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ログ・ホライズン 作者:橙乃ままれ

夜明けの迷い子

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発売日ずれちゃってごめんなさい切腹回。

 粘着質な闇の中でひとりの男が身じろぎをした。
 軋む身体を泥濘の中からゆっくりと引き上げる。
 どこからかちょろちょろと汚水の流れる音がした。下水道とはいえ、それは地球世界の現代東京のそれとは違う。男がねぐらとしたこの周辺は、指の幅よりも細い汚水があちこちを走る地下迷宮に過ぎない。
 〈冒険者〉から奪った古着を乱雑にまとめただけの寝床から起き上がった男は、腹部に指を這わせる。ざらりと指にまとわりつく錆のようなものは乾いた血液だ。ズタズタに裂けた漆黒の外套の中で、熱を持った傷口はすでにふさがっている。
 ――どうやら傷は癒えたらしい。
 仮面にも似た鉄兜の内装が淡く光る。暗視能力を与える魔法効果だ。
 〈動力甲冑〉(ムーバブル・アーマー)は上古の時代より続く不破の魔法具。魔法の品(マジックアイテム)魔法文明の遺物(アーティファクト)という言葉さえなまぬるい、幻想の忘れ形見(ファンタズマル)である。
 その能力はいま現在の〈大地人〉文明や〈冒険者〉の魔法文明、いや供贄一族のそれさえも凌駕する、失われた技術の結晶だ。
 淡い緑の視界の中で男は自らの身体を検める。
 傷は癒えた。
 男の身体能力は高い。〈動力甲冑〉は全身の運動機能を飛躍的に向上させるが、その中で体力は群を抜いている。HPという言葉にすれば、未装備時の三倍以上に達するだろう。しかしその一方で回復能力はそこまで強化されないという特徴があった。そもそもダメージを負うという状況は前提に入っていないのだ。〈動力甲冑〉の防御能力ならばほとんどの攻撃を無効化できる。ダメージを負わないのであれば回復能力はいらない。今回の負傷は〈動力甲冑〉の意外な弱点を露呈させた出来事だと言える。それは男にとって小さくない屈辱であった。
 だがいまや男の武力は〈動力甲冑〉のみではない。
 長身の男の手にあってはやや小ぶりにさえ見える〈霰刀・白魔丸〉(せんとう・びゃくまる)が手の中でカタカタと鞘を鳴らす。
 氷壁の英雄ルグリウスが用いたというこの霊刀は、持ち主に英雄の資質を授けるのだ。その力は、白魔丸に血を吸わせれば吸わせるほどに身体に馴染んでくるようだ。優に二回りほど太くなった腕の筋肉がそれを物語っている。鞘を鳴らすこの霊刀はさらなる贄を求めているのだ。

 男は闇の中で低く唸ると、ねぐらを振り返りもせずに離れる。
 そもそも男にとって、この下水道が本拠地であるとか拠点であるという意識は薄い。ほどほどに身を隠せて雑音がなければそれでいいのだ。この地下空洞は崩落した階層の先にある空間だ。空気の流れはあるから地上とどこかではつながっているだろうが、男の知るかぎり、人の出入りができるほどの通路はもはや残ってはいない。転移を使用できる男にとっては不便ではないが、普通の〈大地人〉や〈冒険者〉が侵入しようとすれば大規模な土木工事が必要となるだろう。
 男は脳裏にアキバの街を思い浮かべた。長いあいだ守護をしてきた街だ。その構造は頭に入っている。最近では〈冒険者〉によってビルの改築や拡張が相次いでいるが、街路の基本は変わらない。
 記憶していた転移先のひとつに男は跳んだ。
 途端に男の周囲を吹き抜ける大気が包む。
 男の身体を凍りつかせようと冬の夜風が叩くが、〈動力甲冑〉の冷気耐性(レジスト・コールド)に阻まれて、それはまったくの痛痒をもたらさなかった。むしろこれからの宴を予感させる上等の食前酒であった。
 今にも崩れ落ちそうな廃墟から、男は人気のない路上商店の群れを見下ろす。
 闇の底に灯るいくつかの明かり。儚く頼りないその明かりを見ると、男は笑みを抑えることができないのだった。歓喜に身をわななかせた男は猫背の身体を最大限に乗り出して舌なめずりをする。
 昼の光と騒がしさが去ると、アキバの街は静まり、闇の底にじっと身を横たえる少女の姿を見せる。昼間はやたらに意地を張った高慢な女だが、夜の闇の中では兎のように怯えた娘にすぎない。

