったようにおもう。以前からそうだったわけではない。少なくとも、シロエがアキバを出るまで、アカツキが〈記録の地平線〉以外の人と積極的にからむことはなかったように思う。
「ナズナと遊んだりするの?」
「うむ。ナズナは美味しいご飯屋にくわしいのだ」
「そっか」
 心なしか弾んだ口調のアカツキに、シロエは頷いた。
 どうやらアカツキの交友範囲は広がっているようだ
「ナズナだけではなく、リーゼや、ミカカゲや、姫とも行く」
「そうなのか」
 頷きながらも、シロエとしては、かなり驚いていた。
 もちろん驚いたところを見せるとアカツキがすねるのは判っているので、表情には出さない。出さないが、それはなかなかに画期的な出来事だと言えた。アカツキが挙げた名前は、〈西風の旅団〉〈D.D.D〉それに確か〈ロデリック商会〉のメンバーを含んでいる。あげくにレイネシア姫だ。
 北の地へ供贄一族との交渉へ出かける前、シロエはアカツキにレイネシア姫の護衛を依頼したことを思い出した。
「主君がいない間にいろいろあったのだ」
「そっか」
 シロエが〈奈落の参道〉で様々なものを得たように、アカツキもアキバで多くのものを手にしたのだろう。
 〈大災害〉以降、変わっていったのは技術や自治組織やモンスターだけではない。
 シロエたち自身も変わっていくのだ。それは、レベルの変化や口伝の取得といった意味だけではない。むしろ人との繋がりという目には見えにくいものだ。いままでそう言う視点で考えたことの無かったシロエは北への遠征を思い出した。
 ずっとついてきてくれた親友直継。あっというまに親しくなっていまではギルドハウスの主のような顔をしているてとら。ギルドマスター、ウィリアム。供贄一族の菫星。魔法学者のリ=ガン。そしてデミクァス。
 良い出会いも悪い出会いも響き合い、いまに繋がっている。
 きっとそれらは無駄ではないのだ。
 シロエが見下ろすとアカツキが「うん」と答えた。夕日がゆっくりと沈んでいく。夕飯のためにギルドホールへと帰る時間だ。

「シロエさーん」
 二人がギルド会館の前に差し掛かったとき、アカツキとは別の少女の声が響いた。
「ミノリ」
 小走りに二人に駆け寄ってきたミノリは、冒険に出るときの巫女装束ではなく、ブラウスにネクタイを締めた私服だった。
「むう。いい雰囲気だったのに」
「シロエさん、アカツキさん、今帰りですか?」
 弾むような足取りで二人にならんだミノリは、アカツキと反対側から、シロエを見上げてきた。笑顔のミノリは今日も機嫌が良いようだ。
「そうだよ。ミノリはバイト終わった?」
「ええ。今日はお土産もらっちゃいました」
「今日()、だ」
 アカツキは憮然とした口調でミノリの言葉を訂正する。
 ミノリは両手に、食材や薬品などでぱんぱんになった袋を持っていた。
 彼女のアルバイト先、〈生産系ギルド連絡会〉や〈円卓会議冒険斡旋所〉で渡されたものなのだろう。
 年齢に似合わず高い事務処理能力を誇るミノリは、これらの職場でも一級線の戦力として重宝されていると聞いている。気立てもよく、折り目正しい彼女は、窓口でもアイドルなのだそうだ。
 袋からあふれて落ちそうになる荷物をアカツキがすばやく押さえて、ミノリに大丈夫か尋ねる。お見合いのような体勢で固まる二人に「持とうか?」とシロエが尋ねるが、ミノリは見せたい物があるようだった。
「へいちゃらです。なぜなら、むふん」
 と、ミノリは肩下げのバッグにあふれかけた荷物を手際よく押し込むと、その奇妙な布袋を見せびらかすように両手で頂いた。
「わたしの〈魔法の鞄〉(マジックバッグ)ですっ」
「おお!」
