第八撃:忍者と三六九!『下』
今日も朝からこの家は、穏やかなんか、ありえない。
鳴りやまない喧噪の中、一人の男が目を覚ました。
「お・・・・じょうさま?」
「あ!目ぇさめた?おはようクロちゃん」
・・・・ガバァ!
「も、もうしわけございませぬ!な、なぜお嬢様のお、、、お膝の・・・その・・・枕など」
「あははっ!いいよぉ別に!そう言えばいつ以来だったかなぁ?」
「そ、そんな・・・私目には過ぎたものです・・・」
そう言いながら飛び起きた黒夜は、申し訳なさそうに頭を下げた。
「むーっ!まぁいっか。それよりもだいぶ帰りが早かったね!」
「いえ、里の者たちの現状の確認と墓参りだけでしたので・・・」
そこにタイミングよく弥生さん登場!
「もぉ〜そういうこと言ってる場合?どうしてあんなに傷だらけでソファーで寝てたの〜?」
「だめだよお姉ちゃん。クロちゃんは怪我するのがしょっちゅうなんだし」
めっと言う顔で黒夜に問う弥生に弁解する小奈美。
「いえ、この屋敷に侵入している者を見つけ、排除しようとしたのですが・・・」
「えぇぇ!クロちゃんが負けたの!?」
「はぁ、申し訳ございません・・・」
ガバッと再び頭を下げようとする黒夜をやんわりと止め、その眼を見ながらたしなめる弥生。
「いいわ、別に。たとえ全ての忍術を極めてるクロくんでも、負けちゃう時は負けちゃうわ。大事なのはみんなが生きていること。そうでしょう?だからそんなに気にしないで」
「いえ・・・忍びの道を歩みだして15年。負けを期したことは多々ありましたが、今回ほどに力の差に圧倒されたことはありませんでした」
忍の人生は、いや武道の世界で生きる者の道は常に敗北の連続である。敵に負け、己に負け、年に負け、時代に負け・・・。
だがそれでも彼らは抗ってきた。抗えば手の届く場所だった。
「今回の敵は、強すぎます。ですが次は、次こそは全てをかけて・・・」
「全てをかけて?死ぬなんて言わないよね?ねぇ、言わないよねクロちゃん!」
「それでもお嬢様を守るために、いえ、私自身の誇りを取り戻すためにも」
≪ガラガラガラ≫
「クロくん、あなたは間違ってるわ!」
(ったく!なんでワタシのベッドなんかに)
(寝心地よさそうなおおきなべっとでございましたから)
「あなたがたとえその強い相手に負けたとしても」
(でもだからって・・・心の準備が)
(?何の準備でございまするか?)
「ちょっと〜今いいこといをうとしてるんだから邪魔しな〜いの!」
「ん?おおクロスケじゃねーか!んだ?ボロボロじゃねーか!」
「!」
「おろろ?そなたは先刻の忍び?」
「クッ!ここまで馴染んでおったとは。だが今回はああはいかんぞ!秘儀!【影・百花繚るぉ】・・・!!」
ガバッと三六九さんに八双飛びをかまそうとする黒夜にクロスカウンター。
誰もが予想だにしなかったその拳は、ザ★家主から放たれていた。
「いきなりなにしてんだクロスケ!こいつは私の・・・その・・・知り合いだ!」
その・・・の後が気になる所ではありますが、お話は進ませます。
「えぇッ?まさかクロちゃんの負けた相手ってミロ君?」
顔面に拳を食らった黒夜をさらに追い詰める一言を放つ小奈美。
「くっ!負けたことに加えて、勘違いで主の既知に刃を向けるとは・・・忍云々関係なく切腹もの!さらばっ!」
いきなり上半身裸になり、どこから出したか忍び刀を腹に刺そうとする黒夜。
「ちょっとちょっとちょっと!クロちゃんなにやってるの!馬鹿っ!」
「く、黒君なにやってるの!」
「極端なんだよクロスケが!」
「介錯人は某が!」
慌てて止めに入る三人。若干一人助長。
「余計にややこしくすんなっ!」
お久しぶりです。●●○●!
「グファ!」
「な!あれほどの力を持つ者を一撃で!くっ・・・やはり切腹・・・」
「だぁーからー!そんなことしたってなんにもなんないでしょ!」
「いえお嬢様!忍びとして、一介の武人として、これでは誇りも自信も・・・」
「別にいいじゃん!誇りなんて!私はクロちゃんを一番信じてる。クロちゃんは強くて優しくて絶対に約束を破んない最高の人間だよ!だからそんなに簡単に死のうとしないで!」
「お、お嬢様・・・」
「小奈美ちゃんっ立派になって・・・」
涙をいっぱい目にためて、ぎゅっと手を握りしめる小奈美に黒夜は心を打たれる・・・
その後ろで妹の成長を見守るおねいちゃん。
「〜なんのお昼のメロドラマなんだ?この家は」
このあとまた様々なすったもんだがあったんですが、書き出したらきりがないのでまた今度。
「ついに三六くんと影忍が接触した・・・」
再び小高い丘の上から。
「・・・もうすぐ動く」
一つの影が、姿を消した。
もうすぐ出会うその日まで、残りの時間はあとわずか。
はたして影はなんなのか。味方でないのはまず確か。
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