プロローグ:今日から三六九!
ここは長野の山の中。
そのまた奥のさらに奥。 地図にも載らないその村の少々古びた道場で、今日も彼は修行する。
・・・[もとの姿]にもどるため。
「無量我一流 第壱式 一の太刀!」
『薙!』
ズバババババァ!!
目にも止まらない早業で、刀(真剣)を振り抜く、いわゆる昔の侍のような服装をした一人の男・・・(の子?)が、幽霊でも出てきそうな古びた道場にいた。
その男(の子?)、名前を【一条路三六九
】といい、歳は十八になる。・・・のだが、外見が[ある理由]で、小学生くらいの大きさになってしまっている。
「ふぅ。ようやくもとの姿と同じくらいのキレになってきたか。」
ちなみにここまで技にキレが出てくるようになるのに約5ヶ月間、来る日も来る日も血のにじむような努力をしてきたのは、彼の(小さな)手にいっぱい広がっている破れ続けたマメを見ればわかるだろう。
普通なら失神するほどの痛みがあるはずなのだが、ちいさなころから修行が全てだった彼にとっては、逆に心地よいくらいだった。
《ガラガラガラガラ!》
いかにも古そうな音をたてるいかにも古そうな戸を急いで開けて、あわただしく入ってきたのはイカツイ顔して大柄の、和服を着たオッサンだった。
「やったよ♪我がかわいい三六九タンよ!」
・・・キモッ!
「叔父上、その話し方はなんとかなりませぬか?なんと言うか、その・・・」 いいんだよ、三六九君。 素直に言っても。
「もぉー☆!なに?三六九タン、照れちゃった?」
オエェェェェッ!そ、その体で?その髭で?[☆]はないだろう?[☆]は?
「そ、それが最近良く聞く[萌え]というやつなのですか?」
いや、激しく違うよ?ってか古いだろ?
「うむ。なんだか大変だから、もとに戻すぞ」
肯定すんなよ・・・
「して叔父上、某に何か用があったのでは?」
やっと戻ってきたよ・・ 「おお、そうだった!」 って忘れてたんかい!
「実はな・・・」
「実は?」
「お主をもとに戻す方法が見つかったのだ!」
「・・・そ、それは・・・誠にごさいますか!?」 「うむ。ワシが嘘をついたことが、今まであったか?」
「それは、たくさん。」 おいおいおい!
「そ、そうだったか?し、しかし今回は誠だ!」
胡散臭いな・・・
「まぁいいんですよ。・・・して、その方法とは?」
「ズバリ、東京だ!」
「と、東京ぉー!?」
「そう、あの東京だ」
東京ってそんなすごいかな?ってか[あの]ってなんだよ?
「三六九よ、お主はただいまより、山をおり、東京に行くのだ!そうすれば(たぶん)もとに戻れる!(と、思う)」
いや、今回もだめだろうな・・・
「は!某、ただいまより、東京にいってきまする!そして、もとに戻ってみせまする!」
・・・だめだろうなんだろーなーきっと。
「う、うむ」・・・こうして、真面目な天然、爽やかサムライ男(の子)の、
一条路 三六九、十八歳(外見小学生)は生まれて初めて山をおりることになったのだが・・・大丈夫かなぁ?
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