 ミノリの満面の笑顔に、シロエとアカツキもつられて微笑む。

 彼女たち年少組はとうとう〈魔法の鞄〉を完成させたのだ。こうして毎日のように使っているミノリだけではなく、トウヤも、五十鈴も、ルンデルハウスも。〈三日月同盟〉のセララもが〈魔法の鞄〉を入手した。
 それどころか、ミノリたちの一行は、小さくない恩恵をアキバの街に与えたのだ。
 ミノリたちが持ち帰った呆れるほどの〈鋼尾翼竜〉(ワイヴァーン)の皮はアキバの街の低レベル〈冒険者〉に〈魔法の鞄〉を普及させた。本来であればクエストを受けて一人一個までしか作れないはずの〈魔法の鞄〉だったが、カラシンが〈大地人〉の職人を説得して、クエスト受注のレベルを下げてもらったらしいのだ。製作料金さえも〈第八商店街〉が出したおかげで、アキバの街では一番の新人でさえ、自分なりのデザインの〈魔法の鞄〉を所持出来るようになっている。
 その〈鋼尾翼竜〉との戦闘も、沢山の出会いも、割り切れないような葛藤も、シロエはミノリの口から幾晩もの時間をかけて聞かされた。
 あの旅路で彼女たちは多くを経験した。楽しいだけではなく、苦しくて張り裂けそうな気持ちも味わった。それでもミノリたちはこうして笑っている。
 率直にすごいとシロエは思った。
 自分がその旅に参加していたとしても、ミノリやトウヤほど優しくなれたかどうかは判らない。五十鈴やルンデルハウスほど勇気を振りまいて〈大地人〉を鼓舞出来たかどうかといえば、無理ではないかと思う。

「ほほう!」
 アカツキは年上ぶってくるんと回るミノリを見つめている。
「ミノリがデザインしたの?」
 シロエはカラシンから聞いて知っていることだが聞いてみた。よくわからないが手足のようなものがでろんと生えた「ミノリデザイン」の〈魔法の鞄〉は前衛的だ。「そうなんです!」と満面の笑みで話し出すミノリに、アカツキは「すごいな! ミノリ! 女子力高めだな!」と意気投合している。
 シロエはその光景をなんだかまぶしいような気持で見つめた。
 やっぱり、変わっていっている。それは多分良いことなのだと、ふたりをみているとそう思えるのだ。

「ついでだし、お土産も買っていこうか」
「賛成です!」
「主君、わたしはあんぱんを所望する」
「アカツキさんはあんぱん好きですね」
 甘やかすわけではないがお土産を提案するシロエに、響くように二人の返事がなされる。チームワークも上達して喜ばしい。が、シロエはテイクアウトを希望した。テイクアウトであれば、直継やにゃん太班長と一緒に食べられる。二人の攻撃を一人で受け止めずに済むはずだ。
「うむ、至高の甘味なのだ」
「たまには、ゼリーとかにしませんか?」
「ミノリはあんぱんに不満か」
「そういうわけではないですけど、その。バリエーション的に」
「むむむっ」
 ミノリとアカツキのやりとりは軽やかに続いた。互いにどこか遠慮していた様子がずいぶんと無くなっている。同じギルドハウスに暮らしているのだから、打ち解けていくのだ。こんな小さなところにも変化はある。
 自分をはさんで左右で会話するのは避けてくれれば完璧なのに。
 シロエはそう考えて眼鏡の奥で情けなく微笑んだ。
 一応そんな事を考えてはみたが、言っても聞き入れてもらえないのは判っている。そもそも女性というのは機嫌が悪い時はこちらの言い分を意図的に曲解するし、機嫌が良い時はスルーするのだ。インティクスがそうだった。
 〈彼女〉のほうはといえばいつでも上機嫌で話自体を聞かない。

「両方買っていけばいいじゃない」
「そうですよ、アカツキさんっ」
「仕方ないか」
「僕イチゴショートケーキがいいな、いいな。シロエさん。ぼくにもご馳走しようそうしよう!」
