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ログ・ホライズン 作者:橙乃ままれ

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069



 ロレイル=ドーンは険しい山を小走りの速度で駆け下りていた。
 当然ながら、木が生い茂り道らしい道もないこの山系においてそれは無謀な行為だ。
 多くの術式が付与された聖騎士の鎧には傷がつき、汚れもひどい。ロレイルの普段であればなめらかな金の髪も薄汚れている。
 側で見ている侍女がいれば悲鳴を上げるほどの憔悴をロレイルは見せていた。
 彼は左右を見回すと、とにもかくにも低い方を目指して移動を開始した。まっすぐ南へと移動すればどこかで街道に出ることは判明している。
 焦る心を進む力に変えて、ロレイルは急いだ。

 作戦の責任者ミズファ=トゥルーデには念話連絡を入れることができない。
 ロレイルも彼女も〈大地人〉であるからだ。パーティー念話を使う魔道具を持ってはいるが、彼女とパーティーを結束はしていなかった。もしそんな準備をしようとしたところで、自分以外のなにも頼りにしないようなミズファがロレイルとのパーティー登録などに応じるとは思えなかったが。
「……ロレイルだ」
『ロンダークです』
 それゆえロレイルはミズファ付きの〈冒険者〉ロンダークへと、専用の魔道具で連絡を入れた。
 エルフの〈妖術師〉(ソーサラー)であるこの〈冒険者〉は、ミズファの装甲指揮車両で監視を行っているはずだ。
 ロンダークのレベルは高い。ロレイルよりも五十は上である。
 そもそも〈冒険者〉である彼らに、ロレイルは戦いを挑むことすらも出来ない。〈大地人〉と〈冒険者〉の間には、それくらいの差があるのだ。そんな自分が、上司としてロンダークへ声をかけるのに滑稽さを感じながらも、ロレイルは焦慮から会話をいそぐ。

「続報はないのか?」
『お待ちを。……濡羽様をみかけたという報告はありません』
「ミズファに伝えてください。パワーレベリングより濡羽さまを優先せよ、と」
『伝えますが……』
「なんだ?」
『濡羽様が望んでお出かけになられたのであれば、わたしたちが口をはさむことではない、と』
 今回の作戦〈赤き夜〉は|〈Plant hwyaden〉《プラント・フロウデン》がそこまで熱意を持って取り組んでいるものではない。ミズファの側からの要請に〈冒険者〉側がこたえた形だ。〈大地人〉が濡羽に頼んで実行の許可をもらった作戦である。
 にもかかわらず、濡羽を軽んじるようなその態度にロレイルは同じ〈大地人〉として溶岩のような血液が上ってくるのを感じた。
「くっ!」
 ロレイルは力任せに寄り添っていた大樹の幹を殴りつける。
 〈大地人〉の身には余るほどの付呪がほどこされた金属鎧は、力場を発生させて、ロレイルを守ると共に大樹の幹を砕いた。
 そんなことは言われなくてもわかっている。
 濡羽は気まぐれな主人だ。
 〈Plant hwyaden〉の行事を蹴飛ばしてふらりと抜け出すことも少なくはない。
 彼女のオーバースキル〈情報偽装〉(オーバーレイ)は自らの姿を完全に偽装するもので、最近では中レベルの特技まで再現する。ステータス表示まで偽装されてしまえば、個人認証をその表示に頼っている警備班にとって、彼女を補足するのは無理なことだといえた。
 もっとも彼女は〈Plant hwyaden〉の盟主たる最高位の〈付与術師〉(エンハントレス)である。〈冒険者〉の身体能力、さまざまな魔法行使能力、さらには口伝(オーバースキル)を考えあわせれば、彼女を害することができる存在は多くない。
 噂に聞くレイドダンジョンに向かうでもない限り、このヤマトのフィールドにおいて、彼女が危険に会う可能性は限りなく低いと言えるだろう。
 そこがもうひとつの問題であり、今回の濡羽失踪について知る者は、ロレイル=ドーンを含めて、彼女が誰かにさらわれて姿を消したであるとか、危難にあってるなどと考えているわけではないのだ。
 彼女は彼女自身の意志によって、姿をくらましたのだろう。
 しかしだからと言って放置してよい事態ではない。
 彼女は〈Plant hwyaden〉の盟主なのである。
「濡羽様……。せめてこのロレイルを伴っていただければよいものを」
 おそらくその戦闘能力において、濡羽はロレイルを凌駕するだろう。
 ジェレド=ガンが凝魔炉を用いてつくりあげた〈白き聖騎士の鎧〉をまとったとしても、まだ及ばぬという忸怩たる思いがあった。しかしそれでも、ロレイルは濡羽を守りたいのだ。
 生々しい音を立てて途中から傾いていく巨木をしり目に、ロレイルはまた歩き出す。

