第7話:魔王と魔法、そして練習試合
「昨夜の眠りはいかがだったかな?諸君」
俺は今、ルクスリア城の玉座の間…その玉座に座り、恭しく頭を垂れる臣下一同を見下ろしている。
「一同、面を上げよ」
一芸は身を助ける…か。
走れメロスで暴君役をやった経験がどうやら活きているらしい。
俺はアヤちゃんに仕立てられた…黒地に赤の縁取りとアクセントの入った、タキシードみたいな服…そして真っ赤なマントを身に付けている。
ちなみにアヤちゃんは黒のトレーナー風の上着に青の超ミニタイトスカートと、飴色をしたショートレザーブーツと言ういでたち。
跪くとパンティ見えますよ?あ、見せてるんですか…そうですか。
「さて…既に諸君は既知かとは思うが、我が名はリョウスケ…リョウスケ・ミカガミ、この度…諸君らを筆頭にルクスリア王国を率いる事になった魔王である」
言ってて背筋がむず痒くなるな…こう言った役は綾子の十八番だろ?
なのに何で俺が…。
形式だけだそうだが一応キチンとした【御前会議】らしい。
気だけは抜かないようにせねば。
「先代、先々代から務める者も居ると聞く…よってそれまで慣れ親しんだ風習もあると思うが、あえて先に言っておく…我は、いや俺はこの先…皆が積み重ねた物を呆気なくブチ壊すし、逆に到底理解出来ぬ事を強要するかも知れん…だが!それはあくまで皆や民を、俺なりに思っての事…魔王は絶対とは言わない、だから俺がおかしいと思うなら億さず意見してくれ!」
人前で緊張しないのは得だな。
他の人間なら間違いなくテンパってるだろうしな…。
「では魔王様にお聞きしたい事がます」
「宰相のエンデだったな?よし、どうした?」
ルクスリア王国宰相のエンデ、エンデ=アトロスポーナが口を開いた。
ちなみに俺は今、翻訳の魔法『万語解釈』を使っていない。
なのにどうしてコイツ等の言葉が分かるのか?
それは俺が今【効果付与武具】を装備しているから。
もちろん刻んだ魔法は『万語解釈』だけど…見えないって?そりゃそうだろう…服の袖口で隠してある、紙製の腕輪の内側に書いてあるんだから。
昨日俺はアヤちゃんとの実践において、魔法文字を刻んだ【効果付与武具】を装備する場合…それの耐久力や見た目の良さを問わず、加えてそれがどんな物であれ『効果付与武具として扱いたい魔法の魔法文字が刻印されており、かつその魔法文字となっている元々の魔法が使用可能』であれば、きちっと【効果付与武具】として発動するらしいことが分かった。
そして俺はいずれキチンとした装備品に『万語解釈』を刻む事にして、とりあえずは凌ぎや繋ぎの意味合いを込めてこの【紙製効果付与武具】を装備している。
…この世界の共通言語、いわゆるラグナロク語を覚えてしまえばいいだけなのだが。
ちなみにエンデの見た目はシズとあまり変わらないけど、どことなく気の弱そうな女の子…ただ明らかに腹黒そうってイメージだ。
「覚えて頂き光栄です魔王様…ではお聞きします」
「おう」
「魔王様はルクスリア王国に降臨なさられてまだ日が浅いと聞きますが、このルクスリア王国を見てどう思われますか?」
いきなり直球ド真ん中来たぞ!?
しかもこのエンデ…顔がニヤついてやがる。
…俺を試してんだな?
よーしその喧嘩買った!
