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キョーハク少女  作者: ヒロセ
第二章 ホーロウ中年
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暑い夏の寒い色

 一人山を下りる僕。

 つい先ほど三田さんと國人君から連絡が帰ってきた。

 三田さんは用事があるから無理だと、ゴメンなさいと謝られた。謝る必要はないのに。

 國人君はわざわざ電話をかけてきてくれた。


『知らないやつのパーリーに行くくらいなら家で嫁たちとパーリーするっての! 優大タンもこっちのパーリーにこない?!』


 普通は、そうだよね……。知らない人のパーティには来たくないよね……。

 僕は國人君たちの嫁と開催されるパーティへの参加をお断りして携帯電話を閉じた。

 楠さんからは連絡が帰っていない。雛ちゃんと小嶋君にはまだ連絡をしていない。


「ふぅ」


 なんだか、僕誰も呼べない気がする……。

 楠さんも雛ちゃんも馬山さんにいい印象を持っていないみたいだし、そもそも雛ちゃんと小嶋君は忙しいみたいだし……。


「はぁ」


 気のせいなのか、全方位から聞こえるセミ達の合唱が近いのに遠く感じる。雲もここまで高かったっけな。空はこんなにも虚しい景色だったっけな。

 違うか。

 セミの声が遠いのも雲が高いのも空が虚しいのも全部僕自身の問題か。僕が後ろを向いているから、僕が小さくなっているからから全部が遠く感じるんだ。

 前を向いて、上を向いて。

 後ろを向かず、下を向かず。

 未来を向いて、過去を向かず。


「まだ誰も来てくれないとは限らないからね。それに、誰も来てくれないからって、僕が一人なんだというわけじゃないんだ」


 みんなを信じなくちゃ。みんな優しいんだもん。

 さあ早く帰ろう。雛ちゃんと小嶋君にも話をしなくてはいけないし、ぼやぼやしている暇はないよ。

 僕は土を踏みしめた。




 山を下りきったところで、僕は同級生に出会った。

 先ほど僕が送ったメールへまだ返信していない最後の一人、友人、委員長。

 楠若菜さんが、綺麗に凛々しくかっこよく、腕を組み仁王立ちをして僕の前に立っていた。


「楠さん。こんにちは」


「そんなことより」


 挨拶を華麗に飛ばした。さすが楠さん。かっこいいや。などと見惚れている場合ではないかもしれない……。楠さんの口は真一文字に閉じられている。普段よりも固い無表情。怒っているのかもしれない……。


「君、私のいう事は否定しておいて心の奥底では疑ってかかっていたの?」


「え、え? なんのこと、でしょうか」


 本当に全くこれっぽちも心当たりがないのですけれども。


「馬山さんがまりもさん説。絶対に違うよとか言っておいて確認しに来ているじゃない。実は自分も疑っていたのなら一々否定しないでもらいたいね。ああ、君はあれか。とりあえず否定から入るタイプの人間か。『こうだよね?』って聞いたら『違う』とか『いや』とか頭につけるタイプの人間なんでしょう。なんてムカつく人間」


「い、いや違うよ!」


「ほら否定した」


「え、あ、その、はい」


「肯定したね。という事は、佐藤君は否定から入る人間で、私が言った通り馬山さんを疑ってた。そういうことで間違いないんだね?」


「それは、違います、けど」


「また否定。否定に次ぐ否定。そんなんじゃあ私どうやって会話をすればいいのか分からないよ。何を言っても否定されたんじゃあさすがの私とは言え愛想笑いを浮かべることもできないや。そういうわけで、馬山さんがまりもさんだという仮説は正しかったのだと」


 どういうわけなのかちょっとわからないです……。


「え、えっと、その、それは、多分、違うと、思う、けど……」


「まーたでました必殺『それは違います』。いっちょまえに私の存在を否定するなんて生意気じゃない。君はイエスマンであればいいの。私の言うことに従っていればいいの。お金ちょうだい」


