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HUNTER×HUNTER ――ニキとロゼのハント――
作:神楽 久遠



1.ニキの独り言


                   HUNTER×HUNTER
                ――ニキとロゼのハント――


               世界はあなたが思うよりも広い
              だから その目で見てごらんなさい
               その足で 歩いてごらんなさい
           一歩を踏み出すのは とても勇気がいる事だけど
          きっと何処かに あなただけが手に出来るものがある
                 恐れずに足を踏み出して
         世界はあなたが思うよりも 可能性に満ちているものだから
                       ――エド・マクベイン『世界への第一歩』


師匠曰く『万物流転、生死に拘るは未熟。己の道を探せ、若人よ』

意味わかんねぇよ、師匠。
兄弟子であるオーマはそう感想を漏らした。
姉ちゃんはシタリ顔で頷いていた。
ボクは、正直よく分からなかった。
師匠が、その昔知る人ぞ知る《ハンター》だった事をボクが知るのは、もっとずっと後の事だし。
それでもその時の言葉は、それまで耳が腐るほど聞かされた説教よりもずっとずっと心に残った。

『ニキよ、お前が間違えているとは思わん。しかし師として、育ての親として、これだけは言っておく。ニキよ、お前が――人間を好きになる事ができぬのならば、無理をして人間を求める必要はない。その代わりに、そう――なんでもいい。何でもいいから、好きになれ。何かを好きになれば、それだけでお前は強くなれる。何かを好きで在り続ける事は、嫌いになるよりも、遥かに難しいことだがな』

── その頃のボクは、とても甘ったれだった。今にして思うと、多分。
孤児だった姉ちゃんとボクを拾って育ててくれた師匠――その大恩人さえも、ボクは人を人とも思っていなかったと思う。
確かに師匠には一目を置いていたけど、それは結局、追い出されるのが怖かっただからであって、姉ちゃんも師匠も、みんな『自分とは違うもの』としてしか認識していなかった
師匠は、子供の頃のボクの狭い世界でも特に変わり者だったけれど、その頃のボクは自分だけが『違う』と思っていたので、師匠が自分に何かを教えようとする事すらも鬱陶しくさえ感じていた。
居場所は欲しがっていたくせに、その唯一の場所を与えてくれた師匠を拒否して── その矛盾こそが、やっぱり大いなる『甘え』だったに違いなかった。

だけど

そんな昔のボクは、もういない。



                  







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