 痩せた男は刀を鞘から引きぬいた。
 凍えるような冬の冷気が彼の周りで渦巻き、ぬるくなる。
 自分の魂が結晶化していくような苦痛と歓喜の中で、男は歪んだ笑い声を上げた。
 冬とは男のことだった。
 凍てつく冷気が男そのものだった。荒れ狂う吹雪が寒さを感じないように、男は夜の闇のなかで黒い外套を脱ぎ捨てた。
 はるか足元に広がるアキバの街の灯をうけてうっすらと浮かび上がる男のシルエットはアンバランスな形状をしていた。痩せた身体は引き締まっているが、筋肉らしい筋肉が浮かんでいるわけでもない。その身体に張り付くような黒いタンクトップと、革製のズボンをつけた男は、膝と肘から先にだけ金属製の鎧――小手と具足をつけている。まるで他人の物のようにサイズ違いなそのパーツ。黒い怪鳥のように街に落ちてゆく穢れた外套を脱ぎ捨てた男は、凶悪に鍛えあげられた兵器だった。
 巨大な金属の殻の中には魔力蓄積と衝撃緩和を兼ねた、茶灰色の繊維がみっしりと詰まっている。魔力繊維は魔法陣からの魔力供給を受けて音もなく駆動を開始した。男の手足に幾つもの障壁が発生して、身体の外部に力場を展開させる。

 北国の凍てつく平原で巨人と戦った記憶が男の中でよみがえる。
 それは男の、アキバの〈大地人〉の記憶ではない。
 英雄ルグリウスの記憶だ。
 〈古来種〉として、〈イズモ騎士団〉として、ルグリウスは戦った。ススキノの人々の笑顔を守るために百年にわたり邪悪な巨人を退けた。オウウの深山にある〈翡翠の庭園〉(ジェイド・ガーデン)へと彼らを追いやり、封印まで後一歩にこぎ着けたのは、エッゾの英雄であるルグリウスの手柄である。
 男の中にはその強烈な自負心が荒れ狂う氷雪のように吹きすさんでいる。
 “春楡(はるにれ)の娘”ストゥイナウが裏切りさえしなければ、彼女が卑劣な毒を用いてルグリウスを謀殺さえしなければ、彼は〈古来種〉たる不老をもって未だに北の地で英雄としてまつられていたはずだ。あの儚げな娘の裏切りさえなければ。
 すべてを凍てつかせるような憤怒が荒れ狂うと、刀の鯉口から雪片を含んだ風が漏れる。霊刀が男の怒りに呼応して呪氷の魔力を振るいたがっているのだ。
 多くの民草を集め、跪かせ、その生命を我が物にしたいと、ルグリウスの怨念は叫ぶ。

 男は頭を振った。
 ルグリウスは自分ではない。
 自分は〈大地人〉、供贄一族。アキバを守る誇り高い守護者。しかしその栄誉を与えられぬまま、人モドキの自動機械として蔑まれた者だ。〈冒険者〉をも越える能力を持ちながらも、その地位は良くて警備装置、実質は街の付属品(、、、、、)程度にしか扱われぬ、狗の一族。まさに贄に捧げられた奴隷の一族の戦士。
 男は自らの境遇をたどり、そこに燃え上がるどす黒い怨嗟を見た。その怨嗟が純白に凍てつく憤怒と絡み合う。その通りだ。だからこそ己はルグリウスに選ばれたのだと男は思った。
 自分を裏切った人間を、春楡の娘を壊し尽くしてやるために。

 ためらいも見せずにビルから落下した男は、特になんの工夫もなく足から地面に激突した。男の身にまとう障壁はたかだか六階程度の落下などでこゆるぎもしなかった。ましてやアキバの街路の殆どは石畳ですらない。苔むした根のはう柔らかい黒土だ。捻くれた枝や木の根を砕くように着地した男は、気配が希薄なことに気がついた。
 獲物がいないのだ。
 殺人鬼は胡乱に思った。逃げたのか、とも考えた。
 卓越した戦闘能力を持つ殺人鬼だったが万能なわけではない。不得手なことは無数にあり、そのひとつが索敵能力であった。そもそも一族の〈衛士〉は保安施設に常駐するのが通常の勤務形態である。保安施設が街なかの犯罪を感知した時点で、〈動力甲冑〉をまとった〈衛士〉が現場へ急行し、犯罪者の捕縛を行うのだ。
 感知や索敵は保安施設のもつ能力であり〈衛士〉個人が備えるものではない。当然上古の魔法装備である〈動力甲冑〉にもそれらを強化する能力はなかった。
 それゆえアキバ全域を把握できるほどの感知能力を持たない男ではあったが、だからといってこの夜は人気がなさすぎた。日が暮れるとともに就寝するのがこの世界の常識ではあるが、アキバでは趣が違う。その戦闘能力の高さからか、〈冒険者〉は〈大地人〉にくらべて就寝時間が遅い傾向にある。夜行性の怪物に対する自衛能力が彼らにはあるからだ。
 そのためか〈冒険者〉の街アキバでは夜遅くなっても〈冒険者〉の姿が完全に路上から消えることは稀だ。男が今まで霊刀の贄としてささげてきた輩もそのような者たちであった。
 しかしいまは、その気配がない。