「あげられません……」


「また否定……」


 はぁぁぁと大きな大きなため息をつきがっくりと肩を落とした楠さん。

 僕は否定したらダメらしい……。それはとっても難しい生き方だと思うよ。イエスマンにだって、出来ないことはあるはずだもの。

 どう否定せずに馬山さんの無実を教えようか考えていると、楠さんが見下すように顔を上げジト目で僕を見た。


「で、あのメールは何」


 あのメールとは、パーティへのお誘いメールだ。


「あれは、馬山さんの友達が誕生日で、馬山さんがパーティの参加者を集めてくれって言ったから、色々な人に声をかけてみようと……」


「ストーカーまりも野郎の言うことを素直に聞く君は素直なのかスネヲなのかどっちなんだろうね」


「す、スネヲでは、ないよ……」


 意味がよく分からないし……。もしかして強い人間につき従うという意味なのかな。そのような意味ならば、間違ってはいないかもしれない。


「あの、それで、楠さんはパーティには参加……」


「するわけないでしょう。なんでストーカーまりも野郎の友人の誕生日を祝わなければならないの。そんな人間の誕生日を祝うくらいならここ十年祝ってこなかった兄の誕生日を祝うよ」


 お兄さん、祝われてないんだ……。


「君も行かなくていいよ。変なことされるよ。ストーカーだもの すねを」


 某みつをさんみたいだね……。


「馬山さんはストーカーじゃないよ」


「出た否定」


「否定するよ」


「む」


 不機嫌そうに眉根が寄った。でも謝れないよ。


「馬山さんは、ストーカーじゃないよ。まりもさんもストーカーなんかじゃない」


「……何言ってるの君……」


 憐みの目を向けてくる楠さん。


「名前電話番号住所その他もろもろが知られているのにストーカーじゃないなんて、君アホなの?」


「たしかに、ちょっと怖いけど、その、ストーカーと呼ぶのは、どうなのかな?」


「君の中では何をされたらストーカーなの……? 呆れて呆れ果てて一周まわって興味津々な私。……ん? 一周まわったらまた呆れてしまうのかな? どうおもう?」


「えっと、確かに、三百六十度回ったら、元の位置に戻ってくるよね。そう考えたら半周回ってが正しいのかな?」


「そんなことはどうでもいい」


 自分から意見を求めてきたのに……。理不尽だよ……。


「何をされたらストーカー認定してくれるの」


「何をされたら……。えーっと、迷惑なことをされたら……」


「今は迷惑じゃないとでもいうの?」


「え、っと、うん、まあ、少しだけ恐怖心はあるけれど、迷惑とまでは、いかないような」


「具体的に何をされたら迷惑なの」


「ぐ、具体的に……? えっと……、その、あ、家族に――」


「そんなことより」


「――え?」


 あれ? 自分から聞いてきたのに、答え気にならないのかな?


「まだお礼を言っていなかったね。ありがとう」


「え? え? 何のこと? 僕、お礼を言われるようなこと、したっ……け?」


「昨日のことだよ。ナンパ野郎から身を挺して守ってくれたでしょう。まあ佐藤君のことだから覚えていないかもしれないけれど」


 さすがに覚えているよ。僕の脳細胞はもうちょっと頑張れるよ。


「お礼なんて、いらないよ。僕何もできなかったんだから。結局はお兄さんが来てくれなければ僕は沢山殴られて二人を助ける事なんかできなかったんだから」


「兄の存在は私の人生の中で不要な物なので今回の問題に兄の行動は考えないものとします」


 なんだかテストの問題みたい。


「それに、私は時間稼ぎをする人ってかなりかっこいいと思うの。映画とか見ててもそうでしょう。『ここは任せてお前たちは先へ行け』。ほら、かっこいい。だからあの時の君もそれなりにかっこいい」