 〈赤き夜〉作戦は秘匿を要するために、その中心部を人目にさらすわけにはいかない。そのために深い山中がその実験の場所として選ばれた。
 作戦中枢である装甲指揮車両に乗り込む百人あまりの〈大地人〉。
 彼らに閲兵を行うことが、今回濡羽が行うべき公式行事であり、そしてそれは滞りなく行われたのだ。
 ヤマト西部を完全に掌握した〈冒険者〉組織〈Plant hwyaden〉。
 その伝説的支配者、嫣然たる神狐の姫、濡羽。
 彼女の存在とほほ笑みは、兵たちにこの上ない高揚と昂奮をもたらした。
 ロレイルでさえ強い酒に酔ったような酩酊と強い義務感を感じた。彼女の旗のもとにであればどんな困難も越えられるだろう。彼女の憂いを取り除くために、どんな戦場に赴くこともいとわない。ロレイルは充実する気力とともに、それを再確認する。
 しかし濡羽が義務を果たしたのはそこまでであり、閲兵を終えたその夜には姿を消したのだ。
 彼女は支配者であり、その意志を制御することは不可能だ。
 だから、彼女がこの場を抜け出すのであれば、ロレイルはそれを制止する言葉を持たない。しかし、ロレイルは彼女の親衛隊、その隊長である。彼女がどのような場にあろうとその安全を確保し、彼女の敵を討ち果たすべき存在である。
 その自分が彼女を見失ったという事実は、ロレイルの精神に恐るべき悲嘆と苦痛をもたらした。

 彼女はロレイルに言葉をかけることなく姿を消した。
 濡羽にとって自分はその価値のない存在なのだという事実は、ロレイルにとって肯んじることの出来ない屈辱である。侮られ、見捨てられたのだ。その懊悩はロレイル自身、表現することさえ出来ない。しかしそれは同時に甘美でもあり、彼女のために山中をさまよい続けている自分に、ロレイルはどこか奇妙な悦びも感じていた。
 それは、〈Plant hwyaden〉の盟主である濡羽に仕えるという騎士道的な自分への陶酔でもあったろうし、彼女のためにこれだけの徒労を重ねられる者は他にはいまいという、ゆがんだ優越感でもあった。
 しかしそんな腐肉にも似た密かな甘さを内包していたにせよ、いまロレイルが主に感じているのは、苦痛と焦慮である。

 今回の作戦には十席会議から四人もの参加者が存在した。
 まず、作戦の責任者、ミズファ=トゥルーデ。立候補により立会人となったカズ彦。
 閲兵要請に応え〈Plant hwyaden〉本部から足を延ばした濡羽本人。そして濡羽警護のために行動を共にしたロレイルである。
 濡羽が行方をくらました今、彼女の後を追い、その安全を確保することができるのは、そのための行動が可能なのは、ロレイル=ドーンただ一人なのである。
 ロレイルは〈冒険者〉のつくる〈水薬〉(ポーション)を浴びるように飲み、休憩も挟まずに山肌を駆け下りていった。
 濡羽が姿を消したのは山中であり、もし彼女が姿を隠したままでいるつもりだとすれば、その発見はロレイルではなく腕利きの〈冒険者〉であっても困難である。この山系をさぐるとなれば、数百人の高位〈冒険者〉を動員したとしても、彼女を発見できる保証はないだろう。山狩りとはそれほどに難しいものであることを、幼いときから軍事訓練に明け暮れていたロレイルは知っている。
 しかし濡羽が山中で身を隠している可能性はほぼないであろうと、ロレイルは考えていた。

 彼女は根っからの都市生活者で、かなり怠惰な性格でもある。
 濡羽の住まいである斎宮家の別邸〈金鳳花の宮〉において、彼女は奥まった一角をその寝所として、ほとんどすべての時間をその中で過ごしているのだ。
 〈Plant hwyaden〉における彼女の役割は、そのたぐいまれなカリスマ性で、〈冒険者〉と〈大地人〉のすべてを糾合することにあり、戦闘や探索、事務仕事などは彼女以外の十席が務めるべきことである。
 彼女の日常は、夜会や合議、そして説得や交渉などで占められている。
 そういった事情を考えあわせれば、土や砂、羽虫にみたされたこの山中で長い時間を過ごすことは望まないとすぐわかる。濡羽は山を下りて、少なくとも最低限の規模を持つ居住可能地を目指すはずだ。
 それも、彼女好みの快適な環境を考慮すれば、貧しい村ではなく、最低限でも宿屋を備えた町へと移動するだろう。
 ロレイルは付近の地理を思い浮かべた。
 断定はできないが彼女は赤土の街道を経由して、西へと移動するだろう。ミナミとまでは断言できないが、そちら方面に移動さえすれば、フジやパインサイドに、彼女が快適に過ごせる宿はいくつか存在する。彼女はそれらの宿に半年やそこら逗留できるだけの手持ち現金を持ち歩いているはずだ。宝飾品を処分できるのであればその期間は十倍に伸びる可能性もある。
 もっとも、彼女がロレイルの予想通りに動くのであれば、発見することはさほど難しくはない。彼女が快適に過ごせる宿というのは、ミナミやイコマでないかぎり限られているのだ。一般的な〈大地人〉の村には存在せず、町以上の規模でその集団にひとつ程度。フジやパインサイドに存在するということは、そこ以外には存在しない。つまり、調べるのが簡単だということでもある。
 しかし同時にそれは多少なりとも時間のかかる探索であり、彼女が意地悪く遠方への移動を繰り返せば、発見までの時間は延長されてしまうのも確かなことだ。
 そしてその無為な時間の間に、彼女が何らかのトラブルへ遭遇数可能性は、ゼロではないのである。

