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三里アキラさんからの
+創作家さんに10個のお題+
で、番外編を書いてみようと思い立ちました。
そして、書いていたら……SFからますます遠ざかっていくようなので、ファンタジーに転向しました(^^ゞ
番外編 (1) あかるいね(雪村冬馬・視点)
 少し肌寒くなってきた。僕は海野君が週末に買ってきてくれた袖なしフリースを上に羽織った。ごくごく薄い水色のフリース。
「グレーシャーブルーって言うんだそうですよ?先生の名前にぴったりでしょ?」
 海野君がニコニコしてそう言った。確かに僕の名前は雪村冬馬で、寒そうな名前ではあるが、グレーシャーブルー……氷河の青……聞いただけで更に気温は急降下だ。
「寒そうだね」
「でもあったかいですよ?ほら」
 海野君はそう言って、僕にフリースを手渡した。フカフカのフリースは手に柔らかく温かかった。

 すっかり日が落ちて薄暗くなった階段を上ってリビングへ向かう。リビングには夕飯を準備しているキッチンの熱気が広がっていて、ご飯を炊いているらしいふっくらとした匂いが漂っていた。
「今日は何を作ってるの?」
 赤いチェックのエプロンをつけて、なにやら野菜を刻んでいる海野君に問いかけた。
「……たぶん豚汁になるハズです」
 手元を見ると片手にゴボウ、片手に包丁が握られている。その下には恐らくササガキゴボウと思われるものがチョロとたまっている。ササガキというよりも乱切りに近い気もするが……。
 ところが、その時唐突に電気が落ちた。
「あれ?」
「ブレーカーが落ちたのかな?君はここでじっとしていなさい。危ないからうろついてはいけないよ?今、見てくるから」
 僕は手探りで非常用に用意しておいた懐中電灯置き場まで行き、灯りを確保するとブレーカーを確認する。ブレーカーに異常はないようだ。と言うことは……。
「海野君、停電みたいだよ。しばらく待ってみよう」
 僕は懐中電灯を片手にキッチンへ戻った。
「えー、ご飯炊いてる途中だったんですよ。大丈夫かなぁ」
「すぐに点くよ。キッチンは危ないからリビングへ行ってよう」
 僕は海野君の手をとってリビングへ誘導する。
 三十分が過ぎた。電気は回復しない。会話も途切れがちになり、暗闇の中で二人して黙りこむ。なかなか復旧しないので、節約の為に懐中電灯を消しているせいで、部屋は暗く、やけに静かだ。
「先生、懐中電灯を少し貸してください」
「ああ、いいよ」
 僕は海野君に懐中電灯を手渡した。海野君は灯りを点けると、窓際まで歩いていき、遮光カーテンをシャーっと開けた。
「先生、ほら、外の方が明るいですよ」
 海野君が嬉しそうに声を上げた。窓の外は月明かり。
「本当だ。あかるいね。十五夜かな?」
 この付近一帯が停電しているらしく。街中が闇に沈む中、夜空に真ん丸なお月さまがポッカリと浮かんでいた。
読んでくださってありがとうございました。
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