 かっこいいと言われた。でも僕はそんなかっこいいセリフが言えなかったしかっこいい行動もとれなかったから不相応だよ。


「あの場で助けるのは、普通だから、褒められるようなことでは、ないと、思うけど」


 あんな状況で逃げ出す方が最低で、僕の取った行動は普通なのだと思う。


「そうだね。普通だね。普通にかっこいいよ」


「う」


 ダメだ。何を言っても褒められてしまいそうだ。身に覚えのない賞賛はあまり嬉しい事ではない。

 身に覚えがないというのは言葉が違うけれども。

 身に覚えはあるけれど褒められるようなことではない、だ。過大評価ということ。

 喜んでいい物かどうか悩んでしまうところなので早いところ話題を変えよう。今回の本題、パーティに参加してもらえるように説得しよう。


「あの、えっと、当然のことを、したまでです。それで、パーティの事なのだけど――」


「当然の事ね。当然のことが出来ない人間が増えている昨今、その当然の行為を当然のようにやってのける君は当然偉いのだと思うよ」


「――えっと、はい。ありがとうございます……」


 恥ずかしいよ……。


「あれは、三田さん惚れるね」


「え? お兄さんに?」


「わざとか。わざとありえない捉え方をしているのか。そういうテクニックか」


「え、え? なんのこと?」


「今は君の話をしているでしょう。それに兄の存在はこの世から消し去りたいって問題文に書いてあったでしょう。問題文をよく理解して私と会話してよ」


 やっぱりテストだったんだ。


「ごめんなさい……。えっと、なら、三田さんが、僕を好きになるっていうの? それは、ありえないよー」


「ありえないよー、じゃない。ありえるよー、なの。まあそんなことはどうでもいいけど。で、何の話だっけ?」


「あ、えっと、その、是非ね、パーティに――」


「そうそう。ずっと聞きたいことがあったんだった」


「――参加して……って、え? なに?」


「空を見て」


「え? うん……?」


 僕は空を見た。鳥が飛んでいる。自由に空を飛んでいる。


「何ぼけっと見上げているの」


「えっ」


 そんなっ。


「え、えっと、それで空を見上げたけど、なにか、気になることでもあるの?」


「空を見てとは言ったけど、見上げてとは言ってないよ」


「え、でも、空は、見上げなくちゃ見れないよ……?」


 僕の問いかけに、楠さんが首をかしげて唸った。


「どうしたの?」


「いやね、どこからが空なのかなって。空の定義ってあるのかな」


 空の定義。

 そう言われてみれば、漠然としか捉えていなかった。


「えっと、青いところが空、何じゃないかな……?」


 空は青いものだから、青いところが空だ。


「でも飛行機で空を飛んでいるとき目の前は青くないよ。でも空を飛んでいる」


「う、うん。でも、ここから見たら青の中を飛んでいるから、空を飛んでいるという事に、なるのかな?」


「ふーん。なら君の言う空っていうのは客観的な物なんだね。第三者目線から見てやっと空と言えるんだ。なんだかそれ悲しいね。人が空を飛んでいるのを、ただ眺めるだけしかできない。離れた場所にあるところをただただ眺めるだけ、近づけない。いくら天に手を伸ばしたって無駄。無意味。頑張るだけ損。ああ、だから空っていうのかな。空しい行動、いくら頑張っても空っぽだから空ってね」


 そう言えば、さっきも僕は空を見て虚しい景色だと思っていた。でもどうやらそれは虚しいじゃなくて空しいだったみたいだ。

 しかし、なんだか納得ができない。自分でも同じことを思っていたけれど、空はここまで全否定されるようなものではないような。あくまで僕が空を見て虚しいと思った原因は、僕自身の気持ちの問題で、本来の空はプラスでポジティブなイメージがると思うんだ。


「え、えっと、空はもっと、綺麗なイメージが、あるんだけど……」


「そうだね。でもおかしいよね。青空が爽やかで清々しいイメージだなんて」


「えっどうして?」


「だって、青だよ? 青と言えば寒色。悲しい色だよ。ブルーだよブルー。マリッジブルーにマタニティブルー。鬱色の筆頭だよ。でもそれなのに暖色である赤い夕焼けは寂しい気持ちになる。何このあべこべ感。誰に異議を申し立てればいいの?」