 男は苛立たしげに白魔丸を振った。渦旋状の吹雪が放出され、茨の茂みを凍てつかせる。それを蹴りで砕きながら男は犠牲者を求めて、中央通りを北上した。
 〈動力甲冑〉の転移能力はあくまでアキバの街というゾーンに対応したものである。
 街の地下に構築されているとされる古代の魔法陣が鎧に転移の魔力を授けているのだ。だからもしアキバの〈冒険者〉たちが街の外へと避難しているのならば、街の外まで追ってゆく訳にはいかない。
 また、この転移にはゾーンを越境する能力はない。
 隔離された閉鎖空間は時にゾーンと呼ばれる小型の結界を形成する。たとえば宿屋の部屋などがそれだ。ベッドをふたつも置けば精一杯の狭い空間は、扉の存在により「個別の空間」となり、呪術により外界と断絶される。アキバの街の中にありながら、アキバの街であるとはみなされないのだ。
 〈冒険者〉たちが利用するギルドホールという魔術設備も同様だ。黒曜石のようなビルの中にある数多の本拠地は、そのすべてが個別の空間として機能するという。〈冒険者〉が建て直したビルの多くも、今では個別のゾーンとして利用されている。
 このような空間に対して、男は転移をもって侵入することができない。直接足を運んでも、ゾーンの呪術は出入り可能な人物を厳密に識別、排除する。
 ゾーンに立てこもった獲物を狩ることはそれゆえ難しいのだ。
 男は片手で己の喉を押さえるように掴みながら、くつくつと笑い声を立てた。
 つまりは籠城ではないか。
 英雄たる男の武威に怯えた〈冒険者〉どもがとうとう音を上げて引きこもったのだ。男は笑い声を漏らしながらも獲物を求めて彷徨った。路地をのぞき、看板を砕き、手に持った霊刀を振るうのが楽しくてならないように。それは本人は決して認めないだろうが、まさしく血に酔った殺人鬼の行動だった。

 男はさほど待たされはしなかった。
 進路を遮るように小柄な影があらわれたのだ。
 痩身の口が三日月型に歪む。
 なんて小さな、柔らかそうな肉だろう。
 椿油のほのかな香りをたなびかせて自分に向かってくる影を殺人鬼は迎撃した。氷雪の刀がうなりを上げて生け贄を求める。英雄の憤怒と飢餓をこの街にたたきつけるのだ。








 打ち合わせた手応えにアカツキは気を引き締めた。
 相手は怪物だ。微塵の油断も出来ない。いや油断もなにも、自分が敗北する可能性の方が高いことをアカツキは深く理解していた。
 そもそもアカツキは敵の攻撃を引き受けることに特化した戦士職(タンク)ではなく、ダメージを与えることに特化した武器攻撃職(アタッカー)なのである。
 今回の作戦においてもアカツキがこのポジションに入る優先順位は三位である。つまり、アカツキよりも直接交戦に向いた人材が後二人、上にいるのだ。
 にもかかわらずアカツキがこうして殺人鬼と直接刃を合わせることになったのは、半分は偶然だ。アキバの街は二キロメートル四方の面積を持っている。広くはないが、決して狭くもない。ましてや、どこに現れるかわからないこの殺人鬼に対して警戒網を構築するにはひとつの部隊では少なすぎる。しかし大量の人員を投入できない事情もあった。
 そこでレイドリーダーたるリーゼが選んだ作戦は、小隊による哨戒だ。三~六名程度のメンバーによる分散行動により、薄いが広い網を張る。
 もうひとつの理由はアカツキのサブ職と交戦経験にある。アカツキのサブ職〈追跡者〉には気配探知や索敵など、広範囲の状況を探る特技が何種か存在する。アカツキひとりの探知できる範囲は、小隊四つに匹敵する。アカツキが殺人鬼を発見できたのは偶然だが、それだけというわけでもない。

 無言のままにアカツキは左から刃を放つ。
 夜を上下に両断するような銀光を放ち〈クイック・アサルト〉。その程度の攻撃でヤツを仕留められないことがわかっているアカツキは、切りつけた余勢を駆って身を投げ出す。〈クイック・アサルト〉の特性により上昇した脚力と敏捷性で殺人鬼の脇に安全地帯を見いだすためだ。
 だが背中に跳ね上げた小太刀にぞっとするほどの冷気と衝撃が弾ける。
 判っていたとはいえ苦いうめきを漏らしたアカツキは前方に回転しながら身を起こした。
 相手の死角に飛び込んだと思ったのに、そこから強引に追い出されてしまったのだ。
「アカツ……ひゃっ」
 冷気の暴風に晒されて顔を覆うマリエール。それでもアカツキの背中には僅かにきらめく回復のエフェクトが揺らめいた。それは反応起動回復。〈森呪使い〉(ドルイド)の脈動回復や、〈神祇官〉(カンナギ)のダメージ遮断と同様、回復三職を特徴付けるクラス特殊回復と呼ばれる呪文のエフェクトだ。
 マリエールの暖かな掌のようなその回復の波動を感じながらアカツキは前に出る。襲い来る刃の切っ先を左右に振った小柄な身体で躱して、前へ、前へ。

