第四撃:二人で三六九!
勝負は一瞬だった。
「ぐはぁっ!」
倒れたのは・・・偽者だった。
「三六九さーーん!」
包帯軍団の一人が信じられないと言った感じで叫ぶ。 まぁーそりゃ焦るわな。
「だからそいつは三六九さまじゃねぇ!だいたい、宝刀持ってんのに、力を使えないなんて偽者以外ありえねぇだろーが!」
失神する偽者を中心に固まる包帯軍団。
「それより・・・まさかこのアタシに復讐なんてしといてタダで済むなんて思ってねよなぁ?」
バキバキッと拳をならす麗さん。気が立っています。怒っております!
「アタシ今機嫌が悪いからねぇ?」
一歩、また一歩と【鬼夜叉】が近づいて行く。
「一撃で決めてやんよ」
拳を振りかぶる【鬼夜叉】こと麗さん!包帯軍団が本気で死を覚悟したその時!
《ゴウンッゴウンッ》
《ゴッゴッゴッゴッ》
道場内いっぱいにこだまするバイクのエンジン音。
外に出てみると、約三、四十人の見るからに【やられた】感のある不良達が、道場の周りを囲んでいた。
「はん!ひょんな(こんな)ひょともあろうひゃと、呼んどいたんだよ!てめぇにやられたやつらをな!」
振り返ると、顔を腫らした偽者が、笑って立っていた。
「へっ!さすがにこんだけ人数がいたら、いくらてめぇでも勝てねぇよ!」
さっきまで絶望していた包帯軍団が一斉にいきがる。
「はん!んなもんでこのアタシがビビルとでも思ってんのかぁ?あぁ?」
と、麗さん、口では強がるものの・・・
(獲物持った奴がほとんどか・・・。さすがにヤバイかもしんねぇな!くそっ)
いくら麗さんでも、これだけの人数を相手にするのは、不可能だろう。じりじりっと
不良達が、迫ってくる。顔にはニヤッと生理的に嫌な笑顔を浮かべて・・・
追い詰められる麗さん・・・。絶体絶命のピンチ!チキショォッ!
「う、うーん・・・。騒がしいなぁ?」
三六九さん!い、今ごろ起きたんすか!!
ウ〜ンッと背伸び。そんな起き抜けの三六九さんの目に飛び込んできたのは・・・
追い詰められる麗さんに、にじりよる大勢の男たち。
さっきまでの喧嘩を見ていない三六九さんは、か弱い可憐な麗さんに襲い掛かる鬼畜ども・・・という公式が頭に思い浮かぶ。ってかあんだけ麗さんに殺られといて、か弱いって・・・あ、記憶なくなっちゃってんだねぇ〜。かわいそぉなんだけど。
一気に激怒する三六九さん。なりふり構わず叫ぶ。
「おまえたちっ!たった一人のか弱き女性にこんな人数・・・恥を知らぬのか!恥を!」
いきなり叫ぶ鎖に巻かれた美少年に、その場にいた全員が目をむける。
「あぁ?なんだぁてめぇは!殺されてぇかこのガキがぁ!」
「まずはてめぇからやっちまうぞこらぁ!」
「余計なこと言ってんじゃねぇ!黙ってろ!」
口々に飛びかう罵詈雑言の嵐、一部し・ん・ぱ・いしている麗さん。偽者がのっそり近づき、持ち上げる。
「あんだぁ?坊主?鎖なんかにまかれてよぉ?殺してやろうかぁ?」
仲間が来て態度のでかくなった偽物。本物にむかって脅しを掛ける。
「その汚い手を放せ。」
本物は静かに言う。
「放せだぁ?笑わせんなよ?くそガキがぁ!」
顔は笑っているが目がマジな偽物。
「やめろっそかいつは関係ないだろ!まだガキなんだ!放してやってくれっ!」
焦って叫ぶ麗さん。それを見て残酷に笑う偽物。
「ならぁ・・・こいつは、俺がじきじきにやってやるよ・・・」
そう言って三六九さんを地面に叩きつける偽物。三六九はなんともない様子。
「やめろっ!この腐れやろうが!そいつだけは巻き込むな・・・お願いだから・・・」
泣き目で叫ぶ麗さん。それを見た偽物は命じる。
「はぁっはっはっはぁ!てめぇら!やっちまっていいぜぇ!その女ぁ、足腰立たなくなるまで痛み付けてやんなぁっ!俺はこいつをかわいがってやんよぉ」
待ってましたとばかりに飛び掛かる不良達。狂喜に満ちた瞳で麗さんに殴りかかる!
最初はなんとか殴り倒していたが、体力が限界にきて腕が上がらなくなる!その隙をついて迫る不良達!
もうダメだっ!と麗さんが目を瞑り、絶望したそのとき!
《バキッ!バキッ!バキッ!ブチィッ!!ジャララララッ》
「おまえたちが救いようのない奴だと言うことがよくわかった。」
鎖の千切れた音と、有無を言わさぬ凛とした声。反応した包帯の男達が三六九にむかう!