「えっと……国、連……?」


「んなバカな。何言ってるの君。国連に言ってどうなるっていうの」


「ご、ごめんなさい」


 少し適当に答えてしまいました……。


「あぁ、今の佐藤君はまるで空のようだね。とっても青いよ」


 空のようだと言われて喜ぶべきところなのか、悲しむべきところなのか……。ここは悲しむべきところだよね。


「つまりこの空は佐藤君色なんだよ。そんな色の下で長い間過ごすんだから鬱になる人が多くても仕方がないと言わざるを得ないね。この空の支配者たる佐藤君がもっとポジティブなら年間の自殺者も減っていくんだよ。空の化身である自分の責任が大きいって分かってる?」


 はい……そうですね……。

 でも、それは真かもしれない。

 さすがに責任云々は言い過ぎだと思うけれど、僕のようなうじうじした人間が前を向けるような社会になれば自分で命を絶つ人も少なくなると思うんだ。結局は社会のせいだとするずるい言い訳だけれども、人は一人では何もできないのだから世界全体でポジティブになれるように頑張らなくちゃいけないと思うんだ。

 だから頑張ろう。

 ひそかに気合を入れた僕に、楠さんが言う。


「でもま、空しいとか鬱色とか言ってきたけど、私空は嫌いじゃないよ」


 ……。

 ……?

 ……えっと?

 なんだか心に落ちて行くものを感じたよ。


「その、あの、楠さん?」


「どうしたの? あぁ、パーティの話?」


「え、あ、うん」


 そうだった。今僕はパーティの参加者を探しているんだった。


「ぜひ、馬山さんのお友達のパーティに参加してもらいたいんだけど……、その、ダメかな?」


「駄目だね」


 一刀両断だった。


「なんで他人であるストーカーまりも野郎の友人の誕生日を祝わなければならないの。そんな人間の誕生日を祝うくらいなら生きる価値のない兄をどうすれば抹消できるかの思考に耽るよ」


「耽っちゃダメだよ!?」


 お兄さんはいい人だよ?!


「まあそんなどうでもいい事は置いといて」


「人の命はどうでもよくないよ!」


「さっきのメール、三人にしか送ってないでしょ? パーティに参加しませんかっていうお誘いのメール」


「あ、うん」


 本当にお兄さんの命の話題を脇に置いておくんだね。


「私と三田さんとあと一人、アドレスが『ヒナタン@』だったから多分有野さんのお兄さん。気持ち悪い」


「気持ち悪くはないよ。兄妹仲がいいんだね」


「引くレベル。で、どうしてその妹の方には送らなかったの? 君がメールを送るとなると真っ先に送りそうな気がするんだけど。何か理由があるの? もしかしてもう直接会って誘ったとか?」


「ううん。えっと、その、なんというか、邪魔しちゃ悪いかなって」


「邪魔? あの金髪さんは何かに夢中になっているの? 差支えなければぜひ教えてもらいたいね」


「えっと……」


 言ってもいいのかな? プライベートな事だし……。


「言いなさい。良いから言いなさい」


「でも、雛ちゃんのことだから、勝手に話すのは、ちょっと……」


「……よしわかった」


 楠さんが携帯電話を取り出してどこかに電話をかけだした。誰に電話をかけているのだろうか。


「……あ、有野さん? 邪魔してごめんね」


「え!?」


 直接電話をおかけになられている! あ、間違った敬語だこれ!