 目前にはあの日かなわなかった異形の殺人鬼がいる。
 打倒しなければならない事件の中心だ。
 アカツキの突撃を、男は薄笑いを浮かべて待ち構える。男の装備するまがまがしい鎧は〈動力甲冑〉である。――少なくともそのパーツの一部であると、アカツキたちはもはや知っている。その防御能力は幻想級の魔法鎧にさえ匹敵するだろう。しかし、アカツキは臆さない。
 深夜のアキバの大通りは、あっという間に吹雪が吹き荒れる凍土と化した。
 通りの反対を見ればそこには常と変わらぬビルの壁面がある。戦いながらもアカツキは必死に考える。吹雪の射程は五メートルか、最大でも一〇メートルと言ったところだろう。殺人鬼の振るう日本刀を起点に冷気が吹き出している。
 前回の戦いでは受けなかった新たな攻撃を躱しながら、アカツキは対応策を巡らせる。アカツキがリーゼから受けた最初の教えがそれだ。相手を見極めること。なにが出来て、なにが出来ないかを観察して、明確にしてゆくこと。どんな苦しい戦いの最中でもそれを諦めてはいけない。アカツキは唇をかんでその教えを守る。
 かといって守勢に回るわけにも行かなかった。いま、アカツキの背後にはマリエールがいるのだ。輝くような笑顔を持つ〈三日月同盟〉のリーダー。主君の友人。彼女を傷つけさせるわけにはいかなかった。忍びとしても、ひとりのゲーマーとしても。
 彼女は回復役だ。回復役の仕事を全うしてもらうためには、前衛が敵を引きつける必要がある。専任の戦士職(タンク)ではないとしても、いま、その役割を全うすべきなのはアカツキしかいないのだ。だから殺人鬼の敵愾心(ヘイト)を一身に集めなければならない。
 焦る気持ちは四肢を引きちぎるほどに強い。
 大声を上げたくなるようなそれを自制してアカツキは刃を振るう。
 ひとつ。〈アクセルファング〉を放り込む。届かないのはわかっている。
 その反動を利用してさらに〈アクセルファング〉。わずかに相手の籠手をこする。金属を切りつけた耳障りな音と焦げるような香り。ほとんど同じ軌道を描いたふたつの〈アクセルファング〉を見せ技にして、アカツキはまるで地面を抱きしめるかのように身体を沈める。
 以前のアカツキならば飛び上がっていただろう。
 攻撃に威力を乗せようと必死で、相手よりも少しでも高い位置にいたいと思っていたのだ。でも今度は違う。アカツキのただでさえ小さい身体が伏せるように回転すれば、相手は自らの四肢がブラインドとなってアカツキを見失う。自分のコンプレックスを逆手に取るような攻撃方法は過去のアカツキにはなかったものだ。
 全部全部、みんながアカツキにくれたもの。
 こじ開けるように〈デス・スティンガー〉。膝の裏にたたきつけた一撃は、残念ながら継続ダメージの追加効果を与えなかった。だがしかし、その一撃で僅かに重心を崩した殺人鬼の力任せな一撃に、アカツキは〈窯変天目刀〉(チェンジインキルン) をたたきつける。

 アキバの夜に鋼を打ち鳴らす音が高く響いた。
 勢いに逆らわず五メートルほども飛び退いたアカツキはすでに汗を浮かべている。殺人鬼から吹き付ける冷気よりも、一連の攻防の運動と緊張感がアカツキの体温を跳ね上げているのだ。両腕が痛い。相手の一撃に合わせるタイミングで、普段は左手で構える小太刀に右手を沿えた。そうしないと凌ぎきれないと察したからだ。
 しかし現実には、両手を沿えてなお大きなダメージを受けた。
 それも無理はない。タイミングが精緻に合致すれば、攻撃に相殺効果が起きるのは〈エルダー・テイル〉の仕様だが、だが通常狙って出来るモノでもないし、発生したからと言ってダメージがゼロになるという類の効果でもない。ただ、自らの攻撃をもって相手の攻撃の幾ばくかを減少できるだけだ。威力の高い攻撃は、相殺を超えて直接相手の身体を傷つける。ちょうどこの殺人鬼の攻撃が、桁外れの威力でアカツキの相殺を貫通したように。