≪ドォォッ!≫
「ガハァァッ」
包帯男Aの鳩尾を蹴り飛ばし、ぶつけてよろけた包帯男Bの頭に飛び回し蹴り!白目をむき倒れる包帯男A&B。ビビッた目をして後ずさる残り4人。
疾風のごとく包帯男Cの懐にもぐりこみ、顎を拳で砕く。そのまま肘鉄でなぎ倒し、後ろから殴りかかる包帯男Dの腕を払いのけ、がらあきのボディに拳を叩き込み、腰を折って下がった顔に膝を打ち込む。そのままの勢いで包帯男Eの顔面を殴り飛ばし、鼻をへし折り吹っ飛ぶ包帯男Eの顔面を一気につかみ床にたたきつける。残り一人。
発狂してバットで殴りかかる包帯男リーダーを流れるようにかわし、後ろにまわりこみ首に手刀を入る。一番あっけないよ・・・リーダーっ!
それをまばたきする間にやってのけた三六九さんは、唖然とする不良軍団にむかって静かに言い放つ。
「某が・・・おまえたちを成敗してくれようっ!」
そう言って、ギラリッ。って消えたぁっ!?
・・・それは一瞬だった。
偽物を殴り飛ばし、木刀【越天楽】を握ったと思ったら、一薙ぎで五,六人を斬り倒していき、まるで舞うかのごとく、縦横無尽に動き木刀を操った。気が付いたら偽物以外全員気絶していた。
木刀をもった三六九さんはさらに強かった。まさに最強!格が違いすぎだ。まるでネズミとライオンの勝負。
目を見開いて驚く麗さん。信じられない、と。そう、全てが信じられなかった。
口をあんぐり開けた偽物はたまらなくなって叫ぶ。
「いったい・・・お前は何物・・・・」
まぁそう思うのも無理はないなぁーっと、口をひらき一言。
「何者と言われましても・・・ただの三六九にございまするよ。」
麗さん、今なら信じれます。だってあの強さは・・・どう考えても
「み、三六九さま・・・」
振り向きにっこり笑顔で、うれしくてしょうがない様子で、
「やっと呼んでくれたでごさいまするな!れぇーくん♪」
いたずらっ子みたいに笑うあの笑い方。それは彼女が小さいころから大好きだった、笑い方。そして【れぇーくん】とは…小さいころの呼び名だった。
(あぁ!やっぱりそうだ!この呼び方をするのは二人だけ・・・)
「み、三六九さまなんだね・・・」
そういえば、初めて会ったあの時、大きななにかを感じたのは、小さいころの三六九さまにとても似
ていたからだろう。
ってかまんまだしな。まぁいきなりだったから、無意識のうちにその感じを否定しちゃったんだね♪
・・・まぁでも「あ、会いたかったです。ずっと、ずぅっと・・・」 なんて言えるほど、麗さんは素直な性格じゃなかった。
口から出たのは、
「おせぇんだよ!このばかっ!もっとはやく目さませよぉ!」
なーんて言う、正反対の言葉だった。ん?あんたのせいっしょ?自業自得っしょ?ってか敬語は名前だけなのね・・・
「いや、またまた某、記憶が曖昧で・・・目が覚めたらこの状況で・・・って!忘れておった!」
今の今まで忘れられていた偽物さん。って、自分自身でも忘れてたんだ・・・。
「あぶねぇ!自分で自分忘れるとこだったよ・・・」
やっぱり!ってそんな偽物に殺気全開の三六九さんが問います。
「おぬし、何奴だ?なぜこのようなことをした?」
・・・間違ってももう私は三六九だ!ガッハッハッハッハなんて鬼より強い本物には言えません。 苦しみに苦しんだあげく・・・
「に、任務だ!」
「うそつけ!」
《ドッカーン(お決まりになってきました♪)》
吹っ飛ぶ偽者。比喩じゃないよぉ〜ほんとだよぉ〜
ま、これが後に大変なことになるんです(偽者にとっては生死をわけるくらい)が、・・・。誰もわかんないよねぇ?
《ペタンッ》
よろっとなって、そのままズズズッと女の子座りになった麗さん。惚けた顔になってますよ?
「ど、どうしたのでございまするか?け、怪我でもしたのなら・・・」
かけよる三六九さん。顔を覗きこみます。
「み、三六九さまぁふぇぇぇぇぇぇぇぇん」
安心して気がゆるんだんでしょう・・・素が出ててきちゃってます。号泣!
一方、いきなり泣かれた三六九さん。とにかくおろおろ。
「だ、大丈夫!某は三六九にございまする・・・!!」
と、言ってはみたものの、何分女の子を相手にした経験が、皆無に等しい三六九さん。とにかくてんやわんや。言ってること意味不明。
ひとしきり泣いた麗さんが、恥ずかしさのあまりまた三六九さんを●●○●で殴り気絶させて、そのまま警察を呼び後処理がおわったのは、夜も深まる深夜のことだった。
三六九さんが目覚めると、ベットですやすやねむる麗さんの腕の中だったのは、、、鼻血を拭いて気絶したため、夢と片付けられた。
そんなこんなで、二人は出会い、時が動き出し、まだまだ、さまざまな出来事が待ち受けているのだが・・・とりあえず今日はおやすみと言うことで・・・・。
「あれが三六君・・・小さくなったのは本当だったのか」
暗い夜の闇にまぎれる影ひとつ。
「あなたの命は私が・・・」
穏やかには・・・いかないみたいだね。 |