 ロレイルは不眠不休で走った。
 三昼夜かけて尾根を越え、渓谷を渡り、街道へとたどり着いた。彼がもっと要領のよい人間であればその時間は大幅に短縮されただろうが、彼は地図上での最短距離が最速移動経路であるということを信じるタイプであったし、濡羽という毒に当てられてもいた。
 彼が彷徨っていたのはヤマトで最も美しく丈高い山の麓であったし、そのころには彼の求める人物は、彼よりずいぶんと先行していたのだ。


 ◆


 商人たちの頼みでボクスルトの山岳砦まで多少の荷を運んだセララたちは、そこで荷を下ろし、先へと進むことになった。〈大地人〉ダリエラも馬車に乗せてだ。
 馬車一台を失った商人たちは彼女を乗せて旅をする余力がなくなっていたし、街道は比較的安全であるとはいえ、それは旅慣れた人間や〈冒険者〉にとってであり、〈大地人〉女性の一人旅はそこまで安心できるものではなかった。
 当面の目的地、サフィールまでということで馬車に乗せるということに話はまとまった。
 セララたちの一行もサフィールは旅の目的地のひとつだ。
 アキバから西へと向かうこの街道の仲で比較的栄えた街であり、そこで旅の疲れを癒すことは出発前から計画されていたのである。

 しっとりと水けを含んだコケに覆われた石畳の道や、滑りやすそうな赤土の道、濃い緑のアーチに覆われたひんやりする尾根の道を通り、馬車は進んでいった。速度は遅い。こんな山道では、いくら〈蒼褪めた馬〉(ペイルホース)が強力だとしたところで、あまり助力にはならないのだ。全力疾走をしたら簡単に事故を起こしてしまう。
 セララたちの一行はうねうねとつづく山道を歩く速度で進んでいった。
 どこかで笛の音にも似た鳥のさえずりがして、歩いているセララは耳を澄ました。隣にいるミノリをみると、彼女も目線で鳥を探しているようだった。セララもきょろきょろと探ってみると、ウルフの視線の先に、青い翼に黄色いラインをそなえたコッペパンほどの鳥が、もう一声鳴いた。
 見つけ出せたことがうれしくて、ミノリの袖を引いて報せると、彼女にも場所がわかったらしい。二人は顔を見合わせて微笑み合った。
 セララはそのおかげでずいぶんほっとした気分になった。