 アカツキは、それでも小さな笑みを唇に浮かべた。
 炎症を起こしたようにはれぼったく感じる両腕を、金色の砂のようなきらめきが包み回復する。反応起動回復は、敵から与えられたダメージに反応して自動的なHP回復を行う呪文だ。五回~十回程度の攻撃は、このように癒しの力でサポートしてくれる。敵の攻撃のたびに自動回復をしてくれるこの呪文の効果は絶大だ。呪文を事前に投げかけておけるという精神的な余裕は、大規模戦闘初心者のアカツキとマリエールにとっては代え難いメリットである。
 だが弱点もないではない。ダメージを受けた後、つまり事後的に行われる回復では致命傷を避けることは出来ない。一撃で腕を切り飛ばしてくるような強力な攻撃には対応できないのだ。それに、マリエールの反応起動回復は、たとえば〈D.D.D〉に所属する〈施療神官〉(クレリック)が操るそれと比べて熟練段階が劣る。実際回復をしていても、アカツキのHPは全回復にはほど遠い状況だった。
 だが。
 アカツキは走った。
 転がるように突撃して、〈トリックステップ〉。右足を強引にひねり、半回転。幻惑するような動きで相手の脇を駆け抜けざまに〈パラライジングブロウ〉。
 なぜならアカツキは死んでいないからだ。
「アカツキちゃんっ!」
 またもや殺人鬼の攻撃がアカツキをかすめる。鎧を切り裂いてゆくのがわかった。いまの一撃はアカツキの心臓の上を通り過ぎていく死の暴風だった。
 でもアカツキは生きている。
 アカツキの闘志は燃えさかる。一週間前はソウジロウの背後にこそこそ隠れなければ戦えなかった。状況はたしかに悪いだろう。反応起動回復に通常のヒール呪文を重ねても、アカツキのHPは減少を続けている。でもそんな事は当たり前なのだ。相手は殺人鬼。明らかに大規模戦闘(レイド)クラスのエネミーである。アカツキのようなにわか訓練の弱小ギルドメンバーが相手取れるような化け物ではない。その証拠に〈西風の旅団〉を率いるソウジロウでさえその攻撃に沈んでいったではないか。その殺人鬼を、時間制限付きとは言え相手取れるには理由がある。その理由がアカツキを奮い立たせる。

 つきだした右腕にまかれているのは〈明星掴み〉。製作級のこの籠手は〈桃色賽子〉(ラッキーダイス)の姉妹がつくってくれたものだ。つや消しのブレイサーは力場を発生して、見た目よりも大きな防御力を持っている。その右腕の守りが吹雪にけずられても、今度は〈墨羽の装束〉が僅かな魔法の輝きをともして、アカツキが身をひねる僅かな時間の隙間を強引に作り出す。
 持ち前の俊敏さを生かして、その隙間に身を滑り込ませるアカツキは、新しい防具たちに感謝する。ふわりと広がるシルエットは以前より数倍の属性防御と能力上昇をもたらしつつも、重量はほとんど増えてはいない。すべてあの茶会に集まる少女たちの贈り物だった。

――こういうの、使うかな?
――サイズあってないじゃーん。あたし直したげるよ。
――そこの苺食べておいていいよ。みんなの分だから。
――いーい材料があるんだよう。いしし。

 にこにこと笑う彼女たちは、まるで、妹が出来たかのように、アカツキにかまってくれた。半分以上からかうようにだったかもしれないが、アカツキに惜しみない援助をしてくれたのだ。
 いまアカツキを守っている装備品の大半は彼女たちの贈り物である。
 古い装備は、あの殺人鬼との戦いで耐久度があまりにも低下していたし、それらがアカツキの新しい戦いについて来れないのは明白だったのだ。
 アカツキは彼女たちの顔のすべてを覚えていたが、半分程度は話したこともない女性ばかりだった。彼女たちはアカツキが説明した殺人鬼の話や、アキバの危機に関する事情を聞いているのかいないのか、励ましの言葉をかけてくれたり、甘いものをくれたりする。
 それらはイライラする昔なじみの感情をアカツキの中に巻き起こした。子ども扱いをして欲しくないという条件反射だ。でも、その一方で、いままでにはなかった心地よさも感じていた。
 アカツキは頭を下げてみんなの協力にすがった立場である。だから、ある意味で子ども扱いされても仕方がないのだ。反発を諦めてアカツキは思う。実力がないせいなのだから、と。みんなにすがるというのは負けを認めると言うことなのだ。
 でもきっと、実力がないことも、負けることも、無意味ではない。
 弱さを認めることでしかわからないものもあるのだと思う。
 そのひとつがこの胸の穏やかさだろう。
 そうして落ち着いて思い返してみれば、アカツキに声をかけてくれた大勢は別になんの悪気もないことはすぐに判った。彼女たちは純粋に好意で接してくれているだけだ。
 アカツキが拒絶して牙をむいてきた人たちの大半は、別にアカツキを小馬鹿にしようだなんて思っていなかったのに。
 もちろんそれはとてもくすぐったい経験ではあったけれど、受け入れられないことなど、なにもない。