 何とか上手い着地点を模索してたシロエを横合いから盛大に邪魔をした可愛らしい声の持ち主はてとらだった。いつも通り小さなシルクハットをピンクの髪にちょこんと乗せた、コケティッシュアイドルの姿だった。
「むはーん!」
 シロエの腰にタックルをするような格好で飛びついてきたてとらをアカツキは引きはがそうとする。
「主君にくっつくな。半分アイドルめ」
「半分じゃないよ、ぼく完璧だよ英語で言うとパーフェクトだよっ。銀河と言えばギャラクシーだよ! シロエさんだってくっつかれてうれしいと思ってるよ」
「思ってないよ?」
「こんな時だけ優柔不断じゃない!」
 信じられないものを見たような様子でのけぞって驚くてとら。何事においてもオーバーリアクションなのがこの自称アイドルなのだ。ギルドに入って日が浅いにも関わらず、そんなキャラクターでてとらはすっかり〈記録の地平線〉に馴染んでいた。
「えー、そう思われてたのか僕……」
「むう。ほら、シロエさん。加奈子さんのとこいきましょう!」
「主君、あんぱん屋がまってるぞ」
「うわあ、ショートケーキも買ってよー!」
「季節限定だ。さくら餡パンだ、今食べなくていつ食べるのだ」
「わかった。シロエさんを三人で引っ張って、最後までもげなかったひとのお願いをかなえてもらおうよ!」
「えっ!? それじゃわたし左足がいいです」
「じゃあわたしは右足だ!」
 どんな拷問をする気なのだ。
 シロエは苦笑いを浮かべて肩をすくめた。
 三者三様の賑やかな声を聞きながら、シロエは紫色に変わりつつある空を見上げる。
 考えなければならないことは多い。こんな小さな幸せが切なかった。世界に黄昏が迫っている。シロエはただの大学院生なのにそれを知る立場になってしまった。
 〈冒険者〉には死亡終了(デッドエンド)はない。
 しかし時間終了(タイムアップ)はあるのかもしれない。シロエはその予感をかみしめた。



  ◆07



 油と香辛料の香りが立ち込める広間の中を、給仕の〈大地人〉たちが右へ左へと駆け回る。彼女らには〈黒剣騎士団〉の〈冒険者〉たちから注文がひっきりなしに乱れ飛んでいた。
 慣れない〈大地人〉相手の訓練は、ともすれば冒険以上に疲労する。そして、疲労を癒すのはうまい飯と相場がきまっている。〈黒剣騎士団〉団員たちの食欲は、大規模戦闘のエネミーをたいらげる勢いにも負けず旺盛だった。
 それは、ギルドマスター、アイザックとて例外ではない。よく動き、うまいものをよく食べる。それは、レベルによって身体性能が左右されるこの世界においても、体力作りの基本だと彼は考えていた。
 分厚い肉にナイフを入れたところでアイザックのテーブルに音高く書類が置かれ、テーブルの上の麦酒が波立つ。
「こんばんわー。アイザックさん」
「おう? おう。カラシンじゃねえか」
「よいしょっと」
 悪びれもせず、生産系ギルド〈第八商店街〉のギルドマスター、カラシンはアイザックの向かいに腰掛けた。
 騒がしかった店内がにわかに静まる。〈黒剣騎士団〉は、どちらかといえば体育会系、上下関係を重んじるところのある集団だ。ギルドマスターの席に勝手に座るような真似をすれば、団員であれば目端のきく先輩にこってりしぼられることになる。
 まして、カラシンは「よそもの」だ。〈円卓の十一人〉の一人とはいえ、〈黒剣騎士団〉の基準からすれば軟弱な優男でもある。
 団員の数人が席から腰を浮かしたのを、アイザックはつまらなそうに手で制した。
 周囲の様子を知ってか知らずか、相変わらずの営業スマイルを向けてくるカラシンにアイザックは肉の突き刺さったフォークを向ける。