 通り過ぎた山岳砦にも〈オデュッセイア騎士団〉がいたのだ。
 ダリエラの話によれば、彼らはヤマトのこのあたりの地域ではさほど珍しくはないのだそうだ。〈大地人〉の村や町を守るために命がけで戦う彼らは、このあたり一帯では受け入れられているし尊敬もされているのだという。厳めしくてどこか陰鬱な集団だが、そうやって説明をされると、礼儀正しいし装備なども清潔で、潔癖な騎士団だと言われれば、そうなのかもしれないとセララは思った。
 ミノリやトウヤたちも〈オデュッセイア騎士団〉が少し苦手らしい。
 峠道ですれ違ってから、ピリピリした空気だったのでそれがわかる。それでも数時間が過ぎてだんだんと空気がほぐれてきた。あの青い鳥には感謝をしなきゃ、とセララは思った。
 本来であれば、山岳砦で一夜の宿を乞うべき旅程だった。
 砦には旅人向けの宿泊施設も備えられていたのだ。
 しかし、峠の広場で一夜を明かしてしまったセララたちは、昼前に砦を通り過ぎてしまったので、チャンスを逃したといえる。
「ミノリちゃん。今晩も、野営だよね?」
「そうですねえ、このあたりには手ごろな宿場町もありませんし」
「明日は?」
「きっと早い時間にフジにつきますよ。そうしたらお泊りしましょう」
「うんっ、そうだよね」
 セララは大きく微笑んで同意した。
 旅程は自分の想像通りで確認できたし、ミノリはやっぱりそのあたりのことも抜かりなく考えてくれててうれしかった。
 やがて山道は終わり、だんだんと道幅は広くなった。まだ勾配はあるがなだらかになり、密生した森は雑木林へと姿を変えていく。見通しが良くなった道からは、富士山がよく見えた。この異世界でその名前を何というのかセララは知らなかったが、それはなじみ深い、白い雪をかぶった日本一のあの山だった。
「富士山だ」
「おおう、そうさ。あれが霊峰フジだ」
 トウヤとルンデルハウスがはしゃいだような声を上げている。
 セララだってどこかワクワクしたような気分だ。富士山だなんて日本に暮らしていれば、月に一度以上はWebTVの天気予報で見かけるし、実際、セララの住んでいた市からだって天気が良ければ見ることが出来る。そんなに珍しがって騒ぐような光景ではないし、よく考えれば、ここは異世界なので本物の富士山ではない。
 それでもなんだか特別な山であるかのように感じてしまうのは、日本人だからということなのだろうか。よくわからないが、セララとしては、五十鈴の「これぞ旅って感じだよね!」という言葉に頷いておいた。本当にそんな感じだと思ったのだ。

 午後の浅い時間になると、風の中に流れるような基底音がまじり、やがてセララたちは海岸へと出た。白い砂浜とはいかず、セララの小指の先ほどの小石がしきつめられた、それでも青灰色の海がそこにあった。海岸は非常に緩いカーブで、セララたちの進行方向へと伸びている。
 街道は海岸と並行して走っているのだが、このあたりにおいて街道と砂利の海岸の間に明確な区別はなく、点在する松林が防砂林代わりになっていることくらいしか、目印はなかった。
 海は穏やかで、いくつか舟が浮かんでいるのが見えた。
 〈大地人〉の漁師なのかもしれない。
「チョウシみたいだね」
「でもこちらの方が、海岸は荒い感じです」
 セララとミノリは感想をいいあって、慌てて二人でサファギンの影をさがした。
 もちろん幸いにしてそんなモンスターは存在せず、二人で笑いあった。

「ここまでくればサフィールはもう少しね」
「ダリエラさんはお泊りしたことがあるんですか?」
「ええ、帰り道ですからね。何回かは」
「明日にはつくんだよね-」
「急げば夜中にはつくけれど……」
 ミノリの言葉に、セララたちはそろって首を振った。
 無理は禁物。これも旅から得た教訓だ。
 しかしそうなると、今日は野営しなくてはいけない。セララは空のご機嫌を伺ってみた。上空の風は強そうだが空気は澄んでいるし、崩れることはなさそうだ。ということは野営の難易度は低い。さすがに海岸線は怖いので、もう少し内陸に入ったどこか木立でもみつけて、そこに寄るべきだろう。ちょっと見た感じ、風よけ程度の雑木林はいくらでもありそうだ。
 もっともいま進んでいる道は海岸ということもあって平坦で歩きやすく、野営出来そうな場所もいくらでもあるというのがくせ者で、そうこう迷っているうちにあっという間に夕暮れになってしまうこともあり得る。
「そうしたら夕ご飯作れなくなっちゃうし……」
 セララは頭の中でぐるぐる考えた。
 夕飯の当番を買って出たのはセララなのだ。
 旅の料理というのはどうしても難しい。
 出かける前には、あれだけにゃん太につきっきりで腕を磨いてもらったセララだったが、いざこうして実践ともなると、自分が理想としていたメニューの半分さえこなせなかった。
 平らなまな板さえない野外では、台所とは勝手が違いすぎるのだ。
 しょんぼり料理しか作れなくて申し訳なくなる。
 実を言えば、その悩みはかなりずれている。〈大地人〉の間で「旅の糧食」といえば堅めに焼いたずっしりと重いパンだ。それに薄めた葡萄酒か蜂蜜酒。
 セララたち一行が野営のたびに作っているスープだのお好み焼だのという食事は完全に〈冒険者〉の側の文化であって、この世界では一般的ではない。セララたちは特ににゃん太班長という野外料理さえもこなす料理人の近くで〈大災害〉後の生活を過ごしたために、常識がずれてしまっているだけなのだ。
「スープパスタかなー」
 とセララは赤くなって小声でつぶやいた。
 〈くいだおれ横町〉で購入した瓶入りのスープの素と野菜に乾燥肉をいれたスープを作り、葉っぱの形のパスタをざらざらと入れれば、腹持ちもするスープになるだろう。あとは少し酸っぱいけれど林檎のマヨサラダがあれば、なんとか格好つくかな? とセララは考えた。
「一皿じゃ、やっぱり手抜きっぽいかな……」
「そんなことないです。温かいスープは美味しいです」
 隣のミノリに励まされてしまった。
 セララはちょっと情けない気分で笑う。にゃん太のように頑張りたい気持ちはドーム球場で計ったほうがいいくらいたっぷりなのだが、〈魔法の鞄〉をもっていない一行にとっては手持ちの食材や調味料も限られるし、野外で料理する場合、調理場所や熱源の管理など、手がかかることも多い。
 ちょっと複雑なことをしようとすると、セララは簡単にパンクして失敗してしまうことだって少なくない。〈新妻のエプロン・にゃん太さんのアップリケ付き〉を装備している以上、サブ職が家政婦だなんて言い訳だってできない。
「みなさんは、仲がいいのですね」
 困ったセララと励ますミノリにダリエラが柔らかい表情で問いかけた。
「友だちですから」
「友だちだもんね!」
 ミノリの返事に前のほうを歩いていた五十鈴が振り返って叫ぶように合わせる。
「同じ、ギルドなのですか?」
「ううん。わたしは違うんですよ」
 セララは答えた。でも、友だちなんです。という気持ちで胸を張る。
「セララちゃんは〈三日月同盟〉。わたしたちは〈記録の地平線〉というギルドに所属しているんですよ」
「あー。ボクはギルド未所属、旅の吸血鬼だ」
 御者台からロエ2も話題に参戦した。
「差し支えなければお聞きしても……。どんな理由でミナミにむかっているのですか?」
「ミナミに向かってるわけじゃないよ。その途中、レッドストーン山地へ|〈鋼尾翼竜》《ワイヴァーン》〉を狩りに行くんだ」
 トウヤがダリエラの質問に答えている。
「まあ。〈鋼尾翼竜〉ですか……。里まで下りてくる可能性のある怪物ですね」
「そうなの? ミノリちゃん」
「たまにね、そういうこともあるってシロエさんが言ってた」
 うーん、とセララは首をひねった。
 ミノリの図解によれば、ワイヴァーンというのは、手足が生えた紙飛行機みたいなモンスターだと思う。空を飛ぶのなら人里に降りてくるのもあるかもしれない。