 不思議とアカツキの剣戟は冴えた。
 じりじりと目に見えて減少するHPバーも気にならなかった。
 攻撃をさらに放り込み、出来る限りの行動低下(デバフ)効果を殺人鬼に与える。それはアカツキ自身の延命のためと言うよりは、確認された戦術への信頼表明だった。
「あと10……、5っ!」
 叫ぶようなマリエールの声に、アカツキは小さな微笑みを浮かべる。
 そういえば、マリエールも初めてだと言っていた。
 いま、アカツキたちは、生まれてから初めての大規模戦闘(レイド)を戦っているのだ。







 念話による連絡を受けたリーゼはすぐさま内容を他の班長へと転送した。
「目標補足っ。中央通りを旧小川町方面へ徒歩で移動っ。第一接触はアカツキさんの部隊。回復は一枚、二人組(ツーマンセル)。D班は移動、それ以外は待機っ」
 叫ぶように念話を回送しながらリーゼは自らも走り出す。
 とうとう大規模戦闘(レイド)が始まった。
 リーゼは次々と念話を送る。今現在アキバの街に存在する〈冒険者〉は二十四名。パーティー編成のセオリーからすれば六人の小隊を四編成だ。それらは結合すれば二十四名のフルレイドとなる。しかし今回、その編成は採用できなかった。四組の小隊ではアキバの全域を哨戒することはできないのだ。手分けが、すなわちより少人数での編成が必要になる。発表はしていなかったが、今現在リーゼ麾下の二十三人は二人、もしくは三人の変則小隊にわかれている。その数、十余り。
 リーゼ自身も仲間をひとりともなっていた。背後に引き連れているのはキョウコ。レベル九十の〈守護戦士〉(ガーディアン)。今回の事件の被害者のひとりだ。リーゼ自身は〈妖術師〉(ソーサラー)である。
 あまりにも脆弱な編成だ。連絡したD班を合流させたとしてもアカツキたちは四人。とてもではないが、大規模クラスのエネミーを抑えることなど出来ない。

 用水路方面にいたリーゼとキョウコはガードの下を走りながら、中央通りへと急ぐ。不運にも現場は遠かった。アキバを斜めに突っ切らなければならない。その距離はおそらく一キロメートル弱。しかし強靭な〈冒険者〉の身体であれば、目的地までは(、、、、、、)二分といったところでたどり着くだろう。
 朽ち果てた広告の骨組を迂回し、緑の下生えに覆われた小道を疾走する。
「アカツキさんですか」
「ええ。心配だけど」
「そうですね……。でもきっと」
 キョウコの続かなかった言葉に「ええ」と肯定を返しながらリーゼは走る。アキバの有志が露天を快適にするために整地した駅前広場を幅跳びのような歩幅で横切ったふたりは、ギルド会館へと駆け込み、コンクリートの階段を羽が生えたかのように上った。
 リーゼは唇をかみしめて、今回の作戦をおさらいする。
 おおよその謎は解けた。仕掛けもほとんどわかったと言えるだろう。

 敵は死戦士ルグリウス。
 いや、ルグリウスに似たなにかだ。
 それは十番目の拡張パック〈夢幻の心臓〉で実装された〈朽ちた勲〉におけるレイド・エネミーであり、クエストボスである。〈朽ちた勲〉はフルレイドコンテンツであるため、二十四人でのプレイを前提としているが、難易度そのものはさほど高くない。情報が不十分だった初期はともかく、その後はまったく苦戦した覚えのない戦闘コンテンツだった。いや、そもそも〈朽ちた勲〉というそのクエストは、より大きなクエストである〈ヘイロースの九大監獄〉へのつなぎとして機能する導入部分なのだ。そんなに難易度が高くていいわけがない。
 エッゾ帝国で死んだはずの死戦士ルグリウス、レイドボスとしてさえ北海道に出没するそのエネミーが、今なぜアキバの街に襲いかかっているかリーゼは知らない。悩むこともない。理由に悩むような趣味はリーゼの性格にはないのだ。リーゼの考えによれば理由が意味を持つのは対処方法考察の段階においてのみであり、事ここにいたっては武断的対応のみが状況を好転させる。
 リーゼはいままで殺人鬼に襲われたすべての被害者から綿密な聞き取り調査を行った。その結果、犯人をルグリウスないし、ルグリウスに似た性向と力を持つものだと推測した。時間がかかったのは、殺人鬼が当初は自らの能力を十全に発揮できていなかった、もしくは隠そうとしていたからだ。
 また、殺人鬼がただ単純にレイドモンスター・ルグリウスであるだけではなく、〈動力甲冑〉の戦力をも持ち合わせたためである。やつは異なる二種の力を操る怪物だが、事件発生当時は、その二種類の力が互いに互いをカモフラージュしていたというわけだ。