「お前、最近気やすいな」
「そういうの気にするタイプじゃないでしょう? アイザックさん」
「まあそうだがよ。こっちじゃなくてお前の話だよ」
「あはははは。ボクだって相手は選びますよ」
「ったく。へらへらして分かんねえ奴だなあ」
 〈第八商店街〉は生産系ギルドの中でも、特に〈大地人〉たちとの交易に力を入れているという。そのギルドマスターであるカラシンは、海千山千の〈大地人〉商人たちと渡り合っている食わせ者だ。
 トレードマークの帽子を脱いで、カラシンは近くを歩いている〈大地人〉に声をかけた。「ああ、ぼくも冷たいのとメバルフライ」
 お仕着せの服を着たウェイトレスは、手元のメモに注文を書き取ると、一礼して厨房へ向かっていった。どうやら〈冒険者〉風の作法を徹底しているらしい。
「旨ーぞメバルフライ」
「ですよねー。それが楽しみで来てるようなもんで」
「今日も出稼ぎか?」
「出稼ぎなんて言わないで下さいよー。ここはわれら〈第八商店街〉初の支部商館なんですから。様子くらい。それに帳簿だって見ないとね」
 この食堂は、マイハマに置かれた〈第八商店街〉の出先とでもいうべき商館に併設されたものだった。〈自由都市同盟イースタル〉の盟主たるコーウェン公のお膝元に支部を置くことにあたってはいろいろと面倒な交渉があったようだが、その立役者がカラシンだったらしい。最大手の〈海洋機構〉でも、様々な先端技術を保有している〈ロデリック商会〉でもなく、〈第八商店街〉の支部が置かれたことに文句が出なかったのは、そういった背景があるからだと、レザリックが話していた。

「アキバから遠いわけでもないですしね」
 カラシンに水を差し出し、レザリックが二人の脇に腰掛けた。
 大規模戦闘の資材用意の関係で、レザリックとカラシンは付き合いが長い。特に〈大災害〉後は、個人的に様々な情報交換をしていたと聞いていた。
「ええ。僕一人ならね。〈巨大梟〉(ジャイアントアウル)でひとっとびです」
「お前アウルなんて乗ってるのか」
「大手ギルドならどこでも〈鷲獅子〉(グリフォン)持ってるわけじゃないんですよ。あれはレイドギルドだけです」
 〈鷲獅子〉と比べると、〈巨大梟〉は速度も航続距離も劣り、再使用規制時間も長い。レイドクエストで入手できるために利用者は〈鷲獅子〉より多いが、アイザックにしてみれば「ぬるい乗り物」だった。
「お前ら弱わっちいからな」
「そうそう、弱わっちいんですよ。アイザックさんたちの料理の値段百倍にしますよ」
 笑顔はそのままに、カラシンはしれっと言ってのける。
「くっそおめえ」
「そういうのはどうでもいいんですけどね」
 アイザックの言葉を、レザリックが淡々と遮った。
「おいぃ」
「どうでもいいですよね」
「ええ」
 こいつもレザリックと同類だ、とアイザックは判断する。自分の爆発の寸前でひらひらと身をかわす、鈍感なんだか糞度胸があるんだかわからない野郎。そしてアイザックはそんな相手を見直しつつあった。
 ウェイトレスが湯気を立てた皿をテーブルに乗せる。白い皿に、きつね色にあがったメバルフライと刻みキャベツ、こんもりと盛られたタルタルソースが食欲をそそる。
「お。うまそう。あつっ」
 フォークを差し込むと、ザク、と音を立てて衣が裂ける。玉ねぎいっぱいのソースをつけて、カラシンは勢い込んでそれを頬張った。
 しきりに頷きながらたちまちにフライをたいらげるカラシンを見て、アイザックは鼻を鳴らす。レザリックはウェイトレスにもう二皿メバルフライを追加注文した。
「ったくおめー、邪魔しに来たのかよ」
「そんなわけないです。仕事ですよ、一応ね。はい」