「あとは、ツアーかな」
 いつの間に先頭から下がってきていた五十鈴がそういった。
「ツアー、ですか?」
「なんだいそれは」
「そういえば、ロエ2さんもみてないんだった」
 セララはどう説明をしたものかと頭を悩ませて、助けを求めるような気分で五十鈴を見た。
 五十鈴は杖代わりにつかっていた槍を胸に抱くように構えると、リュートをそうするようなしぐさでかき鳴らし「演奏旅行だよ」と片目をつむった。
「五十鈴さんは〈吟遊詩人〉なんです」
「えへへへ。半分素人なんだけどね」
「だから五十鈴さんを中心に、村や町で、音楽演奏をするんですよ」
「まあ、音楽を?」
 感心したように声を上げるダリエラに気を良くしたのか、五十鈴はそのまま軽やかにステップをしてひらりと回る。
「これでもアキバの〈ブルームホール〉じゃロケンローラーだって言われてるのです」
「ロケンローラー?」
「えと、えと……つまり」
「つまり?」
 ロエ2の怪訝そうな疑問に、セララは「格好いい感じです」と答えた。
 さっきから笑いをこらえていたミノリはそれに吹き出して、セララはそんなミノリに必死に抗議をした。自分でもちょっと変な説明かなあ、と思っていたので、頬が赤くなるのを止められない。
 ロックンローラーなんて最近めったに聞かないし、説明の難しいような言葉を使った五十鈴のほうが悪いのだ。頬を膨らませたセララは、そうだよね、という確認を込めて五十鈴はみつめたが、五十鈴のほうは通じていないのかくるんと肩を回して上からのストロークを下ろすと、口でワンフレーズを歌い上げてポーズを決めた。
 セララに同情してくれるのは、足元でじゃれつくウルフだけだ。
「音楽活動とは、興味深いな」
「ええ、なんだか素敵ですね」
 ロエ2とダリエラはそう表してくれて、それで、五十鈴は気をよくしたようだった。
「じゃあさ、じゃあさ。サフィールで演るから見てくださいよ」
「演る?」
「ね、ミノリっ。いいよね?」
 五十鈴は勢い込んでミノリに尋ねた。
 元からサフィールの街には二泊する予定だ。というのも、サフィールの街で英気を養った後は、いよいよレッドストーン山地へと分け入っていくことになるからである。ボクスルトの峠を越えたときは、山地では会ったがそれでも交易用の街道を通ることが出来た。レッドストーン山地では、狩りをしなければならないため、最悪、道無き山野を踏破しなければならない。
「わたしも、五十鈴さんと一緒にうたっちゃったり、したりして」
 セララがそう口添えると、ミノリは心配ないというように頷いた。
「ええ、大丈夫です。サフィールの街では少しゆっくりしましょうね」
 そんな言葉に背を押されるように、夕暮れまでのひととき、セララたちはもうすこしだけ旅程を進めるのだった。