 真相解明の決定的なヒントは殺人鬼の持つ武器が〈霰刀・白魔丸〉であったことだ。
 最後に殺人鬼と戦ったアカツキは、そう断言をした。
 小太刀はどちらかと言えば小ぶりで見分けのつきにくい武器である。リーゼは装備されたそれを見て、名前までを当てる自信はない。しかし、同じ小太刀遣いの少女が断言をしたということは、確信があるのだとリーゼは判断をした。
 そのあとは早かった。〈霰刀・白魔丸〉の名前は、それを愛刀としてエッゾのために戦った英雄ルグリウスの物語と、闇に落ちた彼を討伐するクエストをリーゼに思い出させたからだ。

 呪われた武器(、、、、、、)
 馬鹿らしいが、〈霰刀・白魔丸〉はそれなのだ。
 フレーバーテキストの侵食という事態があると、リーゼはミカカゲから届けられたレポートでそれを知った。無念のうちに死んだ英雄は自らの愛刀の説明文章に憤怒と怨嗟の想いを書き綴った。その呪いの文章が、実体化し、持ち主に襲いかかったのだ。
(ばかげてるっ)
 リーゼは何百回目になるかならないいらだちとともに唇を噛む。フレーバーテキストが実体化して、人に襲いかかる。
 それはまるで悪夢が夢の領域からぬっと現れて、夢見た主を引き裂こうとでもするかのような、生理的恐怖を呼び覚ます事態であった。
 しかし、そのおぞましさとは別の領域でもって、〈D.D.D〉教導部隊を預かる頭脳は戦術を巡らせる。もし殺人鬼がルグリウスの能力を持っているのならば、その能力は大きく分けて三つ。
 ひとつはHPの大幅上昇。ルグリウスは、ゾーンに存在する人数によってその最大HPが大きく変わる。〈朽ちた勲〉の地下墓地で彼と対峙するクエストにおいて、彼にさらわれた〈大地人〉五十人あまりが同じゾーンにいた。それだけでルグリウスのHPは最低時の三倍にまでふくれあがっていたのだ。
 もしアキバの街が平時の賑やかさを保っているのならば、彼のHPは通常時の数百倍ではきかない容量となるだろう。そのようなモンスターは誰にも打倒することはできない。たとえ〈西風の旅団〉であろうと、〈D.D.D〉であろうと、だ。
 そのためにリーゼは一計を案じた。今はここに居ないヘンリエッタと共同で、夜間外出禁止令を取り付けたのだ。かつてのレイドクエストでは〈大地人〉をゾーン外へと避難させたように、アキバの街を自分たちしかいない戦闘の区域とする。それがルグリウスと戦うための最低条件だ。
 ふたつめは近距離に存在する人数に応じた全能力の増強だ。ルグリウスは五〇メートル以内に存在する〈冒険者〉の数に応じて攻撃力、回避力、防御力、命中率――すべての能力を増大させる。それがソウジロウでさえ屠ったルグリウスの秘密の一旦だ。そしてリーゼがフルレイドを最少人数にまで分割した理由でもある。
 〈朽ちた勲〉のクエストでもそうだった。最強の六人だけを残し、残りの十八人はルグリウスの怨念に呼び寄せられた怨霊を退けながら〈大地人〉を避難させていたのだ。そうして初めてルグリウスは打倒できる程度のエネミーへと弱体化できる。
 最期のひとつは氷を操る範囲攻撃。ルグリウスの前方は吹雪となり視界が悪化する。冷気ダメージだってあるはずだ。それ自体は単純な能力だが、単純ゆえ、属性防御のついた装備で対応するしか手段がない。
 「周囲に生者が多ければ多いほどその能力を増大させる」。「生きとし生けるものを凍りつかせる」。これらの能力は、恨みを飲んで死んだルグリウスの背景設定を表現するための能力だ。
 ダンジョンやフィールドをうろつく有象無象のモンスターではない、レイドクエストのボスとしてドラマ背景を与えられたがゆえの特異な能力である。