 腰の書類鞄から、カラシンは一枚の書類を取り出す。アイザックはそれを受け取ると一瞥もせずにレザリックに手渡した。
「〈円卓会議〉ですか」
「まあ、ゆくゆくは」
 副官の言葉に、アイザックはカラシンの皿からフライを一つとりながら問いかけた。
「んじゃいまはなんだってんだ?」
「当面の話は。典災とかいうモンスターですかねえ」
 ウェイトレスが新たに運んできた二皿のメバルフライから、カラシンはフライを一つ突き刺しつつ答える。
「ああ、耳にゃしてるがよ。なんだそりゃ……?」
 アイザックは減った方の皿をレザリックに回しつつ、手元に熱々のフライの皿を引き寄せた。レザリックはため息をついて、自分の皿から数匹ずつアイザックとカラシンにフライを取り分ける。
「僕だってわかりませんよ。それに〈大地人〉さんも戦争気分っていうか」
「……西が集めてるっていう兵隊か」
 ミナミの〈冒険者〉と、西日本の大地人組織〈神聖皇国ウェストランデ〉が手を組み、軍事を増強しているという情報は〈円卓会議〉の懸案の一つだった。
「そうです。もうね、面倒事ばっかり起こしてあっちの連中は。そのうえ福祉だ、予算だ、平等だ」
「アインスの野郎面倒くせえな」
「まあそれでも顔つき合わせて何とかやってくしかないんですけどね」
「ふぅん」
 アイザックはメバルフライの最後の一尾を口に運ぶと、改めてカラシンの顔を覗き込んだ。
「なんですか、それ。アイザックさん」
 ひょろりとした優男で、いつもへらへらと笑っている。女に甘くてすぐ鼻の下を伸ばして、おしゃべりで上っ面の関係でわいわいやっている。小器用に振舞って、物事のおいしいところばかりかっさらっていく。そんな軟派男の見本みたいなお坊ちゃん。最初は、そういう風にみえていた。
 アイザックが元の世界にいた頃、彼自身はそういう男が気に食わなかったし、そういう男たちも、アイザックに近寄ってはこなかった。お互いに別の世界の人間で、それはもう、そういうものだと思っていたものだ。
 だがどうして、話してみればこいつにもそれなりの筋がある。軽いなら軽いなりにふわふわとあちこちを渡り歩く。柔らかいなら柔らかいなりに、緩衝材として両者の間に入りこむ。アイザックがしない戦い方をこの新しい世界でカラシンはしているのだ。それが判った。わかったから、頭ごなしに叩きのめすことが出来なくなった。
「いや、おめえも、雑魚じゃねえんだよなあ、と思って」
「ひどいな!? それ!」
「まあ、いいじゃねえか」
「まーなんすか。これでも自治組織やってるわけですしね。放り投げるの簡単ですけど、もっかい作るの、大変でしょ? 〈円卓会議〉」
「まあな」
「アイザックさんもだから働いてくださいよー。ねえねえ」
「あーあー。うるせえよ、商売人。お前の声、頭の骨に響くってんだよ」
「僕をぶった切ったら二つに分裂して左右からサラウンドでおしゃべりきかせますからね」
 眉を跳ね上げたアイザックと、笑顔のカラシンが睨みあう。
 しばしあって、二人は同時に吹き出した。
「お前みてえな奴は身の回りにいなかったからよ。もっとビビり屋だとおもってたぜ」
「ぼくだってギルドリーダーですからそうそう小さくなってばかりもいられないんですよう。やれやれですよ。それにまあ、こっちだってアイザックさんのことはゴリラ八割人間二割だと思ってましたしね」
「実際はどうなんだ」
「コメント控えます」
「アイザックくんはだいたいゴリラじゃなくてほぼゴリラですからね」
 アイザックのグラスに麦酒を、カラシンに水を注いでレザリックが付け加えた。
「ってレザ、おめえ、どっちの味方だ」