後悔させてやんぜ。
「ルクスリアをどう思っているか…か、ふむ…一言で言えば『色々足りない』だな」
「色々足りない?」
「そうだ」
エンデの言う通り、確かに俺は召喚されてまだ…いや、1日しかこの世界で過ごしてはいない。
その間に城内のアチコチを案内されたり、魔法を覚えたり、城下街を案内されたりはしたが…どうも何か足りない気がする。
「例えば民が少ない、民の顔に元気が無い、王政執務員が少ない、王政執務員が疲れきっている…正直言おう、俺から見てこの国は色々足りないと言ったがそれは撤回…正直病んでるよ、この国は」
「病んでいる…」
「そうだ、そしてそれは勿論エンデ…お前の事も含まれているし、他の連中もそう……我が国への進軍を考えていると言うアワリティアとグラ以外、各国軒並み虚弱状態に…そして現物を見た我が国は危篤状態と言った所か?」
この世界『セブンシンズ』は直訳すると『七罪』だとようやく悟ったのは昨晩だ。
七罪とは、キリスト教の用語。
七つの罪源とも呼ぶ。
「罪」そのものというよりは、人間を罪に導く可能性があるとみなされてきた欲望や感情のことを指す。
色欲・暴食・強欲・怠惰・憤怒・嫉妬・傲慢
…そしてルクスリアはその七罪における『色欲』である。
某錬金術師漫画に馴染みが深い奴なら『ラスト』と言えば分かりやすいか?
『ルクスリア』は『色欲』のラテン語訳なのだ。
だから当然残る6罪もラテン語訳が存在し…
暴食 = グラトニー = グラ
強欲 = グリード = アワリティア
怠惰 = スロウス = アケディア
憤怒 = ラース = イラ
嫉妬 = エンヴィー = インウィディア
傲慢 = プライド = スペルビア
…となる。
そしてその7つの罪を国名とする国々が集まっているので、大陸名が七つの罪(Seaven Sins)って訳だ。
「グラとアワリティアの連中はまだ本腰をいれておらず弱いが、本腰を入れられても厄介…まぁそれだけ『自分の国には我が国が邪魔』と考えて動いているだけマシ…しかしマシとは言え侵攻の意を露にされているのにも関わらず、民にも皆にも国にも…何とかしようと言う気概が見られない…それが危篤状態と言ったんだよ」
「ではどうすれば?命じていただければ如何様にでも」
「…エンデならどうする?」
「は?」
「…」
この反応、予想はしていたが『やはり』と言ったところだな。
「あのな?お前らの『自身は王の配下だから命令には従う』って考え、見上げた忠誠心だと思うよ?うん、立派…でもな?いくら王からの命令とは言え、理不尽な命令を押し付けられてお前は何とも思わないのか?」
「それはどう言う…」
「はぁ、重症だな…じゃあこんな命令をしてやろうか、エンデ…今すぐここで脱げ」
「え…」
…ホレ見ろ。
どよめきどころかざわめきすら起きねぇじゃねぇか。
腐ってんなこの国。
「陛下は、私の裸体がお望みなのですか?分かりました…では…」
言ってその着衣に手をかけるエンデ。
だがその手が胸元…おそらくボタンがあるであろう位置に来た時、不意に手が止まる。
「…どうした?手が止まってるぞ?」
「ッ」
軽く脅してみるが、やはり手は動かない。
心がどっかで躊躇してんだろう。
「…もういいぞ、脱ぐのをやめてくれ」
「えっ?」
「お前は今『命令に従って脱ぐと言う精神』と『見知っただけの男の前で、第三者の視線がある中で脱ぐのは恥ずかしいと言う理性』が心の中で葛藤した…違うか?」
宰相ですらこの有様…ふん、これが基本だってか?
数少ない『マトモ』なのは俺とアヤちゃんだけじゃねぇか……笑わせる…反吐がでるぜ。
「分かるか?お前らな、ちっとは自分で考えろ」
「ですがそれでは陛下の命令に背くことに…」
「お前は本当に宰相か?いや、あえて言ってやる…お前、バカだろ?」
「…ッ!?」
繰り返すが、忠誠心が高いのは大いに立派だよ?うん。
でもな、それが努力しても達成できないような理不尽な命令なら背いたっていいんだぞ?