「いやね、なんだか佐藤君が有野さんは忙しいっていうからね。え? うんそうそう。君の優大君はここにいるよ。それでさ、私今パーティに誘われてね。うん、パーティ。え? さあ? なんだか邪魔したら悪いからって言ってたけど? へぇそう。どうでもいいや。じゃあ、パーティ楽しみにしているよ。さよなら」


 電話口から物凄く大きな声が聞こえていたけれど何のためらいもなく通話を切っていた。


「有野さん別に忙しくないみたいだよ」


「そ、そうなんだ」


 ここで僕の携帯電話が鳴った。多分雛ちゃんだ。


「は、はい、もしもし?」


『おい優大!』


 大きな声に僕は思わず耳を離した。


『てめえパーティって何のことだ!』


 相変わらず大きな声なので少し耳を離して通話する。


「その、明日、馬山さんのお友達の誕生日パーティがあるんだけど、雛ちゃん、来てくれる?」


『優大の誘いを断るわけねえだろうが! つーかなんで私を一番に誘わねえんだよ!』


「えっと、その、朝雛ちゃんの家に行った時に、國人君と話したんだけど、その、小嶋君と、遊びに出ているって聞いたから」


 直接そうはいっていないけれど、そのようなことを言っていたから。


『お前家に来てたのか?! なんだよ! 呼べよ!』


「え、でも、家にいなかったし、小嶋君といるって言ってたから……」


『んなのどうでもいいだろうが! 今優大どこにいる?! 今から向かう!』


「僕は今から帰るつもりだけど……」


『帰る?! 若菜と一緒にいるってことは若菜の家なのか?! そうなのか?!』


「ち、違うよ? 僕は今秘密基地のある山のふもとにいるんだよ?」


『今から向かう!』


「え、小嶋君は?」


『知るかよこんな奴! ちょっと待ってろ!』


 電話が切れた。

 一気に流れていく話に僕はついて行けなかった。思わずまじまじと携帯電話を眺めてしまうほどに。

「有野さんここへ来るって?」


「え、あ、うん。僕帰ろうと思っていたのに」


「帰っちゃえば?」


「帰れないよ……」


「そう。じゃあ私は帰ろうかな。鉢合わせしたくないし、ここ暑いし」


「あ、さようなら楠さん」


 確かに暑いもんね。


「……さようなら」


 少しだけ不機嫌そうな顔をした楠さん。


「ど、どうしたの?」


「……別に。もう少し名残惜しそうにしてもいいんじゃないかなって思っただけ。なに? さっさと帰れって?」


「そんなこと思ってないよ! 早く帰りたがっているから、引き止めたら申し訳ないなって……」


 当然僕だって、もっと一緒にいたいけど。


「嫌がることをするのは、いけない事だから」


「あっそ。ねえ、佐藤君」


「どうしたの?」


「もっと自分を信じてみたら?」


「え?」


「むむ、金髪の気配がする。帰らなくちゃ。じゃね」


 楠さんがひらひらと手を振り帰って行った。引き止めた方が、よかったのかな。

 それにしても、自分を信じろとはどういう意味なのかな。

 首をかしげてみても、何かがひらめくということは無かった。

 その後、すぐに雛ちゃんがやってきた。そして怒られてしまった。

 どんなことでも一番に私を誘え、家に来るなら私に連絡をよこせ、若菜と二人きりになるな、と言われた。

 最後の以外は、守ろうと思う。

 先ほどまで一緒にいた小嶋君はどうしたのと聞いたら、置いてきたと答えた。なんだか、申し訳ないよ……。小嶋君怒ってないかな……?

 何をしていたのかは聞けなかった。

 いや、多分、違う。聞けなかったんじゃなくて。

 ……。

 自己嫌悪に陥りながら、改めてパーティに誘ってみた。

 雛ちゃんは来てくれるらしい。

 小嶋君の様子が気になったので電話をかけてみると、やはり怒っていた。僕に怒っているのだと思ったけれど、小嶋君は雛ちゃんに対して怒っていた。喧嘩は、よくないよ。

 小嶋君もパーティに誘ってみたけれど、國人君と同じような意見だった。

 僕が誘える友達は小嶋君で最後。

 最終的に来てくれるのは雛ちゃんだけだった。

 ごめんね馬山さん……。

 後は、祈君とお姉ちゃんがいるけれど……。

 一応、帰ったら声をかけてみよう。


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