 ◆



 そして予告されたその夜のライブは最高だった。
 なんだかすべてが輝かしくて、熱くて、どきどきという胸の高鳴りの中で、無性に愛おしく思えた。それこそ、壁の汚れや、不細工な宿の店主までだ。
 声はいつもよりずっと伸びやかだったし、〉精霊遊戯のリュートアン・ディー・フロイデ〉は五十鈴に忠実だった。
 八分音符はおそろいの帽子をかぶったかのようにそろって五線の上を行進し、トウヤの叩くリズムと唱和した。セララの足踏み風琴(ポータオルガン)はびっくりするほど拡がりのある伴奏をした。白い子犬が死にものぐるいでポンプを押していたせいかもしれない。ミノリにリュートをあずけた一曲だって楽しかった。
 失敗はあったが、それらはすべて、泡立つ炭酸の海のような喜びに融けて消えてしまった。とにかく、最高だったのだ。

「もう、もうっ」
「ミス五十鈴、暴れないでくれたまえ」
「暴れてない」
「わかった。わかったから」
 宿の裏側にあるカフェテラス席まで肩を貸してくれたルンデルハウスは呆れたような声を出しながらも、五十鈴の肉のついていない身体をサイズの大きい椅子におろす。ルンデルハウスがなんだかいつにもましてキラキラして見えるのは、今夜のライブが最高だったからで、うっかりアルコール飲料を飲んでしまったからではないはずだ。
 もう、深夜が近い。
 月は高く昇っていて、涼しげな風が吹いていた。
 サフィールの街でも大きな酒場(タバーン)であるこの店、〈気高き山のスノウドロップ〉は設備が整っていて、表通りに面しても大きなテラス席がある。今日のライブでは、すべての鎧戸を開け放ち店の外側からも大勢の客がのぞき込むほど大盛況だった。その熱気とざわめきはいまも熾り火のように店内に残り、五十鈴の耳にかすかに届いている。
 とはいえ、その熱狂ももう潮が引く時間だ。
 日が暮れてからもう五時間以上は経つはずで、ミノリもセララもとっくに白旗を揚げて借りた部屋に引き上げている。
 名残惜しくて客席に戻った後もリュートをつま弾いていた五十鈴が、街の人におごりだと薦められた酒を飲んでしまい、涼しい裏庭へとエスコートされたというのが正しい。
「ほら、ミス五十鈴」
「うん」
 ちょっと反省の気持ちもあった五十鈴は、ルンデルハウスが井戸で汲んでくれた水を一口飲んだ。まだ三月も早い夜、霊峰フジの南にあるというこの街の井戸水はとびっきり冷たくて、こめかみが痛むほどだった。

「ふふふふ。ふふふふふーん」
 五十鈴は楽しくなって、テラスに置かれたウッドテーブルに椅子から上半身を投げ出した。木の肌にほっぺたがくっついてひやりとするが、それは火照った身体には心地よい温度だった。もうひとつの椅子をひっぱってきて腰をかけたルンデルハウスが近くにいてくれるのも、気分が良かった。
 ほっぺたをつけたまま、裏庭の方に視線を向ける。
 アキバとは違って、このあたりは、街と言ってもそこまで住宅は過密ではない。ビルの廃墟を利用した建物もあるが、それはこのサフィールの街でも数えるほどで、この〈気高き山のスノウドロップ〉などに限られている。
 残りは木造建築の平屋がほとんどで、それも家と家の間にはたっぷりした空間がとられている。庭だとか生け垣に相当する者はあるが、それはどちらかというと菜園とか雑木林と言っても良い規模が多かった。
 その例に漏れず、この裏庭にも手入れのされていない野花の咲く空間と菜園、大きな緯度と、家畜小屋、それに木立が広がっている。酒場の開け放たれた裏口から漏れるオレンジ色の光と、天から降り注ぐ月の明かりが、ともすれば墨一色になってしまう夜の自然をあえかに照らし出していた。