 真面目くさったレザリックの口元が少しだけ緩む。カラシンが手を叩いて笑い声をあげ、波紋が広がるように、周囲のテーブルは賑やかな笑い声に包まれた。
 その渦に紛れるように、カラシンが小声で囁く。
「うすうす感じているでしょうが〈ウェストランデ〉の雰囲気が悪いです」
「ああ」
「軍の編成を進めているという……」
「〈円卓会議〉と|〈Plant hwyaden〉《あっち》がやり合うことはないと思うんですけど、無関係でいられるかっていうと」
「難しいでしょうね」
 〈円卓会議〉(アキバ)と|〈Plant hwyaden〉《ミナミ》は、表立って敵対関係にはない。だが、それぞれの同盟相手である、〈自由都市同盟イースタル〉と〈神聖皇国ウェストランデ〉が、万が一衝突したとしたら。
 知り合いが殴られて、知らん顔を決め込めるのか、という話だった。そのくらいは、アイザックにも直感的に理解できる。
「シロエのやつは、この絵が見えていて、俺たちに〈大地人〉騎士団のレベルアップを頼んだと思うか?」
「ありうる話ですよ。なんといったってシロエ殿腹黒ですから」
「その辺も聞いてみないとな」
 アイザックの言葉に、カラシンはにやり、と口元をつり上げた。
「じゃあ、〈円卓会議〉出席、と。アイザックさんはこのマイハマで任務中ですけど足あるでしょう? なんせレイドギルドなんですから」
「ああ。あるぜ〈鷲獅子〉(グリフォン)な」
「彼女いないですけどね」
 召喚笛をぶら下げるアイザックに、レザリックが混ぜ返す。思わずアイザックの言葉が詰まった。
「女なんてのはな! いいんだよあんなん。付き合ってやってもすぐ別れ話だなんだ、面倒くせえ」
「あははははは。企画します? 合コン」
「マジかよ!?」
「ええもちろん。ぼかあ、その道は詳しいんですよ」
「カラシンさんも彼女いないじゃないですか」
 レザリックの返す刀にばっさりと切られたのは、今度はカラシンの方だった。
 確かに、相手がいるなら合コン(そのみち)の百戦錬磨になるわけもない。カラシンが〈三日月同盟〉のマリエールにほの字だったのは、〈円卓会議〉では公然に秘密だったし、それが空振りに終わったことも同様だった。
 まあ、もっともそれを指さして笑えるほど、アイザックだって恵まれた立場ではない。この歳まで遊んでいれば、それは、そういう関係の異性の五人や十人はいるのだが、そういう関係になって何晩か経つと決まってアイザックはふられてしまうのだった。すっきりすると女の扱いが雑になる、ということらしい。
 カラシンをバカにできる様なアイザックではないのだ。
「ぶはははは! こいつ、チャラ系のくせに女いねえとか!」
 だがそんなことは気に掛けず、アイザックは大きな口で笑ってやった。
「そうゆうのは合コンには関係ないんですよっ」
 ポーカーフェイスが崩れ、目を白黒させて反論するカラシン。
 それを見て溜飲を下げたアイザックは、温くなった麦酒を一息で飲み干した。気にくわないところだってたくさんあるが、だがだとしたところで、バカ話をして酒を飲むのに問題があるほどではない。
 アイザックが麦酒から切り替えた蒸留酒に、カラシンはけなげについてきた。
 面倒事が沢山あるとしたって目の前を楽しめないなんてことはない。人生は大体のことが面倒臭いのだ。目の前の酒をふいにするのは馬鹿のやることといえる。
 その夜二人は、酒場の石床に寝転がるまで杯を重ねた。
 カラシンの女の好みを笑いのめしたことだけは、楽しい記憶としてアイザックに刻まれたのだ。
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