「お前らに分かりやすい例えで言うが…この世界、いわゆる貴族って連中は『政略結婚』をするんだろう?」
「…はい」
「そりゃ貴族共にとっちゃ血統と爵位、そしてその爵位に付随する様々な特権・恩恵は何物にも換えがたい物なんだろう…けどな?血統と爵位を守る為、己の全てを押し殺してまでしなきゃならないのか?それが命令なら従うのか?」
「それは…」
「躊躇するだろ?それが正しいんだ、いいんだよ…努力する事は必須だけど、どう足掻いたって達成できない命令は背いてもいいんだ…俺が王である限り命令に背いても殺す訳じゃないし」
家臣の不敬罪はそこそこでいい。
『思い通りにならないから不敬罪・反逆罪で処刑した』なんて事をやってみろ…思い通りの国が、政治が出来た段階で家臣は片手で数えるほどしか残ってないだろうな。
「アヤ」
「ハイ、ここに」
その立膝やめない?
見えてるパンツから目が離せなんだけど。
…誘ってる?いや、誘われてる?
「俺さ、国を良くするって言ったと思うんだけど…それを王の独断で実行したとして、出来た国は本当に良い国かな?」
「いえ」
「なら国を良くする為に必要なものって思い浮かぶ?」
「はい…まずは必要物と現状を把握し、それらがそのままの状態だとどうなるかを予測する事…」
「ふむ、それで?」
「最悪の事態が想定できればそれを回避するためにどうすればいいかは自ずと見えるでしょう…私達だけでは補えない意見は、王政構成以外の第三者…例えば国民に意見を求めてもいいかと」
アヤちゃんの意見にポカーンとしているエンデ。
やっぱりこの子は違う。
国が良くなるためには何が必要かを、例え最低限でも分かってる。
「なら君らはどうすればいいかわかるよな?」
アヤちゃんならこの命令の趣旨を理解してくれるだろう。
俺の言葉にアヤちゃんはニコッと笑う。
「そうですね…まずは国の現状把握と、状態回復に必要な物の把握から始めるべきかと」
「よし…御前会議が終わった後、まずはこの城の住人を総動員して把握にかかるぞ」
「畏まりました…必ず全員集合させてみせますのでご安心を」
言って彼女は、とりあえずエンデを連れて玉座の間を出て行った。
「じゃあ次だ、何か意見のある奴はいるか?」
「では私が」
「宮廷魔法使い長兼、ルクスリアナイツ第二騎士団…通称『魔法大隊』の隊長イオニス=アグニスだな?よし、言ってみろ」
イオニス=アグニス。
彼女はこのルクスリア屈指の魔法使いで、あのアヤちゃんの魔法の師匠でもある人物だ。
…ってか俺の回り、いやこの国…女の率高くね?
彼女はあぁ…ロリ属性萌えなら多分微笑や照れ笑いだけで3回逝けると言っておく。
「魔王様は魔法についてまだ『習いたて』と聞きましたが、どの位のお力か見たく存じます」
「力試しと言う訳か?」
「恐れながら」
「良いだろう…俺としても自分の魔法がどれぐらい通じるか知っておきたい部分はあるんでな……じゃあどうすればいい?イオニスが俺に撃つか?俺がイオニスに撃つか?」
「魔王様はご自身の魔法がどの位の物か知りたいと仰いました、では私にお放ち下さい…私は特殊な防壁魔法を用い、魔王様の魔法に関する能力値を大体の数値で算出させていただきます」
ほう、俺の魔法関係パラメータを算出してくれるってか?
こりゃ都合がいいな。
「よし、じゃあ簡単に火の魔法で良いか?」
「はい」
「…じゃあ行くぞ?」
俺はイオニスの前方に青い、その『特殊な防壁魔法』が張られるのを確認し…イメージを開始する。
『着弾地点で盛大に爆発・炎上する小さな火球…』
アレだ…ダ○の大冒険でバ○ン様が○ランを火葬と言って放つ使うメ○のイメージ。
「むんっ………」
力んだ瞬間、手の上に小さな火球が発生する。
そしてそれは体内で蠢いていた何か…魔力を体から吸い出し、色をみるみる変えて行く。
オレンジの火は朱になり、朱は赤になる。
「…火の球!!」
―ズゴオォォォッ!!―
恐ろしいほど熱量を持った小さな火球が放物線を描いて飛び、イオニスが張った防壁に着弾…途端に凄まじい規模で炸裂し、強烈な炎の竜巻と化した。
「ひっ!」
「うわっ!?」
周囲にいた人たちが慌てふためき、巻き込まれそうになり悲鳴を上げる。
だがそこは宮廷魔法使いのイオニス…火炎竜巻を見る見るうちに小さくし、ややあってそれをその防壁魔法で消し潰してしまう。
「…凄まじい能力値ですね…しかもこれで高速詠唱とは」
「高速詠唱?」
「はい、その魔法を発動する場合は『正しき言葉』を含ませる必要があるのはお聞きの通りかと思いますが…本来魔法は『上の句』と『下の句』を合わせて発動する物にございます」
上の句と下の句…アレか?ブリー○の鬼道か?