 眠いわけでは無かったが、ちょっとだけ目をつぶってみると、世界がぐるぐる回っているようで心が浮き立った。思ったより寒さを感じないのは、風が弱いせいなのかと、薄目を開けてみれば、前髪をうっとうしそうに掻き上げているルンデルハウスが瞳に映った。マントを身体に巻き付けるようにして、五十鈴の風上に座っている。
 視線があって、五十鈴は不意に恥ずかしくなった。
 普段は何でもないのだが、時たまこんな気分になるのだ。おそらくわんこの魔力なのだろう。気づかないふりをして、つま先で、ルンデルハウスの座っている椅子を軽く蹴飛ばした。

「どうしたのだ」
「なんでもないよ?」
「そうか」
「うんうん」
「今日はよい舞台だった」
「今日も、だよね」
「今日も、だな」
 苦笑を含んだルンデルハウスの声が響いて、五十鈴は再びまぶたを閉じた。両手を広げてテーブルを抱える。その大きさはまるでウッドベースのようだった。そう思えば自然と微笑みがこぼれ、指先が動いてしまう。
「ミス五十鈴は本当に楽器が好きなんだなあ」
「大好きだよ」
「それでもプロのミュージシャンにはならないのかい? それにしては、ずいぶんツアーにこだわっていたじゃないか」

「うん、それはね」
 五十鈴は身体を起こし、満足そうなため息をつくと、ルンデルハウスを見た。
 窓から酒場の明かりが漏れて、それが彼の金髪を光のラインで縁取っていた。
 怪訝そうなルンデルハウスにむかって、五十鈴は話し始めた。
「わたしのね、お父さんはね。話したかもしれないけど、プロのミュージシャンなんだ。スタジオミュージシャンっていって、なんて説明をしたらいいかなあ……。えっと楽器の演奏のプロ中のプロ、ってことで良いかな。いろんな人の音楽活動の手伝いをするためにね、録音する場所で演奏するんだ」
「ふむ。ミス五十鈴があんなにも上手なのはお父上の血と薫陶のたまものなのだな」
「あはははは。やだなあ、そんなんじゃないって。お父さんはね、うーん、自由人でね、ロックンローラーなんだよ。格好良いんだ。長い髪をたなびかせて、革のジャケットなんかきちゃってね。足細くてさあ! いまはちょっと田舎町に住んでるけど、あれでもかなり有名なんだ。ファンの人もね、昔のファンのひともいるんだよ」
 五十鈴は、もう一口水を飲んだ。
「そのお父さんがね、子どものわたしにすっごい自慢をするわけ。若い頃の武勇伝っていうのかな? バイトをして買ったおんぼろのバンに楽器を積んで、ツアーに行く話なんだよ。お父さんもツアーをしたんだ。高校を出てずっとそうだったんだって。バンド小僧だったお父さんは、学校を出てから、バイトをしてはライブハウス遠征をして、お金が無くなったらまたバイトをして、東京からあちこちに旅をして回ったんだって」
「いまの僕たちみたいに?」
「うんうん、そういうこと!」
 それは五十鈴にとって憧れであり、確かなヒーローの姿だったのだ。

「もう、ほんっとうに馬鹿な話ばっかりするんだよ、うちのお父さん。小学生だったわたしにさ、若かった頃どんなに自分がモテたかとか、彼女沢山いたかとかさ、あちこち遠くまで行ったかとかさ、貧乏自慢までするんだよ。フェンダー買って借金して二週間で壊して暴れた話とかさあ。仲間と一緒に海岸まで車を降ろして格好つけて砂浜を走ったらエンストしちゃって困った話とかさ。コンビニでおでんを買って、橋の下で雨宿りしながら食べた話とか――」
 そんな話をしてくれた父の顔を五十鈴はきっと忘れない。
 自慢そうなニヤニヤ顔を、五十鈴はそんな父を「気持ち悪い、もうあっち行け」などと突き放していたが、本当はうらやましくてたまらなかったのだ。

「あんまりお金が無くて、ライブハウスってえーっと、つまり、今日みたいな酒場だよね。その酒場で演奏をして、お小遣いをもらって、ライブハウスの控え室の床で寝させてもらったこともあるんだって。わたしたちと違って男同士の旅だったから、すぐケンカをするんだってさ。でも、それじゃあ次のライブができないから仲直りして、それからまたバンに乗って別の街へ向かうんだって」
「うん」
 ルンデルハウスは、ただ聞いていると言うことを示すために小さく頷いてくれる。それに安心をした五十鈴は再び父のことを話すのだ。