 この三つの能力がルグリウスの秘密にして今回の戦いを絶望的な難易度に押し上げていた。九〇レベルのレイドコンテンツとしては腕試し程度の仕掛け(ギミック)が、人間の溢れるアキバという街においては最悪の能力となっている。
 特に〈動力甲冑〉の転移能力との組み合わせが致命的だった。
 ルグリウスはいつでも逃げ出すことができるし、このアキバの街で人が多い場所や時間を狙うことができるのだ。殺人鬼はいまのところ夜を選んでアキバを襲っているが、それだっていつまで続くかわからない。元のクエストにおいて戦闘時間が夜だからという理由かもしれないし、殺人鬼の好みかもしれない。偶然である可能性すらあるのだ。

 リーゼの考える最悪はさらにある。
 それは、ルグリウスの能力をもつ殺人鬼は、もはやエネミーNPCとは言い切れないのではないか? という懸念だ。目撃証言によれば殺人鬼はエンバート=エルネス。〈武士〉であるという。だとすれば、彼は呪われていると同時に人間の頭脳を持っているということになる。つまりそれは学習能力を持っているということだ。
 ――レイドクエストはゲームのコンテンツだ。たしかに何回も全滅するほど高難易度に作られているが、それはやがて攻略した時の達成感を楽しませるために、運営がそのように用意しているからに過ぎない。ヤマトサーバーで最大のレイドギルドに所属しているリーゼだからこそわかる。過酷な大規模戦闘を楽しむプレイヤーと運営の間には、目に見えない、しかし好敵手めいた信頼感があったことを。
 しかしここはもはや〈エルダー・テイル〉のゲームではないし、リーゼたちはゲームキャラクターではない。この大規模戦闘は「いずれは攻略可能になるように」作られてはいない可能性がある。むしろ、そうである可能性の方が大きいのだ。
 そしてその可能性は、今後どんどん高くなっていくのではないか? リーゼたちの作戦も一度戦えば殺人鬼の知るところとなるだろう。殺人鬼はアキバの街に対してより狡猾な、より致命的な攻撃を仕掛けることも可能なのだ。転移能力とルグリウスの怨嗟はあまりにも相性が良すぎた。その結合の先に、リーゼは地獄しか想像ができない。

 もちろん対策は考えた。リーゼなりの勝算はある。
 しかしそれでも、確証はない。
 もはやゲームという確実性を失った〈大災害〉後の世界において、すべての計画はなんら達成保証を持たないのだ。その気づきにリーゼはぶるりと身を震わせる。当たり前のことを気持ちの中で言葉にしただけで、急にリーゼの背筋は氷の悪魔に捕えられたかのようだった。止まらない悪寒がリーゼをブルブルと震わせる。
 作戦指揮官という肩書きも、教導部隊隊長という誇りも、なんの役にも立たなかった。
 むしろそれらはリーゼの恐怖をいや増させる燃料でしかなかった。そんな肩書きのあるリーゼは、他人の生命を道連れにするような失敗すらも可能なのだから。
 リーゼは奇妙に力の入らない両膝を叱咤して歩を進めた。
 恐ろしいことだ。“他人を巻き込んで、その責任を取ることが出来ない”という、その恐ろしさにリーゼはやっと到達した。そんな恐ろしさを生まれた時から知っていたのかと、リーゼは銀髪の姫君を思いやった。その恐ろしさを知ってなお、領主会議の席に飛び込み、ミロードとグリフォンに乗ったのかと畏怖に近い感情さえ覚えた。
 大したものだ。あの姫は。
 そしてクラスティも。シロエも。十一人のギルドマスターも。アカツキも。
 成功の保証がないにもかかわらず、物事を変えようとするのは、なんと恐ろしいことだろう。中学生日記だなどと揶揄していた自分が恥ずかしい。安全だと思い込んでいた場所から上から目線で高説を垂れていただけではないか。
 自らの醜悪さにリーゼは恥を覚えた。だがしかし、だからこそひくわけにはゆかない。
 今回用意した作戦の詰み筋は九種。臨機応変だなどとみんなには説明してみたが、ひとつに絞り切れないなどと軍師としての無能の証。
 しかし、それでも――負けるよりはいい。

「ついたっ」
 キョウコが叩き壊すようにして開けた鋼鉄(スチール)のドアは、月の照らす宙空へと続いていた。眼下に広がるのは砕けたコンクリートの梁、視界の半ばを覆いつくす常緑の梢の遥か下にアキバの駅前広場が見える。
 轟々と風の鳴るそこはアキバの誇る黒曜石の砦、ギルド会館の十五階。巨人の一撃で粉砕されたかのようなかつての高層ビルディングの、砕け散った最上階。
「気をつけて、リーゼさんっ」
 澄み切ったがゆえに凍えるように冷たい風が、リーゼのマントを拐おうと大きく膨らませる。とっさに身を固くしたリーゼのベルトをキョウコの手がしっかりと握りしめ、ふたりは柱の影に身をひそめた。
 再び念話のメニューを開きながら、リーゼとキョウコもさらなる戦いの最中へと身を投じたのだ。



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