『君臨者よ 血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ―――』で始まるあの呪文。
「火の球なら【燃え盛れ火球】が『上の句』で、魔法名たる【火の球】が『下の句』となります」
「ふむ」
「魔法は『上の句』を詠唱…つまり言葉にしなくても発動できますが、それだと命中率と精度に誤差が生じます」
そういや五番隊隊長さんが七番隊隊長さんを倒す時に三番隊隊長さんと喋ってたっけ?
『九十番台詠唱破棄――――』
『いや失敗だよ、本来の破壊力の半分も出せていない』とかなんとか。
「…なるほど、その誤差を『上の句』で補助するわけか」
「はい、なので『下の句』…つまり魔法名だけで詠唱された魔法は、その発動者本来の最大マナポイント・魔力・精神力が顕著に現れやすいのです」
「ふむふむ」
「そして私が使った防壁はその受けた魔法から『発動者本来の最大マナポイント・魔力・精神力』を割り出す効力があります」
受身型ライ○ラってとこだな。
「まず最大マナポイントは3200です」
「3200…ふむ、イオニスは宮廷魔法使いだったな?」
「そうです…宮廷魔法使いの最大マナポイントは多くて2000、最大マナポイントは何の訓練も受けていない普通の新米魔法使いを基準として以下のようになり…
0~100→D:一般人
101~200→C:新米魔法使い
201~1000→B:熟練魔法使い
1001~2000→A:宮廷魔法使い
2001~→3000→S:魔導師
3001~→SS:賢人
…これまでかつて3200などと言う数値は聞いた事も見た事もありません…よって魔王様の最大マナポイントは、幻とも言えるSSランク『賢人』級…私が2000なので、その1.5倍に相当します…ちなみに先ほど退出なされたアヤ様が1000です」
「新米魔法使い5人でアヤ1人、アヤ2人分がイオニス…そしてアヤ約3人分が俺、と…じゃあ訓練すれば俺でも救世主を召喚出来る訳か」
「理論上はそうなります…では次、魔力ですが……ん、ん~…」
どうやら言いづらいみたいだ。
アレじゃね?テンプレ的に言うと低すぎるか高すぎて計れないとか?
最大マナポイントがアレだから高すぎて計れないのかな?
「どうした?言ってみろ」
「は、はい…魔王様の魔力は現在、45…Dランクです」
「45のD?それは高いのか?」
「高いも何も…新米魔法使い以下…魔法を使えぬ一般市民の中でも、少し高い程度…の数値です」
新米魔法使いで魔力は70~80あるとイオニスは言う。
アヤちゃんが148でイオニスが200らしい…だからその低さは圧倒的だ。
ちなみに…
0~50でD…一般人
51~100でC…新米魔法使い
101~150でB…熟練魔法使い
151~200でA…宮廷魔法使い
201~250でS…魔導師
251~でSS…魔道賢者
…となるらしいので、俺がD一般市民でアヤちゃんがBの熟練魔法使い…そしてイオニスはAの宮廷魔法使いと言う事になる。
「これでは始素魔法はおろか分素魔法も習得できません」
「なるほど…まぁ微々たる上昇量とは言え、鍛える余地はあるんだろ?」
「もちろんです…ですが先ほど最大マナパワーの辺りで言った『理論上は』はこの魔力量の問題が『現実論』となり、理論破綻します……まぁこれはあくまで『現段階の数値』でしかありません」
顔に出さずホッと胸を撫で下ろす。
いくら魔王だからと言って魔力値45、これが上限限界MAXだと言われたら流石に泣くぞ?