「父さんはそんな感じでロックンローラーをして、メジャーデビューをしたんだ」
「メジャーデビューってなんだい?」
「レコード会社から音楽を配信――あーえーっと。つまり、えっと」五十鈴は説明の言葉を探したが上手くいかず、思い切って省略する。「つまり、有名なミュージシャンになったんだ。街中でお父さんのバンドの曲が流れるくらいにね」
 嘘はいってないよね? と五十鈴は自分の説明を点検した。
 ニュアンスくらいは多分伝わっただろう。
「すごいのだな」
「すごいんだよ。ああみえて。わりと。……でもね」
 月の光は青白く、夜は澄み切って、五十鈴とルンデルハウスを包み込んでいた。
「メジャーデビューってすごいんだけど、わたしたちがいた世界って、そのすごい人、沢山いるんだよね。毎年百人以上メジャーデビューしてるとおもう。一回有名になっても、ダメなんだ。売れなくなっちゃう人は沢山いる。お父さんも、そうだったんだ」
 ため息は、つかないですんだ。
「だからお父さんは、スタジオミュージシャンになったんだ。メジャデビュー路線じゃなかったけど、でもずっとやっていきたかったんだろうね。聞いたことはないけれど、そうなんだと思う」
「やはり、ミス五十鈴にはお父上の血が流れていると思うし、メジャーデビューをするのだね」
「ううん、違うって。メジャーデビューはプロなんだって」
「でも、ぼくは今日のライブで、キミの歌を聴いて幸せだった。今日の歌は、いつにもまして、優しくて、染み入るようだったよ。キミは歌っていて幸せじゃあないのかい?」
「だってそれは」
 言葉に詰まる。
「わたしはさ、そういうのじゃないんだよ。そりゃね、もちろんね、リュートは好きだよ。大好き。歌うのだってね。でも、お父さんと比べると、どうかなあ。あのひとギターと寝るとか言える変態だからなあ……。それに、ほら、わたし才能ないんだよ」
「……」
「お父さんから、そう言われてる」
 ルンデルハウスの気配は咎めるようなものだった。言いたいことは、分かる。逃げているように見えるのだろう。でも、五十鈴にだって言いたいことはある。音楽というのは並や大抵ではないのだ。憧れだけでプロには慣れない。
 才能もある人が努力をしてやっとスタート地点に立てるものだと思う。お父さんだってスターにはなれなかった。そのお父さんの苦労や愚痴だって、五十鈴は聞いている。安請け合いできるようなことではない。

「でもさ、ほら音楽は大好きだよ」
 空気を変えるように、わざと明るい声で五十鈴は言った。
「うん」
「今日もさ、楽しかったよね。みんなも喜んでくれたしさ。おっちゃんたちなんか、わたしみたいなのにご馳走奢ってくれたりして。褒められて褒められて、わたし、天狗になっちゃうよ」
「僕だってミス五十鈴の歌は大好きだよ」
「ルディが最初に言ってくれたからだよ。みんなの前で演奏する気になったのも、こうやってツアーなんて言い出すことができたのも。わたしなんか、全然たいしたことないんだけどさ。でも、こうして演奏できてさ」
「ミス五十鈴の弾く楽曲は素晴らしいよ。そんな事は、僕たちみんなが分かってる。分かってないのはキミのほうなんだよ」
 少しだけ怒ったような表情のルンデルハウスは五十鈴の言葉を遮った。
 そうして張り詰めた表情をした彼は、普段よりもずっと大人びて見えて、それが怖かった五十鈴は「またまた、ルディは優しいね」とごまかそうとしたが、開きかけた口は、さしのべられたルンデルハウスの指先に堰き止められた。

「楽器、曲、演奏……音、音階――42は42」
「え?」
「42」
「え?」
音楽(42)
「どうしたの、ルディ?」

 短くない時が流れて、ルンデルハウスは、優しすぎて五十鈴の胸の中心に突き刺さるような笑みを浮かべた。五十鈴は、ルンデルハウスのその表情に、そっと降ろされた指先も忘れて、じっと見つめる事しかできなかった。

「〈冒険者〉になってわかったことがいくつかある。〈冒険者〉には、言霊(ことだま)の加護があるだろう? 〈冒険者〉は〈大地人〉の言葉を話せる訳じゃない。意味が分かって聞き取れるし、自動的に変化して〈大地人〉にも判る言葉を喋れるだけだ」
 五十鈴は意味もわからずに頷いた。
 ルンデルハウスがなにを話そうとしているのか、五十鈴にはさっぱり分からなかったのだ。
「〈大地人〉の言葉において、音楽(42)42(音楽)は一緒なんだよ」
 自動翻訳機能の話なのだろう。それはわかるのだが、なにが言いたいことなのか分からず、五十鈴は胸騒ぎのままに首をかしげた。

〈大地人〉(ぼくら)にとって音楽は、42しかないんだ。この世界には、その数だけしか曲がない。僕たちのご先祖さまはそれしか曲を作らなかったし、僕たちは新しい曲を作れない。……ねえ五十鈴。僕たちは、キミの歌う歌が、嬉しそうに叫んでいる幾つもの曲が、大事で、嬉しくて、本当に大好きなんだよ」


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