「ふむ、なら安心だな」
「ええ…そして最後、精神力ですが…これは何と計測できませんでした」
「計測出来ない?」
「ええ、数値は999で止まってます…つまり高すぎるんです」
精神力が高いと放った魔法は複雑な軌道を描かせて広範囲に及ばせる事が出来る。
つまりそれが高すぎると言う事は…。
「…魔王様の魔法は理論上、国内…いえ玉座に座したまま放っても国内の如何なる場所にも確実に命中させる事が出来るはずです…それも間にある障害をなんら一切傷つける事無く」
「凄いじゃないか」
「なので先ほどの『火の球』が、ファイアボールなのにあの効果範囲だったわけです……ただし魔力値が低いので高い威力の魔法を撃つ事は出来ません…また、これらはさっきお伝えしたように『訓練』または『上の句詠唱』により、ある程度の上方修正が可能ともお伝えしておきます」
「良く分かった、ありがとうイオニス」
「いえ、こちらこそありがとうございました」
ふぅん、魔力は45相当の威力をMP3200で国内必中か。
それでも使えないよりはマシか…何てったってここは魔法が使える異世界だぜ?
使える世界なのに使えない自分って空しくないか?
訓練で上げる事が出来、かつ『上の句詠唱』により、ある程度の上方修正が可能ならまだ救いようがあるってモンよ。
とりあえず目下魔法訓練は魔力量上昇か。
「ところで魔王様、私もよろしいでしょうか?」
「ん?お、シズ=シャナスか…どうした?」
彼女の名前は2番目に覚えていた。
何せ出会いがアレだし、俺…1つ間違ってたら殺されてたし。
「我が名、覚えてくださって光栄です」
「ああ、で?」
「ハッ…魔法に関しては先ほどイオニス殿により開示されましたが、武力の方は如何かと思いまして」
「武力…か」
武力…つまり単純な腕っ節。
「ハッ、先日召喚の間で一度一瞬お手合わせいただきましたが…私自身あの結果にいささか不満があります」
「ふむ、あのような雑踏と暗がりで俺が勝ったとしても、それは互いにとって公平では無い…と、そう言う事か?」
「ハッ!」
なるほど…召喚の間での一件は偶然かもしれないし、フェアでもなかったと言いたいのか?
ふむ…あの瞬間は俺自身、割と必死だった気がするんだが?
まぁ一応義母さんから『無双御鏡流』と言う剣術と、義祖母さんから『氣闘拳』と言う格闘術を学んでるには学んでるが。
ま…いい機会だし、俺の腕っ節がどこまでこのシズ…ルクスリア王国第一騎士団の隊長に通じるかどうか知っておくのもいいだろう。
「分かった…じゃあシズ、お前との手合わせを受けよう…で、場所はどこにするんだ?」
「そうですね…では中庭の訓練所でいかがでしょうか」
中庭の訓練所…確か今ここにいないエンデが、アヤちゃんと一緒に資料収集をやってる資料室の脇だったか?
よし、終わったら見に行こうか。
「じゃあ先に行っててくれ」
「え?」
「逃げはしないよ?ただ訓練とは言え勝負は勝負、訓練用とは言え武器に手抜かりはしたくないのさ」
「なるほど…では訓練場の脇に練習用の武器を保管する、木装保管庫がありますのでそこでお選びになるのがよろしいでしょう」
木装保管庫?
響きから察するに『木で出来たナイフ』や『木で出来た剣』がしまってある倉庫か?
了解…さて、俺の手に馴染む…あわよくばそれなりに使える木装があればいいが。
つか外野ウルサイぞ?
「第一騎士団団長に勝てる人なんて存在するのか!?」「あぁ、終わった」とか丸聞こえだからな?
「…わかった」
「では今より10分後、訓練場中央部のステージでお待ちしています」
こうして俺は一度御前会議を中断し、シズとの勝負をする事になった。
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